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技能・応用実践力習得のための「音楽実技」指導の 実際

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Academic year: 2021

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技能・応用実践力習得のための「音楽実技」指導の 実際

著者 石原 享子, 桐山 由香, 前北 恵美, 重信(松山) 

久美

雑誌名 大和大学研究紀要

巻 4

ページ 39‑44

発行年 2018‑03‑15

URL http://id.nii.ac.jp/1677/00000140/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

平成29年11月24日受理

技能・応用実践力習得のための「音楽実技」指導の実際

Skills for Practical Music: A Guide for Acquisition of Performance and Applied Practical Skills

石 原 享 子1 A-G・桐 山 由 香2 A-G・前 北 恵 美3 D,F,G・重 信 久 美4 B,E,F,G ISHIHARA  Kyoko KIRIYAMA  Yuka MAEKITA  Emi SHIGENOBU,  M.  Kumi

要  旨

 本稿の目的は,演奏技術を社会活動の場でいかすことができる応用力育成のための授業の構築と,実践した授業内容が 適切であるかについて検討することである。対象者は,ピアノ演奏を専攻としない学生である。学生が卒業後に,社会人 として音楽を使って仕事をする場面は多岐にわたる。技術の習得にとどまらず,現場で対象者のニーズに合わせて柔軟に 応答できる力,つまり応用力の育成のために,学習経験の異なる学生を対象に,個々に応じた教材選択や音楽実技指導を 実施した。ピアノ実技,伴奏づけ,初見視奏の3つの領域を評価の観点とした。ピアノ実技においては,初心者・経験者 のどちらにも技術の向上がみられた。伴奏づけにおいては,スリーコードのパターンの演習を繰り返すことで,伴奏技術 の定着が見られた。初見視奏においては,ピアノ実技の基礎に伴奏づけの技能が加わったことにより,楽譜に瞬時に伴奏 をつけることができた。

Ⅰ.はじめに

 現在,教育機関,医療機関や福祉の現場等多方面で,

音楽によるサポートや取り組みがなされている。学生が 卒業後に,社会人として音楽を使って仕事をする場面は 多岐にわたる。保育者養成や副科のピアノ教育による音 楽実技に関する先行研究には以下のものが挙げられる。

 村木(2013)は,ピアノ入門者について,「不得意な動 きが続くとミスも多くなってくる」ため「負担を軽減し,

そのかわり指くぐりや指超えを含む運指に変更する」1)

ことで,「精神面での影響も考慮すべきである」と述べ ている。高地(2016)は「一曲ごとにポイントを絞っ

た小さな達成目標をもたせることで学生に達成感を得さ せて自信をもたせること」2)に重点を置いている。また,

諸井(2016)によると,「多くの指導者が,これまでに 養成校でのピアノ初心者への指導に関する研究を行って おり,カリキュラムの改善,副教材研究,指使いに関す る研究等,様々なアプローチの仕方でピアノ初心者への 学習支援を試みている」3)。石田(2017)は,「既成の 楽譜が自分にとって難しい伴奏であっても,それを平易 な伴奏系に編曲するための知識,すなわちハーモニー理 論の知識があれば保育現場や教育現場にでたときに非常 に役立つと思われる。また,コードネームを見ながら伴 Abstract

 The purpose of this paper is to create course work that uses applied skills for performance techniques in social activities  and to determine whether the content of these lesson plans are appropriate. After graduation, there is a wide variety of  ways that students can use music in their work. In order to enhance the ability for appropriately respond to people/pupils  with special needs, we should consider performance technique and acquiring applied skills. To accommodate students  with diff erent learning experiences, we attempted to teach students individually by their levels with selected materials. 

We evaluated the studentsʼ performance from the following three points of view: basic piano technique, accompaniment  and sight-reading. In piano practical skills, both beginners and experienced students showed their technical improvement. 

In the accompaniment harmony, repetitive exercise of commonly-used three chordsʼ pattern improved ability. In sight- reading, the students increased their immediate harmonized skills to given melodies, by integrating basic technique and  accompaniment skills. This resulted in studentsʼ acquisition of the comprehensive technique and advanced performance  skills expected in this project.

