立教大学 教職課程 2022 年 3 月
高等学校における通級指導の実践研究
小栗 貴弘 小栗香奈子
問題と目的
2007 年に改正学校教育法が施行され、全国 の小・中学校および高等学校(以下、高校)に おいて特別支援教育が始まった。中央教育審議 会(2005)は「特別支援教育を推進するための 制度のあり方について(答申)」にて高校の特 別支援教育について初めて言及した。2007 年 には「高等学校等における発達障害支援モデル 事業」が開始され、翌年にはその成果が報告さ れている(文部科学省,2008)。また、文部科 学省(2007)は「特別支援教育の推進について(通 知)」において、高校においても特別支援教育 の環境を整えるよう明記した。その中では、「特 別支援教育を行うための体制の整備及び必要な 取組」として、「特別支援教育に関する校内委 員会の設置」や「教員の専門性の向上」などが 挙げられている。
しかしながら、小・中学校と比較して高校で は特別支援教育の取り組みが遅れているとする 報告や指摘がある。例えば、文部科学省(2017)
の「平成 27 年度特別支援学校のセンター的機 能の取組に関する状況調査」では、高校の相談 件数は 6,716 件であり、小学校(69,202 件)や 中学校(27,216 件)と比較すると、文字通り 桁違いに少ないのが現状である。文部科学省
(2019a)の「平成 30 年度特別支援教育に関す る調査結果について」では、特別支援教育に関
する「校内研修」の実施率が、小・中学校は約 80%~ 90%であったのに対し、高等学校は約 65% であった。同様に、「校内委員会」の設置 率は小・中学校で約 90% 強であるが、高校で は 80%台であった。さらに、校内委員会が設 置されている高校であっても、開催回数が年間 を通して 0 回であったりと、形骸化している場 合が多いのも、高校の特別支援教育体制の問題 として指摘されている(例えば,文部科学省,
2009;中西ら,2018)。池田・若松(2017)は子 どもの実態把握や支援方法を検討する場、ある いはそうした情報を共有する場として校内委員 会を位置づけることが校内委員会の機能化に向 けた土台になると示唆している。
ところで、文部科学省(2009)は「高等学校 における特別支援教育の推進について」の中 で、通級指導教室の制度化について言及してい る。そして、2018 年より高校においても通級 による指導(以下、通級指導)が開始された。
小・中学校においては、言語障害のある児童・
生徒を対象として従来から行われていた。これ に 2007 年の特別支援教育の開始と同時に、LD 等のいわゆる発達障害を抱える児童・生徒が対 象に加えられた。これに遅れること 11 年、高 校においても通級指導が始まったわけである が、課題は山積しているのが現状である。文部 科学省(2019b)が実施した調査によると、2,485
人の通級による指導が必要と判断された生徒の うち、約 60% の生徒に通級による指導が行わ れなかったことが明らかとなった。その主な理 由は指導体制が取れなかったというものであっ た。
このように、高校における通級指導は小・中 学校での通級と比較すると非常に歴史が浅いこ とがわかる。それだけでなく、高校通級指導の 制度が特に準備なく開始されたことによって、
現場での混乱は大きかったと考えられる。吉澤
(2018)は通級指導にかかわる教員を対象に調 査を行い「高等学校の教員の約 8 割が特別支援 教育の必要性を認識しているが、その実施につ いて『難しい』『できない』と回答している教 員が 4 割以上いる」と明らかにしている。また、
高田ら(2018)は「特別支援教育にかかわる教 員の専門性の担保が不十分」と指摘しており、
こうした側面が先述したような不安につながっ ていると考えられる。また、多田・船橋(2019)は、
高校通級指導を実施している自治体の教育委員 会への調査の結果、通級指導を行う環境、つま り校内の組織体制自体が未成熟であることを指 摘している。
これらのことを鑑み、本研究では第二著者が 専門家として派遣されている高校通級指導での 実践内容について報告するとともに、先行研究 で指摘されている通級指導担当者の専門性の確 保や校内組織体制の整備といった観点から考察 し、今後の実践活動における示唆を得ることを 目的とする。
