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農業用アシストスーツの開発(プロジェクト研究成果シリーズ 562)

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(1)

農業用アシストスーツの開発(プロジェクト研究成果シリーズ 562)

誌名

誌名 農業用アシストスーツの開発

巻/号

巻/号 562号

掲載ページ

掲載ページ p. 1-36 発行年月

発行年月 2017年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

(2)

農林水産技術会議事務局

研 究 成 果

562

︵ ・ ︶

低コスト・省力化、軽労化技術等の開発

─農業用アシストスーツの開発─

Development of Low Cost/Labor-saving Agricultural Technologies

̶ Development of agricultural assist suit ̶

(3)

低コスト・省力化、軽労化技術等の開発

─農業用アシストスーツの開発─

Development of Low Cost/Labor-saving Agricultural Technologies

— Development of agricultural assist suit —

2 0 1 7 年 3 月

(4)

序   文

 研究成果シリーズは、農林水産省農林水産技術会議事務局が研究機関に委託して推進した研究の成果をと りまとめたものであり、研究機関、行政機関等に配布することにより、今後の研究及び行政の推進に資する ことを目的として刊行するものである。

 この第 562 集「低コスト・省力化、軽労化技術等の開発 -農業用アシストスーツの開発-」は、2010 年度から 2014 年度に農林水産省農林水産技術会議事務局の委託プロジェクト研究として、2014 年度から 2015 年度に農林水作業におけるロボット技術開発実証事業として、国立大学法人和歌山大学を中心に実施 した研究成果をとりまとめたものである。

 我が国の生産現場では農業従事者の高齢化が進展しており、農業の持続的発展を図っていくためには、農 作業の軽労化を図り、若者や女性など様々な主体が参画できる環境を実現していく必要がある。本研究では、

機械化が困難で人手に頼らざるをえない収穫物の持ち上げ、運搬等の農作業負担を軽減する技術の開発を目 的として、農業用アシストスーツの開発および現地実証を行った。

 これらの研究の結果、持ち上げ、歩行、中腰姿勢保持の 3 種のアシスト機能を有する軽量な農業用アシス トスーツの開発に成功し、農業機械メーカーによる市販化が予定されている。

 本研究を担当し、推進された方々の労に対し深く感謝の意を表するとともに、本書が、研究機関、行政機 関等において幅広く利用されることを期待する。

 2017 年 3 月

農林水産省農林水産技術会議事務局長    西郷 正道  

(5)

目   次

研究の要約……… 1

第1編 アシストスーツの軽量化研究………10

第1章 フレームの軽量化研究………10

第2章 駆動機器の軽量化研究………12

第2編 不整地対応のための靴部の開発………14

第1章 靴部の不整地対応化研究………14

第2章 床反力などの正確な計測研究………16

第3編 正確で着脱容易な筋電位センサの開発………18

第1章 無線式筋電位センサの開発………18

第2章 筋電位信号処理技術の開発………20

第4編 装着者の動作意図推定精度の向上に関する研究………21

第1章 正確な動作意図推定技術の開発………21

第2章 組み込みマイコンシステムの開発………23

第5編 安全性評価に関する研究………25

第1章 安全性評価の調査と基準作成………25

第2章 安全性評価実験………28

第6編 実証試験と実用化のための試作改良研究………30

第1章 実証試験………30

第2章 実用化のための試作改良………33

第7編 経済性評価………35

第1章 経済性評価………35

(6)

Ⅰ 研究年次・予算区分

研究年次:2010 年度~ 2014 年度

予算区分:農林水産省農林水産技術会議事務局  委託プロジェクト研究

     「低コスト・省力化、軽労化技術等の開 発-農業用アシストスーツの開発-」

研究年次:2014 年度~ 2015 年度

予算区分:農林水産省農林水産技術会議事務局  農林水産業におけるロボット技術開発 実証事業(研究開発)

     「農業用アシストスーツの用途拡大・

高度化」

Ⅱ 主任研究者

主 査:国立大学法人和歌山大学      学長

     山本 健慈(2010 ~ 2014 年度)

     瀧 寛和(2015 年度)

推進リーダー:国立大学法人和歌山大学      八木 栄一(2010 ~ 2015 年度)

Ⅲ 研究担当機関

国立大学法人和歌山大学(2010 ~ 2015 年度)

(委託先) 和歌山県工業技術センター

(2010~2014年度)

(委託先) 和歌山県果樹試験場

(2014~2015年度)

(委託先)株式会社ニッカリ(2014~2015年度)

(委託先) 神奈川県農業技術センター

(2014~2015年度)

(委託先)香川県農業試験場(2014~2015年度)

(委託先) 徳島県農林水産総合技術支援センター

(2014~2015年度)

(委託先) 山口県農林水産総合技術センター

(2014~2015年度)

(委託先) 大分県農林水産研究指導センター

(2014~2015年度)

Ⅳ 研究目的

1 アシストスーツの軽量化研究

 本研究では、機械化が困難で人力に頼っている農 作業を支援するアシストスーツを開発し、農作業を 軽労化することにより高齢者、女性、若者の就農を 支援することを目的としている。農業の現場では、

短い期間での収穫作業や収穫物コンテナなどの大量 運搬作業において、さまざまな厳しい作業姿勢や素 早い動作が必要とされており、これらに対応でき るアシストスーツを開発する。具体的には、10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ作業において 10 ~ 15 kg 分の負担を軽減することに加え、定植 や収穫等における中腰姿勢保持および傾斜地歩行や 収穫物コンテナ等の運搬作業における歩行をアシス トする機能が必要である。このアシストスーツを実 用化するためには農業現場で長時間着用できるよう にする必要があることから、アシストスーツの軽量 化のための研究を行う。

2 不整地対応のための靴部の開発

 ほ場内および樹園地など様々な農業現場で利用で きるようにするため、不整地対応できる靴部を開発 する。

3 正確で着脱容易な筋電位センサの開発  農業現場での利便性を向上させるため、アシスト スーツを着用した状態で正確に計測でき着脱が容易 な筋電位センサを開発する。

4 装着者の動作意図推定精度の向上に関する 研究

 使用者の意図に沿ったスムーズなアシストを実現 するため、装着者の動作意図をより正確に推定する 技術を開発する。

5 安全性評価に関する研究

 安全性評価に関する調査を行い、安全性の基準を 作成し、実証試験などにて安全性を検証することに より、安全で実用的なアシストスーツを実現する。

研 究 の 要 約

(7)

6 実証試験と実用化のための試作改良研究  アシストスーツの試作機を農業現場に供して実証 試験を行い農家のニーズを聴取して、そのニーズに 沿った試作改良を実施する。

7 経済性評価

 農業用アシストスーツの市場性や売り上げ予測な どの経済性を評価し、ニーズや妥当性を確認する。

Ⅴ 研究方法

1 アシストスーツの軽量化研究

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ作業、

定植や収穫等における中腰姿勢保持や、運搬歩行を 支援する電動式アシストスーツを、最もアシストを 必要とする腰椎(腰関節)と股関節のアシストに絞 り込み、フレーム構造を簡略化する等により軽量化 する。

