る。 直売のチャネルとしては、直接、消費者へ、小売店へ、あるいは学校などの施設へ、そして、 生産物を地域でブランド化する仲介業者がある。これらのうち、消費者へ直売を行う農場が 114,801 で、全体の7割近くを占め、消費者への販売が主となっている。主たる消費者への販 売方法として、最も多いのが農場における直売所であり、農場数で 45%、売り上げ高で 44% を占めている(表2)。続いてファーマーズ・マーケットが農場数で 36%、売り上げで 23%を 占め、直売所と並び、ファーマーズ・マーケットが販売チャネルとして重要であるといえる。 CSA については、農場数で6%、売り上げ高で 7%とその比率は必ずしも高くはなく、直売に おいて補完的な役割を果たしているともいえる。 表2 米国における直売の販売方法 販売方法 農場数 比率(%) 売り上げ高(100 万ドル) 売り上げ比率(%) 農場直売所 51,422 45 1,322 44 ファーマーズ・マーケット 41,156 36 711 23 他のマーケット 39,765 35 360 12 農場外直売所 14,959 13 236 8 CSA 7,398 6 226 7 オンライン販売 9,460 8 172 6 合計 114,801 100 3,027 100
(出典:Local Food Marketing Practices Survey)
CSA の農場において、料理教室、イチゴ摘み、コンサートイなどのベントも開催されている。 1999 年の時点で、米国における CSA の担い手は、かつては都市ないし郊外居住者であった 農業経験がないものが多かった。元の職業は、社会福祉士、プログラマー、芸術家など多彩で ある。高学歴者が多く(77%が大卒)、女性の比率が高く(45%、農業従事者全体では 15%未 満)、また、平均年齢も低いこと(農業従事者全体より 10 歳若い)が特徴であった(Laas,et al.,2003)。
おけるCSA(2015 年) 野菜 肉 乳製品・卵 ハーブ 穀類 野菜 花き 工芸 スプラウト 特殊作物 加工品 ナッツ 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 - - - - 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 - - - - - - - - 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 - - - - - - - - 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 - - - - - - - -
Ⅴ.おわりに 米国においては、1986 年に CSA の農場が開設されたが、そこには、ドイツのルドルフ・シュ タイナーの思想の影響を認めることができた。その後、CSA 設立者のサポートもあり、CSA の 数は増加するとともに、全米に面的に拡大していった。ただし、CSA の普及は、大都市で、大 卒者、ホワイトカラーが多い地域、一人当たりの収入が多い地域で顕著にみられた。 CSA 農場の経営者は、女性の比率が高く、高学歴であり、かつ若い傾向があり、農業以外の 他の職業に就いていたものも多い。そして、野菜を中心として、会員のニーズに合わせた多彩 な農産物を有機ないし自然志向で栽培していた。彼らは、CSA のみならず、ファーマーズ・マー ケットや直売所など複数の販売チャネルを確保することで、販売を確実なものとしていた。こ うした販売チャネルを複数有することで、あるチャネルにおける消費者とのコンタクトが別の チャネルにおける販路開拓につながる可能性がでてくる。複数の販売チャネルの確保は、その 意味で単なるリスクの分散にとどまらない。 加えて、CSA を通して生産者と消費者が、直接に交流するだけではない。農産物のピックアッ プ場所とともに、ファーマーズ・マーケットやスーパー、レストランなども同様に都市中心部 に位置することで、都市中心部が、農産物を介した生産者と消費者の交流のノードとなってい る。このことが、都市中心部の活性化にも寄与していると考えられる。 本稿を本年度で文学部環境地理学科を退職される福島義和先生に捧げます。なお本稿は、平 成29 年度専修大学研究助成「CSA の普及過程と地産地消における CSA の意義」による成果 である。 <注> 1 Henderson (2011) と McFadden (2004) による。とりわけ、後者のインタビュー記録に基づく。 2 彼女は 1997 年に 49 歳で急死し、彼女の息子のディビッドが農場を継いだ。CSA のリソース・センター は、ロビー・ヴァン・エン・センターとして、ウィルソン大学に2001 年から 2019 年まで置かれたが、そ の後、同大学のハンキー・センターが資料を引き継いでいる。
3 Camphill Village Copake HP https://camphillvillage.org/
4 https://www.nass.usda.gov/Surveys/Guide_to_NASS_Surveys/Local_Food/ 4,272 のサンプルについて、 メール、電話、対面、ネットを用いてデータが収集された。LocalFoodsMarketingPractices_Highlights.pdf 5 LocalHarvest の CSA リストより、米国農務省区分による南東部、北東部、北中部、西部の4つの地域 からそれぞれ525 の CSA を選択し、合計 2100 の CSA にアンケートを配付した。495(24%)の回答があ り、地域毎の内訳は北東部100、北中部 119、南東部 87、西部 189 であった。
6 2017 Census of Agriculture Kansas による。 7 US Census による。
<文献> 奥村直巳 2004. 米国における CSA 運動の多様化--生産者と消費者会員の関係性の変化.日 本有機農業学会編『有機農業研究年報vol. 4 農業近代化と遺伝子組み替え技術を問う』 コモンズ,207-219. シューマッハー, E.F.、酒井 懋訳 2000. 『スモール イズ ビューティフル再論』講談社. ソーバー, ジョン 由井寅子日本語監修 塚田耕三訳 2010.『シュタイナーの『農業講座』を 読む』ホメオパシー出版. 根本 和洋・西川 芳昭 2007. オルタナティブな農業のための種子供給システム : ドイツにお けるバイオダイナミック農業の事例調査から. 信州大学農学部紀要 43(1-2): 73-81. 桝潟俊子 2006. アメリカ合衆国における CSA 運動の展開と意義. 淑徳大学総合福祉学部研究 紀要 40:81-100.
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