実践報告
1.通級指導の校内体制
学校概要 首都圏に位置する X 県立 A 高校。
通級指導担当者 教育相談を担当している各
学年の教員と専門家がペアで指導した。専門家 は 2 名配置されており、それぞれ週 1 日来校 していた。1 名は特別支援学校の特別支援教育 コーディネーターであり、特別支援学校のセン ター的機能として A 高校の通級指導を担当し ていた。もう 1 名は X 県が委嘱している通級 指導専門家(第二著者)であり、臨床心理士で あった。教育相談委員会 校内で通級指導を受ける方
法としては、生徒本人と保護者が自ら通級を希 望する場合と、校内で検討される場合がある。後者については、校内の教育相談委員会で各学 年から学校生活に課題を抱えている生徒の情報 が共有され、当該生徒についてどのような困難 さがあるのか、通級指導の必要性などについて 検討がなされた。
通級相談 教育相談委員会で通級指導が必要
と判断された生徒については保護者と本人に対 して通級相談を行った。その中で、保護者の考 えや気持ちを十分に聞き取った上で、通級指導 についての案内を行った。場合によっては知能 検査の案内も行い、入級前に検査を実施する場 合もあった。A 高校の場合は校内に検査用具 が用意されており、専門家 2 名のどちらかが校 内で実施することで、校外で検査を受けるより も、早く支援を開始できる体制が整っていた。通級指導体制 A 高校では週 1 回、放課後
に通級指導を行った。X 県では自校の生徒を通 級指導の対象(自校通級)としているため、通級している生徒は全て A 高校の生徒であった。
おおよそ各学年で 10 名程度を上限としていた。
A 高校では 1 学年の 9 月から 3 学年の 8 月ま でが通級期間となっていたため、常時 2 つの学 年の通級指導が開講されていた。1 学年の 8 月 までは通級指導の必要性の判断やアセスメント のため、3 学年の 9 月以降は就職活動や受験が あるために、通級指導は行わなかった。
通級会議 通級会議は毎回の通級指導の前に
開催された。メンバーは、通級指導担当者、つ まり各学年の教育相談担当教員と専門家で構成 されている。そこでは、通級指導対象の生徒た ちの近況が共有された。また、通級会議では通 級指導の対象生徒だけでなく、A 高校に在籍 するその他の課題を抱えた生徒たちの情報交換 も行われた。指導案の作成 指導案については、2 名の専
門家が作成を担当した。各学年の生徒の人数や 特性に合わせて指導内容を構成した。A 高校 では「1 学年は自己理解、2 学年は人間関係形 成とセルフコントロール、3 学年は進路」とい う長期目標があるが、途中から生徒が入級する こともあったため、その時の生徒の社会スキル の獲得のレベルによって柔軟に対応した。また、通級指導の様子について通級会議で情報交換を 行い、時にはお互いが使用している方法や内容 を自分の学年に取り入れるなどして、学年間の 連続性をもたせた。
教員と専門家の連携 高校では部活動や生徒
会、委員会などで、1 人の生徒に多くの教員が かかわることが多いため、専門家は行動観察後 や授業の合間、昼食時などに職員室で教職員か ら生徒についての情報を聞き取るなど、なるべく多角的に生徒を理解するよう連携に努めた。
2.通級指導の内容
通 級 指 導 を 行 っ た 時 期 20XX 年 9 月 ~
20XX + 2 年 8 月の 2 年間実施した。本研究で は、第二著者が X 県より通級指導専門家とし て委嘱され、通級指導を担当した 20XX+1 年 4 月~ 20XX + 2 年 8 月の 1 年 4 ヶ月の実践につ いて報告する。対象の生徒 第二著者は通級指導専門家とし
て、20XX+1 年 4 月に 2 年生の生徒たちを 3 名 引継ぎ、さらに新年度からの 1 名を加えて計 4 名を担当した。本研究の対象となるのは 2 学年 の 4 月から 3 学年の 8 月まで第二著者が担当し た、この 4 名の生徒たちである。通級指導の回数 テスト期間や行事などを避
けて週 1 回程度、20XX+1 年度(2学年時)は 全 22 回、20XX+2 年度(3 学年時)は全 7 回 の通級指導を行った。生徒の特徴と学年に合わせた指導内容 指導
