日本家禽学会誌,39.・cノ25‑J40,2002
卵殼形成における血漿カルシウム濃度と卵殼腺部のカルシウム 結合蛋白質(CaBP‑D28K)mRNAの発現
後藤尚也')・田上雅之I).水野雅司2).亀岡絵都子3).武石勝')
山村奈美子3).土井守3).上吉道治3)
')日本配合飼料株式会社中央研究所,栃木県芳賀郡茂木町字天子451,321‑3621 2)日清食品株式会社中央研究所,滋賀県草津市野路町2247,525‑0055 3)││皮阜大学農学部生物資源生産学科.11皮阜県岐阜市"ll戸1‑1,501‑1193
ニワトリの卵管の卵殼腺部におけるカルシウム(Ca)沈着にCa結合蛋白質(CaBP‑D28K)が関与して いることは良く知られている。しかし,CaBP‑D28Kの遺伝子発現とカルシウムとの関連についての報告 は少ない。そこで,本実験では,卵殼形成との関連において,最初に,血漿Ca濃度を測定し,次に,血 漿Caイオン濃度と十二指腸及び卵殼腺部におけるCaBP‑D28KmRNA濃度を測定した。
産卵鶏と休産鶏において,24時間にわたり211」澗毎にlⅢ漿Ca濃度を測定したところ,産卵鶏におい ては,血漿総Ca濃度と非透過性Ca濃度は,排卵14〜1611寺間後に相当する20〜22時にピークが認めら れた。一方,血漿Caイオン濃度は,排卵4時間後から611寺間後にホ│1当する10〜12時にかけて有意に増 ノ」Ⅱし,排卵6時間後において最も高い値を示した後,排卵10時間後にかけて急激に減少し,その低い濃 度が排卵16時間後まで維持された後,次の放卵時まで徐々に増加した。休産鶏においては,何れの血漿 Ca濃度についても有意な変動は認められなかった。また,プロスタグランジンF2(Mを投与して放卵を誘 起することにより,1m漿Caイオン濃度の低下は認められなくなり,さらに,アミノグルテチミドを投与 してステロイドホルモンの合成を抑制することにより,血漿総Ca濃度と非透過性Ca機度のピークは 認められなくなった。血漿Caイオン機度と共にCaBP‑D28KmRNAを測定した実験において,卵殻への Ca蓄積は,排卵4〜5時間後から始まり,最初の3時間は少なかったが,その後はほぼ一定の割合で行 われ,放卵前に減少した。lill漿Caイオン濃度は前述の結果と同様な変動が認められたが,この血漿Ca イオン濃度の変動の様相とは逆に,卵殼腺部におけるCaBP‑D28KmRNA濃度は,排卵4〜5時間後に最 も低い値を示した後,排卵13〜14時間後まで徐々に増加し,その高い値が排卵19〜20時間後まで維持 され後,次の放卵にかけて有意に減少した。これに対して,十二指ll易におけるCaBP‑D28KmRNA濃度 は,排卵周期中で有意な変動は認められなかった。以上の結果から,1m中Caイオン濃度は卵殼へのCa 蓄積と関連して変動し,血巾非透過性Ca濃度はステロイドホルモンにより影響を受けることが明らか となった。また,リ'1殼腺部におけるCaBP‑D28KmRNA発現は,卵殼へのCa帯依のみならず,それと関 連した血[│」Caイオン濃度とも関連している可能性が示唆された。
キーワード:カルシウム結合蛋白質,辿伝子発現,プロスタグランジンF2QI,アミノグルテチミド,カル
シ ウ ム イ オ ン
緒
一一一目
2001年9月27H受付2001年11月21日受理 連絡者:後藤尚也
〒321‑3621日本配合飼料株式会社中央研究所,栃木 県芳賀郡茂木IIIJ字天子451
TelO285−63−ll21 FaxO285−63−ll20
Email:hisaya.goto@nippai̲co.jp
ニワトリの排卵周期は約11̲1であるが,この周期にお いて,卵管の揃斗部に排卵された卵は,膨大部で卵白,
峡部で卵殼膜卵殼腺部(子宮部)で卵殼が形成され,
完成した卵として約1口後に卵殼I泉祁から膣部を介して 放卵される。そして,次の卵が排卵される。Warrenと Scott(1935)によると,卵管│メ1の各部位に卵が滞留する
J 2 6 日 本 家 禽 会 誌
││1洲は,漏斗部に18分,膨大部に211」fH54分,l映部に 1時間14分,卵殼腺部に20時間40分である。卵殼腺部 で形成される卵殼は5〜69であるが,その主成分は CaCO3である。従って,一個の卵を脈むのに要するカル シウム(Ca)は約2.0〜2.49である。このCaは,飼料か ら摂取したCaと鳥類において発達しているCaを貯蔵 する機能を有する骨髄'│ │・から供給されている(Driggers andComar,1949;Mueller"""1964)。
|Ⅲ中におけるCaは,蛋白質と結合した蛋白結合Ca, イオン化したCaイオンおよび無機物と化合物を形成し たCa化合物として存在しているが,大部分は蛋向結合 CaとCaイオンであり,これらでliⅡ中全Caの98%近 くを占めている(Copp"".,1969)。卵殼にCaが蓄柚 することから,卵殼へのCa蓄積との関連で,lⅢ中にお ける総Ca膿度(Hodges,1969;LuckandScancs,1979
;ParsonandCombs,1981;NysaaJ.,1986a;Kolling aaI"1992),非透過性Ca濃度(PaulandSnetsinger, 1969;Mueller"".,1973;NysaaJ.,1986b)及びCa イオン濃度(LuckandScanes,1979;Parsonsand Combs,1981;Nysg"/"1986a;Singheia/.,1986)の 変勤の様相が報告されている。しかし,非透過 kCa濃 度が卵殼形成と関連しているか否か,またCaイオン膿 度が卵殼形成以外のステロイドホルモンにより影響をう けているか否かは,まだ│リ1確にされていない。
飼料からのCaは主に小ll易から吸収されるが,小腸で のCa吸収能は‑│一二指腸,空腸,回ll易のlll目で低くなり,こ の│││II位と同じ様な関係でCa結合蛋白質(CaBP‑D28K)濃 度が低くなる(TaylorandWasserman,1967)ことなど から,今日では小腸におけるCa吸収はCaBP‑D28蕊を介 し,しかもこの蛋白質の合成に関与するmRNAの発現 は 活 性 型 ビ タ ミ ン D に よ っ て 調 整 さ れ て い る (CorradinoandFullmer,1991;Nys""/・,1992)こと が 剛 ら れ て い る 。 一 方 , 卵 殼 形 成 部 位 で あ る 卵 管 の 卵般││泉部においても,|│叶管と│h]じCaBP‑D28Kが存在し (Corradinoaal.,1968),しかもこの蛋白量と CaBP‑D28KmRNA濃度が卵殼形成との関連で変動する (Nys"".,1989;StriemandBar,1991;Bar"""
1992;Iedaaaj.,1995)ことから,卵殼腺部における卵 殼へのCa帯械においてもCaBP‑D28Kが関与していると 葛・えらている。しかし,卵殼腺部におけるCaBP‑D28K mRNAの発現機構は,必ずしもl・分に明らかにされて いない。
以上のことから,本実験では,蚊初に,IⅢ漿総Ca"
庇,非透過liCa濃度及びCaイオン濃度を排卵周期'│' の産卵鶏と休産鶏において一日の各ll寺期に川11定し,さら にプロスタグランジンF2q(PGF2q)投与による放卵誘
39巻J1号(2002)
起とアミノグルテチミド(AGT)投与によるステロイド 合成抑制が排卵周期中における血漿カルシウム濃度に与 える影響を検討した。次に,卵殼へのCa蓄積との関連 で,血漿Caイオン機度と 二指暘及び卵般腺部におけ るCaBP‑D28KmRNA濃度を測定した。
材 料 及 び 方 法
本実験では,大きく分けて2種類の実験を試みたが.
