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(1)

静岡大学教育学部研究報告 (人文・ 社会科学篇)第46号 (1996。3)69〜78

スペイ ン民俗音楽「 ファンダンゴ」

" Fandango" : Folk Music of Spain

 

  

       

Hiroshi OTsuKI

(平成7年10月 2日受理)

RESUMEN

Esta pequetta tesis reflexiona sobre el fandango, que es una de las tres representa‐

ciOnes de la musica folkttrica espattola con cante y baile cOn acompattanliento instru‐

mental。 (jota, seguidilla y fandango)

Existen muchas variedades de fandango en casi toda la tierra espan01a actual.

Hay muchos tipos, algunos tienen d310 relaciones comunes por el nombre, otros no 10 tienen relaciones musicales, sino tamb6n relaciones con otros tipos de cante y baile. En esta tesis, se estudia el fandango andaluz que se dice lnas tipico y prototipo de todos los fandangos.

En su prilnera parte, se escribe y se explica el origen y variantes del fan・ dango

prilnitivo。

A continuaci6n en su segunda parte, se hace un attlisis musical detallado del fan‐

dango andaluzo Y, se hace una comparac6n musical detallada con el fandango que se llama tipo del noroeste de la Peninsula lb6rica.

Para hacer esta tesis, hemos recibido la inestiinable ayuda y direcci6n del Don.

EInilio Rey, catedratico del ]Rea1 10oservatorio Superior de rlusica de Madrid,

Se lo agradecemos de todo coraあ

n.

は じめに

本論 は、スペイ ンの代表的な民俗音楽 の一 つである「 ファンダ ンゴ」につ いて書 か れ た もの であ る。 この音楽 は

18世

紀 に大変流行 して国内 はもとよ り、 ヨーロッパ の音楽家達 に知 られ る よ うにな った といわれて いる。モーッァル トの「 フ ィガ ロの結 婚」 、 グル ックのバ レー音 楽

「 ドン・ ファン」、 リムスキー

0コ

ルサ ヨフの「 スペイ ン狂詩 曲」、 グ ラナ ドスの「 ゴイ ェス カス」や、その他 のスペイ ンを題材 に した音楽芸術作品の中 に数多 く用 い られて い る。

スペイ ン民俗音楽 の分類では楽器伴奏 による歌 と舞踊 の分野で、「 ホタ」「 セギディー リャ」

と並 び最 も代表的 と言 われ るタイプの 1つ であ る。現在 のスペイ ンでは殆 ど全土 に「 フ ァンダ

ンゴ」 と呼ばれ る音楽 もしくは、その地名を付 されたファンダンゴが存在 している。 しか しな

が ら音楽的 な骨格 において明かな共通性 を持つ と思 われ る一連 の グループ と、音楽的関係 が曖

(2)

味 で名称 だ けが「 ファンダンゴ」 と言 われ るものや、音楽的 には明 らかに他 の タイプ に分類 さ れ得 る ものが混在 してい る。これ らにつ いての分類・ 考察 を本論 では以下 のよ うに 2部 に分 け て書 き表 した。

第一部 で は、やや古風 な ものを も含む主 と して文献 による今 までの ファンダ ンゴに関す る起 源 の定説 や、それか ら一般的派生・ 変化 した と思われている音楽舞曲について一般的解説 を し た。

第二部 で は、最 もオ リジナルであ り音楽的なファンダンゴの骨格 を持つ と言 わているア ンダ ル シア

0タ

イプの ものを楽譜 を例 として詳細 な考察 を した。更 に、それ らの結果 を基 に イベ リ ア半島北西部 に広 く見 られ る異種 の ファンダンゴ

(ホ

タ風 の と呼ばれ ることもあ る

)を

前者 と 比較 して、どのよ うに判断す るのが適当なのかスペイ ン音楽学会や筆者 の見解を述べて いる。

これ らの分類研究 は、我国で は勿論 の ことスペイ ン本国 に於 いて も充分 に行われて いる とは 言 い難 い状態である。その上、スペイ ン本国の研究状態 とその成果の伝達、研究者 との交流等 が我 が国で は余 りに も希薄である。仮 に何か伝わ っているとして も、その ほとん どが言 葉 の直 訳 的輸入であ って具体的な音楽内容を充分吟味 した結果 の ものであるとは思えない。本論 は完 全 とは言 えないまで も、その調性感 や リズム的