案の作成には、小関ら(2020)を参考にし、生 徒たちの特徴や個性に合わせて内容をアレンジ した。各回の内容一覧を表1に示す。2 学年の 通級指導では、「今日の一言」というコーナー を毎回設け、自分の言葉でテーマに沿った話を してもらった。コミュニケーションに課題のあ る生徒たちであったため、進路のことを考える と “ 人にわかりやすく伝える ” ということをト レーニングする必要があった。そこで、「今日 の一言」ではテーマに沿っていれば自分の好き なことについて話してよいと説明し、相手にわ かりやすく話すというトレーニングを毎回行っ た。3 学年では「1分間スピーチ」と名前を変え て、時事問題やテレビ、新聞で自分が気になっ たニュースを題材に毎回スピーチを行うことと し、より進路を意識した内容へとレベルアップ していった。通級指導を終えるころには、全員 が1分間を意識しながら自分が伝えたいことと 知識、情報のバランスを考えて話をまとめられ るようになっていった。
プログラムを通して自分を客観的に捉える
これまで多くの困難さやトラブルを経験し自信 がなくなっていた生徒たちであったが、通級指 導では自分に自信をもつことを大きな目標の1 つとした。2 学年の第 9 回~第 11 回「私の取 り扱い説明書を作ろう」では、自分の性格や得意なこと、そして苦手なことだけではなく、ス トレスへの対処法や人とのかかわり方などにつ いて各自が考えた。この回で使用したワーク シートの例を図 1 に示す。
ワークシートに従って書き進めていくうち に、自分の考え方のクセや人にかかわってもら うときに期待していること、友達関係の捉え方 など、多くの気づきを得られる機会となった。
「ついネガティブになってしまう」「苦手だと思 うのでできないと決めつけてしまう」など、自 分を客観的に見ることによって、自分の気持ち 次第で行動が制限されていることがわかったよ うだった。
図 1 ワークシートの例:第 9 回「私の取り扱い説明書を作ろう①」
2学年(20XX+1 年 4 月~ 20XX + 2 年 3 月)
実施回数 メインテーマ 概要
第 1 回 「初めて会う人に自分を知ってもらおう」 ・他己紹介
・初対面場面のロールプレイ
第 2 回 「自分の特徴を知ろう①」 ・「気持ちが生まれるしくみ」について説明
・ワークと発表
第 3 回 「自分の特徴を知ろう②」 ・自分の好きな物や長所を考えるワーク
・発表
第 4 回 「行動と気持ちの関係を学ぼう①」 ・「気持ちと行動の関係」について説明
・ワークと発表
第 5 回 「行動と気持ちの関係を学ぼう②」 ・前回記入したワークシートをもとに 「行動リスト」を各自で作成
・発表
第 6 回 「今まで通級で学んだことについて考えよう」・各自が通級ファイルを見返しながら復習・シェアリング(各自がそれぞれ役割をもち進行した)
第 7 回 「ストレスとうまく付き合おう①」 ・「ストレスとストレス反応」について説明
・ワークと発表
第 8 回 「ストレスとうまく付き合おう②」 ・「ストレスコーピング」について説明
・ワークと発表
第 9 回 「私の取り扱い説明書を作ろう①」 ・自分の性格について考えるワーク
・発表
第 10 回 「私の取り扱い説明書を作ろう②」 ・自分の性格について友達にインタビュー
・発表
第 11 回 「私の取り扱い説明書を作ろう③」 ・①②の内容を整理する
・認知特性テストを使って自己理解 第 12 回 「コミュニケーションのコツ①」 ・「コミュニケーションの種類」について説明
・表情カードを使ったワーク
第 13 回 「コミュニケーションのコツ②」 ・「ノンバーバルコミュニケーション」について説明
・言葉を使わずに気持ちを伝えるワークと発表 第 14 回 「コミュニケーションのコツ③」 ・「バーバルコミュニケーション」について説明
・工夫して伝えるワークと発表
第 15 回 「ちょっと先の未来図①」 ・自分の目標について具体的に考えるワークと発表
・卒業時のなりたい自分のイメージを考えるワークと発表 第 16 回 「ちょっと先の未来図②」 ・目標を実行するために必要なものは何か考えるワークと発表 第 17 回 「3か月後の目標を立ててみよう①」 ・目標の立て方について説明
