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ティラピアの耳石日周輪の形成リズムに対応する耳石小のう内リンパ液成分の日周期的変化

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(1)Title. ティラピアの耳石日周輪の形成リズムに対応する耳石小のう内リンパ液 成分の日周期的変化. Author(s). 田中, 邦明. Citation. 北海道教育大学紀要. 第二部. B, 生物学,地学,農学編, 42(2): 9-18. Issue Date. 1992-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/6479. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (第2部B) 第42巻 第2号 lof Hokkaido Univers i i Jouma ion2 B) Vo l ty ofEducat t on(Sec ‐42 ‐2 , No. 平成 4年2月 Febmaw,1992. プィ ラ ピ アの耳石日周輪の形成リズム に対応する 耳石小のう 内リ ンパ 液成分の日周期 的変化. 田. 中. 邦. 明. 北海道教育大学函館分校理科教育教室. Kuniaki Tanaka r. Dai ly Changes in the Components of ot ic F1 i th Endolymphat o1 uid Corresponding to the Format ion of Dai ly Growth lncrements in. otol i lapia (Teleost Fish) 0γeoc勿〆の吻葛 形Z所化“s th of Ti , Laboratory ofSc i i ence Educat on,Hakodate Hokka i do Un ive i i ty ofEducat r s on , Hokkai do040. Abstract. Da i ly Changesoftota lcalcium l lin plasma and oto l i i l th endolymphat eve cf uid (OF), and lubl l i h i i oM)i i t ( OF i i t 0 2 l i t d d 物 S so r l tu e nt apa eo o o ganc marx s n weres ◇“ 2 “”〆定雄‐Dai y , γ卿 〆 ioninthetotalca f l l i linOF weredetermined uctuat l ingdark tshowedlowerl c um l eve eve sdur -l iods and dur ing the whol ime f i i f per sh were sta・Ving over 20 daysin wh et ch the g1 ごowth o. i thsi topped l ti i otol ss l ssuggestedthatthedai t c uml eve sin OF maybearesul ychangesincal ‐l lycal f i i ionrhythm oftheotol i lychangesincal ofadai ium l thandda l c cat c eve sinOF may not he da i ly cal i f i ionoftheotol controlt i ly 弾ビoWthincrementsinotol i th andform da c i cat ths . Mostofthecomponentso fsoM weredetermi nedin OFbyimmunochemicalanalysis,butno. ly changes werefoundin f i common dai he 鱒「eat variety ofind ividua l sh g1 ごoups because oft ing l terns i l i f i ionofotol i efactorwhi chcontrol thswasnotfoundi pat stheda c cat ycal nthi s ‐Nos ly soM has nu study. Apparent u c nerousimmunochemi calcomponents andis secrated f rom the sacculus which surroundsthe oF and someoftheso M componentsarerelatedtot helongterm. fcal i f i ionoftheotol i controlo i ivechangesinimmul th tat c cat i ternsof loel rophoret ect cpat ‐Qual i soM in OF werefoundinf sh starved for20 days-. (9).