2 不整地対応のための靴部の開発

 靴底に組み込んだ接離判定用のフットスイッチの 安価な充電式無線システムを開発し、農地に対応で きるようにする。また、開発したシステムを用い、

米袋やミカンの収穫物コンテナの持ち上げ作業や歩 行のアシスト効果を実証試験により確認する。

3 正確で着脱容易な筋電位センサの開発  アシストスーツ向けに筋電位センサの取り付け方 法を検討し、筋電位センサの電極が多少ずれても検 出でき、長時間の装着に対応でき、正確な抽出がで きるようにする。さらに筋電位センサを着脱がより 容易になるように着脱容易で拘束力の強くない装着 方法を開発する。

4 装着者の動作意図推定精度の向上に関する 研究

 装着者の動作意図推定精度を向上させるため、そ れぞれの持ち上げ動作の検出に適した手袋の位置に スイッチを配置するようにし、確実に持ち上げ動作 の判定が行えるようにする。また定植や収穫などの 農作業で多く見られる中腰作業での姿勢保持アシス ト技術を開発する。さらに歩行動作のアシストがで

きるようにとのニーズに対応して、装着者の動作意 図を正確に推定する技術を開発する。

5 安全性評価に関する研究

 実用化にむけ、安全性評価に必要な繰り返し耐久 試験、疲労試験、防水試験および環境試験を実施 し、その結果を反映してアシストスーツを改良する ことにより、農業用アシストスーツの安全性を向上 させる。また、安全性評価に関する調査を行い、安 全性評価のためのリスクアセスメントを実施する。

この実施結果により、想定されるリスクの低減処置 を実施し、安全性を向上させる。

6 実証試験と実用化のための試作改良研究  全国 6 県、和歌山県をはじめ神奈川県、香川県、

徳島県、山口県および大分県で現地実証試験を実施 し、より多くの農家のニーズを聴取し、実用化のた めの試作改良を行う。

 和歌山県ではミカンの収穫作業、神奈川県では キャベツの収穫箱および玄米袋の積み上げ作業、香 川県ではミカンおよびキウイの収穫コンテナの積み 上げ、積み下ろし作業、徳島県ではレンコン、甘藷 および人参の収穫コンテナの積み上げ、積み下ろし 作業、山口県ではジャガイモの収穫コンテナの積み 上げ、積み下ろし作業、大分県ではシイタケの栽培 における原木運搬作業等の各種農作業における軽労 化効果を検証する。

 また実用化に近づけるため、アシストスーツを一 人で着脱しやすいように改良する。さらに、装着者 とアシストスーツとの接触部の密着性や親和性を改 善することにより、アシスト力発生時の装着者への 衝撃力を緩和し、よりスムーズなアシストを実現す る。

 以上、実証試験の実施と試作改良研究により、負 担の大きい農作業へ対応でき、軽労化できることを 実証する。

7 経済性評価

 実施したアンケート調査をもとに、農家のニーズ を分析し直し、経済性評価を取りまとめる。

(8)

研究計画表(研究室別年次計画)

研究課題 研究年度 担当研究機関・研究室

10 11 12 13 14 15 機関 研究室

1 アシストスーツの軽量化研究

(1)フレームの軽量化研究

(2)駆動機器の軽量化研究

2 不整地対応のための靴部の開発

(1)靴部の不整地対応化研究

(2)床反力などの正確な計測研究

3 正確で着脱容易な筋電位センサの開発

(1)無線式筋電位センサの開発

(2)筋電位信号処理技術の開発

4  装着者の動作意図推定精度の向上に関する 研究

(1)正確な動作意図推定技術の開発

(2)組み込みマイコンシステムの開発

5 安全性評価に関する研究

(1)安全性評価の調査と基準作成

(2)安全性評価実験

6 実証試験と実用化のための試作改良研究

(1)実証試験

和歌山大学

和歌山大学

和歌山大学 和歌山大学

和歌山大学 和歌山大学

和歌山大学 和歌山大学

和歌山県 和歌山県

和歌山大学 神奈川県 和歌山県 香川県 徳島県 山口県 大分県

シ ス テ ム 工 学 部

(10 ~ 13)

産学連携・研究支 援センター

(14 ~ 15)以下略す。

システム工学部

システム工学部 システム工学部

システム工学部 システム工学部

システム工学部 システム工学部

工業技術センター 工業技術センター

システム工学部 農業技術センター 果樹試験場 農業試験場

農林水産総合技術 支援センター 農林水産総合技術 センター

農林水産研究指導 センター

(9)

Ⅵ 研究結果

1 アシストスーツの軽量化研究

(1) 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ作 業、定植や収穫等における中腰作業および運搬 歩行を支援する電動式アシストスーツを開発し た。さらに最もアシストを必要とする腰椎(腰 関節)と股関節のアシストに絞り込み、フレー ム構造を簡略化する等により 6.0 kg に軽量化 し、バッテリ 0.8 kg を含めてトータル 6.8 kg 以下になるようにした。アクティブにアシスト するスーツでは、最も軽量な部類となり、実用 化一歩手前まで開発が進んだ。

(2) 通常の農作業にて連続 2 ~ 3 時間使用可能で軽 量なバッテリおよび電動モータを開発し、軽量 で実用的なアシストスーツを開発した。

2 不整地対応のための靴部の開発

(1) 靴底に組み込んだ接離判定用のフットスイッチ の安価な充電式無線システムを開発し、屋外の 不整地に対応できるようにした。これより収穫 物コンテナ等の持ち上げ作業および歩行のアシ スト効果を実証試験で確認した。

(2) 屋外の不整地に対応できる靴部が実現すること により、負担の大きい農作業へ対応でき、軽労 化できることを確認した。

3 正確で着脱容易な筋電位センサの開発

(1) まず 8ch の無線式を開発し、続いて 1ch の無 線式で着脱容易で実用的な筋電位センサを開発 した。この開発した筋電位センサは、アシスト 効果の計測に用いるのに充分であると考えられ た。

(2) 筋電位センサを長時間装着できるように改良し た。長時間装着できるように、アシストスーツ 向けに筋電位センサの取り付け方法を開発し、

筋電位センサの電極が多少ずれても検出でき、

長時間の装着に対応し、正確な抽出ができるよ うになった。

(3) 筋電位センサを着脱がより容易になるように改 良した。着脱容易で拘束力の強くない装着方法 を実現するため、アシストスーツ向けに無線式 の筋電位センサを開発した。しかし農作業で は、どうしても装着が煩わしい等により筋電位 センサを用いたアシスト制御は不向きであるこ とが明らかとなった。

4 装着者の動作意図推定精度の向上に関する 研究

(1) 持ち上げ動作の意図の推定精度を向上させるた めに、持ち上げ動作の検出に適した手袋の位置 にタッチスイッチを配置するようにし、確実に 持ち上げ動作の判定が行えるようにした。

(2) 収穫コンテナの持ち上げ動作において、胸部よ り高い 5 ~ 6 段積みができるようにとのニーズ に対応し、上半身が反り返るまで持ち上げアシ ストができるように制御方法を改良した。

(3) 定植、収穫等の農作業で多く見られる中腰作業 での姿勢保持をアシストできるように制御機構 を改良した。

(4) 歩行動作意図の推定精度を向上させるために、

歩行動作の検出に適する爪先および踵の足裏位 置にフットスイッチを配置するようにし、確実 に歩行動作の判定が行えるようにした。

(2)実用化のための試作改良

7 経済性評価

(1)経済性評価

和歌山大学

和歌山大学 ニッカリ

システム工学部

システム工学部

注)文中の図、表に付した番号は、上記研究課題番号とその中の一連番号を組合せて表示してある。(例:1-(1)

