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学校法人会計基準に関する課題と改善 : -第1号基本金を中心に-

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学校法人会計基準に関する課題と改善

-第 1 号基本金を中心に-

髙橋 一利

【要旨】 学校法人会計基準の課題の根源は、財政戦略的意図を含んだ第 1 号基本金という 独特の仕組みと減価償却額の支出計上にある。この二つには、将来への備えという 類似した役割があり、これを反映させた収支計算構造は、実態と乖離した財政状態 を表示することとなり、収支結果の均衡、不均衡の状況をもって当該法人の業績を 判断できないばかりか、貸借対照表の構成を歪め、ひいては、ほとんどの人が理解 できない財務情報の原因となっている。 さらに予算面でも、支出超過編成となることの危機意識を奪い、経費形態別科目 を羅列した全国共通の予算書は、中長期計画や事業計画との関連付けができない。 こうした課題認識の下、新しい形の財務諸表の提案とその意義を考察し、会計基 準の役割は決算処理の適正化に特化したものとすべきであると主張する。 キーワード:第 1 号基本金、減価償却、収支均衡、財務諸表の形、会計基準の役割 はじめに 昭和 30 年代の後半から 40 年代、日本の私立大学は、高度経済成長期の中にあって、18 歳 人口の急増・急減、学費の値上げ、国公私大間の学費較差、水増し入学の増加、学園紛争など、 幾多の社会的課題を抱えていた。学校法人会計基準(以下「会計基準」という)は、昭和 46 年 4 月、その頃の社会情勢を背景に学校法人に対する国庫助成(昭和 45 年度からの予算補助) を適正に行うため制定された1)。特徴は、「基本金制度」、「収支の均衡」、「予算制度」の三つ に代表される。というのも、学校法人の収入は、民間企業と違い資本的支出に充てる部分と 消費支出に充てる部分が混在しているという理由から、固定資産の取得に充てるべき額やそ の他の資金を帰属収入から控除し基本金に組み入れるという仕組みを作り、その上で学校法 人全体の収支が均衡することを目標とする。また予算制度も、「学校法人の諸活動についての 具体的な計画策定を行い、学校法人全般にわたる合理的な活動を行う上で欠くことができな い2)」として、収支計算書の収入及び支出の科目ごとに予算額と決算額を対比させて記載す ることとされている(第 9 条及び第 18 条)。 しかし、この会計基準も制定されて 40 年余、私立大学を取り巻く社会環境も大きく変わり、 学校法人には、これまでの規模拡大の志向を振り返り、教育内容の質的充実や規模の縮小ま

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でも問うようになった。こうした変化は、会計基準の特徴、とりわけ基本金(制度)に対す る批判や課題の提起へとつながっている。 本稿は、一般的教職員の視点から、第 1 号基本金に関する課題を洗い出し、その論点整理 と改善策の考察を行い、その結果を反映させた財務諸表の形を提案している。また同時に当 該財務諸表に基づく財政判断の視点についても言及し、さらに情報公開の対象としない各法 人独自の事業別予算書の形を例示している。最後は、会計基準の役割の見直しである。 なお本稿では、主に平成 25 年 4 月の会計基準改正前の会計用語を使用している。 1. 基本金制度と課題の提起 改正前の会計基準第 29 条(基本金)は、「… 必要な資産を継続的に保持するため(略)帰 属収入のうちから組み入れた金額を基本金とする」と規定している。前半が目的、後半が用 語の定義と理解できる3)。つづいて第 30 条は、第1項で四種類の基本金(第1号から第 4 号) とそれぞれへの組入額について規定している。その一つは、「固定資産の取得額(第 1 号)」 であり、他の三つは、「学校法人の意思により決定した額(第 2 号、第 3 号)」と「文部科学 大臣の定めた基準により算定された金額(第 4 号)」である。さらに第 16 条は、基本金への 組入を当該年度の「帰属収入」から控除して行うと規定している。 しかしこの仕組みには、賛否両面からの評価や批判がある。例えば細田(1985:5-16)は、 会計基準成立までの歴史的経緯を述べた上で当該基準に対し寄せられている賛否について、 「消費収支計算および基本金組入計算の意図」、及び「会計基準に対する批判的見解」として 紹介している。前者の主旨は、そこで論述されている「会計の原則が新たな展開を志向する とき演繹的発想が不可欠」、「必要な資産の維持こそが学校法人の財政上の最大の課題」、「基 本金の概念には学校法人が維持すべき資産は自己資金で賄うべしという理念がある」といっ た文脈から読み取ることができる。一方、後者における各論者の主張については、「消費収支 計算は学校法人を営利法人視する風潮を生む」、「非営利法人である学校法人にそぐわない会 計方式である」、「基本金組入計算の恣意性が大きく消費収支計算情報の客観性が希薄である」、 「基本金組入を先行させ、その上消費収支計算において減価償却費の計上を強制しているこの 会計方式は造成資本会計4)の一種であり、消費支出超過額の累積額を大きくさせる可能性を 秘めている」という表現でまとめている。 ではこの基準を制定した文部科学省(以下「文科省」という)はというと、そこでも数次 に亘り会計基準の在り方に関する検討会を設置し、その検討結果を公表している。 平成 16 年 3 月の報告書(文科省 2004:2)では、基本金制度に係る議論のポイントを「帰 属収入のうちから組み入れた金額を基本金とする会計基準第 29 条の考え方を今後とも維持す るか否かである」と課題提起し、平成 24 年 3 月の報告書(文科省 2012:5-7)では、貸借対 照表の基本金の部に多額の組入がある一方で、消費収支差額の部には多大な繰越消費支出超 過があることや消費支出超過であっても帰属収支差額より多額の金額を基本金に組み入れる ことに対する疑問の声を報告している。