(3) . 88. 田 中 邦 明. は じ め に ly 魚類の平衡感覚器である耳石には, その成長にともなって毎日1本づつ形成される日周輪 (dai 1 } ‐ これらは微細構造的に アラレ石針状結晶からなる炭酸カルシウ hi )が存在する . t nc r emen growt , S ) 4 ) } カルシウムと ムに富む層と網目状の有機基質2に 富む層の反復構造として観察されることから3 , 有機基質, またはそのいずれか一方の日周期的な耳石への沈着リ ズムによっ て形成されるものと考 8 ) ) 7 ) ) し か し こ れ ま で 有 機 基 質 の 沈 着 リ ズ ム に 関 す る 報 告 は な い Mug iya ら( 1 981 )9 え ら れて い る6 .. .. ,. はキンギョ C伽硲鯛硲 伽m≠硲 において,耳石への放射性カルシウムの沈着に日周リ ズムがあり, そ れらが外界からのカルシウム摂取およ び血梁カルシウム濃度の日周変化と対応していたことから, 鯉からの日周期的なカルシウム摂取による血築カルシウム濃度の変化が, 耳石の石灰化を調節して い る も の と 考 え て い る.. i )は, 内耳の小のう中に存在する. 小のう は聴斑細胞 最も大型の耳石である1対の偏平石( t t sag a をはじめとする薄い細胞層からなる袋であり, その内部は内リンパ 液と呼 ばれる液体によっ て満た されているため,耳石表面の大部分は直接この液体に接している. このことから, 耳石の成長に必要 0 ) 内リンパ 液を なカルシウムおよび有機基質の前駆物質は小のう聴斑部周辺の細胞から分泌され1 , 介して耳石に沈着するものと考えられており, この液体の性質, 特にカルシウムおよ び有機基質前 駆物質の濃度がそれらの物質の耳石への沈着を調節, あるいは反映している可能性が考えられてい 1 2 } る u) .. l i t 魚類の耳石有機基質はそのアミノ酸組成の特殊性から, 耳石に特異的な蛋白質として “o n”と o 5 }は 軟体動物の殻(炭酸カルシウム)の有機基 4 3 ) その形態的特徴1 )および組織化学的性質1 呼ばれ1 , , 6 7 ) }および外套膜外液1 質と似ており, 耳石と殻の石灰化部位にそれぞれ存在する 小のう内リ ンパ 液1 の有機基質の電気泳動的性質も類似 していることから, 耳石の石灰化においても内リンパ 液の有機 基質前駆物質が重要な役割を果しているものと考えられる. 本研究は, 耳石日周輪の形成構成を明らかにするため, 小のう内リ ンパ 液のカルシウム濃度およ び耳石有機基質前駆物質の量的, 質的日周変化について検討した.. 実験材料および方法 1) 実験魚と飼育条件 i ) を用 omm 実験魚として, ティ ラピア 0〆 z e oc炉ひ粥禽 雛Z o c閑 の幼魚およ び成魚(標準体長80~19 2自然昼夜(明期0 8 00~20 00時)ま 2-1 いた. 実験魚は20~60ぞの循環ろ過水槽で飼育し, LD1 : : たはLD1 2一1 2逆転昼夜 (明期2 0時) 光周期. 水温27±1℃で2週間以上, 十分な 0:00~08:0 給餌を行って実験に供した. また,自然昼夜の光周期,水温27±10Cで20日間絶食させた群を別に 設けた. 人工照明には白色蛍光灯を用い, 水中の照度は60ぞ水槽の底面で1 50~900lux で あ っ た. 餌料はコイ育成用固形飼料を1日1~3回, 飽食するまで与え, 十分な耳石成長が起こるよう配慮 した. この間, 水質の悪化を防ぐため, 数日に1回, 飼育水およびろ過材を交換した. また, 水温, 光周期は同一条件で20日間絶食させた群を設けた. 2) カルシウム濃度の日周変化の測定 3 または6時間ごとに2 4時間にわた っ て5~6個体から血築およ び小のう内リ ンパ 液を採取 し. て原子吸光分析器 (日立518型) により, 各個体 ごとに測定した. 測定時の希釈液としてはリンに 0) (1.

(4) . ティラピアの耳石日周輪の形成リズムに対応する耳石小のう内リンパ液成分の日周期的変化. 89. よる阻害を防止するため1%塩化ランタンを含む蒸留水を用い, 血疑で101倍, 内リンパ 液で51倍 の希釈率とし, 市販の血清用標準液を同一の希釈液で4種類に希釈し検量線を求めた. なお, 肉眼 で生殖線を観察して成熟が確認されたメス個体は, 著しく高いカルシウム濃度を示すため, 他の個 体と区別して扱った.. 3) 測定試料の採取と保存 実験魚は水槽から素早く取り上げ, ただちに尾部切断により, ヘパリン処理のガラス毛細管に採 血 し,3000r pm で10分間遠心分離を行っ て,血築を採取した.採血後,ただちに実験魚の脊髄および 腹大動脈を切断して脳室での出血を防止し, 頭蓋を眼球の上縁の高さ で水平に切開し, 脳および脳 脊髄液を除去して, 露出した小のうから内リンパ液をガラス毛細管で吸引,採取した. 血柴および内 0Cで数日から数カ月間冷凍保存した リンパ 液は測定使用時まで-30 .. 4) 耳石有機基質の抽出 耳石有機基質の前駆物質を免疫化学的に検出するため, ティ ラピアの耳石に含まれている有機基 質を抽出し, 抗血清を作製 した. 有機基質は pH7 4に調整 した10%E D T A (ethylenediamine . i i d )2Na溶液30m″ で1 g の耳石を脱灰し, EDTA可溶性および不溶性分画を抽出 t t t raace cac e した. こ れ ら を Vi sking チ ュ ー ブ に 入 れ 透 析 し, セ フ ァ デ ッ ク ス G 25 の 粉 末 で 約 1omぞ に 濃 縮 し. oCで1 た. これを耳石有機基質溶液 (soM) として4℃で数日から約1ヵ 月間冷蔵, または-30 ~6カ月間冷凍保存した.. 