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アレルギー対応マニュアルの作成について

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学校給食における

食物アレルギー対応マニュアル

宇都宮市教育委員会

平成27年3月(改定版)

宇都宮市教育委員会

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は じ め に

学校給食は,子どもたちの学校生活における楽しみの一つであるとともに,適切な栄養摂取 のほか,食事マナーや食に対する感謝の気持ちを学ぶ機会となるなど,学校教育におきまして も大切なものであります。 しかしながら,食物アレルギーを持つ子どもにとりましては,この学校給食が,場合によっ ては生命に関わることもあり得るため,教育委員会や学校など,学校給食に携わる私たち職員 は,食物アレルギーを正しく知り,正しく対処することによって,子どもたちが学校生活を安 心,安全に送れるよう,サポートしていかなければなりません。 本市におきましては,食物アレルギーを有する児童生徒が年々増加する中,平成17年10 月に,全国でも先駆的な「学校給食における食物アレルギー対応マニュアル」を策定し,食物 アレルギーを有する児童生徒の症状に応じた学校給食が提供できるよう,きめ細かな対応に努 め,その後も,国の学校給食における食物アレルギーに関する動向も踏まえながら,このマニ ュアルを平成22年に改定するなど,適切な対応策を講じてまいりました。 このような中,平成24年に東京都で発生した学校給食の食物アレルギーに伴う児童死亡事 故を契機に,文部科学省は,平成26年3月に通知した「今後の学校給食における食物アレル ギーの対応について」において,学校における食物アレルギーへの対応策を改めて整理すると ともに,教育委員会や学校などが適切に対処することを求めたところであります。 今回,このことを踏まえ,本市の「学校給食における食物アレルギー対応マニュアル」を今 一度見直すことといたしました。 このマニュアルの内容を,本市の学校給食に関わる教職員が熟知し,実践することによって, 食物アレルギーを持つ子どもたちが,安心して楽しい学校給食を食べ,学ぶことができるよう にし,次世代を担う健全な「宮っ子」の育成につなげていきたいと考えております。 宇都宮市教育委員会 本マニュアルの改定に当たっては,下記の会議及び委員会で検討いたしました。 学校給食食物アレルギーアドバイザー会議 委員名簿 遠 藤 秀 樹 遠藤小児科医院 医師 飯 村 昭 子 ひまわりこどもクリニック 医師 吉 原 重 美 獨協医科大学小児科 准教授 髙 橋 利 和 宇都宮市教育委員会事務局 学校教育担当次長 君 島 修 宇都宮市教育委員会事務局 学校健康課長 学校給食食物アレルギー対策委員会 委員名簿 上 原 里 程 宇都宮市保健所 保健医療監 大豆生田 將 宇都宮市立昭和小学校 校長 別 井 正 子 宇都宮市立今泉小学校 養護教諭 粂 川 純 子 宇都宮市立陽南小学校 栄養教諭 髙 橋 利 和 宇都宮市教育委員会事務局 学校教育担当次長 君 島 修 宇都宮市教育委員会事務局 学校健康課長

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目 次

はじめに

Ⅰ 食物アレルギーに関する基礎知識

1 食物アレルギーとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 2 食物アレルギーの診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3 食物アレルギーの予防と治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

Ⅱ 学校生活における管理と指導

1 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 2 食物アレルギーの対応の基本原則・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 3 情報の把握と共通理解・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 4 学校における管理体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 5 食物アレルギー対応における教職員の役割・・・・・・・・・・・・・・・・17 6 児童生徒への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

Ⅲ 学校給食における対応

1 学校給食の目標の留意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 2 アレルギー対応食を提供する場合の考え方・・・・・・・・・・・・・・・・21 3 対応の決定方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4 アレルギー対応食における種類ごとの留意事項・・・・・・・・・・・・・・22 5 アレルギー対応食等決定のための基本的な手順・・・・・・・・・・・・・・23 6 アレルギー対応食を提供するまでの流れと留意事項・・・・・・・・・・・・26 7 アレルギー対応食に関する管理事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 8 緊急時における基本的な手順・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

Ⅳ アレルギー関係様式および資料

様式1 学校生活管理指導表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 様式2 食物アレルギー調査票(就学時健康診断時提出)・・・・・・・・・30 様式3 面談記録票・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 様式4 食物アレルギー個別対応プラン・・・・・・・・・・・・・・・・33 様式5 アドレナリン自己注射薬に関する依頼書・・・・・・・・・・・・35 様式6 食物アレルギー対応食同意書・・・・・・・・・・・・・・・・・36 様式7 対応食確認表(給食室用)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 様式8 アレルギー対応食「食札」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 参考資料1 一般向けエピペンの適応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 参考資料2 エピペンの使い方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 参考資料3 アレルギー原因食品を誤食した場合の対応方法・・・・・・・・・41 「学校給食における食物アレルギー対応マニュアル」 平成17年10月 策定 平成22年2月 一部改訂 平成27年3月 改定 発 行 宇都宮市教育委員会事務局 学校健康課 〒320-8540 宇都宮市旭1丁目1番5号 電 話 028(632)2760 FAX 028(639)0613

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Ⅰ 食物アレルギーに関する基礎知識

1 食物アレルギーとは (1)アレルギーとは 体の中に,ウイルスや細菌が入り込むと,人はそれを体から追い出そうとする。これ が免疫といわれる体を守るしくみである。ところが,体を守るはずのこの免疫の働きが 過敏すぎると,体に不利な症状を引き起こすことがある。このような反応をアレルギー 反応という。 (2)食物アレルギーの定義 食物アレルギーとは,原因となる食物を摂取した後にアレルギーのしくみによって体 に不利益な症状が引き起こされる現象をいい,皮膚・粘膜症状,消化器症状,呼吸器症 状やアナフィラキシー(※)などの全身症状を引き起こす。 食品に含まれる毒素による反応(食中毒)や,体質的に乳糖を分解できずに下痢を起 こす病気(乳糖不耐症)などは食物アレルギーとは区別される。 (3)発症 食物アレルギー反応は,アレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)となる食物 を摂取した後に,アレルゲンにさらされることによって体の中で作られるIgE抗体(免 疫グロブリンというたんぱく質の一つ)によって起こる。 食物アレルギーの多くは,食べ物に含まれるたんぱく質などが消化管から吸収され, 血液を介して,皮膚,気管支粘膜,鼻粘膜,結膜などを標的としてアレルギー反応が起 こる。 (4)症状 ア 食物アレルギーの症状 食物アレルギーの症状として皮膚のかゆみ,じん麻疹,湿疹などが多くみられる。 その他にも腹痛や呼吸困難など全身に症状が現れるのが特徴である。これらの症状は, 日常生活の中で,繰り返し起こるため,食物アレルギーであると気が付かないときも ある。また,アレルギーにより血圧低下などのショック症状がみられることもある。 (次ページ「表1」参照) 食物アレルギーでみられる症状の頻度は,皮膚粘膜症状>消化器症状>上気道症状 >下気道症状>全身性症状の順であると報告されている。摂取するアレルゲン量や年 齢によっても症状の出現の仕方が異なり,授乳期には,発赤疹,湿疹などの形をとる ことが多く,その後,離乳期から幼児期には,じん麻疹,湿疹などの皮膚症状に加え, 眼粘膜症状,鼻症状,消化器症状,下気道症状などの形をとることが多くなり,最重 症の形としてアナフィラキシーを呈することがある。 ※「アナフィラキシー」・・・次ページ「イ」参照

