現代社会を見つめて 12
現代社会を見つめて 12
新着図書紹介
石美 真也
『ユーロ対ドル』 相沢幸悦 著 (駿河台出版社) xiii, 253p. 19㎝
欧州通貨統合が実現し、ユーロが誕生しました。世界の経済は基軸通貨であるドルを中心に 動いていましたが、ユーロはその構造を大きく変化させる可能性があります。現代のアメリカ の行動は注目されているところですが、それにはユーロの存在も関係しているかもしれません。
ユーロの誕生は世界にどのような影響を与えたのでしょうか。
本書では、アメリカの景気が減退し、その単独行動主義が批判を受ける中で、通貨統合当初 は低迷していたユーロがドルと並ぶ国際通貨になろうとしていることが具体的な数値を用いな がら解説されています。アメリカがイラク単独攻撃を行い、フランスやドイツは攻撃に反対し た理由が経済面から考察され、アメリカやEUの経済構造が分析されています。また、日本やア ジアについても取るべき行動が論じられています。世界の情勢が刻々と変化していく現代、世 界経済の構図はどうなっていくかを考えてみましょう。
338.97-Aiz
『誰のための会社にするか』 ロナルド・ドーア 著 (岩波書店) xiv, 232, 5p. 18㎝
「会社は誰のものなのか」という議論はよく話題に上ります。株主、経営者、従業員など、
会社組織は様々な人々の上に成り立っています。日本的経営方式をやめ、アメリカ型の経営を 導入する企業が最近増えていますが、それにより会社組織にいる人々の立場も変わってきてい ます。しかし、日本でアメリカ型のシステムを導入することに問題はないでしょうか。
本書では、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の方法やステークホルダー(利害関係者)
の関係など、過去 10 年の間に変化をしてきた日本の企業制度が様々な視点から分析されていま す。最近の日本では、法制度も企業行動も株主のみを優先する方向に動いており、この傾向は 好ましいものではないと著者は考えています。企業の在り方として、競争力だけを考えるので なく、社会への影響も考えるべきだとしています。企業と社会の関係について様々な角度から 見てみましょう。
335.4-Dor
『物語現代経済学』 根井雅弘 著 (中央公論新社) 205p. 18㎝
日本でも敵対的企業買収が世間を騒がせるようになり、アメリカ型の企業行動がされるよう になったという話はよく耳にすると思います。現代のアメリカ経済を考えると、市場原理主義 のみが経済を支配しているというイメージが強いのではないでしょうか。しかし、経済思想は 本来多様なものであり、アメリカにも様々な思想がありました。経済思想にはどのようなもの があるのでしょうか。
本書では、「経済思想の多様性」を軸に考え、主流派の経済学者にあまり読まれなくなった ケインズやサムエルソンの思想など、経済学に大きく影響を与えた人々の経済思想が綴られて います。また、ノーベル経済学賞についても触れられており、受賞者の経済思想に片寄りがあ るとして問題視しています。著者は現代の経済思想が、アメリカで主流になっている思想で一 元的になっていることを危惧しており、経済学は多様なものであり、一つの思想が絶対ではな いことを強調しています。経済について様々な見方から考えてみましょう。
331.2-Nei
いしみ しんや(係(司書)・情報サービス課)
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