・今の自分の目標について考えるワークと発表 第 18 回 「3か月後の目標を立ててみよう②」 ・目標を立て、適切か考えてみるワークと発表
・発表内容について他の生徒から意見を聞く
第 19 回 「3か月後の目標を立ててみよう③」 ・3 週間実行してみてできそうな目標だったかを見直し、
改善点を考えるワークと発表 第 20 回 「1分間スピーチを練習してみよう①」 ・1 分の長さを体感するワーク
・話す内容を考えるワークと発表
第 21 回 「1分間スピーチを練習してみよう②」 ・用意してきた話についてタイマーを見ずにスピーチ 第 22 回 「1分間スピーチを練習してみよう③」 ・1 分間スピーチ
・お互いのスピーチのいいところを言う 3学年(20XX+2 年 4 月~ 20XX + 2 年 8 月)
第 1 回 「自分のことをわかりやすく伝えよう」 ・1 分間スピーチ
・あいうえお自己紹介
第 2 回 「コミュニケーションのスキルアップ①」 ・会話のキャッチボール(2 人一組)
・お互いの会話の様子について気付いたことを話す 第 3 回 「コミュニケーションのスキルアップ②」 ・1 分間スピーチ
・インタビュー対決 第 4 回 「自分の取り扱い説明書(トリセツ)を作ろう①」 ・1 分間スピーチ
・自分のことを周囲に聞いてみる 第 5 回 「自分の取り扱い説明書(トリセツ)を作ろう②」 ・1 分間スピーチ
・周囲の人から見た自分の長所をまとめる 第 6 回 「自分の取り扱い説明書(トリセツ)を作ろう③」 ・1 分間スピーチ
・前回まとめた自分の長所について他の生徒から意見を聞く 第 7 回 「自分のことについて伝わるように話してみよう」 ・1 分間スピーチ
・自分のことを言葉で伝えてみる 表 1 通級指導の内容一覧
考 察
1.通級指導担当者の専門性の確保
吉澤(2018)の指摘にあるように、通級指導 にかかわる教員は高校での特別支援教育の必要 性は認識しているものの、実施について困難を 感じている者が多い。つまり、通級指導担当者 の専門性の確保は高校における通級指導を継 続していく上で重要な課題と言えるだろう。A 高校では専門家と連携することによって、プロ グラムや指導内容の専門性を担保することがで きた。既存の資源である特別支援学校のセン ター的機能を利用したり、新しい資源として通 級指導に特化した心理職を配置するという方法 は、高校における通級指導の専門性を担保する 上で、今後も重要な選択肢になると考えられる。
これは通級指導を担当する教員の専門性の向 上という点でも、メリットがあるであろう。A 高校では、通級指導担当の教員と専門家が 2 人 ペアとなって通級指導にあたった。通級指導担 当教員と専門家が、連携して通級指導を実施す る中で、通級指導担当教員の専門性は向上して いったと考えられる。一方で、こうした連携は 専門家にとっても効果的であった。普段の生徒 の様子を知る通級指導担当教員と連携すること で、通級指導時には見られない生徒の側面を把 握したり、アセスメントしたりすることができ た。
一方で、課題も残っている。通級指導は担当 教員たちにとって落ち着いて生徒たちと関係性 を深めることができる貴重な時間であり、教員 の専門性を向上させる機会でもあったが、研修 などで専門知識を学ぶ機会は個人に任されてい る状況であった。通常業務の他に通級指導の担
当、それに研修の機会を確保するとなると、通 級指導を担当することは激務であるという教員 間の印象も強くなり、希望者の減少につながる かもしれない。通級指導を担当する教員と、そ の他の教員の業務の分担については、教育委員 会や当該高校の管理職によるリーダーシップが 望まれよう。
2.校内組織体制の整備
A 高校の組織体制は非常に成熟していて、専 門家と教員の連携状況も良く情報交換なども盛 んに行われており、通級指導に関して他の教員 の印象も良かった。ただ、通級指導対象生徒の 担任が通級指導の見学に来たり、積極的に情報 交換したりすることは少なかった。理由として、
専門家が週1回しか来校しないため情報交換の 時間が確保できなかったことが挙げられる。
