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(1)

長野工業高等専門学校 ・紀要第31

( 1 9 9 7 ) 1 8 9

極限の指導について

― 無 限 概 念 の 指 導 に つ い て ― 前 田 善 文

Teaching Limit

Teaching of the Infinite Concepts Yoshifumi MAEDA

ml e nS t u de nt s f ai lt ou T l de r s t a r l dc or l C e Pt SO fl L ' mi ta nd

i

T di ni o! .t he ywi / Is z L l ・ e l yh av e d l ji Pc z L l 0, s

tu

d yi T l gdl Ue l . e nt i al andi T J t e gr alc al c u l u s . Howe v e r ,att J E i sc o l l e ge ,wet e ac hmai T I I yI / t ec o mp

u

t al i o T 10 fe ac / 1C at e gor yt ' T I S T e ado fT e ac l H ' T l g e ac ht J l e Or e l i c aL paT li nde t ai l ,be c a7 L S eO fL hes l l O r t a geO fc l as s e s' hou l ・ S .I fe e lt l l at s o meS t u de nt smak et hei l l C Or l ・ L ' C t as s u mpt i o nt j l aEt J l eC O nC e PL so fi n ji ni O, a nde T e T T l i o' af ' e耳 リ1

011ymOIES・

Co ns i de n' n gt her e as o n sme l L t i o ne dab ov e , Imak et hes t l t de T L t S Pl Lqu e s t L ' 01 mai r e sabmL tt hec o nc e pt so f

L

' , Z j i ni O′ aT L d aT l al yz e st he i ro pi m' o npol l .It he nt l u ' nka boz L tWa ysO ft e ac hi 〃 gt hec o , l C e Pt 50 fl t ' mL ' t and i n j i ni y・ AL s o, I' l Lt

F

" ‑ nkove r c e r t ai npoi nt si l lt e ac hi n gt he s ec o nc e pt s .FI L r l he r

,

I' dl L ' k et oc o nt i nu eT os

T7I

d yan ds e ar c hfoT ・ be t t e rwa yt ot e ac J l t / 1 e S eC O T I C e Pt S .

キーワー ド:極限,無限概念,永遠

1

.は じめに

工業高等専 門学校 にお いて,極 限 につ いては関 数 ・数列の極限,無限級数の ところで指導 される内 容であるが,他に も指導す る内容 も多 く授業時間数 の不足 と高専は工学系 とい うこともあ り,指導 も計 算が主体 とな り理論的な部分 を詳 しく指導すること はできないのが現状である. しか し,極限や無限の 概念については学生がここでつまず くと微分 ・積分

などその後の学習に大きな影響を与える.

無限の概念 につ いては,小 ・中学校での算数 ・数 学の授業において 「アキ レスとカ メ」のよ うな話題 として取 り上げ られ るこ ともあるよ うである.小 ・ 中学生には意外なことであ り,話題 としてはお もし ろいのであるが,′J、・中学校の段階では極限や無限 についての学習を していないために理解が不十分で あ り,暖味な印象で終わ って しま うことが多 く,か えって間違った印象を与えて しま うおそれ もある.

また,無限 と永遠 とい う概念 を同義語のよ うに捉 えて しま う学生が少なか らずいるように感 じられる.

以上の理 由か ら,学生 に無限の概念につ いてのア ンケー ト調査を行い,学生の意識 を分析 し,授 業に おいて極限や無限の概念 をいかに指導すべ きか を考 察 し,指導の留意点につ いて考 え, よ り良い指 導方 法について検討す る.

2.意識調査の内容 2‑ 1

基本的な考え

無限や永遠の概念については,無限試行,無限の 集合や空間は存在す るのか,空間や時間の無限分割 はできるのか,永遠 とは何か と哲学的に考 えるので はなく,現実をモデル とした数学 とい う観 点か ら純 粋 に数学的に捉えることにす る.数学では哲学的な 無限や永遠の概念に深入 りす ることな く

,6‑8

論法 な どによって数学的に極 限が定義 され ているが,高 専の授業では

C‑8

論法 を教えることよ り,工学 を勉 強 している学生には直観 的な無限が, よ り数学的な 概念に近い ものとなるよ うに指導す ることが重要で あると考 える.数学的な極限の定義 といって も,本 来は直観的に想定 し得 る無限や無限試行がモデル と +一般科 助教授 (数学)

原稿受付

1 9 9 7

1 0

31

(2)

1 9 0

前 田 善 文

な っているはず である. したがって, ここではこの モデル化 された無限や無 限試行 を数学的に考え,永 遠 を時間的な無限 として考えることにする.

