• 検索結果がありません。

農村家族の民主化を促進せしめる要因と阻害する要因

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "農村家族の民主化を促進せしめる要因と阻害する要因"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 農村家族の民主化を促進せしめる要因と阻害する要因. Author(s). 北村, 達. Citation. 北海道学芸大学紀要. 第一部. B, 社会科学編, 12(1): 1-12. Issue Date. 1961-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/3810. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 第 12 巻 第 1 号. 北海道学芸大学紀要 (第一部B). 昭和36年8月. 農村家族の民主化を促進せしめる要因と 阻害 す る 要 因 北. 村. 達. 北海道学芸大学旭川分校社会学研究室. T6ru KiTAMURA ; Factors to Promote and check Democrat i ion o i 1y. f the Rura1 Fal zat ば l. 次. 目 は し が き 1 調査対象村落の一般的概況 虹 農村家族民主化を促進せしめる は. し. 旧. 要因 農村家族民主化を阻害する要因. あ. と. が. が. き. き. 都市社会, 農村社会を問わず家族は基礎 的, 第一次集団として大きな意義を有するが わが国 , の家族の形態, 機能, 家族員の意識, 家族内の人間関係は戦後急速に変化もしたが 反面変化の , 速度が極めて緩慢, 停滞的な面もある. 確かに制度的には民法が家父長中心の家族より 個人の , 尊厳と男女の平等を原理とする夫婦中心の家族を目ざして改正され 叉家族成員に対する民主教 , 育, マス・コミ ュニケーションの発達による新思想の流入等によ り 個人主義 自由主義 友愛 , , , 主義に基づく家 族への移行が期待きれた. その結果民主的な近代家族へと容易に変 質を遂げたも のもあるけれども, 依然として戦前の家族と変わ らないものもある. 叉変化の過程で混乱 葛藤 , している家族も みられる. それは家族の形態, 機能を変化させ 家族員の意識 行動を規制する , , 要因として, 経済的, 社会的条件が加わるからである. 特に家族の経済力の高低による 生活様式 の差異, 地域的な条件, 家族外社会との 関連において家族が規制されるからである. 従来一般に農村家族の民主化が遅れていた原因としては, 農村家族が農村社会の中枢的骨組を なし, その家族は現実に生活する家族をこえて過去より未 来につながる永続的なものと考えられ , 祖先伝来の土地, 家屋, 建物, 道具の継承が行われ, 叉過去より伝えられてきた生活様式が慣習 と して家族成員の意識及び行動を 規制していたからである. 現在も多かれ少かれその残津はみら れるし,.農村家族が生産集団として家 族経営的色彩の濃厚なる場合や 経済的貧困や 農村部落 , , の前近代性が家族の民主化を阻害 している原因となっているだろ う, 然し他方都市家族の近代化, 民主化を促進せしめている要因が農村家族の民主化のために機能 しているとも考えられる, 叉最近農村から都市へ の激しい人ロの流出による少 数家族の出現 賃金労働者雇傭や農業共同 , 化に伴なう農業経営の 改編, 農家所得増加等が家族の民主化, 近代化を促進させる要因となって いるだろう. このように変化の過程にあ る農村社会の中で, 農村家族の民主化を促進せしめてい る要因と阻害している要因を家族の内的及び外的側面より捉えようとするのが本 稿 の 目 的 で あ る. - 1 -.

(3) . 北. 1. 村. 達. 調査対象村落の一 般的概況. 1戸) と, 畑作酪農 調査対象村落として水田経営部落として最も富裕な東鷹栖村の誠正部落 (2 中心市街地に近 を選定した 誠正部落は東鷹栖 1 8 ) な稚内市上勇知第一部落 戸 ( 村として標準的 . k o mの交通至便の 接し, 市街地の東北方道路沿いに左右に整然と展開している. 旭川市の東北部1 地点にある, 当部落への入植は明治29年富山県人によって始められ, 明治期4戸, 大正期12戸, 昭和期5戸が入植した. 昭和期のうち4戸は分家であるから, 大正期において入植が完了してい る, 富山県出身18戸, 香川県2戸, 道内他村より1戸となっていて, 富山県人が主力 であるため, 彼等特有の刻苦, 精励, 勤勉な性格によって生産をあげてきた, 現在水田経営面積3町3反, 畑 作2反平均の稲作中心経営部落である. 土質が軟弱なため, 耕転機は2戸に入っているにすぎな いが, 蓄力用農機具及 び発動 機, 脱穀機, 調整機, カッター等の動力用農機具を各戸に所有し, . 昭和34年度の粗収入は平均約95万円 耕地は平坦で水利の便もよいので平均反収7~8俵をあげ, に達し, 一世帯の平均家族員が6 .1 ・人 であるから, 道内中央部でも最も富裕な部落に属する. k kmの勇知駅より北方2 m, 南 上勇知第一部落は稚内市の中心から南方22 .8 .5kmの地点より東西 1 k 0年ま で宗谷村に属していたので, 北2 mの 地帯に各戸が分散, 散居している部落である. 昭和3 現在稚内市に編入さ れているが, 未だに全戸無電燈の僻地部落である. この部落への入植は明治 4 3年に埼玉団体17戸が入植したが, 大正初期までの間に分解し, 現在このうち定住しているのは 0戸入植 してきたが, 青森, 岩手, 富山, 神奈川, 石川, 滋賀各県 僅か2戸である. 大正年代に1 ・全 からばらばら の個人入植の形をとっている. 戦後の入植開拓3戸を含めて18戸となっている. 体に丘 陵, 傾斜地帯で, 畑作耕地平均4町8反, 牧草地, 採草地4町5反, 山林, 原野, 放牧地 9町を所有 している. 主作は馬鈴薯, 麦類, ビ←トで, 家畜として馬平均24頭, 牛5頭, うち乳 牛3頭, 緬羊2 .8頭を所有する畑作, 酪農の混同経営を行っている. 然し経済的理由 で動力用農 機具は6割に, モーア, レーキ等の酪農経営に必要な農具は4割の農家に導入されているにすぎ ない. 年間粗収入は昭和34年で約70万円平均あるが, 一世帯家族構成員が平均7 .2人 で, 東鷹栖 より平均1 .1人多いに比して収入が少ないから, 経済的には前者よりかなり苦しいのが現状であ る.. この両部落の各戸の世帯主に対する面接調査の結果, 家族の民主化を促進 せしめている要因と 阻害している要因 を分析するが, 両部落に共通する要因の摘 出の外に, 明らかに経営方法や経済 的高低によって両者に差異のある場合はそ の都度指摘していきたい.. 農村家族民主化を促進せしめる要因 (1) 農業経営面よりの促進要因 農村家族が都市家族の如く単なる消 費集団でなく, 生産集団でもある事は, 家族内の日常消費 生活の外 に実際に農業経営が どのように行なわれているかは重要である. 叉新しい技術の採用, 農具の導入等も農業経営に関連するし, 労働力の賃的変化も問題である. これらに対する質問結 果は下記の如くである. (質問1) 毎日の農作業を 進めていく際に, 仕事の面で家族の人達と相談して行なっているか, 相 談 し て 行 な っ て い る. 39戸 (100%). (質問2) 農機具, 肥料農薬等の購 入の際は主として誰が決めますか, ①. 世 帯 主 が 一 人 で決 め る. 9 戸 (23%). ②. 7%) 7 世帯主が家族の者と相談して決める,30戸 (.