5) 抗血清の作製と特異性の確認 耳石有機基質に対する抗血清は, 体重約3kgのウサギに耳石有機基質溶液1~2mβ を2週間お きに5回注射して作製した.なお耳石有機基質溶液は Freund不完全アジュバントに懸濁させ,背部 皮下に注射した. ウサギからの抗血清の採取は, オクタロニ一法で明瞭な沈降線が形成されるほど oCで約1年以内 40C 抗体の力価が高まっ ていることを確認してから行っ た. 抗血清の保存は-30 , では0‐01%アジ化ナトリウムを加え数日から約1カ月冷蔵保存した. なお, 耳石有機基質に対する抗血清の特異性はオクタロニ一法により抗原との間に形成された沈 降線で確認した.. 6) 耳石有機基質前駆物質の濃度および質的日周変化の測定 8 }および二次元免疫電 小のう内リ ンパ 液中の耳石有機基質前駆物質は, ロケ ッ ト免疫電気泳動法1 9 }によっ て分析 定量した ロケ ッ ト法では個体 ごとの内リ ンパ 液5g″または各測定群の 気泳動法1 , . 個体を プールしたもの10βぞ を泳動し,ロケッ ト状に形成さた沈降線の高さから,有機基質前駆物質 の相対的濃度を測定した. ロケッ ト法では抗耳石有機基質血清( a oM)を7 .5%含む1%アガロー ス板上に作製した直径3mmの小穴に内リンパ 液を注入 し, 水冷式電気泳動槽でゲル長lc mあたり2 ~3Vで, 約24時間,明瞭な沈降線が現れるまで通電した. 二次元法では1 ‐2%アガロースでBT Bが試料穴から約lc m移動するまで通常の一次元電気泳動 を行い, このゲルを抗耳石有機基質血清 ( 8‐7%含むアガロースに埋め込んで,最初の泳動とは垂直の方向に泳動した. 二次元法 aOM)を1 においては沈降線の高さと形態から, それぞれ有機基質前駆物質の相対的濃度と質的差異を検討し た.. (11).

(5) . . 90. 田 中 邦 明. 実験結果 血 業カ ル シウ ム 濃 度 は,雄 で 平 均 6.89±0‐14(S‐E‐ )mEq/ぞ,雌 で 平 均 13‐71±0‐97mEq /ぞと,雌 図1 したが ) )に大きな個体差が認められた( < 0 0 5 で2倍以上の値を示し, 雄に較べ有意 ( っ て, P ‐ . 08 00時)の光 2:1 2自然昼夜( 00~20 本研究では雄の個体についてのみ日周変化を検討した. LD1 : :. 周期下で十分な餌を与えた群では, 暗期の後半から明期の前半にかけて低い値を示した(図2) .絶 食20日群では, 各時刻間で有意差はないが, 明期の前半に低く, 明記の後半から暗期にかけて高い 値を示した (図2) . また, 絶食20日群と給餌群の比較では, 全時刻の個体を合わせた平均値は絶 /″ と,絶食群で有意(P<0 01 )に低かっ た. 食群で5‐8 0±0‐07mEq/ぞ,給餌群では6.41±0 ‐ ‐07mEq 0 8 6 ム ①の oー 0ト E)」 -\▽山E一部〉①」 Eコaao - {. 2 . \. 0 . {ー\冨E - - ①>①」 Eコ8BQ 一 0} 0ト. Mde ▲・ F ー e mo e △O. ▲ ▲ ▲. a l 。 l . ム. . 。も. ~. . 20. 02. P ー d s 1 n q. o 8 玉 裂傷p h. 7o 6 5 . 6 O . 5 5 . 5 O .. T ime 図1. ティ ラ ピアの血凝 およ び小のう 内リ ンパ. Fed. 図2. 20. 02. 08 1 1 1ム 17 T ime. ティ ラピアの血擬カルシウム濃度の. 液のカルシウム濃度. 日周変化と絶食の影響. 00時)の光周期, 00~20 LD12一12(明期08 : : 水温27±0.庁Cの条件で,2週間以 上飼 育し, 経. LD12一12(明期08 00~20 00時)の光周期, : : 水温27±0.守Cの条件 で, 2 週 間以 上 飼育 した。 絶食群は2 0日間, 給餌 を行わなか っ た. ●は給. 時的に各6個体から血梁および内リンパ液を採. 餌群,0は絶食2 0日群で, 各点は6個体の平均. 取した. 血葉は, そ れぞれ, ▲雄, △雌, 内リ ンパ 液は, ●雄, 0雌の個 体を示 している.. 値と標準誤差を示 して いる.. 内リンパ 液のカ ルシウム濃度は,いずれの個体においても,血葉に較べて低く,2‐1~3.6,平均2‐ 94mEq /″と,雄および未熟雌魚の血梁カルシウム濃度の約40%であり,個体差についても,雌雄と. もに,血薬カルシウム濃度の場合よりも著しく小さかっ た(図1).雌雄差は,雄に較べ雌で有意( P< 0 05 )に大きかったが, 血業でみられた程の大きな差は認められなかっ た. 日周変化については, 個 ‐ 体 ごとに測定した自然昼夜群(図3, A) および逆転昼夜群 (図3, B) で, いずれも明期に低くな る傾向がみられ, 特に自然昼夜群の1 4:00時では, 他の時刻をすべて合わせた平均値に較べて有意 パ 液をプールして測定した自然昼夜群でも, 各時刻に5~6個体分の内リン < た ( 0 0 5 )に低か P . っ . 2) (1.

