奈良教育大学学術リポジトリNEAR
実習授業の指導評価におけるカテゴリー
著者 樫岡 健史, 吉田 武尚
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 41
号 1
ページ 249‑269
発行年 1992‑11‑25
その他のタイトル Study on the Category for Guidance Evaluation in Teaching Practice
URL http://hdl.handle.net/10105/1762
実習授業の指導評価におけるカテゴリー
樫 岡 健 史* ・吉 田 武 尚
(奈良教育大学技術科教育教室) (平成4年4月30日受理)
I.は じ め に
授業(指導・学習過程)の諸活動は多くの要素の相互作用によって条件づけられており、授業 の全体構造をとらえることは大変な難しさをともなう。特に中学校技術教科は実技を通して技能 や知識の習得をめざしていること(2)から、指導や学習の過程を改善するために必要な情報の収集 はより難しくなる。けれども、よりよい指導・学習過程を確立させること(1)を考えるならば、指 導者自ら行う授業分析手法は、学習者の反応やVTR 録音器などによる記録を再生することか
ら可能となる。
一般的にカテゴリーによる授業分析は、授業内の指導に関わる活動をその内容からそれぞれの カテゴリ‑に分類して定量的にとらえ分析をすること3),(5)である。これまで授業におけるカテゴ リ一分頬は、実習をともなわない授業をtp'frになされていたため、実習指導をとらえる分類項目 はほとんど考慮されてこなかった。そのため、授業分析の内容に主に言語活動を中心に取り扱わ れていた:3>,(s)。
そこで、実際に行った授業をその指導活動ごとに細目として記述し、それらを分類することか ら「実習授業におけるカテゴリー抽出」(4)の分類項目と比較し、再度各カテゴリ‑項目を見直し た。このことにより、口頭による説明や板書などとは異なる言語活動によらない活動(非言語活 動)、すなわち演示や実物提示など、基本的に「まねる」ことを通して学習される中学校技術教 科の授業分析カテゴリ‑として有効なものとなった。
また、これまでカテゴリー分類による授業分析法は、それぞれのカテゴリーの出現の割合に注 目しすぎるあまり、授業の流れやそれぞれのカテゴリーの有効な結合をとらえる視点が欠けてい た(3)。本研究では前述のカテゴリー分類を用いて、それぞれの指導カテゴリー項目がどのような 順序でどれくらいの時間実施されているかを一目で把握できるようにするためグラフ化する手法
を開発した。さらに、各カテゴリーの連続性をとらえることが有効な指導法の発見につながると 考え、授業におけるカテゴリーのつながりとその量をわかりやすく表示する方法についても考案
した。このことから、実習をともなう授業分析に効果的なカテゴリー分類・分析法として提示す ることができた。
ホ現在、奈良市立三笠中学校教諭
249
250 樫 岡 健 史・吉 田 武 尚
Ⅱ.方 法 1.カテゴリー項目の設定
カテゴリー項目の設定は、実習を含む授業を設計・実践し、その授業記録(VTR)から指導 活動をひとつひとつ拾い上げ(資料1)、他の実習を含む授業の観察とも合わせ、先に行った
「実習授業におけるカテゴリー抽出」(4)における分類項E]を参考に、指導者と学習者の主要な活 動の共通点から分類できる最少の項E]数になるように設定し直した。設定したカテゴリーの各項 目とその内容を表1に示す。
表1 カテゴリー分類
分類 記号 カテゴ リI 定 義
情 ォ 提の 示 堤 起
A 板 書 黒板 とともに、教科書、 プ リン ト及び印刷物 (掛 図を含 む) など を用いた講義 . 説 明
B W O R D 言語 による講義 . 説明
C 実 物 教材 を提示 しての講義 . 説明0 またその準備
D 実 験 機器 . 教具 を使用 しての講義 . 説明 (計測実験 を含 む)0 またその 準備
要
E 発 問 単純発 問や思考発問 ( これ らの採用 . 抑 制 . 評価等 を含 む) によ る学習者へ の問いかけのすべて
F 誘 導 発問をよ り理解 させ るための誘導的活 動0 実 習において意図す る 請
の 行
方 向へ 向かわせ るための助 言
G 指 示 . 抑 制 学習行動 に対す る指示 . 禁止 . 賞賛等 の活動
