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循環型産業 システムの経済的手段

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Academic year: 2021

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■ 研 究 論 文

循環型産業 システムの経済的手段

EconomicInstrumentofRecycling10rientedIndustrialSystems

小樽商科大学 奥

OtaruUniversityofCommerce KazushigeOKUDA

要旨 :本研究は,生産 ・流通分野の生産型産業と消費 ・廃棄物処理分野の還元型産業を統合 した循環型産業システム において,製品のリサイクルを促進するための経済的手法を提案 している.そのために,現在稼働 している容器包装 廃棄物のリサイクル ・システムを概観 し,その問題点を明確にすることによって,循環型産業システムにおけるリサ イクル ・システムを構築する上で考慮すべき事項を明らかにしている.これらの事項に基づいて廃棄された製品のリ サイクルを促進させるための課徴金一補償システムを提案 している.

キーワード:リサイクル ・システム,循環型産業システム,経済的手法,製品課徴金,補償

Abstract:Thispaperpresentsaneconomicinstrumenttopromotearecycleofwastedproductsinrecyclingl0rientedindustrialsys tems.ItclarifiestheproblemsintherecyclesystemsofwasteofPETbottles,aluminumcansandpaperbasedpackagematerials ThispapermakesitcleartheconsiderationpointsWhentherecyclesystemisconstructedintherecycling‑orientedindustrialsys tems.Thispaperproposesaproductchargeandcompensationsystemtopromotetherecycleofwastedproductsbycompensating theprofitofadisposalcompanyforproducingrecycle/renewalparts/materialsandtogiveanincentiveforusingtherecycle/renewal parts/materialstcaproductioncompany.

Keywords:recyclesystems,recycle10rientedindustrialsystems,economicinstrument,productcharge,compensation

1.はじめに

人類 による生産 1.消費活動 によって地球環境 の 処理能力 を超 える廃棄物が排 出 され, これ によっ て環境 は悪化 の一途 をた どっている. この ような 地球環境問題への関心が高 ま り,廃棄物 を最小 に して資源の有効利用 を図る高度 な リサ イクル社会 の構築が必要 となって きた. このために製品の生 産 ・流通分野の生産型 (動脈)産業 と消費 ・廃棄 物処理分野の還元型 (静脈)産業 を統合 した シス

テム を 「循環型産業 システム」 として とらえ, こ れ を実現す る うえで探求すべ き研 究課題が提示 さ れてい る【1].本論文 は,そ こで明 らか に された研 究課題の中で 「循環型産業 システムの評価」 とし て取 り上 げ られ た 「経 済性」 に関す る経 済 的手 法, と くに リサ イクルを促進す るための経済的手 法 について考察 を行 う.

本論 文 では,経済 的手法 の考察 を行 うため に, 現在実施 されている リサ イクル ・システムを概括

し,問題点 を明 らか にす る. これに基づいて循環

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型産業 システムを実現するために,製品の リサイ クル ・システムを考察 し,経済的手法 と しての

課徴金一補償 システム」 を提案する.

2.リサイクルのための直接規制 と経済的 手法

生産系企業で製造 された製品が,消費者によっ て使用 され廃棄 されたとき,これを廃棄製品 と呼 ぶことにする.廃棄製品は,(a)還元系企業に引 き 取 られ再利用可能な部品を取 り出 した後 に埋め立 てなど環境へ投棄 される,(b)自治体が引 き取 り, 環境へ直接投棄 されるか,あるいは還元系企業 に 引 き取 らせ る,(C)消費者が直接環境‑投棄す る, などによって処理 される.これ らの場合,生産系 企業は廃棄製品の処理 に関 して何 ら関与 してお ら ず,廃棄費用 を公共処理 などの企業外部に転嫁 し ていることにな り,外部不経済 としてとらえられ る. したがって,廃棄製品の削減や環境汚染, リ サイクルの促進 に対する生産系企業のインセンテ ィブは低いものになる.これ らのインセ ンティブ を生産系企業 に持たせるためには,廃棄製品の処 理 に関わる費用 を生産費用の一部 とする必要があ る.すなわち外部不経済を内部化 させ,内部化 さ れた費用の削減 を通 じてインセンティブを持たせ るようにする.