(4) . 農村家族の民主化を促進せしめる要因と阻害する要因. (質問3) 営農方針, 新しい農業技術の採用, 農具の買入れ等で青年達の意見が進歩 的と思わ れ る 場 合 に は ど う し ま す か.. ① ③. 4 1%) ⑨ 青年達の意見に従う. 16戸 ( 51%) 双方充分話合って決める. 20戸 (. これらの質問結果をみると第. 自分の意見を通す, 3戸・ (8%). に毎日の労働の差配区分等を戦前の家父長家族の如く戸主 或 は. た 世帯主は家族の中の誰かと相談しながら 家長が単独 でなす ・という現象は全くみられなくなっ . 仕事を進めている訳である. 相談相手として誰を選んでいるかを精査したところ妻が最も多く, 次いで妻と青年達, 妻と老父母の順になっている, 妻を除外している家族は全戸で4戸にすぎな い. 妻を単に労働力を提供するにす ぎない隷属者であるとする考えが殆ん どなくなった 事は, 妻 の地位の向上のために喜ぶべき現象である. 反面直系家族において老父母の経営に対する発言権 の後退も注目される. これは実際に額に汗して働らく者と若しY世代に経営権が移動してきて家族 の民主化にとって大きな役割を果しているといえよう, その例証として生産手段の購入決定も世帯主より妻や青年達を加えて行なう傾向にある, 叉最 近のように農業経営の科学化が進行し, 新しい農業技術が導入される時期においては, 青年達の 意見がどの程度尊重されるかは問題であるが, この点に関して子供達の意見を全面的に採用 して いこうとする親が4割に達し, 青年達の意見を無視しようとする親は僅か3人 のみであった. 後 者は経済的に高い東鷹栖で発見されたが, 彼等は明治期より刻苦精励して築いてきた伝統的な農 業経営を子供の代で新しく改編していく事を時略するからであろう. 然し全般的には青年達が現 実に新しい技術, 機械の操作をなし, 農業の近代化, 能率化を図っている段階では彼等の意見を 無視し得ない訳で, 親と子の話合いが常に行なわれる事によって経営民主化が進められっ. ある. と い え よ う.. 家族内の農業労働力の質的 変化も注日される, 現在東鷹栖では家族の稼働数が3 .2人, 上勇知 / / では3 2或は1 3の労 .3人となっているが, 主たる労働力は世帯主夫婦で, 直系家族では老父母が1 1人, 男子は農業継承者以外の次三男は僅か4人に 働を提供している. 青年達では女子が主体で2 すぎない, 数年前の如く次三男を長く滞留させていて, 分家に苦しむ事例は少くなった, 即ち農 業継承者以外の子供達を早くから他に転職させるとか, 教育しようとする計画化が進められてい る. 反面女子を無償労働力として釘づけにしておこうとする点は, 後述するように民主化阻害の 要 因 と な っ て い る.. 家族労働力の不足は自然季節労働者, 日雇労働者, 部落内の労働力交換によってカ バーされる 事になる, 東鷹栖では4月 から11月までの府県の季節労働者を雇傭している家族が7戸, 上勇知 では1戸あった. 日雇労働者は両部落38戸に雇傭され, 1戸平均48人, 日数で12日間であった. 賃金労働に代る部落内各戸の労働力交換は東鷹栖で6戸, 上勇知で9戸あった, 田植, 収穫時に 年平均10日間, 2~4軒間の近隣, 親戚間で行われる小規模のものであった. 農機具の共同化は 脱穀機, 米選機, 噴霧機等につき行われていたが, 両部落で5組で近隣, 本分家間の2~4戸単 位のものにすぎなかった, 農具の共同化は一般に消極的で, その理由として 「使用時期が重なる」 「農具の消耗が激しい」 「管理が無責任となる」 「運搬が不便である」 「農民の個人意識が強い」 「早場米奨励金が認められているので, 短時日に農機具と労力を集中しなければならない事」 を あげている. これらの農業経営法を通じていえる事は経済力の高さと個別企業化, 賃労働雇傭率 とは正比例の関係にある, 東鷹栖の如き富裕な部落では賃金労働者も年々増加し, 農機具の私有 による個別企業化が進められている. これに反し経済力の低い上勇知では経費節減のため労力及 - 3 -.

