島の制度と比中南シナ海仲裁判決
著者 林 秀鳳
雑誌名 同志社法學
巻 71
号 5
ページ 1631‑1705
発行年 2019‑11‑30
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/00026944
島の制度と比中南シナ海仲裁判決
林 秀 鳳
はじめに 第一章 島の定義
1 島の定義及びその法的地位の形成 2 島の要件
⑴ 「陸地」
⑵ 「自然に形成されたもの」
⑶ 「水に囲まれること」
⑷ 「高潮時においても水面上にあること」
3 島の制度の形成
⑴ 島の地位に対する一括派と分類派の対立 ⑵ 島の制度
第二章 国連海洋法条約第121条の適用問題 1 適用範囲
⑴ 島の位置の無関係性
⑵ 群島に適用する時に生じる問題 2 適用方法
⑴ 「分離説」
⑵ 「結合説」
⑶ 「岩分類説」
第三章 国連海洋法条約第121条3項の適用問題 1 「人間の居住(humanhabitation)」
⑴ 居住要件 ⑵ 居住適性
⑶ 無人島への適用と居住可能性(likelihoodtohumanhabitation) 2 「独自の経済的生活(economiclifeoftheirown)」
⑴ 独自の経済的生活の存在(existenceoftheirowneconomiclife) ⑵ 独自の経済的生活実行可能性(feasibilityoftheirowneconomiclife) ⑶ 無人島への適用と独自の経済的生活の回復可能性(recoverabilityoftheirown
economiclife) 3 2要件の関係 ⑴ 文法構造上の観点 ⑵ 事実の観点
⑶ EEZ制度の趣旨に基づく観点
⑷ 条約の準備作業の観点 ⑸ 考察
4 国連海洋法条約第121条3項の法的性格 おわりに
はじめに
「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他 的経済水域又は大陸棚を有しない」と定める国連海洋法条約(以下、海洋法 条約)第121条3項は、「混乱と紛争を生み出すための完全なレシピ」と称さ れている1)。なぜなら、海洋法条約の準備作業においても、また発効後も、
同項に対して、共通の理解も、一致した国家実行もなかったからである。
2016年7月12日に、下された比中南シナ海仲裁判決(以下、
SCS
判決)は、第121条3項に対する法解釈を真正面から行った国際判決である。比中南シ ナ海仲裁裁判所(以下、
SCS
裁判所)は、まず、「高潮地形」(high
-tide features
:HTF
)という用語を創り出し、「島」(island
)と「岩」(rock
)を ともにHTF
に属させ、それらを第121条1項が定義する海洋地形とした。そ の中で、「人間の居住」(human habitation
)又は「独自の経済的生活(economic Life of their own
)」を維持することのできない海洋地形を、第121条3項が 規 定 す る、 大 陸 棚(continental shelf
) 及 び 排 他 的 経 済 水 域(exclusive economic zone
:EEZ
)を有しない岩と、「人間の居住」及び「独自の経済的 生活」を維持することのできる海洋地形を第121条2項がいう「完全な権原 を有する島」(fully entitled islands
)と分類した2)。この判決は、画期的なも1) E. D. Brown, “Rockall and the Limits of National Jurisdiction of the United Kingdom: Part I,”
Marine Policy, V.2 N. 3 (1978), at 206.
2) South China Sea Arbitration (Republic of the Philippines v. People’s Republic of China), Report of International Arbitral Award (2016), at 119, para.280, and at 175-176, paras.386-390. [hereinafter referred to as South China Sea Arbitration] SCS裁判所によれば、
海洋地形は、HTFと低潮高地に分けられるが、本稿で言及した海洋地形は、別段の説明がな い限り、HTFのことを意味し、すなわち、第121条1項がいう島である。「完全な権原を有す る島」は、「島」として表している。
のであるが、南沙諸島の有人島3)が岩と判示されたことが従来の国際判例4)
の判断と大きく異なり、さらに、その解釈も多くの国家実行と一致しないな どの問題が残っていることから、今後の解釈基準となりうるのか疑問に思わ れる。SCS裁判所が示した理由は、沿岸国が科学技術や外部からの支援によ って、岩が人間の居住又は独自の経済的生活を維持できないことを解決でき ることを認めれば、当該岩が広大な
EEZ
及び大陸棚を有すると主張できる ようになり、他の沿岸国の海洋権利と「人類の共同財産」(common heritage of mankind
:CHM
)である「深海底」(Area
)を侵入することとなるため、第121条3項が制限規定としての意味がなくなるというものである5)。さら に、
EEZ
の資源は、海洋地形の生まれながらの住民のために、保護に値す るものであるとした。したがって、「人間の居住」とは、「安定した共同体」による居住であり、当該地形は、これらの居住者にとって、「家(
home
)」として居住を維持できる場所であると理解しなければならないというのが、
その理由である6)。したがって、生まれながらの住民が存在しない場合、た とえ沿岸国が海洋地形の主権を有しても、当該地形の主権的権利を有するこ とができないということになる。
上記の
SCS
裁判所の解釈には、3つの問題点を指摘することができる。①「維持することができないか否か」は、「地元住民(
local population
)7)」 の居住の事実の有無に基づいて判断されること、②「人間の居住又は独自の3) 南沙諸島の最大の島である太平島(Taiping IslandまたはItu Aba Island)には、人間の居住 を維持できる飲料水、動植物、耕作に適した土壌および自然の栄養源などがあり、過去にも人 間の居住の実績もあったにもかかわらず、SCS裁判所は、同島での人間の居住は、地元住民の 定住を意味しないことから、同島は人間の居住を維持することのできない岩であると判示した。
4) たとえば、1984年のカナダと米国のメイン湾海域境界画定事件(以下、メイン湾事件)、1981 年のアイスランドとヤンマイエン島との間の大陸棚境界画定調停事件(以下、1981年のヤンマ イエン島事件)及び1993年のICJのグリーンランドとヤン・マイエン島とにはさまれた海域の 海洋境界画定に関する事件(以下、1993年のヤンマイエン島事件)等である。詳細については、
注148、注105及び注106参照。
5) South China Sea Arbitration, supra note 2, at 214, para. 509 6) Ibid, at 227-228, paras. 542-543.