-1)- ①の課題の 1 番目の図の場合は、図 1111-1 と表示)

(10)

5 安全性評価に関する研究

(1) 安全性評価に関する調査を行い、安全性評価に 必要である詳細なリスクアセスメントを実施 し、想定されるリスクを低減するようにアシス トスーツを改良することにより、安全性を高め た。

(2) 安全性評価に必要な繰り返し耐久試験、疲労試 験、防水試験および環境試験を実施し、その結 果を反映してアシストスーツを改良することに より、安全で実用的な農業用アシストスーツを 開発した。

(3) 安全性評価のためのリスクアセスメントを実施 し、以下に示す想定されるリスクの低減処置を 実施することにより、安全性を高めた。

 ・ 過放電防止回路を組み込んで、安全性を高めた バッテリとし、またバッテリの収納用ハード ケースを試作した。

6 実証試験と実用化のための試作改良研究

(1) 和歌山県をはじめ神奈川県、香川県、徳島県、

山口県および大分県の全国 6 県で、現地実証試 験を実施することでより多くの農家のニーズを 聴取し、実用化のための試作改良研究を行っ た。

    その結果、和歌山県ではミカンの収穫作業、

神奈川県ではキャベツの収穫箱および玄米袋の 積み上げ作業、香川県ではミカンおよびキウイ の収穫コンテナの積み上げ、積み下ろし作業、

徳島県ではレンコン、甘藷および人参の収穫コ ンテナの積み上げ、積み下ろし作業、山口県で はジャガイモの収穫コンテナの積み上げ、積み 下ろし作業、大分県ではシイタケの栽培におけ る原木運搬作業等の各種農作業において、軽労 化効果を確認した。

(2) バッテリも含めて全質量 7 kg 以下と軽量で、

不整地に対応でき、連続 2 ~ 3 時間使用可能な バッテリ駆動の電動式アシストスーツの実用機 を開発した。

(3) 着衣した上から長時間の装着ができ、一人で着 脱が容易で拘束力の強くない装着方法を開発し た。

(4) 装着者とアシストスーツとの接触部の密着性や 親和性を改善することにより、アシスト力発生

時の装着者への衝撃力を緩和し、よりスムーズ なアシストを実現した。

(5) 装着者の持ち上げや歩行の動作意図推定精度を 向上させ、また装着者が出そうとしている関節 トルクの推定精度を向上させることにより、ス ムーズで適正なアシストを実現した。

(6) 実証試験の実施と試作改良研究により、負担の 大きい農作業へ対応でき、軽労化できることを 確認した。

 ・ 軽労化の感性評価アンケートにより、80 ~ 100%の軽労化評価が得られた。

    なお実施した感性評価法は、「非常に楽に なった」・「楽になった」・「少し楽になった」・

「わずかに楽になった」・「変わらない等」の 5 段階感性評価で行った。多くの方が a ~ d の 回答をいただき、e の回答は少なく、上記の評 価が得られた。

   なお、軽労化評価結果 x[%]は、

   x = 100 × (a + b + c + d)/

(a + b + c + d + e) とする。

    ここで、a は「非常に楽になった」と答えた 総人数を表す。

   b は「楽になった」 と答えた総人数を表す。

    c は「少し楽になった」 と答えた総人数を表 す。

    d は「わずかに楽になった」 と答えた総人数 を表す。

   e は「変わらない等」 と答えた総人数を表す。

 ・ 20 kg の持ち上げ作業において、背筋の筋活動 量を測定した結果、アシストスーツが 10 kg 分 をアシストすることにより、筋活動量が約半減 しており、装着者の負担が半減できることが明 らかとなった。

 ・ 20 kg の持ち上げ作業において呼気ガス分析を 行った結果、アシストスーツが 10 kg 分をアシ ストすることにより、エネルギ消費量が、20

~ 30%減少しており、軽労化効果が明らかと なった。

 ・ 20 kg の持ち上げ作業において心拍数を計測し た結果、10 kg 分をアシストすることにより、

作 業 後 の 心 拍 数 が、4.2 % ~ 19.1 %、 平 均 で 11.4%減少しており、心拍数からも軽労化効果 が明らかとなった。

(11)

 ・ 歩行において 呼気ガス分析を行った結果から 歩行アシストによりエネルギ消費量が 13 ~ 14%軽減していることから、軽労化効果が明ら かとなった。

7 経済性評価

(1) 平成 23 年 3 月に実施したアンケート調査で は、和歌山県下の JA8 か所に実施し 365 通回 収した結果を分析した。

    農家の年代別のアシストスーツのニーズは、

30 歳代で 74%と最も高く、次に 50 代で 68%

と高く、比較的若い年代を中心にニーズが高い ことが分かった。また負担が大きい作業は“運 搬作業”が 28%で最も多く、負担がかかる部 位は“腰”が 57%で最も多かった。なお使用 してみたい理由は、“運搬・収穫作業が楽にな るから”が 47%で最も多く、使用したくない 理由は、“装着が面倒”が 48%で、“重い”が 41%と多かった。

(2) 平成 25 年 3 月に実施した 108 名参加の有田市 みかん生産者大会にて、腕の高さが変化するミ カンの収穫作業でのアシストニーズの調査を 行った。この結果、肩関節のアシストニーズは ほとんどなく、腰関節のアシストニーズが高い ことがわかった。このため肩関節でなく、腰と 股関節をアシストするアシストスーツの開発に 絞りこんだ。

(3) 平成 27 年 3 月に実施したアンケート調査で は、神奈川県の水稲生産者 44 名(平均年齢 64.8 歳で、全て男性)にて行った。

 ・ 「使用したい」の割合は約半分で、51%であっ た。

 ・ 「使用したい」と答えた理由は「運搬作業が楽 になると思ったから」、「運搬作業に身体的負担 を感じているため」、「重量物の運搬が多いか ら」の順に多かった。

 ・ 購入希望方法と価格については、以下のとおり であった。

   「補助金利用」が 44% で、平均希望購入価格

(自己負担分)が 17.5 万円。

   「短期レンタル」が 37% で希望価格は月額 1.5 万円。

   「買い取り」は 13% で平均購入希望価格は 33

万円。

  「3 年リース」は 6% であった。

 ・ 「使用したくない」と答えた理由については、

以下のとおりであった。

   「思い通りに動くかどうか分からない」、「装着 が面倒」、「必要性がない」、「重そう」、「メンテ ナンスが大変そう」および「故障、安全面での 信用ができない」の順に多かった。

Ⅶ 今後の課題

 実用化一歩手前までになる農業用アシストスーツ の試作機を開発することができた。今後、委託研究 機関や企業などと連携して、農業用アシストスーツ の事業化、販売に向けて検討を進める。具体的に は、農業用アシストスーツを量産化するための技術 開発を行い、販売価格が 100 万円/台になるよう にして、平成 29 年度中に 100 台販売する予定であ る。今後さらに拡販するためには、低価格化を進め て 50 万円/台以下となるように研究開発を進める とともに、5 kg 以下となるように軽量化を進め、

さらに装着し易いアシストスーツとなるようにして 行く必要がある。

Ⅷ 研究発表

1) 八木栄一・佐藤元伸・佐野和男・三井利仁・馬 渕博行(2015)歩行と持ち上げ動作を支援するた めの電動パワーアシストスーツの検証実験 . 日本 機械学会論文集(C 編).81(830):1-9.