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後者の疑問点に関し、実際の数値をもって確認したのが表1である。消費収支計算書では 基本金組入額は帰属収支差額の 3 倍前後となっており、一方の貸借対照表では基本金(正の 資産)の増と呼応するかの様に繰越消費支出超過額(負の資産)が増加を続けている。 表1 消費収支計算書及び貸借対照表の主要数値(5 カ年連続) < 単位:億円 > 区分 科目 19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 消費収支 計 算 書 帰属収入合計 56,971 57,235 57,562 58,006 59,959 基本金組入額 -6,898 -6,707 -6,145 -6,549 -6,064 消費支出合計 53,679 56,790 55,455 55,338 58,089 当年度消費収差額 -3,606 -6,262 -4,038 -3,881 -4,194 帰属収支差額 3,292 445 2,107 2,668 1,870 貸  借 対 照 表 資産の部合計 うち有形固定資産 237,054 139,970 237,306 141,496 241,604 144,703 240,584 143,381 247,184 146,545 負債の部合計 34,771 34,957 36,322 35,444 37,368 基本金 第 1 号基本金 第 2・3・4 号基本金 224,091 200,389 23,702 229,813 205,963 23,850 235,849 211,998 23,851 238,395 213,441 34,954 246,941 221,001 25,939 繰越消費収支差額 -21,808 -27,464 -30,568 -33,254 -37,125 (参考) 法人数 学生数(千人) 527 2,878 531 2,868 536 2,873 532 2,853 541 2,907 出典:日本私立学校振興・共済事業団『今日の私学財政(平成 24 年度版)』に基づき筆者作成 そして平成 25 年 1 月には、会計基準の改正を前提とした報告書(文科省 2013a:2-11)が 公表されている。しかし、ここに第 1 号基本金の見直しに関する報告は全くない。 ただ、この報告を行った検討会の第 3 回議事録 ( 文科省 2013b:11) には、「収支差額が継 続的に支出超過であっても維持すべき財産の額については、消費収支計算上控除する。控除 の財源となる帰属収入は当該年度の収入に限定されない」とする旨の発言が記録されている。 この発言は、「多額の基本金組入れと繰越消費支出超過額の併存」や「消費支出超過であって も帰属収支差額より多額の基本金組み入れができること」への疑問のほか、基本金組入の財 源についての説明と理解できる。そして言い換えれば、「基本金組入れは、当該年度の帰属収 入や収支差額の如何とは次元を変えて行う」ということである。では、組入額の原資を規定 している会計基準第 16 条「消費収入は、毎会計年度、当該会計年度の帰属収入を計算し、当 該帰属収入の額から(略)基本金に組み入れる額を控除して計算する(改正前)」はどう解釈 すべきであろうか。 いずれにせよ基本金組入については、“帰属収入からの天引き方式”、“収支残額からの差引 方式”または“両者の混合方式”といった考え方が混在し、この混在が、財務諸表(収支計 算書および貸借対照表)の内容ばかりか基本金の意義をも分かりにくいものとしている。

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2. 第1号基本金の内実 本章では第1号基本金に対する筆者独自の課題提起と考察を行う。そこで先ず、基本金へ の組入れ規定(会計基準第 30 条第1項第 1 号)を確認すると、「取替更新を含む全ての教育 用固定資産の取得額5)」と解釈できる。 2.1 基準上の矛盾 ではその目的は何か。一つは、継続して保持すべき資産の取得額を消費支出に充当させな いことであり、もう一つは、固定資産資の取得は自己資金によるべきとの考え方があるとさ れている。ところが第1号基本金の組入額は、固定資産の取得額である。必然的に会計上の 組入れは期末決算処理となる。従って固定資産の取得と消費支出は基本金組入の前に行われ てしまうことになり、しかも消費的経費には短期決済が求められるのが常道であり、特に人 件費の先送りは難しい。これを補う消費収支予算も支出超過編成の法人が多く、また、組入 原資である帰属収入についても当該年度分に限られないという考え方もある。となると二つ の目的と基準上の仕組みには整合が図られていないことになる。 2.2 第1号基本金の副次的機能 二つ目は、減価償却との関係である。第1号基本金の対象資産が取得されるとその取得額は、 帰属収入から控除され、貸借対照表の「貸方」に基本金として表示される。一方、「借方」に は、固定資産の取得額が表示される。しかし借方の固定資産は減価償却により価額が減少す るため基本金の額との間に差(不足)が生じる。そこで筆者は、この不足を補填する「多様 な形態の資産(借方)」や「貸方に表示される支出超過額」の受け皿になる仕組みを「第1号 基本金の副次的機能」と呼ぶこととする。すなわち消費収支計算書の支出に計上された減価 償却額は、「○○引当特定資産」や「その他の金銭資産」に姿を変え、貸借対照表の借方に登 場する。この登場した資産の総合的な貸方科目となって、将来への備え(内部留保)の一端 を担うのである。この関係の時系列変化を貸借の等式で示すと次表2のようになる。 借方だけが変化し、貸方の基本金に変化はなく、借方資産の受け皿となる6)。ただこの関 係を維持するには消費収支の均衡(収入超過)という前提条件が付き、支出超過の場合は、 貸方の基本金の下に「翌年度繰越支出超過額(-)」が併記される。 表2 第1号基本金と減価償却額及び内部留保(消費収支均衡の場合) 年度の進行 借     方 貸 方 基本金組入当初 固定資産 ( 取得額 ) 基本金 耐用年数期間中 「固定資産 ( 簿価 )」+「○○引当特定資産+その他の金銭資産等 による内部留保」 基本金 耐用年数終了時 「○○引当特定資産+その他の金銭資産等による内部留保」 基本金