(6) . ティラピアの耳石日周輪の形成リズムに対応する耳石小のう内リンパ液成分の日周期的変化. 91. 明期の中央の1 4:00時に低く, 暗期の後半の02:00~05:00時に高い傾向を示した(図4). 絶食 20 日群では, どの時刻においても給餌群より有意( )に高かっ たが, 暗期に高く,明期に低い 01 p<0 .. という, 給餌群と同様の日周変動を示していた (図4).. 壱 . 35. o 6^ 3 .. 2 0 ・. A +. よ. / , ,“. ,. 命. T im・ v. B . . . . さ. d デー. . ≧品 2 5 ,. . . . . 一 三 e ‐ 1 %. 図3 ティ ラ ピア の小のう内リ ンパ 液カ ル シウム濃度の日周変化 各点は, 6個体の平均値と標準誤差を示して. い る. A は 自 然 昼 夜, L D12一12 (明 期08 : 00~20 00時), Bは, 逆転昼夜, LD 12一12(明 : 期20 00~08 00時) の光周 期で2週 間以上飼育 : : した. * p<0 05 で有意差あり. ‐. 2 0 ・ . 2 0. T ime. 1 叫 , . . 0 2 0 5 0 8 1 1 1 ‘ 1 7 T ime. 図4 ティ ラピアの小のう内リンパ 液カル シウム濃度の絶食による影響 LD12-12(明期08 00~20 00時)の光周期, : : 水温27±0.げCの 条件 で, 2週間以上飼 育 した. 絶食群は2 0日間, 給餌を行わ なかっ た. ●は給. 餌群,0は絶食2 0日群で, 各 熟ま6個体分をプ ール した内リ ンパ 液の値 を示 している.. オクタロニ一法による, 抗耳石有機基質血清 (aoM) の特異性の検定では, 抗原であるEDT A可溶性耳石有機基質 (sOM) (写真1, A, B, C) と小のう内リンパ液 (OF) (写真1, A, C, D) との両方に対して複数の明瞭な沈降線が形成された. また, 抗耳石有機基質血清 (aoM) とティ ラピア血清 (TS) との間には弱い1本の沈 降線がみられたが (写真1, E矢印) , 抗血清の 特異性を高めるため, 抗血清にティ ラピア血清を加えて, ティ ラ ピア血清 に対する余分な抗体を吸 収したところ, この弱い沈降線は消失した(写真1, F)。 このことから, 内リンパ 液中の耳石有機 基質前駆物質の測定には, 3分の1量のティ ラピア血清 (TS) を抗耳石有機基質血清 (aoM) に加えて遠沈し, 特異性を高めた抗血清を使用した. 給餌群および絶食群 のロケッ ト免疫電気泳動像は3~5本の重複する沈 降線を示し, その形態お よび本数は個体間で著しく異なっ ていたため, 両群ともに各時刻での沈降線の高さを単純 に比較す ることは困難であっ た(写真2, A, B). しかし, 絶食群の沈降線の染色度は給餌群と明らかに異 なっており, 背の高い沈降線が薄く現れている個体が多かった (写真2, B) . 二次元免疫電気泳動像では, 給餌群 (写真2, C) および絶食群 (写真2, D) ともに, 複数の (13).

