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山梨大学教育人間科学部附属養護学校の相談支援室の成果と課題 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)山梨大学教育人間科学部附属養護学校の相談支援室の成果と課題 青 木. 洋 子. (山梨大学教育人間科学部附属特別支援学校). Ⅰ.はじめに. 本校に「相談支援室」ができて平成19年度で4年目になる。平成17・18年度は,筆者を 含めて2人で担当してきた。山梨県立の特別支援学校の教育相談については,担当区域が でき,また相談活動も充実してきている。一方,本校の場合は,山梨県立の特別支援学校 のその枠組みとは異なる独自の道を模索している。 そこで,本稿では,2年間にわたる本校の相談活動の成果や課題を整理することを通し て,教員養成課程を持つ大学の附属学校としての相談支援室の方向性について考えること を目的とする。. Ⅱ.相談支援室の位置づけ. 平成17年度の取り組みを踏まえながら,平成18年度は図1のような組織で活動を行って きた。相談支援室を中心に置き,コーディネーターが相談活動の窓口となり, 「プレスクー ル」「学校説明会」「特別支援教育研修会」等を計画立案・推進・実施してきた。 学校長・副校長. 相談支援室 相談室長 相 談 員. コーディネーター 各学部主事(入学相談). 教育支援部会. 進路支援部会. 生涯支援部会. 地域支援部会. 評価部 教務部 研究部. 進路指導部 各部主事. 進路指導部 若梧会担当 高等部主事 サークル活動部. 教務部 研究部 交流教育部. 小 学 部 会. 中 学 部 会. 高 等 部 会. 図1. 相談支援に関係する平成18年度の組織. - 127 -.

(2) また,図2(パンフレット一部抜粋)のように山梨大学に設置されている「教育相談室」 やその他の関係機関と連携しながら,教育相談活動を行った。. 図2. 「相談支援室」のパンフレットからの抜粋. Ⅲ.相談支援室の利用状況の実績. 以下,相談支援室の利用状況の実績について記す。. 1.電話相談・メール相談(平成17年度27件,平成18年度47件)に関する内訳について. ■相談媒体 平成18年度. 電話, 41. メール, 6. 電話, 24. 平成17年度 0%. 10%. 20%. 30%. 40%. 50%. メール, 3. 60%. 70%. 80%. 90%. 100%. ■相談者. 保護者, 28. 平成18年度. 幼・保 関係者, 5. 保護者, 15. 平成17年度 0%. 10%. 20%. 30%. 学校教職員, 13 その他, 1. 幼・保 関係者, 5 40%. 50%. - 128 -. 60%. 70%. 学校教職員, 3 その他, 1. 80%. 90%. 100%.

(3) ■相談の対象 平成18年度. 園児(幼・保), 8. 平成17年度. 園児(幼・保), 11 0%. 10%. 中学生, 4. 小学生, 35. 20%. 小学生, 14. 30%. 40%. 50%. 60%. 70%. 1 80%. 90%. 100%. ■相談の内容 平成18年度. 発達の遅れや偏り, 18. 平成17年度. 発達の遅れや偏り, 6. 0%. 10%. 20%. ADHD, 9. 問題行動,5 広汎性発達障害, 7 就学・進路, 3. ADHD, 5. 30%. 広汎性発達障害, 10. 40%. 50%. 60%. 70%. 不登校, 18 問題行動, 2 その他, 2. 80%. 90%. 100%. 2.来校相談(平成17年度23件,平成18年度47件)に関する内訳について. ■相談者 平成18年度. 幼・保 関係者, 4 学校教職員, 7. 母親, 36. 平成17年度 父親, 1 0%. 母親, 13 10%. 20%. 30%. 幼・保 関係者, 13 40%. 50%. 60%. 70%. 80%. 90%. 100%. ■相談の対象 平成18年度. 園児(幼・保), 13. 平成17年度. 小学生, 32. 園児(幼・保), 12 0%. 10%. 20%. 30%. 中学生, 2. 小学生, 11 40%. 50%. - 129 -. 60%. 70%. 80%. 90%. 100%.