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2.3 基本金組入と減価償却額の計上 一方、基本金組入を行わなくとも減価償却実施完了年度には組入したと同様の資金留保が できるため基本金制度の効果に対する疑問の声もある(学校経理研究会編 2011:439)。 そこで次に、第 1 号基本金の組入と減価償却額の関係を分析してみる。断片的ではあるが、 次表3は、消費収支は均衡し、8 年間で 4,000 の機器を 5,000 の機器に更新し、6 年目に 3,000 の追加整備を行った例である。 表3 第 1 号基本金・取替更新・減価償却額の相関関係 算定の時期 期 首 期 末 年度及び摘要 ( 固定資産取得額 ) 基本金組入額 ① 減価償却額の 累計額 ② 機器備品の 簿価 ③ 減価償却 引当額 ④ 初年度 備品Aの取得 4,000 800 3,200 800 2 年目 経年減価償却 4,000 1,600 2,400 1,600 5 年目 減価償却終了年 4,000 4,000 0 4,000 6 年目 備品A 4,000 4,000 0 4,000 新規追加整備備品B 3,000 600 2,400 600 計 7,000 4,600 2,400 4,600 7 年目 備品A 4,000 4,000 0 4,000 備品B 3,000 1,200 1,800 1,200 計 7,000 5,200 1,800 5,200 8 年目 備品A除却 0 0 0 4,000 備品B 3,000 1,800 1,200 1,800 更新取得備品 C 5,000 1,000 4,000 1,000 計 8,000 2,800 5,200 6,800 ここで着目すべきは、取替更新のもつ意味とその財源である。 取替更新とは古いものが新しいものに代わることであり、減価償却資産の再生であり、し かもその財源は、制度上、当該年度の帰属収入となっているということである。表3の 8 年 目では、6,800 の減価償却引当額④(内部留保)ができることになっている。というのも 6 年 目の備品B及び 8 年目の備品 C の取得は制度的には当該年度の帰属収入を原資としたもので あり、減価償却引当額④から充当されたものではないからである。この論拠は、「帰属収入か ら基本金組入額を控除する」とした会計基準第 16 条第 1 項の規定にある。建物や大型設備等 の取得を目的とした第 2 号基本金の組入額も規定上は帰属収入が原資であり、減価償却額の 計上による内部留保資金ではない。となると、減価償却額の支出計上は将来の取替更新のた めと言うより、目的の特定されない準備金の蓄えを意図したものと見ることができる。

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2.4 収支均衡の副作用 そして近年、この制度は、支出超過法人が増加している中で、減価償却額に対応する金銭 資産の確保までは見込めない学校法人の支出超過をさらに大きくさせている。 施設設備等の取得という取引に基づき金銭資産が固定資産に形を変え、消費収支計算書の 帰属収入からは同額が基本金組入として控除され、さらに減価償却額が消費支出に計上され る。この二重の計算構造が、実態と乖離した消費収支計算(支出超過の過大又は収入超過の 過少表示)の原因となっている。 収支均衡の中には現状維持の枠を超えた「余力」が含まれ、その幅は法人の意思により調 整も可能という基本金制度を前提とした消費収支計算は、純粋な損益概念(資産の増減)に 基づいて計算されたものではない。したがって、大多数の学校法人は、計算書上、多額の支 出超過を抱えており、しかもその累計である翌年度繰越支出超過額が当該年度の帰属収入の 額を上回っているような場合でも破産することはない。日本私立大学連盟(2009:154)は、 「最早、消費収支差額には学校法人の業績を判断する指標としては、ほとんど利用価値がない」 と指摘している。 支出超過額の過大表示は、財政状態の優れている学校法人はよしとして、財政状態が厳し い法人にとっては実態以上に状況を厳しく見せた財務情報を公開することになり、また同時 に、法人内においては「こちらがダメでもあちらがある」、あるいは「まだまだ大丈夫だろう」 といった曖昧な経営判断を是認し、一般の人には理解できない財務情報の原因となっている。 基本金制度を前提とした収支均衡状況を表示する計算構造の看過できない副作用といえる。 2.5 減価償却額の費用認識 ところで減価償却の費用認識は絶対条件か。税制上のメリットがある企業会計において、 減価償却の費用認識は必要不可欠であろう。しかし、学校経営においてもそうであろうか。 学校法人の場合、資産価値の減少の目安として認識すれば足りるのではないか。費用認識は、 例えてみれば、使っていないお金を使ったことにして上着の内ポケットに入れてしまうこと である。そうではなく、使ったお金の残りをそのまま剰余金として外側、それも外から見え るポケットに入れておき、明日の備え(減価償却引当特定資産等への組替)とする単純な仕 組みを採用したらどうであろう。複式簿記であるが故に是が非でも減価償却額の費用認識あ りきではなく、学校法人会計の特性を踏まえ、少なくとも第 1 号基本金制度と減価償却額の 支出計上の併存については見直しが必要である。 2.6 貸借対照表から見た第1号基本金の課題 貸借対照表の形にも問題がある。次表4は、全国大学法人の平成 23 年度貸借対照表の構成 を示したものである。貸方における第 1 号基本金の構成比率は約 90%、一方、その基礎となっ た借方の有形固定資産の占める率は約 60%である。しかも貸方には、負債とは別に多額の繰 越消費支出超過額(△ 15%)が存在する。