(7) . 92. ‘. 田. 中. 明. 邦. 沈降線が分離して現れ, 給餌群ではそのうち3本 (L1, L2, L3) は明瞭であっ たが, 時刻に よる沈降線の形態および高さの変化は認められなかった. 一方, 絶食群では, 給餌群ではみられな 4: かった沈降線(L4) が現れ, 最も背の高い沈降線(LI)の染色性は低くなっ ていた. また, 1 00時およ び20:00時で各沈降線の高さが低い傾向を示していた.. 考. 察. 0は ニジマス Sα脳o 解か吻e Zとイ シガレイ 瓦解“関 脇〆◇昭 雄 について, 血清 i 1 966 )2 Mug γ ya( と小のう内リ ンパ 液のカルシウム濃度を比較し, 総カルシウム濃度は, 内リンパ液では血清より常 に低く,両者の年周変化のパターンは必ずしも 一致していないが,膜透過性のカルシウム濃度につい ては血清と内リ ンパ 液で一致した年周変化のパターンがみられることを報告している. 本研究においては,ティ ラピアの内リ ンパ液中の膜透過性カルシウムの測定は行っ ていない.しか し,ニジマスとイ シガレイ では,一定の 時期における内リンパ 液中の総カルシウムと膜透過性カルシ 1 ) このことから, 小のう内リンパ 液中の総カルシウム 濃度は, ウムの濃度比は, ほぼ一定であった2 . 膜透過性カルシウム濃度を指標するものと思われ, 本研究で測定された総カルシウム濃度の日周 変. 写真1 オクタロニ一法による抗原性比較からの抗耳石有機基質ウサギ血清の特異性の検定 aOMは抗耳石有機基質ウサギ血清, sOMはティラピアの可溶性耳石有機基質, OFはティラピアの小. のう内リ ンパ 液, TSはティ ラ ピアの血清を示して いる. A は, aoMに 対するSOM, O Fおよ びTS と の反 応. Bは, aOMに対するsoMの希釈 列の反応. C は, a OM に対す る sOM と0 Fの希釈列 の反 応. Dは, OFとaoMの希釈 列の反 応. E は, aOM とTSの希釈列 との反 応. Fは, sOMに 対する, ao MとTSの混合列の反 応を示している.. 4) (1.

(8) . ティラピアの耳石日周輪の形成リズムに対応する耳石小のう内リンパ液成分の日周期的変化. 93. 化は, 本質的に, 耳石へ供給されるカル シウム量の日周変化 に基 づくも のと考えられる 血疑およ . び内リンパ液のカルシウム濃度には, いずれも日周変動がみられたが 血葉では明期 の後半に高い , 値を示したのに対し,内リンパ液では逆に明期で低く,暗期で高かっ た したがっ て 血柴と内リンパ . , 液それぞれのカルシウム濃度が平行的に変化する傾向は認められなかっ た . また, 成熟雌の血柴カ ルシウム濃度は雄の2倍以上 もの高い値を示す にもかかわらず 内リ ンパ , 液カルシウム濃度は雄 に較べて1 0%高かったにすぎないこと,さらに絶食 群では血業カルシウム濃 度が給餌群より有意 に低かったのに対し, 内リ ンパ液では有意 に高かっ たことから 血柴と内リ ン , パ 液のカルシウム濃度 は互いに独立して変動している傾向にあり 血柴カルシウム 濃度が直接 内 , , リンパ液カルシウム濃度を支配している可能性は低いものと考えられる . 内リンパ液カ ルシウム濃度の日周変化 は, 光周期に対応して 明期の中央時に低 下する傾向がみ , られたが, 点灯直後からのカルシウム沈着の開始, および暗期の後半 におけるカルシウム沈着の停 ′ 十. AOM. ー. .. ・. . ÷. . . 08. AOM. ・十. . ヰ. B. ↑ . . . 一 . . 08. . 写真2. 4 1. 02. 20. . . . . . ティラピア小のう内リンパ液成分 の日周変化と絶食の影響 についてのロケ. 動法および二次元免疫電気泳動法による解析. ッ ト免疫電気泳. Aは, 給餌群のそ れぞれ20 00, 14 00, 08 : 00 00 時にお ける, 一 個体 ごと のロケ ッ ト免疫電気泳動 像 : : : , 02 . Bは, 絶食20日群の各時刻における一個 体ごとのロケ ッ ト免疫電気 泳動像 を示して いる. C は, 給餌群 の,. 各時刻におけるプールした小のう内リンパ液の二次元免疫電気泳動像 Dは 絶食2 0日群のプールした小の , . うリンパ液の二次元免疫電気泳動像。 なお 十は泳動時の陽極 一は陰極 →は泳動による抗原の移動方向を , , , 示している. AOM は抗耳石有機 基質ウ サギ血清を含 んだアガロース である .. (15).