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4 表1 食物アレルギーにより引き起こされる症状 皮膚粘膜症状 皮膚症状 そう痒よう感(かゆみ) じん麻疹 血管運動性浮腫(皮膚が赤くなる,むくむ) 発赤 ほっせき 疹(赤い斑点が出る) 湿疹 粘膜症状 眼粘膜充血 そう痒感(かゆみ) 流 涙 りゅうるい (涙が流れ出る) 眼瞼 がんけん 浮腫(まぶたがむくむ) 消化器症状 悪心お し ん(気分が悪くむかむかした感じ) 疝痛 せんつう 発作(おへそを中心にしておなかが痛くなる) 嘔吐 下痢 慢性の下痢による蛋白漏出・体重増加不良 上気道 じょうきどう 症状 (口,鼻,喉などの症状) 口腔粘膜や咽頭のそう痒よう感 違和感(イガイガしたいつもと違う感じ) 腫 脹 しゅちょう (はれる) 咽頭喉頭浮腫(のど,のどの奥の方のむくみ) くしゃみ,鼻水 鼻閉び へ い(鼻がつまる) 下気道か き ど う症状 (気管支から奥の症状) 咳嗽 がいそう (せき) 喘鳴 ぜんめい (ぜーぜーして息が苦しくなる) 呼吸困難 全身性症状 ショック症状 頻脈(脈が早くなること) 血圧低下 活動性低下(ぐったりする) 意識障害など 出典:「食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対応マニュアル」(公益財団法人 日本 学校保健会)を一部改変 イ アナフィラキシー アナフィラキシーは,食物,薬物,蜂刺され,ラテックス(天然ゴム),ワクチン や運動などが原因で誘発される全身性の急性アレルギー反応で,急激な症状悪化から 死に至る可能性もある重篤なアレルギー反応である。 アナフィラキシーでよくみられる症状として,じん麻疹,呼吸困難,腹痛,嘔吐, 下痢,および血圧低下を伴うショック等があげられる。これらの症状は,人によって, またアレルゲンの量等によっても異なる。じん麻疹等の皮膚症状は,初めにみられる ことが多いと言われている。(次ページ「表2」参照)

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5 重症度評価:症状の進行 呼吸器(咽頭浮腫,呼吸困難) 循環器(血圧低下) 神経(傾眠傾向・意識障害) 生命への危険性 重症度評価 呼吸器(咽頭浮腫,呼吸困難) 循環器(血圧低下) 神経(傾眠傾向・意識障害) 生命への危険性 表2 アナフィラキシーの典型的症状 初期の症状 口内違和感,口唇のしびれ,四肢のしびれ,気分不快,吐き気,腹痛, じん麻疹など 中程度の症状 のどが詰まった感じ,胸が苦しい,めまい,嘔吐,全身のじん麻疹, ぜーぜーして苦しくなる 強い症状 呼吸困難,血圧低下,意識障害 出典:「食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対応マニュアル」(公財)日本学校保健会 出展:吉原重美 アナフィラキシー,「小児科疾患・アルゴリズム」,市川光太郎編, 中山書店,P.74 抗ヒスタミン薬・ステロイド薬 の内服薬投与で経過観察 アナフィラキシーを起こす原因物資 (食物,ハチ,薬剤,ラテックス) 出現症状に合わせて ・酸素投与 ・静脈確保(維持輸液) ・早期エピネフリン筋注 (0.1%アドレナリン(エピネフリン) 1mg./ml.を 0.01ml./kg/dose) ・B2刺激薬吸入 (プロカテロール 0.3ml.+生食2ml.) ・ステロイド薬投与 (プレドニゾロン 2mg./kg.経口, ヒドロコルチゾン 100~300mg.静注) 経過観察 改善あれば観察終了 入院にて継続治療 二相性反応の観察 YES NO 症状確認 症 状 確 認 過去の重篤なアナフィラキーシー歴 暦 前駆症状(口腔から咽頭の違和感,悪心,胸部不快感) アナフィラキシー症状(皮膚,消化器,呼吸器,循環器,神経) YES NO NO YES

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6 (5)原因 原因食物は多岐にわたり,学童期では鶏卵,乳製品だけで全体の約半数を占めるが, 実際に学校給食で起きた食物アレルギー原因食物は甲殻類(えび,かに)や果物類(特 にキウイフルーツ)が多くなっている。 (6)表示 平成20年に食品衛生法施行規則の一部が改正され,患者数が多い又は重篤度の高い 7品目(卵,乳,小麦,えび,かに,落花生,そば)の表示が義務付けられている。 また,これ以外の18品目(あわび,いか,いくら,オレンジ,キウイフルーツ,牛 肉,くるみ,さけ,さば,大豆,鶏肉,バナナ,豚肉,まつたけ,もも,やまいも,り んご,ゼラチン)の表示を推奨しているが,推奨品目やそれ以外の食物に表示義務はな い(表3)。このため,それら原材料は,製品に含まれていても表示されていない可能 性があり,製造会社に個々に確認する必要がある。 さらに,これまで摂取できていた加工食品でも規格変更されるとことがあるため,購 入毎に確認する必要がある。 表3 表示対象特定原材料 特定原材料等 義務 卵,乳,小麦,えび,かに,そば,落花生 推奨 あわび,いか,いくら,オレンジ,キウイフルーツ,牛肉,くるみ, さけ,さば,大豆,鶏肉,バナナ,豚肉,まつたけ,もも,やまいも, りんご,ゼラチン 出展:厚生労働科学研究班による食物アレルギーの栄養指導の手引 2008 (7)新しいタイプの食物アレルギー ア 口腔アレルギー症候群 口腔アレルギー症候群は,近年報告が増えてきている新しいタイプの食物アレルギ ーで,幼児,学童,成人に認められる。 アレルゲンとしては,果物(キウイフルーツ,メロン,もも,パイナップル,りん ごなど),あるいはトマトなどの野菜,木の実類である。食後5分以内に唇や舌,喉の 奥がかゆくなったり,腫れたりするなど,口腔内だけに症状がみられる場合が多いが, 5%程度でショック症状を呈することもある。 欧米ではシラカンバの自生地域に多く認められていることから,以前からシラカン バの花粉との交叉反応が指摘されており,わが国でも花粉症との関連性が考えられて いる。 イ 食物依存性運動誘発アナフィラキシー ある特定の食物と運動の組み合わせでじん麻疹から始まりショック症状に至る場合 があり,食物依存性運動誘発アナフィラキシーという。頻度の高いものは,小麦,甲 殻類などである。