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表4 貸借対照表の資産・負債・基本金・繰越差額の構成 (単位:億円) 借方科目 金 額 構成比率 金 額 構成比率 貸方科目 固定資産 212,922 86.1% 37,368 15.1% 負債 有形固定資産 146,545 59.3% 246,941 99.9% 基本金 その他固定資産 66,377 26.8% 221,001 89.4% 1号基本金 流動資産 34,262 13.9% 9,018 3.7% 2号基本金 [注記事項] 12,919 5.2% 3号基本金 減価償却累計額 (84,067) 4,002 1.6% 4号基本金 基本金未組入額 (8,307) △ 37,125 △ 15.0% 繰越消費支出超過額 合 計 247,184 100% 247,184 100% 合 計 出典:日本私立学校振興・共済事業団『今日の私学財政(平成 24 年度版)』に基づき筆者作成。 第 1 号基本金の対象となった償却資産に係る減価償却は、基本金に反映されず、また、消 費支出に計上された減価償却額は、各法人の財政状態により多様な形の資産(支出超過を含む) に為り変わってしまう。 固定資産の取得と減価償却、支出に計上された減価償却額の多様な資産形態への変身、繰 越消費支出超過額の発生などの要素が第 1 号基本金の副次的機能(受け皿機能)と相俟って、 貸借対照表の構成は不自然な形となり、貸借の対照が難しい計算書となっている。 日本私大連盟(2006:59)は、「継続的に維持していくべき資産の額を観念的な金額で表し たものを「基本金」という」と説明している。観念的とは“言い得て妙”ではある。しかしむ しろ、第 1 号基本金の掴みどころのなさを表現しているとも言える。にもかかわらず第 1 号基 本金の額は、「維持すべき額」として、あたかも学校の基盤を示す基準額であるかのような位 置を与えられている。仮に基準額とするならば最低基準としての大学設置基準や標準設置経費 の援用が浮かんでくる。こうした額が貸借対照表の資産の部に確実に計上されていれば、その 法人が運営する学校の施設設備の整備は最低限なされているとみることもできる。その上でど れくらいの余力があるのか、場合によっては最低基準を下回っているのかの判断が可能となり、 外部報告としての目的も果たすことができる。 3. 新しい形の財務諸表 課題の次は改善策である。施設設備に特化した①「施設設備収支計算書(仮称)」、第1号 基本金の組入と減価償却額を収支の対象から除外した②「消費活動収支計算書(仮称)」およ び、この二つの計算結果を反映させた③「貸借対照表の改正試案」を提案する。 まず、①および②の収支計算書(仮称)を作成するため、平成 23 年度全国大学法人の資金 収支計算書および消費収支計算書における“施設設備”に関する科目と金額を特定すること により“消費活動”に関するものと区分する7)

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3.1 施設設備に関する科目と金額の特定 総額および内数としての施設設備関係科目と金額は、次のとおりである。 <資金収支計算書からの特定> ○収入総額 68,666 億円:①学生生徒納付金の施設設備資金 4,535 億円、②私大経常費補助 金(施設設備分)165 億円、③資産売却収入の不動産売却収入 800 億円、④借入金等収 入 1,943 億円、⑤事業収入の医療収入(施設設備分)3,675 億円となっている。  なお、②の額は、当該補助金の 5%を、⑤の額は、資金収支計算書の施設関係支出、設 備関係支出及び借入金等返済支出の合計(大学法人分 9,764 億円 ) と大学部門分 (5,170 億 円 ) との差額 4,594 億円の 80%(3,675 億円)を施設設備分とした。 ○支出総額 59,478 億円:①施設関係支出 ( 土地・建物等 ) 5,405(3,084)億円、②設備関係 支出 ( 教育研究用機器備品、図書等 ) 2,000(1,280)億円、③借入金等返済支出 2,359(806) 億円となっている。なお、償却資産の取得額は、6,466 億円である。  なお、( )書き数値は、附属病院や研究所等を除いた大学部門の金額である。 <消費収支計算書からの特定> ○帰属収入合計 59,959 億円:①学生生徒納付金の施設設備資金、私大経常費補助金(施設 設備分)および事業収入の医療収入(施設設備分)は、資金収支計算書の額と同額である。 この他、②現物寄付 188 億円があり、合計(①+②)は 8,563 億円である。なお、基本 金組入額合計は△ 6,064 億円、消費収入の部合計は 53,894 億円である。 ○消費支出の部合計 58,089 億円:施設設備に関する支出はない。なお、①減価償却額は教 育研究経費分 5,082 億円、管理経費分 526 億円、②消費収支差額は△ 4,194 億円、③帰属 収支差額は 1,870 億円である。 3.2 施設設備収支計算書(仮称)の形 次に示す様式1は、前記において特定した科目と金額を基に試算したものである。 なお、実際の区分作業等は当該法人の実情に基づき行うのは当然である。その上で支出科 目欄の収支差額(B/S へ転記)が 1,354 億円のプラスとなっている点に着目されたい。この 差額は、①減価償却額 5,608 億円と償却資産の取得額 6,466 億円の差、②消費収支計算書にお ける施設設備収入に区分された額 8,563 億円と基本金への組入額 6,064 億円の差の加減による ものである。そして今後なお、学校法人がこの計算書(様式1)に減価償却額を上回る償却 資産の取得予算を確保し、かつ収支の均衡が保たれるよう努力するならば、取替更新以上の 整備充実機能が継続的に発揮されていくことになり、次節で述べる消費活動収支計算書(仮称) の支出に減価償却額を計上する必然性はなくなってくる。