(5) . 北. 村. 達. ぴ農具の共同が行なわれている. 資本主義的企業家意識は必ずしも家族の民主化を促進さ せる要 因とはいえないが, 個人主義的, 合理主義的農民と して解放されている面からの民主化は進めら れてい る. (2) 消費生活面よりの促進要因 農村家族では家族成員 が同一の田畑で共同に 労働を提供している外に家族内を唯一の生活 の と りでとして生活 してい る場合が多い. 特に家族外での慰安娯楽のない地域では一層家 庭内生活の 比重が高まる. そのために経済面に秘密が保たれてい る事は家庭を暗くする が, 消費生活はどの ように変化してきているかを次の質問によって調査 した. (質問4) 一年間の収入, 支出を家族の中で働いている人全部に知らせていますか. ①. 全 部 の 者 に 知 ら せ て い る. 32戸 (82%). ⑨. 10%) 一 部 の 者 に 知 ら せ て い る, 4戸 (. ③. 全 然 知 ら せ て い な い,. 3戸 (8 %). (質問5) 家庭では家計簿を明細につけて計画的にやっていますか. ①. 計 画 的 に 実 行 して い る. 23戸 (59%). ⑨. (質問6) 日常生活品の購入は 主に誰がしますか. 25%) ② 夫 10人 ( 36%) ① 妻14人 ( ④. 母3人 (8%). ⑤. 実 行 して い な い16戸 (41%). ⑤. 18%) 夫妻共同7人 (. 13%) その他5人 (. 一年間の収入, 支出, 預貯金, 借金等の各戸における財政状況は, 実際に労働に参加した者に とっては極めて関 心がもたれるが, 調査の結果 では全員に知らせている比率が高まり8割を超え ていた. その理由として 「将来の営農計画をスム ースに行なうためによい」 「共同に働いている のだから一人だけが知っているのはよくない」 「内々の事は正直に知らせておくのがよい」「働ら いて得た収 益は皆のものだから皆で使うようにするために」「仕事に 励みをもたせるために」 「家 庭の経済生活を円滑に行なうために」 「家庭内の円満を図っていく ために」 をあげていた, 曽っ て家長のみが一家の経済を独占していた形は大きく変化 している. 即ち共同であ げた収入なのだ から共同で使用すべきであるという 意識が家族の者に芽生えて きた. 収益も負債も公開して全員 で負担するという態度は家 族内の人間関係をスムースにする事になり, 家族の民主化を急速に促 進 せ し め て い る と い え る.. 毎日の収入, 支出を明細に記入 して月毎或は年毎の反省資料とする事は多忙な農 家にとって面 倒な事であるが, この点に関する経済の計画化も約6割の農家に行なわれていた. 日常生活品の 購入は部落内に商店のない場 合には, 主として世帯主, 男性の役割とされるが, 両部落では妻及 び夫妻共同の役割に移行している. 特に各種専門商店の集っている市街 地に近接している誠正部 落では, 夫は市街地まで週平均3~4回, 妻は2回 出掛けているので, 殆んど妻が消費物資の購 1 1の地点にある上勇知 部落では, 夫が週3~4回市街地 入をな している. 勇知市街地まで3~5鰻 まで出掛ける が, 妻は約1回にすぎないから, ここでは夫その他の者が購入している比率が粕々 高くなって いる. 市街地より上級の都市たる旭川市へは東鷹栖で夫は月 平均2回, 妻は1回, 上 勇知では稚 内市へ夫は月 2回, 妻は2ヶ月 に1回出掛けている. ここでは第二次, 第三次商品を / 3程度ではあるが, 妻が全く 購入している. 妻が市街地或は都市 へ出掛ける回数は夫の半分或は1 家庭内に閉じ込められる事はなく, 家庭外への開放を 通じて除々に民主化が進められ て き て い る.. (3) 親子関係よりの促 進要因 - 4 -.

(6) . 農村家族の民主化を促進せしめる要因と阻害する要因. 戦前の農村家族の特色として夫婦関係よ りも親子関係が重視され, 子供達の取扱いにおいても, 長男をあととりとして尊重し, 次三男をあととりに対する用心棒或は支柱とし, 女子は家の血統 ) 子供達に対する差別待遇は未だ相続面や 労働 から排除される売物的存在と考えられてい た1 . , 面に表われていて, これは民主化阻害の要因として第三節において述べるが, ここでは家庭内の 日常的接触, 家 庭教育, 結婚に対する親の態度等について, 親子関係の民主化を 促進せしめてい る要因を分析していく, 次の4問に対する調査結果は下記の如くである. (質問7) 家庭内では長男を特に他の子供達より大事にしていますか. ①. 差 別 な しに 平 等 に 接 して い る, 36戸 (92%). ③. 長 男 を 大 事 に して い る. 3 戸 (8 %). (質問8) 家庭内で農業を受け継 ぐ者以外の男子を どのように育て ①. 高校以上の教育を受けさせる. 2 8戸 ( 71%). ②. 手 職 を つ け て や る. 8 戸 (21%). いく積りですか.. 土地を与えて分家させる. 3戸 (8%) (質問9) 家庭内で子供達の学習を指導 していますか. (学童のいる家庭のみ) ⑧ ①. 指 導 して い る. 22戸 (72%). ⑨. 指 導 して い な い. 9 戸 (28%). (質問10 ) 息子の結婚の際, その相手が親の気にいらない場合どうしますか. ① 本人の意志に従う.30戸 ( 77%) ⑨ 双方で話合ってみる, 7戸 ( 18%) ③. 親 の 意 志 に 従 わ せ る. 2 戸 (5 %). 親子間の接触で長男を特別扱いにしているのは東鷹栖にのみ3 戸みられた. 即ち 「長男をあと とりとして絶えず健康に注意して育て. いる. よい衣服を買い与える事」 等であった. 経済的に 高い所に却って古 い慣習が固定化している. 然し全般的にみて親は凡て の子に平等に接していた ので, 親の子に対する差別感は殆んど薄れているといってよい. 既に述べた如く家族労 働力の特 質として男子の数が減少してきたが, 親達が農業継承者以外の男子に対しては, 高校以上の教育 を強く希望していた. 教育面では経済的に余裕のある東鷹栖では1戸を除いて凡て高校か大学 へ の進学を希望していた, 次三男に与える耕地もなく, 例えあっても多額の出費になるので それ , よりも教育を投資と考え, 高い教育を受けさせて他の職業へ就職させようとしている. 教育出来 ない場合は職業訓練所にでも入所させて手職をつけさせようとしているのも注目される, 土地を 与えて分家させようとするのが上勇知に3戸あったが, 未墾地が未だ残されている地域的条件を 反映している. この質問結果から男の子に対する計画的育成は子供達自身にはっきりした目標を もたせる事になり, 家族の民主化に プラスしている, 子供達に対する毎日の学習については指導している家庭が増加 しているが, この点は明らかに 経済状態を反映している. 労働力に余裕あり機械化されている富農層では毎日子供達の勉学を指 導しているが, 経済的に苦しく多忙に追われている下層農では全然誰も指導していない. これは 東鷹栖の3戸, 上勇知の6戸にみられた. 然し子供達に対する学習指導の必要を認めていこうと する比率は高ま ってきている, 実際に家庭内で指導している者は妻が最も多く1 0人, 次いで兄弟 の6人, 夫4人となっている. 夫妻共に生産に従事し, 妻はその外に家事労働があり, 更に子供 の学習指導であるから, 夫婦間における労働面の不平等は免れない. 次に息子の配偶者に対する親の態度であるが, 従来農家の親達はよく 働らき, よく親に仕える 配偶者を望んだので, 子供と意見が ・対立した. 然し調査の結果では子供の結婚の配偶者が親の気 に入らない場合でも, 本人の意志に従おうとする意識が強く, 「本人が結婚するのだから 親が , - 5 ー.

