『就実教育実践研究』第14巻 抜刷
就実教育実践研究センター 2021年 3 月31日 発行
小児がんに着目した「がん教育」支援プログラム 構築のための基礎的研究
─ がん教育支援ツールの作成 ─
A Basic Study on the Construction of a Support Program for Cancer Education Focusing on Childhood Cancer
─
Creation of cancer education support tools
─森 口 清 美 ・ 大見サキエ ・ 畑中めぐみ
嶋 田 明 ・ 今 井 剛
就実教育実践研究 2021,第 14 巻
小児がんに着目した「がん教育」支援プログラム 構築のための基礎的研究
― がん教育支援ツールの作成 ―
森口清美(教育心理学科)、大見サキエ(椙山女学園大学)、畑中めぐみ(名古屋医療センター)、
嶋田明(岡山大学)、今井剛(倉敷中央病院リバーサイド)
A Basic Study on the Construction of a Support Program for Cancer Education Focusing on Childhood Cancer
― Creation of cancer education support tools ―
kiyomi Moriguchi(Department of Educational Psychology)
Sakie Omi(Sugiyama Jogakuen University)
Megumi Hatanaka(Nagoya Medical Center)
Akira Shimada(Okayama University)
Tuyoshi Imai(Kurashki Riverside Hospital)
抄録
学校における「がん教育」において、従来の大人のがんに加え子どものがんにも着目し た教育プログラムを構築するために、がんの子どもへの理解を含めた「がん教育」支援ツー ル(動画)を作成した。動画は、小児がんの子どもの保護者や復学支援をしてきた教師、
復学支援を視野に入れて治療を推進してきた医師、学習支援活動に従事しているNPO法 人代表者などの経験を踏まえた話で構成されている。
本研究で、がんの子どもへの理解を推進するツールを作成し、一般化して活用すること は、がんの子どもへの理解をより充実させることができ、「がん教育」を全国的に展開す るためのサポートツールになりうると考える。今後は、大人のがん教育に小児がんも含め た指導案を作成し、この動画を再編集した上で、小児がんに着目した「がん教育」を実施 していく。
キーワード:がん教育、小児がん、復学支援、がん教育支援ツール
Ⅰ.はじめに
文部科学省は平成24年に策定されたがん対策推進計画の中で、子どもに対して「がんに 対する正しい知識とがん患者に対する正しい認識をもつよう教育すること」を掲げている。1 ) また、がん対策推進基本計画(平成24~28年度までの 5 年間)では、「がん」教育をどの ようにするべきかを検討し、平成26年度から「がんの教育総合支援事業」を実施し、全国
でモデル事業を展開するとともに、がん教育の指導内容、教材の開発、医師の確保を含め た外部講師の活用方法等について検討を進めてきた。その成果報告として平成28年度に行 われた「がん教育」モデル校による実践報告会では、大人のがんの予防、治療法、生活の 質についての発表2 ) 3 ) 4 ) 5 )はあるが、子どものがんに関しての報告はみられなかった。