それらの実験に使用した供試鶏と試料の採取は次の通り である。
実 験 1 卵 殼 形 成 に お け る 血 漿 C a 濃 度 供試鶏
この実験lでは,3種類の実験を行ったが,これらの 実験に使用した供試鶏は何れも岐阜大学農学部動物環境 飼 育 室 で 飼 育 し た 白 色 レ グ ホ ー ン 種 ( ハ イ ラ イ ン マ リ ア)である。ニワ│、リは点灯IM始を午前5111iとする1411*
間照叫10時間暗黒の明暗周期下で,単飼ケージ内で飼 育し,成鶏用飼料(Ca含量2.75%以上,P含量0.55%以
̲'二)と水は自山に摂取させた。産卵鶏においては,実験 に先立ち,最低2週間以上の産卵記録をとり,1クラッ チの長さが4から6であり,クラッチ問の休産日が1日 で,しかも同じような連産を21'!│以̲L繰り返したニワト リ(体重1.6‑2.2kg,18‑24"jl齢)を使用した。また,一 部の実験で休産鶏を使用したが,休産鶏については,予 備実験で3日間の絶食絶水処1II1を行ったところ,処l'l!│}M 始 か ら 1 週 間 は 産 卵 せ ず , し か も 処 理 1 週 間 後 に お け る 卵巣重量が99以 ド,卵管重量が199以 ドであったこと から,│,ilじような処理をイj(j',処理1週間のニワトリ (体重l.2‑l.8kg,18‑24カ月齢)を休産鶏として使lllし た。実1験lにおける血液採取は,ストレスをできる限り 少なくするため,採血開始の│1i旧にカニューレを装着
し,カニューレを介して,翼下静脈よりヘパリン溶液で 湿らせておいた注射筒を用いて行った。採取したI(l1"
は,ヘパリン溶液で湿らせ,流動パラフィン(和光純薬 工業株式会社特級)を0.1m/入れておいた小型試験管に できる限り空気に触れないように入れた。その後,30分 以内に遠心分離(1,400×9,10分,4℃)し,血漿をi!}た。
採取60分以内にCaイオンを測定し,残りの血漿は,非 透過性Caの測定時まで‑20℃で保存した。なお,産卵 鶏における血液採取は,全てクラッチ輔2卵に対しての 排卵前の一日内で行い,クラッチ第2IIJ(C2)の排卵予 定時亥││の推定とカニューレ装着法によるIⅢ液採取は山村
ら(2001b)の#Mi'iと同様にして行った。
試料の採取 l)血漿Ca濃度
この実験ではクラッチ第2卵排卵間10111'の産卵fI)(8
K 遺 伝 子 発 現 と 血 漿 カ ル シ ウ ム 濃 度 J 2 7 後藤ら:CaBP‑D28K遺伝
羽)と休産鶏(7羽)について,午前10時から翌日の10 時までの24時間にわたり.2時間毎にlⅢ液を採取し,そ れらの血漿中のCa濃度を測定した。
2)放卵誘起による血漿Ca濃度
クラッチ第2卵排卵前22時iHl,言い換えればクラッ チ第1卵排卵後4時間に相当する午前10時に1回目の 血液を採取し,その4時間後のル│後2時における2回│|
の採血後,0.5mZの生哩的食塩水に溶解したl〃gの PGF2q,または0.5mjの生理的食塩水をポリエチレン 製チューブを取り付けた注射器を用いて卵殼腺部内に投 与した。PGF2aを投与した場合には,投与15分以内に 放卵が誘起されたニワl、リについて,他方,生理的食塩 水を投与した場合には,投与により放卵が誘起されな かったニワトリについて,4時間毎に翌1lの午前10時ま で111液を採取し,血漿Ca濃度を測定した。
3)ステロイド合成阻害による血漿Ca濃度
クラッチ第1卵の排卵4時間後に相当する午前10111f とその30分後に,それぞれAGTを体重kg当たり200 mg/mjの投与量で浅'剛筋に注射した。対照鶏には体亜 kg当たりlmjの溶媒を注射した。血液はこれらのニワ トリから,AGTの投与直前とその後4時間毎に翌日の 午前10時まで採取した。
実験2卵殼形成における卵殼腺部のCaBP‑D28K
m R N A
この実験では,mRNAをNol‑thernblothybridiza‑
tion法で定 肚的に,またSolutionhybridization RNaseprotection法で定量的に測定したが,それらの 方法における供試鶏と試料の採取は下記の通りである。
供 試 鶏
Northernblothybridizationに供試したニワトリは,
実験lと同様であるが,SolutionhybridizationRNase protection法に供試したニワトリは,採卵用コーマシャ
ルの白色レグホーン種産卵鶏(50週齢のデカルブTX‐
35)であり,ニワトリは││本配合飼料株式会社飼料畜産 開発センター内飼育室において,点灯管理を午前5時と する14時間照明:10時間暗黒の照明周!Ul‑ドで,餌と水 は自由摂取させて単飼ケージで飼育した。
試 料 の 採 取
INorthernblothybridization法
、この実験では,卵殼形成が行われている時期と行われ ていない時期において,腸管と卵管におけるCaBP‑D28K mRNA発現状況を定性的に知るために,午前8〜9時に 放卵したニワトリについて,卵殼l1泉部に卵が認められな かった正午と卵殼I服部に卵が認められたノF前211ゲとの2 時期に,それぞれ│折頭屠殺して,腸管と卵管の糸M織を摘 出し,内容物を食塩水で洗い流した後,それぞれの組織
から粘1期u職を鼎││がし11Xり,マイクロチューブに入れ,
液体窒素で急速凍結した後,Northenblothybridiza‑
tionによるmRNA測定時まで‑80℃で保存した。
2SolutionhybridizationRNaseprotection法 この実験では,卵殼形成過程における卵殼腺部と十二 指腸のCaBP‑D28KmRNA発現状況を定量的に知るため に,連産を比較的IEしく繰り返し,しかも午前8時から 911寺の間に放卵したニワトリにおいて,排卵1‑2時間後 から3時│H1毎に排卵23‑24時間後までの9時期に,111li 亥llに10羽ずつ断頭屠殺し,卵殼腺部と十二指腸を採取
して内容物を洗い落とした後,粘I貨組織を採取した。糸Ⅱ
縦は速やかに液体窒素下で凍結した後,Solutionhy‑
bridizationRNaseprotectionによるmRNAillll定まで
‑80℃で凍結保存した。また,卵殼腺部に卵が存在し,