また、通級指導担当者が保護者と関わる機会 が少なかったことも、反省点である。通級相談 の際に通級指導担当教員が保護者と面談を行う が、その後に保護者とかかわる機会はほとんど なかった。小・中学校の通級指導担当者は、保 護者会等で面談の機会があることが多く、保護 者も通級指導に対する要望や意見を伝えること ができている。
これらの点を改善する方法として、今後は通 級指導を担当していない教員や、通級指導在籍 生徒の保護者に向けて、通級の様子を伝えるお 便りを作成することが考えられる。通級指導で のかかわりを通級指導の場だけのものとするの ではなく、その他の教員や家庭とのかかわりを 積極的にもつことが重要と考えられる。生徒の 担任や家庭が、通級指導の場でどのような指導
がなされているかを知ることは、後述するよう なスキル般化の上でも必要なことであろう。
3.スキルの般化促進
本研究のように、日常の学校生活でかかわる 通級指導担当教員と専門家が連携する形態は、
生徒たちが通級指導の場で獲得したスキルを日 常の学校生活で実行するという、いわゆる「般 化」を促進する上でも効果的であったと考えら れる。社会的スキル訓練(Social Skills Traini- ng:以下、SST)に関する研究において、この「般 化」はしばしば問題となる事柄である。例えば、
佐藤ら(1993)は習得したスキルや行動の変化 が起こりにくいことは、行動変容の研究全般に わたる重要な問題であると指摘している。これ に対し、多賀谷(2018)は般化効果が高いとさ れる「機会利用型指導法」(出口・山本,1985)
と SST を組み合わせた「機会利用型 SST」を 実施し、その般化効果を実証している。小栗
(2017)は、高校における SST で、プログラム 実施者を教員とすることで、その後に生徒同士 のトラブルがあった際にも、SST を般化させ るような生徒指導が可能になると示唆してい る。
このように、獲得したスキルの般化という観 点からは、通級指導についても指導者あるいは 指導者の一員に当該高校の教員が含まれている ことが望ましいと言える。しかしながら、高校 の通級指導に先行して開始された小・中学校の 通級指導では、通級指導専任の教員が配置さ れ、そこに近隣の学校から児童・生徒が通級す るという「他校通級」が一般的であり、指導者 の中に当該児童・生徒と日常的にかかわる教員
は含まれていない。この方式は教員の専門性を 担保しやすいというメリットがある一方で、そ こでの指導を在籍校の教員が日常の指導に活か しづらかったり、般化が起こりにくいというデ メリットが考えられる。
本研究の実践のように、日常的に担任や教科 担当として生徒にかかわる教員が通級指導担当 教員としても指導にあたり、その上で通級指導 の専門性を専門家が補うという形態は、通級指 導での内容を日常の指導に活かし、当該生徒の スキル般化を促進させる効果が期待される。実 際に、通級指導担当教員は学校生活の中でもほ める機会が増えていったりと、良い効果があっ た。また、行事などでトラブルになったときで も、通級指導でかかわっていたことから関係が できており、生徒の様子を見ながら特徴に応じ た対応ができたという報告もあった。
学校間の距離が離れていること、入試制度が あること、在籍する生徒の居住地が広範に渡る ことなど、様々な理由から高校通級指導では義 務教育までのような他校通級ではなく自校通級 が多く採用されている。しかし、担任や教科指 導を担当している教員が専門家と連携しながら 通級指導を実施することにより、他校通級とは 違った効果を期待でき、この方式は今後の高校 通級指導のスタンダードになり得るかもしれな い。
引用文献
中央教育審議会(2005).特別支援教育を推進 するための制度の在り方について(答申)
Retrieved from https://www. mext.
g o . j p / b _ m e n u / s h i n g i / c h u k y o / c h
ukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfi le/2017/09/22/1212704_001.pdf(最終閲覧 日:2022 年 2 月 10 日)
出口 光・山本 淳一(1985).機会利用型指導 法とその汎用性の拡大 : 機能的言語の教授 法に関する考察 教育心理学研究,33(4),
350-360.