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様式1 平成 23 年度 全国大学法人施設設備収支計算書(仮称:総括表) (単位:億円) 収入科目 金額 支出科目 金額 B/S 前年度繰越収支差額(±)から転記 0 1. 教育施設設備 B/S 将来計画準備金(仮称)等からの繰入 0 (1) 施設関係支出 5,405 1. 施設設備資金* 4,535 土地 718 2. 私大経常費補助金(施設設備分)* 165 建物および構築物 3,145 3. 不動産売却収入 800 建設仮勘定等 1,542 4. 借入金等 1,943 (2) 設備関係支出 2,000 5. 医療収入(施設設備分)* 3,675 2. その他の施設設備 0 6. 現物寄付* 188 3. 借入金等返済支出 2,359 4. 現物寄付 188 当年度収入計 11,306 当年度支出計 9,952 (*印は消費収支計算書の科目を示す。) (8,563) B/S 将来計画準備金 ( 仮称 ) へ組入 0 収支差額 (B/S へ転記 ) 1,354 計 11,306 計 11,306 3.3 消費活動収支計算書 ( 仮称 ) この計算書の構成は、会計基準改正後の「事業活動収支計算書」を準用している。しかし、 ここには様式1に計上される科目と金額のほか、減価償却額および現行の第 1 号基本金組入 額が除外されており、「事業活動収支計算書」との最大の相違点となっている。 ここでも着目すべきは、「当年度収支差額 ( 計 ) ④」である。差額は△ 1,086 億円であるが、 この額と 3.1 消費収支計算書の消費収支差額(△ 4,194 億円)との間には 3,108 億円の差がある。 この差は、様式2では帰属収入から施設設備に関する収入(8,563 億円)が控除されている代 わりに減価償却額(5,608 億円)が支出に計上されず、一方の 3.1 消費収支計算書では、基本 金組入額(6,064 億円)が施設設備に関する収入(8,563 億円)より少ないものの減価償却額 が支出に計上されていることが主な要因である。 なお、当年度収支差額がマイナスとなっている点に関しては、平成 23 年度が退職給与引当 繰入基準の変更年度に当たるため、過去 3 カ年の平均額 1,290 億円を 1,329 億円も上回ったと いう特別の要因がある。従って、平年度化後の収支差額はプラスとなることが想定される。

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様式2 平成 23 年度 全国大学法人消費活動収支計算書 ( 仮称:総括表 ) (単位:億円) 科     目 金額 教育活動 収  支 収入の部 学納金、手数料、寄付金、経常費補助金、付随事業、雑入 49,620 支出の部 人件費、教育研究経費、管理経費、徴収不能額等 51,055 教育活動収支差額① △ 1,435 教育活動外 収   支 収入の部 受取利息・配当金、その他教育活動外収入 1,098 支出の部 借入金等利息、その他教育活動外支出 197 教育活動外収支差額② 901 特  別 収  支 特別収入計 資産売却差額、その他特別収入 677 特別支出計 資産処分差額、その他特別支出(災害損失等) 1,229 特別収支差額③ △ 552 当年度収支差額(計)④ =①+②+③ (B/S に転記 ) △ 1,086 教育研究支援基本金組入額⑤ 指定寄付金がある場合、優先的に組入れる。 0 支払保証基本金組入額⑥ 0 将来計画準備金組入額⑦ 原則的には組入しない。 0 前年度繰越消費収支差額⑧ H22 年度末の現在額である。(B/S に転記 ) △ 33,254 翌年度繰越消費収支差額⑨ =④+⑤+⑥+⑦+⑧ (B/S に転記 ) △ 34,340 ( 参考 ) 消費活動収入計 ( 注 ) 改正前の帰属収入合計に相当。 51,395 ( 参考 ) 消費活動支出計 改正前の消費支出の部合計 ( 減価償却額を除く ) に相当。 52,482 注:(参考)欄の消費活動収入計 51,395 億円と消費収支計算書(3.1)の施設設備収入に区分された金額 8,563 億円の合計は、消費収支計算書(主要データ)の帰属収入合計 59,959 億円に一致する。 3.4 収支の均衡(業績判断の基準) 金銭収支を伴う業績判断は、様式1の「当年度収支計」および様式2の平成 22 年度以前に 累積された「前年度繰越消費収支差額⑧」を除いた上での「翌年度繰越消費収支差額⑨」が 最低限均衡しているか否かによって行う。仮にこの計算書の収支差額が支出超過となり継続 的に増加するとなると、当該法人の財政状態は極めて不安定な状況に陥っていることを経営 者に発信することになる。そして、それぞれの収支差額は、後述する様式3の貸借対照表(改 正試案)に反映させ、総合的財政状態は、その貸借比較により評価する。 3.5 貸借対照表の改正試案 そして三つ目が貸借対照表の提案である。仮に、財政状態を総合的に表示しているこの内 容を一般の人が理解できるとしたならば、外部報告の目的は十分果たされていると言って過 言ではない。前記二つの計算書(様式1及び2)の収支結果を反映させ、かつ表示科目に改 善を加えたのが様式3貸借対照表(改正試案)である。ポイントは、表示科目の意義と構成 にある。 以下、少し長くなるが貸方科目を中心にその概要を説明する。