(7) . 北. 達. ,村. 色々文句を言っても しょうがない」 と割り切っていた, 結婚は当事者本人の意志が尊重されるべ まつきりした意識を親 達がもった事は親子間の民主化を前進せしめて いる, きであるというむ (4) 夫婦関係よりの促進要因 を進め, 生産手段の購 一の相談相手として仕事● 夫婦 関係の面からは既に農業経営上夫は妻を第・ 消費物資の購入決 定権を 入には妻の意見を採り入れ, 消費面では一家の収入, 支出を明確にし, もたせる点で平等民 主化が進んできている点についてふれてきた. 従ってここでは家族計画と食 事の面だけから促進化要因を探ってみる. ) 最近家族計画, 産児制限が盛んに言われていますが実行していますか. (質問11. (産制を必. 要 と す る 家 庭 の み) ①. 実 行 して い る. 27戸 (82%). ②. 実 行 して い な い, 6 戸 (18%). ) 食事の事ですが, 夕飯に父叉は夫に特別に副食物がついたり, 榊がつきますか. (質問12 ①. つ く. 5 戸 (13%). ②. つ か な い. 34戸 (87%). 農村家族では子供は農 業経営上欠く事の出来ない労働力として, 叉家業を継承していくために 多数の子 供達が作られてきた. 現在他出者を除いて家族 構成は東鷹栖6 .2で, 全国 .1人, 上勇知7 6年頃より始まる全国的な産制運動, 家族計画の風潮 農家平均6 ,0人を上廻っている. 然し昭和2 が農村にも侵透してきている. 現在両部落の家族 で産制を必要とする夫婦の産制実行率は8割を 超えている. その理由として圧倒的に 「経済的にもっと楽をしたい」 「生活苦を解消 したい」 事 をあげている. 経済的に苦しい上勇知 の方がはっきりしてい た. 経済的理由に附随して 「子供が 多ければ充分に教育も出来ない」 分家も不可能である. 財産分割が 出来ないという理由をあげて いる. 要するに子供を投資だとする考え方から転換して子供自身の 幸福を願って家族計画を行な っている. 叉母 体保護の理由もあげられていたが, これは従来の農家 の母親が過重労働と多子出 産によって母体を痛めつけて早く老衰する事を避けようとするのだろう. このように家族計画の 推進は一家の経済の向上, 子供自身の幸福に寄与すると共に妻の地位向上のため大きな役割 を果 している訳で, 家族の民主化, 近代化を進めている. 只子供の希望数の調査結果からは後述する ように少数家族への移行は不可能で, 都市近代家族と同等には考えられない. 次に食事についてであ るが, 従来農家 では家族全員が平等に労働力を提供しているに拘らず, 夫叉は父のみに特別の副食がつい たり酒がついた. 叉彼等が外の宴会に出る時は妻や母は殊 更粗 食に甘んじていた. 客を接待した時にも彼女達は只茶の間と台所の間をこまねずみのように働ら ,った. このような不 かされるのみであった. 妻や母が若くから老けこみ栄養失調状態になって終 で明らかで, この 調査の結果 平等が完全に解消さ れたとは言えない が, 平等化の傾向にある事は 面からも 民主化は促進されている. (5) 嫁姑関係よりの促進要因 農村家族の構造として 老父母と若夫婦との同居家族が北海道の農家においても増加しっ } あ る 事は後で述べる如く であるが, 農村社会では老父母が若夫婦と異なった職業に就き別居する事は 不可能であり, 叉老父母と若夫婦が別々に 財産を所有し, 貯蓄する事も事 実上不可能である. 夫 婦も父母も同じ田畑で共通の仕事に従事し, 家族内でも毎日顔を突 き合せて接触していかねばな らない. 自然に血のつながりのない嫁と姑間に葛藤がみられ る事になる. 大羽氏は嫁姑間葛藤の 原因として, 嫁は婚家に とって異分子である, 従って嫁を婚家の生活慣習に馴致するために監視, 訓練する事, 嫁姑間では嫉妬や競争意識が起る事, 家庭内の責任の分担, 労働の分担が不明瞭な 多かれ少かれ発見され, 家 i 事をあげている2 . このような葛藤原因は 都市, 農村家族を問わず, - 6 -.