2) 八木栄一(2015) 農業用アシストスーツの開発 と今後の展開.ロボット(日本ロボット工業会 発 行).(224):26-29.

3) 八木栄一(2015) 高齢化社会を支えるパワーア シストスーツ.労働の科学(労働科学研究所 発 行).70(4):24-27.

4) 八木栄一(2015) 農業用パワーアシストスーツ の紹介 . 農業および園芸(養賢堂 発行).90(1): 5-11.

5) 八木栄一(2014) 農業用アシストスーツの現実 性.地上 GOOD EARTH(家の光協会 発行).68

(10):16-17.

6) 八木栄一(2014) 農業用アシストスーツ.aff(農 林水産省 発行).45(9):18-19.

7) 八木栄一(2014) 農業用アシストスーツ.技術と

(12)

普及(全国農業改良普及支援協会 発行).51(5): 65-65.

8) Kazuo Sano, Eiichi Yagi, Motonobu Sato (2013)

Development of a Wearable Assist Suit for Walking and Lifting-Up Motion Using Electric Motors. Journal of Robotics and Mechatronics. 25

(6): 923-930.

9) Motonobu Sato, Eiichi Yagi, Kazuo Sano (2013)

Power Assist Control Calculated by a Human Model and Joint Angles for Walking Motion Using Pneumatic Actuators. Journal of Robotics and Mechatronics. 25(6): 915-922.

10) 八木栄一(2013) 装着型パワーアシストロボッ ト「楽のものづくり」メカライフ特集.日本機械 学会誌.116(1138):8-9.

11) 佐野和男・八木栄一・佐藤元伸(2013)床反力 スイッチと股関節角度を用いた健常者の歩行意図 推定.日本機械学会論文集(C 編).79(806):

3487-3500.

12) Kazuo Sano, Eiichi Yagi, Motonobu Sato (2013)

A Study on Estimation of Walking Intention Using Foot Switches and Hip Joint Angles for Walking Assist of Non-handicapped Persons.

Proceedings of SICE Annual Conference:

MoBT9.4.

13) 八木栄一(2013)農作業における軽労化の切り 札「パワーアシストスーツの開発」,農業機械学会 シンポジウム資料-農業分野における工学技術の 新展開-:3-9.

14) 畑中貴登・八木栄一・佐藤元伸・佐野和男 (2013)

持ち上げ初期動作アシストのための床反力計測値 を用いた関節トルク推定.第 14 回計測自動制御 学会システムインテグレーション部門講演会論文 集:3D3-3.

15) 木村太郎・八木栄一・佐野和男・佐藤元伸 (2013)

歩行時の股関節角度とフットスイッチを用いた電 動パワーアシスト制御の提案.第 14 回計測自動制 御学会システムインテグレーション部門講演会論 文集:3D4-2.

16) 古野孝久・八木栄一・佐野和男・佐藤元伸 (2013)

パワーアシスト制御のための倒立振子モデルを用 いた歩行時の支持脚動作分析.第 14 回計測自動制 御学会システムインテグレーション部門講演会論

文集:3D4-3.

17) 山崎元気・八木栄一・佐藤元伸・佐野和男(2013)

階段上り動作支援のための人体モデルと関節角度 および床反力を用いた空気圧式パワーアシスト制 御.第 14 回計測自動制御学会システムインテグ レーション部門講演会論文集:3D4-4.

18) 生熊嶺・八木栄一・佐藤元伸・佐野和男(2013)

歩行動作を支援するための人体モデルと関節角度 による動的計算を用いた空気圧式パワーアシスト 制御.第 14 回計測自動制御学会システムインテグ レーション部門講演会論文集:3D4-5.

19) 黒須祐輝・八木栄一・佐野和男・佐藤元伸 (2013)

パワーアシスト制御のための歩行時の遊脚動作の 分析.第 14 回計測自動制御学会システムインテグ レーション部門講演会論文集:3D4-6.

20) 佐藤元伸・八木栄一・佐野和男(2012)歩行と 重量物持ち上げ動作を支援するための軽量アシス トーツの開発.第 13 回計測自動制御学会システム インテグレーション部門講演会論文集:1N1_1.

21) 早馬佑一・八木栄一・佐藤元伸・佐野和男 (2012)

パワーアシストスーツのための力学的信号を用い た歩行意図推定.第 13 回計測自動制御学会システ ムインテグレーション部門講演会論文集:1N2_1.

22) 松本祐磨・八木栄一・佐藤元伸・佐野和男 (2012)

歩行動作を支援するための人体モデルと関節角度 を用いた空気圧パワーアシスト制御.第 13 回計測 自動制御学会システムインテグレーション部門講 演会論文集:1N1_2.

23) Motonobu Sato and Eiichi Yagi (2011) A Study on Power Assist Suit Using Pneumatic Actuators Based on Calculated Retaining Torques for Lift-up Motion. Proceedings of SICE Annual Conference: WeB10-05.

24) 佐野和男・八木栄一(2011)上向き収穫・傾斜地 での歩行支援のためのパワーアシストシステムの 研究.第 54 回自動制御連合講演会論文集 : 2A203 25) 佐野和男・八木栄一(2011)上向き収穫など長 時間同一作業のためのパワーアシストスーツの開 発.第 29 回日本ロボット学会学術講演会論文集:

1H1-3.

26) 佐藤元伸・八木栄一(2010)持ち上げ動作支援 のための筋電位信号を用いた空気圧式パワーアシ ストシステムの研究.第 11 回計測自動制御学会

(13)

システムインテグレーション部門講演会論文集:

1N4-1.

27) 境宗士郎・八木栄一(2010)持ち上げ動作支援 のための保持トルク計算にもとづくパワーアシス ト制御の研究.第 11 回計測自動制御学会システム インテグレーション部門講演会論文集:1N4-2.

28) 佐藤元伸・八木栄一(2010)持ち上げ動作支援の ための空気圧式パワーアシストスーツの開発.第 28 回日本ロボット学会学術講演会論文集:2J1-1.

29) 齋藤真之介・八木栄一(2010)持ち上げ動作支 援のための筋電位信号を用いたパワーアシスト制 御の研究.第 28 回日本ロボット学会学術講演会論 文集:2J1-2.

Ⅸ 特許取得・申請

1) 「パワーアシストロボット装置」(特願 2015- 30085)八木栄一、佐野和男、佐藤元伸

2) 「POWER- ASSISTING ROBOTIC DEVICE AND CONTROL METHOD THEROF(パワーア シストロボット装置およびその制御方法)」(ヨー ロッパ特許出願:12830197.5)八木栄一、佐野和 男、佐藤元伸(2014)

3) 「POWER- ASSISTING ROBOTIC DEVICE AND CONTROL METHOD THEROF(パワーア シストロボット装置およびその制御方法)」(米国 特許出願 14/238,865)八木栄一、佐藤元伸、佐野 和男(2014)