2‑ 2

調査の 目的

1 996

年度においては,次の よ うなアンケー ト調査

1‑ 5

年生に実施 して,学生の意識 を分析 し,指 導 の留意点の考察や指導方法について検討する.

1 99 7

年度においては, 3, 4年生 に

5‑ 2の指導

を実施後に同 じアンケー ト調査 を実施 して学生の意 識 を分析 し,今後の指導に関 してさらに検討す る.

2‑ 3

調査方法 (D 意識調査の対象者

1 996

年度

1

年生

2

クラス (混合学級)

81

2

年生

2クラス (

混合学級)

84

3

電子制御工学科

41

電子情報工学科

43

合計8

4

4 機械工学科

3 8

5

機械工学科

38

合計

325

1 997

年度

3

電子情報工学科

45

環境都市工学科 36 合計81

(3年生の5分の2は前年度2年次の混合学級 に おいて既に意識調査 を受けている)

4年

電気工学科

36

(4年生は全員今回が初めてである)

5

年 機械工学科

31

合計

1 48

(5年生は全員が前年度4年次に既に意識調査 を 受けている)

(調査時の欠席者があるためクラス人数 と異なる) (参 意識調査の方法

1 996

年度

7

月 約50分間で実施.

(2年は関数 の極 限, 3年は無限級数をすでに学習 している)

1 997

年度 10月 約50分間で実施.

(指導後に実施, 5年機械工学科については前年度 指導 してあるので今年度は指導を していない)

B4用紙 1

問題の意味を説明 し (約 10分間), 残 り約40分間で理 由を記入 させた (電卓やポケコン 等は使用可 とした).

(卦 意識調査の問題

問題 1 空気抵抗がないと仮定 して,床か ら5mの 高 さの位置か らボール を落下 させ る.ボールは床に バ ウン ドし,振動が始まる. この とき次の問題 につ いて考 えな さい.

(必要であれ ば重力加速度 を簡単のために 10

m

/52 とせ よ.また,反発係数 を簡単に考えると,反発係 数が1とはバ ウン ドしたボールが同 じ高さまで跳ね 上が り,反発係数が0.

5

とはバ ウン ドしたボールが前

4

分の 1の高 さまで跳ね上がることを意味す る)

(1)ボール と床の間の反発係数が1の とき,ボール の振動は永遠に続 く.

(2)ボール と床の間の反発係数が0.

5

の とき,ボール の振動は振れ幅が減少 していくが,理論的には,わ ずかでも振動は永遠に続 く.

解答項 目

1

正 しい,

2

理論的には正 しいが現実に反す る, 3誤 りである, 4その他

(ここでの現実 とは問題文 中のよ うな理想的世界が あった と仮定 し,その世界を現実 とみ よ)

問題

2

数直線上 (

1

めもり

1

cmlとす る)に A (‑ 2)と原点がある.動点 pは点Aか らスター

トして,初めの

1

秒間は

1 c n ) /

Sの速 さで,次の

1

間は前の速 さの半分で原点方向に運動する, この よ うな運動が継続 して行われ るとき,動点

P

は永遠 に 原点に到達 しない.

(現実の問題ではないので,数学的に (理論的に) 考えよ)

解答項 目

1

正 しい,

3

誤 りである,

4その他 (3

回 目まで,図を描 き動点

P

の動きを説明) 問題

3

数直線上 (1め もり1clttとす る)の原点か らスター トし,正の方向に動 く動点

Pがあ る.初め

1cm1

c m /

Sの速 さで,次のV4cmはV2cm/Sの速 さ,次のy9cmはy3cm./Sの速 さで

( n

回目は

l / n

2col

V n

cm/S速 さで ),次々に点

が動

いてい

くと

き,

この動点 Pは永遠に動き続 ける.

解答項 目

1

正 しい,

3

誤 りである,

4

その他 (3回 日まで,図を描 き動点Pの動きを説明) 問題

4

アキレスの歩 く速 さは

2n l /

S,カメの速 さは

1

M /

Sとするとき,カ メはアキレスより8m手前か ら 出発す ると,実際には

8

秒後には追い越す ことがで きるが,理論的にはアキ レスはカメを追い越す こと ができない.

(ただ し,アキ レス もカ メも歩幅は考 えず,滑 らか に動いているものとする.

lm l /

Sで動けるカメがいる と思って考えよ)

ここでい う理論的 とは,最初の 4秒間でアキ レス 8111進み,カメの もといた位置まで行 く間に,カ メは4111先に進んで しま う.次にまた,アキ レスが カメの位置まで行 く間にカメは2111先に進んでいる.