0和

声的特徴 といった音楽 の重要 な要素 に踏 み 込 んで解説 して いる。 この点で本論 が僅かで も役立てれば幸 いである。

(本

論 の欧文 は断 りの無 い限 り全て スペイ ン語を用 いている。引用文献資料 の邦訳 は全 て筆者 による ものであ り、その責 を負 うものである。またスペイ ン地図 は全編 に渡 って必要 な もの な ので第

1部

の最後 に挿入 した。特別な指示 は文中にないので適宜参照 していただ きたい。

)

1部 

過去 に於 ける定説等一般的解説

語源等 につ いて

まず「 ファンダ ンゴ」の語源 として ポル トガル語 のfado「 ファ ド」であろうと言 う意見 に異 説 を唱 え る意見 は現在 も見当た らない。「 ファ ド」 はポル トガルを代表す る哀調 を帯 びた民 謡 と して同国内に広 く普及 しているものであ るが、 これ と「 ファンダンゴ」が どの様 な音楽 的継 続関連性 を持 ち うるのか は明 らかではない。この点 に関 して は今後 の研究課題である。語 と し ての源 は更 に遡 って、 ラテ ン語 の fatum=destino(宿 命

)で

あろうと言 われて いる。 ω

発生の時期 につ いての諸説

一群 の歴史家達 に依 れば、ファンダンゴは

17世

紀後半 か

18世

紀初頭 には良 く知 られ るよ うに

な って いた様 である。他の歴史家達 は、それが語 られた期 日は不明確であるとしなが らも「 ファ

ンダンゴ」はイ ン ドに滞在 していた諸王 によって もた らされた舞踊であ り、快適 で祝祭 の奏楽

の音 に合わせて作 られた もの と断定 していた様である。これ らのファンダンゴについて何度 も

繰 り返 され る引用 は、長 い年月 の口伝 のなかで少 しずつ修正 されて きた ものであろ う。そ して

それ らの根拠 の乏 しい仮説

(口

)は

、どれ も皆最終的には、 固 まった一つの源流 を辿 る ことが

出来 るので はないか とい う曖昧な考 えをつ くっているよ うに見え る。現在 の音楽学会 で も一点

を導 き出そ うとい う考 え方や観点 が全 く無 くな った訳で はないが、その様 な研究態度 は全体 的

には否定的 に とらえ られている。

(3)

スペイン民俗音楽「 ファンダンゴ」

文書 と して、我 々の知 り得 る最古 の確証物 は、

1712年

ア リカ ンテの聖堂参事会所属主 任 司祭 によ って ラテ ン語 で書かれた記録 にさかのぼ る事が出来 る。そ こには、カデ ィスの ファンダ ン ゴに関 して次 のよ うに書かれた記述があるのでそれを引用す る。②

「 私 はカデ ィスで この踊 りを知 った。 この踊 りは気 ままな

(自

由な )ス テ ップに依 って い る こ とで有名であ り。

(当

時 はステ ップの形式 を尊重す る事が踊 りの正 しい方法 と考 え られて いた 事 か らの驚 きか :筆 者注

)

この町のすべての家 々 と地 区で、生 き生 きと行 われてい るよ うに見え る。 これは観客達 よ っ て信 じられないほどのや り方 で賞賛 されている。そ してただ単 に下層 の女達 だけでな く、 よ り ま じめな女性達 や上流 の人 々によって も賞賛 されて いる。

(こ

れ も上流階級 の人 々が正 しい方 法 でない踊 りを好むなどとい うことが考 え られなか った当時の常識 を感 じさせ る :筆 者注

)」

当時のカデ ィスは中南米 アメ リカヘの一大玄関 口であ り、文化交流 の接点 で もあ った。活気 あふれ る貿易港 として栄 えた記録 や証拠 は充分 にあ る。 この点 や前 出の記録 と合 わせて フ ァ ン ダ ンゴの ラテ ンアメ リカ起源説やカナ リア諸島起源説が、ある時期 には数多 く唱え られた。現 在 もこれを完全 に否定す る意見 はない様 であるが、後述す るよ うに取 り立 てて強 くこの様 な起 源説 を唱えている研究者 も見 当た らない。他 にアフ リカ起源やア ラビヤ起源 を唱え る研究者 も

