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Supplement to Osaka2k Department of Computational Nanomaterials Design ISIR, Osaka University

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(1)

Supplement to Osaka2k

「バンド計算」

白井光雲

大阪大学・産業科学研究所

2013年6月25日

Department of Computational Nanomaterials Design

ISIR, Osaka University

(2)

目 次

1 はじめに 1 2 pwbcd計算 2 2.1 準備 . . . . 2 2.2 バンド構造の結果表示 ー簡易表示ー. . . . 4 3 バンド構造の結果表示 ーayband5 4 既約表現のラベル付け 8 4.1 追加された機能 . . . . 11 5 スピン計算 12 5.1 入力パラメータ . . . . 12 5.2 バンド図を描く . . . . 13 6 繰り返し固有値最小化によるDOS計算 14 6.1 入力パラメータ . . . . 14 6.2 実例 . . . . 15

(3)

1

はじめに

スピン自由度を含めた計算は既にOsaka2kで取り入れられており、そのSCF計算の基本

はTechnical Report No. 38, 43 [1, 2]で述べられている。しかしバンド計算などその周辺の

環境は整っていなかった。そこで今回はスピンを考慮したときのバンドとDOS計算を移植

したのでここで詳細する。特にバンドとDOS計算に於ては計算の中心pwbcdだけでなく、

周辺のプログラムayband、pdosdr(A. Yanase作)などが使えることが重要となる。従っ

てここではそれらとの結合についても触れる。 セルフコンシステント(SFC)計算が終了すると、バンド計算、DOS計算などが可能と なる。これらの計算を行う時ブリルアン・ゾーンが具体的にどうなっているかの知識が必要 で、例えばFCCのブリルアン・ゾーンは図1のようになっていることを知っていないとい けない。それは文献[?]などを参照していただく。ブリルアン・ゾーンを自分で描きたいの であればMathematicaのノートブックMakeBZ.nbで書ける。 g1 g2 g3 L Γ K W X U 図 1: FCCのブリルアン・ゾーン バンド計算、DOS計算などはプログラムpwbcdで計算する。pwbcdに関する入出力ファイ ルの関係は図4のようになっている。計算の後のデータを表示するためのプログラムayband、 pdosdrは柳瀬章の作成によるものを用いている(入力部だけOsaka2kに合わせている)。ま ずそれらの計算の元となっているセルフコンシステント電荷のデータpwm *.rhoが必要であ る。k点サンプリングのデータinip *.kptなどは必要ないが、ポテンシャルデータ型を規定す

るinip *.inpが必要となる。バンド計算、DOS計算とも同じ入力ファイルbcd.paraを使う が、中身が違うのでそれぞれband.para、dos.paraとして作っておき、計算する時bcd.para とリネームして使うのが便利である。

(4)

bnd_si.out dos_si.out or fort.2 bcd.para pwbcd pwm_si.rho inip_si.inp si.prim ayband pdosdr 図2: pwbcd計算プログラムの流れ。aybandやpdosdrによる作画には更なるプログラム、 ファイルが必要。

2

pwbcd

計算

pwbcdは指定されたk空間上の線(多くは対称線)に沿ってバンドを計算する。それら の線は一筆書きされるように取る。結果の表示にはDOSの場合と同じく、2通りの仕方を 用意している。ひとつには、k点に対して対称性を抜きにしてバンドレベルを書き並べた ファイルband *.tblを使うもので、それは簡単なXYプロッティングプログラムで図示化す ることができる。もう一つがプログラムaybandを用いたより高度な処理で、バンドを滑ら かに描くことができる。aybandはその出力をPostScriptファイルとして出力する。これで Illustratorなどで読むことができる。 なおaybandは柳瀬章により作成されたものである。

2.1

準備

バンド計算ではbcd.paraは JobType bnd

Input file name si.prim

number of k points specifying symmetry lines (NKPTS) 7

KB(3), ICB (in prim)

0 0 0 1 G 3 3 6 8 K 1 1 2 2 X 1 2 3 4 W 1 1 1 2 L 0 0 0 1 G

(5)