卵殻膜が完全に形成された卵において,卵殼亜量と卵殻 Ca含量を測定した。さらに,ml漿Caイオン濃度の測定 のために,Im液を断頭屠殺前に翼下静脈より,予めヘパ リンで湿らしておいた注射筒を川いて採取した。採取し たlill液はヘパリンと酸化防止のため流動パラフィン(fll 光純薬業株式会社,特級)を0.1mj入れておいた小型試 験管にできる限り空気にふれないように入れた。その 後,30分以内に遠心分離(1,400×9,10分間,4℃)し,
血漿を得た。Caイオン濃度は,lill漿を得た後,60分以内 に測定した。
Ca測定法 l)血漿Ca (1)総Ca濃度
凍結保存しておいた血漿を室温で解凍した後,100"
を小型試験管に採取して原子吸光分析川希釈液で50倍 に希釈した後,試験管ミキサーで撹祥してから,原子吸 光分光光度計(PolarizedZeemanAtomicAbsorption Spectrophotometer;LI立Z6100型)で測定した。
(2)非過性Ca濃度
」│透過性Ca濃度は,総Ca濃腱と透過性Ca濃度を測 定し,総Ca濃度から透過性Ca濃度を差し引くことに より求めた。すなわち,総Ca濃度は,1鳥述した方法と同 様にして求めた。一方,透過性Ca濃度は,血漿を限外濾 過川チューブ(セントリカットW‑10;分画分子量1万;
倉救紡績株式会社)に400"j入れ,遠心分離(5,000×9,
1111ilW],4℃)して得られた濾液25"Iを原子吸光分析用 希釈液で40倍希釈した後,原子吸光分光光度計で測定
した。
(3)Caイオン磯度
I1Ⅱ漿Caイオン鵬度は,lill漿をi!}た後,60分以内にCa イオン測定器(Caイオンアナライザー,CA++150;
(株)常光)でlill漿状態のままで1111定した。なお,測定の
J 2 8 日 本 家 禽 会 誌 際流動パラフィンによる測定妨害を避けるため,パス ツールピペットで血漿のみを保存チューブに移し換え測 定を行った。
2 ) 卵 殼 C a
乳鉢で磨砕した卵殼lgをるつぼに入れ,600℃で2 時間炭化したものに6N塩酸をlOmj加え,約I0分間放 置後,蒸留水を加え,6倍に希釈した。得られた溶液は,
1N塩酸で500倍に希釈し,│鼠子吸光分光光度計で卵殼 中Ca含量を測定した。
CaBP‑D28KmRNA
本実験においては,mRNAの定性的な測定方法とし てのNorthernblothybridization法とmRNAを定量 的に測定可能なSolutionhybridizationPNaseprotec‑
tion法を使用して,mRNAの測定を行った。これらの 測定に使用したCaBP‑D28KcDNAプローブは,Komm 博士(アリゾナ大学)が作成し,島田渭司博士と家田照 子博士(名TII.屋大学)により提供されたものを使用した。
ま た , 組 織 か ら の R N A の 抽 出 は グ ア ニ ジ ン チ オ シ ア ネートーフェノール・クロロホルム法によりイ「った。llll 出したRNAは,吸光度計で260nmの吸光度を測定す る こ と に よ り 濃 度 を 算 出 し た 。 な お , 実 験 に 供 し た RNAの260nmと280nmの吸光度の比は1.8以̲│二で あった。
1)Northenblothybiridization法
mRNAの定性的な測定は,767bpのCaBP‑D28K cDNAプローブを用いて,Northenblothybridization 法で行い,その概略は次の通りである。
すなわち,0.02MMOPを含む1%アガロースケルの スロットに組織から抽出したRNAをlスロット当たり に20"g/30"になるように,またはRNA分子量マーカ を注入して電気泳動を行った。泳勤終r後,ゲル上の RNAをバイオダインA‑ナイロンメンブラン(日本ポー ル(株))に転写した。これと561bpのCaBP‑D28KcDNA から作成し,32Pで標識したCaBP‑D28KDNAプローブと ハ イ プ リ さ せ , そ の 後 バ イ オ イ メ ー ジ ア ナ ラ イ ザ ー (BAS2000,富士フィルム(株))を川いて画像を読みと り,解析を行った。測定値は特異的なバンドの放射能量 から非特異的な部分の放射能量(バックグランド)を差 し引いた値で表した。なお,一部の実験で,宮本蕪博 士と水谷哲也博士(福井医科大学)により提供され,
PCR法により合成されT‑Easyベクターに取り込まれ た561bpのニワトリGAPDHcDNAう°ローブを川い て,InternalStandardとして,上述と│司様にしてjlll定 を行った。
2)SolutionhybridizationRNaseprotection法 mRNAの定量的な測定は,ヒツジ下垂体前葉'‑│!の
〕9巻J1号(2002)
Comm‑(M,LHβ及びFSHBmRNAを測定したLeung ら(1988)の方法に準拠して,山村ら(2001a)の報告と 同様にして,Solutionhybridization‑PNaseprotection 法によって行った。なお,この法においては,標準1IIhと なるSenseRNAと32Pにより標識した32P̲antisense RNAは,BluescriptllSK(‑)ベクターに挿入された 560bpのニワトリCaBP‑D28KcDNAプローブを使用し て,加〃"γotranscription法によって合成した。
統 計 処 理
データの統計処理は分散分析によりF値を検定した 後,タ.ンカンの多重範1I:l検定法で危険率が5%以下に なった場合に有意な差があるものとし,2つの平均値の 差の検定は,Student'st‑testで行った。
結 果 血漿Ca濃度の変動
産卵里 と休産鶏の一日の各時期における血漿Ca濃度 の測定結果を図1に示した。
産卵鶏においては,総Ca儂度(375mM〜5.02mM), 非透過性Ca濃度(209mM〜3.31mM),及びCaイオン 濃度(1.15mM〜1.41mM)の何れにおいてもほぼ1日の 周期である排卵周期中において有意な変動が認められた (P<005)。すなわち,総Ca濃度は,午前10時から増加 し始め,22時に最も高い値を示した後,翌日の午前10 時にかけて前日の午前10時とほぼ同じ濃度まで││旧次減 少した。非透過性Ca濃度は総Ca濃度の場合と同様に,
午前10H寺から増加し始めたが,最も高い濃度は20時に 認められ,その後は総Ca濃度の場合とほぼ同様な様相 で推移した。これに対して,Caイオン濃度は,排卵4時