H 反復 . 修正補足 色 々な方法 による再度の講義 . 説 明や実 習に も必要 な補足及 び修
動 正
I 点 検 . 確 認 ノI ト. プ リン ト記入の際の確認 、実 習における計測 や機器等の 使用法 に誤 りがな いかど うかの確認 と実習時 における個別指導 反 J 適 合 的 反 応 学習者 の反応行動の内、指導者 の設定 した学習条件の枠内で行わ 応
応
れる行動
K 創 造 的 反 応 学習者 の反応行動の内、学 習者 自身 の自主的 な判断、推理、発想
答 による行動
汰
黙 L 沈 黙 上記項 目以外の指導者 . 学習者 の行動
2.カテゴリー項目の検討
設定したカテゴリー項目が、授業における構造的な指導の改善に有効なフィードバック情報を 与えることができるかどうかを検討するためにその指導活動の分析に適用した。
授業の様子はVTRにより記録した VTRは授業における指導者と学習者の活動が同時に記 録できるように配置した。各カテゴリー分類はVTR記録の再生を通して4秒ごとに行い、その 順序と共に記録した。 4秒ごとに分類するのは、授業観察からひとっひとつの活動が4秒以上の 時間を要するものが多く、 4秒で区切ることにより同一時間帯に複数のカテゴリーが分類される ことを避けることができるためである。このカテゴリーデータの質と量に着目して時系列、及び
カテゴリー出現の割合から授業における指導者の指導過程を分析した。
また、指導項目について、学習者に対するアンケート(資料2)の反応からも各カテゴリーの 出現の状況を求めた。さらに、授業設計とは無関係な複数のベテラン教師の合議により設計授業 の指導案から各カテゴリーの出現の状況を予想してもらい、 VTR、学習者のアンケートと合わ せ、 3者の比較により出場割合を検討した0
3.授業設計
授業は、中学校技術・家庭科の電気領域から「直流電源装置の設計・製作」を単元題材に設定 し、以下のような内容で設計した。その詳細は学習フローチャート(貿料S)に示す。
1)電源装置の働き 2)電源装置の内部構成 3)回路の設計
4)電源装置の組み立て 5)点検・試験
6)まとめ
実際、学校現場では1 ‑2の単位時間で授 業が展開されるため、授業記録の収録とその 分析量から考えると単元題材を最初から最後 までひと通り継続して扱うことは困難である。
そのため特に教材、教具を工夫し、連続した 6時間(1日)でひと通りの単元題材を指導 できるように設計した。授業で用いた教材の 一部を写真(図1)に示す。教材及び教具の 設計・製作にあたって基本となる工夫点は、
1)より目的到達を高めるもの、 2)原理・
構造が実物と基本的に同じであること、 3) 取り扱いが簡単で頑丈であること、 4)誰に
も簡単に製作でき、かっ安価であること、の 4点である。また、電気の実習においては、部品の名称、役割、図記号、規格等を確実に把握さ せること、作業を正確かつ迅速に行わせるために学習プリント(資料4)を併せて作成した。
4.授業実践
授業は市立中学校第2学年男子生徒11名を対象に実施した。生徒は電気領域を末だ履修して いない者で6時間の授業に連続して参加できる希望者である。
授業後、その効果を確認するため、学習問題(資料5)を実施した。
5.カテゴリー分析プログラムの作成
短時間でカテゴリー出現の割合や、その時系列分布を分析しやすくするためにパーソナルコン ピュータによる分析プログラム"CATEGORY を作成した。プログラムではカテゴリー出現の 割合等の集計と共に、それを見やすい形で簡単にグラフ化できるようにした。分析プログラム
252 樫 岡 健 史・吉 田 武 尚
"CATEGORY"についての詳細は後日報告する。
Ⅱ.結果及び考察
1. VTR記録による分析
VTRによる授業記録を観察し、すべての活動を4秒ごとに各カテゴリー項目に分類した時系 列データを分析プログラム"CATEGORY"を用い集計した。カテゴリー出現の割合は表2にま た、その時系列による出境状況は図2に示す A‑Lの記号は各カテゴリーに対応する。
カテゴリー出現の割合は、各カテゴリーの「総数」と共に、連続して現れる同一カテゴリ‑を 1回とする「回数」についても集計した。これにより、表2から充分時間をかけた"実物"提示 (C)や繰り返ひのないてきぱきとした"質問(E)の様子などを読みとることができる。
表2 カテゴリー出現率
総数[ %] : 回数[ %1 : 平均時間 総時間(sec.)
