1 -中学校 第2学年1組 道徳学習指導案 1 主題 友達とともに高め合う心 資料名 「吾一と京造」(正進社)2-(3) 2 主題設定の理由 ○ 本主題の指導内容は、友情の尊さを理解して、心から信頼できる友達をもち、互いに励まし合って、 高め合おうとする態度を養うことをねらいとしている。本主題は中学校2-(3)の内容である。 友達としっかりとしたきずなで結ばれていたいと願うのは、人間の自然の情である。そのきずな は、友達同士、お互いを理解し合ったか、信頼し合えるかによって強くもなり弱くもなる。信頼は、 相手を信じ頼ることであり、私達が社会生活を営む上で基盤となるものであり、人と人とをつなぐ 重要なきずなである。この人間関係の絆とされる真の信頼は、自分の立場ばかりを考えず、友達の 身になって考える思いやりと友達を裏切らない誠実さによって支えられている。信頼することによ って、相手の向上を願っての忠告や助言、励まし合い、助け合いが生まれ、人間関係が高められて いく。友情は、この信頼が共に向けられたものであり、優しい思いやりと厳しい励まし、それに応 えるための絶え間ない努力によって切磋琢磨する友情関係の中で深められるものである。友達を信 頼し、敬愛することによって、人は自分も友達に信頼され敬愛されうるような人間であろうと心が けるのである。そのようなお互い信頼と敬愛で結ばれた友達はお互いに助け合い励まし合う。友達 関係は、何らかの困難や危機的場面においても助け合い励まし合うことが必要であり、更には忠告 し合える段階に高める必要がある。「忠告」は当人に向かって直接的に善を責め悪を諫めるもので ある。友達どうしはお互いに人間的に向上しようと努めなくてはならない。相手の成長を願い心を こめてした忠告は相手へと自然に伝わり、さらに、固いきずなで結ばれた友情へと発展していくに 違いない。そのような、相互信頼のもとに忠告や助言ができる人間関係へと高めていきたいと考える。 本主題の具体的な内容としては、①友情についての多様な価値観の違いがあることを理解する こと、②真の友情を築くには、相手の向上を願って、お互いに励まし合い高め合うことが大切であ ることを理解すること、③相互信頼のもとに相手の成長を願って忠告し合い、より深い友達関係を 築いていこうとすることなどである。 本主題に関しては、中学校第1学年で、相手と向き合い、お互いのよさ、不十分さを受け入れ ることにより、一人一人の個性を認め、自分と異なる考えに対しても受け入れていく大切さ(他者 理解)を学習した。さらに、自分と他者、どちらの視点も考え、相手を思いやり、それに誠実に応 えようとする双方向の信頼関係について考えを広げ、深めた。それらを受けて、友情についての様々な 価値観の違いをとらえ、相手の向上を願って助け合い励まし合い、ともに高め合っていくことが、 豊かな友情を育む上で大切なことであることに気付かせる学習をする。さらに、中学校第3学年で は、相互信頼のもと忠告し合う友情関係を築く大切さへの学習へと発展するものである。 ○ 本学級の生徒は、友達の存在のよさに気付いている生徒ががほとんどであり、友達が困って いたら声をかけて寄り添おうとする。また、短所を責め合うような雰囲気はなく、互いに注意 し合う関係も築くことができている。運動会やバレーのクラス対抗戦等のとき、友達と励まし合って 頑張った体験を感動体験としてあげる等、望ましい友達関係を築いている。 しかし、友達に関する実態調査をみると、「心の通じ合う友達」について、「いつも一緒にいる 人」、「同じ話をする人」とあげ、常に行動をともにし、考えや趣味が同じ人をあげ、違う意見 があってもそれを受け入れ、同調してしまう傾向がある。また、「忠告すること」については、 忠告することで、「後で何か言われたり、されたりしたらどうしよう」「嫌われるのではないか」 と考え、忠告することについては、あまり積極的ではない。 これらは、きちんと自分の意見を言うことに対して、相手が嫌な思いをして仲間外れになっ てしまうのではないかと恐れていたり、友達どうしの摩擦が嫌だなどという考えをもっていた りするからだ考える。