0 1 1 2 X

number of division per line (NDIV) 5

number of levels you want to draw (NBUP) usually NEPC 12

scan zone only (iscan) 1

print control (ilp) 1

use symmetry (isymm) 1

energy unit (ienun=0 for Ry, 1 for eV) 0 のようになる。 以下そこに現れるパラメータの意味を挙げる。 JobType ジョブタイプ = bnd xtl.name 結晶名 NKPTS バンドを描くときの対称線の数 KB, ICB 対称線の両端のk点 NDIV 各対称線上の分割数 NBUP 描くバンド数 iscan デバグのためのオプション 1:デフォルト ilp プリントオプション 1:デフォルト isymm 対称化オプション 1:対称化する、0:しない ienun エネルギー単位 0:Ry、1:eV ここで一番重要な入力はバンドを描く対称線の指定である。pwbcdはバンドを描くとき ゾーンを一筆書きすることを前提としている。したがって、描く径路は A→ B → C · · ·

となり、ノードの数がNKPTSで、以下ノードのk点がKB(3)/ICBにprimitive baseで与 えられることになる。この例では、L− Γ、Γ− XX− WW − KK− Γの5本の対称

線が取られることになる。1NDIVには一本一本の対称線の分割数を入れる。

NBUPに描きたいバンドの数を指定する。DOSを計算するときと同様に、単位格子あた

りの電子数くらいで良いが、それが1とか2くらいのときは少し多めに取る。ここでどのバ

ンドまで描くかについて述べなければならない。DOSのときもそうだが、use symmetryを

1にセットすると、各k点で、各対称ブロックごとにバンドをNBUPだけ計算し、積み上 げる。であるのでNBUPが少ないと、ある対称線から別の対称線に移ったときエネルギー が上のバンドが消えることがある。その時はこのNBUPを増やす。 後のパラメータはデバグ用なので、上の値のままで良い。 1 柳瀬先生によると、もっと賢い取り方(対称線を全て通る)は、Γ→ K → X(1, 1, 0) → W → L → Γ → X(1, 0, 0)と取ることである。

(6)

2.2

バンド構造の結果表示 ー簡易表示ー

pwbcdは指定された線に沿ってバンドを計算し、ファイルbnd *.tblおよびfort.2に結果 を出力する。しかし結果を見る前にDOS計算のときと同じく、計算条件が正しく反映され ているか、bnd *.outで確かめておくのが良い。 手っ取り早くバンド図を見たければ、bnd *.tblを二次元プロッティングプログラムにか けるのが良い。そのフォーマットは 1 -0.248790244660327 1 -6.646822029304370E-002 ... 2 -0.289100855937076 ... というように、k点の番号の後、エネルギーがリストされるのでプロッティングは容易であ る。その例は図3に示される。横軸はL− Γ − X − W − K − Γの順で各線が5分割でプロッ トされている。対称性に関する情報が欠けているだけでなく、点の集まりとして表されてい るので隣の点同士のつながりは人間の手で書かなければならない。今の例ではそれはそう難 しくないが、バンド数が密集してくると横のつながりは簡単ではなくなる。ゾーン境界での バンドの曲り具合も微妙で、メッシュ点の数を多くしてもなかなか難しいものである。 30 20 10 0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 k E 図3: Siのバンド図。bandの出力点をそのままプロットしているだけ。 こうした問題は、バンドの対称性、ゾーン境界における異なる表現間の可換関係を利用す ると解決される。これを行うのがaybandである。aybandは既約表現に従って各バンドを spline曲線で滑らかにつなぐ。またゾーン境界での曲りにも気を配っており、それがkにつ いて1次かあるいは2次になるかを、わざわざゾーン境界を越えた点まで延長して調べて いる。

(7)

3

バンド構造の結果表示 ー

ayband

bnd_si.out bnd_fort.2 fort.2 ayband.inp ps.file (fort.X) pwbcd ayband bcd.para 図 4: ayband計算プログラムの流れ。 aybandの入力ファイルとしてk点での小群の既約表現ごとにバンドレベルを分類したも のがファイルfort.2である。 データはk点ごと、一つのk点については、その小群の既約表現ごとにブロックに分けら れ出力される。その一つのブロックは次のようになる。 1 5 5 5 10 1 L 2 1 1 5 2.793676 5.247479 6.851224 7.409376 8.271489 ユーザーはこのfort.2のフォーマットは知らなければならない。 KK バンド計算のときにkにつけられた通し番号、ayband では読み捨てる。 KX(3) k の座標の分子。 IC k の座標の分母。