4) 「パワーアシストロボット装置」(特願 2013- 217708)八木栄一、佐野和男、佐藤元伸

5) 「パワーアシストロボット装置およびその制御 方法」(特願 2012-265712)八木栄一、佐野和男、

佐藤元伸

6) 「パワーアシストロボット装置およびその制御 方法」(特願 2011-194319)八木栄一、佐野和男、

佐藤元伸

Ⅹ 研究担当者

1 アシストスーツの軽量化研究 国立大学法人和歌山大学

八木栄一、佐藤元伸、佐野和男

2 不整地対応のための靴部の開発 国立大学法人和歌山大学

八木栄一、佐藤元伸、佐野和男

3 正確で着脱容易な筋電位センサの開発 国立大学法人和歌山大学

八木栄一、佐藤元伸、佐野和男

4 装着者のより正確な動作意図推定の研究 国立大学法人和歌山大学

八木栄一、佐藤元伸、佐野和男

5 安全性評価に関する研究 国立大学法人和歌山大学

八木栄一、佐藤元伸、佐野和男 和歌山県工業技術センター

上野吉史、徳本真一、花坂寿章、上森大誠

6 実証試験と実用化のための試作改良研究 国立大学法人和歌山大学

八木栄一、佐藤元伸、佐野和男 神奈川県農業技術センター

深山陽子、辻本 渉、木村仁美 和歌山県果樹試験場

島津 康、植田栄仁、衛藤夏葉 香川県農業試験場

大谷 衛、川地昌彦

徳島県農林水産総合技術支援センター 澤田英司、佐藤泰三、兼田朋子 山口県農林水産総合技術センター

尾本芳昭、片山正之

大分県農林水産研究指導センター 有馬 忍、飯田千恵美

7 経済性評価

国立大学法人和歌山大学

八木栄一、佐藤元伸、佐野和男 株式会社 ニッカリ

大西久雄、木村陽介

執筆者)

Ⅺ 取りまとめ責任者あとがき

 本プロジェクトは、農林水産省農林水産技術会議 が委託して推進した研究事業として、2010 年度か ら 2014 年度の 5 年間実施した 「農作業の軽労化に

(14)

向けた農業自動化・アシストシステムの開発」 にお ける 「農業用アシストスーツの開発」 の研究成果に ついてまとめたものである。さらに 2015 年度につ いては、農林水産業におけるロボット技術研究開発 事業として実施した 「農業用アシストスーツの用途 拡大・高度化」 について、まとめたものである。

 実用化一歩手前までになる農業用アシストスーツ の試作機を開発することができた。今後、農業用ア シストスーツの事業化、販売に向けて検討を進めて いる。具体的には、農業用アシストスーツを量産化 するための技術開発を行い、販売する予定である。

(推進リーダー:八木 栄一)

(15)

 ア 研究目的

 機械化が困難で人力に頼っている農作業を支援す るアシストスーツを開発し、農作業を軽労化するこ とにより、高齢者や女性や若者の就農を推進する。

農業の現場では、短い期間での収穫作業や収穫物コ ンテナなどの大量運搬作業において、さまざまな厳 しい作業姿勢や素早い動作が必要とされており、こ れらに対応できるアシストスーツを開発する。具 体的には、10 ~ 30 kg の収穫物コンテナや米袋等 の持ち上げ作業にて 10 ~ 15 kg 分をアシストする。

また定植や収穫等における中腰作業において、作業 姿勢の保持をアシストする。さらに傾斜農地での歩 行や収穫物コンテナなど重量物の運搬作業における 歩行を、アシストする。さらに、農業現場で長時間 着用できるようにするため、アシストスーツを軽量 化する。ここでは、まずアシストスーツのフレーム の軽量化についてまとめる。

 イ 研究方法

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ、定 植時の中腰作業および運搬歩行等を支援する電動式 アシストスーツを開発する。また、最もアシストを 必要とする腰椎(腰関節)と股関節のアシストに機 能を絞り込み、フレーム構造を簡略化することによ り軽量化を図る。

 ウ 研究結果

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ、定 植・収穫時の中腰作業、傾斜地・運搬での歩行等を 支援する電動式アシストスーツを、最もアシスト を必要とする腰椎(腰関節)と股関節のアシスト に絞り込み、フレーム構造を簡略化する等により 6.0 kg に軽量化し、バッテリ 0.8 kg を含めてトータ ル 6.8 kg 以下になるようにした。図 11-1 に軽量化 したアシストスーツを示す。図 11-2 に軽量化した カーボン樹脂の上体アシストフレームを示す。アク ティブにアシストするスーツでは、最も軽量な部類

となり、実用化一歩手前まで開発が進んだ。

 軽量化されたアシストスーツについて、八木 ら1-4)の研究で報告されている。

 エ 考 察

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ、運 搬歩行、定植時の中腰作業向けの電動式アシスト スーツを、最もアシストを必要とする腰椎(腰関 節)と股関節のアシストに機能を絞り込み、フレー ム構造を簡略化する等により 6.0 kg に軽量化し、

バッテリ 0.8 kg を含めてトータル 6.8 kg 以下にな るようにした。軽量化したアシストスーツを用いて 現地実証試験を実施した。その結果、さらなる軽量 化の希望が多く、特に女性向けに 5 kg 以下にして 欲しいとのことであった。

 オ 今後の課題

 実用化後、広く普及させるためにはアシストスー ツが 5 kg 以下となるように軽量化を進める必要が ある。また農業用アシストスーツの実用化に向けた 検討を進め、量産化するための技術開発を行うこと で、2016 年度中に販売開始する予定である。

 カ 要 約

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ作業 における 10 ~ 15 kg 分のアシスト、定植や収穫等 における中腰作業における作業姿勢保持のアシス ト、さらに傾斜地での歩行や収穫物コンテナなど重 量物の運搬作業における歩行アシストの 3 種の機能 を有する電動式アシストスーツを開発した。最もア シストを必要とする腰椎(腰関節)と股関節のアシ ストに絞り込み、フレーム構造を簡略化する等によ り 6.0 kg に軽量化し、バッテリ 0.8 kg を含めてトー タル 6.8 kg 以下になるようにした。これより、実 用化一歩手前までになる農業用アシストスーツの試 作機を開発することができた。

第 1 編 アシストスーツの軽量化研究

第1章 フレームの軽量化研究

(16)

 キ 引用文献

1) 八木栄一・佐藤元伸・佐野和男・三井利仁・馬 渕博行(2015)歩行と持ち上げ動作を支援するた めの電動パワーアシストスーツの検証実験.日本 機械学会論文集(C 編).81(830):1-9.

2) 八木栄一(2015) 農業用アシストスーツの開発 と今後の展開.ロボット(日本ロボット工業会 発 行).(224):26-29.

3) 八木栄一(2015) 高齢化社会を支えるパワーア

シストスーツ.労働の科学(労働科学研究所 発 行).70(4):24-27.

4) 八木栄一(2015) 農業用パワーアシストスーツ の紹介.農業および園芸(養賢堂 発行). 90(1): 5-11.

