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患者は語る  =患者の視点から見た医療・生活=

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Academic year: 2022

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(1)

埼玉県の医療について思うこと

中枢性尿崩症(CDI)の会 副代表 大木里美

~ 難病患者がおかれている現状について ~

1

難病は、特別な人だけがかかる病気ではない。国で指定して いる難病は

130

疾患だが、世の中には

5,000

7,000

疾患も の珍しい病気が存在すると言われ、いつ自分が、大切な家族 が、親しい友人や知人が当事者になっても不思議ではない

【平成24年度・埼玉県の現状】

・特定疾患医療給付制度受給者数(56疾患)

39,412人

・埼玉県単独疾患医療給付制度受給者数

(6疾患・さいたま市と川越市除く) 4,056人

・小児慢性特定疾患医療給付制度受給者数

5,174人

合計

48,642

難病について・

全国だと特定疾患(56疾患)のみで、810,653人(平成24年度)・

2

(2)

中枢性尿崩症( CDI )とは・

■多尿・口渇(喉の渇き)・多飲が主症状の稀少難病

間脳下垂体機能障害の1つである「中枢性尿崩症(CDI)」は、

脳下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンの分泌不足が 原因で発症し、体内の水分が大量の尿

となって排出されることから、大量の水 分を補給せずにはいられなくなる病気。 飲んでも飲んでも潤わない激しい喉の 渇きは、

CDI

患者か砂漠で遭難した人 しかわからない程と表現される

(国内患者数は推定

4,000

5,000

人)

脳下垂体

3

■薬を未使用の時は、

1

日15ℓ前後のお水を飲む

CDI患者の大木の場合・

200mlのコップだと、75杯分!

どれだけ過酷な喉の渇き、多飲多尿だか想像して欲しい・

4

(3)

■診断がつくまで

3

年半

20年前、息子(現在は大学生)を出産。産後、全身に多彩な症状(多尿・

口渇・多飲・倦怠感・微熱など)が出現する。20件以上のドクターショッピン グをするが、「精神疾患」と誤診され続け、処方され

ていた精神薬の副作用に苦しむ。出産から3年半後、

他県の大学病院の内分泌内科(ホルモンの病気を 診る科)を受診。ようやく、間脳下垂体機能障害の 中の「中枢性尿崩症」及び「下垂体機能低下症」と正 しい診断がつき、治療であるホルモン補充療法がス タートしたが・・・

誤診について

~私の闘病体験からみた

CDI

・難病の現状~・

患者数が少ない、専門医や専門の科のある病院も少ないなどの 理由から、CDIは初診で診断されることが稀な病気。(誤診が多い)

多くの難病が抱える現状でもある・

5

■「ない、ない、ない!」の現状、無理解や偏見

当時、CDIは必要とする医療・福祉制度が受けられない「制度の谷間」に 置かれた病気だったので、本当に困っていたのに何も支援が受けられな かった。また、CDIは個人差が大きい病気で、悩みや不安がつきなかっ たが、当時、私の住む埼玉県北部地域

には内分泌内科がある病院がなく、他 にもCDIの情報がない、他のCDI患者と 会う機会もないなど「ない、ない、ない!」

の現状に呆然とした。社会や周囲の無 理解や偏見(理解がない)にも苦悩した

医療・福祉制度、疾患の情報、社会の理解など・

~私の闘病体験からみた

CDI

・難病の現状~

医療・福祉制度の対象となっている病気(難病)は少ない、珍しい 病気は疾患の情報も少ない、社会や周囲の無理解や偏見(理解 がない)も根強い。多くの難病が抱える現状でもある

大木さんって、

変な病気なの・・・

元気に 見えるわ。

仮病よ!