IUD スピンのUP(1) or DOWN(2)、パラのときには1。

MRR kの名前、ayband では読んで格納するが用いない。

MRN 既約表現の番号、aybandではこの番号を元にして作図を行う。KX(3)/ICでTSPACE

が与える番号に正確に一致していなければならない。逆格子空間の同等な点での番号 は必ずしも同じではないので注意が必要である。

MWEI 縮退度、aybandでは読んで格納するが用いない。

(8)

NEIG その既約表現に属する状態の数。 である。始めの数字は通し番号で、次の4つの数字でk点が表されていることになる。この 例では(5, 5, 5)/10、つまりL点となるが、この表現はconventional baseのものである。そ して改行して、個々の固有値が小さい順にNEIG個だけ並べられる。 このfort.2を使ってaybandはバンド図を描く。 aybandはもともと汎用のバンド図作成プログラムである。そのため様々な作図指示用の パラメータがある。それがファイルayband.inpに書き込まれる。その中身は NONMSPIN-ORBIT

0 0 50 NLCOMP NSPIN IFILE

0 1 12 JPR JMARK IPOINT JOPT

-1.0 1.2 100.0 150.0 EMIN EMAX YM XM

0 energy scale (0:Ry, 1:eV)

5 4 4 4 8 0 0 0 8 LD 0 0 0 8 8 0 0 8 DT 8 0 0 8 8 4 0 8 W 8 4 0 8 6 6 0 8 K 6 6 0 8 0 0 0 8 SM 0.5 Fermi level Si PseudoPotential となる。上から順番に MAGNET  磁性状態。この指定は下記参照。

NLCOMP, NSPIN,IFILE  原子軌道の角運動量による成分分解の数。スピン状態。IFILE

は出力ファイルの番号

IPR, JMARK,IPOINT  最初の2つは出力制御パラメータ。IPRはプリントモニター

で通常は0。内挿の経過をみるときにIPR=4までの選択がある。JMARK, IPOINT

はセットで機能する。グラフの上に既約表現番号をのせる仕様を指定する。JMARK が0 ではなにも書かないでIPOINT は無視される。JMARK=1 は16 進数で表す。 既約表現は最大で12 種類あるので、1,2,,,C が使われる。それ以外は表2参照。 IPOINTはバンド図の中の表現ラベルの文字の大きさ。 JOPT  描くk線が第一ブリルアンゾーンを超えて描くとき、どこがゾーンの境界かわか らない場合がある。その境界を描くためのオプション(JOPT=1)。

E0, EM, YM, XM  プロットするときの、エネルギー最小値、最大値、y軸、x軸スケー

ルの大きさ(mm単位)。

(9)

NAXM  次の描こうとするk空間上の線の数 線の指定  線の端点k1、k2により指定。kは3つの分子とその後の共通分子で表される。 以下これがNAXMまで繰り返される。端点の名前は便宜上のもので読まれない。 EF  フェルミレベル TITLE  図のタイトル このようにaybandでは改めて、pwbcdとは独立にバンドを描く線を指定する。 一行目の文字変数MAGNET、およびスピンアップ・ダウンバンドの表示の指定の仕方が付 け加わる。それはNSPINの部分である。それらの意味は表5のようになる。 表1: specification of ayband MAGNET NSPIN meaning

NONM 0

MAGN 1 spin up band 2 spin down band 3 both bands SPIN 0 spin-orbital band

表2: format of plotting points JMARK meaning

0 no symbol 1 mark by labels

2 mark by circled numbers 3 mark by crosses

however, no connection line

図5にはこのようにして得られたバンド図を示す。このようにバンド線がスムーズに描か

れ、ゾーン境界でのつながりも明確になった。

最近、バンド計算を直接対角化せずにエネルギー固有値の最小化によって求めることもな

される。この場合、symmetryを使わない(原理上の問題ではなく技術的な問題のためであ

るが)。するとsymmetry decompositionを前提とするaybandでは図6のようにバンドをつ なぐ線が意味不明のつながり方をする。このような場合にはバンド点の内挿を止めなければ

(10)