 研究担当者(八木栄一、佐藤元伸、佐野和男)

図 11-1 アシストスーツ

図 11-2 カーボン樹脂の上体アシストフレーム

電動モータ

(角度センサ 内臓)

バッテリ コントローラ

ボックス スイッチ

靴底スイッチ

(フットスイッチ 内臓)

手袋

(タッチ スイッチ 内臓)

図11-1

(17)

 ア 研究目的

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ作業 における 10 ~ 15 kg 分のアシスト、定植や収穫等 における中腰姿勢保持のアシスト、さらに傾斜地で の歩行および収穫物コンテナ等重量物の運搬作業に おける歩行アシストの 3 種の機能を有する農作業用 電動アシストスーツを開発し、農業現場で長時間着 用できるようにするため、アシストスーツを軽量化 する。ここでは、まずアシストスーツの駆動機器の 軽量化についてまとめる。

 イ 研究方法

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ作業、

定植、収穫等における中腰作業、傾斜地歩行および 収穫物コンテナ等重量物の運搬歩行を支援する電動 式アシストスーツについて、アシスト機能を最もア シストを必要とする腰椎(腰関節)と股関節のアシ ストに絞り込むと同時に、駆動機器を軽量化する。

 ウ 研究結果

 収穫物コンテナ等の持ち上げ作業、収穫等におけ る中腰作業、傾斜地歩行等を支援する電動式アシス

トスーツを、最もアシストを必要とする腰椎(腰関 節)と股関節のアシストに絞り込むと同時に、駆動 機器を軽量化する等により 6.0 kg に軽量化し、バッ テリ 0.8 kg を含めてトータル 6.8 kg 以下になるよ うにした。図 12-1 に軽量化した電動モータの写真 を示す。

 アクティブにアシストするスーツでは、最も軽量 な部類となり、実用化一歩手前まで開発が進んだ。

農業用に軽量化されたアシストスーツについて、八

木ら1, 2)の研究で報告されている。

 エ 考 察

 収穫物コンテナ等の持ち上げ作業、収穫等におけ る中腰作業、傾斜地歩行等を支援する電動式アシス トスーツを、最もアシストを必要とする腰椎(腰関 節)と股関節のアシストに絞り込み、フレーム構造 を簡略化する等により 6.0 kg に軽量化し、バッテ リ 0.8 kg を含めてトータル 6.8 kg 以下になるよう にした。軽量化したアシストスーツを用いて現地実 証試験を実施した。そのニーズ調査によると、さら なる軽量化の希望が多く、特に女性向けに 5 kg 以 下にして欲しいとのことであった。

第2章 駆動機器の軽量化研究

図 12-1 軽量化した電動モータ

(18)

 オ 今後の課題

 今後、さらに普及を図るためにはアシストスーツ が 5 kg 以下となるように軽量化を進める必要があ る。また農業用アシストスーツの販売に向けて検討 を進め、量産化するための技術開発を行い、今後実 用化する予定である。

 カ 要 約

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ作業、

定植、収穫等における中腰作業、傾斜地歩行および 収穫物コンテナ等重量物の運搬歩行を支援する電動 式アシストスーツについて、最もアシストを必要と する腰椎(腰関節)と股関節のアシストに絞り込 み、駆動機器の軽量化等により全体で 6.0 kg まで

軽量化し、バッテリ 0.8 kg を含めてトータル 6.8 kg 以下になるようにした。

 キ 引用文献

1) 八木栄一(2013) 装着型パワーアシストロボッ ト「楽のものづくり」メカライフ特集.日本機械 学会誌.116(1138):8-9.

2) 八木栄一(2013) 農作業における軽労化の切り 札「パワーアシストスーツの開発」,農業機械学会 シンポジウム資料-農業分野における工学技術の 新展開-:3-9.

 研究担当者(八木栄一、佐藤元伸、佐野和男)

(19)

第2編 不整地対応のための靴部の開発 第1章 靴部の不整地対応化研究

 ア 研究目的

 農作業を軽労化することにより、高齢者や女性や 若者の就農を支援するために開発した電動アシスト スーツを、農業現場で利用できるようにするため、

不整地対応できる靴部を開発する。ここでは、まず 靴部の不整地対応化研究についてまとめる。

 イ 研究方法

 靴底に組み込んだ接離判定用のフットスイッチと そのデータを送信する安価な充電式無線システムを 開発し、農作業に対応できるようにする。これより 米袋やミカンの収穫物コンテナの持ち上げ作業や歩 行のアシスト効果を、実証試験により確認する。

 ウ 研究結果

 靴底に組み込んだ接離判定用のフットスイッチの 安価な充電式無線システムを開発し、屋外の不整地 に対応できるようにした。これより米袋、収穫物コ ンテナの持ち上げ作業および歩行のアシスト効果が

実証試験で確認できた。

 また屋外の不整地に対応できる靴部が実現するこ とにより、負担の大きい農作業へ対応でき、軽労化 できることが明らかとなった

 図 21-1 にアシストスーツの靴部の写真を示す。

図 21-2 に充電式無線装置を示す。

 なお、農業用アシストスーツの靴部の開発につい て、八木ら1-3)の研究で報告されている。

 エ 考 察

 靴底に組み込んだフットスイッチと充電式無線シ ステムを開発し、屋外の不整地に対応できる靴部が 実現することにより、負担の大きい農作業へ対応で き、軽労化できることを現地実証試験により確認で きた。

 オ 今後の課題

 今後、さらに拡販するためには靴底に組み込んだ 充電式無線システムのコストダウンを進める必要が

図 21-2 充電式無線装置

充電式無線装置

靴底にフットスイッチ組み込み

図 21-1 アシストスーツの靴部

(20)

ある。また農業用アシストスーツの販売に向けて検 討を進め、量産化するための技術開発を行い、今後 実用化する予定である。

 カ 要 約

 電動式農業用アシストスーツを実現するため、靴 底に組み込んだ接離判定用のフットスイッチとその データを送信する安価な充電式無線システムを開発 し、屋外の不整地に対応できるようにした。これよ り、実用化一歩手前までになる農業用アシストスー ツの試作機を開発することができた。

 キ 引用文献

1) 八木栄一(2015)農業用パワーアシストスーツ

の紹介.農業および園芸(養賢堂 発行).90(1): 5-11.

2) Kazuo Sano, Eiichi Yagi, Motonobu Sato (2013)

Development of a Wearable Assist Suit for Walking and Lifting-Up Motion Using Electric Motors. Journal of Robotics and Mechatronics. 25

(6): 923-930.

3) 佐野和男・八木栄一・佐藤元伸(2013) 床反力 スイッチと股関節角度を用いた健常者の歩行意図 推定.日本機械学会論文集(C 編).79(806):

3487-3500.

 研究担当者(八木栄一、佐藤元伸、佐野和男)

(21)

 ア 研究目的

 農作業を軽労化することにより、高齢者、女性、

若者の就農を支援する。このため、農作業で利用で きる電動アシストスーツを開発する。ここでは農地 等不整地に対応できる靴部を開発するために必要な 床反力等の正確な計測に関する研究についてまとめ る。

 イ 研究方法

 靴底に組み込んだ床反力センサを用いて床反力を 計測し、農地に対応できるようにする。これより収 穫物コンテナ等の持ち上げ作業および歩行に対する アシスト効果を実証試験により確認する。

 ウ 研究結果

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ作業、

収穫等における中腰作業、および傾斜地等の歩行 を支援する電動式アシストスーツを開発するため、

図 22-1 に示す床反力センサを組み込んだ靴部を開 発した。床反力などの計測や制御については、八木 ら1-3)の研究で報告されている。

 エ 考 察

 10 ~ 30 kg の収穫物コンテナ等の持ち上げ作業、

収穫等における中腰作業および傾斜地等の歩行を支 援する電動式アシストスーツを開発するため床反力 センサを組み込んだ靴部を開発したが、床反力セン

サは高価でありアシストスーツをコストダウンする ためには、床反力センサでなく、フットスイッチを 用いることにした。

 オ 今後の課題

 農業現場を含め広く普及させるためには、靴底に 組み込んだ充電式無線システムのコストダウンを進 める必要がある。

 カ 要 約

 農業現場で利用できる電動式アシストスーツを実 現するため、高価な床反力センサを靴底に組み込む のではなく、接離判定用のフットスイッチを靴底に 組み込むとともに、そのデータを送信する安価な充 電式無線システムを開発し、屋外の不整地に対応で きるようにした。これより、実用化一歩手前までに なる農業用アシストスーツの試作機を開発すること ができた。

 キ 引用文献

1) 八木栄一(2015) 農業用アシストスーツの開発 と今後の展開.ロボット(日本ロボット工業会 発 行).(224):26-29.