キーワード:応用実践力,音楽実技,初見視奏,スリーコード

keywords:applied practical skills, practical music, sight-reading, three chords

1大和大学教育学部 教育学科 2,4大和大学保健医療学部 総合リハビリテーション学科 3兵庫大学生涯福祉学部 こども福祉学科 1,2 equal contribution, 4 corresponding author

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石 原 享 子・桐 山 由 香・前 北 恵 美・重 信 久 美

奏できることも有効な即戦力となる」4)と述べている。

 これらの先行研究では,効率のよい技術習得を目的と したり,意欲的に課題に取り組ませることに重点が置か れたりしている。

 本研究では,その場の状況に即座に対応して演奏でき る応用力育成に焦点をあて,それぞれの学生の実態に合 わせた教材を選択し,音楽実技指導を行った。その中で もピアノ実技指導を中心にとりあげる。

Ⅱ.目的

 本研究の目的は,以下のとおりである。

1.演奏技術を社会活動の場でいかすことができる,応 用力の育成のための教材選択と授業の構築。

2.構築した授業の実践結果による,授業内容の検証。

Ⅲ.方法

 本研究の方法は,実践的方法である。応用力育成のた めに必要な音楽的技能習得のための授業を構築し,実践 を行う。そして個人の進度状況の観察と学生の振り返り レポートにより考察する。

1.研究の対象者

 大学2回生14人(男子1人,女子13人)

2.実施期間   「音楽実技Ⅰ」

 前期30回 X年4月7日〜Ⅹ年7月21日    「音楽実技Ⅲ」

 後期30回  X年10月20日〜X+1年2月23日

3.授業の概要

 3人の教員で学生を4〜5人のグループに分け,音楽 実技の個人指導並びに班別指導を行う。1年間を通し て同じ学生を担当する。前期,後期ともそれぞれ全30 回のうち,3回の授業は,30分を一斉授業とした。90 分1コマの授業を連続で2コマ,計30回の授業を行い,

それぞれ30回目に総まとめを行う。

 授業は,ピアノの技能習得のための実技を中心とした 教材と,即興的にコード伴奏ができる技能の習得のため の教材を活用する。

 (1)ピアノ実技

 ピアノ初心者には読譜指導から始める。次に,運指や 楽譜と鍵盤の位置の確認を行う。そして正確な音,リズ ム,テンポで演奏できることを目標とする。

 経験者に関しては既習範囲を把握した後に,個人のレ ベルに合った曲を課題として与える。授業での理解度や 習得の進度は個人差があるため,授業を進めながら適宜 個人の演奏能力を把握し,図1に示すように各学生に 合った曲を選んでいく。

図1:教材選択の流れ

 トンプソン「現代ピアノ教本1」は,ピアノ初心者の ために作曲された小品からできている。音楽形式のパ ターンについての説明とそれが組み込まれて作曲された 曲の演習により,奏法や音楽理論を少しずつ学習できる ように構成されている。幼児だけでなく,年齢を問わず 初心者向きの教材といえる。したがって初めてピアノを 履修する学生にとっても平易すぎず,整理された学習の ポイントによって,取り組める。

 前期では,全員がまずトンプソン「現代ピアノ教本1」

から「白鳥」・「ぼくのふね」・「きつつき」・「ナイトとレ ディー」・「モーツァルトの曲から」・「小さなワルツ」・「青 がんばれ」・「スペインのフィエスタ」・「夕べの鐘」・「な つかしいむかし」・「きよしこの夜」の11曲を共通課題 とした。これら11曲はそれぞれにピアノ実技の基礎と して大切な音楽的要素や技術習得に欠かせないテクニッ クの要素が含まれている(表1参照)。課題曲をすべて 合格した者は,さらに個々にあった曲を「標準 バイエ ル教則本・併用曲集付き」,ブルグミュラー「25の練習 曲op.100」,「ソナチネアルバム」,「ソナタアルバム」

などより選曲する。

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(4)

 (2)伴奏づけ

 教材は,橋本晃一「おとなのためのピアノ教本併用  スリーコード・ピアノレッスン」を使用する。本教材は 楽譜が大きく,学習者がコードで実際に弾く音を書き込 めるよう工夫されているため,音と記譜音を関係づけて 学習することができる。教材の楽譜上の五線に音を自主 的に記譜する学生も多くいたが,このことは,自作の伴 奏形を視覚的に捉えて演奏ができるという利点がある。

 前期では,ハ長調のスリーコード(C・F・G)を使っ てメロディーに伴奏づけができることを目標とする。初 めにコードネームの説明を行い,スリーコードの基本形 及び転回形を習得させる。Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰのコード進行を基 本にして転回形も含めたコードを学習する。