文部科学省が、がん教育を「がんと向き合う人々に対する共感的な理解を深めることを 通して、自他の健康と命の大切さについて学び、共に生きる社会づくりに寄与する資質や 能力の育成を図る教育である」1 )と定義している様に、現在、小児がんも含めたがんと いう病気を偏見なく理解するための具体的な方策の検討が喫緊の課題となっている。そう いう中、筆者らは、がんの子どもの理解を促進するために復学支援ツールとして、白血病 の小学 2 年生を主人公とした絵本「おかえり!めいちゃん」6 )を作成し、小学 3 年生を 対象に読み聞かせを実施した結果、がんの子どもの理解に絵本は効果的であることが確認 できた。また、単なる読み聞かせる絵本として活用するだけでなく、道徳の授業の教材と して活用可能であることも示唆された。7 )
今回、学校での「がん教育」について、従来の大人のがんに加え子どものがんにも着目 した教育プログラムを構築するために、絵本以外の「がん教育」支援ツール(動画)を作 成したので報告する。
本研究で、がんの子どもへの理解を推進するツールを作成し、一般化して活用すること は、がんの子どもへの理解をより充実させることができ、「がん教育」を全国的に展開す るためのサポートツールになりうると考えられる。
Ⅱ.小児がんに着目した「がん教育」の概要
最初に「がん教育」を実現するまでの流れを示し、作成したがん教育支援ツールを紹介 する。
1 .小児がんに着目した「がん教育」実施の流れ
1 )準備段階:教諭およびがんの子どもを持つ親を対象にがん教育に対する意識調査を 行い、小児がんに着目したがん教育の効果や課題を明確にし、がん教育 支援ツールを作成する。
その後、児童生徒へ読み聞かせや視聴を行い、絵本および動画の修正を 行う。
2 )実施段階:小中学校における「がん教育」の中で実際にプレゼンテーションを試行 する。また現職教員、教育学部の学生に対しても小児がんを含めた「が ん教育」に関する研修会を企画開催し学校内での「がん教育」体制作り ができるように啓蒙する。
2 .がん教育支援ツール
1 )絵本:長期療養をした小児がんの子どもが学校に復学した後、様々な支援を受けな がら学校生活を送るというストーリーの絵本「かがやけ!めいちゃん(2019)」
2 )動画(You tube):小児がんの子ども達が安心して復学できるために必要な支援に ついて、関わった経験がある人に話してもらう。
ここでは作成したがん教育支援ツールの動画について報告する。
Ⅲ.がん教育支援ツール(動画)の作成
1 .がん教育支援ツール(動画)作成までの経緯
この動画は、がん教育で視聴するだけでなく、元々小児がんの子どもが復学する時に担 当する地元校の先生方に見ていただくことを想定して、小児がんの子ども達が安心して復 学できるために必要な支援をまとめたものであった。ここでは、がん教育支援ツールに焦 点をあてた作成目的および動画作成までの経緯を示す。
1 )作成目的
目的:児童生徒が小児がんの子どもへの具体的な支援や思いを知ることで、相手の立 場や気持ちを想像し、尊重することを通して、思いやりの心を持ち、自分がで きる関わりを考える機会になる。
目標:・病気の事、復学した時に注意して欲しいことを知る
・保護者の経験談から、復学してくる子どもと保護者の気持ちを知る
・小児がんの子どもと関わったことがある教員の経験談から、復学に向けて準 備した事、入院中、復学後に関わった具体的内容を知る
・入院中、復学後の学習・自立支援についての情報を知る
2 )出演者:医療者(岡山大学医学部の嶋田明医師、倉敷中央病院の今井剛医師)
学校関係者(担任の清岡義文先生、院内学級の森訓子先生)
保護者(青山由香里さん、鈴木純子さん)
学習支援ボランティアのNPO法人(三好祐也さん)
3 )動画作成の経過
2018年 4 月~ :保護者や担任の先生から聞き取りを行い、復学時の思いや支援内容 の話から抜粋して、脚本を作成する。
医師とNPO法人代表には脚本は作成せず、話してもらう内容の打 ち合わせを行った。
2019年 4 月~ 8 月:岡山県教育委員会および岡山市教育委員会に対して、教員と保護者 の脚本を見てもらい、動画を作成していいか検討していただく。
出演者に対して、動画の作成目的と使用方法を説明して、出演の同 意をいただく。