6

(4)

「難病=奇病」ではない・

難病患者が受ける精神的苦痛を想像して欲しい・

本書では珍しい病気とい う意味であえて「奇病」と いう表現を使用…

(世界の奇病大全より)

人類の神秘とも言える

「奇病」…

(世界の奇病大全より)

7

患者会について

~私の闘病体験からみた

CDI

・難病の現状~・

■患者会の存在

「ない、ない、ない!」の現状に疲れ果てた私を救ってくれたのは、家族 の存在と「中枢性尿崩症(CDI)の会(患者会)」だった。患者の悩みは、病 気や治療に関することだけではなく、病気

があることで直面する日常生活の心配ごと、

人間関係や社会生活への支障、経済的な 問題、将来に対する不安など多岐に及ぶの で、患者会の存在は大きかった。やがて私 は、患者会の役員となり、さまざまな活動を

するようになる

専門医を招いての勉強会

患者会に入会し相互に支え合える同病の仲間と出会うことにより、

CDIと共存しながら生きられるようになった患者は多い。難病に限

らず、さまざまな病気の患者会でも同様である・

8

(5)

CDI患者共通の問題

~ 私の活動経験からみたCDI・難病の現状 ~・

■CDI患者が抱える問題(活動の中で気づいたこと)

CDI患者が語る悩みの6~7割は大きくわけ「3つの問題」に

集中しており、解決すれば、患者の

QOL

Quality of Life

: 生活の質)が著しく向上すること

1

】医療・福祉制度の問題

2

】未承認薬の問題

【3】知名度が低い問題

患者共通の問題を解決する為に活動するのも、患者会の大切な 役割であり、存在する意味でもある・

解決に向けて、

活動へ!

9

CDI 患者共通の問題

~私の活動経験からみた

CDI

・難病の現状~・

【1】医療・福祉制度の問題 【

2

】未承認薬の問題

3

】知名度が低い問題

解決に向けて、

活動へ!

1

】医療・福祉制度の問題

小児患者は小児慢性特定疾患の医療費助成が受けられた が(

20

歳まで)、間脳下垂体機能障害(

CDI

を含む)は特定 疾患に指定されていなかったので医療費助成がなく、成人 患者は高額な薬代に苦しんでいた

多くの難病が抱える現状でもある

10

(6)

成人の CDI 患者の苦しみの声・

・薬価が高くこの先自殺を考えるほど切実に困っています

・就業中、トイレと飲水を繰り返し職場を解雇されました

・薬のコントロールが難しく激しいだるさから寝込む日も多い です(就業困難)

・お金がないので薬だけはもらい検査は全て断っています。

もう何年も検査を受けていないので不安です

※「高額療養費制度」は受けられたが、完治が難しい病気

である以上、毎月の自己負担額は重すぎる

職場を解雇 された・・・

検査を受けて

ないから不安!

11

調剤薬局の 薬代は無料

特定疾患への指定を目指した活動・

・成人患者には医療費助成がなく、

高額な薬代に苦しんでいた ・平成16年より、患者会合同で特定

疾患の指定を目指した活動をスタ ート。署名活動など必死に行う

5

年間活動した結果

平成21年10月、「間脳下垂体機能障害(CDI含む)」特定疾患へ!・

国や埼玉県庁での陳情

特定疾患に!

12

(7)

難病法及び児童福祉法改正法で対象疾患拡大・

■難病の患者に対する医療等に関する法律

及び児童福祉法の一部を改正する法律の成立

平成26年5月23日、参議院本会議にて難病法及び児童福祉 法改正法が可決し成立。平成

27

1

月スタート

難病の制度が誕生してから

42

年ぶりの大改革!・

【医療費助成の対象疾患の拡大(指定疾患)】

・難病: 56疾患 → 約300疾患へ

・小慢:514疾患 → 約600疾患へ

【受給者数】

・難病:約78万人(平成23年度) → 約150万人(平成27年度)

・小慢:約11万人(平成23年度) → 約14.8万人(平成27年度)

13

現・特定疾患患者の複雑な気持ち・

難病法が成立、より多くの疾患・患者が医療費助成を受け られるようになるのは望ましいこと。今までが不公平すぎた

【現・特定疾患(56疾患)の患者】

難病法は”薄く広い”制度。重症者基準が設けられ、軽症者は対象から外され る。また、現在より自己負担が増える患者が8割以上とも言われている。不安 の声をあげている患者が少なくない。治療を打ち切らざる得ない患者も当然で てくる。亡くなる患者もいるだろう

※間脳下垂体機能障害(CDI含む)の患者もこの立場

難病法が成立したのは望ましいこと。だけど、薬や治療で症状をお さえている現・特定疾患の患者に対し、命に直結しかねない安易 な重症、軽症の線引きはしないで欲しい

だけど!