-0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 Energy \Ry\ Γ Σ KSXZ W Q L Λ Γ ∆ X 1 1 1 1 4 4 6 6 7 7 7 7 A A 1 1 1 1 1 2 2 3 4 4 4 4 4 1 1 1 1 2 2 3 4 4 4 4 4 1 1 1 1 2 2 3 4 4 4 4 1 1 1 1 2 2 3 4 4 4 1 1 1 1 2 2 3 4 4 4 1 1 1 1 2 2 3 4 4 4 1 1 1 1 2 2 3 4 4 4 1 1 1 1 2 2 3 4 4 4 1 1 1 1 2 2 3 4 4 4 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 1 1 1 4 4 4 5 5 6 6 1 1 1 1 1 3 3 3 1 1 1 1 1 1 3 3 3 1 1 1 1 1 1 3 3 3 1 1 1 1 1 1 3 3 3 3 1 1 1 2 4 4 4 4 5 5 5 1 1 1 2 4 4 4 5 5 1 1 1 2 4 4 4 5 5 1 1 2 4 4 4 5 5 2 2 2 2 2 2 3 3 4 4 EF Si PseudoPotential 図5: aybandを用いたSiのバンド図。k点間の長さも正しく与えられていることに注意。 ならない。そのようなオプションも用意した。JMARK=3とすることで、内挿線は描かな い。そして元のプロット点はバツ印で描かれることになる。このオプションは、それ以外に も内挿がうまくいかないとき、元の点が悪いのか、いろいろチェックするため必要になる。 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 Energy \Ry\ Γ ∆ X JMARK=3 Γ X 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 JMARK=1 ∆ Γ X @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ JMARK=2 ∆ 図6: JMARKオプションの比較。

4

既約表現のラベル付け

図中の番号は既約表現の番号であるが、それはTSPACEが機械的にかってに付けたもの である。従って、よく文献で見かける既約表現のラベルと比較する時、その対応を調べる必 要がある。 aybandは時間反転に関して縮退するものは、一方の既約表現の番号のみしか表示しな い。例えば、閃亜鉱型の GaAs などでは(T2 d)、∆ 軸上の既約表現 3 番と、4 番のバン

(11)

ドは時間反転対称性のためくっつくが、ayband はラベルとして 3 のみを付ける。した がってバンド数、縮退度を見るときこの点注意が必要である。

このとき話をややこしくしているのが、文献の指標表が、通常の既約表現(ベクトル表 現)のものと、射線表現(ray, projective, or multiplier representation)のものがあること だ。著者はどちらかというと、古い文献がベクトル表現で、新しいものが射線表現になって いる印象を受ける2。TSPACEは射線表現になっている。作者の印象としては、固体のバン ド計算論文ではベクトル表現のラベルが用いられるほうが多いと思うので(多分Kosterの もの[?]が一番参照されているのではないかと思う)、それとの対応について説明する。 TSPACEは既約表現の完全なリストを出力することができる(サブルーチンTSIRDS)。 前述したようにTSPACEの出力する表現は射線表現D(α)である。それは元の、kの小群 のベクトル既約表現Γ(α)に、位相因子を掛けたもの D(α) = exp(ik· τα)Γ(α) (1) となっている。ここにταは回転αに付随する格子周期を持たない並進(nonprimitive

trans-lation)である。このD(α)表現は、ゾーン内の対称線上ではnonprimitive translationに伴 う余計な位相因子が取り除かれ、点群の表現との対応が取り易くなるが、ゾーン境界では混 乱の原因となり得る。 非共型(nonsymmorphic)空間群の具体例Siで示すと、∆軸上では、サブルーチンTSIRDS は IMR NO 1 DIMENSION= 1 1 2192227284042 1 1 + + + + + + + + IMR NO 2 DIMENSION= 1 1 2192227284042 1 1 + + + + -IMR NO 3 DIMENSION= 1 1 2192227284042 1 1 + + + + -IMR NO 4 DIMENSION= 1 1 2192227284042 1 1 + + - - - - + + IMR NO 5 DIMENSION= 2 1 2192227284042 1 1 + - I J 0 0 0 0 2 2 + - J I 0 0 0 0 と出力する(ファイルfort.15)。この表では小群に含まれる全ての要素に対しての行列要素 がリストされる(見やすいように対角成分のみ抽出している)。この中の記号(要素番号や 指標の値)はTSPACE[?]参照のこと。この射線表現の指標をクラスごとに見やすくしたも のが表3の左側である。 2ベクトル表現の例がKoster[?]だが、230の空間群全てを尽くしているわけではない。全てを網羅している

