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買受けの申出をした差押債権者のための保全処分( 第六八条の二)

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買受けの申出をした差押債権者のための保全処分(

第六八条の二)

その他のタイトル Die Sicherungsverfugung nach dem japanischen Zivilexekutionsgesetz§68‑2

著者 栗田 隆

雑誌名 關西大學法學論集

巻 48

号 5‑6

ページ 1106‑1125

発行年 1999‑03‑10

URL http://hdl.handle.net/10112/00024481

(2)

易に得ることができるとはいえ︑ 買受けの申出をした差押債権者のための

保全処分︵第六八条の二︶

金銭債権の満足のために債務者の不動産が差し押えられた場合に︑その不動産の占有関係をどのように規律するか

については︑次の二つの対立する要請が働く︒凹

おそれがあり︑また︑競売手続が売却により終了するとは限らないので︑債務者は所有者としてその不動産を使用収

益することを認められるべきである︒他方で︑⑱

債務者に不動産の使用収益を禁ずることは︑彼を一層困窮させる

競売不動産を買い受ける者の立場からすれば︑買受け後に債務者

または占有者を相手に立退きの交渉をすることは面倒なことである︒明渡執行のための債務名義を引渡命令により簡

一般市民にとっては︑執行申立て自体が気の重いことである︒したがって︑売却を

円滑に行なうためには︑差し押えられた不動産については債務者の使用・収益を禁止し︑執行機関が占有・管理する

(

10

六 ︶

(3)

不動産の属性等による売却困難︒売却 これら相対立する要請をどのように解決するかついては︑さまざまな選択肢がある︒民事執行法は︑債務者の所有

権を尊重して︑通常の用法による使用収益を認めた︵民執四六条二項︶︒不動産の価格を著しく減少する行為をしな

い限り︵民執五五条︶︑債務者・占有者は不動産を引続き占有・使用することができる︒

しかし︑バプル経済が一九九

0

年末から崩壊した後の経済情勢の変化は︑バランスを不動産の円滑で迅速な売却に

移すことを要求した︒特に住宅金融専門会社の破綻処理との関係で︑平成八年に売却のための保全処分︵五五条︶や

引渡命令︵八三条︶の改正がなされた︒しかし︑バプル経済崩壊後の不況対策のための日本の超低金利が一因となっ

ていた東南アジアのバプル経済が一九九七年に崩壊したことにより日本国内の不況が一層厳しくなった︒不良債権や

債務を隠ぺいしていた山一証券や三洋証券あるいは北海道拓殖銀行などの破綻が打ち続いた︒不動産競売事件が多数

一般新聞紙上に多数の競売公告が掲載されるようになった︒債権回収の重要な手段である民事執行手続にお

ける不動産の執行売却の円滑化は︑経済の再生を求める時代の要請となり︑平成一

0

年に改正法がなされた︒

売却が円滑に進まない理由にはいろいろあるが︑平成一

0

年の法改正では︑次の二つが特に問題にされた︒回

務者・占有者の行為による売却困難︒暴力団員風の人間が不動産を占有していて︑不動産が売却されても容易には立

ち退かないことを示唆あるいは誇示する行為をする場合が典型例である︒⑱

不動産の特殊な形状・用途等により市場性に欠ける場合がそうである︒りの問題に対処するために︑六八条の二︵買

受けの申出をした差押債権者のための保全処分︶が新設され︑また︑⑱の問題に対処するために︑六八条の一︱‑︵売却

の見込みのない場合の措置)が新設された。後者は、売却不動産の形状・位置•特質等の理由により市場性に欠け、

三回売却を実施しても買受の申出のなかった不動産について︑差押債権者に三月以内に買受希望者を探し出すことを

(

10

七 ︶

(4)

2

不動産の売却を困難にする行為とその行為をするおそれ して︑緩和された要件については︑解釈の余地が多い︒

第四八巻第五・六合併号

( 1)  

求めるものである︒本稿では︑このうちの六八条の二を検討することにしたい︒

五五条との対比

(

10

八 ︶

五五条の保全処分と対比すると︑六八条の二の要件は︑保全処分の相手方となる者︵債務者・占有者︶が﹁不動産

の価格を著しく減少する行為又はそのおそれがある行為﹂をしなくても︑単に︑﹁不動産の売却を困難にする行為を

し︑又はその行為をするおそれがある﹂場合に発せられる点で緩和されている︒この要件緩和を正当化するために︑

次の要件が加重された︒何入札または競り売りの方法による売却を実施させたが買受申出がなかったこと︒⑱

押債権者が︑他に買受申出人がいなければ自分が買い受ける旨を申し出︑その保証を提供したこと︒の占有者の占

要件加重部分の中の⑱のは︑要するに︑次に競売を実施すれば︑その不動産が必ず売却され︑債務者等はその不動

産を明け渡さなければならないことが確実であることを意味する︒加重された要件は︑比較的明瞭である︒これに対

売却を困難にする行為をする場合のみならず︑その行為をするおそれがある場合にも︑保全処分が命じられうる︒

現在進行中の執行売却を円滑に進めるためには︑﹁売却の困難﹂と﹁行為﹂との間に高度な因果関係を要求するのは 有権原が買受人に対抗できないこと︒ 関法

(5)