いなか った訳 で はない。0

これ らは、あ る時期 の流行か ら学問的考 え方 も常 に影響 を受 けて きた とい う観点 を養生 す る には

(事

の真偽を別 と して

)役

立つ ことである。

芸術世界 の実用 と して、或 いは何 か特定の舞曲を指 し示す「 ファンダンゴ」が初 めて登場 す るの は、

18世

紀初頭 の「 田舎娘 の恋人」 とい う作者不詳 の幕間劇 においての事 であ る。 0

この時期以降

18世

紀全体 に渡 って、多 くの人 々や特 に芸術家達 によ って作品に取 り上 げられ、

描 かれて、直接

0間

接的 に広 く知 られ るよ うにな った。

直接 的

0派

生的音楽 につ いて

現在、本来 の ファンダ ンゴの派生変化 カテ ゴ リーに入 りうる もの として第一 に取 り上 げ られ るの はマ ラゲーニ ャ

Malaguttaで

ある。以下 ロンデーニ ャ Rondtta,グ ラナイーナGranaina, メデ ィア 0グ ラナイ ーナ Media Granaina,ム ル シアーナ Muruciana,フ ァンダ ンギ ー リャ Fandanguillaと 続 き、少 し分 離 して考 え られ て きて い る もの と して は、 カ ル タヘ ネ ー ラ

Cartagenera,タ

ランテTarante,ミ ネラ

Minera等

々、主 にア ングル シア地方 か らムル シアに か けての地名

(同

時 にその土地 の人 々を も指 して いる

)が

付 された音楽が これに相 当す る。

少 し注意 が必 要 なの は ロ ンデー ニ ャで あ る。 この音楽 につ いて我 が 国 で は、 「 ロ ンダ」

Rondaと 混同 されて記憶 されている場合 があ る。

(音

楽理解 はあ くまで音 その ものか ら判 断 す るのが最 も重要 であ るとい う簡単明瞭 な事が如何 に難 しいか とい う事 を示 している。スペ イ ン で も必ず しもその様 な歴史を正 しく辿 って きた とは言 い難 い状況 であ るので、やむを得 な い こ

とで はあるが

)

前者 は、ア ングル シアの地名 で固有 の もの

(フ

ァンダ ンゴとい う固有 の舞曲

)を

表 している。

後者 は一般 的な行為 の習慣

Rondar=「

回 る」か ら「 夜回 り」或 い は「 窓辺 の恋人 へ の歌 」等

へ発展 し、その様 な歌 の音楽や楽団を指 している。 (Cante de ronda,Rondalla)°

(4)

カ ンタプ リア 海 大西 洋

フ ラ

地 中海

カ ル タ ヘ ー ナ

カデ ィス マ ラ ガ アル メ リ

バ だ

̀」

[il ″

0

マ ドリッ ド

θ●‐ ヽ 、.̲´

1

fiP ltrrv

スペ イ ン地 図

(5)

スペイン民俗音楽「 ファンダンゴ」

第 2部   アングルシア 0フ ァンダンゴの音楽的分析

(楽

1‑3参

)

形式 について

通常、音楽形式 は以下 のよ うな

2つ

のパ ー トか ら構成 されている。

(楽

‑1参

)