│州後から6時間後に相当する10〜12時にかけて有意に 垪加し(P<005),排卵6時間後に最も高い値を示した 後,排卵10時間後に相当する16時にかけて急激に減少 し,その低い濃度で22時まで推移した後,放卵時にかけ て徐々に増加した。‑一方,休産鶏においては,何れのCa 機度に関しても測定した1日に期間において有意な変動 は認められず(P>0.05),しかも産卵鶏に比べ低い値で あった。
放 卵 誘 起 に よ る 影 響
PGF2aを子宮内に投与し放卵が誘起された処11│1鶏と 対照鶏におけるml漿Ca濃度測定結果を│Xl2に示した。
総Ca濃度と非透過性Ca儂度は,共に10時から徐々 に増加し22時に最も高い値を示した後,翌日の10時に かけて減少し,{IIIれの時期においても,処理鶏と対照鶏 との間で有意な差は認められなかった(P>0.05)。これ に対して,Caイオン濃度は,対照鶏においては,14時か ら22時にかけて急激に減少し,その後は次の放卵ll寺に
後藤ら CaBP‑D28K遺伝子発現と血漿カルシウム濃度 一○一産卵鶏、Layinghen
−−●−−休産鶏、Non‑layinghen
J29
6420
︵冒日︶
目C画国圏目の買目・日ロ臼司Q君ぢ臼
囲辿判心八ミ侭望 bcaスピ
43210
︵ご壹目閏︶
ロ○君国目8口8日日当g①室田己消で︲poz
囲辿ぐゃハミ侭迩一項姻擶 Ja記些
6
420
1111
︵︾言忌巨︶
口○画呵揖目の︒口CQ目白日ロロs百○
囲迦入楡やぐや八ミ仮 f
1 0 1 2 1 4 1 6 1 8 2 0 2 2 0 0 0 2 0 4 0 6 0 8 1 0 一 日 内 の 時 間
Timeinaday
産卵鶏と休産鶏の一日の各時期における血漿総カルシウム,非透過セ
図] 産 卵 鶏 と 休 産 鶏 の 一 日 の 各 時 期 に お け る 血 漿 総 カ ル シ ウ ム , 非 透 過 性 カ ル シ ウ ム と カ ル シ ウ ム イ オ ン 濃 度
Concentrationsoftotalcalcium,non‑diffusiblecalciumandcalciumionin theplasmaoflayingandnon‑layinghensatvarioustimesinaday 各点は7〜8羽の平均値±標準誤差.
EachpointisMean±SEof7〜8hens.
同じライン上での異符号間に5%水準の危険率で有意差あり.
Meanswithdifferentsupel・scriptsinthesamelinearesignincantly
different(P<0.05).
19
口﹃ILF
かけて││旧次増加した。一方,14時の血液採取後に卵殼腺 部内へのPGF2α投与により放卵を誘起した処理鶏にお いては,濃度は放卵誘起後から増加し,放卵誘起後の何 れの時期においても対照鶏との間で有意に高い値を示し
た(P<0.01)。
ス テ ロ イ ド 合 成 阻 害 に よ る 影 響 AGTを投与し,ステロイドホ
A G T を 投 与 し , ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン の 合 成 を 阻 害 し た処理鶏と対照鶏における血漿Ca濃度の測定結果を図
│|本家禽会誌39巻J1号(2002) 一○一対照鶏、Controlhen
‑●一処理鶏、Treatmenthen D J30
言旨︶9画国言8﹇﹇8日員ロ百百目︵冒日︶g胃s5目8日︒己君:室温唱弓︲gz
︵冒日︶囲墾卦伯一︑型へ侭黎︵冒日︶囲辿鞭貝で3へ長起︑噌姻蒜 8
6
A B A
4
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65432
b
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A B A
★ ★ ★ ★
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a召員言g室田勇目の○口○○自負目国昌○忌○
︵冨日︶囲辿入棺や4いぶミ侭
a
1 0 1 4 1 8 2 2 0 2 0 6 1 0 一日内のll寺間
Timeinadav
プロスタグランジンの投与が1m漿総カルシウム,非透過性カルシウムとカ ム イ オ ン 濃 度 に 及 ぼ す 影 響
図 2 Iレシウ
Fig.2.Innuenceofprostaglandininjectiononplasmaconcentrationsoftotal calcium,non‑diffusibleionandcalciumion
各点は5〜6羽の平均値士標準誤差 EachpointisMean±SEof5〜6hens.
│,ilじライン上での異符号間に5%水準の危険率で有意差あり.
Meanswithdiiferentsuperscriptsinthesamelinearesignincantly different(P<0.05).
★★対照鶏に対して1%水準で有意差あり.
★★P<0.01versLIscontrolhen..
後藤ら:CaBP‑D28K遺伝子発現と1m漿カルシウム機度 J31 8 一○一対照鶏、Controlhen
‑‑●−処理鶏、Treatmenthen
八︑
4654326
1
︵冒日︶口◎冒閏目8口8白自旦g君ぢ日︵冨日︶口自活角言gp8日日︒君︒①一呂閂逼君︲目︒z
︵冒日︶浬辿パ﹃心︑3へ侭鼈︵昌冒︶遡墾ぐい︑3へ長型一項燭擶
b c c
C
54321111
含言屋ら口昌碧呵皇宮の○口CO自白眉目胃己百○
︵冒日︶幽鑿八杙や4いぶ当侭
.
C
,
1.1 a
1 0 1 4 1 8 2 2 0 2 0 6 1 0 一 日 内 の 時 間
Timeinaday
アミノグルテチミドの投与が血漿総カルシウム,非透過││首カルシゥ
図 3 アミノグルテチミドの投与がⅡu漿総カルシウム,非透過││竜カルシウムとカルシウ ムイオン濃度に及ぼす影響
InfluencGo[aminoglulethimideinjectiononplasmaconcentrationsoftotal calcium,non‑dilTusibleionandcalciumion
各点は5〜6羽の平均価士標準誤差.