(2 ) 

適当でなく︑保全の目的に応じた相当程度の因果関係で足りるとすべきである︒したがって︑﹁売却を困難にする可 能性のある行為﹂も六八条の二の中に含めるべきである︒前段の﹁不動産の売却を困難にする行為﹂の中に含めるか︑

後段の﹁その行為をするおそれ﹂の中に含めるかは重要なことではないが︑﹁困難にする行為﹂は︑﹁客観的に困難に する行為および困難にする可能性のある行為﹂を意味すると解してよい︒これを前提にして﹁売却を困難にする行為 またはその行為をするおそれ﹂の意義を次のように理解したい︒これは︑売却を実施しても売却ができない状況にお いて︑凹債務者等の行為が売却できない原因であるかまたは原因である可能性があり︑執行官または差押債権者によ る保管をなせば売却の蓋然性が高まる場合︑または︑⑱債務者等が売却を困難にする行為またはその可能性のある行 為を将来なすおそれがあり︑売却を円滑に進めるためには現在の時点で占有を排除することが適切であると判断され

ともあれ︑﹁売却を困難にする行為﹂の中には︑五五条の保全処分の事由として挙げられている価格減少行為のす べてが含まれる︒代表例は︑不動産が売却されても容易には立ち退かないことを誇示する行為である︒それを示唆す るにすぎない行為︑あるいは︑獅猛そうな大型犬を入口につなぐ等により︑交渉相手とすることを一般人に避けるの が適当と思わせる行為も含まれる︒相手方が占有していること自体が﹁売却を困難にする行為﹂と評価することがで

(3 ) 

きるかは議論は分かれようが︑占有者が暴力団員である場合などには︑それも肯定すべきである︒

債務者が競売不動産を施錠することなく空き家として放置する場合には︑第三者による不法占拠や失火の危険が高 まるので︑五五条一項の保全処分︵施錠命令︶が認められる︒施錠がなされれば価格減少のおそれを防止することが できるので︑同条二項の執行官保管までは通常は必要ない︒債権者が五五条一項の行為命令を申し立てることなく︑

︱ ︱ ︱ ︱ (

10

九 ︶

(6)

3

( ‑

10

) 

六八条の二の保管命令を申立てた場合には︑何五五条一項の行為命令によるべきであるとして︑保管命令の申立てを

棄却する選択肢もあるが︑⑱施錠をせずに放置する行為は競売建物の売却を困難にする結果をもたらす可能性の強い

行為であり︑六八条の二の保管命令を認めてよい︒他方︑債務者が施錠して空き家にしている場合には︑債務者が売

却を困難にする行為をしていると評価することはできない︒むしろ︑空き家にしているという点では︑自ら居住して

いる場合と比較して売却しやすい状態にしているとさえいうことができる︒しかし︑買受希望者に建物内部を閲覧さ

せて売却を促進するためには︑この場合にも債権者保管を認めることが望ましい︒これを可能にするためには︑六八

条の二の保全処分の要件を次のように理解することが必要であり︑また︑そのように解したい︒すなわち︑この保全

処分を認めるか否かは︑売却の促進について債権者が有する利益と競売不動産の使用・収益を継続することについて

の債務者・占有者の利益との比較考慮の上でなされるべきことであり︑法は︑債務者等が実質的な使用・収益をして

いる場合を前提にして︑それを奪うことを正当化するために﹁売却を困難にする行為﹂という要件を課したのである︒

債務者等が実質的な使用・収益をしていない場合には︑この要件が充足されない場合でも債権者保管は許される︒債

務者が競売不動産に荷物を置いているに過ぎない場合には︑荷物の性質・量にもよるが︑それを継続する利益よりも

売却の促進の利益の方が大きく︑保管命令は許されるのが通常であると解したい︒

保管命令の相手方は︑債務者または占有者である︒占有者は︑彼が債務者から独立した占有を有する旨を主張する

場合に相手方にすれば足りる︒発令前の段階で自己の氏名すらも明らかにしなかった者は︑独立した占有者と認める 関法第四八巻第五・六合併号

(7)

その執行は︑次のことを内容とする︒

五五条の保管命令の執行が不動産の引渡・明渡執行に準じて行われるべきことについては異論を見ない︒しかし︑

(5 ) 

それが強制執行そのものであるか否か︑保管命令が債務名義であるか否かについては︑見解が分かれている︒この点

保管命令は︑執行官保管の場合でも︑執行官に対する職務命令ではない︒保管命令を申し立てた債権者の申立てに

より執行される裁判であり︑発令から二週間以内に行われなければならない

るかにかかわらず︑執行官がなす︒施錠されずに放置されている空き家については︑強制力行使の必要は少ないが︑ 相手方の占有を解くこと︒これは︑強制力の行使を伴うのが通常であり︑執行官保管であるか債権者保管であ

