九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
サービス実利用におけるスマートフォンの省電力化 に関する研究
神山, 剛
https://doi.org/10.15017/1931931
出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
(別紙様式2)
氏 名 : 神山 剛
論 文 名 : サービス実利用におけるスマートフォンの省電力化に関する研究 区 分 : 甲
論 文 内 容 の 要 旨
近年,スマートフォンはモバイル無線通信技術と共にハード・ソフト両面で進化・普及し,モバ イルコンピューティングの中核的な役割を担うようになった.また,個人でもアプリケーション(以 下,アプリ)を開発する環境が整備され,従来よりも多種多様な用途のアプリが利用可能になった ことで,ユーザは生活の様々なシーンにおいて,各自の目的や趣味嗜好にあったサービスを幅広く 選択できるようになった.
このようなスマートフォンおよびサービスの進化の一方で,端末の電池持ち時間の改善が強く要 望されるようになり,ユーザにとって電池持ち時間は端末機種やサービスを選択する上で重要な判 断材料の一つになっている.
しかし,実際の電池持ち時間は,端末のスペックだけでなく,ユーザが使用するアプリ,さらに はその使い方にも依存する.このため,真に効果のある改善を行うためには,実際のユーザの利用 実態をも考慮し,問題の分析と改善を検討する必要があるが,端末やアプリなども含めた従来のサ ービス開発には以下の問題がある.
1) 実測する以外に端末消費電力を定量的に分析する手段がない 2) 開発時に想定できるユーザ利用シナリオは限定的である
そこで本研究では,実際のサービス利用における端末省電力化を実現するため,ハードウェアか らユーザレベルまで統合的に分析可能な手法を実現することを目的とし,以下の課題解決を目指す.
1)端末消費電力の推定技術とアプリ開発者にも利用可能な端末消費電力の評価ツールの提供 2) ユーザ実利用シナリオを考慮した評価に利用可能な根拠データの提供
本研究の成果は以下の通りである.
1. スマートフォンを構成する各ハードウェアコンポーネントの特性と消費電力の関係から生成 した端末の消費電力モデルを用いることで,アプリ消費電力の推定する手法を提案した.また,近 年の端末の消費電力を妥当な精度で推定できること,推定に必要なログ収集の負荷が低いことを要 件とした評価手法を実現するため,マルチコア CPU やモバイル無線インタフェースとその特徴を 考慮したモデル拡張を行った.さらに,本手法に基づいてアプリ消費電力分析ツールを実装し,一 般的なアプリ利用のシナリオを対象に10% 前後の誤差で電力推定できること,3.8% 程度の低いオ ーバヘッドでログ収集が実現できることを確認し,実際のソフトウェア開発において実用的なツー ルであることを示した.
2. 実際のスマートフォンユーザ約 700 名に対するアンケート調査と約 400名の端末ログ収集調 査によるデータを用い,アプリケーション使用など実際のスマートフォン利用パターンを導出し,
パターン毎にその特徴を示すことで,様々なサービス企画・研究開発に有益なスマートフォン利用 モデルを提案した.本モデルは,1 日単位のスマートフォン利用を,ユーザ属性やアプリケーショ ン使用傾向などの特徴を定量的に示すものであり,例えば何らかの実機を用いた効果検証において 端末にインストールすべきアプリなど,実験環境のセットアップに活用出来るデータである.クラ スタリングによる利用パターン分析の結果,全体的に6 つの利用パターンの存在が確認された.ま た,同一ユーザでも日によって異なる利用パターンが存在するという仮説を検証したところ,例外 的なパターンを除くと,90% のユーザの利用パターンは高々2 つ程度であることが確認された.