2) 畑中貴登・八木栄一・佐藤元伸・佐野和男 (2013)

持ち上げ初期動作アシストのための床反力計測値 を用いた関節トルク推定.第 14 回計測自動制御 学会システムインテグレーション部門講演会論文

第2章 床反力などの正確な計測研究

図 22-1 床反力センサを組み込んだ靴部

靴底に床反力センサ組み込み

─ 16 ─

(22)

集:3D3-3.

3) 山崎元気・八木栄一・佐藤元伸・佐野和男(2013)

階段上り動作支援のための人体モデルと関節角度 および床反力を用いた空気圧式パワーアシスト制

御.第 14 回計測自動制御学会システムインテグ レーション部門講演会論文集:3D4-4.

 研究担当者(八木栄一、佐藤元伸、佐野和男)

(23)

第3編 正確で着脱容易な筋電位センサの開発 第1章 無線式筋電位センサの開発

 ア 研究目的

 農作業を軽労化することにより、高齢者、女性、

若者の就農を支援する。このため農作業で利用でき る電動アシストスーツを実用化するため、アシスト スーツを着用した状態で、正確に計測でき着脱が容 易な筋電位センサを開発する。ここでは、無線式筋 電位センサの開発についてまとめる。

 イ 研究方法

 アシストスーツ向けに筋電位センサの取り付け方 法を検討し、筋電位センサの電極が多少ずれても検 出でき、長時間の装着に対応でき、正確な抽出がで きるようにする。さらに筋電位センサを着脱がより 容易になるように着脱容易で拘束力の強くない装着 方法を開発する。

 ウ 研究結果

 まず 8ch の無線式を開発し、続いて 1ch の無線 式で着脱容易で実用的な筋電位センサを開発した。

この開発した筋電位センサは、アシスト効果の計測 に用いるのに充分であると考えられた。

 次に、筋電位センサを長時間装着できるように改 良した。長時間装着できるように、アシストスーツ

向けに筋電位センサの取り付け方法を開発し、筋電 位センサの電極が多少ずれても検出でき、長時間の 装着に対応でき、正確な抽出ができるようになっ た。

 さらに、筋電位センサを着脱がより容易になるよ うに改良した。着脱容易で拘束力の強くない装着方 法を実現するため、アシストスーツ向けに無線式の 筋電位センサを開発した。しかし農作業では、どう しても装着が煩わしい等により筋電位センサを用い たアシスト制御は不向きであることが明らかとなっ た。

 図 31-1 に 8ch の無線式筋電位センサの写真を示 す。図 31-2 に 1ch の無線式筋電位センサを示す。

なお、農業用アシストスーツの無線筋電位センサの 開発について、八木ら1, 2)の研究で報告されている。

 エ 考 察

 8ch の無線式を開発し、続いて 1ch の無線式で着 脱容易で実用的な筋電位センサを開発した。この開 発した筋電位センサは、アシスト効果の計測に用い るのに充分であると考えられた。しかし農作業では、

装着が煩わしい等により筋電位センサを用いたアシ スト制御は不向きであることが明らかとなった。

図 31-2 1ch 無線式筋電位センサ 図 31-1 8ch 無線式筋電位センサ

(24)

 オ 今後の課題

 今後、農業現場で広く普及を図るためには低コス ト化を進める必要がある。

 カ 要 約

 農作業をアシストする電動式アシストスーツを実 現するため、8ch の無線式を開発し、続いて 1ch の 無線式で着脱容易で実用的な筋電位センサを開発し た。これら筋電位センサは、アシスト効果の計測に 用いるのに充分であると考えられた。しかし農作業 では、装着が煩わしい等により筋電位センサを用い たアシスト制御は不向きであることがわかった。こ れより、筋電位センサの低コスト化など実用化のた めの開発を実施する必要が明らかとなった。

 キ 引用文献

1) 佐藤元伸・八木栄一(2010)持ち上げ動作支援 のための筋電位信号を用いた空気圧式パワーアシ ストシステムの研究.第 11 回計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会論文集:

1N4-1.

2) 齋藤真之介・八木栄一(2010)持ち上げ動作支 援のための筋電位信号を用いたパワーアシスト制 御の研究.第 28 回日本ロボット学会学術講演会論 文集:2J1-2.

 研究担当者(八木栄一、佐藤元伸、佐野和男)

(25)

第2章 筋電位信号処理技術の開発

 ア 研究目的

 農作業を軽労化することにより、高齢者や女性や 若者の就農を支援する。このため農作業で利用でき る電動アシストスーツを開発する。ここでは、アシ ストスーツを着用した状態で、正確に計測でき着脱 が容易な筋電位センサのための無線式筋電位信号処 理技術の開発についてまとめる。

 イ 研究方法

 アシストスーツ向けに筋電位センサの取り付け方 法を検討し、筋電位センサの電極が多少ずれても検 出でき、長時間の装着に対応でき、正確な抽出がで きる処理技術を開発する。

 ウ 研究結果

 なお、農業用アシストスーツの無線筋電位信号処 理技術の開発について、八木ら1, 2)の研究で報告さ れている。

 エ 考 察

 8ch の無線式を開発し、続いて 1ch の無線式で着 脱容易で実用的な筋電位センサが開発した。この開 発した筋電位センサの電極が多少ずれても検出で き、長時間の装着に対応でき、正確な抽出ができる ようにした。この筋電位信号処理技術は、アシスト 効果の計測に用いるのに充分であると考えられた。

しかし農作業では、装着が煩わしい等により筋電位 センサを用いたアシスト制御は不向きであることが 明らかとなった。

 オ 今後の課題

 今後、農業現場へ広く普及を図るためには低コス ト化や、装着をより容易にする技術開発を進める必 要がある。

 カ 要 約

 電動式農業用アシストスーツを実現するため、無 線式の筋電位センサを開発した。しかし農作業で は、装着が煩わしい等により筋電位センサを用いた アシスト制御は不向きであることがわかった。これ より、筋電位センサを用いずに装着者の動作意図を 推定する方法を開発し、実用化一歩手前までになる 農業用アシストスーツの試作機を開発することがで きた。

 キ 引用文献

1) 佐藤元伸・八木栄一(2010)持ち上げ動作支援 のための筋電位信号を用いた空気圧式パワーアシ ストシステムの研究.第 11 回計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会論文集:

1N4-1.

2) 齋藤真之介・八木栄一(2010)持ち上げ動作支 援のための筋電位信号を用いたパワーアシスト制 御の研究.第 28 回日本ロボット学会学術講演会論 文集:2J1-2.