初 めのパ ー トは、ヴ ァ リア シオ ン又 はイ ン トロダクションと呼ばれ る楽器 に よ る もので あ る。

リズ ミック、或 いはメロデ ィックな旋律 を用 いて

408016小

節 フ レーズよ り構成 され る。 そ れ らはア ンダル シア音階をベースに繰 り広 げ られ、「 ミ」の旋法

Modo de Mlの

主和音 に終 止

す る。

引 き続 いて コプ ラ Copla(歌

)の

パ ー トに入 る。ここの部分 は踊 りが歌 と共 に踊 られ るとこ ろで、 しば しば 3回 まで繰 り返 され る事 が多 いよ うである。

コプ ラには、

8音

節「 四行詩」

La Cuarteta OctosMbicaが

用 い られ、

4小

節単 位 に よ る

6

つ の音楽的 フレーズが構成 され る。

(詩

の長短 によ って楽譜

‑1の

様 に 1フ レーズが必 ず しも

4小

節 にな らない ことや、構成 が 3フ レーズの場合 もある

)0

それ らの フ レーズは、 ヴァリアシオ ンの終止後、多 くの場合 いきな り長調で始 まる。 この和 声進行 は、あたか も

J.S.Bachの

フ リギア旋法 を祖先 とす る長・ 短調 コラールの伴奏 づ け によ く現 れ るもの と感 じが似ている。

(短

調 の ドミナ ン トか ら平行長調 の主和音への進 行

)そ

して次 に述 べ るよ うに、各 フ レーズの終止 はファンダ ンゴを分類す る場合最 も重要 なポイ ン ト とな る独特 な構成を持 っている。

各 フ レーズの終止 について

ア ングル シアタイプの顕著 な個性 と して

1, 3, 5フ

レーズは必ず長調主和音 に全終止 す る ことが確定 して いる。

2,4フ

レーズはそれぞれ

4度

05度 の和音 に終止す る。

(カ

ステ ィー リャや ラ・ マ ンチ ャタイプの ものでは

2、 4、

フレーズの終止が必ず しも限定的 な もので はな く、 6度 や 7度 の和音上 に終止す る もの も発見 され る。が しか し、 この ことは和声的意 味合 い において殆 ど同一 と見 な して も構 わない事 と思 え る。

)

大部分 の もの は第 5フ レーズに留意す ることな く第 6フ レーズがア ングル シア音 階 に再 び戻 る。それ は楽器 によるヴァ リアシオ ンの フレーズヘ と再 びつな ぐために為 に、常 に必要不 可欠 な ことで もある。 この コプ ラの終 わ り方が「 ホタ」や「 セギディー リャ」には見 られない独特 な音楽的雰 囲気 を創 り出す。

コプラの配列について

最 も良 く用 い られ る歌詞 は 8音 節「 四行詩」によるものであるが、歌詞 と して「 五 行詩 」 が 用 い られ る例 もない訳 で はない。両方のテキス トが一般的 にどの様 に音楽 フ レーズと して配列 され るのかを次 のよ うな簡略図に して示 した。

音 楽 フ レー ズ

1フ

レー ズ

2フ

レー ズ

3フ

レー ズ

4フ

レー ズ

(終

止和音

)

(I)

(ry)

(I) (X)

四行詩 の場 合 二又 は一 行 日の詩

―行 日 二行 日 三 行 日

五行 詩 の場合 二 又 は一行 日の詩

―行 日 二行 日 三 行 日

(6)

第 5フ レーズ

(I)      

四行 日

第 6フ レーズ

(Modo de Ml)一

行 日

四行 日 五行 日

iris - +z guz va

r̲"ぁ ̲

4守

rtt cB-Ta. - z6n

ι ´

a一

0

楽譜

‑1

(楽

‑1は

「 四行詩」が使われてお り第六 フレーズは四行 日が繰 り返 されてい る。

)

コプ ラの配列 には多 くの例外があ り、それほど厳密な ものではない。「 四行詩」等 につ いて の 詳 しい説明 は前 々年度・ 前年度研究報告「 ホタ」 一その 1,「 セギデ ィー リャ」 の拙稿 を ご覧 頂 きたい。

リズムの特徴 について

基本的 には大 きな単位 の 2拍 子 にグルー ピングされ る

3拍

子 に書かれ る事が多 い。従 って記 譜 と して は

4分

の 3拍 子 や、それを 2小 節分 まとめた 8分 の 6拍 子 に通常記 され る。

Allegrettoと

速度表示 された楽譜が多 く見 られ るが、実際の場面 ではかな り幅 が あ る と思 われ

る。 ファンダ ンゴの表面 に書かれ る通常 の記譜 と根底 に流 れ る リズムを検討す ると、次 の よ う

(7)

