ビルク『租税規範の基準としての応能負担原則』
著者 三木 義一
雑誌名 靜岡大学法経研究
巻 38
号 1‑2
ページ 303‑323
発行年 1989‑10‑20
出版者 静岡大学法経学会
URL http://doi.org/10.14945/00008651
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ビ ル ク 租﹃ 税 規 範 の基 準 と し て の応 能 負 担原 則
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は じ め に いわ ゆ る平 等 原則 を 租 税 法 によ り 具 体 的 に適 用 す ると
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︒ 確 か に
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﹁負 担 能 力
﹂ と は 一体 何 な のか と い う問 題 を 別 すに れ ば 租︑ 税 は そ の 負 担 能 力 に応 じ て課 税 され る べき も の であ る こと 自 体 に つい ては ほ と んど 異論 はな い︒ し た が てっ
︑ 応 能 原 則 は税 法 上 貫 徹 さ れ る べき 不 動 の原 則 のよ う 思に わ れ くて る
︒ し か し 現︑ 実 の租 税 法 制 を 見 れ ば 誰 でき わ か る よう に ヽ こ の原 則 ほ ど様 々な 特 別 措 置 や政 策 誘 導 税 制 を 通 じ て実 際 上 無 視 され
︑ 形 骸 化 さ れ て い るも のも な い よう に 思 わ れ る 政︒ 策上 の必 要 性 か ら こ のよ う に いと も 簡 単 に 無 視 さ れ う る
﹁原則
﹂ な る も のが
︑ は た し て憲 法 上 の原 則 と いえ る の であ ろう か? ビ ルク
﹃租 税 規 範 の基 準 と し て の応 能 負 担 原 則
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一 本 義
それ に加 え て︑ この 原則 はも う 一つ の困 難 に直 面し てい る︒ 社 会給 付と の関 係 であ る︒ 仮 りに 租税 負担 が
﹁負担 能力
﹂ に応 じ て 配分 され たと して も︑ 負担 能力 のあ る者 に社 会給 付 が支 給 され る こと にな れ ば︑
﹁負担 能力
﹂ に応 じ た租 税 負担 意の 義 実は 質的 に 相殺 され 形︑ 骸化 され てし まう か ら であ る
︒ こう した 状況 は西 イド ツで も同 様 であ り そ︑ のた め学 説 の中 に は︑ 応能 課税 原則 を租 税規 範 の憲 法判 断 の基 準 にす る こと を放 棄 し そ︑ の基 準を 個 々の 基本 権 にの み求 め る見 解
︵後述 三参 照
︶も 主張 され はじ め てい た︒ 本稿 で紹 介す る ルビ ク︵∪
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﹁租税 規範 の基 準と し ての 負担 能力 則原
︱︱ 税 法 と憲 法 の関 係 の 基本 問題 に つい ての 研究
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三〇三
法経研究三八巻一
一九 八九 年
︶ こうした傾向を批判し︑租税と社会給付の統一的把握をめざしつつい応能課税原則が憲法上の負担配分原則せしてどのように立法者を制約しうるのかを具体的に分析し︑いわば応能課税原則の﹁復権﹂を意図したものである一本書は一九八一年に設けられたアルベルト・ハンゼル賞︵>夢
oユ︲口 の●8¨︲﹁お静︶の第一回目受賞論文でもあ る ︲︒ 平等原則と租税法・租税負担との関係は重要な憲法問題であるにもかかわらず︑我が国では本格的な論究がなされていない現状からみて︑本書を紹介することも一定の意味があるように思われる︒そこで以下では︑まず本書の概要を紹介し︵一︶︑ついでO租税負担と社会給付の統一的把握︵二︶︑②租税の負担作用と形成作用の区分と憲法判断︵三︑四︶︑の二つを基軸に私なりの観点から注目すべき点を紹介してみたい︒
一︑本書の概要 まず︑本書の概要を紹介しておく必要があろう︒この点については筆者自身が本書の末尾公一六〇〜一一六七頁︶に概要Qcの︐ 日ヨーo●ご協c邸︶をまとめているので︑それに従うのが適切であろう︒
筆者は本書の概要をつぎのようにまとめている︒ 序章︵一〜二十頁︶一︑負担能力原則に少しかかわっただけで租税規範に対する基準
と し そて れ を 適 用 す る に は非 常 多に く の問 題 が 存 在 し て るい こ と が わ か る
︒ これ ら の問 題 は 二 つの 申 心 的 問 題 に言 い表 わ す こ と が でき る
︒ 一つ は︑ 負担 能 力 原則 と 租 税 上 の 形 成
︵0 3 ご 中す c●
︶
︵政 策 誘 導 規 範 oF
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︶ と の関 係 にか か わ り
︑ 他 の 一っ は 負︑ 担 能 力 原則 に基 づ い て配 分 さ れ る べき 負﹁ 担
﹂
︵r め一oこ の定 義 にか か わ る