ものは、射線表現のもので、Kovalev[?]Bradley Cracknell[?]によるものがある。しかし後者は完全とはいえ、

初心者(著者も含まれる)が、その中から目的とする既約表現表を取りだすのは相当の忍耐が必要だ。そして

せっかく得られた既約表現のラベルも結局TSPACEと同じく単なる機械的数字にしか過ぎない。少なくとも著

(12)

表3: ∆軸上の既約表現指標表。左が射線表現D、右がベクトル表現Γのもの。二行目が回 転に付随する非基本格子ベクトルτ = (1/4, 1/4, 1/4)を示す。左の第一列目がTSPACEの 既約表現番号を示す。 D E C2 2C4 v d Γ E C2 2C4 v d τ τ τ τ 1 ∆1 1 1 1 1 1 ∆1 1 1 η η 1 2 ∆01 1 1 1 -1 -1 ∆01 1 1 η −η -1 3 ∆2 1 1 -1 1 -1 ∆2 1 1 −η η -1 4 ∆02 1 1 -1 -1 1 ∆02 1 1 −η −η 1 5 ∆5 2 -2 0 0 0 ∆5 2 -2 0 0 0 η = exp[−ik · τ] これを見ると、射線表現D(α)では、点群C4vの表現との対応が明白となる。一方通常の 表現Γ(α)では、半端な複素数ηが指標に現れる。k→ 0の極限を取ればこれは1となるの で点群C4vの表現との対応を取るのにそんなに困難はないが、半端な複素数が現れない分、 射線表現の方がすっきりしている。 しかし、非共型のゾーン境界では話はそう簡単ではない。表現が一次元の場合では点群と 等価(射影等価)となり点群の表現が使えるが、射線表現では指標に複素数が現れ通常の点 群の指標表との対応が取りにくくなる。 2次元以上の表現ではもはや対応する点群は存在しない。多分一番複雑なのはX点だろ うから、それを示す。その射影表現は IMR NO 1 DIMENSION= 2 1 2 3 4161819222526272840424346 1 1 + + + + 0 0 0 0 0 0 0 0 -2 -2 + + - - 0 0 0 0 0 0 0 0 - - + + IMR NO 2 DIMENSION= 2 1 2 3 4161819222526272840424346 1 1 + + + + 0 0 0 0 0 0 0 0 + + + + 2 2 + + 0 0 0 0 0 0 0 0 + + -IMR NO 3 DIMENSION= 2 1 2 3 4161819222526272840424346 1 1 + - + - J I J I 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 + - - + J I I J 0 0 0 0 0 0 0 0 IMR NO 4 DIMENSION= 2 1 2 3 4161819222526272840424346 1 1 + - + - I J I J 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 + - - + I J J I 0 0 0 0 0 0 0 0 とでる。 前と同じように、指標表として書き並べると、表4の左側のようになる。 前述したように、Koster[?]などの表では通常の既約表現しかでていないので(表4の右 側)、式(1)により通常の表現Γ(α)に戻した指標をpwbcdの出力ファイルfort.18に書き 込んだ。そこには各点の既約表現の指標がリストされている。 11 1 th point = 40 0 0/ 40 X 2 1.0000 0.0000 0.0000 Characters

(13)

4: X点の既約表現指標表。左が射線表現D、右がベクトル表現Γのもの。指標が全て0 となる要素は省略してある。左の第一列目がTSPACEの既約表現番号を示す。 D E C2x 2C20 d Γ E C2x 2C20 d τ τ 2 X1 2 2 0 2 X1 2 2 0 2 1 X2 2 2 0 -2 X2 2 2 0 -2 4 X3 2 -2 2i 0 X3 2 -2 2 0 3 X4 2 -2 -2i 0 X4 2 -2 -2 0 #IR= 1 ND= 2 MG= 16 JG= 1 2 3 4 16 18 19 22 25 26 27 28 Re= 2.00 2.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 Im= 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 JG= 40 42 43 46 Re= -2.00 -2.00 0.00 0.00 Im= 0.00 0.00 0.00 0.00 このように点群操作の番号とともにその指標が実部と虚部に別れて出力される。それと文献 の指標表と照らし合わせて通常のラベルに直せばよい。この作業(群の要素番号の参照と指 標の読み込み)はいささか疲れるが、そこまでやれば他人が読める立派なバンド図となる。