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7 * スクラッチテスト 抗原(アレルゲン)に感作された状態にあるかどうかを生物学的に検 査する方法の一つ。皮膚に引っ掻き傷をつくり,希釈した抗原液を滴下し,15~20分 後に皮膚の膨疹の大きさを検討する。 * RAST あるアレルゲンに対する特異的なIgE抗体を測定する方法。 具体的な例として,昼食時に小麦や甲殻類などを摂取し,すぐにサッカーなど激し い運動をした場合に,じん麻疹の出現に始まり,喉頭浮腫(喉の粘膜のむくみ),喘鳴ぜんめい (ゼーゼーして息が苦しくなること)などの呼吸器症状を伴いショック症状に至る場 合がある。 2 食物アレルギーの診断 食物アレルギーの診断は,詳細な問診と皮膚テスト,血液検査,食物除去,誘発試験な どに基づいて行われる。食物アレルギーの診断は,医療機関で一般的に図1のように行わ れている。 図 1 食物アレルギーの診断の実際と手順 1 詳細な問診 病歴の正確な把握 2 食物アレルゲンの検出 3 食物除去試験 食品除去による観察 4 食物負荷試験 食品投与による観察 5 食物アレルギーの判定 出典:「学校給食における食物アレルギー対応のための手引」長野県教育委員会より一部改変 疑わしい食品について1~2週間食事から除き,食事日誌の記 載,症状の変化を記載し,更に医師により除去前後の症状,所見 のチェックを行う。不完全な除去試験は意味がない。 注意 ① 4の「食物負荷試験」では,特に強い症状が誘発されることがあるので,必ずし も実施しなくて良い。 ② 除去試験・負荷試験は,慎重に行われるべきである。 ③ 血液検査などのアレルギー試験が陽性である食物が全て皮膚症状の増悪を誘発す るかどうかわからないので,血液検査だけで食物アレルギーと判定することは間違 いである。 アレルギーの症状,既往歴, 家族のアレルギー症状の有無 皮膚テスト(スクラッチテストなど) 疑わしいアレルゲンを検出 血液検査(RAST など) アレルギー症状が改善している状態で原因と思われる食物を もう一度食べさせて,症状の出現を観察する。

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8 方法 1 アレルギーの原因となる食品を完全に除去する 必要がある場合には,原因となる食品を完全に 取り除いた食事をとる。ごく少量の食物アレル ゲンでショック症状を起こす場合や,他の治療 を試みても効果がなく,生活に支障をきたすと きなどに行う。 2 アレルギー症状が比較的軽いときなど完全に 除去する必要がない場合には,加熱してアレル ゲンの作用を弱めたり,アレルゲンの成分を分 解したり除去をした低アレルゲン食品を使用 する。 3 食物アレルギーの予防と治療 (1)食事療法 食物アレルギーの治療の基本は,アレルギーの原因になっている食品を除去すること である。しかし,原因となる食品やアレルギー症状の程度は,一人ひとり異なっている。 年齢,生活,家庭の状況などに配慮して治療方針が立てられるが,食品を除去する程度 や範囲,いつまで除去するかなどについては,患者によって異なることから,除去する 食品の種類,除去の程度と方法,期間などについては,医師との十分な打合せが必要で ある。 自己判断で行うと,子どもの発育などに影響を与えることがあり,除去食を行う場合 には,必ず代替となる食品を取り入れて栄養のバランスをとる必要がある。 また,除去食を終了することについても,開始することと同様に重要なため,どのよ うな方法で,いつから解除するかについては,医師と十分に相談しながら,進める必要 がある。 表4 食事療法の方法と注意点 出典:「食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対応マニュアル」(公財)日本学校保健会 (2)薬物療法 食物アレルギーの治療の基本は食事療法であるが,普段の生活の中で,原因となる 食品を除去するには,工夫が必要であり,場合によっては,完全に除去することがで きないこともある。 例えば,アレルゲンとなる食品の種類が多いときには,全部を除去すると,成長に 必要な栄養が不足してしまうこともある。このような場合には,アレルギーを抑える 薬を使用し,症状をやわらげる薬物療法が必要となることがあり,薬物療法として, 抗ヒスタミン薬,抗アレルギー薬の内服が補助的な治療として用いられる。 注意点 1 自己判断せず,医師に相談しながら行う。 2 食材は新鮮なものを使う。 3 十分に加熱調理する。 4 同じ食品,同じような調理の繰り返しを 避ける。 5 外食や加工食品は,原材料がわからない ことがあるので,十分に気をつける。 6 除去しなければいけない食品があるとき は,必ず代替食品を使って栄養のバラン スをとる。

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9 (3)アナフィラキシ-ショックの治療 食物アレルギーで諸症状が起きた場合には,医療機関でその症状に応じた治療が必 要となる。特に,アナフィラキシーショックの場合には,早急な治療開始が重要であ り,一刻も早く医療機関で治療を受けなければならない。 また,過去にアナフィラキシーを起こしたアレルゲンを誤って摂取した場合や原因不 明のショック状態に陥った場合には,必ずアナフィラキシー反応を疑って対応する必要 がある。軽微なものであっても重篤な状態に進展しやすいので,慎重な対応が必要とな る。(図2) 図2 即時型のアレルギー症状とその対応 【症状】 【対応】 出典:「食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対応マニュアル」(公財)日本学校保健会 (4)精神的ケア 除去食療法は,多くの場合,患者やその家族に多大な精神的負担やストレスをもた らすので,無理をしない範囲を設定し,実施することが大切である。 また,成長とともに消化吸収機能が十分発達すると治まることが多く,本人には, その旨を知らせて希望を持たせることも重要であるとともに,定期的に医師の診察も 受けさせる必要がある。 アレルゲンを含む食品摂取 嘔吐 かゆみ,局所的な発赤,じんま疹 口内違和感(かゆい,痛い,気持ち悪い) 口から出してすすぐ 抗アレルギー薬,抗ヒスタミン薬 全身性の発赤,じんま疹 喉頭浮腫→咳嗽,呼吸困難 喘鳴 鼻症状(鼻汁など) 眼症状(眼球結膜浮腫など) 腹痛 傾眠,意識障害 医療機関受診 ・0.1%エピネフリン筋注 または皮下注(0.005~0.01mL/kg) 効果不十分であれば5~15 分後に反復 ・β2 刺激薬吸入 ・アミノフィリン点滴静注 ・ヒドロコルチゾン点滴静注 7~10mg/kg(4~6 時間毎 5mg/kg) またはメチルプレドニゾロン点滴静 注1~1.5mg/kg 時 間 経 過 を 追 っ て 症 状 が 出 現 ショック エピネフリンの自己注射器を携 帯している場合は投与を考慮 エピネフリンの自己注射器を携 帯している場合は投与を考慮 救急車で 医療機関受診 *救急車要請も考慮する

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Ⅱ 学校生活における管理と指導

1 基本的な考え方 ・ 食物アレルギーを有する児童生徒の保護者や主治医から,原因食物やその食物を摂取し た際の症状及びアドレナリン自己注射薬(エピペン®)(※)の使用の有無などについて, 食物アレルギーへの対応に必要な情報を正確に収集するとともに,保護者との面談を実施 し,給食の提供やアドレナリン自己注射薬(エピペン®)の取扱方法などについて,共通 理解を図る。 ・ 万が一の時に備え,全ての教職員が,食物アレルギーに関する正しい知識を持つととも に,勤務する学校における食物アレルギーを有する児童生徒の情報を把握し,適切に対応 できる管理体制を整備する。 【参考】 ○ アナフィラキシーショックで生命が危険な状態にある児童生徒に対し,救命の現場に 居合わせた教職員が,アドレナリン自己注射薬(エピペン®)を自ら注射できない本人 に代わって注射することは,反復継続する意図がない行為と認められることから,医師 法第17条で禁止されている「医師法の免許を有しない者による医業」に当たらず,医 師法違反にならない。(文部科学省通知「医師法第17条の解釈について(回答)」,医 政医発1127第1号 平成25年11月27日) ○ 医師法以外の刑事・民事の責任についても,人命救助の観点からやむを得ず行った行 為であると認められる場合には,関係法令の規定により,その責任が問われないものと 考えられる。(「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(公財)日本学 校保健会 〔監修 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課〕) 2 食物アレルギー対応の基本原則 ・ 食物アレルギーの症状については,児童生徒の成長過程において状況が変化するため, 年に1回以上,医師の診察を受けるよう保護者に勧め,医師が記載した「学校生活管理指 導表」(様式1)を学校に提出するよう,依頼する。 ・ 学校生活における対応等は,医師に記載してもらった「学校生活管理指導表」(様式1) に基づいて行うことを保護者に理解してもらう。 ・ 年度途中で症状に変更があった場合は,「学校生活管理指導表」(様式1)の提出を再度 保護者に求め,それに基づき,面談を行う。 ※ アドレナリン自己注射薬(エピペン®) アナフィラキシーを起こす危険性が高く,直ちに医療機関での治療が受け られない状況下にいる者が,アドレナリンを自ら注射できるようにしたもの。 医師の処方に基づく医薬品。