(8) . 農村家族の民主化を促進せしめる要因と阻害する要因. 族の民主化を阻害している. 然し両部落における調査結果では意外に老父母側の発言権が後退し て い た.. ・ (質問13 ) ・嫁姑の同居家族に対して. 嫁 と 姑 と が 仲 た が い した 時 に は, どち ら が 折 れ て い ま す か. 姑. 9 戸 (41%). ①. 嫁. 4 戸 (18%). ③. 41%) 双方話合いで譲り合う. 9戸 (. ・②. ・ 嫁 姑 同 居 して い な い 家 族 に 対 して. と 思 い ま す か. 嫁 と 姉 と が 仲 た が い した 時 は, どち ら か 折 れ る べ き, ②. 姑. 4 戸 (24%). ①. 嫁. 4 戸 (24%). ③. 54%) 双方話合いで譲り合う べきである. 9戸 (. 調査事例が少ないのではっきり断定的結論を下す事は出来ない が, 葛藤が日常の家事や, 嫁姑 の競争意識によって起った場合, 姑が折れていると答えた者が4割に達する. その理由として「時 代が変わったのだから年寄りが引っ込む べきである」 「凡て若い人に任せる時代だから」「昔の事 を 若 い 人 に 押 しつ け て も しょ う が な い か ら」 「老 い て は 子 に 従 う べ き で あ る か ら」 と明 瞭に世代 間の差異による思想的 づれを認めて, 老人が引き下がっている. 第二の理由として 「老人は先が 短かいのだから若い者に心配をかけたくない」 「姑は若い人の世話になる立場にあるのだ か ら」 という現実的な理由をあげていた. これに反して, 嫁が折れている. 折れる べきである, という 側は, 「嫁が折れると万事うまくいく」 「家庭内が円満になるから」 「年を取った上の者を 立 て るのが当然であるから」 と老人尊重の立場に立っていた. 然し全体を通じて嫁姑双方が相互に話 合って譲り合っている. 譲り合うべきであると主張する者が最も多かった. この立場では何れか 一方が権利を主張したり, 自己主張が強く ては結局しこりが残る. 叉 どちらかが家庭内で実権を 掌握しようとすれば 更に争いが激化する. それよりも双方で話合って互いに譲り合い, 忍耐, 辛 棒した方が円満にいくと考えている, このような考え方は戦前の生活慣習の踏襲でなく, 却って 最近の強い自己主張と極端なる個人主義化にブ レーキをかけるものして, 家族の民主化のために プ ラ ス す る と い え る だ ろ う,. (6) 家 族外の促 進要因 家族外の民主化促進要因としてマス・メ ディアの侵透をあげねばならない. 現代はマス・コミ 社会といわれる程, 人間はマス・メディアとの接触なしには一日も生活出来ない時代に到来して いるが, 農村では都市に比 して遥かに侵透度が低い. 最近の都市社会の如く, マス・コミの渦の 中 に あ っ て, バ ー ス ナ ル な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 失 な わ れ て い く 事 は 問 題 で あ る が, 僻 村 の 如 く 地 社 会 で は, 却 バ ー ス ナ ル な コミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 優 越 して, マ ス ・ コ ミ .か ら 遮 断き れ て い る 僻 っ て マ ス ・ コミ の 速 か な る 侵 透 が 望ま しい.. 調査部落に対するマス・メ ディ アの接触率をみてみよう. 先ず新聞は東鷹栖 で1戸, 上勇知で 4戸に全然入っていない. 然し2部購読戸数が11戸あるので, 平均では1 ,2部入っている. ラジ オは両部落ともに有線放送による聴取可能である. 聴取時間は年間農繁期, 農閑期によって異な るが, 平均1日4~6時間である. テレビが入っていない上勇知のほうが聴取時間が長い. テレ ビは東鷹栖で全戸の6割に入っている. 経済的に裕福であり, 3局聴視可能であるから, やがて 全戸に取付けられるだろう. 無電燈の上勇知には当分聴視は困難である. テレビが放送と映画の 役割を兼ねているので, 農村では慰安娯楽的機能として大きな意義を有し, 教養獲得の面 でも プ ラスになり, 都会人と農民との知性の差は縮少されてきている. ー 7.

(9) . 北. 村. 達. 雑誌は 「家の光」 が両部落全戸の8割に読まれている. その他 「農家の友」 「デリーマン」「地 上」 「農業北海道」 「農業世界」 の農業関係雑誌が比較的に高い. 農業技術の科学化, 近代化は これらの雑誌の購読によって促進されるだろう. 都市に氾濫している週刊雑誌では 「ス ポ←ッ」 「サンケイ」「サンデー毎日」 が読まれていた. 叉月刊雑誌では 「平凡」 「明星」 「婦人クラ ブ」 が読まれている, これら雑誌の平均は1 .6冊となっている. この程度ではマス・メディアの接触 率が都市よりは低いであろう. 然 し筆者が調査した美深町報徳部落の僻村では (昭和34年度調査) 新聞購読戸数が6割にすぎず, 雑誌購読部数が0 .8冊平均に比較すれば高率となっている. それ だけに年毎にマス・メディアの接触率が高まってきているので, 新しい知識の注入, 新しい生活 様式の採用も推進され, 農村家族の民主化促進要因と してマス・コミ の威力を無視出来ない段階 に到達していると言えるだろう. 次に生活改善の面から民主化促進要因を探ってみよう. 従来一般に農村家族では経済的収入の 低いに拘らず, 冠婚葬祭時に無駄な出費がなされたり, 農機具購入, 畜舎改築に多額な出費をな すのに比較して, 住宅改築や台所改善等は見捨てられ勝ちであった. 調査部落で上勇知において は各種の集会, 行事, 宴会が実行組合集会所で催されるので, 各戸で接待し合う風習は殆んどな くなっている. 然し住宅の改築は経済的理由で3割の農家に行なわれているにすぎない. 東鷹栖 では冠婚葬祭時の出費と して, 葬儀は 1 0円と一律に取り定めをし 00円, 婚礼は 300円, 出産は5 て無駄を排除している. 叉寄付金は部落2 1戸をA, B, Cの階層3段階に区分 しておき, Aは10 , Bは7, Cは5の割合に応じて合理的に出費する事にしている. 叉年数回営養料理講習会を開き 食生活の改善も行なわれて, 消費生活面における合理化が図られてきている. このような生活改 善運動の推進は家族員に合理主義的意識をもたせる事により, 新しい生活様式を導入 しっ ある 訳で, 家族の民主化を促進するものといえるだろう. m. 農村家族民主化を阻害する要因. (1) 家族構造よりの阻害要因 家族の形態をどのように類別するかは学者によって異なるが, マー ドックは核心家族 (一夫婦 とその未成年の子女よりなる) 拡大家族 (核心家族が縦形的に複合するもの) 複婚家族 (家族が ) 、山教授は夫婦 家族 (夫婦と未成年の子女よりなる) j 横形的に複合するもの) に分類している3 .′ 直系家族 (家系の存続を中心として家系の継承者及びその未成年の子女よるなる) 傍系家族 (相 } 家族構造の分析において夫婦家族と直 続者以外に成年の傍系者を含むもの) に分類 している4 . 系家族との二大別 でも足りるが, わが国の家族ではこれらの家族の 中に成年の傍系親だけでなく, 未成年その他の傍 系者を含む場合も多いので, 私は夫婦家族, 傍系包含夫婦家族, 直系家族, 傍 系包含直系家族の四つの型に分類した. これによって調査部落の家族を類別すると下記の如くで あ る.. 3戸 (8%). 35%) 夫婦家族 14戸 (. 傍系包含夫婦家族. 直系家族 12戸 ( 31%). 26%) 傍系包含直系家族 10戸 (. と なィ )て い る.. 家族の類型が夫婦家族型, 直系家族型の差異によって必ずしも家族意識が近代的, 伝統的意識 が明瞭に表われていない点については, 小山教授の大丹波, 拍江, 戸山地区の調査によって明ら ) かにされている5 . 然し直系家族や傍系親を含む傍系的直系家族の場合には, 単純なる夫婦家族 の場合と違って, 愛情の自然的交流が妨げられ, 家族相互間に気がねの感情が生まれる. 嫁姑間, - 8 -.