それでもさまざまな問題を考慮すると︑保管を命じられた債権者自身がするのは適当ではなく︑執行官がおこなうべ

(6 )

7

きであろう︒相手方が残置した動産の取扱いについては︑一六八条四項以下の適用を肯定する見解がある一方で︑保

管執行の段階では動産を残置させたままにすることをおそらく前提にして︑引渡命令の執行の段階で目的不動産から

(8 ) 

排除することを認めている見解もある︒競売不動産を残置動産の保管場所として利用することには︑確かに一理ある︒

保管命令の基本的効力 は︑本稿の最後で論ずることにしよう︒ に値せず︑債務者に対する保管命令で排除してよい︒

(

 

(8)

(

しかし︑執行官保管または債権者保管がなされている段階で相手方が残置動産の搬出を求めればそれに応じざるを得

ないであろうし︑損敗しやすい物が紛れ込んでいるおそれもあり︑トラプルが生じやすい︒保管執行開始の段階で︑

競売不動産から排除するのがよい︒

9 J  

9 9  

保管者が占有を開始すること︒執行官保管の場合には︑執行官が占有を解いてそのまま占有を開始する(‑六

八条二項の不適用︶︒債権者保管の場合には︑執行官が債権者に目的物を引き渡す︒したがって︑債権者が出頭しな

い場合には︑執行の開始︵相手方の占有を解くこと︶もなすべきでない

保管者が保管をなすこと︒具体的内容は︑事案により異なるが︑通常は︑次のことをなす︒他人が占有を開始

(9 ) 

することがないように施錠を施し︑壊れたドアなどがあれば修理すること︒保管中の物件であることを表示して警告

すること︒定期的にあるいは必要に応じて︑保管物件の状況を点検し︑他人が占有を開始していないことを確認する

( 10 )  

こと︒このことは︑執行官保管の場合でも︑債権者保管の場合でも変わらないが︑債権者保管に付された不動産につ

いては︑民執規則五一条の四第二項が特に規定を置き︑裁判所は︑必要があると認めるときは︑保管債権者に対し不

動産の保管の状況について報告を求め︑又は︑執行官に対しその保管の状況の点検を命ずることができるとした︒執

行官が保管する物件については︑その旨の公示書は刑法九六条の﹁差押えの表示﹂に該当し︑その損壊・無効化は︑

( 11 )  

同条の罪にあたる︒債権者保管の場合に︑債権者自らが自己の名で公示書を掲示しても︑それは公務員が施した差押

えの表示にはならない︒執行官が保管している建物への侵入は︑建造物侵入罪︵刑法一三

0

条︶にあたり︑また︑保

( 12 )  

管中の不動産の侵奪については︑不動産侵奪罪︵刑法二三五条の二︶が成立する︒債権者が保管中の物件についても

同様である︒保管者は保管の目的に必要な範囲で目的物を占有・使用することができるが︑それ以上のことはできな 関法第四八巻第五・六合併号

(9)

(e) 

( 13 )  

い︒建物が債権者保管に付されている場合には︑買受希望者に建物内部を閲覧させることは許されてよい︒売却を円

滑に行うという保管の最終目的に合致した行為だからである︒

切保管中の物件に侵入した者が退去しない場合には︑その者の排除の方法が問題となる︒五五条の保管について

( 14 )  

は︑点検執行により強制排除できるとする見解がある︒六八条の二についても︑執行官保管の場合には︑肯定してよ

いであろう︒保管行為も保管命令に基づく執行官の行為であり︑その中に侵入者の排除を含めることができるからで

ある︒また︑そうしなければ︑執行官の保管が不十分なために侵入者があると︑そのたびに申立債権者が保管命令の

発令申立てと執行申立ての負担を負うことになる︒他方︑債権者保管の場合には︑自力救済として許される範囲内で

( 15 )  

は強制排除できるが︑それを超える場合には︑改めて執行官に侵入者の占有を解くことを申し立てなければならない︒

その場合に︑新たな保管命令が必要かが問題となる︒当初の保管命令で足りるとする見解︑当初の保管命令の相手方

に対してはその保管命令で足りるが︑その他の者に対して新たな保管命令が必要であるとする見解も考えられるが︑

一律に新たな保管命令が必要であるとする方が明快でよいであろう︵二次的保管命令と呼ぶことにしよう︶︒保管債

権者は︑第三者が入ることのないように保管に注意すべきであり︑第三者にはどのような事情で建物に入ったかを主

張する機会を与えるべきだと思われるからである︒もっとも︑保管命令が効力を失った場合に返還すべき相手方は︑

当初の保管命令の相手方であり︑また︑侵入者を排除した後の保管は当初の保管命令に基づく保管と見るべきである

から︑二次的保管命令は侵入者の排除の執行の基礎となる点に意味がある︒

五五条の保管命令は︑買受人の代金の納付により当然に効力を失う︒買受人は︑代金納付まで引渡を得ること

ができず︑また︑代金納付と同時に引渡命令を得ることができるわけではないので︑買受人は︑売却許可決定が確定

(

(10)