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11 3 情報の把握と共通理解 (1)保護者からの情報収集 ア 収集方法 ・ 就学時健康診断の際,「食物アレルギー調査票」(様式2)で,食物アレルギーが有 る旨の回答を提出した保護者には,医師の診断を受けた上で「学校生活管理指導表」 (様式1)を医師に記載してもらい,学校へ提出するよう依頼する。ただし,医師が, 学校での食物アレルギーへの対応は不要であると判断した場合や,家庭での管理を行 わない場合については,「学校生活管理指導表」(様式1)を提出しなくても良い。 ※ 既に就学している食物アレルギーを持つ児童生徒については,改正前の本マ ニュアルで指定した「学校給食アレルギー対応食指示書」を主治医に記載して もらい,学校に提出しているところであるが,以後は,医師の診察に基づき, 年に1回以上,「学校生活管理指導表」(様式1)を学校に提出するよう,保護 者に依頼する。 ※ 「学校生活管理指導表」(様式1)の提出時期については,新小学校1年生は, 4月の給食実施に間に合うよう提出してもらい,在校生については,原則,誕 生月までに,最低年1回は提出するよう依頼をする。 ※ 救急搬送時に「学校生活管理指導表」(様式1)の写しを救急隊員に渡せるよ う,予めクリアファイルに入れたものを緊急時の持ち出し用として準備してお く。 ・ 学校は,入学後に保護者が提出する「保健調査票」を確認し,食物アレルギー等に 関する情報を把握する。 ・ 学級担任は,養護教諭,学校栄養士(栄養教諭・学校栄養職員・学校栄養士業務嘱 託員)と連携を図りながら,食物アレルギーを有する児童生徒の保護者と面談を行い, 給食や学校生活での対応等について,共通理解・共通認識しておく。 ※ 保護者が,食物アレルギーに関する専門医療機関や情報などを必要とする場 合は,資料を紹介するなど,必要に応じた対応を行う。この際,市教育委員会 事務局学校健康課は,学校の求めに応じ,支援を行うこととする。 ・ 面談は,「面談記録票」(様式3)と「学校生活管理指導表」(様式1)を基に行う こととし,特に年度初めに行うことを原則とする。 ※ 小学校1年生については,幼稚園,保育園等での対応についても確認する。 ・ 面談終了後,「面談記録票」(様式3)を基に,「食物アレルギー個別対応プラン」(様 式4)を作成する。 ※ 対象児童生徒の保護者と最新の正確な情報が共有できるよう,症状等に変更 等がある場合には随時,連絡をもらうようにする。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)を携帯する児童生徒への対応については, 主治医の指示に基づきながら,アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の保管方法や 取扱方法などについて,保護者から「アドレナリン自己注射薬に関する依頼書」(様 式8)を提出してもらい,共通理解を図る。 ・ 保護者に対し,学校に提出する各書類の写しを保管しておくよう案内すること。

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12 イ 面談 (ア)保護者との面談のポイント a 給食における調理の方式や状況を説明し,「対応できる内容」と「対応できない内 容」について正確に伝え,理解を得る。 b 幼少期に除去の指示があった食物が,現在も引き続き除去を必要とするかどうか について,改めて医師の診断を受けることを勧める。 c アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の使用に関する事項や条件のほか,学校 における管理や取扱方法について確認する。 d アレルギーに関する情報は,プライバシーの保護に十分留意する。また,これら の情報は,学校内で共有するほか,進学先,転出学校へ引き継ぐ。 (イ) 面談の際の必要書類 a 学校側の書類 ・ 「食物アレルギー調査票」[新 1 年生の場合](様式2) ・ 材料名が記載されている献立表 ・ 「面談記録票」(様式3) ・ 「食物アレルギー個別対応プラン」(様式4) b 保護者側の書類 ・ 「学校生活管理指導表」(様式1) (ウ) 面談の手順 a 「面談記録票」(様式3)を基に進める。 b 医師の診断,「学校生活管理指導表」(様式1)に基づき,アレルギーとなる原因 食品(アレルゲン)の範囲を明確にする。(アレルギーを起こす量や加熱の有無,加 工食品,調味料等に含まれる微量の食品に対するアレルギー反応等について) c アレルギーの原因食品を喫食したときの症状を確認する。 d 過去に除去を行い,現在は喫食可能な食品があるかを確認する。 ※ 幼稚園や保育園での対応について確認する。(小学1年生の場合) e 家庭での食事の内容,摂取方法等を確認する。(家庭で使用している調味料の確認 等) f 運動で症状を発症したことがあるかを確認する。 g アナフィラキシーショックの経験があるかを確認する。 h 学校に携帯する薬剤の有無を確認する。(アドレナリン自己注射薬(エピペン®) を含む) ・ 取り扱いや保管場所等について確認する。 i 給食の献立の内容,使用食品等,給食での対応の範囲を説明する。 j 対応食を実施した場合の費用負担について説明をする。 k 緊急時の対応方法を協議する。 ※ 救急搬送の時に,円滑な対応ができるよう,「学校生活管理指導表」(様式 1)のコピーを救急隊員を通して,受入先の医療機関へ渡すことについて同 意を得ておく。

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13 l 面談の結果については,「食物アレルギー個人対応プラン」(様式4)で管理し,随 時実施する面談の内容を記録する。 (2)医師からの情報収集 ・ 必要に応じ,学校が「学校生活管理指導表」(様式1)に関する内容を,直接,主治 医から情報提供や相談を受けられるよう,対象児童生徒の保護者に協力を要請する。 ・ 「学校生活管理指導表」(様式1)の内容を,学校が直接,主治医に問い合せること については,主治医が保護者の意向を予め確認することとしているので,「学校生活管 理指導表」(様式1)の記載に注意すること。 ※ 「学校生活管理指導表」(様式1)の「記載内容を,学校が,直接,記載医師に 問い合わせることの可否」で,「否」と記載があった場合でも,学校が直接,主治 医に確認したい事項がある場合は,保護者と面談等を行い,同意を得た上で,主治 医に確認を行うようにすること。 ・ 「学校生活管理指導表」(様式1)の内容等で医師の指示と保護者の意向が異なる場 合は,意見の食い違いを防ぐため,教職員・保護者・主治医の三者で話をすることが望 ましい。 (3)その他の留意事項 ・ 特定の食物と運動の組合せで発症する「食物依存性運動誘発アナフィラキシ-」につ いても想定しておく必要があるので,給食後の運動や体育の授業などには十分に気を付 けるとともに,予め,主治医の指示を仰ぐよう,対象児童生徒の保護者に協力を要請す る。 4 学校における管理体制 (1)「食物アレルギー個別対応プラン」の作成 ・ 学校は,「食物アレルギー調査票」(様式2)や「学校生活管理指導表」(様式1)など, 保護者から情報提供を受けた資料のほか,保護者との面談記録などに基づき,「食物アレ ルギー個別対応プラン」(様式4)を作成し,必要に応じて追加記載する。 ・ 「食物アレルギー個別対応プラン」(様式4)を始めとする食物アレルギーに関する情 報は,プライバシーの保護に十分注意した上で,学校の所定の場所に保管し,全教職員 が,勤務する学校における食物アレルギーを有する児童生徒の情報を常に把握できるよ うにしておく。 ・ 「食物アレルギー個別対応プラン」(様式4)の中学校への引継ぎについては,心臓・ 腎臓病の検診結果と併せて,3月中に行う。