7) 本稿は、先住民(indigenous)、生まれながらの住民、当該地形に実際居住し、生活する意図 を持つ住民などを「地元住民」として表している。
経済的生活を維持することのできない」という意味が「地元住民の居住又は その住民の独自の経済的生活を維持することのできない」という意味へと解 釈されること、及び、③第121条3項が制限規定であるとの指摘である。し た が っ て、 第121条 3 項 は、 制 限 規 定 と し て、「 維 持 し な い(do not
sustain
)」ではなく、「維持することのできない(cannot sustain
)」という文 言を採用するようになったということなのか、第121条3項にいう「人間の 居住」とは、「地元住民」のことでなければならないのか、そして「独自の 経済的生活」とは、裁判所が判示するように、「海洋地形又は当該地形の住 民に対して利益を生じさせる経済的生活」のみを意味し、そこで、「人間の 居住」、「独自の経済的生活」という2要件を同時に満たさなければならない ということになるのか、という3つの疑問が生じる。本稿は、これらの問題 を解き明かすために、島の定義及びその要件の検討から始め、次に「島」と 岩との関係を取り上げ、最後に、「人間の居住」、「独自の経済的生活」とい う2要件を検討することにより、SCS
裁判所の解釈が国家実行と異なる原因 を突き止めるものである。第一章 島の定義
海洋法条約の「島の制度」を取り上げる前に、島の定義がいかに形成され てきたのか、及び国際海洋法においてはいかなる法的地位を有してきたかに ついて理解しておく。
1 島の定義及びその法的地位の形成
海洋法の基本原則は、「陸が海を支配する原則」であるが、実際、島は、
当初は、領海をもつものとしても、独立したものとしてもみなされなかった。
その原因は、19世紀初め以来、海洋地形が大陸からの影響を受けていること にある。したがって、島のほか、(今日の低潮高地
low
-tide elevation
:LTE
8)8) 領海及び接続水域に関する条約(以下、領海条約)第11条は、「低潮高地とは、自然に形成さ
に該当する)浅瀬や干出岩などの沖合地形は、一律に大陸の一部と同じに扱 われ、それ自体の領海をもつことが認められていた。この理論は、英国の裁 判官ストーウェル卿(
Lord Stowell
)による「前廊理論(portico doctrine
)」に基づいたものである。同理論は、1800年の「トウィー・ゲブレーダー号事 件(
Twee Gebroeders Case
)」、1805年の「アンナ号事件(The Anna
)」に関 連して案出したものであり、どちらの事件においても、沿岸陸地に近接(
proximity
)する海洋地形は、大陸の附属の前廊を構成するものとし、それ自体の領海をもつことが認められた9)。他方、非沖合地形は、それ自体の領 海をもたず、漁業水域(
fishery zone
)しか与えられなかった。1881年、英国、ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、デンマーク、ノルウェー、スウェ ーデン=ノルウェーの7カ国が北海の漁業に関するハーグ会議(
Hague Conference for the regulation of North Sea Fisheries
)に参加し、翌年、領 海外の北海漁業活動を規範するための北海漁業条約(North Sea Fisheries Convention
)を採択した10)。同条約第2条は、各締約国が領有する島(islands
)と砂州(
banks
)の低潮線から三海里を超えない範囲で11)、漁民が排他的漁業権を享有すると規定した12)。その時、大陸から3海里を超える島は、領海
れた陸地であって、低潮時には水に囲まれ、水面上にあるが、高潮時には水中に没するものを いう。低潮高地の全部又は一部が本土又は島から領海の幅をこえない距離にあるときは、その 低潮線は、領海の幅を測定するための基線として用いることができる。」と規定する。海洋法 条約第13条第1項は、「低潮高地とは、自然に形成された陸地であって、低潮時には水に囲ま れ水面上にあるが、高潮時には、水中に没するものをいう。低潮高地の全部又は一部か本土又 は島から領海の幅を超えない距離にある時は、その低潮線は、領海の幅を測定するための基線 として用いることができる。」とし、第2項は「低潮高地は、その全部が本土又は島から領海 の幅を超える距離にあるときは、それ自体の領海を有しない」と規定する。
9) 山本草二『海洋法』(三省堂、1995年) 53-54頁。
10) 条 約 の 正 式 名 称 は、International Convention for regulating the police of the North Sea fisheries outside territorial watersであり、1884年5月15日発効、1976年9月26日終了。詳細 についてはオランダ政府のTreaty Database参照。 (https://verdragenbank.overheid.nl/en/
Verdrag/Details/001863 )(https://iea.uoregon.edu/treaty-text/1882-policenorthseasfisheryentxt)、
2018年10月19日取得。
11) 第3条では、ここの単位は地理的マイルであり、1単位は、緯度1分の弧長に等しく、60分 は、緯度1度に等しいと説明している。つまり、今日の海里のことを指している。
12) 第 2 条 の 規 定 は 下 記 の リ ン グ 参 照。(https://iea.uoregon.edu/treaty-text/1882-
でなく、排他的漁業権が与えられたが、島の定義は行われなかった。これに よって、本土の領海を超える海洋地形が初めて付与されたのは、領海でなく、
排他的漁業権であり、海洋地形は、あくまでも、漁業活動の拠点として扱わ れていたことが分かる。
20世紀に入り、「前廊理論」は修正された。1930年のハーグ国際法法典化 会議(Hague Codification Conference、以下、ハーグ会議)は、島の定義及 びその国際法上の地位を取り扱い、島と
LTE
を区別するように初めて島の 定義を作成した。領海問題を扱う第2委員会の報告書では、「すべての島は それ自体の領海を有する。島とは、陸地であって、水に囲まれ、恒久的に高 潮線上にあるものをいう(An island is an area of land
,surrounded by water
,which is permanently above high
-water mark
)」と定義された。したがって、島には、「陸地」、「水に囲まれること」及び「恒久的に高潮線上にあること」
の3つの要件によって構成され、その法的地位は、領海を有することである。
さらに、低潮時にだけ水面上に出る低潮高地(
LTE
)に対して、陸地や島の 領海の内にある時のみ、領海の幅を測定するための基線として用いることが できるとした13)。ただし、浮遊物又は投錨しただけのものを除く、少なくと も海底に固着し又は陸地の真正の部分をなすものである限り、人工島(
artificial island
)を島と同じに扱うことを排除しないという説明が同条に付 されている14)。ただし、国際法委員会(
International Law Commision
:ILC
)による1956 年の報告書(以下、ILC
草案)においては、島の定義は、以下のように変更 された。「すべての島はそれ自体の領海を有する。島とは、陸地であって、水に囲まれ、通常の場合恒久的に高潮線上にあるものをいう(
An island is an area of land
,surrounded by water
,which in normal circumstances is permanently above high water mark
)15)。」このように、「通常の場合」といpolicenorthseasfisheryentxt)、2018年10月19日 13) 山本草二『前掲書』(注9) 55頁。
14) 同上、84頁。
15) ReportoftheInternationalLawCommissiontotheGeneralAssembly,Art 10,U.N.Gen.