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① 創設基盤基本金(仮称): 現行の第 1 号基本金の一部に相当する。創設時の寄付財産(土 地・建物、機器備品等)及び組織拡充に伴い追加整備した土地・建物、機器備品等の取得 額を計上する。学校の規模に応じて保有すべき教育用有形固定資産の額であり、組織の拡 充又は廃止のない限りこの額は変動しない。 ② 整備充実基本金(仮称): 現行の第 1 号基本金の一部に相当する。創設基盤基本金の対 象以外の有形固定資産(取替更新、新規整備)の取得額を計上する。取得額は、施設設備 収支計算書(仮称)の施設関係支出、設備関係支出及び現物寄付の額に一致する。なお取 得財源に借入金が含まれる場合でも現行の基本金未組入額は発生させない。 ③ 減価償却額累計額 ( - ): 上記二つの基本金の対象となる償却資産に係る減価償却額累計 額をマイナス計上する。なお、長期にわたり償却資産の取替更新等が適切に行われないと、 この額だけが増加し整備充実基本金を上回り、創設基盤基本金の実質的減少を引き起こす。 ④ 有形固定資産: 教育用と教育用以外に区分表示し、前者については、次の関係が成り立つ。 <借方:教育用有形固定資 = 貸方:創設基盤基本金+整備充実基本金-減価償却額累計額> ⑤ 教育研究支援基本金(仮称): 現行の第 3 号基本金に相当する。指定寄付金や消費活動 収支計算書(仮称)の収支差額(収入超過額)の一部を組入れ原資とする。 ⑥ 支払保証基本金(仮称): 現行の第 4 号基本金に相当する。⑤と同様、消費活動収支差額(収 入超過額)の一部を組入れ原資とする。 ⑦ その他の基本金(仮称)<教育目的外固定資産等>: 現行の第 1 号基本金の一部とされ てきた借地権等のほか、教育用以外の有形固定資産を対象資産とする。また、③と同様減 価償却累計額を併記する。 ⑧ 翌年度繰越収支差額(仮称): ここには、消費活動収支計算書(仮称)の「当年度収支差額(△ 1,086)」、「前年度繰越消費収支差額 ( △ 33,254)」及び施設設備収支計算書(仮称)の「収 支差額(1,354)」が科目名称を変えて表示される。 ⑨ 将来計画準備金(仮称): 施設設備の拡充整備や大型固定資産の取替更新など将来計画 に対する準備金であり、現行の第 2 号基本金を準備金としたものである。この準備金への 組入は、施設設備収支計算書(仮称)の収入超過のほか、例外的に消費活動収支計算書(仮 称)の収支差額(収入超過額)からの組入も予定している。 ⑩ その他の準備金(仮称): この準備金は、平成 22 年度以前に消費収支計算書の支出に計 上された減価償却額の一部、退職給与引当金 12,637 億円と退職給与引当特定資産 7,185 億 円の差額、及び法人全体としての収入超過額が合算されたものである。借方における「そ の他の引当特定資産」、「有価証券」、「長期貸付金」、「現金預金」等の一部として保有され ている資産に対応する貸方科目である。「借方合計」から「基本金の部」、「負債の部」、「翌 年度繰越収支差額」及び「将来計画準備金」を差し引いた後の「差額」が計上される。  なお、H22 年度以前繰越消費収支差額(△ 33,254)は、経過措置としての表示であり、 次年度以降は準備金との合算額を表示するものとする。

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様式3 平成 23 年度 大学法人貸借対照表(改正試案) < 単位:億円 > 借   方 貸  方 Ⅰ 固定資産の部 216,924 Ⅰ 基本金の部 163,823 1. 有形固定資産 146,545 1. 教育目的基本金 162,661 <教育用> 145,740 創設基盤基本金(現1号) 131,166 土地 43,983 整備充実基本金(現1号) 97,893 建物・構築物 79,998 減価償却額累計額(-) △ 83,319 機器備品 7,589 教育研究支援基本金(現 3 号) 12,919 図書 12,144 支払保証基本金(現 4 号) 4,002 建設仮勘定・その他車両等 2,025 2. その他の基本金 1,162 <教育用以外> 805 教育目的外固定資産等 1,910 建物・構築物 221 減価償却額累計額(-) △ 748 機器備品 584 Ⅱ 負債の部 37,368 2. 特定資産 60,561 1. 固定負債 22,608 教育研究支援引当特定資産(現 3 号) 12,919 長期借入金・学校債・長期未払金 9,303 支払保証引当特定資産(現 4 号) 4,002 退職給与引当金 12,637 将来計画引当特定資産(現 2 号) 9,018 その他の固定負債 668 減価償却引当特定資産 13,885 2. 流動負債 14,760 退職給与引当特定資産 7,185 短期借入金・学校債 1,791 その他の引当特定資産 13,552 未払金・前受金・預り金・その他 12,970 3. その他の固定資産 9,818 Ⅲ 繰越収支差額及び準備金の部 45,993 借地権・電話加入権・ソフトウェア 357 1. 翌年度繰越収支差額 △ 32,979 有価証券・長期貸付・収益事業元入 9,461 繰越消費活動収支差額(様式 2) △ 1,086 Ⅱ 流動資産の部 30,260 H22 年度以前消費収支差額(様式 2)△ 33,254 現金預金 20,959 繰越施設設備収支差額(様式 1) 1,354 未収入金・短期貸付金 4,234 2. 準備金 78,972 有価証券 3,114 将来計画準備金(現 2 号・様式 1) 9,018 その他貯蔵品等 599 その他の準備金 69,954 将来計画引当特定預金(様式 1) 1,354 借方合計 247,184 貸方合計 247,184 出典:日本私立学校振興・共済事業団『今日の私学財政(平成 24 年度版)』に基づき筆者作成。 (注)表中の(様式1)および(様式2)は、それぞれ当該様式との相関を示す。 <注記事項> 1.設置基準上必要な土地 ・・・㎡、土地以外の有形固定資産 ・・・億円 2.現に保有する土地   ・・・㎡、土地以外の有形固定資産 ・・・億円 3.6 改正試案と現行様式の相違 一つは、貸方の 1 番目に基本金の部を表示することにより、自己資産を基盤とした学校法 人の資産構成の理念を強調し、かつ借方科目との左右バランスを視野に入れ易くする。二つは、 物的資産を対象とする基本金を教育目的とその他に区分の上、それぞれに減価償却額を反映 させる。三つは、現行の第 2 号基本金は準備金とし、基本金未組入の制度は廃止する。そし てⅢ繰越収支差額及び準備金の部は、基本金以外の資金保有の実態を表示する。