(

した時点で七七条の保管命令を申し立てるべきことになる︒五五条の保管命令が発せられた場合には七七条の要件は

充足されていると考えてよい︒また︑執行官が保管している場合であっても︑七七条の保管命令の相手方は五五条の

保管命令の相手方である︒七七条の保管に付された不動産の引渡を得るには︑買受人は引渡命令を得なければならな

( 16 )  

いのが原則である︒もっとも︑五五条の保管命令が代金納付により効力を失うとはいえ︑執行官が代金納付の事実を

知るまでは保管行為を続けることができる︒その間に買受人が引渡命令を得れば︑七七条の保管を経ていない場合で

( 17 )  

も︑執行官は買受人に引き渡すことができる︒以上が一般に説かれていることであり︑六八条の二の保管命令にも妥

当する︒これによれば︑執行官保管に付されている不動産については︑通常︑七七条の保管命令と引渡命令を申し立

( 18 )  

てることが必要となる︒

①しかし︑買受人が五五条の執行官保管に付されている不動産の引渡を執行官から得るために引渡命令が常に必

( 19 )  

要であるか否かについては︑次のように見解が分かれている︒向常に必要であるとする見解︒その理由として︑七

( 20 )  

七条の﹁引渡命令の執行までの間﹂という文言の他に︑執行官保管命令と不動産引渡命令とでは要件を異にするとい

( 21 )  

うことが挙げられている︒⑱買受人が代金を完納したことを証明して引渡を得ることができるとする見解︒後者は

( 2 2 )  

さらに︑伯債務者以外の占有者から取り上げている場合には︑その者の同意が必要であるとする見解と︑仰その

( 23 )  

ような留保を特に付さない見解とに分かれている︒⑰の見解は︑保全処分においてはすでに相手方の権原についても

( 24 )  

審理がなされていて︑引渡命令で重ねて審理する必要はないことを実質的根拠とする︒

次のように考えたい︒保管命令の相手方が債務者以外の者である場合には︑彼に対する引渡命令は︑彼の占有権原

が買受人に対抗できるものであることを訴訟︵引渡命令に対する請求異議訴訟︶により主張する機会を保障するため

関法第四八巻第五・六合併号

(11)

に必要なことであり︑それを省略するためには彼の同意が必要である︒他方︑債務者が保管命令の相手方である場合

には︑そのような機会を付与する必要は乏しい︒この場合には︑買受人が代金完納を証明すれば︑引渡を受けること

( P l

に賛成する︶︒いずれにせよ執行官は︑五五条あるいは六八条の二により保管中の物件につ

いて代金納付により保管命令の効力が消滅したことを知った場合に︑直ちに保管を終了すべきではなく︑買受人に引

( 25 )  

渡命令を得ることあるいは代金の完納の証明して引渡を受けることを催告するのが適当である︒その催告に応じない

場合には︑保管を終了する︒引渡命令必要説に立てば︑買受人が引渡命令を得てその執行を申し立ててこない場合に

は︑保管命令の相手方の所在が明らかになり︑そして彼が返還を求める限り︑相手方に返還すべきである︒しかし︑

相手方の所在が不明の場合︑あるいは︑返還を求めない場合には︑そのままの状態で保管を終了するよりしかたない︒

問題の設定

以上のことを前提にして︑六八条の二の保管命令の効力について︑若干の考察を試みてみたい︒問題にしたいのは︑

次のような場合の取扱いである︒すなわち︑競売建物に引渡により対抗要件を具備した賃借人がいて

一条参照︶︑彼の賃借権は買受人に対抗できるものであるにもかかわらず︑執行裁判所が買受人に対抗できないもの

と誤って判断し︑六八条の二により執行官保管命令あるいは債権者保管命令を発し︑保管が継続した状態で売却され

たという場合の取扱いである︒このような事態は生ずべきではない︒しかし︑理論的には生じうることである︒この

場合に︑保管命令により排除された賃借人は︑買受人に賃借権をなお主張できるのか︑保管をしている債権者が買受

人になった場合にも︑引渡命令は必要なのかが問題となる︒

ができると解したい

(

(12)

( 2 )  