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図2 カテゴリ一出現状況
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表3 連続カテゴリー出現度数
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図3 連続カテゴリー出現率
図2は縦軸に各カテゴリーを、横軸に記録順序(1回4秒の時間軸)を取り、授業全体のカテ ゴリーを‑Ejでとらえることができるようにした。これにより、カテゴリー出現の割合だけでは とらえにくい授業全体の流れを見ることができる。前半の"実験(D)を織り込みながら
"WORD" (B)を中心とした流れから、後半の作業、つまり"点検・確認(I)しながら"適合 的反応(J)を繰り返すというような授業展開であることがわかる。
さらに、授業における指導の流れをとらえるためには各カテゴリー間の関連をとらなければな らない。表3、図3に連続する異なるカテゴリー出現の度数、及び割合をマトリックスに表した。
学習者の"創造的反応(K)を例に取ると、 "創造的反応" (K)は学習者の"適合的反応" (J) から生じる割合が最も多く、 "創造的反応(K)に対しては指導者の"WORD" (B)による対 応が最も多いとみることができる。
しかし、こういった全体図からだけで各カテゴリー間の密接な関係をとらえることは困難であ
254 樫 岡 健 史・吾 田 武 尚 る。そのために"CATEGORY"においては
前述の時系列グラフに各カテゴリーに対応し たカラー表示を付け加え、カテゴリーの変化 を一目で読み取れるようにした(本稿では印 刷の都合上モノクロで表示している)。さら に、任意の3種類にわたる連続するカテゴ
リーの変化をとらえる3連続パタ‑ン検索シ ステムも対応させた。前述の"創造的反応'' (K)を例にすると、 2連続パターンの分析 では学習者の"適合的反応(J)から生じた
"創造的反応(K)に対してどのように対応 がなされたかを読み取ることはできなかった
表4 3連続パターン
Pattern : Position (No.) : SUM
∫‑K‑A :
K‑B : 5 り] 7 0 0 8 9 4 5 3 2 5 7 4 3 0 5 7 2 4 3 7 7 8 3 0 3 7 9 2 1 3
J‑K‑C : J‑K‑D : J‑K‑E :
∫‑K‑F :
∫‑K‑G : 5304
∫‑K‑H :
J K 1
J‑K‑ J 2379 J K‑‑L :
i
‑ サ t
>
O O O O r H O O
が、 3連続パターン検索の結果、表4のようにそのほとんどが"WORD" (B)で対応されてい ることが分かる。表4のPosition (No.)は記録順序を表している。
2.学習アンケート及び学習問題について
学習アンケートは授業案をもとに各項目を設定し、それぞれの項目を各カテゴリーに対応させ た。実際の授業ではこれらの項目が行われていない場合や行われていても学習者に認識されてい ない場合がある。そこで、学習者のチェック有りを正反応とし、各項目について70%の正反応 が認められる項目について集計し各カテゴリーの出現率を表した。結果を表5に示す。 ( )杏 付した番号は学習者により棄却された項目である。これらをVTRの記録により確認したところ、
表5 アンケートによるカテゴリー出現の割合
分 類 記 号 カ テ ゴ リI 学 習 ア ン ケ ー ト項 目 番 号 合 計 割 合 ( % )
情 報 の