う文言が付加されたことにより、例外が認められることを暗示するように思 われる。さらに、「本規定は、公海上にも、領海の範囲内にも位置する島々 に適用される」という、本土から遠く離れる島々までを扱うような説明が付 されていた16)。それでも、1958年、第1次国連海洋法会議が採択した領海条 約においては、米国の修正案の採用によって、第10条1項は「島とは、自然 に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるも のをいう(
An island is a naturally formed area of land
,surrounded by water
,which is above water at high tide
.)」へと修正された。なぜなら、ILC
草案 では人工的な陸地を含んでしまい、それが領海の拡張、そして公海の自由に 対する蚕食の結果にならないように、「自然に形成された陸地」でなければ、それ自体の領海をもてないと米国が説明したということであり、さらに、米 国は、異常な又は季節的な潮流活動が島の地位に及ぼす影響について確立し た国家実行がないとし、「通常の場合」及び「恒久的に」という2つの用語 を削除するように主張したからである17)。この段階においては、先に作られ た「陸地」、「水に囲まれること」、「高潮時においても水面上にあること」と いう3要件に、「自然に形成されたもの」が付加され、島としての四要件が 示された。
島は、「島の領海は、この条約の規定に従って測定される」と定める領海 条約第10条2項に基づいて、領海を有するほか、「『大陸棚』とは、(
a
)海岸 に隣接しているが領海の外にある海底区域であって、水深が二〇〇メートル までであるもの又は水深がこの限度をこえているがその天然資源の開発を可 能にする限度までであるものの海底、(b
)島の海岸に隣接している同様の海Ass. Off. Rec., 11th) Session, Supplement No.9, U. N. Doc. A/3159, at 16 (1956)
16) The Law of the Sea, Régime of Islands - Legislative History of Part VIII(Article 121) of the United Nations Convention on the Law of the the Sea, UN Sales No. E.87.V.11, at 4 (1988, UN Office for Ocean Affairs and the Law of the Sea) [hereinafter referred to as RÉGIME OF ISLANDS]
17) United States of America, ‘Proposal to Article 12’, in United Nations, Official Records of the United Nations Conference on the Law of Sea, Volume III (First Committee (Territorial Sea and Contiguous Zone),at 243,UNDocA/ CONF. 13/C. /L. 116.
底区域の海底」と定める大陸棚に関する条約(以下、大陸棚条約)第1条に 基づいて、大陸棚を有する。大陸棚について言えば、その起源となったのは、
1945年のトルーマン宣言であり、その中で、大統領宣言第2667号において、
「アメリカ合衆国政府は、公海にあるがアメリカ合衆国の海岸に接続してい る大陸棚海底及びその下の天然資源について、アメリカ合衆国に属し管轄権 と管理(jurisdiction and control)に服するものとみなす」と主張する18)。こ の宣言が公表されてからというもの、数多くの国が相次いで米国に倣って、
大陸棚の主権的権利(
sovereign rights
)を主張するようになった。その中で、島が大陸棚を有すると主張する国も数多くあった。これと一致した主張が頻 繁に出現すると同時に、他の国が異議を唱えていなかったため、島が大陸棚 を有することが国際慣習法の一部となり、そして大陸棚条約において法典化 された。1969年の北海大陸棚事件(
North Sea Continental Shelf Cases
)判 決において、国際司法裁判所(以下、ICJ
)により、「島が大陸棚を有する」ことは、国際慣習法化していると認められている19)。
大陸棚条約では、島が大陸棚を有するには、面積、居住適性又は独自の経 済 的 生 活 と い っ た 要 件 が 設 け ら れ て い な い が、 シ モ ン ズ(
Clive R
.Symmons
)教授は、大陸棚条約と領海条約を対照してみれば、両条約が指示する島は同様なものであると述べる20)。これに対して、小田滋教授は、す べての島が大陸と同様な法的地位を有するか否かについて疑問を抱く21)。確 かに、相互に向かい合う海岸を持つ諸国の間における海洋境界画定の場合に
18) 大統領宣言第2667号の正式名称は、大陸棚の地下及び海底の天然資源に関する合衆国の政策
(Policy of the United States with Respect to the Natural Resources of the Subsoil and Sea Bed of the Continental Shelf)である。Mariorie Whiteman, Digest of International Law (1965), V.
2, at 756-757.
19) 馬英九『從新海洋法論釣魚臺列嶼與東海劃界問題』(台北、正中書局、1986年) 99頁。
20) Clive. R. Symmons, “Maritime Zones from islands and rocks,” S. Jayakumar, Tommy Koh and Robert Beckman (eds.), The South China Sea Disputes and the Law of the Sea, (Edward Elgar, 2014), at 56.
21) 小田教授は、大陸棚条約第1条2項の規定はフィリピンの提案によって挿入されたものであ り、すべての島が大陸棚をもちうるかどうか疑義がなかったわけではないと指摘する。小田滋
『注解国連海洋法条約 上巻』(有斐閣、1985年) 322頁参照。
は、島は、必ずしも、完全な
EEZ
又は大陸棚を主張できるとは限らない。特に、島が基点とみなされる効果は、依然として、大陸との距離に左右され、
そこで、島が大陸と同様に扱われるのはなかなか難しい。北海大陸棚事件に おいて、ICJは、向かい合っている諸国間における大陸棚の境界を中間線に 基づいて画定するにあたっては、関係国の主張が重複する区域に衡平な配分 を与えなければならないとし、小島、岩その他の小さな沿岸突起の存在を無 視し、不均衡な効果(
disproportionately distorting effect
)を除去すること を必要とすると判示した22)。その後、1977年の英仏大陸棚事件23)、1982年の チュニジア・リビア大陸棚事件24)などの国際判例において、この原則に従 って海洋境界を画定する動きがみられる25)。2 島の要件
領海条約は、次の節において述べられる海洋法条約とともに、島に対して 同様の定義を設けており、島の要件は、次の4つのものである。すなわち、
「陸地(
land
)」、「自然に形成されたこと(naturally formed
)」、「水に囲まれ ること(surrounded by water
)」及び「高潮時においても水面上にあること(
above water at high tide
)」である。一般に、この4つの要件は、地理的・22) North Sea Continental Shelf Cases (FRG/ Den.; FRG/ Neth.), ICJ Report (1969), at 36, para.
57.
23) 仲裁裁判所は、チャンネル諸島(Channel Islands)が相手国のフランス本土に近接している ため、「間違った位置にある」(on the wrong side)諸島に効果を与えると、フランスに帰属す る大陸棚が減少し、不均衡が生じるという理由で、人口13万人のチャンネル諸島に効果を与え な か っ た。Case concerning the delimitation of the Continental Shelf between the United Kingdom of Great Britain and the Northern Ireland, and the French Republic (UK, France), Report of International Arbitral Award (1977), at 94-95, paras, 199-202.
24) 本件においては、海洋法条約草案第76条と第83条が適用されているが、第121条が適用され な い。 そ の た め、 た と え、 ジ ェ ル バ 島(Jerba Island) は、 ケ ル ケ ナ 諸 島(Kerkennan
Islands)より面積も大きくまた人口も多くても、境界画定に影響を及ぼしていない。ICJは、
依然として島の位置と海岸の全般的な方向を考えた。Case Concerning the Continental Shelf
(Tunisia/ Libyan Arab Jamahiriya), Judgement (1982), at 4, at 50, para. 79, at 71, para. 120 and at 74-75, paras. 128-129.