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14 (2)校内委員会の設置 ・ 食物アレルギーへの対応については,特定の教職員に限定せず,組織的に行う必要が あるため,学校長の指揮の下,校内委員会を設置する。 ・ 校内委員会では,保護者や主治医等から収集した情報を共有するとともに,通常の学 校生活や給食における対応のみならず,万が一の緊急時における対応方法等についても, 予め準備しておくとともに,以下に規定する医師等や消防機関との連携が円滑に行える 体制を整えておく。 ・ 各学校において,既にこれらの趣旨を満たす組織等を設置している場合,校内委員会 を新たに組織しなくても差し支えない。ただし,この既存の組織にPTA等の教職員以 外の者が参画している場合,食物アレルギーへの対応方法等の一般事項を協議すること は問題ないが,個人情報に係る事項については秘匿とするなど,プライバシーの保護に は十分注意すること。 (3)学校医等との連携 ・ 学校医や学校歯科医,学校薬剤師とも連携し,「食物アレルギー個別対応プラン」(様 式4)などの収集した情報を基に,アレルギー症状の出現を未然に防ぐ対応策などのアド バイスを受けられるようにしておく。 ・ 特に,緊急時に連絡する場合に備え,事前に診断内容や指示等の情報を学校医に伝え, アレルギー症状の出現時に素早く対応できる体制を整えておく。 (4)消防機関との連携 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の処方を受けている児童生徒については,救 急搬送を依頼する際に適切な対応が取れるよう,当該児童生徒に関する情報を消防本部 へ報告する必要があるため,学校は,予め必要な情報を市教育委員会事務局学校健康課 に報告し,学校健康課が市消防本部にこの情報を提供することとする。 ・ また,新たに該当する児童生徒が発生した場合は,保護者の同意を得た上で,速やか に市教育委員会事務局学校健康課へ情報を報告する。 ・ 学校から消防機関に救急搬送を依頼する場合には,当該児童生徒がアドレナリン自己 注射薬(エピペン®)を処方されていることや,注射の有無を必ず伝えるようにする。 ・ 救急搬送の際は,「学校生活管理指導表」(様式1)の写しを救急隊員に渡し,受入先 の医療機関へ情報を提供する。 (5)学校行事等における対応 ・ 学校・学年行事の際に食事を伴う場合には,対象児童生徒の保護者と事前に連絡を密 に取り合い,食物アレルギーに関する可能な対応策を十分に検討するとともに,学校外 にあっては,現地の病院なども調べ,緊急時の対応ができるよう,準備しておく。

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15 (6)定期的な校内研修の実施 ・ 食物アレルギーに伴うアナフィラキシーショックの発症など,万が一の時に備え,全 ての教職員が,食物アレルギーに関する正しい知識を持つとともに,勤務する学校にお ける食物アレルギーを有する児童生徒の情報を把握し,適切に対応できるよう,年に1 回以上,校内研修を実施する。なお,研修の内容によっては,地域学校園単位での実施 も可能である。 ・ 研修の実施に当たっては,必要に応じ,学校医や主治医へ指導を要請するなど,一定 の質を確保した効果的な研修を行うようにする。この際,市教育委員会事務局学校健康 課は,学校の求めに応じ,講師の派遣等の支援を行うこととする。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の処方を受けている児童生徒が在籍する学校 にあっては,アドレナリン自己注射薬(エピペン®)練習用トレーナーを使用した実技 研修を,全教職員が経験しておくようにする。 【参考】 アドレナリン自己注射薬(エピペン®)練習用トレーナーは,ファイザー株式会社が, 希望する学校に対し,無償貸与している。 ファイザー株式会社 エピペン カスタマーサポートセンター 〒171-0021 東京都豊島区西池袋3-27-12 池袋ウェストパークビル8階 フリーダイヤル 0120-303-347 ※ トレーナーの返送料は,貸与を受けた学校の自己負担になるので,留意の上, 申し込むこと。 ※ 申込先の情報は,変更される場合があるので,同社のホームページ等で確認 すること。 (7)適切なアドレナリン自己注射薬(エピペン®)の保管 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の保管場所については,主治医や学校医,保 護者などの意見を踏まえながら,保健室や職員室などの適切な場所で保管・管理するこ ととし,校内の全教職員が,保管場所を知っておくようにする。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)は,光で分解しやすいため,携帯用ケースに 収められた状態で暗所に保管する。 ・ 保管に当たっては,15℃~30℃で保存することが望ましいことから,冷蔵庫に入 れたり,日光の当たる高温下に放置したりしないこと。 ・ 使用期限に注意すること。

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16 (8)緊急対応時の留意点 ・ 初期の対応が,その後の展開を大きく左右することから,迅速かつ慎重に対応できる よう,落ち着いて対処する。 ・ 「学校生活管理指導表」(様式1)や「食物アレルギー調査票」(様式2),「食物アレル ギー個別対応プラン」(様式4)などの資料を速やかに確認する。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)を処方されている児童生徒が,アナフィラキ シーショックを発症し,本人が自ら注射することが困難な状況である場合は,教職員が 躊躇なく本人に代わって注射するなど,迅速に対応する。 ・ 学校長などのリーダーシップの下,「ほう・れん・そう」(報告・連絡・相談)の徹底 を図り,情報の錯綜による混乱を避けることを心がける。 (9)学校の状況に応じた食物アレルギー対応マニュアルの整備 ・ 本マニュアルによって対応することを基本とするが,学校の実情に応じて,具体的な 緊急連絡先や対処方法などを決めた“学校ごとの対応マニュアル”を整備しておくこと が望ましい。

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17 5 食物アレルギー対応における教職員の役割 【全教職員】 ・ 食物アレルギー対応が必要な児童生徒のため,関係する情報を共有化し,積極的に協 力する。 ・ 特に,アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の処方を受けている児童生徒についての 情報や,アドレナリン自己注射薬(エピペン®)等の保管場所を把握しておき,アナフィ ラキシーショックの発症時に,本人が自らアドレナリン自己注射薬(エピペン®)の注射 が難しい状況である場合は,教職員が躊躇なく本人に代わって注射する。 ・ 担任以外の教職員が補教に入る場合,担任は,食物アレルギーを有する児童生徒の情 報を確実に伝えるようにし,給食等で事故が起きないように注意する。 【校長】 ・ 全教職員が,食物アレルギーの知識を持ち,適切に行動できるよう,校内委員会を組 織し,普段から必要な準備を行う。 ・ 緊急時にあっては,指揮を執り,適切な対処ができるよう,他の教職員に指示する。 【学級担任】 ・ 保護者からの申出など,必要な情報を全教職員で共有できるようにする。 ・ 保護者との面談に出席し,アレルゲンや症状,家庭での対応状況などを把握する。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の使用の有無や,学校用の自己注射薬の保管 方法について確認するとともに,食物アレルギー発生時の緊急対応表を作成する。 ・ 給食ワゴンの引受け時に必ず立会い,アレルギー対応食の有無や内容を確認する。 ・ 事前に献立表の確認を行うなどして,対応食に間違いがないかどうか,確認をする。 ・ 食物アレルギーを有する児童生徒が安全で楽しい給食時間を送ることができるよう配 慮する。 ・ アレルゲンを含まないその他の食品や調理品の「おかわり」については,「対応確認表 (教職員用)」(様式7)や「食札」(様式8)等を確認した上で,児童生徒の喫食状況を 踏まえながら,提供の可否を判断する。 ・ 他の児童生徒に対して,食物アレルギーを正しく理解させる。 【食育主任】 ・ 食物アレルギーのある児童生徒の実態を把握し,学級担任のほか,学校栄養士(栄養 教諭・学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)との連携を図る。 ・ 他の児童生徒に対して,食物アレルギーを正しく理解させる。