2019年12月26日 :就実大学 清岡先生(担任)、森先生(院内学級)動画撮影 12月27日 :青山さん(保護者)、 鈴木さん(保護者)動画撮影 2020年 1 月 6 日 :岡大病院 島田医師 動画撮影
1 月 7 日 :倉敷中央病院 今井医師 動画撮影
1 月15日 :ポケットサポートNPO法人代表 三好さん 動画撮影 1 月中旬~ 2 月上旬:インサート動画の撮影(就実小学校、近郊の病院)
3 月 :動画完成
6 月~10月 :岡山県教育委員会および岡山市教育委員会の先生方に動画を見て いただき、また出演者からも許可を得た上で、YouTubeに各支援 者の動画を随時アップする。
2 .動画の内容
YouTubeに「がんの子ども復学支援チャンネル」を作成し、アップした動画の内容を以 下に示す。https://www.youtube.com/channel/UCDBNKVx62g8TA-hKEHCNApw/featured
1 )動画の形式・復学支援チャンネルを作成しYouTubeで各支援者の動画が視聴できる。
・各チャートは独立させ、見たい動画だけを選択することが出来る。
・DVDなどの物品ではないため、紛失がない。
2 )使用方法 ・がん教育時、がん患者への理解と共生を考える際に、児童生徒に視聴し てもらう。
・岡山県内の教員の研修会で使用する。(2020年12月、 2 回実施)
・教員養成課程の学生への授業で使用する(2020年11月12月、 2 回実施)
3 )各チャート内容
( 1 )医療者からの話:嶋田医師(18.51分)
①小児がんの説明:治る時代になった (治療・薬の副作用のこと)
②復学後に注意して欲しい事
・感染予防について(感染症流行時の対応、手洗い・うがい・換気の徹底、マスクを して掃除をする、給食、係活動)
・体力面について(運動、プールについて)
・校外学習の参加について(薬の管理、保護者の付き添いについて)
・退院後の通院について(外来治療)
③入院時に保護者と学校と医療者間でカンファレンスを行う利点
④保護者の会のキャンプに参加して感じていること (保護者とのつながり)
⑤学校の先生方へのメッセージ(医療者も学校の先生も子どもへの思いは同じである)
( 2 )医療者からの話:今井医師(8.23分)
①子ども達に病気のことをどのように説明しているか
②病気になったことは誰のせいでもなく、医療者と両親は一緒に乗り越える準備をして いる
③病気の子ども達にとって、一番衝撃を受けることは、学校に行けないこと
④毎日、治療を頑張っている子ども達に伝えていること
⑤医療者から見た院内学級の子ども達の様子
⑥学校の先生方へのメッセージ、目指している学校との連携
⑦退院する子ども達にかけている言葉
(病気と闘ったことは誇りであり、勝利の時間だったんだよ)
( 3 )保護者からの話:青山さん(21.48分)、鈴木さん(12.22分)
①医師から病気を告知されたときの気持ち
②病院生活で大切にしていたこと、入院生活を送る上でのアイデア
・子どもにとって病院も人生の一部、日々感謝の気持ちを感じていた
・ 1 日 1 枚写真を撮っていた(入院〇日のカウントダウン)
・リハビリとの向き合い方
③入院中に学校からの支援で心に残っていること
・入院中も継続して関わってもらい、嬉しかった
・相談窓口を一本化して教頭先生が担って下さったため相談の電話をかけやすかった
④クラスメイトへ病気の話をしたこと
・どんな内容の話をしたのか
・クラスメイトへ話をすることに対して、お子さんはどう感じていたか
・病気の話をした時のクラスメイトの様子
・クラスメイトや保護者への説明について相談の機会をいただいて、嬉しかった
・復学前に手紙で子どもの様子を知らせることが出来て、良かった
⑤退院後の復学の支援の和
・養護教諭からの支援で心に残っていること
(入院中、姉の支援をしてもらった 感染症が出た時はすぐに連絡してもらい、運 動会の練習の時けがの有無を見てもらい、貧血や体調を見てもらった)
・担任の先生からの支援で思い出に残っていること