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では、こうすることにより貸借対照表はどう変化するのか。まず構成である。表4の貸借 対照表の構成比率を改正試案の数値を基に試算し直してみると、基本金 66%、負債 15%、繰 越差額 19%となる。現行のように負債 15%、基本金 100%、繰越消費支出超過額△ 15%といっ た不自然な形ではない。 つぎに貸借関係の比較の容易化である。借方の資産を「金銭資産」と「物的資産」に区分 してみると「金銭資産」は、固定資産のうちの 2. 特定資産(60,561 億円)、3. その他の固定資 産(9,461 億円(借地権等を除く))及びⅡ流動資産の部(30,260 億円)、計 100,282 億円となる。 ただこの額には、借入金等の負債によって確保された部分が含まれているため、貸方の負債 の部の額(37,368 億円)を控除した計 62,914 億円が実質的自己資金である。そして、この対 象となる貸方科目は、教育研究支援基本金(12,919 億円)、支払保証基本金(4,002 億円)、Ⅲ 繰越収支差額及び準備金の部(45,993 億円)、計 62,914 億円となり、借方科目の実質的自己 資金の額と一致する。もう一つの「物的資産」も同様、借方が有形固定資産(146,545 億円)、 借地権等(357 億円)、計 146,902 億円であり、貸方も創設基盤基本金(131,166 億円)、整備 充実基本金(97,893 億円)、減価償却累計額(△ 83,319 億円)及びその他の基本金(1,162 億円)、 計 146,902 億円となり、両者は一致する。 自然な形の対照表の構成、「金銭資産」と「物的資産」に区分した貸借対比の可能化は、既 述の施設設備収支計算書 ( 仮称 ) 等と共に財務情報の理解度を大幅に高める筈である。 4. 事業別予算書(仮称)の作成 4.1 中長期計画に基づく予算編成 もとより予算編成は、当該法人の財政戦略を具体化するものであり、その中核は、「中長期 計画」である。中長期計画を年次計画として具体化し、財政上の権限を付与したものが予算 書であり、予算書には、当該法人の財政戦術を提示し、各教職員が行うべき行動に示唆を与 えるという役割もある。しかし、現行の資金収支予算書を例にすれば、それは単に経費科目 別の所要見込額を羅列した一覧表に過ぎず、背景にある計画書との関連付けはできない。 当該法人の経営理念にもよるが、例えば、教職協働を必要と考える法人の場合、その起点 は法人がその条件を整えることにある。条件の中軸となるのは、すべての事業内容を総体的 に表示した予算書である。この予算書の作成には、学内ルールに則った教職員からの「予算 要求書の提出」→「採択」→「開示」といったサイクルが想定される。こうしたサイクルの 中心に置かれる予算書の様式や事業内容の設定は、各法人の自主・自律に基づくことが必要 不可欠であり、基準等によって一律に規定され、公開を義務付けるべきものではない。 4.2 事業別予算書(仮称)の構成と計算原理 次に参考として、筆者のイメージする予算書の形(骨格)を示す。 様式4には、実際の金銭収支を伴う収支および事業経費を当該債権・債務の発生した年度 に計上する。従って、減価償却額や退職給与引当金繰入額は対象としないが、未収入金や未