(9) . 94. 1. 田 中 邦 明. 3 2 ) 2 )を反映する ような, 時刻に対応した顕著な変動は認められなかった. また, 耳石へのカルシウ 滞2 ム沈着が最も活発な明期の 中央時に, むしろカルシウム濃度の低下 がみられたことか ら, 少なくと カル も日周輪の 形成機構と して, 内リ ンパ 液カルシウム濃度が日周期的に変化すること, すなわち シウム濃度が高まって, カルシウムが過飽和になり, 日周期 的な耳石成長が起こるとする機構 は考 えにくいもの と思われる. 耳石成長の活発な時間帯における 内リンパ液カルシウム濃度の低下 は, むしろ二次 的な結果と考 えられる. すなわち, この現象は, 何らかの要因によっ て耳石へのカルシウム沈着 が促進された結 果, 内リンパ液中のカルシウム が一時的に不足 し, 濃度の低下 を招いたもの と解釈される. 同様の 傾向は, 耳石成長に大きな差がある と思われる, 給餌群 と絶食20日群の内リ ンパ 液のカルシウム濃 度の比較においてもみられ, 完全に耳石成長が停止していると思われる 絶食20日群の 方が, 有意に が最も 高いカルシウム濃度 を示していた. また, 年周 変化においても, イ シガレイ では, 耳石成長 4 2 } 活発である と思われる夏期に,むしろ内リンパ 液カルシウム濃度 が低下すると報告されており ,耳 石の成長と内リンパ液カルシウム濃度の低下傾向は普遍的な現象と思われる. したがっ て, 小のう 内リンパ 液中のカルシウム濃度が耳石の成長を直接支配している可能性は低いものと考えられる. aOM )に ロケッ ト免疫電気泳動法およ び二次元免疫電気泳動法において, 抗耳石有機 基質血清( 対して内リンパ液 (OF) が3~5本の沈降線 を形成したことは, 内リンパ液中に存在する耳石有 機基質前駆物質が, 耳石有機 基質と共通の抗 原性をもつ, 複数の物質からなり, また同時に, 抗耳 石有機基質血清中に複数の抗体が含まれていることを示している. したがって, このような多価抗 血清を用いる場合, 同一抗原に対応する沈降線 が識別可能であれ ば, ロケッ ト法およ び二次元法で 抗原の半定量を行うことができる. 内リンパ 液中の耳 石有機基質前駆物質の濃度につ いては, 給餌 群およ び絶食群のい ずれにおいても, プールした内リンパ液の二次元法でも日周 変化はみられず, また, ロケッ ト法では著しい個体差 がみられたことから, 内リンパ 液中の耳石有機基質前駆物質の 質的, 量的日周変化 と日周輪の形成との対応は認められず, これらの変化が日周輪の形成を調節し ているという証拠は得られなかっ た. 鼻 - 一方, 給餌群と絶食群の比較では, 特に二次元法において, 絶食群で出現, 明瞭化する沈降線お よび染色性の低下する沈降線が少数ながら認め られたことは, 耳石有機基質前駆物質の成分の 一部 に, 絶食によって量的, 質的に変化する ものが存在する ことを示 している. このような絶食による 耳石有機基質前駆物質の成分変化は, 給餌群のい ずれの時刻においても認められなかっ たことから, 少なくとも日周輪の形成に関与している とは考えにくい. しかし, 絶食による長期的な耳 石成長の 停止とは何 らかの関係があるものと思われる. 一般に, 長期の絶食によっ て耳石の成長は停止し, 厚い有機基質層からなる明瞭な障害輪 が形成される. 今後, 低水温, ストレスおよび水質の悪化な どによる障害輪の形成と内リンパ 液中の耳石有機基質前駆物質の成分の 変化との関係につ いても明 らかにする必要があろう. が 本研究において, 抗耳石有機基質血清と小のう 内リンパ液との間に, 複数の明 瞭な免疫沈降線 形成されたことは, 耳石有機基質と同じ抗原性 をもつ複数の物質が, 小のう内リンパ液中に大量に 含まれている ことを示して おり, 耳石への 有機基質の供 給が, 小のう内リ ンパ 液を介して行われて いること を証明するもの である. また, ティ ラピア血清との間に ごく弱い沈降線 が形成されたこと は, 耳石有機 基質成分の少なくとも一部は血清由来のものであることを示 している. したがって, 耳石有機基質成分の大部分は耳 石と小のう内リ ンパ 液に特異 的なものであり, 小のうを取り囲む何 5 )は ティ ラ )2 1 989 i toh( , らかの細胞が耳石有機基質前駆物質を生産していることを示している. Sa 泌 パ液中にのう胞状の分 ピアの小のう細胞の電子顕微鏡的観 察から, 小のう細胞の表面 から内リン 6) (1.