25) 1985年のギニア・ギニアビサウ海洋境界画定事件は海洋法条約発効前の事件であるが、すで に同条約第121条を適用している。
地質学的条件と考えられており、後に採択された海洋法条約が「島」に対し てさらに2つの文化地質学的要件を加えた。この点については、第3章で取 り上げる。
⑴ 「陸地(land)」
島の第1要件は「陸地」である。「陸地」とは、海底の一部でなくても、
少なくとも海床に接触しており、固定したもの(
terra firma
)であり、不変 性をもつものを指す26)。したがって、氷山、棚氷、河川の三角州にある葦の 島などは、海床に固定せず風や海流の作用でつねに水面上を動くので、陸地 とはみなされない27)。ただし、シモンズ教授は、「陸地」という文言には、岩、砂、土、泥などの土地の構成要素が含まれているとするが、砂利どうしの隙 間に海氷が存在する場合、海氷は溶けるもので、永続性を有しないため、陸 地とはみなさないと述べている28)。また、サンゴ礁については、島とみなさ れるか否かは議論されたことがある。2012年の領海及び海洋紛争事件判決(以 下、ニカラグア対コロンビア事件判決)において、原告国のニカラグアは、
被告国のコロンビア領の
QS
32は単にサンゴの残骸の個々の破片、すなわち 死亡した動物の骸骨であるため、自然に形成された陸地ではなく、島とはみ なされないと主張した29)。しかし、ICJ
は、「国際法は、島を、その地質学的 構成要素に触れることではなく、自然に形成されたかどうかに言及すること で定義する。QS
32は固体の物質から成り、海床に接触しており、固定して いない破片で構成されるものではない。サンゴから構成される事実は、関係 ない30)」との見解を示した。同様に、バウェット(Derek W
.Bowett
)教授も、実際、多くの島がサンゴの残骸でできたものであり、海底の一部ではないが、
26) Clive R. Symmons, The Maritime Zones of Islands in international Law (Hague/ Boston/
London: Martinus Nijhoff Publisher, 1979), at 21.
27) 山本草二『前掲書』(注9) 83頁。
28) Symmons, supra note 20, at 71.
29) Territorial and Maritime Dispute (Nicaragua v. Colombia), Judgement, ICJ Reports (2012), at 23, para. 32. [hereinafter referred to as Nicaragua v. Colombia]
30) Ibid,at 25,para. 37.
自然に形成されたため、通常の島と同様に領海を有するとされることを指摘 している31)。したがって、国際法上の「陸地」とは、土地の構成要素による ものであるか否かという問題ではなく、海床に接触しており、固定したもの を指すことが分かる。
⑵ 「自然に形成されたもの(naturally formed area)」
しかし、海床に接触しており、固定したものであっても、「自然に形成さ れたもの」という島の第2要件を満たさなければならない。山本草二教授は、
「自然の形成」には、2つの意味があり、1つは構成素材の自然性をいい、
もう1つは形成方法の自然性を指し、しかも、島は2つの自然性とも満たさ なければならない。たとえ、岩、砂、砂利などの自然物質を海床に投入し集 積させて、人工的に作られた構造物である場合でも、「自然に形成された」
という要件を欠くものであると述べている32)。したがって、たとえ、人工島 が、一時的又は恒常的に固定され、水に囲まれ高潮時においても水面上にあ る「陸地」であっても、形成方法の自然性を欠く人工の形状表面であるため、
国際法では、島とはみなされない33)。人工島の法的地位に関しては、海洋法 条約第60条によって、「人工島、施設及び構築物は、島の地位を有しない。
これらのものは、それ自体の領海を有せず、また、その存在は、領海、
EEZ
又は大陸棚の境界画定に影響を及ぼすものではない」(8項)と規定されて いる。しかし、沿岸国は、必要な場合には、1に規定する人工島の周囲に適 当な安全水域(safety zone
)を設定することができる。その幅は、500メー31) Derek W. Bowett, The Regime of Islands in International Law (Dobbs Ferry, New York:
Ocean Publications, Inc., 1978), at 4-5.
32) 山本草二『前掲書』(注9) 194-195頁。
33) もっとも、例外がある。1972年、トンガ王国は土砂・サンゴを金網で縛り、コンクリートで 固め、ミネルバ礁(Minerva Reefs)を高潮時にも海面上に露出させ、12海里の領海を設定し たが、その際、これに対して異議を唱える国はなかった。1989年、同国は200海里のEEZを設 定した。ミネルバ礁は、トンガ本島から南西約315海里にある低潮高地であり、テレキ・トン ガ(Teleki Tonga)礁(南礁)とテレキ・トケラウ(Teleki Tokelau)礁(北礁)と呼ばれる2 つの18海里から離れる岩礁からなり、トンガ漁民の漁獲水域である。
トルを超えるものであってはならない(4項及び5項)。また、沿岸国は、
人工島に対して、通関上、財政上、保健上、安全上及び出入国管理上の法令 に関する管轄権を含む排他的管轄権を有する(2項)。
それでは、
LTE
又は岩礁は、人工的追加によって何らかの変更があったら、本来の
LTE
又は岩礁としての法的地位を失うのか。バウェット教授、スー ンズ(Alfred H.Soons)教授はともに、沿岸国は、岩に居住し、そこで経済
的に実行できるために、その面積を人工的に拡大させてはいけないとし、こ うした岩は、EEZ
及び大陸棚のみならず、領海の権原までを失い、安全水 域しかもてない人工島に転落すると指摘している34)。さらに、シモンズ教授 は、その問題に対して、厳密に言えば、人間の活動は、高潮地形が高潮時に おいて水面上にあることを保護するための活動であり、地形を島として建設 するための活動ではないならば、当該地形の法的地位に影響を及ぼさないと の見解を示し、たとえば、日本政府は、2つの水面上の突起の上に、人工構 築物を設置する意図がなかったから、沖ノ鳥島の地位に影響を及ぼさないと している35)。ただし、今回のSCS
裁判所は、「海洋法条約は、海洋地形に対 して、現在より以前の、自然の状態及び重大な人工改造が行われる前の状態 に基づく法的地位を求めている」と判示している36)。もちろん、改造された 海洋地形は、いうまでもなく、島の法的地位を有することにならないが、そ の本来の法的地位を失うのかどうかは、改造の規模によると思われるが、し かし、海洋地形が人工島にならないように、どの程度まで人為的活動又は人 工的改造が認められるのかは、現時点では、沖ノ鳥島のような護岸工事は、海洋地形の本来の法的地位に影響が及ばないことが分かる。
34) Bowett, supra note 31, at 34; Barbara Kwiatkowska and A. H. A. Soons, “Entitlement to Maritime Area of Rocks which cannot sustain Human Habitation or Economic Life of Their Own,” 21 Netherlands Yearbook of International Law, 1990, at 169.
35) Symmons, supra note 20, at 76.
36) SouthChinaSeaArbitration,supranote 2,at 119,para.280,andat 131-132,para.306.