 後期では,ハ長調のスリーコード(C・F・G)に加え ドミナントセブンスコード(C7・D7・E7・A7)やマイナー コード(Dm・Am・Em)を使って,メロディーに多彩 な伴奏づけができることを目標とする。橋本晃一「おと なのためのピアノ教本併用 スリーコード・ピアノレッ スン」に載っている伴奏のアレンジを2〜4通り弾く。

余力のある学生には教材には無いオリジナルの伴奏を作 曲してもらい,五線紙に書いて楽譜にした。

 (3)初見視奏

 前期・後期各々30回目の授業時に初見視奏の課題を 与える。大譜表の高音部譜表にメロディーのみが書かれ た,レベルの異なる3種類の楽譜から各人が一曲を選 び,前期はハ長調のスリーコード(C・F・G)で,後期 はセブンスコードやマイナーコードを加えて初見で演奏 する。

4.評価

 本授業の成績は音楽実技70%,授業態度30%の割合 で行った。音楽実技の部分については,  (1)ピアノ実技,

(2)伴奏づけ,(3)初見視奏の評価領域に分けた。(2) 

伴奏づけと(3)初見視奏が,今回焦点化している応用 実践力の領域である。各領域の評価の観点は以下の通り である。

(1)ピアノ実技

 楽譜を見て,あるいは暗譜で演奏することができる。

①正確なテンポで弾くことができる。

②正確なリズムで弾くことができる。

③正確な音で弾くことができる。

④ダイナミクス( や など)を表現することができる。

⑤最後まで止まらずに弾くことができる。

 ブルグミュラー「25の練習曲Op.100」以上のレベル については,以下の項目も追加する。

⑥音楽的に表現できる。

表1:トンプソン課題曲の学習ポイント

曲名 各曲の特徴と学習目標

白鳥

(ハ長調)

基本的なダイナミクスを覚える。

繰り返し出てくるメロディーの パターンで音楽の明暗が表現で きる。

また,リタルダンドでテンポの 変化をつける。

ぼくのふね

(ニ長調)

#2

2つの音のフレーズの弾き方と八 分音符のリズムを覚える。

妖精の宮殿

(ヘ長調)

♭1

マーチのリズムと左手のヘ長調の マーチの伴奏形パターン,フェル マータの効果を使って次の音楽へ のつなげ方を学ぶ。

きつつき

(ト長調)

#1

スタッカートの奏法とト長調の和 音伴奏のパターンを覚える。また,

レガートとスタッカートの対比が 表現できる。

ナイトとレディ

(イ長調)

#3

弱起の始まりを学ぶ。また,繰り 返 し 出 て く る 左 手 の 伴 奏 形 の パ ターンを練習することにより,イ 長調の和音の形を覚える。

モーツァルトの曲から

(イ長調)

#3

付点四分音符+八分音符のリズムを 覚える。

青がんばれ

(ハ長調)

8分の6拍子を覚える。短くシン プルなメロディーにより,拍子感 を容易に体得できる。

スペインのフィエスタ

(ヘ長調)

♭1

シンコペーションのリズムの導入。

左手の伴奏形とリズムのパターン によって,曲のメリハリを表現で きる。

なつかしいむかし

(ニ長調)

#2

耳なじみの良いメロディーに,ア ルベルティバスによる伴奏形のパ ターンを習得する。

かえるのコーラス 

(ト長調)

#1

手 を 交 差 さ せ て 弾 く 奏 法 を 学 ぶ。

右手の音域が広くなることにより,

強弱とともに音の高低で表現でき る。

きよしこの夜

(ハ長調)

左手の分散和音の伴奏形を覚える。

曲の途中で音部記号が変化する楽 譜に慣れる。

 後期では前期で習得したことを基本として,全員がピ アノ演奏技術のさらなる向上を目指す。新たに「標準 バイエル教則本・併用曲集付き」より課題を設定し,

個 々 に あ っ た 曲 を ブ ル グ ミ ュ ラ ー「25 の 練 習 曲 op.100」,「ソナチネアルバム」,「ソナタアルバム」な どより選曲する。

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石 原 享 子・桐 山 由 香・前 北 恵 美・重 信 久 美