るとしなければならない︒ 以下では︑議論の単純化のために︑賃借人が保管中の建物の返還を希望していることを前提にする︒

執行官保管

執行官保管が固有の強制執行なのか︑それとも強制執行そのものではないが強制執行に準じて行われる執行である

のか︑また︑保管命令は債務名義なのか否かについては︑前述のように見解が分かれている︒これは︑最後に検討す

ることにして︑初めに具体的な問題から検討してみよう︒

①債務者以外の者が保管命令の相手方である場合には︑執行官が保管中の不動産の引渡を買受人が得るためには︑

引渡命令が必要である︒この点は︑買受人が保管命令を申し立てた債権者であるか否かにかかわらない︒いこのよ

うに解すると︑賃借人は︑自己の賃借権を買受人に対抗できることを引渡命令に対する請求異議の訴えの中で主張す

ることができ︑請求異議の訴えの提起に伴う執行停止が認められなかった場合でも︑買受人に対して対抗することが

できる賃借権を主張して建物の明渡しを訴求することができることになる︒その前提として︑執行官保管にかかわら

ず︑賃借人の占有は実体法上は継続して︑賃借権の対抗要件はなお存続していると解すべきことになる︒

O b

この結

果は買受人の地位を不安定にすると考えれば︑執行官保管により賃借人の占有は実体法上も消滅し︑賃借人は買受人

に賃借権を主張できないと解釈することも考えられる︒このように考えた場合には︑賃借人は︑賃借権の喪失による

損害について︑差押債権者に賠償請求することができ︑あるいは配当受領債権者に対して不当利得の返還を請求でき

賃借人からすれば︑執行官保管により目的不動産の占有を奪われることは︑重大な利益侵害となる︒重大な利

(

(13)

ることは認めるべきである︒ 益侵害に対しては︑すみやかに救済を得る道が開かれていなければならない︒時間の経過とともに︑賃借人は他に占有を求めて︑目的物に対する関心を失うことになる︒したがって︑保管命令自体の正当性を訴訟手続きにより争う道が開かれていなければならない︒この考えをとった場合には︑その訴訟の途中で第三者が買い受けることが予想されるので︑この場合に買受人が差押債権者の地位を承継したとみることができるのかが問題となる︒買受人が取得するのは債務者の不動産の所有権であり︑差押債権者の所有権ではないが︑賃借人との紛争は賃借権が売却により消滅するか否かであり︑その売却を申し立てているのは差押債権者であるから︑紛争主体たる地位の承継関係を肯定することは︑不可能ではない︒

5

保管命令の正当化を争う訴訟は︑保管命令を固有の強制執行と解すれば︑請求異議の訴

えが第一候補となる︒保管命令に基づく執行は︑執行官による保管開始により完了すると解すれば︑保管開始後は︑

買受人に対抗することのできる賃借権を有することの確認の訴えを提起して︑その認容判決を執行裁判所に提出して

保管命令の取消しを求めることになる︒他方︑保管執行は保管開始後も継続しており︑保管命令の効力喪失に伴い執

行官が他の者に引き渡したときに終了すると考えれば︑保管中はなお請求異議の訴えを提起することができ︑請求異

議の訴えの提起に伴う執行取消しの仮の処分により︑賃借人は占有を回復することができるとしてよい︒⑮保管命

令を固有の強制執行ではないと考えれば︑請求異議の訴えは許されない︒しかし︑賃借人は︑自己の賃借権が買受人

に対抗できることの確認を求める訴えを提起して︑その勝訴判決を執行裁判所に提出して︑保管命令の取消しを求め

一 四 一

︳ ︱

賃借人の利益保護と円滑な執行売却の確保の間のバランスのとり方として︑いずれの選択肢がよいのであろか︒迷︶ 

) l a

でよいであろう︒②の点についての決断は︑他の問題を検討した後で下すことに

,

0

(

(14)

固有の債権者保管がなされた場合 ような差異があるかを比較してみたい︒

4

差押債権者による保管

い保管債権者が買受人になる場合と︑⑯その他の者が買受人になる 関法

O a

の選択肢をとった場合でも︑善良な賃借人は︑多くの場合に︑自分の不運を嘆きつつ︑他の不動産を賃借

することになろう︒その後で︑売却不動産の占有を回復するために︑引渡命令に対して請求異議の訴えを提起したり

することは︑あまり考えられない︒その点で賃借人の救済の実効性が欠ける面があるが︑やむ得ない︒執行裁判所は︑

その点を考慮の上保管命令を発令すべきか否かを慎重に判断すべきである︒

六八条の二では︑差押債権者による保管も認められているので︑①差押債権者を執行官とは別個独立の保管者と

する保管命令が許される︵固有の債権者保管︶︒しかし︑それとともに︑②執行官保管の特殊類型として︑債権者

( 26 )  

を執行官のいわぱ占有補助者として保管させることを許す保管命令も許されよう︵補助的債権者保管︶︒両者にどの

, 1

.  