⑶ 「水に囲まれること(surrounded by water)」
島の第3要件は、「水に囲まれること」である。山本教授は、島が相当に 広大な浅い海域によって本土から分離されている場合には、この中間の海域 が低潮時に干出するかどうかについて、「水に囲まれること」の要件を検討 しなければならないと論じる。例えば、砂州など半島状の突出した地形であ って低潮時には干出するものによって、沖合地形が本土とつながっている場 合には、「水に囲まれること」の要件を具えないものとして島と認めない。
また、常に、水に囲まれた沖合地形であっても、そこから土手道(
casuse
-way
) を建設して本土と連絡させた場合にも、一種の人工的な添付(accretion
)と みなして、島としての地位を認めないとする37)。⑷ 「高潮時においても水面上にあること(above water at high tide)」
島の第4要件は「高潮時においても水面上にあること」である。高潮時に おいて水面上にあるかどうかは、島と
LTE
を区別する重要な基準である。しかし、海洋法関連の条約においては、どの潮高基準(
tidal datum
/HW
datum
)を採用するかについての規定がなく、潮高基準は、一般に、各国の国内法令によって制定されており、一定の基準が存在していないため、紛争 が生ずる原因ともなっている。なお、島が「恒久的に」高潮時の水面上にな くてはならないかどうかについても見解は異なる。領海条約以前の条約草案 は、島が「恒久的に高潮線上にある」、あるいは、島が「通常の場合、恒久 的に高潮線上にある」と規定していたが、しかし、領海条約、海洋法条約で は、「通常の場合」、「恒久的に」という2つの用語がともに削除されている。
そこで、海洋地形は、依然として「恒久的に高潮線上になくてはならないの か」、あるいは通常は高潮時の水面にあって異常な潮位の時は水没してしま う場合、島として認められるのか、といった問題が生じる。それについて、
シモンズ教授は、「
is above water at high tide
」という文言は高潮時におい て恒久的な可視性を意味するという見解を示す38)。しかし、1996年の米国対37) 山本草二『前掲書』(注9) 86頁。
アラスカ州(
United States v
.Alaska
)事件において、特別補助裁判官(Special Master)のマン(J. Keith Mann)教授は、島は、恒久的に平均高潮線(mean high water
:MHW
)上になくて、一般に(generally
)、通常(normally
)又 は普段(usually)、MHW
上にあれば十分であると述べた39)。Antunes教授は、2つの用語が削除されたというのは、締約国が潮高基準に対して柔軟性のあ る方法を求める意図であり、諸国実行を反映したものであると指摘する40)。 それであれば、小潮(
neap tide
)のときに一般に水面上にあるが、最高の大潮(
spring tide
)のときだけ水没する場合にも、島として認められるかという疑問が生じる。
SCS
裁判所は、Antunes
教授と同じ見解を持ちながらも、平均海水面(
Mean Sea Level
:MSL
)を潮高基準として認めないが、「平均 最高潮位」(mean high
-water spring
:MHWS
)及び「平均高高潮位」(Mean Higher High Water
:MHHW
)が適切な潮高基準と認めた41)。確かに、1977年 の英仏大陸棚事件(Anglo
-French Western Approaches Case
)において、英 国 は、1964年 領 海 枢 密 院 令(United Kingdom Territorial Waters Order in Council of
1964) と 諸 国 実 行 に 依 拠 し、 エ デ ィ ス ト ン 岩 群(Eddystone
Rocks
)が平均最高潮時に干出しているため、島の要件を満たしていると主張した42)。ブラウン教授は、
MHWS
が一般に採用されているとする43)。確か38) Symmons, supra note 20, at 79-80.
39) しかし、ディンカムサンズ(Dinkum Sands)は水没することが多いため、最高裁は、当該 地形を島として認めなかった。Report of the special master, United States v. Alaska, at 302, 310 S.CT. 1888(U.S. No. 84 Original).
40) Nuno SM Antunes, ‘The Importance of Tidal Datum in the Definition of Maritime Limits and Boundaries’, IBRU Maritime Briefing, V. 2 N.7 (2000), at 12.
41) South China Sea Arbitration, supra note 2, at 134, para.313.
42) エディストン岩群は、プリマス港(port of Plymouth) の沖合に位置し、そのうち、1つの 岩には、エディストン灯台(Eddystone Lighthouse)が設けられており、英国のレーム岬(Rame Head)から8海里離れている。フランスは、エディストン岩が最高潮時の潮高(high water equinoctial springs)に完全に水中に没するため、島としてみなせないと反論した。しかし、
仲裁裁判所は、エディストン岩は島かLTEかについて判断を下さず、フランスがかつてエデ ィストン岩を12海里の漁業水域の基点として認めたことがあるため、同岩は大陸棚の境界画定 の 基 点 と し て も 用 い る こ と が で き る と し た。Case concerning the delimitation of the Continental Shelf between the United Kingdom of Great Britain and the Northern Ireland, and theFrenchRepublic (UK,France),Report of International Arbitral Award (1977),at 9,
に、英国をはじめ、ニュージーランド、アイルランド、ミクロネシア、クッ ク諸島、フィージーなどの国は
MHWS
を採用している44)。とはいえ、ICJ
は、国際水路機関(
International Hydrographic Office
:IHO
)が採用する天体観 測による最高潮位(high astronomical tide:HAT)を適用したことがあ る45)。ニカラグア対コロンビア事件判決において、ニカラグアは、浅い海域 の場合、スミス報告書(Smith Report
)のグルノーブル潮汐モデル(Grenoble
Tide Model
)を採用すると不正確な結果を招くと反論し、海事部総合潮汐モデル(
Admiralty Total Tide Model
:ATT
)に基づけば、QS
32だけが水面上 にあるため、ATT
を採用すべきであることを主張した。実際、両当事国の 基準がともにHAT
に基づくものであるため、QS
32がどのモデルの下におい ても水面上にあることから、裁判所は最終的にQS
32が島であると判断し た46)。裁判所がHAT
の基準を間接的に受け入れることは、海洋地形が恒久 的に水面上にあるものであることを示唆している。他方、
LTE
は、「高潮時においても水面上にある」という要件を満たさな いため、たとえ、その上に恒久的に水面上にある施設(installation
)を設け たとしても、依然として、島とはみなされない47)。さらに、海洋法条約にお いては、領海の幅を超える距離にあるLTE
がそれ自体の領海を有しないと 定められているため、LTE
は占有(appropriation
)できるかどうかという問 題が生じる48)。海洋法条約第137条を見れば、主権、主権的権利及び占有は、para. 14 and at 66, para. 122 and at 74, paras. 140, 143-144.
43) E. D. Brown, the International Law of the Sea Volume I Introductory Manual (Dartmouth, 1994), at 33.
44) Antunes, supra note 40, at 13.
45) 天体観測による最高潮位は、潮高基準の中で最も高い基準であり、航行安全の観点から設け られるものである。
46) スミス報告では、キタスエニョ礁(Quitasueño Cay)の複数地形をQS 1からQS54までと表 示する。グルノーブル潮汐モデルは、深さ200海里を越える潮汐に使用されるが、コロンビアは、
グルノーブル潮汐モデルの使用は不正確な結果をもたらすことはないと主張する。海事総合潮 汐モデルは英国水路部が使用しており、同様にHATに基づく測量モデルである。Nicaragua v.
Colombia, supra note 29, at 22-23, paras. 29-31, and at 25, para. 37.
47) RÉGIME OF ISLANDS, supra note 16, at 4.
48) 2001年のカタールとバーレーンの海洋境界画定及び領土問題事件判決(以下、カタールとバ
ーレーン事件判決)において、カタールは、Fasht ad Dibalは、本質的に、LTEであるため、
占有できないとするが、バーレーンは、LTEはそのものが領土であり、領土取得の基準によ って、占有できるものであるとし、Fasht ad Dibalが両国の重複する領海にあっても、バーレ ーンがFasht ad Dibalを基点とする優先権をもつと反論する。Maritime Delimitation and Territorial Questions between Qatar and Bahrain (Qatar v. Bahrain), Merits, ICJ Reports
(2001), at 64-65, paras. 200-203. [hereinafter referred to as Qatar v. Bahrain] ;SCS判決にお いて、フィリピンは、LTEは占有することができないもの(not capable of appropriation or occupation)と主張する。South China Sea Arbitration, supra note 2, at 132, para. 307.