 (2)伴奏づけの様子

 教材には同じようなリズムパターンが何度も出てくる ため,前期では,伴奏形を早く身につけることができた。

また,学生が自ら新しい伴奏形を見出した。

 後期では,右手のメロディーに左手で伴奏をつけるだ けでなく,両手で伴奏をする演奏や,リズム変奏を工夫 した演奏をする学生もいた。

 (3)初見視奏

 評価の観点をすべて満たしている場合を50点とした。

 前期は50点が0人,45点以上が4人,40点以上 が9人であった。

 後期は50点が7人,45点以上が9人,40点以上が14 人であった。課題の難易度が前期に比べて高かったにも かかわらず,全員の到達度が80パーセント以上という 結果となった。これにより,一年間を通して技能の向上 が見られたと判断できる。

2.振り返りレポート

 「音楽実技Ⅰ」「音楽実技Ⅲ」を通し,授業に関する振 り返りレポートを実施した。以下その結果を記す(文言 は,すべて学生の表記のとおり)。

No.1 コードネームは必要と思うか    必要と思う  14人/14人中

 ・伴奏を考えたり,弾くのに必要だから。

 ・初見で曲を弾く際には必要と思う。

 ・即興で伴奏する際に必要だから。

 ・コードネームを覚えると便利だから。

No.2 ピアノの技術は向上したと思うか    向上したと思う 14人/14人中

No.3 人前でピアノを演奏することに対してどう思うか  ・緊張するし恥ずかしいが,もっと頑張ろうと思った。

 ・恥ずかしいし緊張するが,人前で弾くと上達は早い と思う。

 ・緊張してしまい練習の時よりも音を間違えてしま う。

 ・緊張したし恥ずかしく感じる。また,失敗したらど うしようかと思う。

No.4 この授業に対する感想

 ・初心者だったのにもかかわらず,すごく上達させて もらった。

 ・毎週ピアノを弾く機会があり楽しかった。

 ・今まで良くわかっていなかったコードのことを詳し く理解し,身につけることができた。

 ・この授業のおかげで初めてピアノに触ることがで き,楽しかった。

 ・コードを読む練習も楽しかったが,作曲→コードづ

⑦曲に合ったテンポで弾くことができる。

 (2)伴奏づけ

 橋本晃一「おとなのためのピアノ教本併用 スリー コード・ピアノレッスン」より,任意の一曲に伴奏をつ けたものを,楽譜を見ながら演奏することができる。

①曲に合ったコードで弾くことができる。

②曲としてまとまった演奏をすることができる(正しい  テンポ,リズム,音やダイナミクス) 。

③スリーコードを使って,曲に適した伴奏形で弾くこと ができる(リズム変奏も含む) 。

 (3)初見視奏

 大譜表の高音部譜表にメロディーのみが書かれたレベ ルの異なる3種類の楽譜を試験当日に指定する(30秒 の予見が可能) 。  その中から受験者自身が一曲を選曲 し,ハ長調のスリーコード(C・F・G)で伴奏をつけて 初見で演奏する。

①ハ長調のメロディーに対して正しいスリーコードで伴 奏づけができる。

②伴奏づけをしたスリーコードを正しく弾くことができ る。

③楽譜通りに正しいリズムと音でメロディーを弾くこと ができる。

④曲に合ったテンポで弾くことができる。

⑤初見の曲に対して,臨機応変に対応して弾くことがで きる(リズム変奏も含む) 。

Ⅳ.結果

1.進度状況の結果

 (1)ピアノ実技(2)伴奏づけ(3)初見視奏におけ る進度状況の度合いの観察は以下のようになった。 

 (1)ピアノ実技

 前期のトンプソン「現代ピアノ教本1」の合格曲数は,

表2のようになった。

表2:トンプソン「現代ピアノ教本1」合格曲数

合格曲数 合格者数

※( )は初心者

17 2(1)

18 2

19 3

20 3(2)

21 3

22 0

23 1

(6)

けもやってみたかった。

 ・久しぶりにバイエルやソナチネをやったので,強弱 や指の動かし方など良い勉強になった。

 ・スリーコードのパターンに頭をなやませた。

 ・バイエルも大事だが,もっと曲っぽいものを弾いて みたかった。

 ・コードについての勉強や自分で伴奏を考えることは したことが無かったので,とても勉強になった。

 ・ピアノは難しくて大変だが,一年間やりきれて良 かった。

Ⅴ.考察

 社会における様々な場面で音楽実技を用いた支援をす る場合に必要な力のひとつに,どんな曲でも臨機応変に 対応しながら演奏できるという力がある。知らない曲で あっても初見である程度演奏できること,また単旋律に 対して簡単な伴奏をつけることができるといった力であ る。