EachpointisMean±SEof5〜6herls・
同じライン上での異符号間に5%水準の危険率で有意差あり.
Meanswithdifferentsllperscriptsinthesamelinearesignincantly different(P<0.05).
★対照鶏に対して5%水準で有意産あり.
★:P<0.05versuscontrolhen.
Fig.3
日本家禽会誌39巻J1号(2002)
A B
腸 管 卵 管 腸 管 IntestineOviductlntestine J32
卵 管 Oviduct
l l l I
" …
矛
メ
32 O0 kk bb
一一 醗乳,IX14.腸管と卵管におけるCaBP‑D28KmRNAのNorthernblot分析
Fig.4.NorthemblotanalysisofCaBP‑D28KmRNAintheinestineandoviduct
A:組織は卵が卵殼腺部に存在していた午前2時に採取した.A:Tissueswerecollectedal2:00amwhenaneggwaspresentintheshell
ll
glanq.
B:糺l幟は卵が卵殻腺部に存在してしていない正午に採取した.
B:Tissueswerecollectedatnoonamwhenaneggwasnotpresentinthe shellgland.
CaBP‑D28KmRNA分子種のサイズは左側に示されている SizesofCaBP‑D28KmRNAspeciesareshownontheleftside.
2時期において,腸管の十二指腸,空腸,回腸,盲││易,結
直腸と卵管の漏斗部,膨大部峡部,卵殼││隈部l1窒部に おけるmRNA発現を検討した結果を図4に示した。似'4に示されるように,腸管においても卵管において も2.0kbと3.0kbの二種類のCaBP‑D28KmRNA分子種 が認められた。それらの分子種の発現量は,腸管におい ては‑'一・二指l1易,空ll易,II!lll易,結直腸,盲I易の111頁で,何れ のll場管組織においても卵殻形成の有無による大きな差異 は認められなかった。これに対して,卵管においては卵 殼腺部においてのみ発現が認められ,しかも卵殼形成が 認められない時期に比べ卵殼形成が行われているll寺期の 方が発現趾が多かった。
上述の結果から,CaBP‑D28KmRNAが多く検出され た││勝管の|・二指││勝と卵管のり│j殻腺部において,卵殼形成 の有無によるCaBP‑D28KmRNA分子種の発現に差異が あるか否かを検討した。その結果をIXI5に示した。
3に示した。
AGTを投与したニワトリにおいて,放卵は全て予想 排卵時刻に行われた。
総Ca濃度と非透過性Ca濃度は,対照鶏においては,
│1il述した排卵周期'‑│!における変動の様イllと同様に,22時
にピークとなるような有意な変動を示した。これに対し て,AGT処理鶏では,有意なピークは認められず,ll!ffH の経過と共に少しずつ減少する傾向が認められた。一方,Caイオン膿度は,対照熟と処III鵯との間でいず れの時期においても有意な差は認められず,前述した排 卵周期巾における変動の様相とほぼ同様な変動であっ
た。
NorthenblOthybridization法によるCaBP‑D28K mRNA発現
卵殼腺部に卵が認められず卵殼形成が行われていない jl三午と卵が認められ卵殼形成が行われている午前2111Fの
後藤ら:CaBP‑D28K遺伝子発現と血漿カルシウム濃度
A B
I ー ̲ ̲ ̲ ̲ ̲ − 1 「 − ̲ ̲ 一 ̲ ̲ 1
J33
瀞
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3210
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一一bbkkOO32 蕊繍垂燕葡
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A B 十 二 指 腸 DuOdenum
A B
卵殻腺部 Shellgland
議蕊 総議
もl
GAPDH《、
図5.十二指腸と卵殼腺部におけるCaBP‑D28KmRNAの大分子種に対する小分子種の
割合
Fig.5.RationofthemajorspeciesversLIstheminorspeciesofCaBP‑D28kmRNA intheduodenumandshellgland
A:組織は卵が卵殼腺部に存在していた午前21畔に採取した.
A:Tissueswerecollectedat2:00amwhenaneggwaspresentintheshell
gland.
B:ill幟は卵が卵殼腺部に存在してしていない」F午に採取した.
B:Tissueswerecollectedatnoonamwhenaneggwasnotpresentinthe shellgland.
各棒は10羽の平均値と標準誤差 EachbarisMean±SEoflOhens.
図4の結果と│司様に,十二指腸においても卵殼腺部に おいても,2.0kbと3.0kbの二種類の分子極が認めら れ,しかも3.0kbのCaBP‑D28KmRNA分子種に比べて 2.0kbのそれの方が発現量が多かった。そこで,十二指 腸と卵殼腺部の組織間,及び卵殼形成の有無により,2 種類の分子極の発現量に差異があるか否かをfⅡるために 発現量をバンドの攪淡からBAS200を用いて数値化す ることによって求め比較したところ,'二指││易と卵殻腺 部において何れも.2.0kbのCaBP‑D28KmRNA分子種 の方が3.0kbのそれに比べて約2.4倍多く,しかもそれ らの値は十二指腸と卵殼腺部における組織間のみならず 卵殼形成の有無においても有意な差異は認められなかっ た(p>0.05)o
SolutionhybridizatiOnRnaseprotection法による CaBP‑D28KmRNA発現
l)SolutionhybridizationRNaseprotection法に よるCaBP‑D28,<mRNA測定法の確認
SolutionhybridizationRNaseprotection法により,
CaBP‑D28KmRNAが定量的に測定できるか否かを確認 するために,32Pで標識したCaBP‑D28Kのanti‐
senseRNAプローブを,標準品であるCaBP‑D28Ksense RNAとあるいは十二指IIM,卵殼腺部,結直腸,膨大部の それぞれの組織から抽出したRNAを反応させ,得られ た用量と反応との関係を図6に示した。
AntisenseRNAはSenseRNAと7.8〜250Pgの範
│昨│で用量‑反応IIII線が成立した。SenseRNA測定におけ
日 本 家 禽 会 誌 3 9巻J1号(2002)
ン濃度と卵殼重量および卵殼Ca含量の肌ll定結果と共 に,図7に示した。
血漿Caイオン濃度は,排卵1〜2時間後から排卵4〜