(3)

極限の指導 について 191

この よ うに,アキ レスがカ メの位 置まで行 く間にカ 解答項 目

メは さ らに先 に進 んで しまってい る.つま り,カ メ

1

正 しい,

2理論的には正 しいが現実 に反す る,

は永遠 にアキレスよ り前 にいることになる. 3誤 りである, 4その他

この理論の正否 について考 えよ.

(3

回 目まで,図 を描 いてアキ レス とカメの動 きを 説明)

3.

意識調査集計結果

()内は正答の理由が正 しく記入 されている数 と全体か らの百分率である.

3‑ 1

解答の集計結果

l 問題1(1)の解答集 計結果

解答番号 1 2 3

4

1996

年度 1 59(57) 72.8%(70.4%) 10 12.3%

l l

13.6% 1 1.2% 2 61(57) 72.6%(67.9%) 18 21.4% 5 6.0% 0 0.0% 3 67(60) 79.8%(71.4%) 6 7.1% 9 10.7% 2 2.4%

4

35(32) 92.1%(84.2%) 2 5.3% 1 2.6% 0 0.0%

5

31(30) 81.6%(78.9%) 6 15.8% 1 2.6% 0 0.0%

253(236) 78̲8%(73.5%) 42 13.1% ̲ 27 8.4% 3 0.9%

1997

年度 3 76(71) 93.8%(87.7%) ‑3 3.7% 2 2.5% 0 0.0%

4

33(31) 91.7%(86.1%) 1 2」8% 2 5.6% 0 0.0%

5

28(26) 90.3%(83.8%) 3 9.7% 0 0.0% 0 0.0%

表2 問題1

( 2 )

の解答集 計結果

解答番号 1 2 3

4

1996

年度 1 31 38.3% 30 37.0% 17(1) 21.0%(1.2%) 3 3.7% 2 34 40.5% 35 41.79 13(1) 15.5%(1.2%) 2 2.4%

3 25 29.8% 36 42.99 20(1) 23.8%(1.29) 3 3..69

4

15 39.5% 15 39.5% 7(0) 18.4%(0.0%) 1 2.6%

5

28 73.7% 9 .23.7% 1(0) 2.6%(0.0%) 0 0.0% 合計 133 41.4% 125 38.9% 58(3) 18.1%(0.9%) 9 2.8%

1997

年度 3 31 38.3% 4 4.9% 45(20) 55.6%(24.7%) 1 I.2%

4

16 44.4% 3 8.3% 17(ll) 47.2%(30.6%) 0 0.0%

5

2 6.5% 1 3.2% 28(16) 90.3%(51.6%) 0 0.0%

表 3 問題 2の解答集 計結果

解答番号 1 2 3

4

1996

年度 1 34(1) 42.0%(1.2%) 44 54.3% 3 3.7%

2 45(9) 53.6%(10.7%) 36 42.9% 3 3.6%

3 35(9) 41.7%(10.7%) 46 54.8% 3 3.6%

4

21(5) 55.3%(13.2%) 15 39.5% 2 5.3%

5

24(4) 63.2%(10.5%) 14 36.8% 0 0.0% . 合計 157(28) 48.9%(8.7%) 157. 48.9%

ll

3.4%

1997

年度 3 50(28) 61.7%(34.6%) 31 38.7% 0 0.0%

4

17(8) 47.2%(22.2%) 19 52.8%

0 0.0%

5

16(12) 51.6%(38.7%) 15 48.4% 0 0.0% 合計 83(48) 56.1%(32.4%) 65 43.9% 0 0.0%

(4)

1 9 2

前 田 菩 文

表4 問題3の解答集計結果

解答番号

‑1 2 3 4

1996

年 度

1

65( 0) 80. 2%( 0.

0%)

8 9.9 % 8 9.9%

2

69

(1)

82.1 %( 1.2 %) 7 8.3% 8 ̲ 9.5%

3

47

(1)

56.0 %( 1.2 %) . 29 34.5% 8 9.5%

4

26( 0) 68. 4%( 0.

0%)

9 23.7% 3 7.9%

合 計

238( 2) 74.1 %( 0.6 %) 58 1 8.1 % 29 9.0%

1 997

年度

3

53( 25) 65. 4%( 30.9 %) 26 32.1 % ‑ . 2 2/5%

4

28( 1 7) 77.8 %( 47. 2 %) 8 22.2% 0 0.0%

5

23( 1 8) 74.2 %( 58.1 %) 8 25.8% 0

.