スペイン民俗音楽 「ファンダンゴ」

な この音楽 の独特 な リズムが浮か び上 が って くる。

(楽

‑2参

)

この根底 の リズム、特 に弱拍部 に感 じられ る アクセ ン トは恐 らくこの音楽 の最 も古 いオ リジ ナルな要素 と考 え られ る。ア ングル シアに於 け る圧倒的 なギ ターの普及 とその奏法か ら自然 に 出て くるものが関係 して いる可能性を否定 出来 得 ない。「 ホタ」や「 セギデ ィー リャ」のアク セ ン トは基本的 に強拍部 を意識 させ るものであ る。

楽譜

=2

「 北西部」のフ ァンダ ンゴとの比較

ここに取 り上 げた楽譜

(楽

‑3)は

、 レオ ン県

PROVINCIA de LEON,の

ア ン トニ ャ ン・

デル ●ヴァジェ村 Antomn del valle(県 都 レオ ンか ら西南西へ約

40m)で

フ ァンダ ンゴと し て扱 われ、歌 われて きているものである。 0

音符 の単位 は異 な るが、

(楽

‑1の

2小 節分を

1小

節 にまとめて比較 して頂 きたい )譜 面 上 は、非常 に良 く似 た音楽 であ る事 がみて とれ る。特 に リズムの面 に於 いて はそ っ くりと も言 え る。 この曲 と類似 した ものはこの地方 だけで も多 くあ り、今 まで も「 ホタ」 と似 て い ると形 容 されて きた こともあ るが、大 き くはファンダ ンゴに分類 されていた ものである。それでは実

通 常 の 記 譜

:FttU丁

根 底 の リズ ム

> 胴

ン を> J︑

>胴

' Cu* *1,

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ruo

(楽

‑3)

(8)

際 ア ングル シアタイプの ファンダ ンゴ音楽 と比較 して何処が どの様 に異 な るのであろ うか。 ま ず第 1に リズムの潜在的且つ全体的なアクセ ン トに注 目す る事が肝要 であ る。 この曲 は基 本 リ ズムと して、どうして も弱拍部 よ り強拍部の方が全体 に優 れて いる。

次 に フ レーズの終止 はどうであろ うか。明 らか に ドミナ ン ト ・ トニカの交互 の繰 り返 しが顕 著 な構造 で出来 ている。ア ングル シアタイプは音楽 の下地 に明 らか に「 ミ」の旋法 を持 って い る。そ してそれが最 も古 い素材 であ って、その上 に若干 ある時代以降 の近代和声 の影響 が歌 の 作 り方 に作用 しているもの と考 え られ る。従 って この音楽

(楽

‑3)は

ア ングル シア フ ァ ン ダ ンゴと根本的 に異 なるものであ る。む しろ完全 に「 ホタ」の基本的要素

(主

和音 と属 7の り返 し

)に

適合す るものであろ う。

サ ラマ ンカ音楽院 の ミゲル 0マ ンツ ァーノ教授 はこれ らの グループを「 ファンダンゴ風 ホタ」

jotas fandangueraSと 名付 けて分類す る事を学会へ提唱 して い る。バ スク地方 や ナバ ラ地 方 に も「 ファンダンゴ」の名称のついた曲が多 くあるが、大半 はアクセ ン トとしての潜在 リズム や和声 の流 れを分析す るとマ ンツ ァーノ氏の提唱す る「 ホタ」の分類 に入 るものが ほとん どで あ る。 °