(10) . 農村家族の民主化を促進せしめる要因と阻害する要因. 嫁小姑間の葛藤も親子, 夫婦間の葛藤とは異なって長く尾を引く場合が多い. 既に述べた如く嫁 姑関係で葛藤ある場合に老人の 発言権は後退 して きているとはい ・え, 他面 「嫁は老父母を尊敬 し て, 常に折れるべきである」 と言う考え方も家族の民主化を阻む要因となっているのである. 叉直系家族において経営面の実権は老父母より若夫婦へと移行し てきたが, 財布の紐は70才を , すぎて足腰立たなくなるまで若夫婦に渡さないという者が6割以上を占めていたので, 生活全般 の切り廻しは簡単に若い世代へ移行しない. 開拓当初においては大部分が夫婦家族の形態をとっていたのであるが,.事実上老父母が別居独 立して経営及び消費する事が不可能なため, 夫婦家族より直系家族の比率が高まったといってよ い, 従って現在分家して夫婦家族の形態にあってもやがて直系家族へ推移していくであろう. 叉 傍系包含夫婦家族, 直系家族にあっては, 傍系者が主要な労働力となつてはいるが, 彼等を教育 し, 結婚させるために要する金銭的負担も ,く, 夫婦家族の場合よりは遥かに経済的圧迫とな ,大き って, 家族の近代化民主化を妨げる要因となるであろう. (2) 相続の面よりの阻害要因 .農具等の生産手段が底礎されているので 家業を簡単に放棄 農村家族においては土地, 家屋, , 出来ず, 誰か一人によって継承していかねばな らないので , 民法の規定する均分相続は事実上不 可能となっている. 単独相続に際 しても充分なる貯蓄や財産でもあれば, それを農業継承者以外 ・ 実際には困難である 将来の相続について両部落にお の者に平等に分与する事も可能であるが, . いてどのように考えているかについて質問した結果は下 記の如くである. (質問14 ) 土地, 家屋, 農具等の財産相続について, どのように考えていますか. ① .長男へ単独相続 したい. 2 8戸 (72%) ② 長男でなくても農業をやっていく者に単独相続したい. 11戸 ( 2 8%) ③ 子供達全部へ均分相続したい。 0 調査の結果では長男への単独相続希望が7割に達している. この点では親の子供達に対する日 常的接触においては殆んど差別がみられないに拘らず, 相続面においては 明らかに長男偏重意識 が表われてきている, これは長男は家を守 り, 家の存続発展者であり, 親の扶養をなすべき者で あるという考え方をしているといえよう. そのために長男は幼少時から家業を見習い, 農業を習 得させようとしている. このような意識が働らいて長男を家族内に釘づけようとする限り家族の 民主化は望まれないであろう. 単独相続の比率 が高いが, その場合他の子供達はどのよう に補償 されるかについて男女別に質問した結果は両部落の経済力の差を反映していた, 即ち男子に対しては東鷹栖では8割まで高校或は大学への進学 を希望していたが, 上勇知では 約5割の者が高校教育を希望し, 大学への進学希望は僅か2戸にすぎなかった. 女子に対しては 高校への進学希望者東鷹栖で7戸 ( 33%) 11%) で, 極めて低率であった, 女の , 上勇知で2戸 ( 子は何れ家族から排除されていく者だから, 義務教育で終らせ, 結婚まで親の手許において主要 な労働力と・して家業に寄与させる意識で臨 ,んでいる. 然し彼女達を全く無償で使おうとするので なく, 冬は洋和裁学校に通学させ, 結婚の時には嫁入道具でカバーしようとしている. 然 しこの 場合も保護と奉仕との関係であって合理的とはいえない. 従って農家では女の子と して生まれた 場合には, 教育面, 財産相続面の不利は免れず, 家族民主化のがんとなっている, (3) 消費生活よりの阻害要因 消費生活の面より年間の収入, 支出を家族の全員に知らせる事, 家計簿の記帖による生活の計 画化, 日用品購入等での民主化, 近代化促進要因は既に述べたが, ここでは民主化阻害の要因に.