:0.0%

5

問題

4

の解答集計結果

解答番号

1 2 3 4

1 996

年度

・̲1

3 3. ' 7 % 39 48. . 1 % 35(7) 43. 2 %(8. 6%) 4 4.9%

2

・1 0

l

l .9 % 31 36.9 % 37( 1 5) 44. 二 o

( 1 7.9 %) 6 7.1 % 3

■ 4■ 4.8 % 30 35. 7 % 48( 1 5) 5ケ.1 %( 1 7.9 %) 2 2.4%

4

3 7 ト .9 % 1 9 50.0 % 1 3(8) 34. 2 %( 21 .1 %) 3 ‑7.9 % 5

3 7.9 % 1 2 31 .6 % 21( 1 4) 55. S ワ も ( 36. 8 %) 2 5.3 %

1 997

年度

3

23 . 28. 4% 7 8.6 % 49( 22) 60. 5 9 も ( 27. 2 %) ̲ 2 2.5 % 4

1

2.8% 2 5.6 % 32( 1 0) 88. 9 %( 27. 8 %)

1

2.8 % 5

2 6. 5% 3 9.7 % 25( 1 0) 80. 6 %( 32. 3%) 1 3.2%

3‑ 2その他の項 目と解答分類

表6 解答理 由の無記者人数

問題

1( 1

) 問題

1( 2)

問題

2

問題

3

問題

4 96

30( 9. 2%) ̲ 39( 1 2.0%) 38

(l

l .7 %) 80( 24.6 %) 76( 23. 4%)

表 7 アキ レス とカメの話 を調査以前に聞いたことの有無

小学校のとき 中学校のとき 高専に入 つてか ら 正答 率

1 996

年度 聞いた こと有聞いた こと無

1 33( 60( 1 49. 0. 2 29 %) も ) 39( 1 2.0 %) 93( 28.6 %) 49.7% 45.0%

1 997

年度 聞いた こと有

1 4(9. 5%) 3 p 7( 25. 0 9 L i ) 78( 52.7 %) 50. 4%

正答率 とは.解答理 由は ともか く,それぞれ の中での解答3(正解) を選んだ者の率である.

表8 問題2, 3の解答相 互の関連 について (解答分類 )

解答分頬

1 .1 1 .3 3 .1 3 .3

1996

年度 理 由を誤 った者全体

1 80( 20( 24 30.0%) 56 46.7%) 23( 1 2(5 41 1 4 60.9%) .7 %) ‑ 11 1 02( 4( 5144.7%) 3938.2%) 32( 27( 1 1 5 46. 0 37.09 9%) も ) 1 997

年度 全体

60( 41 68.3%) 23( 1 8 78.3%) 44( 3068. 2%) 1 9( 1 3 68. 4%)

(5)

極限の指導について

ただ し,表

9

の上段の解答分類

1・3とは問題 2

で解答

1

,問題

3

で解答

3

を選択 した ことを意味す る. ()内は問題

4

で解答

3

(正解) を選んだ者の 数 とその分類の中での百分率である.

理 由を誤 った者 とは,問題

2, 3, 4の理 由のすべ

てを間違えた者 を対象 とした.

3‑3

主な解答理由 問題1(1)の解答理由

☆解答1を選択 した理由

①バ ウン ドした後,同 じ高 さまで上が るので同 じこ との繰 り返 しで永遠に続 く.

(2:)エネルギー損失がないのでエネルギー保存の法則 より振動は永遠 に続 く.

(表現の違 いは多少 あるが,以上のよ うな理 由が多 かった.これは正解 とした)

☆解答2‑ 4を選択 した理由

①空気抵抗がな く,反発係数が

1

であることはあ り えない. (確かにその通 りではあるが,問題に設定 された仮定の上に立って考 えよ うとしていない. こ の ことにつ いては,問題 を解説す る中で, この理想 的世界を現実 と考えるよ うに説明をしてある)

②重力によって止まる.

人工衛星が重力に捉え られ落下す るようにいつか は止まる.

(この理由は

1, 2

年生 に多い.

1

年生はすでに落 下運動は学習 している)

③衝突による熱エネルギーの損失によ り止まる.

問題

1( 2 )

の解答理由

☆解答

1, 2

を選択 した理由

①床 とボールの距離が半分,半分 とな り()に近づ く (収束する)が,()とはな らないので永遠に続 く.

☆解答

3

を選択 したが間違 った理由

①重力によって止まる.

(問題1(1)と同 じであ り,同一人物が解答理由とし てあげている)

②床 とボールの距離が半分,半分 とな り0に近づ く (収束する)ので止まる.

③エネルギーが減少 していくのでいっかは止まる.

(時間を無視 している.一定時間にエネルギーが

4

分の1になっていくのな ら理論的には止まること がないことに気がついていない)

問題

2

の解答理 由

☆解答1を選択 したが間違った理由

C { )

, E .

‑2

であるが・極限であるので到達 しない・

(表現が唆味で正解 ・不正解の どち らとも判断す る ことができない解答 もあったが,経過時間について

1 9 3

考えていないものは解答理由を間違いとした.3‑

5

年生に多い)

②原点までの残 りの距離は

, I , t n t , ≠ ‑

oであるが・極

限であるので到達 しない.