(手洗い・換気・消毒を先生からしましょうと声をかけてもらった、学校で頑張っ た時は先生から電話をもらった)
⑥退院後子どもに対して思っていること(ちょっと無理しても楽しんでほしい)
( 4 )担任教師からの経験談:清岡先生(16.22分)
①入院初期の対応で工夫したこと
②クラスメイト、教職員、保護者へ病気の説明をしたこと
・きょうだい支援(兄のクラスメイトへの説明、ストレスがたまらないように見守る)
③復学に向けた準備について
(感染予防、退院時カンファレンスに参加、養護教諭と協力して子どもの支援を行う)
・復学前に、クラスメイトに伝えたこと
(容姿が変わっていること、長そで・ニット帽、体力が落ちていること)
・クラスの子ども達が取り組んだこと
(自分の身体は自分で守ろうというスローガンで、感染予防に取り組んだ、
本当の思いやりについてみんなで考えた、今まで通りに接する思いやりの大切さ)
④復学後の対応
(自分でできる掃除を考えてもらう、感染流行中で欠席した時は、家に行って一緒に 勉強する)
( 5 )院内学級の教師からの経験談:森先生(5.26分)
①入院中の子どもの様子について(子どもが喜ぶこと)
②きょうだい支援の大切さ
③子どもとの絆を大切にすること
④地元校の先生との関わりについて
( 6 )学習支援ボランティアポケットサポートNPO法人代表からの話:三好さん(11.24分)
①学習支援、復学・自立支援について
②遠隔授業について
③交流支援活動について
④ポケットサポートのこれからの目標
(学習・復学・自立支援、生きる力を育む、人や気持ちをつないでいく)
4 )作成上の工夫
計画の段階では、動画全体で40分にする予定だった。事前に話してもらう内容を依頼し ていたが、当日は問いかけた後、自由に話してもらうスタイルとした。そのため出演時間 が長くなり予定の時間を超過したが、中身は経験談が多く含まれ、すぐにでも活用出来る 内容となった。
この動画は復学支援のツールとしても活用するため、岡山県の担任の先生方が利用でき るよう、岡山県の子ども達の経験に限定した。そして、岡山県で小児がんの診療をしてい る医師の顔を出すことにより、学校の先生が病院に行きやすくなり、質問しやすい環境を つくることも工夫の一つであった。さらに、岡山県で活動している小児がんの保護者の会 である「あゆみの会」のメンバーに話してもらうことで、現在入院中の患児の家族が困っ たときに連絡を取りやすくなるように願って作成した。
はじめは出演者が顔を出すため、動画のアドレスを知っている人が視聴できるチャンネ ルにする予定だったが、新型コロナウィルス禍の状況で、You Tubeを利用した教育が進 んでいること、内容的に一般化できる経験談であることから一般公開することになった。
Ⅳ.考察
文科省がんの教育総合支援事業による「がん教育」が平成24年から推進され、平成29年 度からは小学校、中学校、高等学校の学習指導要領に記載された1 )。今回作成した動画は、
文部科学省が具体的な「がん教育」の内容として示している1 )①がんとは(がんの要因等)、
②がんの種類とその経験、③我が国のがんの状況、④がんの予防、⑤がんの早期発見・が ん検診、⑥がんの治療法、⑦がん治療における緩和ケア、⑧がん患者の生活の質、⑨がん 患者への理解と共生のうち、④⑤⑦以外の小児がんに関する 5 つの内容が含まれていた。
現在、がんの予防の観点から生活習慣病と検診に着目した授業展開をしている学校が多く
8 )、小児がんだけに着目した授業では、がん教育の目的は達成できないと考えられる。一 方で、小児がんの内容を入れることにより、がん治療を行った子どもに対して「生活習慣 を守っていなかった」という偏見の目を向けられる懸念を払しょくすることが出来る。ま た現在、がん患者の生存率は高まり、治る人、社会に復帰する人、病気を抱えながらも自 分らしく生きる人が増えてきている9 )。これは小児がんにおいても同様の傾向であり、小 児がんの治癒率は著しく向上し、社会復帰する子ども達が増加してきている10)。「がん教育」