5時間後にかけて有意に増加し(P<0.05)し,排卵4〜5 時間後において最も高い値を示した後,排卵1()〜1l時 間後にかけて急激に有意に減少し(P<005),その低い 儂度が排卵19〜20時間後まで維持された後,次の放卵 時にかけて有意に増加した(p<0.05)。
排卵された卵は,排卵4〜511寺間後から卵殼腺那に認 められるようになり,その卵殼腺部における卵の卵殻重 量の増加と卵殻へのCa蓄積は,最初の3時間は少な かったが,その後はほぼ一定の禅'1合で増ノJIIし,放卵直前 に減少した。
卵殼腺部におけるCaBP‑D28KmRNA濃度は,0.7
10.8fmol/10"gRNAで排卵周期中において著しい変動
を示した。すなわち,排卵l〜2時間後から4〜5時間後 にかけて減少し,排卵4〜5時間後において07=t0.lfmol/10"gRNAと最も低い濃度を示した後,急激に増
加して排卵13〜14時間後に10.8±07fmol/10"gRNAと最も高い濃度を示した。その高い濃度が排卵19〜20 11寺間後まで維持された後,放卵ll!fにかけて有意に減少し た(p<0.05)。これに対して,十二指腸における CaBP‑D28KmRNA濃度は,5.8〜9.lfmol/10"gRNAの 範囲であったが,有意な変動は認められなかった(P>
0.05)。
考 察
今までに,卵殻形成との関連でlill中Ca膿度の変動の様 相が報告されている(Hodges,1969;PauiandSne‑
tsinger,1969;MLleller"".,1973;LLIckandScanes, 1979;ParsonandCombs,1981;Nys"".,1986ab;
Kolling"".,1992;Singh"".,1986)が,本実験にお いて,血中Caイオン膿度は卵殻形成との関連で変動し ているが,蛋白質と結合した非透過性Ca儂度は必ずし も卵殼形成とは連動せず,むしろステロイドホルモンに よって影響されていることが明らかとなった。すなわ ち,イj常在形態が異なるCa全てを合計したものとして表 される総Ca,分子量の大きい蛋白質と結合していると 考えられる非透過性Caおよびイオン化したCaイオン の血漿における濃度は,何れも,周期がほぼ一llである 排卵III1期中において変動していることが認められた。し かし,排卵が認められない休産鶏においては一I1の内で 有意な変動は認められなかった。これらのことは,これ らのlill'‑│1Ca膿度は,少なくとも排卵との関連で変動し ていることを示している。しかし,PGF2aの卵殼腺部│ノリ への投与‑により放卵を促して卵殻形成をIIⅡ止することに J34
●CaBPmRNA,CaBPmRNA O十二指腸A、DoudenumA
■‑'一二指腸B、DoudenumB 口卵殼腺部A、ShellglandA
▲卵殼腺部B、ShellglandB
△直結腸、Rectumcolon
◆膨大部、Magnum
0000
000000321
︵日g︶で①国壱﹇皇残塁くz酉Q四四甸○︲ロ国師
︵巳号︶咽如埋至z唇四四s︲口勇
110100100010000100000
mRNA(pg/チューブ)or総RNA(ng/tubeチューブ)
m R N A ( p g / t u b e ) o r t o t a l R N A ( n g / t u b e )
図632P‑CaBP‑D28KcRNA(antisenseRNA)と SensGRNAあるいは各種組織のRNAとに よる用量‑反応曲線
Fig.6.Thedose‑responsecurvesforhybridi‑
zationof32P‑CaBP‑D28KcDNA(antisense RNA)withsenseRNAol‑RNA[rom
varlOuStlssues
A:組織は卵が卵殼腺部に存在していた午 liil2時に採取した.
A:Tissueswerecollectedat2:00am whenaneggwaspresentinthe shellgland.
B:組織は卵が卵殼腺部に存在していない 正ノ「に採取した.
B:Tissueswerecollectedatnoonam whenaneggwasnotpresentinthe shellgland.
るアッセイIノ1の変動係数は,7.13%であった。また,
CaBP‑D28KのAntisenseは十二指腸と卵殼腺部から抽 出したRNAとは反応し,用量‑反応曲線が成立し,しか もこれらの用1,t‑反応曲線とSenseRNAによる川量‑反 応曲線との間で平行性が認められた。また,これらの組 織の反応において,卵殻形成のイI無により, 二指腸で はほとんど差は認められなかったが,卵殼腺部において は卵殻形成が汀われている場合の方が行われていない場 合に比べて反応が多かった。これらに対して,結直腸と 膨大部のRNAは,本実験で側Mした13"gまでの用量 内では,反応は認められなかった。
2)卵殼形成過程における十二指腸と卵殼腺部の CaBP‑D28,(111RNA濃度
排卵周期中において3時間毎に十二指腸と卵殼腺部の CaBP‑D28KmRNA濃度を測定した結果を血漿Caイオ
後藤ら:CaBP‑D28K遺伝子発現とlill漿カルシゥム濃度
1 . 6 司 .
T Q R E J L 八 J
︵冒日︶g二四首89目昌日国巳忌︒︵冒日︶腿墾入棯や到娼氏ミ侭
1.4−
1.2−
I 1
︵︑︹眉︶一口gロCO︹眉三℃君○壱口︑︵︑︶碧昌︑肩の夢﹇﹇①昌四
団日︶咽如笥心熟ミ長却団︶川畑龍目 f
6543210
土﹃服0〃卵力一一↓↓]
I 1 1
−←卵殼腺部、Shellgland
12
目白苗閏冒gp8ごz日二爲口︲四国○
く乞閏雲︑ミヨ君ggごz項目諸国ロ山国屯︒
8
40
︵くz閨︷99m1つご弓︹掴︶
I 1 1
1 〜 2 7 〜 8 1 3 〜 1 4 1 9 〜 2 0 2 3 〜 2 4 4 〜 5 1 0 〜 1 1 1 6 〜 1 7 2 2 〜 2 3
排卵後の時間 Hourafterovulation
図7.排卵周期['1の色々な時期における血漿カルシウムイオン濃度,卵殼重量,卵殼カルシウム含量
と卵殻腺部CaBP‑D28KmRNA儂度
F i g . 7 . C a l c i u m i o n c o n c e n t r a t i o n i n t h e p l a s m a , e g g s h e l l w e i g h t , c a l c i u m c o n t e n t i n t h e e g g shellandCaBP‑D28KmRNAconcentrationintheshellglandatvarioustimesduringthe
ovulatorvcvcle
各点は9〜10羽の平均値±標準誤差.
EachpointisMean±SEof9〜10hens.
同じライン上での異符号間に5%水準の危険率で有意差あり.
Meanswithdifferentsuperscriptsinthesamelinearesignincantlydifferent(P<0.05).