保管債権者が買受人になる場合

第四八巻第五・六合併号

(

代金納付後︑引渡命令を申し立てることなく占有を継続するであろう︒それは︑引渡命令に対する請求異議の訴えに この場合には︑七七条保管が申し立てられることはないであろう︒彼は︑

より自己の占有権原を主張する機会を保管命令の相手方である賃借人から奪うことになるので︑買受人たる差押債権

者に引渡命令の申立てを強制するための手段を用意しなければならない︒その方法としては︑代金納付を理由とする

保管命令の取消申立てを認め︑民事訴訟法二六

0

条ないし民事保全法三三条を類推適用して︑取消の裁判の中で原状

(15)

固その他の者が買受人になる場合

一般の例による︒七七条保管がなされない場合に 一六八条に準じた執行が

回復を命ずることが考えられる︒しかし︑これを認めると︑引渡命令の申立期間経過後に賃借人から保管命令取消申 立てがなされた場合に︑悲惨な結果が生じやすい︒買受人たる差押債権者がすでに売却不動産を占有している以上︑

引渡命令の申立てを失念する事態がありうるからである︒相手方からの保管命令取消申立てに期間制限を設ければ︑

この点は解決されるが︑期間制限を設けるためには︑買受人が代金を納付したことを相手方に通知しなければならな い︒しかし︑これらのことを認める規定は特に用意されていない︒そこで︑この保管命令は引渡命令の機能を内包し ており︑保管命令の相手方は︑この保管命令に対して請求異議の訴えを提起することができるとすることが考えられ る︒しかし︑この選択肢もかなりの解釈論上の問題を引き起こすであろう︵基本的には︑執行官保管命令を債務名義

と見て︑これに対する請求異議等の訴えを許す場合と同じ問題である︶︒

七七条の保管命令の執行が申し立てられると︑執行官は保管債権者から 引渡を得て自ら保管することになる︒例外的に保管債権者が任意に引き渡さない場合には︑

なされる︒代金納付前には︑六八条の二の保管を併行させる必要はあるものの︑それは︑買受人の代金納付前に七七 条保管が効力を失った場合に︑執行官が目的物を保管債権者に引き渡すことにより債権者保管に戻ることで足りよう︒

七七条保管がなされた場合に買受人が目的物の引渡を得る方法は︑

は︑買受人の代金納付と共に保管債権者は保管義務を免れるが︑ただちに保管を終了するのではなく︑買受人に引渡 命令を得ることを催告すべきである︒引渡命令の相手方は︑保管債権者ではなく︑保管命令の相手方である︒保管債 権者が引渡しを拒む場合でも︑買受人は保管命令の相手方に対する引渡命令に基づいて執行官に引渡執行を申し立て ればよく︑保管債権者に対する引渡命令は必要ないとすべきである︒保管は︑保管命令の相手方の占有に代わる占有

(

(16)

る︒保管債権者に対する引渡命令は不要である︒ の原状回復の方法としては︑手続負担が重すぎよう︒ 二者に対する引渡命令は必要である︒

(

0)

を強制的にもたらすものにすぎないと考えてよいからである︵換言すれば︑保管債権者は引渡命令の相手方になるだ

けの利益を競売不動産に有しない︶︒また︑保管債権者に対する引渡命令まで要求すると︑買受人の負担が増大する

からである︒もっとも︑保管債権者が占有を第三者に奪われた場合あるいは第三者に占有を許した場合には︑その第

保管命令が取り消された場合には︑保管者は不動産を保管命令の相手方︵賃借人︶に返還すべきである︒債権者保

管の場合には︑債権者が任意に返還しないことも考えられるので︑民事訴訟法二六

0

条ないし民事保全法三三条を類

推適用して︑取消の裁判の中で原状回復を命ずるぺきである︒なお︑保管建物の返還請求権者は︑最終的には通常訴

訟により返還を命ずる判決を得て強制執行することもできるが︑この方法は︑簡易な手続で占有を奪われた者のため

補助的債権者保管の場合

壊罪にあたる︒申立債権者が買受人となった場合でも︑買受人に引渡命令の申立てを強制することは可能である︒引 この場合には︑執行官が保管公示書を掲出することができ︑その損壊は封印等損

渡命令の申立てをしない買受人たる差押債権者に対して︑執行官が保管の終了を理由に債権者の占有を解いて保管命

令の相手方に返還することが可能となるからである︒執行官が︑買受人たる差押債権者に保管の終了を告知すること

が︑引渡命令の申立ての催告となる︒保管債権者以外の者が買い受けて引渡命令を得た場合に︑買受人は︑執行官保

管の場合と同様の方法により引渡を得ることができる︒通常は︑執行官を介して保管債権者から引渡を得る︒保管債

権者が任意に引き渡さない場合には︑執行官は保管終了処分として債権者の占有を解き︑買受人に引き渡すことにな 関法第四八巻第五・六合併号

(17)