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18 【養護教諭】 ・ 保護者との面談に出席し,アレルゲンや症状,家庭での対応状況を把握する。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の使用の有無や,学校用の自己注射薬の保管 方法について確認する。 ・ 食物アレルギーのある児童生徒の実態を把握し,学級担任のほか,学校栄養士(栄養 教諭・学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)との連携を図る。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の取扱方法や保管方法などについて,全教職 員に周知する。 ・ 食物アレルギーが発症した場合の措置方法を確認しておく。 ・ 主治医,学校医等との連携を図り,応急処置の方法や連絡先を事前に確認しておく。 【学校栄養士(栄養教諭・学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)】 ・ 保護者との面談に出席し,アレルゲンや症状,家庭での対応状況を把握する。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の使用の有無や,学校用の自己注射薬の保管 方法について確認する。 ・ 学校給食でどのような対応ができるかを考え,アレルギー対応食案を学校長に報告す る。 ・ 代替食で誤食が起きないよう,色付き食器を使うなど,違いを明確に分かるようにす るか,保護者の要望や児童生徒の状況に合わせて差が出ないようにするかを検討し,使 用食品や調理法を決定する。 ・ 献立作成や作業工程表を作成する時に,アレルゲンを含む食品には注意を払うととも に,混入が無いよう,除去食や代替食の調理について調理員へ指示を行う。 ・ 必ず事前に調理方法・作業方法を確認するとともに,当日も再確認を行う。 ・ 食品のチェックにおいて,特に加工食品や調味料などは,原材料の確認を行う。 ・ 配食時は「食札」(様式8)とともに配食し,他の児童生徒の給食と区別する。 ・ 給食時の指導について,担任に状況を伝えてアドバイスをする。 【調理員】 ・ 食物アレルギーのある児童生徒の実態について理解し,除去食・代替食の内容を確認 する。 ・ 学校栄養士(栄養教諭・学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)の調理指示を基に, 除去する食品を確認した上で,作業工程表をチェックしながら調理する。 ・ 必ず事前に調理方法・作業方法を確認するとともに,当日も再確認を行う。 ・ 配食時は「食札」(様式8)とともに配食し,他の児童生徒の給食と区別する。 ・ 給食ワゴンの受け渡し時には,教職員に対し,アレルギー対応食の内容を伝達する。

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19 6 児童生徒への対応 (1)食物アレルギーを持つ児童生徒への個別指導 担任や養護教諭,学校栄養士(栄養教諭・学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)な どの教職員が連携を図り,保健・栄養・生活面について,児童生徒の発達段階に応じた 自己管理能力の育成を念頭に置き,指導を行う。 ア 保健指導 ・ 同じ食物を一度にたくさん摂らず,良く噛んで食べること,お腹を圧迫しないよう に姿勢を良くすること,楽しく食事をすることなどを指導する。 ・ 体調不良やストレスにより消化能力が低下している時は,たんぱく質を控え,消化 の良い食事をする。 イ 栄養指導 ・ 養護教諭,学校栄養士(栄養教諭・学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)が連携 を図り,食物アレルギー対応食に関する情報を共有し,栄養の偏りや不足が生じない よう,家庭での食事の摂り方を含め,指導する。 ・ 児童生徒の自己管理能力を育成することを念頭に置き,発達段階に応じて,食物ア レルギーへの理解と必要な栄養摂取に関する指導をする。 ウ 生活指導 ・ 担任や養護教諭,学校栄養士(栄養教諭・学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員) が連携を図りながら,食事に対する不安を取り除き,本人が精神的な負担を感じない よう,体と心の両面から,生活に関する指導を行う。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)を処方されている児童生徒に対しては,ア ドレナリン自己注射薬(エピペン®)の保管場所や接種方法などについて,指導する。 エ 自己管理能力の育成 ・ 自分のアレルギーがどのようなものであるかを認識できるようにする。 ・ 「学校生活管理指導表」(様式1)や保護者との面談記録などを基に,児童生徒が自ら 学校給食で献立に使用されている食品を調べ,アレルゲンが何であるかを理解できる ようにするとともに,アレルゲンを食べないことや食べる量を加減することについて, 自分の健康状況に応じた喫食ができるよう指導する。

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20 (2)食物アレルギーでない児童生徒への指導 ・ 食物アレルギーに関する正しい理解ができるよう,学級活動などの時間を活用して指 導を行うこととし,特に,給食でアレルギー対応食を食べる児童生徒が在籍するクラス においては,年度初めなどの機会を捉えて,早い段階での指導を行う。 ・ 指導に当たっては,食物アレルギーが,誰にでもなる可能性があり,好き嫌いや偏食 ではなく,疾患の一つであることのほか,自分にとっては何でもないものが人にとって は生命に関わることにつながる恐れもあることなどをしっかり認識させ,「仲間はずれ」 や「偏見」につながることの無いよう,配慮する。 ・ 食物アレルギーを持つ児童生徒の気持ちに共感することや,体調の異変に気付いてあ げられるようにすることなど,相手に配慮した態度がとれるよう,指導する。

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Ⅲ 学校給食における対応

1 学校給食の目標の留意 学校給食の目標については,学校給食法(昭和29年法律第160号)において,以下 のとおり定められていることから,食物アレルギーへの対応に当たっても,留意しなけれ ばならない。 【学校給食法(抄)】 第2条 学校給食を実施するに当たっては,義務教育諸学校における教育の目的を実現するた めに,次に掲げる目標が達成されるよう努めなればならない。 一 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。 二 日常生活における食事について正しい理解を深め,健全な食生活を営むことがで きる判断力を培い,及び望ましい食習慣を養うこと。 三 学校生活を豊かにし,明るい社交性及び協同の精神を養うこと。 四 食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め,生命 及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。 五 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を 深め,勤労を重んずる態度を養うこと。 六 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。 七 食料の生産,流通及び消費について,正しい理解に導くこと。 2 アレルギー対応食を提供する場合の考え方 (1) 学校給食は,学校教育の一環として実施するものであるため,食物アレルギーのある 児童生徒に対しても,可能な限り,アレルギー対応食を提供する。 (2) アレルギー対応食の提供については,医師が記載した「学校生活管理指導表」(様式1) に基づいて実施する。 (3) アレルギー対応食の提供に当たっては,可能な範囲での対応となることを保護者に理 解してもらう。 ・ 限られた施設や設備で調理すること ・ 大量調理を前提として実施するものであること ・ 学校の規模やアレルギー対応者の人数などに応じ,安全性を第一に考えた対応とな ること ・ アレルギーの状況によっては,弁当などを家庭から持参してもらう場合もあること (4)アレルギー対応食の提供に当たっては,該当児童生徒の保護者との連絡を密にし,児童 生徒の健康状態などの情報に基づきながら,発達段階に応じた適切な対応策をとる。 (5)各学校では,食物アレルギーを理由として弁当を持参する児童生徒に対しても,可能で あれば,月に数回でも給食を提供できるようにするなど,本人や保護者が要望する場合に は,できるだけ柔軟に対応する。