J 3 6 日 本 家 禽 会 誌 より,卵殼形成時に認められた血漿Caイオン濃度の減 少は認められなくなり,むしろ増力llしたのに対して,Ⅲl 漿総Ca濃度と非透過性Ca濃度の変動には有意な影響
は認められなかった。これらのことは,Ⅲ中Caイオン 濃度は卵殼形成との関連で変動しているが,卵殼への Ca沈着は血中総Ca濃度と非透過性Ca濃度には必ずし
も反映しないことを示している。
AGTはコレステロール側鎖切断酵素活性の抑制を介 してステロイドホルモンの合成を阻害する(Kowal, 1969)ことが知られている。本実験では,LHの放出に対 するステロイドホルモンの影響を検討したJohnsoll andvanTienhoven(1984)の報告における用量と投与 方法でAGTを投与したところ,AGTの投与によって,
排卵周期中におけるⅢl漿Caイオン濃度の変動には影響 が認められなかったが,血漿総カルシウム濃度と非透過 性Ca濃度の変動は認められなくなった。このことは,
ステロイドホルモンが血中Caイオン濃度に影響を与え る可能性は少ないが,血中総Ca膿度と非透過性Ca濃 度には影響を与えていることを示している。Ⅲl漿非透過 性Ca濃度は,総Ca濃度の約60%を示しているが,こ の 非 透 過 性 C a は 卵 黄 前 駆 物 質 と し て 知 ら れ る vitellogeninと呼ばれるリン蛋白質と結合した (Greenberg"".,1936)ものであり,産卵に伴って血中 濃度が増加する(Copp,1969)ことが知られている。
また,|│Ⅱ中非透過性Ca濃度は,エストロジェンの投 与によって雄鶏やヒナにおいても増加する(Urist""., 1958)ことが報告されている。本実験では,総Ca濃度と 共に,非透過性Ca濃度は一日の時刻では正午頃から 徐々に増加し,20時頃に最も高い濃度を示した後,徐々 に減少している。実験ではクラッチ第2卵の排卵前の一 日内において,Ca濃度を測定しているので,クラッチ第 2卵に対してはこの実験での正午は排卵20時間前頃に
相当し,また22時は排卵10時間前頃に相当する。本実
験と同じ条件で供試している山村ら(2001b)は,本実験 で血漿非透過性Ca濃度の増加が認められたと同じ時期 に卵胞発育が認められたと報告している。このように,Ⅲl漿非透過性Ca濃度の増"l1の時期と卵胞の発育が認め られるllf期とが一致していることは,排卵との関係で認 められた1m漿非透過性カルシウム濃度の変動は,卵胞発 育と関連していると推察される。この推察は,AGTを 投与して,ステロイドホルモンの合成を阻害することに より,排卵との関連で認められた血漿非透過性Ca濃度 の変動が認められなくなったことによっても支持され
る。
すでに,ウズラ(StriemandBar,1991)とニワトリ (KingandNorman,1986;Bar"""1992;Iedaaa/.,
39巻J1号(2002)
1995)の十二指腸と卵殼腺部のCaBP‑D28KmRNA分子 種について,比較的発現量の多い2.0kbの分子種と2種 類の発現量が比較的少ない約3.0kbの分子種が存在す ると報告されているが,発現量が少ない約3.0kbの2種 類の分子種のサイズはほぼ同じで,StriemandBar (1991)とBarら(1992)の報告では約3.0kbの2種類の 分子種はまとめて1種類の分子種として表している。本 実験では,十二指腸と卵殼腺部において,少なくとも20 kbと3.0kbのCaBP‑D28KmRNA分子種が存在するこ とが確認されると共に,それら2分子種間における発現 量は2.0kbの分子極の方が3.0kbの分子種に比べて多 く,しかも何れの分子種においても腸管組織では,十二 指腸,空腸,回腸,結直腸,盲腸のlllHで発現壁が多く,
すでに報告されている腸管におけるCa吸収能(Taylor andWasserman,1967)と相応していた。また,卵管で は卵殻腺部においてのみ,CaB‑D28KmRNAが検出され
た。これらのことは,CaBPが卵殼腺部におけるCa沈
着機能と密接に関係しているという報告を支持してい る。また,前述したように,CaBPD28KmRNA分子種は 2種類として確認されたが,卵殼腺部のみならず十二指 腸においても,発現量は2.0kbの分子種の方が3.0kbの 分子種に比べて約2.4倍多く,しかもこの発現量の割合 は卵殼形成の有無によって有意な差異は見出されなかっ た。このことは,2.0kbと3.0kbの分子種の発現割合は,少なくとも卵殼形成に伴う生理的変化には影響されてい ないことを示している。
ニワトリの卵殼腺部におけるCaBP‑D28KmRNAを SolutionhybridizationRNaseprotection法により,
定量的にまた特異的に測定出来るか否かを検討したとこ ろ,十二指腸と卵殻腺部から抽出したRNAは,いずれ もCaBP‑D28KのAntisenseRNAと反応し,川量と反応 が得られ,しかもそれらの用量一反応曲1線とSense CaBP‑D28KRNAによる用量‑反応曲線との間で平行性が 認められた。これに対して,結直腸と膨大部より抽出し たRNAは,本実験で使用した用量の範囲ではAntis‑
enseCaBP‑D28KRNAとの間では反応が認められなかっ た。また,反応は,十二指腸では卵殼形成の有無による 差異は見出されなかったが,卵殼腺部においては卵殼形 成時において多かった。これらのことから,ニワトリの 十二指腸と卵殼腺部において,CaBP‑D28KmRNAを定 量的かつ特異的に測定出来ることが明らかとなった。
本実験では,排卵周期中に,CaBP‑D28KmRNA濃度は 卵殼腺部においては著しく変動することが確認された が,十二指ll易において有意な変動は見出されなかった。
これらの結果は,CaBP‑D28KmRNAをNorthernblot hvbridization法で測定したIedaら(1995)と,Solu‑
後藤ら:CaBP‑D28K遺伝子発現とIm漿力ルシゥム濃度 J37 tionhybridizationRNaseprotection法によって測定
したStriemandBar(1991)とBarら(1992)の結果と 良く一致している。Iedaら(1995)は,プロスタグラン ジンE2を投与して放卵を誘起すると,卵殼腺部に卵が 存在する対照鶏に比べて,卵殼腺部のCaBP‑D28K mRNAレベルが減少することから,卵殼腺部における 卵の存在とCa沈着がCaBP‑D28KmRNAの合成と蓄積 に対しての刺激因子かもしれないと推察している。本実 験においても,卵殼形成の開始と共に,卵殼││鼎部におけ るCaBP‑D28KmRNAレベルが急激に増加したことか ら,卵が卵殼腺部に到達して卵殼が形成されることが,
卵殼腺部におけるCaBP‑D28KmRNAレベルの増加を促 すことは伺い知ることは出来るが,その増加が約10時 間持続しているにも関わらず,その期間に卵殼重量と共 に卵殼へのCa蓄積は一定の苫l1合で増加していること,
および卵殼へのCa沈着が未だ行われているにも関わら ず放卵数時間前からCaBP‑D28KmRNAレベルが急激に 減少したことは,卵殼腺部CaBP‑D28KmRNAの発現は 卵殼へのCa沈着だけでは説明出来ないことを示してい る。すでに述べたように,本実験では排卵周期中におい て血巾Caイオン濃度が卵殼形成との関連で変動してい ることが示されたが,この血中Caイオン濃度における 変動と卵殼腺部CaBP‑D28KmRNA濃度の変動との間 で,Caイオン濃度の増加時にはCaBP‑D28KmRNA濃度 が 減 少 し , 逆 に C a イ オ ン 濃 度 の 減 少 時 期 に は CaBP‑D28KmRNA濃度が増加し,またCaイオン濃度が 低いときはCaBP‑D28KmRNA濃度は高い傾向が認めら れた。このように,血中Caイオン濃度と卵殼腺部 CaBP‑D28KmRNA濃度の変動の様相の│川で,ほぼ逆の 関係が認められたことは,あるいはカルシウム恒常性に 関与する副甲状腺ホルモンとカルシトニンの場合と同様 に,Caイオンが卵殼腺部におけるCaBP‑D28KmRNAの 発現を調整しているのかも知れない。しかしながら,こ れらの推察にはさらなる研究が必要とされる。