A 板 書 13 , 16 , 2 3 , 30 , 3 5 , 3 7 , 3 8 , 4 0 , (4 6 ) , 5 5 , (6 4 ) , ( 7 2 ) 9 l l .8 B W O R D 2 , 3 , 7 , 8 , 9 , 12 , 1 7 , 18 , 2 5 , 2 7 , 2 8 , 3 2 , 3 3 , 5 2 , 5 3 ,
1 9 2 5 .0 提
示 堤 起
5 7 , 59 , 6 2 , (6 3 ) , 7 0
C 実 物 1 0 , l l , 1 5 , 2 2 , 2 9 , 3 6 , 39 , 5 4 8 1 0 .5
D 実 験 1 , 2 6 , 3 4 , (6 5 ) 3 4 .0
* 請 の 行 動
E 発 問 4 , 2 1 , 4 4 , (4 7 ) , ( 66 ) , 7 5 , 7 8 5 6 .6
F 誘 導 0 0
G 指 示 . 抑 制 1 4 , 4 2 , 4 9 , 6 0 , 6 1 , 6 8 , 6 9 , 7 3 8 1 0 .5
H 反 復 . 修 正 補 足 0 0
I 点 検 . 確 認 4 3 , (5 1) , 56 , 5 8 , (7 1) , 7 4 4 5 .3
反 応 応 答
J 適 合 的 反 応 4 , 5 , 1 0 , l l , 19 , 2 0 , 2 1 , 24 , (3 1 ) , 4 1 , 4 3 , 4 4 , ( 4 7 ) ,
20 23 .7 3 , 5 0 , (5 1 ) , 5 6 , 5 8 , ( 6 7 ) , (7 1) , 76 , 7 7 , 7 9
K 創 造 的 反 応 6 , (4 5 ) , 7 8 2 2 .6
汰
黙 1 . 沈 黙 0 0
表6 学習問題の結果
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( 3 ) * * * * * * * * * * * 1 0 0
( 4 ) * * * * * 4 5 . 5
( 5 ) * * * * * * 辛 6 3 . 6
( 6 ) 辛 * * * * * 辛 * 7 2 . 7
( 7 ) * * 辛 * 辛 * 辛 * * * * 1 0 0
Ⅱ
( 1 ) * * * * * * * * * * * 1 0 0
( 2 ) * * * * 辛 * * * * * * 1 0 0
( 3 ) * * * * * * * 辛 * 8 1 . 8
( 4 ) * * * * * * * 辛 * * * 1 0 0
( 5 ) * * * * 3 6 . 4
( 6 ) 辛 * * * 3 6 .4
( 7 ) * * * * * * * * * * * 1 0 0
Ⅲ
しい * * * 辛 * * * * * * * 1 0 0
( 2 ) * * * * * * * * * 辛 9 0 . 9
u ^n 辛 * 辛 * * * * * * * * 1 0 0
計 1 3 1 6 1 5 1 3 1 4 1 3 1 5 1 2 1 7 1 5 l l ‑
I> V 7 6 . 5 9 4 . 1 8 8 一二 7 6 .5 2 .4 7 6 .5 3 .2 7 0 . 6 1 0 0 3 .2 6 4 .7 8 2 ー4
※の1 ‑11は学習者の背番号
*印は正答を示す
実践されていなかったことが認められた。集計された項目数が49項目以上の合計数になってい るのは、項目内容によっては2以上の活動がうかがわれるものがあり、それらはそれぞれの項目 でカウントしたためである.また、 12のカテゴリーのうちで沈黙や誘導及び反復・修正補足と いった項目にアンケートからの反応が無いのは、設計の段階でそういった活動を予想しなかった ためである。
学習問題の解答結果を表6に示す。この中で、 1(4)、 n(5)、 n(6)の正答率が低くなっ ている 1(4)は問題に記された記号と学習における記号の違いによる混乱と考える n(5)、