フ ァンダ ンゴ・ フラメ ンコについて

7ラ

メ ンコを体系的 に捉 え ることな くその

1部

を云々す ることは、あま り学術的 な研究 と し て意味深 い ことではない。 しか しなが ら民俗音楽 の ファンダンゴ

(通

常形容詞 と しての フ ラメ ンコがつかない もの、又 はクラシカル・ ファンダンゴとも呼称 される )と ファンダ ンゴ 0フ ラ メ ンコとは音楽 と して非常 に近 く密接 な関係 があると言 われて いる。特 にその普及 が ア ングル シアー帯 とい う同 じエ リアを持 っているので厳密な意味で両者 の明確 な違 いは無 い と言 って も 良 いであろ う。ただ フラメ ンコの音楽学的研究 はその個人的伝達 や個人芸 と しての特質か ら科 学 的・ 客観 的研究が充分 なされて いるとは言 えない。少 し古 い ものだが、 この分野 の音 楽学 的 研究書 として知 られ るイポ リトHipolito Rossy著 作 の「 カ ンテ ●ホ ン ドの理論 」

TeOria del cante jondo°

よ り、 ファンダンゴにつ いて書 かれた部分や

(d)そ

の他 を基 に筆者 が整理 分類 し た ものを示す。

音楽 の速度 と して三が

dO(速

)に

分類 され るのはウエルバの ファンダ ンゴ

Fandango de

Huelvaと 呼ばれ るものであ る。 これ らは今世紀前半 にウエルバ地方で大流行 した もので あ る。

1925年

以降、個人的 に創作 され「 フラメ ンコ・ オペ ラ」 Opera Framenca時 代 に主 役 とな った 芸術的 ファンダ ンゴFandango Artisticoは 、 この ウエルバの フ ァンダ ンゴが基 とな って い る ものである。 ファンダ ンギー リョFandangui1loも これ と同 じ意味を指す場合 があ る。いずれ に して も音楽的 には楽譜

‑1に

あるよ うな調性感・ 終止和声・ フレーズ構成 を もって いる もので あ る。

中庸 な速度

mOderatoに

属す るもの と して、アロス ノの フ ァンダ ンゴ Fandango de Alosno や ヴェルデ ィア レスVerdialesが あ る。前者 は

1992年

7月

4日

に亡 くな った今世紀最 大 の フ ラ メ ンコの歌 い手 と言 われ るカマ ロン

Cama

n de la lslaの

CDで

も馴染 みの曲で あ る。広 く ゆ った りと したア ングル シアの平原を歌 い上 げるよ うに、やや長 めの フ レー ズの カ ンテ

(歌)

の部分

(長

調 で最後 は ミの旋法へつなが る

)を

挟んでギ ターの長 い独奏部分 がゆ らた りと して はいて も リズ ミックに奏 で られ る。

ヴェルデ ィア レスはア ングル シアに於 ける田舎の ファンダ ンゴの最 もプ リミテ ィブな名前 と

(9)

スペイン民俗音楽「 ファンダンゴ」

して知 られて いる。 この語 の意味 は熟 しているけれど緑色 の状態 で保存す る食用 オ リーブの実 Verdialか らきて いるもので、これをつ まみに踊 った り歌 った りす るこの地方の集 まり

(pandas

と呼ばれ る

)で

の音楽を指すよ うになったと言われてい る。殆 ど絶 え間 の無 いギ ターの ラスゲ アー ド奏法 によ る リズ ミックな伴奏の中で歌が歌われる。両者 とも音楽構造 は基本的なア ンダ ル シアタイプを踏襲 している。

ゆ っ くりした

lentO速

度 の もの と して は、アルメ リアの ファンダ ンゴ Fandango de Almeria があ る。 これ は勿論名前 の示す とお リアルメ リア地方 の ものだが、一説 にはマ ラガ地方 の フ ァ

ンダ ンゴか ら生 まれた とい う見解 もある。また他 の研究では鉱山地区に於 ける主役 と して タ ラ ンタTarantaの オ リジナルとなる特殊 な因子を持 っていたとも言われている。