(11) . 北. 村. 達. ついてふれる. (質問15) 毎月 の家計の経費のために月・ぎめで, 金を妻に渡していますか. 3戸 ( 59%) ⑨ その都度渡している. 2 38%) ① 月 ぎめで渡している. 15戸 ( 全然渡していない. 1戸 (3%) (質問16 ) 農業労働に従事 している青年達に毎月或は毎年一定の報酬を与えていますか.(青年 ⑨. 達のいる家庭のみ) ① ②. 16%) 一定の報酬を与えている. 4戸 ( 48%) 現在は与えていないが将来は与えたい. 12戸 (. 36%) 将来も与える必要ない. 9戸 ( 調査結果によれば毎月 の家計費として妻に定まった額を渡している家庭は漸次増加してき て い ⑨. るが, 比率的には入用の都度必要な額だけ渡しているのが多い. 特に注目されるのは経済的に余 い事である. 裕もあり, 預貯金もある東鷹栖において, 毎月 定額渡しているの が僅か6戸にす ぎな, 「 その理由を聴いてみると 「月毎に入用な金が変動する」 「毎月 定収入がない」 昔から の慣習上 変えられない」 「計画が崩れ易い」 「妻に家計菜配の能力ない」 事をあげている. 確かに農家は 給料生活者と異なって毎月 の定収入がなく, 秋一回の収穫時の収入に頗る事が多い. 然しそのた めに毎月 の家計費を不定にしておく事は, 切角家計簿の記帖が進められ, 妻が計画的な生活設計 をなそぅとしても無駄になってしまう. 妻を消費生活の責任者と して位置づけ, 定額の範囲内で 生活設計させようとする点での民主化は進んでない. 妻を能力なしときめっけて夫叉は父 が財布 の紐を握っているが, 東鷹栖で14戸あったが, これは年間あげた収入は家族全員の労働に依存 し ている事を無視しているもので, 家族民主化への道は程遠いと言わねばならない. 叉一般に財布 の紐が老父母から若夫婦へ移行するのも老父母が70才を過ぎて足腰立たなくなる時まで延 ばさ れ ている現象も, 却って若しY世代の者にとって責任負担 がなく気楽であるともいえる が, 家族民主 化にとって問題である. これに反して経済的に低い上勇知部落の一部で月給制が採用されている のは好ま しい. この部落の8戸では毎年秋家族の収入に応じて農協へ貯金 しておき, 毎月 1万5 千円~3万5千円を家計費と して妻に渡している. か>る形式が農村家族全般に普遍化していく 事が民主化にとって肝要である. {について 次に青年達を主要な労働力として 使用 している家族につい て 青年の労働に対する報酬 雇いに対し 調査したところ, 定収入を与えているのは僅か4戸にす ぎない. 毎年府県からの季節 ては, 食事付きで毎月 7千円乃至1万円の賃金を支払っているし, 町へ就職 した青年達には月給 が与えられているに拘らず, 農家に留まっている同じ世代の青年達 だけが無償である事には, 青 年達にとって大きな不平, 不満となっている. 親達の側からは, 「長男には何れ財産が相続され る」 「次三男には分家の時に多額 の出費が要る」「女の子には結婚の際には嫁入道具として金がか る し, 冬は洋和裁学校 へ通学させて面倒をみてい る」 ので不当な待遇を していないと言ってい るが, このような労働関係は保護と奉仕との関係以上のものでなく合理的とはいえない, 青年達 は洋和裁学校へ通学するにも 分家するにも毎月或 は毎年働いて得た自分達の収入で行なうのだと いう意欲に燃えているの で, この点で未だ親子関係の民主化は阻害されてい よう. 只親達も近い 将来月給制を採用 していきたいと考えている事に若干の希望がつながれるだろう. (4) 子供の希望数よりの阻害要因 家族の平均世帯人員数が府県農家より上廻っている点については既に述 べた. そのため多子と 貧困の悪循還をさけるために産制実行率が高まっている点が, 農村家族の民主化を促進させる有 - 10 -.

(12) . 農村家族の民主化を促進せしめる要因と阻害する要因. 力な要因となっている事に ついても前項で述べて きた. 然し子供を何人までで制限 し 家族計画 , を行なうかは, 将来の家族構成を規定していく上に重要である. 即ち子供の数が依然と して多け れば, 子供達の教育, 就職, 分家の面で苦しみ, 子供達の希望を満たす事が出来ず, 犠牲になる 子供も出来て, 子供達に対する平等民主化は望 み得ない. 現在の子供数の如何に拘らず‐ 望ま し い子供の数を質問した結果は下記の如くである. 尚現在子供数と小山教授の調査結果も比較 して ) み た6 .. 7 (質問1 ) これからの農家では, 子供は何人 位が最も適当と思います か. ①. 2 人. 1 戸 (3 %). ④. 5 人, 8 戸 (21%) 区. 分. 現在(子の数) 将来(望ましい子の数). ②. 3 人. 18戸 (46%). 大丹波 拍 江 (農林) (農) 4.09人 3.58人. 4.40人 3 .56人. ③. 4 人, 12戸 (30%). (非農). 東鷹栖 上勇知. 2 .15人 2 .89人. 4.53人 3,69人. 戸. 山. (注) 現在の子の数の中には他出者及び死亡者も含む,. これによると現在の世帯主が平均何人の子を作 ったかでは 調査部落の平均は4 5 , . 3人で小山教 授の調査の何れよ りも多くなっている, 特に非農業者で戸山アパート居住者の215人に比較すれ . ば2人以上も多く なっている, これは子供達が労働力として必要であるとともに家業の継承者と しても欠くべからざる存在者とな っていたからである, 将来何人の子供を希望するかについては 3人が最も多く, 次いで4人, 5人の順となっている. ここでも府県の農村よ り多人数の子を希 望していたが, この点は経済的に道内の農村が府県よ り余裕があって 子供による圧迫を強く感 , じていないとも考えられる. 然し4, 5人の子を平等 に能力に応じて教育出来るかという点にな る と 問 題 で あ る.. 次に子の数と関連 して性の問題である. 何人の子を男女どのような組合せによってもちたいと 考えているかに対して, 3人, 5人の子を希望する者は例外なしに男2人女1人 男3人女2人 , , の組合せを希望 し, 男女同数を遥かに上廻っていた. これは小山教授の農家 非農家に対する調 , ) 特に戸山アパート居住者においても半数以上が男子を多く望んでい 査においても同様である7 . る事は注目される, これは日本人が 潜在的に男の子に対する期待が大きく 男女差別意識が強い , 訳で家族民主化にマイ ナスとなるだろう. 調査部落において男子を多く希望する理由として 「男 子は家業の継承者として必要である」「女子だけなら養子を迎えるのが面倒である」「毎日の相談相 手として男の子のほうがよい. 特に親に事故あった場合に 頼りになるのは男の子である」 をあ , げていた, このような意識が親に働いている限 り 農家では女の子に生ま れた場合運命的によそ , 者扱いを受ける訳で, 民主化阻害の要因となろう, 第2節で述べた如く 日常的接触において殆 , んど差別待遇はなくなっているにしても, 将来の教育 相続面で低い地位に甘んじなければなら , な い であ ろ う,. (5) 家族外の阻害要因 家族成員の意識及び行動は家族のあり方, 家族内の人間関係によって規制される 外 , 部落内に 累積されている集団によ っても規制される. 一般に各種集団の累積により共同意識内容の統一 性 がみられると村 落共 同体を形成する. 然し他方村落 共 同体的性格は都市的なものの侵透によって 衰退してきている. 上勇知部落においては各戸が散居分散しているので 部落的 近隣的集団の , , 圧力による部落民に対する強制は殆んどない. 叉部落常会, 実行組合会議も民主的に運営され , 各個人は自由, 活溌に自己の意見を表明出来る. それだけ部落民がばらばらで 纏ま りが悪いと , - 11 -.