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払金は対象とする。 決算時における総収支差額は翌年度に繰り越され、収入超過額の一部は、別に設ける保有 資金の運用・管理のための予算書(特別会計)に組入れ、逆にこの会計に多額の支出超過が 生じた場合は、特別会計からの組入もあり得る。特別会計に組入れられた各資金は、それぞ れの目的に応じた運用計画により有価証券、特定目的預金などの形態で保有され、有価証券 の期末現在額は、原則として時価評価額とし、期中における増減には資産の運用収益のほか、 利息・配当金収入、有価証券の評価増減、貸付・返済・貸し倒れ損失等を含むものとする。なお、 特別会計の様式の例示は割愛した。 様式4 平成○年度 学校法人○○ 事業別予算書(一般会計:総括表) 事業区分 事業の内容 予算額 1. 経常事業 < 事業内容は、消費活動収支計算書 (仮称)の対象にほぼ等しい > 前年度繰越金 ① 当年度収入事業② 当年度支出事業③ <具体的事業名称等を表示> 経常事業収支差額 ④=①+②-③ 2. 施設整備事業 < 事業内容は、施設設備収支計算書 (仮称)の対象にほぼ等しい > 前年度繰越金 ⑤ 当年度収入事業⑥ 当年度支出事業⑦ <具体的事業名称等を表示> 施設整備事業収支差額 ⑧=⑤+⑥-⑦ 3. 総収支差額(翌年度繰越額)⑨=④±⑧ ◎翌年度繰越額の内訳 (一般会計の各事業へ繰越) (特別会計の保有資金としての繰越) 注:実務的には部局別等に区分し、予算額は前年度と併記し差額を表示する。 おわりに 会計基準の役割である。この基準の目的は、補助金の適正交付を背景にした法人経理の適 正化である。学校法人は、継続的観点から公正・効率・効果的に資源を活用し、その結果を 正確に記録する。そして会計基準の規定するところの財務諸表を公開する。 しかし、適正交付のため資源活用の結果を問うことは当然としても、財政戦略に関してま で会計基準で一律に規定するのが果たして妥当であろうか。第1号基本金の実質的機能や意 義に関する評価は多様である。しかもこの多様さが財務情報を分かりにくくし、法人の“利 益隠し”と誤解される原因ともなっている。すると次には、機関補助制度の意義までが問わ れることとなる。補助制度の形はともあれ、国と私学セクター(必要に応じ国立大学法人も 含め)は、分かりやすい財務情報を前提に国民の納得が得られる財政支援の在り方を考えて いく必要がある。それには、会計基準の役割を決算基準に特化し、第1号基本金制度はこれ を廃止し、財政戦略に係る計画書や計算書は各学校法人の自由裁量に任せるべきである。そ して学校法人は、補助金のほか税制上の優遇措置を受けている者の説明責任として、分かり

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やすい財務決算情報を公開するのである。 1) 昭和 50 年 7 月、会計基準の根拠法となる私立学校振興助成法が制定され、私立学校に対する国の助成、 学校法人の自主的責務、大学経常費の 2 分の 1 以内補助等について規定された。 2) 昭和 47 年 4 月 28 日、雑管第 51 号、「学校法人の予算制度に関する報告(第 1 号)について」文部省 管理局長通知 (http://zen.lolipop.jp/youran/monka/monka-471114b.htm) 参照 3) 会計基準第 29 条は、平成 25 年 4 月、「帰属収入」が「事業活動収入」と改正された。しかし、条文 の本質的意義に変更はない。 4) 醍醐 (1977:22)は、造成資本会計に関し「収益費用の差額としての(国鉄の)『利益』は、分配可能 な剰余たる性格をもたず、具体的には、設備の建設や改良、あるいは債務の償還にあてられるべき資 金源として機能する」造成資本にほかならない・・・」と述べている。 5) 会計基準第 30 条第1項第1号に取替更新という文言はない。しかし、昭和 49 年 2 月 ( 文管振第 62 号 )「基 本金設定の対象となる資産及び基本金の組入れについて ( 報告)」の別紙 3.には「機器備品の取得は、 すべて基本金要組入額の増加要因とする」と記されている。 6) あずさ監査法人編、2011、『学校法人会計の実務ガイド ( 第 5 版 )』中央経済社、213 を参考。 7) 日本私大連盟、2007「新たな学校法人会計基準の確立を目指して」―外部報告の充実のために―(10)は、 「帰属収入の性格(使途)により施設等整備目的とそうでないものに区分する。使途が明確にされて いない収入については、学校法人の基準により区分することが望ましい(筆者要約)」と報告している。  また、ここで区分した金額はシミュレーションのための概数であり精査されたものではない。 引用(参考)文献 学校経理研究会編,2011,『学校法人の会計要覧(平成 23 年度版)』霞出版社 醍醐聰,1977,「国有鉄道における資本組入会計の再生産」京都大学『經濟論集第 120 巻第 3・4 号』) (http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/ronsou/10006074.pdf) 日本私立大学連盟,2006,「加盟大学財務状況の概要-平成 16 年度実績-」 (http://www.shidairen.or.jp./public/document/ZY2004summary.) 日本私立大学連盟編,2009,『私立大学マネジメント』東信堂 日本私立学校振興・共済事業団,2012,『平成 24 年度版今日の私学財政(大学・短大編)』学校経理研究会 細田哲,1985,「学校法人会計基準の問題点について ( Ⅰ )- 特に消費収支計算および基本金組入計算に関 連して -」城西経済学会誌 20(3),1-18,1985-02 (NII-Electronic Library Service)

文科省,2004,「今後の学校法人会計基準の在り方について(平成 16 年 3 月公表)」 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/025/houkoku/04041301.htm) 文科省,2012,「学校法人会計基準の課題に関する検討会における検討結果(平成 24 年 3 月公表)」 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/034/gaiyou/1319158.htm) 文科省,2013a,「学校法人会計基準の在り方について報告書(平成 25 年 1 月公表)」 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/054/gaiyou/1330460.htm) 文科省,2013b,「学校法人会計基準の在り方に関する検討会(平成 24 年度)(第 3 回)議事録」 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/054/gijiroku/1327868.htm)

参照

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定期活動:14 ヶ所 324 件 収入2,404,492 円 支出 1,657,153 円( 28 年度13 ヶ所313 件2,118,012 円 支出 1,449,432 円). 単発活動:18 件 収入 181,272 円 支出115,800 円

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越欠損金額を合併法人の所得の金額の計算上︑損金の額に算入

事業の財源は、運営費交付金(平成 30 年度 4,025 百万円)及び自己収入(平成 30 年度 1,554 百万円)となっている。.

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・宿泊先発行の請求書または領収書(原本) 大学) (宛 名:関西学院大学) (基準額を上限とした実費