C-15
寺院建築における伝統木造軸組架構の耐震性能評価
〇鈴木祥之・西塔純人・前野将輝・清水秀丸
1.はじめに
社寺建築に見られる伝統木造軸組の構造メカニズム
を解明し、耐震性能を適切に評価するために、軸組試
験体を製作し振動台実験、静的載荷実験を行った。特
に柱傾斜復元力と横架材の曲げ抵抗に注目して調べた。
2.実験概要
本実験は、京都大学防災研究所強震応答実験室にお
いて、2003 年 4 月 21 日∼8 月 8 日に行った。地震波(建
築センター波 BCJ-L2)加振や自由振動などの振動実験
と試験体頂部に水平加力を与える静的実験を行った。
静的実験は、試験体頂部の積載重量を各試験体で3通
り設け、変位制御による3回繰り返し載荷を行った。
3.試験体概要
実際の社寺建築物では、軸組の大きさが異なるので、
本実験では図 1 に示すような1スパン×1スパンの立
体軸組試験体のサイズが異なる3種類(柱断面φ
=147mm、220mm、294mm)を用いた。また、柱間をつ
なぐ横架材の効果を調べるために、図 2 に示すように
上記試験体の短手方向を3スパン連続する試験体を用
いた。基本試験体の仕様として、柱(ヒノキ、φ=220)
を礎石上に設置し、横架材はベイヒバで、下から足固
め(幅96×成 165)・虹梁(幅75×成 150)・通肘木(幅
66×成 75)であり、それぞれを柱と雇い構造でつなぎ、
柱上部には土居盤(ヒノキ)・土居桁(ベイマツ)・牛
引梁(ベイマツ)が組み合わされ、仕口部分には釘な
どの金物を使用していない。
4.試験体の復元力特性
以上の試験体を用いた実験により、軸組の大きさや
屋根荷重が異なり、柱が連立する現実の社寺建築物の
構造的特徴を定量的に調べた。振動実験時の復元力特
性を図 3 に、静的実験の復元力特性を図 4 に示す。ま
た、図 5 に3種類の軸組のサイズによる復元力特性の
影響を示す。小変形レベルでは、柱傾斜復元力が支配
的であり履歴ループ面積は小さいが、大変形レベルで
は、横架材の曲げ抵抗が大きくなり履歴ループ面積も
大きくなるなど、柱傾斜復元力と横架材による曲げ抵
抗との組み合わせなどを調べることができ、伝統軸組
の耐震設計・補強に役立てる。
-10
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
8
10
復元力
[kN]
-0.10 -0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10
層間変形角 [rad]
入力最大加速度
100Gal
200Gal
300Gal
図 3 振動実験時の復元力特性
-12
-8
-4
0
4
8
12
復元力
[kN]
-0.10 -0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10
層間変形角 [rad]
頂部水平変位 90mm
頂部水平変位 270mm
頂部水平変位 360mm
図 4 静的実験時の復元力特性
-12
-8
-4
0
4
8
12
復元力
[kN]
-0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08
層間変形角 [rad]
柱断面の違いによる比較
φ=147mm
φ=220mm
φ=294mm
図 5 軸組サイズによる復元力特性の比較
1500
通肘木(66×75)
牛引梁(210×240) 土居桁(210×396)
通肘木(66×75)
虹梁(75×150)
足固め(96×165) 足固め(96×165)
2500
725
2
72
725
柱φ=220mm
750 750
2
70
2
07
0
23
3
2.
5
2
68
5
3
15
1.
5
重り(コンクリート床板 7.23ton)
X軸構面(長手) Y軸構面(短手)
図 1 基本試験体(1スパン×1スパン)
15 00
土居桁(2 10×396)
肘木(6 6×75)
虹梁(75× 150)
足固 め(96×165)
1500 150 0
625 625
2
7
2 27
0
2
0
7
0
2
3
3
2
.5
2
6
8
5
3
1
5
1
.5
重り (コンクリー ト床板 7.23 ton) 重り(コンク リート床板 7.20ton)
柱φ=220mm
図 2 連続試験体(3スパン×1スパン)