大覚寺大沢池( 旧│ 嵯峨院) の調査(2)
建 造 物 研 究 室 ・ 平 城 宮 跡 発 掘 調 査 部
大沢池北岸復原整備事業に伴う第2次発掘調査は,7月1 9日から8月2 9日までの4 2日間にわ たって計5カ所約3 43 , 2 の調査区を設けて実施した。19 84 年度の調査では,名古曽滝から大 沢池に至る区間の北半部において,延長3 2 mにわたって造水の痕跡を確認したが,南半部は
不 明 で あ っ た 。 従 っ て 本 年 度 は , 現 在 の グ ラ ン ド 西 端 に 沿 っ て 蛇 行 す る 溝 状 の く ぼ 承 が 進 水 痕 跡である可能性が高いと判断し,この部分を中心に流水方向を追跡することにした、
調査の結果,この帯状のくぼ承はいずれの調在陵においても平安時代の造水痕跡ではなく,
後 世 の 撹 乱 で あ る こ と が 判 明 し た 。 一 方 , グ ラ ン ド 中 央 か ら 南 に は 平 安 時 代 の 造 物 を 含 む 整 地 土 層 が あ り , こ の 上 面 で 2 条 の 東 西 溝 に は さ ま れ た 道 路 S F O 8 を 検 出 し た 。 両 側 満 の 埋 土 か ら I ま平安時代前期に属する土器片が多
迅 に 出 土 し , 平 安 時 代 前 半 期 に は こ の付近の空間利用がかなり進んでい たことが推測される、出土遺物の多 くが緑和で施紬された食器類である ことから,嵯峨院の家政機関的役割 を 担 う 区 域 で あ っ た 可 能 性 も あ る 。
また,現在の大沢池北岸部では前 述 の 整 地 土 が 現 代 の 切 土 に よ っ て 大 幅に削りとられていることが判明し
た 。 こ れ が 単 に 竣 喋 し た こ と を 示 す の か , そ れ と も 地 続 き で あ っ た 天 神 島 を 掘 削 に よ っ て 島 と し て 切 り 離 し たものかは即座に判断できない。
今年度の調査では,造水痕跡の延
長 を 明 ら か に す る こ と は で き な か っ たが,大沢池北岸の位撒に関する新
しい知見を得ることができた。残さ れ た 課 題 も 多 く , こ れ ら の 究 明 と と もに復原整備のより確実な知見を得 るために,調査は来年度も継統的に 実施する予定である。
( 田 中 哲 雄 , 本 中 典 )
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道路遺櫛と大沢池北岸部(85−2調祢区)
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