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22 3 対応の決定方法 ・ 前記「2 アレルギー対応食を提供する場合の考え方」を基に,対象児童生徒の保護者 との面談を実施した後,学校長が実施の可否を決定する。 ・ アレルギー対応食については,使用食品・食材が記載された1か月分の献立表を給食実 施月の前月中に保護者へ配付し,喫食の可否を学校に回答してもらった後,その回答を基 に学校側が検討し,決定する。 ・ アレルギー対応食の提供内容が決定した後,新たな献立表を再度保護者に提示し,最終 確認をしてもらう。保護者が了承した時点で,アレルギー対応食を提供する。 ・ アレルギー対応食を提供した場合,栄養面での偏りが生じやすいため,不足分を家庭で 補えるよう,保護者と連携をとる。 4 アレルギー対応食における種類ごとの留意事項 (1)除去食の場合 ア 本人が除いて食べる場合 ・ 児童生徒に対し,自分がどの食品に対しアレルギーを持っているかを認識させ,事 前に献立表から原因食品(アレルゲン)が含まれるものを確認させた上で,除いて食 べるよう指導する。 ・ 低学年については,自己管理能力が不十分なことから,担任が補助する。 イ 給食室で除去する場合 ・ 調理する段階で,原因食品(アレルゲン)を取り除いた料理を提供する。 (2)代替食の場合 ・ 除去により不足した栄養素を補うため,別の食品を使用した料理を提供する。 ・ 見た目については,誤食が起きないよう,違いが明確に分かるようにするか,保護者 の要望や児童生徒の状況に合わせ,差が分からないようにするかを検討し,使用食品や 調理法を決定する。 (3)弁当の場合 ・ アレルギーの原因食品(アレルゲン)が多種類にわたる場合や症状が重い場合は,弁 当を持参させる。 ・ 他の児童生徒と同じ食器に盛り付けたりするなど,保護者や本人の希望に対し,柔軟 に対応する。 ・ 児童生徒の状況に応じ,一部の食品(飲み物のみ,または主食のみ等)を家庭から持 参することも認め,食べられるものについては,給食で提供することも可能とする。 ・ 弁当が衛生的に喫食できるよう,特に暑い時期は,学校が保管に関する配慮をする。 ・ 保護者が給食時間に合わせて持参することや,児童生徒が持参して職員室で保管する など,学校ごとの状況に応じて対応する。

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23 5 アレルギー対応食等決定までの基本的な手順 食物アレルギー対応食が4月から実施できるよう,各学校の状況に合わせて,保護者 と連携をとり,準備を進めること。 (1) 新小学校1年生の場合 以下に示す1~4を前年度の3月までに実施し,新年度に対応する。 【関係職員】 養護教諭,学校栄養士(栄養教諭・ 学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)等 【方法】 ・ 食物アレルギー調査票を回収した上で,「学 校生活管理指導表」(様式1)を渡し,病院を 受診するよう保護者に伝える。 【関係職員】 副校長,養護教諭,学校栄養士(栄養教諭・ 学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)等 【関係書類】 「面談記録票」(様式3) 【方法】 ・ 面談の手順(P.12 面談の項を参照) に従い,面談記録票に基づき,対象児童生徒 の保護者からアレルギー,アドレナリン自己 注射薬(エピペン®)の詳細を聞き取る。 【関係職員】 校長,副校長,学級担任,養護教諭, 食育主任,学校栄養士(栄養教諭・ 学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員), 調理員,校医等 【方法】 ・ 面談での保護者からの意見等を基に, 給食の対応方法及びアドレナリン自己注射 薬(エピペン®)の取扱いや保管の仕方を協 議し,学校長が決定する。 1 食物アレルギー調査の実施 (就学時健康診断の際に,食物アレル ギーを有する児童の調査票を収集) 3 校内委員会での協議 ④ 関係職員での協議 2 保護者との面談 ④ 関係職員での協議

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24 4 保護者との話し合い ④ 関係職員での協議 【関係職員】 副校長,学級担任,養護教諭,食育主任, 学校栄養士(栄養教諭・学校栄養職員・ 学校栄養士業務嘱託員)等 【方法】 ・ 学校給食で対応できる範囲を説明するととも に,共通理解を図った上で,最終的に対応方法を 決定する。 ・ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の取扱 いを話し合い,事前に地域の消防機関に情報の提 供について確認する。 【関係職員】 学級担任,学校栄養士(栄養教諭・ 学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)等 【関係書類】 「アレルギー対応食同意書」(様式6) 「アドレナリン自己注射薬(エピペン®)に関する 依頼書」(様式5) 【方法】 ・ 学校側と保護者とで合意が得られた段階で, 保護者から「食物アレルギー対応同意書」(様式 6)を,アドレナリン自己注射薬を所持する児童 生徒については,「アドレナリン自己注射薬に関 する依頼書」(様式5)も提出してもらう。 ・ 保護者には,写しを保管してもらう。 ・ 学級担任は,今までの情報を食物アレルギー個 別対応プラン(様式4)に記載し,保護者から印 をもらう。 5 保護者からの申込み ④ 関係職員での協議

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25 (2)新小学校1年生以外の場合 小学校1年生で実施した食物アレルギー個人対応プラン(様式4)をもとに,手順の 1~5は年1回,6~8は個人の状況に応じて実施する。 【関係職員】 学級担任,学校栄養士(栄養教諭・ 学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託員)等 【関係書類】 献立表 【方法】 ・ 保護者へ材料名が記載された献立表を配付し, 喫食不可能な食品,献立などをチェックしてもら う。 【関係職員】 校長,副校長,食育主任,養護教諭, 学校栄養士(栄養教諭・学校栄養職員・ 学校栄養士業務嘱託員)等 【関係書類】 献立表 【方法】 ・ チェックされた献立表を基に話し合い,学校長 が決定する。 【関係職員】 学級担任,養護教諭,食育主任,学校栄養士 (栄養教諭・学校栄養職員・学校栄養士業務嘱託 員)等 【関係書類】 献立表 【方法】 ・ 決定した献立を再度保護者へ提示し,最終確認 をする。 6 保護者へ献立表を配付 ④ 関係職員での協議 7 献立の決定 ④ 関係職員での協議 8 保護者への最終確認