(① と同 じ理由で不正解 とした.低学年では

1 i m

使 って書かれてはいないが, この理由が多い)

③速度が,

怒声 ‑0

よ り・途 中で止ま り,原点には 到達 しない. (ごく少数)

☆解答

3

を選択 した理由

t

'

^ D,

E. =2であるので 到達す る・

②原点までの残 りの距離

声 ‑0

であるので到達 す る.

(診速度が Oにな らないので,少 しづつではあるがい つまで も動き続 け原点に到達す る.

問題

3

の解答理由

☆解答

1

を選択 したが間違った理由

①速度が

l i m⊥=0

であるが,極限であるので絶対

71う V)

l l

0にはならないか ら永遠に動 き続 ける.

(速度が 0にな らないので,少 しづつではあるがい つまでも動き続 ける)

☆解答

3

を選択 した理由

①速度が

l i m⊥=

0であるのでいつかは止 まる.

1卜 ◆CO

l l

問題

4

の解答理由

☆解答

3

を選択 したが間違 った理由

8秒後には同 じ位置にな り, 9秒後には追 い越 し ているか ら.

(正 しいのであるが, この理論について正否 をきい ている問題の意味を正 しく理解 していない.最初の 解説では,この理論が正 しい と思 う者は解答

1

2

,

この理論 自身の矛盾点を見つ けた者は解答

3

を選択 するよ うに説明 した.理 由を間違 えた者の大多数が

これ と同様な理由を挙げている)

(2)カ メを意識 しなければ追い越せ る. (少数)

4.意識調査の考療

学生にとってこの意言放調査の問題に対す る反応は, 興味を示さず解答 を短時間で選んで終わ りと して し まった者 もわず か にいたが, 多 くの学 生 は興味 を 持って取 り組んで くれた.約50分で実施 したが理 由 を記入するには時間的に厳 しかったよ うである. 漢 た.説明は加えたが十分ではなく.問題

1

の文 中の

(6)

1 9 4

前 田 善 文

現実の意味がはっき りしなかった面があったよ うで ある.数学ではあま り時間的 な概念 を扱わないので 最初 に物理的な例か ら出題 したが,かえって物理的 な ことがわか らないために混乱 して しまった者 も少 数いたようである.

4‑1 1 9 9 6

年度意識調査の考察

問題

1

(

1

)は高い正解率でほぼ理 由も書けていたの だが

, ( 2)

については正解率が低 く,理 由を書けた者 1%に満 たなかった(3.).実際にボール をバ ウ ン ドさせた とき,ボール の振動は止まって しま う.

この現実 を どの よ うに学生が考えているかが よく分 かる. この設問では

5

年 生だ けが

3と解答 した もの

が少ない.現実 においては,すべて抵抗や摩擦 によ るエネルギー損失によって止まると考えているため, 空気抵抗がないか ら止ま らないと考えたよ うである

(実際には反発係数 が

1 / 2

か らエネル ギー損失があ る).また,指数関数 x

‑ V4

Lや x=e‑

r t s i n( o

Jの よ うな減衰振動の印象が強かったのか もしれない.横 軸 を時間軸 に しボールの頂点の高 さを縦軸方向に と ると, この点は時間軸に揺す る2次関数のグラフの 上にある.頂点の高 さが

V4

ずつ とな り,時間 を無 視 して考 えて しまい指数 関数 と勘違い しやすい.た しかに実際 には,速度が0に近い,または振幅が0 に近い ところ (微小の世界) では速度や振幅が大 き い ときの理論 と違 ってこの理論通 りにはいかない.

このよ うな ことか ら, 5年生 は解答

3

を選択 した者 が少なかったよ うである.

問題

2, 3

は理論的 (数学的) に考 えることを期 待 し,解答 の選択肢か ら2の理論的に正 しいが現実 に反す るとい う項 目を削除 したが,解答理由の中に はこち らの意図に反す る もの もあった.この2間は 現実 とはか け離れた問題 であ り,特に問題

3

は黒板 に大きく図 をか き説 明 したが意味を捉 えに くかった ようである.

問題2については,収束す なわち到達 と考 えての 間違い と収束 して も極限であるか ら到達 しない と考 えた者がほ とん どであ り,経過時間について考 えた 者 は少ない.特 に

3

年生 は無限級数 を学習 した直後 であ り,極 限値 のみ を計算 し即座 に到達す ると考 え て しまた者が多かったよ うである.