4.1

追加された機能

既約表現をベクトル表現か射影表現かの選択はファイルctrlVar bcd.f90の中で INTEGER :: dorg0symm=0 ! D or G で指定している。デフォルトの0がベクトル表現となっている。射影表現とするにはそれを 1とセットする。 今回の改訂で加えられたもう一つの仕掛けは、通常は既約表現で、その行列表現そのも のは打ち出さず、その対角和すなわち指標のみ出力される。通常の目的ではそれで十分であ るが、しかし場合によっては行列表現を見たいときがある。そのため波動関数の表示プロ グラムに限ってwfnCalc.f90の中で、その選択をできるようにした。そのメインルーチン WfnMainのなかで、

!print the character table ! choose one of them

! CALL PrintChars(luchrs,dorg0symm,KBC,ICB,NRK,0) CALL PrintCharElmnts(luchrs,dorg0symm,KBC,ICB,NRK,NDR,0) !

CALL Test_Herring(luchrs,KBC,ICB) ! CALL USE_TSIRMR(lulog, NRK,KBC,ICB)

(14)

IF (iscan/=1) CYCLE branch_loop の場所を見つけ、PrintCharsかPrintCharElmntsどちらかを使えばよい。

5

スピン計算

5.1

入力パラメータ

バンド図を描くには、まず元となるバンド計算をpwbcdで済ませておく必要がある。そ の入力ファイルbcd.paraは例えば JobType bnd

Input file name fe.prim

number of k points specifying symmetry lines (NKPTS) 6

KB(3), ICB (in prim)

0 0 1 2 N 1 1 1 4 P 0 0 0 1 G 1 -1 1 2 H 0 0 1 2 N 0 0 0 1 G

number of division per line (NDIV) 5

number of levels you want to draw (NBUP) 10

のようにする。とくにスピンがあるからといって特別な情報は何もない。スピンが入った計

算であることはinip *.inpが与えてくれる。さらにpwmの計算でオプション入力された情

報はその出力ファイルpwm *.inpから伝わってくる。したがってpwbcdの動作にはファイ

ルinip *.inpとともにpwm *.inpがなければならない。

このように計算制御のパラメータがいくつものファイルに分割されるので、その優先順が 時として問題となる。基本的にはどのファイルのパラメータも相互に干渉のないように考え られているが、複雑なプログラムではむろん完全など期待できない。パラメータは後に来た ものが先のものを上書きするので、後ろに行くほど優先順が高い。その順を記すと、 1. bcd.para 最後にpwbcd固有のオプションが指定される。 2. inip *.inp inip全体で指定されるパラメータが書き込まれる。 3. pwm *.inp pwm.paraで入力されるオプションが書き込まれる。

(15)

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2.0 Energy \Ry\ N D P Λ Γ ∆ H G N Σ Γ EF Fe PseudoPotential

図 7: Band diagram of Fe. Both of down (solid line) and up (dashed line) bands are displayed. となる。

5.2

バンド図を描く

pwbcdの計算結果のファイルのうち、fort.2がaybandを用いてバンド図を描くための 入力情報となる。そのaybandの入力ファイルayband.inpは MAGN

0 3 93 NLCOMP NSPIN IFILE

1 0 12 JPR JMARK IPOINT(character) 0.0 2.0 100.0 150.0 EMIN EMAX YM XM 5 4 4 0 8 4 4 4 8 D 4 4 4 8 0 0 0 8 LD 0 0 0 8 8 0 0 8 DT 8 0 0 8 4 4 0 8 G 4 4 0 8 0 0 0 8 SM 1.03 Fermi lev Fe PseudoPotential などとする。これはスピンが入った場合でも無い場合とほとんど同じであるが、一行目の文 字変数MAGNET、およびスピンアップ・ダウンバンドの表示の指定の仕方が付け加わる。そ れはNSPINの部分である。それらの意味は表5のようになる。 図7にはその結果が示される。