14

(8)

難病患者も障害者に・

■障害者総合支援法の施行

平成25年4月1日、障害者自立支援法を「障害者総合支援法」

とするとともに、障害者の定義に「難病等」が追加され、身体障害 者手帳の所持の有無に関わらず、必要と認められた障害福祉 サービス、相談支援、補装具及び地域生活支援事業等の受給が 難病患者(

130

疾患)・関節リウマチ患者も可能となった

難病患者が障害福祉サービスを受けられるのは喜ばしいこと。だ けど、各自治体が対象者に対し周知徹底していないなど、多くの 課題がある

だけど!

【平成26年1月・全国】

・障害福祉サービスを受けた難病等対象者

684

人(異常に少ない!)

15

「難病=内部障害」ではない

■内部障害とは

内部障害(肢体不自由以外の体の内部の障害)は、身体障害 者福祉法で定める下記の

7

つ。身体障害者手帳が交付される

・心臓機能障害 ・呼吸器機能障害 ・腎臓機能障害 ・膀胱又は直腸機能障害 ・小腸機能障害 ・肝臓機能障害

・ヒト免疫不全ウィルスによる免疫機能障害

※間脳下垂体機能障害(CDI含む)は、内部障害と認めら れていない (身体障害者手帳は取れない)

身体障害手帳は各種の福祉制度を利用する為に必要なもの。

障害者総合支援法に難病等が追加されたのに(難病患者は障害 者)、一部しか内部障害と定めていないのはおかしい・

ハート・プラス

マーク

16

(9)

難病患者に対する就労支援・

■難病相談・支援センターと連携した就労支援の実施

ハローワークに「難病患者就職サポーター(全国

15

人・埼玉県は 浦和安定所にあり)」を配置し、難病・相談支援センターと連携し ながら、就職を希望する難病患者に対する症状の特性を踏まえ た就労支援などを行っている

難病患者が就労支援を受けられるのは喜ばしいこと。だけど、受 け皿となる企業(就職先)がなく、病気を隠して就職する難病患者 も多い。難病が法定雇用率の対象外なのはおかしい

だけど、就職したくても!

法定雇用率が目当ての企業が多い中、身体障害者手帳がある障害者の法定雇用率 が2%に対し、身体障害者手帳がない難病患者は法定雇用率の対象外(0%)

※低賃金の職についていたり、無職の間脳下垂体機能障害 (CDI含む)の患者は少 なくない。CDIの若い患者に限ると、病気を隠して就職するケースがとても多い

17

■埼玉県障害者支援計画の推進

【「共生社会」の実現を目指した障害者施策の推進】

障害のある人(注

1

)が社会の構成員として障害のない人 と分け隔てられることなく活動できる社会=「共生社会」

の実現を目標とする「埼玉県障害者支援計画(計画期間:

平成

24

年度~

26

年度)」に基づき、障害者施策の推進を 図る

(注1)難病患者も含まれる

是非、埼玉県では、身体障害者手帳のある障害者と身体障害者 手帳のない難病患者が分け隔てられることなく、同じ障害者として 障害者施策を推進、共生社会を実現して欲しい(願い)

同じ障害者として・

18

(10)

CDI患者共通の問題

~ 私の活動経験からみたCDI・難病の現状 ~

【1】医療・福祉制度の問題

2

】未承認薬の問題 【3】知名度が低い問題

解決に向けて、

活動へ!

【2】未承認薬の問題

世界

84

カ国では使い勝手の良い「経口薬タイプ」の薬が治療 の主流だが、日本では使い勝手の悪い「点鼻薬タイプ」の薬 しか認可・販売されておらず、生活に支障をきたし、悩んでい る患者がたくさんいた

多くの難病が抱える現状でもある

19

冷蔵庫持参 で旅行~♪

効き目が不安定だと、

多尿・口渇・多飲で辛い!

操作が難しいし、この投与 スタイルは恥ずかしい!

冷蔵庫保存の薬は 外出が大変!

デスモプレシン(CDI治療薬)

~使い勝手の悪い点鼻薬タイプ~

デスモプレシン点鼻液・スプレー

20

(11)

経口薬(未承認薬)の日本導入活動・

・経口薬の良いところ

(効き目が安定している、常温保存ができ

る、人前でも気軽に服用できるなど)

・経口薬は世界84カ国以上で使われてい

る世界の標準薬。約30年前からある ・平成14年より、中枢性尿崩症(CDI)の会

では経口薬の日本導入活動をスタート

ミニリンメルトOD錠

(CDI治療薬・経口薬)

平成

25

3

月、日本でミニリンメルト

OD

錠が販売へ!・

11年間活動した結果

経口薬の導入活動の様子

21

本当にありがたい会議だけど!