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26 6 アレルギー対応食を提供する流れと留意事項 (1)献立作成・発注等 ・ 加工食品の内容を確認し,原材料を詳細に記入した献立表を作成する。 ・ 事前に献立表に間違いがないことを学校栄養士(栄養教諭・学校栄養職員・学校栄養 士業務嘱託員)が中心となって,複数の教職員で確認する。 ・ 発注したものが間違いなく納品されたかを,複数の教職員で確認する。 (2)調理 ・ 使用する食品,加工品に間違いがないか確認をする。 ・ 調理器具等を介してアレルゲンが混入しないよう,専用の調理器具を使用する。 ・ アレルゲンの混入を防ぐため,アレルギー対応食を調理しているときは,他の作業を しながらの作業は避ける。 ・ 他の児童生徒とは別に,色付き食器など,個別の食器に配食をする。 ・ 配膳前に,対応食の内容に間違いがないかどうかを再度確認し,「食札」(様式8)に 明確に表示する。 (3)配膳 ・ 教職員が,当日,献立表等でアレルギー対応食が有るか否かを事前に確認してから, 配膳室へ給食を取りに行くようにする。 ・ 給食ワゴンの受け渡し時には,教職員が必ず立会い,アレルギー対応食の有無や内容 を確認する。 ・ 学級におけるアレルギー対応食の配食は,必ず一番初めに行い,配食に間違いがない ことを確認した後,通常の給食の配食を開始する。 ・ 教職員は,対象児童生徒が誤ってアレルゲンを食べないよう注意する。 ・ アレルギー対応食の“おかわり”については,通常,事前におかわり分を用意するも のではないため,「提供禁止」とする。 ・ アレルゲンを含まないその他の食品や調理品の“おかわり”については,「対応確認 表(教職員用)」(様式7)や「食札」(様式8)等を確認した上で,児童生徒の喫食状 況を踏まえながら,提供の可否を判断する。

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27 7 アレルギー対応食に関する管理事項 (1)保存食の取扱い ・ アレルギー対応食についても,集団給食の一環として,実施されるという位置付けか ら保存食を採取する。 ・ 保存食分の費用については原則,通常の給食と併せ,学校全体の負担とする。 (2)給食費の徴収方法 ・ 基本的に,牛乳・米飯・パンなど,1食単価が明確なものについては,保護者からの 事前の申出により返金の対象とするが,その他の副食については,1品でも喫食した場 合,返金の対象としない。 ・ 通常,弁当持参の児童生徒が,月に数回給食の喫食が可能だった場合は,喫食した分 の給食費を徴収する。

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28 8 緊急時における基本的な手順 2 管理者や 教職員等への連絡 ① 保護者との面談 ④ 関係職員での協議 4 保護者への連絡 ④ 関係職員での協 議 1 児童生徒の 健康状態の把握 3 関係機関等への 連絡 ④ 関係職員での協 議 5 結果の報告と 対応の再確認 ④ 関係職員での協議 ○ 状況の確認 ・ アレルゲンを含む食品を口に入れた時 ⇒ 口から出し,口をすすぐ。 ・ 皮膚についたとき ⇒ 洗い流す。 ・ 眼症状 ⇒ 洗顔後,点眼する。 ○ 状況により管理者に口頭で報告し,現場への急行を依頼する。 ○ 他の教職員等への連絡[隣接した教室の職員,養護教諭] ・ 状況により管理者に口頭で報告し,現場への急行を依頼する。 ○ 養護教諭等の応急手当 ・ 必要に応じて主治医の指示を受ける。 ○ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)が医師から処方されて いる場合は,児童生徒自らが注射する。 ※ 本人自らの注射が難しい状況にあっては,教職員が躊躇 なく,本人に代わって注射する。 ○ 救急車の要請 ・ 意識喪失,ショック症状,けいれん,激痛等の状態が継続す る場合や判断に迷う又は,判断できない場合等 ・ 到着後は担当教諭等が同乗して事故発生時の状況,原因とな るアレルゲン,自己注射薬等の使用の有無を説明する。(食物 アレルギー個別対応プランを携帯する。) ・ 救急搬送の際は,「学校生活管理指導表」(様式1)の写しを 救急隊員へ渡し,受入先の医療機関へ情報を提供する。 ○ 保護者には憶測を交えず,事実を正確に伝える。 病院へ運ぶ場合には,緊急の場合を除き,保護者から,指定す る病院の有無を確かめる。 【状況に応じた対応】 症状により下記の①~③を例に対応する ① 下校時に担任が同伴し,保護者に経緯等を説明する。 ② 保護者に迎えに来てもらい,病院での診察を依頼する。 ③ 学校から児童生徒をタクシー等で病院に運ぶとともに,保 護者にも病院に直行してもらい,病院での状況を説明する。 ○ 管理者への状況報告 ○ 教職員への周知及び緊急処置についての再確認 ○ 誤食・誤配等が起こった場合は,市教育委員会事務局学校健康 課へ連絡する。

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28 名前 男・女 平成 年 月 日生( 歳) 学校 年 組 提出日 平成 年 月 日 ア ナ フ ィ ラ キ シ ー ( あ り ・ な し ) 食 物 ア レ ル ギ ー ( あ り ・ な し ) 病型・治療 学校生活上の留意点 「 緊 急 連 絡 先 」 ★保護者 A.食物アレルギー病型(食物アレルギーありの場合のみ記載) 1.即時型 3.食物依存性運動誘発アナフィラキシー 2.口腔アレルギー症候群 A.給食 1.管理不要 2.保護者と相談し決定 電話: B.アナフィラキシー病型(アナフィラキシーの既往ありの場合のみ記載) 1.食物(原因: )4.昆虫 2.食物依存性運動誘発アナフィラキシー 5.医薬品 3.運動誘発アナフィラキシー 6.その他( ) B.食物・食材を扱う授業・活動 1.配慮不要 2.保護者と相談し決定 C.原因食品・診断根拠・除去の程度 D.緊急時に備えた処方薬 1.内服薬(抗ヒスタミン薬,ステロイド薬)(薬品名: ) 2.アドレナリン自己注射薬(「エピペン®」)3.その他( ) E.摂取した場合に出現する症状(出現する可能性のある症状) 即時型反応:□ショック □咳き込み □呼吸困難 □嘔吐・腹痛 □下痢 □顔面紅潮 □じんましん その他( ) 非即時型反応:□湿疹 □掻痒感 □下痢 その他( ) 原因食品 診断根拠 (※枠外参照) 該当する番号全てに○ 1 鶏卵 1 2 3 完全除去・加工品可・加熱すれば可・その他( ) 2 牛乳・乳製品 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 3 小麦 1 2 3 完全除去・加工品可・調味料可・その他( ) 4 そば 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 5 ピーナッツ 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 6 種実類・木の実類( ) 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 7 甲殻類(エビ・カニ) 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 8 大豆 1 2 3 完全除去・加工品可・調味料可・その他( ) 9 果物類( ) 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 10 肉類( ) 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 11 魚類( ) 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 12 その他( ) 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 13 その他( ) 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) 14 その他( ) 1 2 3 完全除去・加工品可・その他( ) C.運動(体育・部活動等) 1.管理不要 2.保護者と相談し決定 ★連絡医療機関 医療機関名: 電話: D.宿泊を伴う校外学習 1.配慮不要 2 食事やイベントの際に配慮が必要 E.その他の配慮・管理事項(自由記載) ● 本表の記載内容を,学校が,直接, 記載医師に問い合せることの可否 ※ 保護者の同意を得た上で記載 □可 □否 記載日 平成 年 月 日 記載医師名 ○印 記載医療機関名 ●学校における日常の取り組み及び緊急時の対応に活用するため,本表に記載された内容を教職員全員で共有することに同意しますか。 □同意する □同意しない ●救急搬送時に,本表の情報を受入先病院へ提供することに同意しますか。 □同意する □同意しない 保護者署名:

学校生活管理指導表(食物アレルギー用)

(アレルギー関係様式)

様式1

29 ※1)診断根拠 該当する番号全てに○ ①明らかな症状の既往 ②食物負荷試験陽性 ③IgE 抗体等検査結果陽性 ※原因食品のエキスなどを除去する 可否はその他の欄に記載 除去の程度 該当するものに○

参照

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