n(6)は問題文の表現から難解であったと考えられる。学習問題のIとⅢの○×式問題に関し ては平均79.2%、 Ⅲの回路の接続や各ポイントの波形をとらえる問題に関しては平均97%の正 答率であった。これらは、板書や説明を中心とする指導からは個々の部品について十分にとらえ きれなかった者も、実験や実習を通しては直感的な理解や具体的な配線の知識として定着してい る学習者の様子が示されている。また、問題IV(5)においては、おもしろくて良くわかり、組 み立て実習は非常に楽しく、続いて何か他の物を作りたいという意欲を書き添えている。
256 樫 岡 健 史・吉 田 武 尚
3. VTR、学習者、指導案によるカテゴリー出現率の比較について
設定したカテゴリー項目の妥当性についての検討とカテゴリー分析による指導評価のために、
VTR、学習者、指導案によるカテゴリー出現率の比較を行った。
設計授業がどのようなカテゴリーを含んでいるかについて検討するため、指導案によるカテゴ リー出現率を求めた。これは、中学校において長年技術科教育を担当している3名の教師の合議 によって、実際に設計指導案を展開した場合の各カテゴリーの出現予想を立てたものである。な お、これらの教師は授業設計とは無関係である。
学習者による授業のカテゴリー出現率は学習アンケートによるカテゴリー出現率として表示し た(表5)。
表7、図4にこれらとVTRによる展開授業のカテゴリー出現率の比較をまとめた。現実の授 業設計にあたっては、対象となる学習者の実態を踏まえ展開する指導案を作成することが普通で ある。しかし、今回の授業設計では中学生一般を対象にしていることと6時間という限られた時 間設定で設計しているため、実際の授業展開にあってはその都度目の前の学習者の状況に合わせ て指導方法を修正する必要が生じる。今回のカテゴリー項目の妥当性の検討のためには、指導方 法の差異を越えて比較検討する必要がある.そのため12の各カテゴリーをさらに"情報の提示"
"要請の行動"、 "反応・応答"、 "沈黙"の4項目に分類し比較検討している。その結果、それぞ れの項目について一致していると認められる。このように、設計者、指導者、及び学習者が同一 カテゴリー分類を適応できることは設定した12のカテゴリー項目の妥当性を示すひとつの現れ であると考える。
さらに、各カテゴリー項目のそれぞれについて比較検討すると、実際の授業において実験項目 が欠落したり、指導の意図を徹底させようとして過剰な質問や指示・抑制が増加している状況が 読みとれる。
表7 カテゴリーの割合比較
分 類 記 号 カ テ ゴ リ ‑ V T R か ら の 割 合 ア ン ケ ー ト か ら の 割 合 教 師 か ら の 割 合
情 報 iT >
堤
・ t :
A ft j # l l .4
4 7 .0
l l .8
5 1 .3
13 .0
5 1 .8
B W O R D 3 0 .4 2 5 .0 2 2 .4
C 実 物 3 .8 1 0 .5 8 .2
D 実 験 1 .4 4 .0 8 .2
要 請 の 行 戟
E 発 問 7 .6
2 7 .3
6 .6
2 2 .4
5 .0
2 1 .8
F 誘 導 1 .5 0 3 .0
G 指 示 . 抑 制 13 .2 1 0 .5 4 .5
= 反 復 . 修 正 補 足 1 .2 0 1 .1
I 点 検 . 確 認 3 .8 5 .3 8 .2
反 応 応 答
J 適 合 的 反 応 2 2 .3
2 4 .0
2 3 .7
2 6 .3
2 1 .8
2 2 .6
K 創 造 的 反 応 1 .7 2 ,6 0 .8
沈 黙 L 沈 黙 1 .7 1 .7 0 0 3 .9 3 .9