問題

3

は直感的に考えた者が多かった (理 由無記 入者

2 4. 6 % )

.これ も収束についての考え方は問題

2

と同 じである.無限級数 を学習 した後の

3

年生以上 の方が収束すなわちその値となる (到達す る) と考 える者 が多 くなっているように思える.これ は関数 の極限 と無 限級数の意味の捉 え方の違いにあるよ う に思われ る.関数の極限にお いては収束す るとき,

極 限値が関数の値 となるのは連続 の場合だけでであ るため,極限値 とはその値に近づ くがその値 とはな らない とい うことが強調 され,逆 に数列の極限,無 限級数 においては収束す るとき,その値 となるとい う印象 を強 く受 けるためではないだ ろ うか (マ ク ロ‑ リン,テー ラー展開など). この問題 は有限の 距離を無限の時間をかけて動 く例 として考 えた.現 実のこのよ うな運動の簡単な例があれば良かったの だが.

問題

4

については,理 由まで正 しく書けた者の率 は学年 を追 うごとに高 くなってきている.また

, 3

年生で解答

3

を選んだ者 の率が他学年 より高い理 由

,1 9 9 6

年度3年 になって4月の初めに他 の授業で この話 を聞いているためである. しか し,それに し ては正答率は低 いといえる.

3

年生に限 らず調査以 前にアキ レスとカメの話 を聞いた ことのある者で も 残念なが ら正答率は

4 9 . 7 %

と低 く,聞いたことのない 者の正答率

4 5 . 0

9は 大きな違いはない.興味がない者 にむ りや り話を して も意識の中に残っていかないの だろうか.

問題

2, 3, 4

の解答 の関連について考 えると, 学生の意識 をある程度分析す ることができる.表

8

の理 由 (問題

2

, 3, 4)がすべて書 けなかった者 や誤った者について考察すると,

(D解答分類

1・1

(問題2で解答

1

,問題

3

で解答

1

)は,時間的なことはいっさい考慮せず,収束 し て も極 限であ り,その値 に近づ くだけでその値にな ることは絶対にない とい う考 えである.

②解答分類

1・3

はごく少数 である.論理 が矛盾 し ているよ うに思 えるが, 問題

2

は速度が 0に収束す ることより,原点に到達する前に途中で止 ま り,局 点には到達せず,問題3につ いて も同様に速度が0 に収束す るのでいつかは止まるとい う考えである.

すなわち,収束すなわち到達またはその値 となる と 考えている.

③解答分類3 ・1の約半数近 くの者は速度 が 0にな らないので少 しづつではあるがいつまでも動き続 け, 問題

2

では原点に到達 し,問題

3では永遠 に運動 を

続 けるとい う考 えである (速度だけで考えている.

主に

1 ・2

年に多い).残 り者は問題

2

では距離 に つ いて無限級数 の値 を計算 し,収束すな わ ち到 達 (速度 も0近づ くのでち ょうど到達) と考 え,問題

3

では計算ができなかったので速度だけを考え,逮 度が 0にな らないので少 しづつではあるがいつ まで も動き続 けるとい う考えである.後者 は,問題

3

勤点の移動距離が有限 (士7(‑)であることわかって いれば解答の選択が違っていたと思われる.

(7)

極限の指導について

①解答分類

3 ・3は少数 であるが,その理 由は単純

に収束すなわち到達また はその値 となるとい う考 え である.解答分叛 1 ・3と考 え方 は同 じであるが, その相違点は速度だけで考えた場合 と問題2は距離 で問題

3

は速度で考 えた場合の違いである.

⑤理 由を誤 った者の各分類の 中でみ ると,問題 4の 正解率は収束すなわち到達またはその値 となると考 えている者の方が少 し高いこ とがわかる (このよ う に教えた方が良いとい う意味ではない).

4‑ 2 1 997

年度意識調査の考察

5

年生 につ いては前年度に解説 してあるため,調 査時に注意 として. 「収束す なわち到達」 と 「収束 して も近づ くだけである」の どち らか一方の考え方 に固執せず場面によっていずれか判断す ること, こ の間題の よ うな理想的世界で これ らの実験 を行い.

純粋 に数学的な立場で観測 していると想定 し考える ことの

2

点について話 した.

3, 4

牢生については 極限についての指導後に実施 したためか,前年度調 査 よ り全体的 に解答および解答理 由の正答率が高 く なっている.各年度の合計は実施学年 に違いがある ため,単純には比較できないが対応す る学年 ごとに 比較 して もそれぞれ高 くなっているといえる.問題 により差があるが著 しく高くなった項 目もある.

また,経過時間 を計算 しよ うとして計算式や計算 を間違 えた り,距離を時間 と勘違 い して求めこの現 象が起 こるのは何秒以内であると理由を記 している 者 もいた.考 え方は正 しいのだが正答 とは しなかっ た.これ らの結果か ら,極限や収束の概念 のおお よ その意味を直感的に理解 できた者 は増 えてきている

と推定できる.