■医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議

平成22年からスタートした「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会」

は、欧米で使われていながら日本では使えない薬を切望する私たちCDI患者に とって大きなチャンスとなった。この会議に要望書を提出。経口薬は必要性が高 いと判断され、国から製薬会社に開発要請が行き、販売に結びついた

この会議に提出する指定の要望書は、医療の素人である患者が作成できるもの ではない。専門の知識を持った医療関係者や専門家などの支援が必要

皆さま、ちょっと疑問をもって下さい!

■難病患者が命がけの活動

経口薬の活動は11年、特定疾患の活動は5年と命がけの活動の末、悲願達成

そもそも生きる事だけで精一杯で、命がけの活動など出来ない患者の方が多 い。

特に薬に関しては販売まで長い年月がかかり、間に合わずに亡くなっていく患

だけど!

22

(12)

CDI患者共通の問題

~ 私の活動経験からみたCDI・難病の現状 ~

【1】医療・福祉制度の問題 【

2

】未承認薬の問題

【3】知名度が低い問題

解決に向けて、

活動へ!

3

】知名度が低い問題

CDI

は稀少難病なので世間に疾患名が知られておらず、お よそ病気らしくない症状(多尿・口渇・多飲)から、無理解や偏 見、いじめに悩む患者がたくさんいた。また、患者数が少な い為(診る機会がない為)、CDIを正しく理解していない医師 が多く、誤診や間違った指導など後をたたない

多くの難病が抱える現状でもある

23

■患者講師とは

自らの闘病体験を医療や社会などに役立てたいと考え、講義や講演活動をする患者のこと。

私は平成18年から患者講師をしているが、たとえば医学部で講義をする場合は、教科書や 授業では学べない患者としての経験や思いなどを語る

■群馬大学の医学生の感想(レポートより)

・患者さんを人間として診ることが大事

・教科書にはない症状があった。講義はいつも医療者側の視点

・ある病気Aに対し治療A有効だと、テスト対策的に暗記して信じきっていた

・講義で詳しく習ったが、今日、めずらしい病気だと聞いてびっくりした

・同じ疾患でも患者さんによって症状の出方に違いがあることを肝に銘じなくてはならない

■患者講師からみた医学教育の問題点

現在の医学教育の主役は「疾患」で、「患者」について学ぶ機会が少なく、患者と医療関係者 の間に「認識のギャップ」がある

患者講師としての活動

認識のギャップを埋める為に、患者の声を伝えることが大切!・

群馬大学医学部

講義の様子

24

(13)

【患者の願い】

自分や大切な家族が病気になった時、お世話になる医師や看護師、医療関係者が、

医療技術に限らず、患者の視点から気持ちを汲み取り、上手く病気と共存した生活 が送れるように、必要な情報や助言などを与えてくれること

患者の声を医療関係者に伝える

「患者と作る医学の教科書」

日本初の患者が執筆した臨床系の教科書。

患者と医療関係者の協働作業により、ヘルスケ ア関連団体ネットワーキングの会に所属する25 疾患の患者団体が、「疾患の知識」や「患者の 声」を集約し制作した

「患者の声を聞く みんなで紡ぐ医療の絆」

群馬大学医学部の患者講師、担当教授、関係者 の協働作業により、「患者講師による講義の内 容」や、「講義を受けた医学生のレポート」などを まとめた実用書

CDI

のことも書いてあるので、良かったら読んで下さい!・

25

大きなことを変えていくには莫大な予算と長い期間が必要だ が、

小さなこと、出来ることからコツコツと始め、また、今ある資源を 有効活用することで、良い方向へ変わり、埼玉県民が満足する ことはたくさんあると思う。頭でっかちにならず、小さなこと、出 来ることから変えていくことで、埼玉県の医療や福祉がより良い ものになっていくことを望む

埼玉県の医療について思うこと

~難病患者及び患者会の立場から~

埼玉県医療を考えるとことん会議で、たくさん話し合いましょう!・

26

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