(10) . ティラピアの耳石日周輪の形成リズムに対応する耳石小のう内リンパ液成分の日周期的変化. 95. 物が放出されており, それらが耳石有機基質前駆物質であることを示唆している もし これらの , . 物質の分泌 に日周期的な変化があるとするならば 小のう細胞が何らかの分泌物質を介して耳石の , 成長を調節している可能性が考えられる . 小のう細胞が耳石の成長を調節しているという考えは, 耳石の部位によっ て その成長率が異な , るという事実からも支持さ れる. 一般 に, 魚類の耳石は, 魚体の成長がすすむにつれ大型 になると ともに, しだいに偏平な形になる. 大型魚の耳石では, 成長する部位は縁辺部に限られ 耳石偏平 , 面の中央部では, 耳石成長はほとんど停止 しており, 日周輪の形成がみられない このような 成 , . 長率の差をもたらす機構が日周輪の形成にも関与して いる可能性が十分考えられる すなわち 耳 . , 石の前駆物質であるカ ルシウムや有機基質 の供給率が部位によっ て異なることは 内リ ンパ 液中に , おける, これらの物質の分布に何らかの濃度勾配があることを示唆している 本研究においては . , 内リンパ液全体のカルシウムおよび耳石有機基質前駆物質の濃度を測定しているが もしこのよう , な濃度勾配が, 内リンパ液全体において部分的で小さい範囲のものならば 仮にそ のような物質の , 濃度に日周変化があっ たとしても, 内リンパ液全体の濃度変化として は測定されないこと になる . 本研究の手法では, このような濃度勾配の存在を確認することはできないが 今後 組織化学的な , , 手法などにより, これら耳石前駆物質の内リ ンパ 液中における分布や小のう細胞からの分泌活性を 詳細に検討することが必要と思われる .. ま. と. め. ティ ラピア耳石の日周輪形成機構を明らか にするため ティ ラピア血清と小のう内リンパ 液の総 , カルシウム濃度, および内リンパ液 中の可溶性耳石有機基質の日周変化 について調べた 内リンパ . 液と血清のカ ルシウム濃度は, 互いに独立して変化していた 内リンパ液の総カルシウム濃度 に有 . 意な日周変化は認められたが, 耳石の成長が盛んな時間帯に むしろ低い値を示した また 耳石 , . , の成長が常に停止していると思われる絶食群において 内リ ンパ 液のカルシウム濃度 は 給餌群に , , 比べ,.有意に低かっ た. これらのことか ら 血清や内リ ンパ 液のカルシウム濃度 によって 耳石の , , 日周期的成長, すなわち日周 輪の形成が支配さ れている可能性は低 いと思われた さらに 免疫化 . , 学的手法により, 内リンパ液 中に耳石有機基質の前駆体と思われる多くの成分が検出された ことか ら, 小のう細胞が, 内リンパ液への耳石有機基質成分の分泌を介して 耳石の石灰化に関与してい , る可能性は示唆されたが, 内リンパ液 中の耳石有機基質成分 は個体差が大きく 有意な日周変化は , 認められなかっ た. 本研究においては, 耳石の日周期的成長 を調節し 日周輪の形成を支配してい , る要因を明らかにすることはできなかっ たが 絶食群において内リンパ液中の耳石有機基質成分に , 変化がみられたことから, 内リンパ 液の耳石有機基質成分が長期的な耳石の石灰化調節 に関与して いる可能性が示唆さ れた.. (17).

(11) . 96. 田 中 邦 明. 引用文献 i i terns i l ence i l th calpat sand per od ayer sh otol . 1) Pannel :Dai a ygrowthl ,173, 1124~1127 ,Sc ,G- ,1971 ,Fi. i l i ths i i sh oto t lars t tur onoff i ruc eand comPos ecu ch 2) Degens , , ,and 日aedr ,1969, Mol ,T, ,R,L ,Deuser ,W,G ,E B l 2 5 ′ ~ 1 1 3 M [ i 1 0 aF . . o. , ingof i i ths t tureofthe i l ionofAmer rotol luc sbasedonthes 3) Li termi canee nat ew,P.K‐L ,Age ‐ ,1974, Agede ) f i r s rey sh(Bagenal . ,Sur ,124~136 . ,Unwin Brothe ,T.B.eds l i th l i i l th N 1 9 8 t tur t Cmembraneandoto W b M d ruc eoftheoto l D G D ras t berger J 4)Dunke a a e e a n a n ,. , 0,Theu ,. . ,. . , ・ 6 7~3 7 7 h l 1 6 3 3 産 M E 〆 彰 姦 i す J l i o r o B の c 2 熔 ” 7 2 格 g p e mummi chog . l njuven . . , , , , i i l c t onsofthe organ croscopeobsewat ec ron mi 5) Watabe ,1982, Scalming e , Tanaka ,K.and YamadaJ. ,N. M B i Z L ) E 万 ‘ 幻 物 ( 鑑定 J o ” す ( L ) d x a r 庇解 れ α i h F 〆 謬 ゆ l tfs ““ i 熔 . an th ofthete 硲 〆 り ‐ eos . . l ntheotol ., ‐ p mathxi ′~134 Eco l . . ,58, 127. 