解答理由の無記入者の割合が減 っている. しか し, 問題 4については解答理 由の無記入者 は前年度 とほ ぼ同 じ割合であった.これは解答時間の制限があっ たかめか,問題

1‑ 3までの理由をか くのに手間取

り時間不足であった と考えられる.

問題1(2),問題3は前年度調査では解答理由がほ とん ど間違 っていたが,両問 とも今回の調査では全 体で約

3

分 の

1, 5

年生は半数以上が解答理由が正 しく書 けてお り,指導の効果があった と感 じられる.

問題 2の解答理 由の正答 率が 4, 5年生は他の問 題 より良くない.問題文が (黒板 に描 いて説明 した 図 も)

1

秒 単位 に物体の運動を記述 しているので.

この表現のため距離や速 さにばか りに 日を向け,距 離の総和や速 さの極限の計算 を して しま う誤答が多 か った.か えって.教える側が単純な問題 と考 えて いるものの方が学生に とっては落 とし穴なのか もし れない.

1 9 5

参考までに今年度,大学生 (2年生71名) に も同 じ意識調査を前年度 と同 じ方法で実施 してみたが, 前年度の3, 4, 5年生 と大差のない結果であった.

極限や無限についての理解度が,高専だか ら特別惑 い とい うことも特別 良い とい うこともない と考 え ら れる.

最後に,普段の授業で もこち らの指導 した ことを すべての学生が受 け入れ ,理解 して くれ る ものでは ない よ うに,今 回の指導 も解答理 由の正答 率が高 まった といって も学生全体か らみれば

3 0 %〜5

0%であ り,少ない といえば少ないのだが,少 しで も多 くの 学生に徐 々にではあって も理解 を促す努力が重要で

あると考える.

5.

指導上の留意点 と指導方法

5‑ 1

指導上の留意点

関数の極限,無限級数 につ いて,使 う場面の違 い によるためか捉 え方 に意識の違いがあるが,本来は どち らも考 え方は同 じであるので,統一的な指導の 必要性を感 じる.

1 99 96

年度は予想通 り,無限回試行すなわち永遠の 時間 を要す る と考 えている学生が多か った. した がって, 17うCOが時間的な ものではな く (この記法 は果て しな く続 く一 永遠 とい うイ メー ジに誤解 され やすい),直観的には試行がある意味で有限時間内 に無限回行われ ると想定 され ていることに注意 を促 す必要 もあると考 え られ る.そのために i).アキ レ ス とカメのように無限回の試行の後に さらに続 く事 柄があるとい う概念 を理解 させ るために, に日まで0) 無限順序数 (初めの部分 だけで も) を導入す るの も よいのではないだろ うか と考 える.

数学においては時間的な ことが らにつ いてはあま り扱わないのが普通であるが導入時に例をあげて説 明 した方が良いのではないだろ うか.高専にお いて はより現実的な問題 を扱 うことが多いため,物体 の 運動等を考えるとき,極限が収束すなわち到達する.

収束 して も近づ くだけで到達 しないとい う両面の考 え方ができるよ うに指導する必要があると思われ る.

5‑2

具体的な指導について

1 9 9 7

年度においては, 3, 4年生にこの調査 を実 施す る前に1時間の授業 を使 って次の よ うな よ うな 内容を指導 した.

(1)現実のモデ/レ化

教学は現実 をモデル として,現実 を抽象化,理想 化 した理論的体系であること,数学の中で推論 され た ことがフィー ドバ ックされ現実a)世界に適用で き ることにつ いて説明 した.具体的な例 として面積 な

(8)

1 9 6

前 田 善 文

どを取 り上げ以下のよ うな説明をした.

(2)現実のモデル化の具体例

現実の広が りを表わす ものと して,長方形の面積 か ら考 え (基本的な考 えである面積 ‑縦 ×横がなぜ 現実の広が りを表わすのかまで と加法的性質 を有す ることは説 明できなかった), 円の面積の計算公式 については,円の中心か ら放射状に

2

m等分 し切断 し て交互 に並べ長方形 に近 い形を作 り (近似的に)面 積 を考 えることができることを説明 した. (説明は できなかったが

,

O‑加法性 を仮定 し)区分求積 に よる面積の求め方が積分 に拡張 されていることを説 明 し, これ らのすべてが極限や近似に関連 している

ことに注意を促 した.

( 3)

無限和について

CO )7

,E. ‑2につ いては,本来は部分和k! . 2 に近づ いてい くとい う意 味であるが,無限回の足 し 算が実行 された と直感的に考えることも可能である.