49) 第137条は、「いずれの国も深海底又はその資源のいかなる部分についても主権又は主権的権 利を主張し又は行使してはならず、また、いずれの国又は自然人若しくは法人も深海底又はそ の資源のいかなる部分も専有(appropriate)してはならない。このような主権若しくは主権的 権利の主張若しくは行使又は専有(appropriation)は、認められない」とし、第2条は、「『深 海底』とは、国の管轄権の及ぶ区域の境界の外の海底及びその下をいう」と規定している。
50) Symmons, supra note 20, at 57
51) Hiran W. Jayewardene, The Regime of Islands in International Law (Martinus Nijhoff, 1990), at 7.
異なる法的概念である。どの国も「深海底」に対して、いずれの法的概念の 主張をしてはならないことが分かる49)。しかし、
LTE
は、深海底又は大陸棚 の海底及びその下の一部であるのか。シモンズ教授は、
LTE
は(大陸の領海内はもちろん)、島の領海内にある 場 合、「 寄 生 に よ っ て 領 海 の 権 原 を 有 す る 」(parasitically generate a territorial sea
)準島状地形(quasi
-insular features
)であるとし、LTE
は島 に類似するが、しかし、たとえ、通常水面上にあり、高潮時には、時に水面 上に出る場合にも、LTE
のカテゴリーとみなすべきとし、また、海底地形(
seabed features
)とは、いかなる潮位においても決して(又は滅多に)水面 上 に 出 な い も の と し て いる50)。 同 様 に、 ジ ャ ヤ ワ ル ダ ナ(
Hiran W
.Jayewardene
)教授は、恒久的に水面上にある又は低潮時に水面上にある海床高地(
elevations of seabed
)は、自然の島状地形(insular features
)とし、浅瀬、砂州その他の水面下の地形は島状地形に属しないとしている51)。した がって、LTEが領海をもちえない理由としては、LTEは高潮時に水没し、
安定な基点として用いることができないことであり、そのため、島のような 法的地位をもてないと考えられる。2001年のカタールとバーレーンの海洋境 界画定及び領土問題事件判決(以下、カタールとバーレーン事件判決)にお
いて、
ICJ
は、LTE
が「領土」としてみなされるかどうかについては、国際 法は沈黙しており、LTEの占有を明白に許容するか又は排外するかという 慣 行 を 生 じ さ せ る 統 一 的 か つ 普 遍 的 な 国 家 実 行 も な い が、 領 土 取 得(territorial
acquisition)の観点からみると、LTE
は島や他の領土と完全に同 一 視 化 さ れ る こ と が で き な い と 述 べ、 … 沿 岸 国 が 当 該LTE
を 所 有 物(property)として扱い、そこで何らかの国家行為を行使するかどうかは無 関係であり、当該
LTE
は領海をもたないものであると判示している52)。ICJ
は、LTE
が海底及びその下の一部であるか、また、LTE
が占有できると認める ことを明示しなかったが、国がLTE
を所有物として扱い、そこで何らかの 国家行為を行使することを認めたことが分かる。しかし、ニカラグア対コロ ンビア事件判決においては、ICJ
は、LTE
は占有できないもの(low
-tide elevations cannot be appropriated
)と明示した53)。さらに、SCS
裁判所は、LTE
が沿岸国の陸地領土(land territory
)を構成するものではないとし、LTE
は沿岸国の水面下の陸塊(submerged landmass
)の一部であり、領海 又は大陸棚に属するものであると判示した54)。すなわち、SCS
裁判所は、LTE
が海底及びその下の一部であるとの見解を示したということである。しかし、
LTE
を人工島として扱うのであれば、公海の自由という原則に よって、国は、LTE
に対して、領海を主張できないが、しかし、人工島関 連規定に従えば、LTE
を使用し、若干の排他的管轄権を行使することがで きると考えられる55)。確かに、海洋法条約において、LTE
が独自の領海をも つことは否定されているが、国がLTE
を占有も使用もできないといった明 白な規定はない。実際、LTE
の占有に同意する国家実行が存在している が56)、しかし、LTE
が海底及びその下の一部であると考える国はない。52) Qatar v. Bahrain, supra note 48, at 65-66, paras. 205-207.
53) Nicaragua v. Colombia, supra note 29, at 21, para. 26.
54) South China Sea Arbitration, supra note 2, at 132, para.309.
55) 国は、海洋法条約第60条および第87条に基づいて、公海において人工島その他の施設を建設 する自由を有し、人工島に対して若干の排他的管轄権を有する。
56) トンガがミネルバ礁を占有するほか、3つの例が挙げられる。フランスは、高潮時に水没す るバサス・ダ・インディア環礁(BassasdaIndiaAtoll)の周辺にEEZを設定している。マダ
ガスカルは、1972年から同礁の領有権を主張している。https://en.wikipedia.org/wiki/Bassas_
da_India (最終検索日:2019年5月24日)カタールとバーレーン事件判決において、英国は、
1947年の書簡で、バーレーンがFasht ad Dibal浅瀬とQit’at Jaradah浅瀬の主権的権利を有す ることを認めたが、これらの浅瀬は島とみなされないため、領海をもてないと説明した(ただ し、ICJは、最終的に、Qit’at Jaradahを島として認めた)。Qatar v. Bahrain, supra note 48, at 62, para. 191.また、カラカス会期において提出されたアフリカ14カ国提案第2項では、国は、
占有・支配するLTEに対して管轄水域を主張できないが、安全水域を設定できることを規定 する。Also see Third United Nations Conference on the Law of the Sea Official Records, Volume III, (William S. Hein & Co., Inc. Buffalo, New York, 1980), at 233 [hereinafter referred to as UNCLOS III OR]
57) 面積によって海洋地形を区別する初めての試みは、1973年の海底平和利用委員会の期間中、
マルタが提案した海洋空間条約草案第1条である。同条では、島(island)が高潮時において も水面上にあって、面積が1キロメートル超える自然に形成された陸地であり、小島(islet)
は、高潮時においても水面上にあって、面積が1キロメートルに満たさない自然に形成された 陸地であるものと規定された。Myron H. Nordquist ed., United Nations Convention on The Law of The Sea 1982: A Commentary III (The Hague/ London/ Boston: Martinus Nijhoff Publishers, 1995), at 328.