池田 幸枝・若松 昭彦(2017).幼稚園・小・
中学校・高等学校における校内委員会の機 能化に関する調査研究 : 特別支援教育コー ディネーターへの調査を通じて 広島大 学大学院教育学研究科附属特別支援教育 実践センター研究紀要(15),43-52.
小関 俊祐・高田 久美子・嶋田 洋徳・杉山 智風・
新川 瑤子・一瀬 英史・大谷 哲弘・山本 奬(2020).自立活動の視点に基づく高校 通級指導プログラム:認知行動療法を活 用した特別支援教育 金子書房
文部科学省(2007).特別支援教育の推進に つ い て( 通 知 ) Retrieved from http://
www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/
nc/07050101.htm(最終閲覧日:2022 年 2 月 10 日)
文 部 科 学 省(2008). 平 成 19 年 度 指 定「 高 等学校における発達障害支援モデル事 業」モデル校 最終報告書 Retrieved from https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/
tokubetu/main/006/1270306.htm (最終閲 覧日:2022 年 2 月 10 日)
文部科学省(2009).高等学校における特別 支援教育の推進について Retrieved from https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/
chousa/shotou/054/shiryo/__icsFiles/afie
ldfile/2009/11/05/1283675_3.pdf( 最 終 閲 覧日:2022 年 2 月 10 日)
文部科学省(2017).平成 27 年度特別支援学 校のセンター的機能の取組に関する状況 調 査 に つ い て Retrieved from https://
www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokube tu/material/1383107.htm( 最 終 閲 覧 日:
2022 年 2 月 10 日)
文 部 科 学 省(2019a). 平 成 30 年 度 特 別 支 援教育に関する調査結果について Re trieved from https://www.mext.go .jp/ content/20191220-mxt_tokube tu01-000003414-01.pdf(最終閲覧日:2022 年 2 月 10 日)
文部科学省(2019b).令和元年度高等学校及 び中等教育学校における「通級による指 導」実施状況調査の実施について(結果)
Retrieved from https://www.mext.go.
jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/
mext_01302.html(最終閲覧日:2022 年 2 月 10 日)
中西 郁・日高 浩一・半澤 嘉博・渡邉 流理也・
岩井 雄一・丹羽 登・濵田 豊彦・田中 謙・
渡邉 健治・喜屋武 睦(2018).高等学校 における校内委員会の組織体制と支援機 能についての検討―中学校調査との比較 を通して― 十文字学園女子大学紀要,48
(1),43-56.
小栗 貴弘(2017).高校生を対象としたソー シャルスキルトレーニングの評価研究―
―尺度作成および効果評価―― Journal of Health Psychology Research,29(Speci al_issue),139-149.
佐藤 容子・佐藤 正二・高山 厳(1993).攻撃 的な幼児に対する社会的スキル訓練:コー チング法の使用と訓練の般化性 行動療 法研究,19(1),13-27.
多田 あすか・船橋 篤彦(2019).高等学校に おける特別支援教育の在り方とその課題 について:通級による指導の実施体制整 備に関する調査 広島大学大学院教育学 研究科附属特別支援教育実践センター研 究紀要(17),39-51.
多賀谷 智子(2018).小学校の学級集団への機 会利用型社会的スキル訓練の効果に関す る研究報告 研究紀要(15),165-168.
高田 久美子・大谷 哲弘・小関 俊祐(2018).
認知行動療法および行動コンサルテー ションにおける高等学校での特別支援教 育の現状と課題 心理学研究:健康心理 学専攻・臨床心理学専攻(8),1-17.
吉澤 勝治(2018).〈研究論文〉特別支援教育 における高等学校教育の課題の研究:高 等学校における通級による指導の実践的 課題に焦点化して 日本高校教育学会年 報(25),18-27.