(16)

表5: specification of ayband MAGNET NSPIN meaning

NONM 0

MAGN 1 spin up band 2 spin down band 3 both bands SPIN 0 spin-orbital band

6

繰り返し固有値最小化によるバンド計算

従来よりバンド計算pwbcdでは、直接対角化法を用いていた。そのため大きなサイズの スーパーセル(Npwが10000を超えるようなサイズ)では、スーパーコンピュータでも許 容メモリーを超え、そもそも走らせること自体ができなかったことが大きな問題であった。 それに対して、直接対角化法を取らず、一つ一つの固有値を変分原理で解いてゆく方法が有 効である。 但しこの方法ではSCF計算の時のように波動関数には何らの対称性の性質は使っていな い。そのため既約表現による区分は行っていない。それゆえ、出力ファイルfort.2は形式 的には空間群P1として出力されるが、aybandとの整合性はまだあまり考えていない。一 部、対称点付近でのバンドのつながりなど問題が起きることが予測される。

6.1

入力パラメータ

バンド計算でも、固有値の最小化法を行うには、pwbcdの入力ファイルbcd.paraでオプ ションとして OPTION BEGIN eks_method= 1 OPTION END を付け加えるだけである。収束パラメータの使い方もオプションで次のものを用意している。 iterMaxWfn= 5 nPathCG= 5 これはSCF計算における波動関数の繰り返し回数、またCGパスの回数である。

(17)

6.2

実例

早速、例で示して見る。

JobType bnd

Input file name si.prim

number of k points specifying symmetry lines (NKPTS) 3

KB(3), ICB (in prim)

0 0 0 1 G

0 1 1 2 X

1 1 2 2 Z

number of division per line (NDIV) 5

number of levels you want to draw (NBUP) usually NEPC 8

scan zone only (iscan) 1

print control (ilp) 1

use symmetry (isymm) 1

energy unit (ienun=0 for Ry, 1 for eV) 0 OPTION BEGIN eks_method= 1 OPTION END その結果はbnd si.tblにリストされるので、二次元データプロットプログラムで則、プ ロットすることができる。図8で、従来の直接対角化法で得られた結果をaybandで描いた ものと比較している。数値精度の範囲内で直接対角化法で得られた値と一致している。

参考文献

[1] No. 38「スピンの効果」 [2] No. 43「スピン計算の実例 − Feの場合 − 」

(18)

-0.6

-0.5

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

1.2

1.3

1.4

Energy \Ry\

Γ

X

ZP

K

S

X

E

F

Si PseudoPotential

図8: Band diagram of Si

図 5 にはこのようにして得られたバンド図を示す。このようにバンド線がスムーズに描か
表 3: ∆ 軸上の既約表現指標表。左が射線表現 D 、右がベクトル表現 Γ のもの。二行目が回 転に付随する非基本格子ベクトル τ = (1/4, 1/4, 1/4) を示す。左の第一列目が TSPACE の 既約表現番号を示す。 D E C 2 2C 4 2σ v 2σ d Γ E C 2 2C 4 2σ v 2σ d τ τ τ τ 1 ∆ 1 1 1 1 1 1 ∆ 1 1 1 η η 1 2 ∆ 0 1 1 1 1 -1 -1 ∆ 0 1 1 1 η −η -1 3 ∆ 2 1 1 -1 1 -1
表 4: X 点の既約表現指標表。左が射線表現 D 、右がベクトル表現 Γ のもの。指標が全て 0 となる要素は省略してある。左の第一列目が TSPACE の既約表現番号を示す。 D E C 2x 2C 20 2σ d Γ E C 2x 2C 20 2σ d τ τ 2 X 1 2 2 0 2 X 1 2 2 0 2 1 X 2 2 2 0 -2 X 2 2 2 0 -2 4 X 3 2 -2 2i 0 X 3 2 -2 2 0 3 X 4 2 -2 -2i 0 X 4 2 -2 -2 0 #IR= 1 N
図 7: Band diagram of Fe. Both of down (solid line) and up (dashed line) bands are displayed
+2

参照

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