(13) . 北. 達. ,村. いう欠点もある. 然し東鷹栖では21戸が道路沿いに隣合って居住する集村型をとって いる. それ だけ血縁, 姻戚, 近隣集団よりの圧力も強い. 農民に対し, 「新 しい技術や農機具の導入, 高価 品の購入, 生活改善実施等において, 親戚や近隣の 関係や均合い, 部落の立場等の事情で出来な かった事がありますか」 と質問した結果j 6割の者 が 「出来なかった事がある」 と答えていた. 例えば 「大農具を購入したい」 「耕うん機を入れたい」 「ブロックの家を建てたい」 「冷蔵庫を 購入したい」 「テ レビを入れたい」 「婚礼, 法要を簡素化 したい」 と思っていても, 「本家で購 入していないから, 本家の手前遠慮する」 「実家でも簡素化していない婚礼を婚 家で実行出来な い」 「部落の均合いを考慮 して家屋の新築は見 合わせる」 等である. その結果農業経営が能率化 しない. 台所が便利に改善さ れない, 薄暗い生活から脱却出来ない. 婚礼, 法要に多額の出費が 嵩む事になっている, これらの現象 が残っている限り, 農家が経 済的に恵まれてきても, 日常生 活は依然として古い生活慣習の レールの上を走っていて, 快適な生活環境 は望まれず, 民主化を 阻-害 す る 要 因 と な っ て い る の で あ る, あ. と. が. き. 以上によって最近の農村家族の民主化, 近代化を促進する要因と阻害する要因とについてふれ ‐が明 てきたが, 民主化促進要因が 阻害要因より数多く発見された、 これは北海道農村家 族の定着 治以降で, 現在2代 目, 3代日で, 歴史的に新しいため, 戦後の諸変化に比較的スム←スに適応 し得た事, 府県農家より耕 地が広く, 経済的逼 迫感もない事も原因とな ろう. 叉調査に表われて いなかったが, 青年達の意識及び行動の変化も民主化, 近代化促進要因となっている. 経済的に 高い東鷹栖誠正部落では経営 が個別的企業化する事により, 資本 主義的農民と して育成されっ ある. 然 し経済的に富裕な東鷹栖において, 家族の民主化がより進んでいるとはいえない. 却っ て上勇知 で真の平等民主化が図られている面もあった. その点で経済的下部構造が鋭く家族成員 の意識及 び行動を規制するとはいえない. 家族民主化阻害 の要因として, 家族構造, 相続, 消費生活, 部落的圧力の面から指摘 してきた が, これらの要因は農村 家族が部落に定住して累代的性格を有 し, 生産集団として家族労働力に (1961. 5 , 15). 依 存 す る 限 り 残 存 す る で あ ろ う.. 註 1 ) 2 ) 3 ) 4 ) 5 ) 6 ) 7 ). 福武 直, 「日本の農村社会」107一108頁 三 1一123頁 兼子i 者編, 「家族の人間関係」12 i G. P. Murdock ructure aISt ,Soc ,pp 3-4 小山 隆, 「現代家族講座第1巻」13一14頁 小山 隆, 「現代家族の研究」72頁 小山 隆, 「前掲書」97頁 小山 隆, 「前掲書」 98頁. 附記. この論文は昭和35年度北海道科学研究費による研究で, 蒐集した調査資料は紙数の都合. 上一部削除した.. - 12.

(14)

参照

関連したドキュメント

の変化は空間的に滑らかである」という仮定に基づいて おり,任意の画素と隣接する画素のフローの差分が小さ くなるまで推定を何回も繰り返す必要がある

狭さが、取り違えの要因となっており、笑話の内容にあわせて、笑いの対象となる人物がふさわしく選択されて居ることに注目す

市場を拡大していくことを求めているはずであ るので、1だけではなく、2、3、4の戦略も

従って、こ こでは「嬉 しい」と「 楽しい」の 間にも差が あると考え られる。こ のような差 は語を区別 するために 決しておざ

• 家族性が強いものの原因は単一遺伝子ではなく、様々な先天的要 因によってもたらされる脳機能発達の遅れや偏りである。.. Epilepsy and autism.2016) (Anukirthiga et

する愛情である。父に対しても九首目の一首だけ思いのたけを(詠っているものの、母に対しては三十一首中十三首を占めるほ

式目おいて「清十即ついぜん」は伝統的な流れの中にあり、その ㈲

歴史的にはニュージーランドの災害対応は自然災害から軍事目的のための Civil Defence 要素を含めたものに転換され、さらに自然災害対策に再度転換がなされるといった背景が