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IV.ま と め
授業における指導分析・評価を行うには、当然、カテゴリー分析のような計量や分類による方 法だけでは不十分である。個々の質問の妥当性は、その内容にこそ従属するものであり、単にそ の量や時期だけで決定されるものではない。 「何を・ ・ ・」と問うか、 「何故・ ・ ・」と問うかに よって授業の中では決定的に展開が変わる。しかし、こういった授業分析は充分な教材分析にも とづいた検討を必要とし、未熟な指導者が授業分析の手がかりさえつかめない状況では困難であ る。そういう状況に対してカテゴリーによる授業分析は取り付きやすく、充分な教材分析に向け て必要な手がかりを与えることができる。
本稿の目的とする実習授業におけるカテゴリー分類は、次の3点が特徴づけられる。 (1)本 カテゴリー分類項目は、実験・実習授業への指導分析・評価方法として十分に使用できる(2) 特に、実習授業の全体像を一目でとらえることができる (3)さらに、指導の流れがとらえや すく、効果的な指導や指導のつまづきを見つける手がかりとなる。
最後に、本研究を進めるにあたり、協力いただいた奈良市立三笠中学校第2学年(当時)の皆 さんに感謝する。
参 考 文 献
(1)坂元昂・小林一也; 「教育工学実践の基礎」、学習研究社、第1巻、 1973 (2)文部省; 「中学校指導書 技術・家庭」、文部省、 1978
(3)木原健太郎・山本美都城; 「よい授業を創る授業分析法」、明治図書、 1980
258 樫 岡 健 史・吉 田 武 尚
(4)吉田武尚; 「実習授業のカテゴリー抽出について」、奈良教育大学教育研究所紀要、第21号、 1985、 (50
‑60)
(5)吉田武尚・樫岡健史・萩原敏司; 「ポケットコンピュータによる授業分析・評価について」、日本産業技 術教育学会誌、 vol.29, No. 2, 1987, (ll‑21)
資料1
カテゴリー分類項目と定義
板 書
・交流・直流電流の性質とその違いをまとめる
・直流電流装置、半波整流回路、全波整流回路、平滑回路という名称の板書
・平滑回路のはたらきの板書
・整流回路、平滑回路の回路図の板書
・トランスの名称とはたらき、図記号の板書
・トランスの1次コイル、 2次コイルの巻数と電圧の関係を板書
・ダイオードの名称とはたらき、図記号の板書
・コンデンサーの名称とはたらき、図記号の板書
・直流電源装置の回路図の板書
・直流電源装置を構成しているトランス、全波整流回路、平滑回路の板書
・コンデンサーのしくみを板書しながら説明
・回路図中の電流の流れる方向を板書しながら説明
・部品表へ記入する部品を板書して説明
・学習に関して教師が黒板に書いて説明
定義「A」 :黒板を使用しての講義・説明
WORD
・本時の学習E]標を知らせる
・交流と直流の違いを言葉で説明
・交流を直流にするしくみを言葉で説明
・整流回路・平滑回路の波形とそのはたらきを言葉で説明
・交流100Vから9Vを得るしくみと方法について言葉で説明
・直流電源装置の部品(トランス、ダイオード、コンデンサー等)について言葉で説明
・トランスのコイルの巻数との関係について言葉で説明
・直流電源装置の構成について言葉で説明
・その他、単元学習に関する教師の発言・言葉による講義・説明
定義「B」 :言語による講義・説明
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実 物
・トランスの実物を提示して、そのしくみ、はたらきを説明
・ダイオードの実物を提示して、そのしくみ、はたらきを説明
・電解コンデンサ‑の実物を提示して、そのしくみ、はたらきを説明
・テスタの実物を提示しながら、その使用法を説明
・電池・実験用ボードなどを提示して、計測実験の方法を説明