現実にはこの無限回の足 し算は実行不可能であるが, ある意味で現実のモデル となっていると考 えられる.

具体的にはこのことについては

( 5 )

で説明を加えた.

これはた とえば,アキ レスとカメやボールa)バ ウン ドもそのひ とつ といえるがここでは調査項 目と重な るので これ らについては調査後に問題 を解説す る中 で説明をす ることに した.

(4)E()までの順序数について

有限時間内に無限回の試行が実行可能であるとい うモデル を考 えるには, 自然数だけで回数 を考 えて いるのでは現実 をモデル化す ることはできない.そ こで

, I,2

,

3,4

.‑‑

,

)

,a+1.a+2 , ・

・・ の ような順序回数 を考える.ここでの 0)は今 までの

∞ と同 じ意味で考 えることにす る.これは次の集合 の中に大小関係で順序 をいれたものと同 じである.

集合

( m‑ 1 / n l m‑I

,

2

,,n‑2,3,)

これは

.

Guまでの順序数 の うち

,o )

Oまでの順序数 であるが授業においては

m=1 , 2

の ときの

2

(Oまでの モデル について扱 い,混乱を招かない程度の説明に 留めた

.

i:Oまでの順序数 を実数の中に埋め込むこと は可能であるが,極限や収束の概念を指導する上で は必要 はない. しか し

, 2

0

) , 3

0)程度 は指 導 した方 が良いと思われ る.

( 5)

収束に関するす るス ピー ド

現実の具体例ではないが,数学的に物体の運動の 次のよ うな例を挙げて,

(》原点か らスター トし,初めの

1

cn)

1 c n l /

Sの速 さ で , 次 の

y2

cmは

岬 c m /

Sの 速 さ, 次 の

y4

cmは

y9 c m /

Sの速 さで

(

n回 目は

V2 〝

cml

V3 nc " /

Sの速 さで),運動 した ときの物体の移動距離,収束点 と経 過時間を説明 した.

(2)原点か らスター トし,初 めの

1

cmは

1 c m /

Sの速 さ で , 次 0)

V3c m

y2c n l /

Sの 速 さ, 次 の

V9c

llI

V4

cIII/sa)速 さで

(

n回 目は

V3' 'C

"をV217C…/sa)逮 さで),運動 した ときの物体の移動距離,収束点 と経 過時間を説明 した.

この物体の運動 を考 える といずれ も有限a)距離 を 物体は速度 を落 としなが ら収束 していくが,収束す るのに (有限の距離 を移動す るのに)①は無限の時 間 を要 し,②は有限時間内に収束す る.この ことか ら直感的に考えると収束 とは,近づいてはい くが到 達 しない,近づ き最終的に到達す ることをモデル化

しているといえることを注意 した.

収束すなわち到達」, 「収束 して も近づ くだ け である」とい う両面の考 え方 を場面によって判断 し, 一方の考え方に固執 しないことを強調 し指導す る.

( 6 )

近似値計算について

内容的には(5)の意味 とは異なるが,極限の収束の ス ヒ‑ ドa)具体的な例 として 7ta)近似値計算 を散 り 上げた.

V L L ・x

2

) ‑I ‑x

2

・x

4

‑x

6・‑ ‑ を0‑ 1まで広義積 分 し,無限級数7

4 4=

V3

+

y5‑V7

+‑ ・・を導 き 出 して,これを利用 した近似値計算の方法 と

Ta n l x=x‑r 3 / 3+x 5 / 5‑x 7 / 7

+・‑ であることと

7 4 4‑4 Ta n ‑ 1 ( y5 ) ‑Ta n ‑

I

( V239

)を利用 した近似値の 計算の方法を示 し,近似値計算で収束するスピー ド がいかに重要か指導 した.

ここでは説明す ることができなかったが.これ以 外 に関数列の収束に関す る各点収束,一様収束 な ど について高専では詳 しく取 り扱わない内容であるが, 指導す る必要性 を感 じる.

5‑3

指導の効果について

アンケー ト集計結果や考察 にも記 したよ うに,解 答理由の正答率

1%程度 であった問題 が25%〜50%

前後 となるな ど, このタイプの極限についての理解 に対 して効果があった考えられる.

6.

今後の課題

このアンケー ト調査の分析,無限や極限の概念 を 理解 させ るために,各点収束や一様収束の概念 も含 め各学年 ごとに学年に応 じた教材 の選択や指導方法 を工夫 して指導案 を作成 し,工学 を勉強す る学生に 適 した授業を実践することが重要であると考え られ る.このことについては現段階ではまだまだ十分 と はいえず今後の課題 とし継続 して考えていきたい.

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