の内容に、⑨がん患者への理解と共生が掲げられているが、小児がんの治療を終えた子ど も達は入院する前に通っていた学校に戻り学校生活を送ることになるため、身近な友達や 教員を含めた周囲の人が病気を理解してくれることは、復学した子ども達が学校生活を送 る上で重要になる11)。 今後は教育支援ツールの提案だけでなく、大人のがんに小児がん も含めた指導案を作成した上で啓蒙していく必要がある。
さらに、この動画が復学支援とがん教育の目的で利用するためには、再編集の必要性が 示唆された。例えば、がん教育を実施する前に教員が視聴して勉強するバージョン、小学 生が「がん患者への理解と共生」を主として学ぶバージョン、中高生が大人のがん以外に 小児がんの長期外来治療や闘病生活で得られる価値を学ぶバージョンなど、短時間で学ぶ ことができる動画に編集する必要がある。
現在実施されている「がん教育」では大人のがんについての理解を推進しているが、小 児がんについて理解する機会はほとんどないため、同世代のがんを知ることは、がんを身 近なこととして捉える機会になると思われる。治療後の脱毛や皮膚障害など容姿が変わっ た動画を見ることで、人との違いやそれ伴う偏見について考える機会になり、道徳教育の
「親切、思いやり」「相互理解、寛容」「生命の尊さ」等の学び12)を促すと考える。
表 1 .がん教育内容と動画の内容
がん教育の内容(文部科学省) 本研究の動画の内容
①がんとは(がんの要因等) 小児がんとは
②がんの種類とその経験 小児がんの種類・告知の事・リハビリの事
③我が国のがんの状況 小児がんの治癒率
④ がんの予防
⑤がんの早期発見・がん検診
⑥がんの治療法 小児がんの入院での治療・外来治療
⑦がん治療における緩和ケア
⑧がん患者の生活の質 学習支援・院内学級・きょうだいへの影響・薬の 副作用
⑨がん患者への理解と共生 学校における復学支援・学校生活で気を付けること 保護者会の集まり
Ⅴ.今後の課題
今回、小児がんに着目した「がん教育」を行うために、教育支援ツールの一つである動 画の作成過程を報告し活用法について述べた。以下の項目について、今後の課題を示す。
1 )がん教育で使用するための工夫
今後、児童生徒はどのような場面が印象に残るかを調査し、動画を提示する場面、視聴 の仕方も含めた動画の使用方法を検討する必要がある。例えば、保健委員会活動でこの動 画をヒントに、がん患者にどの様な声掛けを行ったらよいのか等の様々な場面を設定して 劇を行うのも一案である。周りにがんの経験者がふえる共存共生の時代だからこそ、小学 校から学ぶ意味があり、特に主体的に考えるがん教育が求められる。
また、教員の研修会や教員養成課程の授業で利用し、小児がんも含めたがん教育の啓蒙 を行いたい。
2 )今後の動画作成
今回の動画は、がんになった子どもは写真のみの出演だった。母親たちがインタビュー を受けている姿をみて、自分も話したいと申し出てくれた。元気な自分の姿がYouTubeに 出ることで、病気と闘っている世界中の子ども達への励ましになりたいと言っていた。今 井医師が話している様に、小児がんを経験した子どもたちは病気と闘ったことは誇りであ り、入院期間を勝利の時間であり宝物として捉えていると思われる。このような子ども達 が発信することで、道徳教育の「希望と勇気、努力と強い意志」を学べると考える。
動画は経験談を多く含み、支援の真似ができるような具体的内容にした。また、岡山県 の子どもたちの経験に限定し、岡山県内の医師や保護者の会の方、岡山にあるNPO法人 代表が出演し、岡山県にいる教員や児童生徒が自分事として考えられる工夫をした。
しかし、現役の養護教諭、担任、管理職の先生から動画出演の承諾を得るのはとても難
しかった。とても貴重な支援をされている教員も現役であるため、顔を出して話すのは難 しいようだ。今後、定年後の先生方も含め、自分の経験を伝えてくれる協力者が得られる ように活動していく。