また,本実験では,排卵19〜2011寺間後から急激に卵殼 腺部CaBP‑D28KmRNA濃度が急激に減少することが見 出されたが,この時期は次の卵に対しては排卵4〜5時 間前に相当する。この時期には排卵誘起ホルモンである LHの放出が認められ,このLHの刺激により血中プロ ジェステロン(P4)濃度が増加していることが知られて いる(Johnson.1990)。また,産卵鶏へのP4投与によ り,卵殼腺部CaBP‑D28KmRNA濃度が減少することが 見出されている(Bar""J"1996;後藤ら,未発表)。こ れらのことから,LHにより分泌が刺激されるP4の作 川により,CaBP‑D28KmRNAの発現が抑制され,その結 果として卵殼へのCa沈着が減少して,卵殼形成が終了
するのであろうと推察される。
謝 辞
実験遂行にあたり懇意なる御指導を賜り,ニワトリ CaBP‑D28KcDNAプローブをご提供頂いた名古屋大学農 学部教授島田渭司博士及び家田照子博士と,ニワトリ GAPDHcDNAプローブをご提供頂いた福井医科大学
教授宮本薫博士及び水谷哲也博士に深く感謝の意を表
します。また,終始実験に協力戴いた日本配合飼料株式会社中央研究所・飼料畜産開発センター所員一同に感謝
いたします。
引 用 文 献
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後藤ら:CaBP‑D28K遺伝子発現と血漿カルシウム膿度
PlasmaCalciumConcentrationsandExpressionof
CaBP‑D28KmRNAintheShellGlandinRelation
toCalcificationintheLayingHen
T q Q
r J u v
HisayaGoto'),MasayukiTagami'),MasashiMizuno2),EtukoKameoka3), MasaruTakeishi'),NamikoYamamura3),OsamuDoi3)
andMichiharuKamiyoshi3)
])LaboratoryofNipponFormulaFeedMfg.Co.,Ltd.Tochigi321−3621 2)LaboratoryofNissinFoodProductsCo.,Ltd.Shiga525−0055
3)TheUnitedGraduateSchooIolAgriculturalScience,GifuUniversity,Gifu501−1193
Itisknownwellthatcalcium‑bindingprotein(CaBP‑D28K)isinvolvedincalcium (Ca)depositionintheeggshellglandoftheoviductinthelayinghen.However,there arefewreportsregardingacorrelationbetweengeneexpressionofCaBP‑D28KandCa.
Inthisstudy,changesinplasmaCaconcentrationsinrelationtocalci6cationwere measured,andthen,plasmaCaionandCaBP‑D28KmRNAconcentrationsmduodenum andshellglandwerequantitativelyanalyzed.TheplasmaCaconcentrationswere measuredevery2hoursduring24hoursinlayingandnon‑layinghens.Inlayinghens, apeakofplasmatotalandnon‑diffusibleCaconcentrationswasobservedbetween20 :00and22:00correspondingtobetweenl4andl6hoursaftertheovulation.Plasma
CaionconcentrationssignincantlyincreaseduntillO:00tol2:00correspondingto4 to6hoursaftertheovulation・Afterindicatingthemaximumvalueat6hours,plasma
CaionconcentrationsrapidlydecreasedandreachedthelowestvallleatlOhoursafter theovulation・PlasmaCaionconcentrationsmaintainedthelowestvalueuntill6 hoursaftertheovulation,andthereafter,graduallyincreasedbynextovulation・In contrast,nosignincantchangeintheplasmaCaconcentrationswasobservedin non‑layinghens.PlasmaCaionconcentrationsdidnotdecreasedfOllowingadminis‑trationofprostaglandinF2",whichinducedovLllation.Additionally,thepeaksofthe plasmatotalandthenon‑diffusibleCaconcentrationsdisappearedIollowingadminis‑
trationofaminoglutethimide,whichinhibitedsyntheslso[steroidhormones.In simultaneousmeasurementoftheplasmaCaionandCaBP‑D28KmRNAconcentrations, Cadepositionintheeggshellinitiatedat4105hoursaftertheovlllation,wasmildfor thefirst3hours,thereafter,Caconstantlyaccumulated,anddecreasedbeforethenext oviposition.PlasmaCaionconcentrationschangedwithsamemannerasmentioned above.CaBP‑D28KmRNAconcentrationsintheeggshellglandwerethelowestvalueat 4to5hoursaftertheovulation,graduallyincreaseduntill3tol4hours,werestableat thehighvalueuntill9to20hours,andsignincantlydecreasedbythenextoviposition.
However,CaBP‑D28KmRNAconcentrationsintheduodenumdidnotshowsignincant
changesduringtheovulatorycycle.TheseresLlltsdemonstratedthatthebloodCaionJ40 日本家禽会誌39巻J1号(2002)
concentrationscorrelativelychangedwithCadepositionintheeggshell,andtheblood non‑diffusibleCaconcentrationswerechangedbythesteroidhormones・Geneexpres‑
sionofCaBP‑D28Kintheshellglandwassuggestedpossiblycorrelatingwiththechange inbloodCaionconcentrationaswellasCadepositionintheeggshell.
Utz""esePo""ryScie"",39:J25‑J¥0,2002ノ Keyword:calcium‑bindingprotein,geneexpression,prostaglandinF2(r,ami‑
noglutethimide,calciumion