︿価 値 移 転 給 付
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の問 題
︶曾 一頁 以 下
︶︒ 二︑ 応 能 課 税 のき わ め て初 歩 的 な 理解 が 古 い国 家 観 の中 に 一部 み ら れ るが それ ら は ばし し ば 給 付
・反 対 給 付 均 等 の考 え 方 と o︵>
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①●︶ と 混同 され て い る
︵六 頁 以 下
︶︒ 三︑ 応能 課税 の考 えは 一九 世紀 に普 及 し︑ 後
に 一九 世紀 中頃 から 租税 政策 上 の議 論 を支 配し た︒ 人個 の社 会的 事情 考を 慮す る所 得 税 の導 入 は︑ 不当 認と め れら た富 の配 分 や所 得 の配 分 のへ 反 作 用を 家国 うに な がす ため の︑ 会社 運動 の諸 要求 の つ一 であ っ た
︵一 四頁 以下
︶︒ 財 政学 にお い て社 会的 理念 とし のて 応能 課税 は ワグ ナー
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︶ のみ によ てっ とり 上げ ら れ てい た︒ 一九 世紀 の財 政 学 の通 説 は確 か に所 得税 の理 論 の中 社に 会的 識別 メの クル ヤ ー ル
︵U oおo Φ﹃Nい 僣● 翻 日 8ド 日ュ 3 を集 大成 し た が
︑ 平等 犠 牲 理の 論 の下 でそ れを 和中 化し 社︑ 政会 策的 租税 目的 から 遮断 す る こと を試 みた
︵一 六頁 以下
︶︒ 四︑ 一九 世紀 末頃 イド のツ 各 ラ ント では じめ 累て 進所 得税 が導 入 され た︒ この 時 点か ら学 問 議的 論 立は 法技 術上 構の 成 集に 中し
た︒それ以後︑負担能力の主たるインジケーターは所得である︑ ということについては意見が一致し︑常に所得概念が争われた︒ 今日︑租税政策上の議論においては負担能力原則が﹁社会正義﹂︵8NFFOo﹃8F二FΦいしで調整された租税配分原則であるこ とについてはほとんど異論はない︵一八頁以下
︶ ︒
第一章 ︵二一〜六五頁︶
一︑負担能力原則の内容確定をめぐる財政学上の議論は十九世紀 終りから二十世紀はじめにかけて全く犠牲説の魔力の中にあっ た︒いつ﹁平等な﹂租税負担が存在することになるのかについ ての正確な情報を提供すべき所得の効用曲線︵Z二器●ドc暑Φ●︶ を設定できたのは︑この理論の助けをかりてであった︵二三頁 以下︶︒ 二︑いつ平等な効用損失︵Zヾo●
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① ﹂← ビルク﹃租税規範の基準としての応能負担原則﹄
の視 角 の下 で︑ 行 な わ れ て いる
︒ そ れ に よれ ば 応 能 課 税 は正 義 の理 念 の第 一次 的 具 体 化 と し て理 解 さ れ そ︑ れ は さら に段 階 的 に
︵価 値 の連 続 を 首 尾 一貫 し て
︶よ り具 体 化 され ねば な なら い︒ 基本 的 決 定 が それ 以 後 の具 体 的 規 定の 基 礎 と な る 法︒ 原 則 と し て の負 担 能 力 原 則 のこ の よ うな
﹁動 的
﹂ な 理解 が 立 法 者 の形 成 の余 地 を よ り狭 め る こと に な る
︒
︵五〇 頁 以下
︶
︒ 四
︑ こ の具 体 化 モデ ルは 憲 法的 問 題 設 定 の出 発点 には な り えな い︒ も し配 分規 則 の対 象 及び 法 効 果を 憲 法 の内 容
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︶ そ のも のか ら 引 き出 す こと に成 功す れ ば
︑ そ の研 究 の過 程 では じ め てそ の具 体 化 モ デ ル の収 容 力
﹃︵哺 電 韓 QF い←
が 判 明 でき る 憲︒ 法 的 問 題 設定 は む し ろ つぎ の 二 つの 前 提 か ら 出 発 す る
︒ 負 担 能 力 原 則 は研 究 さ れ る べき 憲 法 原 則と し て法 原則
︵ 8 F
︲ 毬 3 じ の構 造 を 持 てっ いな け れ ば な ら ず 他︑ 方 で
︑ そ れ は 配 分 原 則 とし て租 税 に適 用 し う るも の でな けれ ば な ら な い︑ と い う 前提 あで る 九︵五 頁 以 下
︶
︒ 第 一一章
︵六 六
〜 一二 二頁
︶ 一︑ 租 税 配分 規 則 の対 象 租は 税負 担 であ る
﹁負︒ 担 の性 格
﹂ を 理 解 す るた め に︑ 国 家
・市 民 間 にお け る租 税 の 作 用
︵ヨ い丼
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︶ が 問 われ る︒ そ の際 一︑ 一重 的 な 租 税 の作 用 の仕 方 が 明 ら か に な る 租︒ 税 は金 銭 を 徴 収 す る こと によ てっ 負担 作用 oF︵u のご
● 甲 1いキ いし を く り ひ ろげ 個︑ 人 の財 産 状 態 や 行 動 範 囲 に 作 用 を 及 ぼし たり 国︑ 民 経 済 的 経 済 過 程 や 社会 的 諸 制 度 に影 響 を 与 三 五〇