Ⅵ.結論
今回、学校における「がん教育」において、従来の大人のがんに加え子どものがんにも 着目した教育プログラムを構築するために、がんの子どもへの理解を含めた「がん教育」
支援ツール(動画)を作成した。動画は、小児がんの子どもの保護者や復学支援をしてき た教師、復学支援を視野に入れて治療を推進してきた医師、学習支援活動に従事している NPO法人代表者などの経験を踏まえた話で構成されている。
今後、大人のがん教育に小児がんも含めた指導案を作成し、この動画を再編集した上で、
小児がんに着目した「がん教育」を実施していきたい。
謝辞
今回、がんの子ども達への関りを話して下さった清岡先生、森先生、NPO法人の代表 三好様、入院中の気持ちや経験を話すだけでなく、写真を提供して下さった青山さん、鈴 木さん両ご家族、青山君、鈴木君に心より感謝いたします。また、制作および撮影にご協 力いただいた岡山県教育委員会および岡山市教育委員会、就実小学校の関係者様、山部英 之先生、十河妹先生、近藤福美先生、2019年度卒森口ゼミ生にも心より感謝いたします。
がんと闘っている子ども達だけでなく、小児がんの事を知らない児童生徒に、出演者の 想いと願いは伝わると確信しています。
本研究は、科学研究費助成事業による「小児がんに着目した「がん教育」支援プログラ ム構築のための基礎的研究」の研究計画の一部である(JP19K14304 代表:森口清美)
引用・参考文献
1 )文部科学省.平成27年 3 月文部科学省「がん教育」の在り方に関する検討会報告 https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/__icsFiles/afieldfile/2016/04/22/1369993_1_1.
2 )横山郁子,浅田聖士,藤本佳昭,河内正二,沼田千賀子(2018)中学生に対するがん 教育の実施および生徒の意識変化,日本緩和医療薬学雑誌11:73−79
3 )北川知行(2015)小学生のがんを考える,国際対がん連合(UICC)日本委員会がん 研究会がん研究所
4 )文部科学省.平成30年度におけるがん教育の実施状況調査の結果について.https://
www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_kenshoku-000005036_1.pdf
5 )本多昭彦(2018)日本対がん協会のがん教育教材開発の取組み,医学のあゆみ267(10):
797-799
6 )大見サキエ,森口清美著(2016)「おかえり めいちゃん」ふくろう出版
7 )大見サキエ,安田和夫,森口清美,髙橋由美子,畑中めぐみ,谷脇歩実,宮城島恭子,
谷口惠美子,河合洋子,平賀健太郎,堀部敬三(2016)小児がん患児の復学支援ツールの 開発 小学生に対する試作絵本の読み聞かせ効果と活用法の検討,岐阜聖徳学園大学看護 学研究誌, 1 ( 1 )3 -15
8 )助友裕子,河村洋子,久保田美穂(2012)小学校高学年を対象としたがん教育の実施 可能性 ―教科等との関連および教師の考え方を中心とした検討―,学校保健研究,54,
250−259
9 )若尾文彦(2015)日本のがん教育の現況と今後,癌と科学療法,42( 8 ),920−923 10)月本一郎 編.小児血液・腫瘍疾患治療プロトコール集.東京.医薬ジャーナル.
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11)山本佳恵,川根伸夫,野村明孝,桑田弘美,白坂真紀(2015)長期療養患児への連絡 カードを用いた復学支援の実際,滋賀医科大学看護学ジャーナル,13( 1 ),70-73 12)特別の教科 道徳編 小学校学習指導要領 解説
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfi le/2019/03/18/1387017_012.pdf