3 島の制度の形成
⑴ 島の地位に対する一括派と分類派の対立
しかし、領海条約が領海の幅に関する問題を解決できず、さらに海洋科学 の技術的進歩とともにもたらされてきた海洋汚染のほか、大陸棚条約の「水 深が二〇〇メートルを超える場合には上部水域の水深が前記の海底区域の天 然資源の開発を可能にする限度までのもの」という規定によって先進沿岸国 が大陸棚の範囲を無限に拡大してゆくおそれ、さらには漁業水域の主張の普 遍化などが原因となり、諸国は、上記の様々な海洋問題を解決するために第 3次国連海洋法会議を開催した。1973年の海底平和利用委員会(
United
Nations Sea
-Bed Committee
)の時から、島の法的地位に対する各国の見解 は「一括派」と「分類派」に分かれている。前者は、ギリシャ、中国やウル グアイといったすべての島に同一の地位を与えようとする国々であり、後者 は、人間の居住又は経済的生活がない島々に200海里の主権的権利を付与す ると、深海底及びその資源が減少し、公海における漁業の自由にも影響を与 えるという立場に立つ国々である。分類派は、さらに、何らかの基準57)によって、又は衡平の原則(
equitable principle
)によって、島の地位を区別 するという二通りの主張に分かれており、前者はマルタやルーマニアであり、後者はアフリカ諸国58)である。
1973年の海底平和利用委員会の春会期において、ギリシャやキプロスはと もに島にも大陸と同じ比重をもたせようと主張し、ギリシャは、さらに、同 年の夏会期において「島の制度」という提案を提出し、大陸棚あるいは国家 管轄水域の決定について、島にも大陸と同じルールの適用を提案した(
A
/AC
. 138/SC
.II
/L
. 29)。これに対して、トルコは、チュニジアとともに、管 轄権の境界としての中間線は島から測れないという反対案を提出した(A
/AC
. 138/SC
.II
/L
. 31;L
.32)。ルーマニアは、大陸上にある無人かつ経済的生 活の行われていない小さな島は大陸棚あるいはその種の海域をもたない、そ のような島のもつ水域の幅は、その海域にすべての関連ある事情や、地理的・地質学的その他の関連要素を考慮に入れて合理性によって決定されるべきで ある、さらにそれは国あるいは隣接国に属する海域に影響するものではない、
と主張した(
A
/AC
. 138/SC
.II
/L
. 53)。アフリカ14カ国は、島の海域は、島 の大きさ、住民がいるかいないか、主たる領土との連続性、他国の大陸棚に あるか否か、その地質学的・地形学的構造や形態などをふくむすべての関連 ある要素を考慮に入れ、及び衡平の基準(equitable criteria
)に従って決定 されるものであると提案した(A
/AC
. 138/SC
.II
/L
. 40)59)。1974年、第3次国連海洋法会議の第2会期(すなわち、著名なカラカス会
期
Caracas session
)においても、海底平和利用委員会での対立がそのまま引き継がれている。ギリシャは、同様な主張を続けている(
A
/CONF
. 62/C
. 2/L
. 50)。南太平洋4カ国(フィジー、ニュージーランド、トンガ及び西サ モア)の提案は、島嶼国を含めるすべての島は、陸地領土に適用される規定 に従って、領海、EEZ
及び大陸棚を決定すると主張し(A
/CONF
. 62/C
. 2/L
.58) 栗林忠男・加々美康彦「海洋法における『島の制度』再考」栗林忠男・杉原高嶺『日本にお ける海洋法の主要課題』(有信堂、高文社、2010年)232-233頁。
59) 小田『前掲書』(注21) 318-319頁。
60) Jonathan I. Charney, “Rocks that Cannot Sustain Human Habitation,” AJIL, V. 93 N. 4, 1999
(oct), at 867; 2 UNCLOS III OR, supra note 56, at 283, para. 49 (Fiji)
61) 小田『前掲書』(注21)319-320頁。栗林・加々美「前掲論文」(注58) 234頁。
62) 小田『前掲書』(注21)319-320頁。栗林・加々美「前掲論文」(注58) 235頁。
63) RÉGIME OF ISLANDS, supra note 16, at 30 and 40. ルーマニアは、「小島」および「小島に 類似の島」という分類を、その後の非公式会合において、それぞれ「岩」および「小島」とい う表現に変更していった。Kwiatkowska and Soons, supra note 34, at 157-158;栗林・加々美「前
30)、これに対して、ウルグアイも同じ立場である(
A
/CONF
. 62/C
. 2/L
. 75)。 そ の 中 で、 フ ィ ジ ー は、 領 有 し て い る ロ ツ マ 諸 島(RotumaArchipelago
)と同様に、トンガ、クック諸島及び西サモア諸島が非常に海洋資源に依存する国であるため、島は大陸と同一に扱われるものと主張し た60)。そのほか、キプロス、ジャマイカはともに分類派に反対し、日本も大 陸棚の境界画定との関連において、大陸と島を区別するものではないと提案 した(
A
/CONF
. 62/C
. 2/L
. 31/Rev
. 1)。一方、一括派に反対するデンマークは、国家の主権平等の立場から同意を示しつつも、大洋中の海洋地形に広汎な権 利が認められ、従来は公海にあった海域の生物資源に対する他の国のアクセ スが狭められ、それとともに国際海底機構に属する区域が減少することに懸 念を表明した61)。また、分類派を支持するトルコは、外国に支配されている 島は
EEZ
を有しないこと、他国のEEZ
内又は大陸棚上にある島は、それが 属する国の全陸地面積と人口の10分の1以上がなければそれ自身のEEZ
又 は大陸棚を有しないこと、領海外にあり経済生活を伴わない島又は岩及びLTE
はそれ自身の海域を有しないことを主張した(A
/CONF
. 62/C
. 2/L
. 55)62)。マルタは、大きさによって、海洋地形を「島」と1平方キロメート ルまでの「小島(islet
)」と区別し、その中で、10平方キロメートルまでの「島」が有する海域「帯」は12海里のみであると提案した(
A
/AC
. 138/SC
.II
/L
.28)。また、ルーマニアも、領海外にあるLTE
、「小島(islet
)」及び「小 島に類似の島(island similar to an islet
)」は海洋境界画定の際に考慮に入れ ないとし、大きさによって、海洋地形を1平方キロメートルまでの「小島」と1平方キロメートルから
X
平方キロメートルまでの「小島に類似の島」を区別すると提案した(
A
/CONF
. 62/C
. 2/L
. 53)63)。小島について、さらなる説明がないという点から考えれば、その人間の居住・経済的生活について 考える必要さえないと言える。しかし、小島に類似の島については、「無人 かつ経済的生活のない」(
uninhabited and without economic life
)という説 明がなされるが、その後の提案では、「(永久的に)居住しない又は居住でき ない、あるいは独自の経済的生活を持たない又は持てない」(which is not or cannot be inhabited (permanently) or which does
not orcannot
have itsown economic life
)との説明になっている64)。アフリカ14カ国は、沿岸から 離れる島の海洋空間は衡平の原則で定められるべきとし、大きさ、地理的形 状及び地質学・地形学的構造、居住者の需要と利益、永住を拒むような生活 条件、他国の海洋空間内あるいはその近くにあるか、沿岸より離れているた めに境界画定の衡平に影響を与えるか、といった要素を挙げ、小さな島、岩、低潮高地については、その海域を主張することは出来ず、合理的な範囲の安 全水域を設定しうるのみであるとした(
A
/CONF
. 62/C
. 2/L
. 62/Rev
. 1)65)。 分類派に反対するフランスは、国家の主権平等の原則にもとづいて、とくに この条約中に島の分類を含む必要はないとした上で、境界画定の問題は関係 国間の合意によるべきとし、英国は、島の分類を試みるアプローチはあらゆ る場合に衡平に適用されるわけではないとした66)。フランスとイギリスの反 対という点を見れば、両国が主に境界画定について考えてはいるが、人類の 共同財産である深海底については、意識していなかったことが分かる。⑵ 島の制度
