九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
日本の家庭用エアコンをケーススタディとした耐久 消費財のCO2排出削減ポテンシャルの推計
西嶋, 大輔
https://doi.org/10.15017/1931687
出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(経済学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
(様式6-2)
氏 名 西嶋 大輔
論 文 名 CO2 Reduction Potential of Consumer Durables: A Case Study of Air Conditioners in Japan
(日本の家庭用エアコンをケーススタディとした耐久消費財の CO2
排出削減ポテンシャルの推計)
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 加河 茂美 副 査 九州大学 准教授 堀井 伸浩 副 査 九州大学 教授 藤田 敏之
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
本研究では、まず、家庭用エアコンの製品寿命とエネルギー効率(電力使用量)のトレンドの両 方についてそれぞれワイブル分布モデル、逆ロジスティクス曲線モデルを構築し、両モデルを組み 合わせることにより家庭用エアコンの平均寿命(μ)の変化量及びエネルギー効率臨界値(すなわ ち、電力消費性能の限界値)の変化率(ε)が家庭用エアコンに付随するライフサイクル CO2排出 量に与える影響について分析を行った。過去に購入された家庭用エアコンの平均寿命が±1 年変化 した場合におけるCO2排出量を見ると、2013 年におけるライフサイクルCO2排出量は、ベースラ インμ=12.6年で1003 万トン-CO2、1年短縮したμ=11.6年で1017万トン-CO2、1年延長したμ
=13.6 年で992万トン-CO2となっており、特に平均寿命を 1年延長することによって、2013年の
CO2 排出量を 1.2%削減できることが分かった。また、家庭用エアコンのエネルギー効率臨界値を
5%削減達成できた場合の2013年のCO2排出量の削減量は、平均寿命を1年延長させることで達成
される削減量を上回っており、製品寿命延長政策よりもエアコンの省エネ技術の改善を促進させる ほうがCO2排出量削減において効果的である。
次に、家庭用エアコンの製品寿命モデルとエネルギー効率トレンドモデルを環境産業連関モデル に適用し、製品寿命変化とエネルギー効率変化を加味したより包括的な構造分解分析を行った。分 析の結果、2005 年における家庭用エアコンに付随するライフサイクル CO2排出量を 1990 年レベ ルに抑制することを考える場合、製品寿命が1年延長された場合においてもエネルギー効率臨界値 を現状よりもさらに17.8%改善しなければならないことが分かった。保有製品の長期使用による寿 命延長と省エネ性能のより一層の改善の両面が地球温暖化緩和にとって決定的に重要であることを 示している。耐久財消費・利用が環境に与える影響効果を包括的に事後分析・シナリオ分析してい る点は高く評価できる。
以上のことから、本論文調査会は、西嶋大輔氏より提出された論文「CO2 Reduction Potential of Consumer Durables: A Case Study of Air Conditioners in Japan」を博士(経済学)の学位を授与 するに値するものと認める。