 本実践では,この力を習得させるために,教材の選択 と個々にあった楽曲の構成に留意した。表1の学習目標 を基に,楽曲を選択した結果,以下の点が考察される。

1.ピアノ実技

 共通課題は11曲であったが,学生は17曲から21曲の 合格を達成していることから,全員が意欲を持って取り 組んだことが見て取れた。11名は,さらに上級課題へ の意欲を見せ,ブルクミュラー,ソナチネ,ソナタに取 り組んだ。

 基礎技能を効率的に習得するために選択したピアノ実 技の教材,トンプソン「現代ピアノ教本1」の特徴は,

 ・各々の曲が8〜16小節と短く,旋律や形式がシンプ ルである

 ・繰り返し同じパターンで伴奏が出てくる  ・ポジション移動がなく5本の指の位置で弾ける ことである。これらの教材の特徴をいかすことにより,

初心者は無理なく片手から両手で弾くピアノ演奏技術を 習得できたと考える。

2.伴奏づけ

 応用実践力をつけるために選択した教材,橋本晃一「お となのためのピアノ教本併用 スリーコード・ピアノ レッスン」の特徴は,以下の通りである。

 ・ハ長調のスリーコード(C・F・G)を理解しながら 学習できる

 ・コードネームを見ながら単旋律への伴奏づけを習得 できる

 ・同じことを繰り返しできるような内容構成であり,

伴奏パターンのポジショニングが運動的に学習され

 ・よく知られた楽曲を用いた教材が多いことで,メロ ディーに興味を持ちながら,伴奏形の学習に集中で きる

 こうした教材選択と的確な楽曲構成による指導で,結 果に示した通り,応用実践力習得の目的を達成できたと 考える。

3.初見視奏

 初見視奏は即興的演奏ができる能力(応用実践力)を 必要とする。図2で示したように, 前期に比べ後期には,

課題の難易度が増したにもかかわらず14名中13名が,

課題を達成できていた。これにより応用実践力が育成さ れたと考える。

 国内の大学では,音楽実技の科目において,教員一人 当たり,90分間に最低でも5〜7人の学生に個別指導 を行うケースが多く見られる。本授業のように,1人 20分×30コマ/半期の授業時間の確保は,基礎技能に加 え応用実践力習得には有効であったと考えられる。

 音楽実技の技術を向上し維持するためには継続するこ とが必要である。そのためには,教員が講義終了した後 の独習用の学習ガイドラインを示したり,学習の継続を 啓発したりする必要があると考える。この1年で習得し た知識や技術を活かすために,今後も学生には継続して ピアノに触れ,生涯にわたり音楽と関わっていってほし い。

引用文献

1) 村木洋子,「歌唱共通教材(小学音楽)旋律の運指に ついて−ピアノ入門者のための−」  ,山梨県立大学 人間福祉学部紀要Vol.8,p.54,2013

2)高地誠子,「保育者養成においてピアノ実技の授業 を通して育まれる内面的な成長と求められる指導 者像」,小田原短期大学研究紀要,第46号,p.91,

2016

3) 諸井サチヨ,「保育者養成校での『弾き歌い』に関 する一考察〜学生のピアノ技能に関する実態調査を 中心に〜」  ,淑徳大学短期大学部研究紀要第55号,

p.81, 2016

4) 石田陽子,「ピアノ実技指導でのキーボード・ハーモ ニー導入の試み−その有効性と課題を検証する−」 , 四天王寺大学紀要 第63号,p.290,2017

参考文献

・松本明,「幼児教育学生のピアノ演奏技能向上につい ての考察」  ,川村女子大学研究紀要,第28巻,第3号,

pp.81-94,2017

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石 原 享 子・桐 山 由 香・前 北 恵 美・重 信 久 美

・星野英五,「幼保小の連携に即した音楽関連授業の考 察−保育者の音楽意識の調査から−」  ,名古屋芸術 大学研究紀要,第38巻,pp.249-255,2017

・原浩美,「ピアノ実技指導に関する一考察−短期大学 生の実態から−」  ,久留米信愛女学院短期大学研究 紀要,第37号,pp.23-31,2014

・坂田直子,山根直人,伊藤誠,「保育者養成における 音楽的専門性の育成―幼稚園教諭へのピアノ等鍵盤楽 器に関する質問紙調査を手がかりに―」  ,埼玉大学 紀要,教育学部,Vol.58,No.1,pp.15-30,2009

参照

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