2 -そこで、互いに心を許し合える友達を真剣に求めるようになり、価値観の違いを強く意識す るようになり同世代によき理解者を求めたり、心の底から打ち明けて話せる友達を得たいと願った りするこの時期に、本主題を設定することは意義深い。そして、意見の違った友達の考えをも とに、友達を受け入れ、相手を理解し、真の友情を築いていこうとする大切さに気付かせたい。 ○ 本主題にあたっては、道徳的問題場面における2人の主人公の決定した行為について自己の共 感する考えと根拠を書く活動やそれをもとにした対話活動を通して、真の友情について大切な心に ついてとらえ、自己の友情観を深めることができるようにする。 資料『吾一と京造』を批判的に活用し、異なる考えの友達と自分の考えを比較し、友達を受け入 れ、相手を理解し、自分なりの友情に対する考えをもたせたい。 本資料『吾一と京造』は、山本有三『路傍の石』の一説で、遅刻をせずに学校に来た吾一と、遅 れた友達を呼びに行き、一緒に遅刻し、罰を受けた京造の2人の対照的な姿が描かれている。 まず、導入段階では、仲の良い友達に忠告できるときと、できないときについての2枚絵を提示 し、自分の生活場面を想起させ,信頼友情についての気がかりをもたせる。次に、展開前段では、 資料『吾一と京造』をもとに、遅刻をせずに学校に来た吾一と、遅れた友達を呼びに行き、一緒に 遅刻して罰を受けた京造の2人の行為を比較させた後、どちらの行為や考えに共感するか選択させ、 その根拠について明らかにさせ、心情カードをもとにペアで対話させ、自分の友達に対する考えを 表出することで友情についての問いを明らかさせる。さらに、学級全体での対話活動では、ペア対 話で付加修正・強化された自分の考えについて表出させ、自分の考えと友達の考えを比較・検討さ せることにより、真の友情を築くために大切なことについて明らかにしたいという問いを生成する。 さらに、主人公を支えた心について追求させることで、「切磋琢磨」についての価値の大切さを感 得させる。さらに、展開後段では、友達の成長を願って忠告したこれまでの体験を紹介し、自分の 中にも主人公のような「友達とともに高め合う」友情についての考えがあることに気付かせる。終 末段階では、励まし合い高め合う関係があったからこそ成功した、音楽会(合唱)や運動会などの スライドを紹介し、感得した価値(切磋琢磨)をもとに自分の日常生活へ生かして実践していこう という意欲を高めることができるようにする。 3 計画(1時間+課外) (1) 日常生活をもとにした友情についての考えを表出した実態調査をもとによりよい友情についての 課題を持たせる。(事前) (2) 資料「吾一と京造」を通して、真の友情を育むための「友達とともに高め合う心」について考え させる。(本時) (3) 真の友情を築いていこうとする決意を新たにする。(事後) 4 本時 平成 年 月 日( )第 校時 教室にて 5 本時のねらい (1) 資料『吾一と京造』を通して、真の友情を築くためには、心から信頼できる友達をもち、助け合 い励まし合って、ともに高め合おうとすることが大切であることがわかり、自ら進んで、真の友情 を築こうとする態度を育てる。 (2) 友達についての考えを表出するペアでの対話活動、友情についての見方・考え方・感じ方を広げ、深 める学級全体での対話活動を通して、共通点や差異点から、自分達の友達関係を見直すことができる。 6 準備 教師: 実態調査表、流れ図、場面絵、心情カード、学習プリント、対話手順カード、付箋紙 生徒: 資料『吾一と京造』、心のノート
3 -7 学習指導過程 学 習 活 動 と 内 容 教 師 の 支 援 導 1 日常の生活における自分の友達関係をもと ※ 2枚絵(忠告できている絵と忠告できな 入 に、真の友情について話し合う。 い絵)と実態調査表を提示し,友情に対す 段 る気がかりをもたせる。 階 めあて 真の友情とは何か考えよう。 2 資料『吾一と京造』を読み、友達と高め 合う大切さについて話し合う。 (1) 姿勢を正しくきりっとして立っている京 ※ 姿勢を正しくきりっとして立っている京造 造と目を合わせられずにいる吾一の場面にお と目を合わせられずにいた場面において、京 いて、どちらに共感するか自己決定し、その 造のとった行為、吾一のとった行為、どちら 根拠について話し合う。 の立場に共感するか、根拠を含めて考えさせ 【ペア対話】 友情についての考えを追求させる。 展 ※ 吾一と京造のどちらの立場にどれだけ共感 するか考えを示す心情カードをもとに、対話 カードをもとにペア対話させる。 開 前 【学級全体の対話】 段 ※ 対話活動による、「友情」についての考え の広がり、深まりを確かめさせるために、付 箋紙を並べ替えさせる。 ※ 学級全体の対話では、自分の考えの広が り、深まりを把握させるためにペア対話で新 たに考えが付加された考えと、強まった考え を付箋紙の色分けをもとに発表させる。 (2) 姿勢をきりっと立つ京造を支えた心につ いて話し合う。 ※ 京造が言い訳もせず、姿勢を正しくきりっ ・相手の不十分さも含めて寄り添う(思いやり) と立つ場面において、京造を支えた心につい ・皆を巻き込まない潔さ(きまり) て話し合わせる。 ・相手の成長を願って忠告する大切さ 展 開 3 真の友情について自分の考えをまとめる。 後 (1) 級友や自分の行動で、友達のことを考え、 ※ 把握した価値に照らし合わせ、今の自分の 段 忠告することができたことを紹介する。 友情について、どんなことを感じたか考えさ (2) 真の友情を築くために必要な心について せ、価値の主体的自覚を図る。 話し合う。 ・誰にでも、吾一と同じような心があることを 吾一に共感 京造に共感 ○先生にしかられたくない ○思いやりがある ○吾一は遅刻しなかった ○優しい (決まりを守る) ○言い訳をしない強さ ○かばうのが友情ではない ○自分だけが犠牲に ○自分のとった行為を反省 ●迎えに行くことが秋太郎 ●一人だけ先に行った のためにならない ●秋太郎や京造を裏切った ●かばうのではなく、アド バイスすべき 対話の進め方(ペア対話) ・対話の手順カードに沿って対話を進める。 ・吾一の行為に共感するか、京造の行為に共感す るか、心情カードで表出した自分の考えを見せ 合いながら、その根拠について対話する。 ・同じ考えや似た考えに納得シールを貼る。 ・異なる友達の考え(根拠)は、黄色い付箋紙 に書き、学習プリントに加えて貼る。 ・自分の体験とつないで根拠を述べ合う。 吾一に共感 京造に共感 ○かばうのは秋太郎のため ○遅刻した秋太郎も何か理 にならない 由があるのかもしれない ○遅刻はいけない ○友達に寄り添う大切さ ○他の友達をまきこまない (遅刻はいけない) 本当に相手のためになるにはどうしたらいいのだ ろう? 京造が伝えたかったメッセージは?
4 -・相手のことを思い合い、忠告する 知らせるために、これまでの体験を尋ねる。 ・お互いに信頼し合う ・お互い助け合い、高め合う 終 4 音楽会や運動会等、苦労しつつも達成感を ※ 音楽会や運動会等の行事のスライドを提示 得てきた行事のスライドを見ながら、「友達 し、友達とともに高め合うことのすばらしさ 末 とともに高め合う」ことの大切さについて話 を感得させる。そして、よりよい友情を育む し合う。 ために大切な心を確認しながら、実践への意 段 (1) スライドショーを視聴する。 欲を高めさせる。 ※ 今後も、自分と友達のどちらの成長も考え、 階 (2) 本時学習を振り返り、感想をまとめる。 よりよい友達関係を築くことを願い、修学旅 行で、友情の絆を強めていくように助言する。 8、板書計画 め あ て 真 の 友 情 と は 何 か 考 え よ う 。 真 の 友 情 と は ・・ ・ 吾一が一人で 駆け出す場面絵 吾一 京造 ・先 生 に し か ら れ た く な い ・遅 刻 を し な か っ た (決 ま り を 守 る ) ・自 分 の と っ た 行 為 を 反 省 ・か ば う の は 友 情 じ ゃ な い 「吾 一 と 京 造 」 ・ 自 分 の こ と だ け を 考 え な い ・ 相 手 の こ と を 思 い や る ・ 友 達 だ か ら こ そ 、 注 意 や ア ド バ イ ス が 必 要 ・ 互 い を 高 め 合 う こ と ・思 い や り が あ る ・優 し さ ・言 い 訳 を し な い 強 さ ・自 分 だ け が 犠 牲 に 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 吾一 京造 吾一と京造の 目と目が合い、 吾一が目をふせる 場面絵 ・迎 え に 行 く こ と が 秋 太 郎 に と っ て い い こ と で は な い ・注 意 す べ き ・か ば う の で は な く ア ド バ イ ス す べ き ・一 人 だ け 先 に 行 っ た ・自 分 の こ と だ け し か 考 え て い な い 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 氏名 草の葉のように心が揺れる吾一 姿勢を正しくきりっと立つ京造