6) 前掲書, 文献1) . i lrecords i lgrowthofaquat l i ta sms :bi ol ogi ca t tae corgan l temsinf e shsagi 7) Pannel a ,Ske ,Growthpat ,G. ,1980 ) i lchange (Rhoads s enum Pres ronmenta . ofenv . , NY,519~560 , New York ,P1 ,R.A.eds ,D.C.and Lutz i l rhythm i th M. 1981, Diuma Sh imi D G d otol M D k l b n W N D j z Y b i a n u t 8) Mug r r n e e e u e a n a a e g ya . . , , . , . . , , , , , , , 6 2 9 ′ ~ 6 i l 6 8 A 6 5 f i df f i ochen l sh ”sα”“のz熔 nat nthegol or I oni . .Physo‐ , , .Bi , Cαれ薦s , ComP. 9) 前掲書, 文献8) . ) 前掲書, 文献4) 1 0 ‐. i l bumi t f i oninthe i l l nf rac l i f i ioni iya ) Mug -m,SeasonaloccurrenceofaPrea 11 ‐ sh nf shandshe c cat ,Y- ,1964,Ca Soc heoto l i B l I format ioni th Jpn i d f d i h nt u i t e l i l dofsomef a ez o n n ot e e r o o o u thf c o r r e s o n sh q p p . . oto ui p g , , 0 ノ Y 6 7 3 9 5 5 9 F i h Sc i s . . ‐ , , i l temsofthe t t i l l f i tudy onpaPere cpat l i f i ioninf rophore iya ec ) Mug ‐V. A s 12 ‐ sh shandshe c cat ,Y. ,1966, Ca Sc i i h B I L f f l i hf l i d j i l i h i ive mat u pn l idesand PAS‐ id mucopo t eras nt eoto t u o some s, .Soc . . ac pos ysacchar 3 2 ′ ~ 2 9 Fi sh . , , 117 1 .. 13 ) 前掲書, 文献2) . 1 4 ) 前掲書, 文献4) .. i l i i thand imi f Vn t tweentheotol i tochemi f i l l l i i ioninf ar esbe iya s cals 15 ) Mug - shandshe ‐ sh c cat . Hi ,1968,Ca ,Y. i hformat l ionoff i f h i l t t i i h t t sh l t i o l e r e n c e o eo w s e c a r e era nbowt rout themacu usinjuveni p areg onofsaccul , , l Sc i Bu l Soc Jpn sh‐ . . . . .Fi ,34, 1096~1106. ) ) 前掲書, 文献12 1 6 .. i d l i f t tudy,on the ac i t i l l . i f i i ec cs isリ ー964, Ca rophore ) Kobayas 17 ‐ sh.L A paper e sh and she c cat on in f i B l l i l l J l i l f l i f h l d n i i i l ns s u t t s c e c e t t d dPAS ns o memo u a p l h i a a a u so ee x r p o s v em a e r a … P ‐ . mucopoysacc ar esan P , Sc i Soc shつ30, 893~907 . , .Fi. 0,ロケ ッ ト免疫電 気泳動法,電気泳動法のす べて,医歯薬 出版株 式会 社, )藤巻道男・加藤正俊・総荘和子,198 18 134 ′~138 .. ) 39~1 43 98 0 1 9 )河合式子・河合忠,1 . ,1 ,交差免疫電気泳動法,前掲書, 文献18 2 ) 2 0 )前掲書, 文献1 . 2 ) 21 )前掲書, 文献1 ‐. i lygrowthpat i ingonda t fec ernsin toper tsofPho iya J odandf eed 22 )Tanaka . , ,1981,Ef ,K‐ , Mug ,Y.and Yamada 9 9~4 6 6 B l l S 7 4 5 U i l l i thsofjuven sh u e で勧め彰 “効力節, Fi oto . . . ‐. , ,. 23 )前掲書, 文献8) ‐. iumconcen‐ l ium and magnes f f l l i . i i ioni i nca c i 24 )Mug ‐ nf shandshe shy, c cat ya . Seasonalchangei ,Yつ1966 ,Ca l i l i ionofthe f to th i t h spec i i lu idi ro ionsoftheotol thf erencetothezoneformat t alre nsomef sh . rat ,Bul ,wi i Jpn sh . ‐ Fi . . Soc . Sc , 32, 549~557 l ionto i i th l i l ium andtheotol at Y the c membraneinre i h S d d t tureofsaccu 25 )Sa J t to ,.an arep ras ruc ama a ‐ , , U1 A 肌 Z S 1 3 ) i h l i r f T l i C d 効 声 欄 / ) 0 i t c r り s c o c h i T i l i ( e m“ s 粥 l i h e c a c 硲 e e o s : w t t t だ 飾粥 o a o n aP , oo , . . . . , 08( gro , 223 ′~238 .. 8) (1.

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