保管命令が取り消された場合には︑保管責任者である執行官は︑保管終了処分として保管補助者たる債権者の占有

以上のことを考慮すると︑固有の債権者保管は︑保管命令の相手方が債務者以外の場合には︑あまり適当ではない

であろう︵①り参照︶︒この場合には︑執行官保管または補助的債権者保管がなされるのが適当である︒この場合で

も︑現実の保管︵監守︶にあたる債権者が買受希望者に競売建物の内部を閲覧させることは︑保管責任者である執行

官の許可の下で︑許されるとしてよい︒他方︑保管命令の相手方が債務者の場合には︑固有の債権者保管でもよい︒

但し︑債権者が買受人になった場合に︑彼が引渡命令を申し立てることを期待することはできない︒この場合には︑

引渡命令は必要ないとすべきである︒ここから更に進んで︑債務者が相手方であるその他の場合︵執行官保管の場

合︶にも︑買受人は引渡命令を得なくても引渡を得ることができるというところまで進むべきかについては︑なお議

論が分かれようが︑前述のようにこれを肯定したい︒

保管命令の法的性質の整理

以上のことを前提にして︑六八条の二の保管命令と保管執行の性質を整理しておこう︒保管執行は︑代金納付まで

の暫定的処分であり︑通常の強制執行とは異なる側面がある︒その基礎となる保管命令は︑請求異議の訴えには親し

まない︒請求異議の訴えを認めたところで︑訴訟中に売却がなされ︑被告以外の者が買受人となる可能性が少なから

ずあるからである︒その場合には︑訴訟は買受人に対する占有権原確認訴訟ないし目的物の引渡訴訟に転換する必要

がある︒この場合に買受人を被告の承継人として︑従前の請求異議訴訟の訴訟状態を引き継がせることができるかと

を解いて不動産を保管命令の相手方に返還すべきである︒

(18)

合には買受人を彼の承継人としてもよいが︑それにとどまるとは限らないからである︒

(

言えば︑問題であろう︒保管命令により排除された占有者が買受人に対抗することができる占有権原を有していたの

であれば︑民法五六八条・五六六条の担保責任が生ずる︒それにより影響を受ける者が保管申立債権者にとどまる場

しかし︑保管命令を債務名義と解するか否かにかかわらず︑その正当性を争う通常訴訟を用意しておくことが︑手

続保障の面から望ましい︒但し︑執行債務者との関係では︑それは必要ないであろう︒この保全処分により保全され

るべき利益は︑競売不動産の円滑な売却により債権をより迅速により多く回収するという申立人の利益であり︑彼の

その利益の正当性は︑債務者との関係では︑競売手続の開始の正当性により担保されているからである︒もちろん︑

﹁不動産の売却を困難にする行為をし︑又はその行為をするおそれがある﹂という要件の充足も保全処分の正当化の

ために必要であるが︑これは︑通常訴訟により争う道を開いておくほどに重要な問題とは思われない︒他方︑債務者

以外の者については︑保全処分の正当化のためには︑その占有権原が﹁差押債権者︑仮差押債権者若しくは第五九条

第一項の規定により消滅する権利を有する者﹂したがって買受人に対抗することができないことが必要である︒これ

は︑実体法上の権利関係に関する問題であり︑通常訴訟により確定されるべき問題である︒通常訴訟により︑買受人

に対抗することのできる権原を有することが確定すれば︑そのことを理由に︑占有者は保管命令の取消を申し立てる

ことができる︵六八条の二第三項︶︒保全処分の正当性を争うための通常訴訟としては︑これで足りよう︒この訴訟

の係属中に買受人が代金を納付して所有権を取得した場合に︑買受人にこの訴訟を承継させるためには︑買受人の納

付代金から配当等を受ける者全員を被告にしておく必要があり︑また︑それで足りよう︒

保管命令を債務名義とみるか︑そして保管執行を債務名義に基づく執行とみるかは︑体系的整理の問題である︒保

関法第四八巻第五・六合併号

(19)

管執行が権利の実現というよりも暫定的規整であることを考慮すると︑保管命令の執行は︑民事保全法の仮処分の執 行と同様に︑強制執行の例により行われる執行︵民事保全法五二条一項︶であるとすることは︑魅力的である︒保管

( 27 )  

命令に対する請求異議の訴えが許されないことも説明しやすい︒しかし︑保管命令を五五条や七七条の行為命令と同 様に債務名義と見ても︑具体的な問題の結論は︑あまり変わらないであろう︒例えば︑債務名義あれば常に請求異議 の訴えが許されるというわけではない︒民執ニ︱七条の差押物引渡命令は債務名義であるにもかかわらずこれに対す る請求異議の訴えは許されないとする見解が多数説となっている︒ある名義に対して請求異議の訴えが許されるか否 かは︑その名義が債務名義であるか否かの点からのみ決定されるのではなく︑その名義に対して請求異議の訴えを許 すことが適切か否かも考慮して決められるのである︒したがって︑保管命令に対する請求異議の訴えを否定しつつ︑

保管命令も債務名義であり︑保管執行も固有の強制執行であるとすることも許される︒

(1

)

動産については︑売却の見込みのない物の差押えのより簡易な形での取消しが当初から認められている(‑三0

条 ︶

(2

)

注釈民執法

(4

)

(3

)

それらの者の占有を排除すれば︑売却の蓋然性が確実に高まるからである︒一般論として言えば︑債務者等の占有を排除すれば売却の蓋然性が一定程度高まる場合には︑その占有をもって﹁売却を困難にする行為﹂ということができる︒どの程度高まればよいかは︑今は未解決にしておきたいが︑売却を実施しても有効な買受申出がなかったこと︑ならびに︑差押債