(4) ■対象者の障害等 平成18年度. ADHD, 9. 平成17年度. ADHD, 5 0%. 10%. 発達遅滞, 5 その他, 1. 広汎性発達障害, 32. 広汎性発達障害, 9 20%. 30%. 40%. 50%. 発達遅滞, 4 60%. 70%. その他, 5 80%. 90%. 100%. ■相談事項 平成18年度. 家庭-学校等の連携, 38. 平成17年度. 家庭-学校等の連携, 14. 0%. 10%. 20%. 発達や学習の遅れ, 38. 日常生活動作, 38. 不登校, 14. 就学や進路, 2. 発達や学習の遅れ, 13. 30%. 40%. 50%. 日常生活動作, 5 就学や進路, 13. 60%. 70%. その他, 7. 80%. 90%. 100%. 3.2年間の相談状況と変化 2年間ともに電話・メール・来校による相談は保護者の相談が多かった。特に平成18年 度は,母親からの相談が多かった。保護者からの相談をきっかけに在籍学校と連携するケー スが多かった。相談の対象は1年目に比べて2年目は小学生の割合が大きかった。対象者の 状態は,広汎性発達障害にかかわる事柄が増加した。相談の内容については,家庭・学校 との連携や,学習や発達の遅れなどが多い。学習・発達の遅れに不安を抱きながら,家庭 と学校の連携の仕方に悩んでいる保護者が多いことがわかる。 特別支援教育が推進されて,地域の小学校に在籍しているものの,学習に追いついてい けず,何とかして保護者が学習を進めようとし,さまざまな機関に相談を求める例が増え てきている。また,本校へ相談事例についても,本校のみならず,医療機関などたくさん の機関を利用している事例が多かった。また,就学や進路に関する相談も多く,本校の3 人の学部主事を中心に入学相談の受け入れが非常に多くなってきている。. 4.相談事例の検討 (1)事例の概要 多くの相談が保護者からの発信で始まった。相談員とやりとりする中で,対象の子ども が在籍する各学校の担任や特別支援コーディネーターへとつないだ。そこで,教材・教具 の提示の仕方,座席の配置の仕方,板書に関する諸配慮,言葉がけの仕方などに関する情 報の提供を行った。校内支援体制の整っている学校では,その後,何回もケース会議を開 き,必要に応じて相談員も交えながら改善の方向を模索した。保護者には家庭生活での支 援の仕方やかかわり方・担任への伝え方などについてのアドバイスしながら進めた。 - 130 -.

(5) 対象の子どもがさまざまな面で不安定な場合には,直接的に学習指導をしながら安定し て過ごせる方向を模索した。保護者や本人との相談結果については,保護者の了解のもと, できるだけ山梨県総合教育センターへ伝え,各学校や市町村の教育委員会への働きかけを 依頼することにした。 医療機関との連携が必要な場合,担任や保護者と一緒に病院に出向いた。しかし,多く の相談が保護者・本人・担任どまりになっているケースが多く,今後の課題である。 (2)事例からの考察 多くの相談ケースから課題点をあげる。 ・本人の不安定さからくる保護者の不安感の増大。 ・本人を主体とした保護者の歩み寄りと障害の受容。 ・保護者と担任との意見の不一致。 ・担任一人に任される重圧感。 ・校内支援体制の不備。 ・発達や障害についての教師の理解。 ・障害を理解した上での教材・教具の提示の仕方。 ・教師一人でなく学校全体で行われる校内支援体制。 ・まわりの子ども達の存在を十分に考慮に入れた取り組み。 ・支援の仕方を意識した日常的な教師の言葉がけや取り組み。 ・センター的機能を担っている特別支援学校の教師の専門性の向上。 以上のような課題点を改善するために,まず,本人を中心にして保護者と教師に信頼関 係を築くことが大切である。そのために教師は保護者に歩み寄り,安心感をもたせること が必要である。多くの相談が担任の先生との意見の行き違いを訴えていることからも言え る。本人が不安定であってもまず,保護者とよく話し,改善点を見付けていくことが必要 である。その上で校内全体で環境を整えていく。そこには保護者の障害や状況の受容が前 提となる。また,教師の発達や障害についての理解も必須である。 さらに,学習における環境を整えることである。その子どもは何ができて,何ができな いかを含め,他の子どもと一緒に過ごせる時間などを考慮しながら支援のための計画をた てる。その子どもの認知能力を理解した上で他の子どもを巻き込んだ一緒に生きてゆくこ との大切さを伝えていくことである。本人が劣等感を持たないような教材・教具の提示や 様々な活動における配置なども考慮する。 そして,多くのケースの中でまわりの人の適切な言葉かけがないために問題が大きく なっているケースが非常に多いことも言える。その場の状況を捉えつつ,適切な関わりを 持てれば,それが本人との信頼関係となっていくことがわかってきた。子どもに対する固 定的・固執的な見方をせず,柔軟な姿勢が必要であることもわかってきた。 また,特別支援教育諸学校の教師の専門性の向上という点で,公立小学校・中学校の教 育内容をきめ細かく理解することが必要である。 - 131 -.

(6) Ⅳ.おわりに. 山梨県内の教育相談の地域割が決まり,学校に対しての支援を県内の特別支援学校が 行っている。保護者の教育相談については,総合教育センターが中心となって行っている。 このように相談体制が整いつつある中で,山梨大学教育人間科学部附属特別支援学校の相 談支援室の取り組みを通して,センター的機能として何を発信していけばよいのか,何を 担っていけばよいのかと検討を重ねている。 今後,本校の特色を生かした取り組みとして,大学との連携を密にし,実践とその理論 的な検証を重ね,公開研究会や研修会を実施して,情報を発信し続けるとともに,地域に こだわらない相談体制を構築できたらと考えている。. 文献. 1) 文部科学省(2004)小・中学校におけるLD(学習障害 ),ADHD(注意欠陥/多動性障 害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案). 文部科学省. 2) 山梨県教育委員会(2006)山梨の特別支援教育(平成18年度 ).山梨県教育委員会.. - 132 -.

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参照

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