・直流電源装置の構成部品(トランス、ダイオード、コンデンサ‑、ヒュ‑ズ、スイッチ等) を実際に示して説明
・提示する教材・部品の準備を教師が行なう
・学習ノート・プリント・部品・教材等を配布
定義「C」:教材を提示しての講義・説明、学習ノート・プリント・部品の配布なども含む
実 験
・オシロスコ‑プのブラウン管について説明
・電池電流(直流)とコンセントの交流電流をオシロスコ‑プで波形観測
・全波整流回路・半波整流回路の波形を観察
・平滑回樽の波形を観察
・ダイオードの導通試験の方法を説明
・コンデンサーの電圧測定の方法を説明
・半波整流回路の電圧測定の方法を説明
・全波整流回路の電圧測定の方法を説明
・計測実験・波形観察を行なう場合の準備、あと片付けもここに含む
定義「D」 :機器教貝を使用しての計測実験・波形観察およびそれに要する準備
発 問
・学習者に対する発問
・交流とはどのような電流ですか
・直流とはどのような電流ですか
・交流を直流にするにはどのようにすれば良いか
・電流の流れを一方向にするものは何ですか
・電圧をほぼ一定にするものは何ですか
・交流100Vから交流9Vを得るためにはどのようにすれば良いか
・直流電源装置はどのような部品で構成されているか
・その他、学習者への単純発問・恩考発問
定義「E」 :指導者の学習者に対する発問・問いかけ 誘 導
・学習者が発問をより理解できるように指導者が助言・ヒントを与える
・直流電源回路を設計するのに、電圧の大きさを変える部品は何であるか。また、電流・電圧 の大きさを一定にする回路は何であるのかのヒントを与えて考えさせる
・実習において、意図する方向へ向かわせるために、学習者に助言を与える
定義「F」 :発問をより理解させるために誘導的発問・助言 指示・抑制
・学習ノート・プリントの記入を指示する(名前、学習事項の記入)
・計測実験における指示・注意(オシロスコ‑プで波形観察する時の注意、電圧測定実験中の 注意・禁示事項)
・学習時において学習者に注意を与える(騒々しい時、静かにさせる)
・その他、 「教科書を読みなさい」、 「黒板に書きなさい」、 「実験を始めなさい」など
定義「G」 :学習行動を指示したり、学習者の行動を禁示したり、賞賛したりの行動 反復・修正補足
・学習者の発言を指導者が補足する
・整流回路について復習させる
・テスターの使用法を復習させる
定義「H」 :色々な方法による再度の講義・説明
262 樫 岡 健 史・吉 田 武 尚
点検・確認
・計測実験の際、配線に誤りがないか
・テスタの使用方法は正しいか
・組立実習の時配線等が誤ちがってないか
・整流回路・平滑回路が理解できたかどうかの確認
・正確な回路図が書けるかどうか
・学習ノートには正確に記入できたか
定義「I」 :実験実習時における様々な点検・確認や学習者に対しての個別指導、学習ノート の記入時の確認
適合的反応
・直流、交流波形の観察を行なう
・半波整流回路、全波整流回路の波形観察を行なう
・平滑回路の波形観察を行なう
・学習ノート(プリント)へ必要な事項を記入する
・ダイオードの導通試験を行なう
・コンデンサーの電圧測定を行なう
・指導者の発問に対する単純な応答
定義「J」 :学習者の反応行動のうち、指導者の設定した学習の範餌内で行なわれていると みられるもの
創造的反応
100Vから9Vを得る方法を自分自身で考える
・直流電源装置の回路を自分自身で考えて書く
・直流電源装置に必要な部品を自分自身で考える
・その他、学習者の指導者へ対する質問や学習者の自発的発言等もこの範囲内に入れる
定義「K」 :学習者の反応のうち、発問や実習に対して、学習者自身の自主的な判断・発想 によると考えられる発言や行動
沈 黙
定義「工.」二A〜Kの項目以外の活動のすべて