権者が予備的買受申出をすることが要件となっていることを考慮すると︑売却の蓋然性の高まりはそれほど要求されなくてもよいであろう︒差押債権者が債務者に債務の弁済を迫るためにこの保管命令を濫用する危険性もないわけでないが︑その可能性は︑大きくない︒執行期間が二週間に限定されているので︑保管命令をちらつかせて弁済を求めようとしても︑それ

を脅して利用することができる期間は限られており︑また︑次の売却実施の際に確実に売却されてしまうからである︒

(4

)

後藤博

11

小堀悟﹁﹃競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律﹄﹃特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法﹂の紹介﹂金融法務事情一五三三号六二頁︒

買受けの申出をした差押債権者のための保全処分︵第六八条の二︶

(20)

(5 ) 債務名義であることを肯定する見解として︑町田﹁不動産価値の保全と適正売却価格の確保﹂︵竹下"鈴木編﹃民事執行

0五頁︑中野貞一郎﹃民事執行法︵三訂版︶﹄四0三頁がある︵債務名義に基づく執行は︑強制執行であ

ることも含意されていると考えてよいであろう︶︒他方︑保管執行は強制執行そのものではなく︑また保管命令は債務名義

ではないとする見解として︑注釈民執法

(3

) ニ ︱

0

(6

) 残置動産の処理や執行着手時期の明確化のためである︒他方︑コストの削減および執行官が多忙なため執行の時期を失す るおそれがあることを考慮すると︑執行官を介せずに保管を命じられた債権者自身が占有を開始することを認めたくなるが︑

他人の所有物に対する占有取得であり︑やはり執行官を介して占有に着手すべきであろう︒

(7

)

(8

)

注釈民執法

(4

)

(9

)

機械設備の保守・点検作業も保管行為の中に含めることができる︒高木監修・前掲︵注

7)

0

(1 0)

5)

0八頁注

( 1 5 )

( 1 1 )

7 )

(12)高木監修•前掲(注7)

10

(13)後藤"小堀•前掲(注4)六二頁。(14)中野•前掲(注5)0八頁注(15)、東京地裁民事執行実務研究会編『民事執行法上の保全処分』一六頁(浅生重機)。

( 1 5 )

例えば︑自ら監守中の建物に立ち入った者を制止して排除する場合︒

(1 6)

(3

) ニ ︱

0

( 1 7 )

5)

0五頁︑中野・前掲︵注

5)

0

(18)一般の買受申出人の買受意欲をそがないか気になるところであるが︑五五条の保管命令が代金納付により効力を失うとい

う点は︑動かすことができないであろう︒

( 1 9 )

注釈民執法

(3

)

ニ︱︱頁︵大橋︶︑注解民執法

(3

)

( 2 0 )

注解民執法

(3

)

(21)旧民訴六八七条二項の管理命令について︑注解強制執行法

(3

)

関法第四八巻第五・六合併号

(

(21)

(22)田中康久﹃新民事執行法の解説︵増補改訂版︶﹄ニ︱︱頁︒(23) 東京地裁民事執行実務研究会『不動産執行の理論と実務』四七八頁、同•前掲(注

14)一六六頁(上田正俊)。

( 2 4 )

東京地裁民事執行実務研究会・前掲︵注

2 3 )

四七八頁︑同・前掲︵注

1 4 )

一六六頁以下︵上田︶︵詳細な理由付けがなされて

( 2 5 )

注釈民執法

(3

)

(2 6)

5

)

1

0六頁が︑五五条の保管命令について︑﹁執行官は︑適当な者に不動産を保管させることも可能であ

る﹂とする︒本文で問題にしているのは︑執行官に保管を命じつつ︑執行官は申立債権者に現実の保管︵監守︶をさせるこ

とができるとする保管命令である︵民執規一0四条一項参照︶︒保管の責任者は執行官であるので︑執行官が申立債権者へ

の保管が適当でないと判断すれば︑自ら直接保管する余地を認めておく必要がある︒

( 2 7 )

この立場に立てば︑保管命令は執行手続における権利関係の暫定的規整を目的とする保全名義とみることになる︒仮差押 ぇ.仮処分は将来の執行の保全が目的であるが︑執行官保管は現在行われている執行の保護が目的である︒

︵追記︶法務省民事局参事官室編﹃平成一0年改正

Q

&

A新競売・根抵当制度﹄は校正の段階で参照できるようになったため︑本

稿の基礎にすることができなかった︒大過なきことを祈るのみである

︻謝辞︼本稿は平成九年度関西大学学部共同研究費による研究の成果の一部である︒学校法人関西大学の研究助成にこの場をお借

りしてお礼申し上げたい︒

買受けの申出をした差押債権者のための保全処分︵第六八条の一︱)

(

参照

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