これ らの他 にマ ラゲーニ ャ

Malaguttaや

、それか ら創 られ た と言 われて い るハ ベ ラ

Jabera

(こ

れ は同名 による歌 い手 の名前か らきているとい う説 と、 アバ ス

Habas=そ

らまめ売 りか ら きて いると言 う説がある

)、

ロンデーニ ャ、グラナデ ィーナ、メディア

0グ

ラナデ ィー ナ等 と 言 ったよ うに古典的 ファンダ ンゴの分類 に準 じる名前 の ものがあ る。

おわ りに

イベ リア半 島全体 に於 ける民俗音楽 の分布 はペ ドレル

mの

指摘す るよ うに一大積 層 構造 の様 相 を示 してお り、解明が進 めば進 む ほど、ある民俗音楽 の起源 の限定 や一方的影響 を安 易 に言

うことが、如何 に間違 いを含みやす い事 であるのかが浮 き彫 りにな って きて いる。

特 に音楽的な分析 を熟考すればす るほど、単 に旋律が似ているか らとか、 リズムが似 て い る とい った きわめて表層的 な観点か ら分類す ることが如何 に全体像 を理解す る為 に不適切 な事 か 過去 の歴史 が示 して いる し、ま して名称 が同一 などとい うことは民俗音楽 の分類 には殆 ど役 に 立 たないとい う点が明 らかにな りつつある。

幸 いな ことに、私 はこの数年来、マ ドリッ ド王立音楽院民俗音楽学教授 エ ミリオ 0レ イ先 生 による包括的 なスペイ ン民俗音楽 の指導 を受 け、更 にスペ イ ン音楽学会 (SEdeM)の 研究 者 各位 による数多 くの指摘 や教示を受 ける機会を持つ ことが出来得 た。本紀要 の前 々年度 0前 度 の拙稿、「 ホ タ」「 セギデ ィー リャ」に引 き続 き今回「 ファンダ ンゴ」の考察 を して、 よ う や く粗 いなが らも全体像 に取 り組 むための最低限の観点 を得 ることが出来 たのは、誠 に諸先生 方 のお陰であると感謝 している。未 だ、よ うや く一枚 目の表層 を取 り除 く作業 に着手 したばか りの段階で はあ るが、三稿 を合 わせ読んで頂 くことによって全体的考察 の主 旨を理解 して いた だ き、且 つ各位か らの ご指摘を頂 きた くここに本稿 を発表 した ものであ る。

主要参考文献

a)」

osep Crivil16i Barga16;HistOria de la mllsica espattola,7.El folklore lnusical

(Alianza Editorial,1983,Madrid)

b)R:P.Dionisio Preciado;Folklore Espanol(sTvDIVM EDICIONES,1969,Madrid) C)Miguel Manzano;Canclonero Leo辰

's(Diputac6n PrO宙

ncial de L圧

'n,1993,L圧

'n)

d)J.Blas.vega, MoR los.Ruiz; DICCIONARIO ENCICLOPEDICO ILUSTRADO DEL FLAMENCO      (Editorial Cinterco,1988,Madrid)

e)Diccionario ANAYA de la Lengua(1991,Madrid)

(10)

注釈

1)一 説 には

fatus=hado宿

命・ 運命

(d)出

2)主 要参考文献

(d)Vol‐lP‐284,同

じく

(a)p‐222、

両方 とも

A.Capmany著

作 か らの出典 と思 われ る。

3)拙 稿「 ホタ」―その 1(静 岡大学教育学部研究報告人文

0社

会科学 篇44号 p‑97)で も紹 介 したが、

1920年

代 アラビア学研究者の リベ ラ教授 による各種民俗音楽 に関す る各種 の著 作物 が出版 された。その影響 は大で、大半 のスペイ ン文化 の源泉 をア ラブの影響 とす る彼 の考 え方 が当時流行 した。ファンダ ンゴも彼を中心 にアラビア起源説が唱え られた。現在 のスペイ ンは

EC加

入 とい う大 きな流れが国中を席巻 しているので、ア ラビアか らの文 化 的影響 やそ ういった研究をやや軽視す る傾 向があるよ うに筆者 には思 え る。

(b)p‑108出

4)(a)p‑222,(d)p‑284に

1705年

と書かれている。

5)前 出

(3)の

拙稿P‑103参 照。

6) (a)p‑223

7)Miguel Manzanoの

採譜 による。

8)Emilio Reyは jotas afandangadasと いう言葉を用いているが殆 ど同 じと見て差 し支え は

、 `ないであろう。

9)1966年 Barcelonaで 出版

10)Fellipe Pedrell,拙 稿

(3)p‑106参

参照

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