 研究担当者(八木栄一、佐藤元伸、佐野和男)

(26)

第4編 装着者の動作意図推定精度の向上に関する研究 第1章 正確な動作意図推定技術の開発

 ア 研究目的

 農作業を軽労化することにより、高齢者、女性、

若者の就農を支援するため、電動式農業用アシスト スーツを開発する。ここでは、装着者の動作意図を より正確に推定し、動作意図に沿ったスムーズなア シストを実現するため、まず正確な動作意図推定技 術の開発についてまとめる。

 イ 研究方法

 装着者の動作意図推定精度を向上させるため、そ れぞれの持ち上げ動作の検出に適した手袋の位置に スイッチを配置するようにし、確実に持ち上げ動作 の判定が行えるようにする。また定植、収穫などの 農作業で多く見られる中腰作業での姿勢保持アシス ト技術を開発する。さらに歩行動作のアシストがで きるようにとのニーズに対応して、装着者の動作意 図を正確に推定する技術を開発する。

 ウ 研究結果

(1) 持ち上げ動作の意図の推定を向上させるため に、持ち上げ動作の検出に適した手袋の位置 にタッチスイッチを配置するようにし、確実

に持ち上げ動作の判定が行えるようにした。

(2) 収穫コンテナの持ち上げ動作にて、より高 く 5 ~ 6 段積みができるようにとのニーズに 対応して、上半身が反り返るまで持ち上げア シストができるようにアシスト制御を改良し た。

(3) 定植や収穫などの農作業で多く見られる中腰 作業での姿勢保持アシストが実現できるよう 制御機構を改良した。

(4) 歩行動作意図の推定精度を向上させるため に、歩行動作の検出に適する爪先と踵の足裏 位置にフットスイッチを配置するようにし、

確実に歩行動作の判定が行えるようにした。

 これより正確な動作意図を推定し、動作意図に 沿ったスムーズなアシスト制御が実現することによ り、負担の大きい農作業へ対応でき、軽労化できる ことを確認した。

 図 41-1 に持ち上げ・中腰アシストのしくみを示 す。また図 41-2 に歩行アシストのしくみを示す。

 なお、正確な動作意図推定技術や、動作意図に 沿ったスムーズなアシスト制御の開発について、八

木ら1, 2)の研究で報告されている。

図 41-1 持ち上げ・中腰アシストのしくみ

持ち上げ・中腰アシストのしくみ

左右の股関節⾓度センサにてしゃがみこみを、⼿袋スイッチで持ち上げや中腰動作開始を 検出し持ち上げや中腰アシストトルクを発⽣させています。

アシスト開始

上体を前傾

直立状態 手袋スイッチ ON アシストトルク発生

(27)

 エ 考 察

 正確な動作意図推定技術を開発し、装着者の動作 意図通りの正確なアシスト制御を実現することによ り、負担の大きい農作業へ対応でき、軽労化できる ことを現地実証試験により確認できた。

 オ 今後の課題

 今後、広く普及を図るためには装着者のより正確 な動作意図通りの正確なアシスト制御を実現する必 要がある。

 カ 要 約

 電動式農業用アシストスーツを実現するため、装 着者の正確な動作意図推定技術を開発し、これにも とづいて正確でスムーズなアシスト制御を開発し、

実際の農作業に対応できるようにした。これより、

実用化一歩手前までになる農業用アシストスーツの 試作機を開発することができた。

 キ 引用文献

1) 八木栄一(2015)農業用パワーアシストスーツ の紹介.農業および園芸(養賢堂 発行).90(1): 5-11.

2) 佐野和男・八木栄一・佐藤元伸(2013)床反力 スイッチと股関節角度を用いた健常者の歩行意図 推定.日本機械学会論文集(C 編).79(806):

3487-3500.

 研究担当者(八木栄一、佐藤元伸、佐野和男)

歩⾏アシストのしくみ

従来の装着が煩わしい筋電位センサや⾼価な⼒センサを⽤いないで、フットスイッチと股 関節⾓度センサを⽤いて、歩⾏動作パターンが⼀致して連続に発⽣している割合を、歩⾏

割合とし0〜100%で歩⾏動作を推定します。この歩⾏割合に応じてアシストトルクを 増減させています。

歩行動作推定

歩き始めから2~3歩で、止まり始めから1~2歩で歩行動作推定を完了します。

爪先・踵の 接離情報 左右股関節

の角度 股関節角度センサ

フットスイッチ

図41-2

図 41-2 歩行アシストのしくみ

(28)

第2章 組み込みマイコンシステムの開発

 ア 研究目的

 農作業を軽労化することにより、高齢者、女性、

若者の就農を支援する。このため電動式農業用アシ ストスーツを開発し、装着者の動作意図を正確に推 定し、動作意図に沿ったスムーズなアシストを実現 する。ここでは、組み込みマイコンシステムの開発 についてまとめる。

 イ 研究方法

 装着者の動作意図推定精度を向上させるため、そ れぞれの持ち上げ動作の検出に適した手袋の位置に スイッチを配置するようにし、確実に持ち上げ動作 の判定が行えるようにする。また定植や収穫などの 農作業で多く見られる中腰作業での姿勢保持アシス トが実現できるようにする。さらに歩行動作のアシ ストができるようにとのニーズに対応して、正確に 動作意図を推定して、正確なアシスト制御を実現す るために、組み込みマイコンシステムを開発する。

 ウ 研究結果

 電動式農業用アシストスーツを開発するため、図 42-1 に示すルネサス エレクトロニクス株式会社の SH7237 組み込みマイコンシステムを用いて開発し た。組み込みマイコンなどの計測や制御について は、八木ら1-3)の研究で報告されている。

 エ 考 察

 電動式農業用アシストスーツを開発するため、正 確に動作意図を推定し、正確にアシスト制御を行う ために、組み込みマイコンシステムを開発した。

 オ 今後の課題

 今後、広く普及を図るためには組み込みマイコン システムのコストダウンを進める必要がある。また 農業用アシストスーツの販売に向けて検討を進め、

量産化するための技術開発を行い、今後販売する予 定である。

 カ 要 約

 電動式農業用アシストスーツを実現するため、組 み込みマイコンシステムを開発し、実際の農作業に 対応できるようにした。

 キ 引用文献

1) 八木栄一(2015)農業用アシストスーツの開発 と今後の展開.ロボット(日本ロボット工業会 発 行).(224):26-29.

2) 八木栄一(2013)農作業における軽労化の切り 札「パワーアシストスーツの開発」,農業機械学会 シンポジウム資料-農業分野における工学技術の 新展開-:3-9.

3) Kazuo Sano, Eiichi Yagi, Motonobu Sato (2013)

図 42-1 組み込みマイコンシステム

(29)

A Study on Estimation of Walking Intention Using Foot Switches and Hip Joint Angles for Walking Assist of Non-handicapped Persons.

Proceedings of SICE Annual Conference:

MoBT9.4.

 研究担当者(八木栄一、佐藤元伸、佐野和男)

図 42-1 組み込みマイコンシステム
表 51-1 リスクアセスメント実施例の抜粋 機密性○情報 ○○限り 頻度 F 確率Ps 回避A R1 全般 1 W - - - - - - - - -  -R1 全般 2 取扱説明書などの必要情報がなく使用して怪我や物損をするW----子供が使用し、怪我をする - - - - -  -R1 全般 3 J 6 - 装着者、第三 者 本体 - 3 1 1 1  -R1 薬およびアルコールの影響下で作業し怪我をする全般4W--装着者、第三 者 本体、本体周辺 用途以外の使用により、物損又は人身事故 - - -

参照

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