第3会期に入り、各国は第2委員会作成のワーキングペーパー「主要傾向
(
Working Paper of the Second Committee
:Main Trends
)」に基づいて、島の 問題をさらに検討し、1975年第三会期末に、「非公式単一交渉草案(A
/掲論文」(注58)234-235頁参照。
64) スーンズ教授は、ルーマニアがいう小島に類似の島を居住不可能なものとし、無人島の意味 を読み取っていないようである。Kwiatkowska and Soons, supra note 34, at 157参照。
65) 小田『前掲書』(注21) 320頁。
66) 同上、319-320頁。栗林・加々美「前掲論文」(注58) 235頁。
CONF
. 62/WP
. 8:Informal Single Negotiating Text
:ISNT
)」が作成され、そ の「島の制度」と題された第132条の規定は、すでに現行の海洋法条約第121 条と同一内容のものであった。1976年の第4会期の時も、対立は依然として 続き、一括派を支持する英国、フランス及び日本などの諸国は、現行の第 121条3項の削除を求める一方、分類派を支持する諸国は、岩は領海すらも たないものとし、その代わりに安全水域(safety zone)を有すると提案し た67)。1976年の「改訂草案」(A
/CONF
. 62/WP
. 8/Rev
. 1)、1977年の第6会 期 の「 非 公 式 統 合 交 渉 草 案 」(A
/CONF
. 62/WP
. 10:Informal Composite Negotiating Text
;ICNT
)、1979年の第1改訂版(A
/CONF
. 62/WP
. 10/Rev
. 1:Informal Composite Negotiating Text
/Revision
1)、1980年春会期の第2改訂 版(A
/CONF
. 62/WP
. 10/Rev
. 2)及び夏会期の「海洋法条約非公式草案」(A
/CONF
. 62/WP
. 10/Rev
. 3)、さらに1981年の「海洋法条約草案」(A
/CONF
. 62/L
. 78)までに、「島の制度」に関する部分は何らかの修正が加えられる ことはなかった68)。最後に、1982年の春会期において国連海洋法条約が採択 され、その中で、「島の制度」はわずかに1箇条で構成されている。第121条 1項が領海条約第10条1項に定める「島とは、自然に形成された陸地であり、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」という島の定義 を引き継いでいる。そして「3に定める場合を除くほか、島の領海、接続水 域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に 従って決定される」と規定する第121条2項は、実際、1974年のギリシャ提 案の第9条に由来するものである。小田教授は、第2項の規定はギリシャな どの島嶼国側の意見を反映したものと指摘している。つまり、島は、明瞭に
「他の[大陸]領土」と同様に、領海のみならず、接続水域、
EEZ
、大陸棚 も認められているのである。さらに、第121条3項は、ルーマニア提案に由67) 栗林・加々美「前掲論文」(注58) 236-237頁。
68) 英国は、1982年第11会期においても、第121条3項の削除を主張し、ルーマニアは、無人島
(uninhabited Islets)問題について第4項の導入を主張したが、2つの提案とも受け入れられ なかった。KwiatkowskaandSoons,supranote 34,at 141.
来するものである69)。海底平和利用委員会の時から、ペルーとシンガポール のほか70)、1973年のルーマニア案、アフリカ14カ国案はともに、無人島が大 陸棚あるいはその種の海域をもたないとしている。1974年のカラカス会期に おいて、トルコも人口の多さが大陸棚の権利を有するかどうか決めるとして いる。さらに、アイルランドは、ロッコール礁の問題に対して、無人島及び 孤島(
uninhabited and isolated islands
)が海洋権利を有することに関する 提案を支持しないと表明している71)。しかし、1974年になったら、ルーマニ アは、はじめて「does not or cannot
」という問題を同時に取り上げ、さらに、第11会期において、「無人の小島」(
uninhabited islets
)に関する第4項を同 条の追加条文として提案した(A
/CONF
. 62/L
. 118)。それでも、第4項は最 終的に採択されなかった72)。なぜならば、おそらく、第4項が採択されたと したら、無人島には、第3項の代わりに、第4項が適用されるということに なるため、無人島が広大な海洋権原を有する可能性は完全に否定されてしま うと考える一括派諸国にとっては、絶対に受け入れられない条項からであろ う。このことから、第3項の趣旨は、決して、無人島がEEZ
又は大陸棚を 有しないとする規定ではないと考えられる。第二章 国連海洋法条約第121条の適用問題
1 適用範囲
⑴ 島の位置の無関係性
海洋法条約第121条は、すべての島に適用されるのか。まず、ジャヤワル ダナ教授は、島と本土との距離によって、島を以下のように分類する。①沖
69) 小田『前掲書』(注21)321-322頁。
70) 注222、注223参照。
71) アイルランド外相Dr. Fitzgeraldが国会において答弁した内容である。Symmons, supra note 26, at 47.
72) RÉGIME OF ISLANDS, supranote 16,at 104.
73) Jayewardene, supra note 51, at 368-369.
74) Charney, supra note 60, at 866.
75) 林教授は、3項が適用されない2つの場合があると指摘する。①「群島国」として認められ る国の場合には、群島のもっとも外側にある島や低潮時に水面上にある礁を結ぶ直線基点(群 島基線)を引き、同様に領海、EEZ等を設定することができる。②EEZ内で沿岸から比較的 遠方にある島の扱いは、他の沿岸国のEEZとの境界画定に際して、通常は関係国間の合意に より決められている。詳細については、林司宣『現代海洋法の生成と課題』(信山社、2008年)
188-189頁参照。
76) ただし、国際判例には2つの特殊な例がある。1985年のリビア・マルタ大陸棚事件において は、ICJは、直線基点の1つの基点とするフィルフラ礁(Filfla Rock)がマルタ本島からわず か5キロ(約2海里)離れるところにあっても、同礁に大陸棚の基点としての効果を付与しな かった。本件は、海洋法条約を適用するが、しかし、ICJは、マルタがフィルフラ礁を直線基 点とする正当性については意見を示しておらず、1969年の北海大陸棚事件判決においての「小 島、岩その他の小さな沿岸突起の存在を無視し、不均衡な効果を除去することが必要だとする」
という判断を引用し、同礁を大陸棚の基点とみなさないと判示した。Continental Self (Libyan Arab Jamahiriya v. Malta), Judgement, ICJ Reports (1985), at 11, para.15 and at 39, para. 64
[hereinafter referred as to Libyan v. Malta] また、1991年のエリトリア・イエメン仲裁判決に おいては、エリトリア領有のおよそ200の島々からなるダフラク諸島(Dahlak islands)に対し て、仲裁裁判所は、当事国のイエメンとともに、当該諸島が単一体をなすものとし、直線基線 の採用を認めた。ただし、裁判所は、いくつかの基点を大陸棚の基点として認めなかった。
Eritrea-Yemen Arbitration (Second Stage: Maritime Delimitation), Report of International Arbitral Award, at 38, para. 118 and at 43-44, paras. 139-146. [hereinafter referred to as Eritrea-Yemen Arbitration]
合島嶼(