外部不経済を内部化 させる効果的でかつ直接的 な方法に直接規制がある.直接規制は,廃棄物の 不法投棄や違法処理 などによって生 じる社会的費 用 を行政が規制によって抑制する手段で,規制の 対象が局所的 ・短期的な場合に適 しているが,他 方では経済学的には非効率的であると批判 されて いる21.これに対 して経済的手法は廃棄物処理 に よって生 じる社会的費用 を市場 メカニズムによっ て抑制 しようとする方法で,対象が広域的 ・長期 的な場合 に適 してお り,OECDレポー ト[3では(1) 排 出税,(2)製品税 (課徴金),(3)税 の差別化,(4) 利用者課徴金,(5)税の軽減をあげている.

経済的手法は直接規制の補助的な方法 としてと らえられてきたが,導入件数は近年増加 しつつあ [4].経済的手法が直接規制 より優れている点は,

直接規制に比べてより少ない情報量で効果的に実 施でき,廃棄物排出抑制の継続的なインセンテ ィ ブを与 え, とくに課税手法の場合は税収が期待で きる.さらには産業界の利益 に密着することが少 な く公平性が保たれることである.

3.リサイクル ・システム

3.1 一般廃棄物の リサイクル ・システム 3.1.1 リデ ンブション ・システム

リデ ンブシ ョン ・システム (redemptionsys tem)は,預託 ‑払 い戻 し制度 (depositre且Ind system)で,飲料容器などの価格 にある一定額の 金額 (デポジッ ト,deposit))を上乗せ して販売 し,消費者 などが空容器 を販売店などの特定の回 収ポイン トに返却 したとき,デポジ ットの全額あ るいはその一部などの一定額 を払い戻す (リファ ン ド,refund)制度である5】.

カリフォルニア州で実施 されている飲料容器の リデンブション ・システム[6]では,環境保全局が 卸売業者か ら容器の買い戻 し金に相当する預託金 を受け取 り,飲料 メーカーか ら容器の処理費用 を 受 け取 っている.これ らの処理費用 と預託金は,

リサイクルセ ンターに取扱料 として支払われると ともに,空容器処理業者の処理費用が容器メーカ ーへの空容器の売却額 を上回る場合 には,処理費 の一部 を補填するために処理業者 に支払われる.

この制度は,容器が回収 されずに捨てられたとき 上乗せ された金額は払い戻 されないので,容器 を 廃棄 した行為 に対する課税 とみなすことができる.

また容器が回収 されると,回収 したのが誰であっ て も上乗せ した金額が払い戻 されるので,容器 を 返却するという行為に対 して補助金が支払われる とみなす ことができる.この ような意味か らリデ ンブション ・システムは課税 一補助金 システムと して解釈することがで きる.

3.1.2 デュアル ・システム

ドイツのデュアル ・システムは,1986年に制定 された 「廃棄物の回避及び管理に関する法律 ( 棄物回避法)」の第142項 に基づいて施行 され た 「包装廃棄物回避のための政令 (包装廃棄物回

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避令)」 による一般廃棄物 を対象 に した強制 リサ イクル法である[7].

この政令は,自己回収 と再使用 ・再生利用の義 務付 けや法定 リサイクル率達成の義務付 け等の直 接規制 と,デポジッ ト制度の導入や法定預託金額 の設定などの経済的手法 を組み合わせた ものであ る. しか し,法に定めるリサイクル率 を達成で き るリサイクル ・システムに参加する企業に対 して は,前記の二つの義務付 けを免除 している.

この政令は,企業に対 して製品に使用 した包装 材や容器類 を自己回収 し再利用 ・再生使用 を義務 付 けているのであるが,実際には技術的にも費用 の面か らも実現が困難である.そこで多 くの企業 は義務免除の適用 を受けるために連携 して リサイ クル ・システムを構築するようになった.この義 務免除の適用 を受けるために構築 された リサイク ル ・システムの中で もっとも広範で代表的なシス テムがデュアル ・システム (DualesSystem)で ある.このシステムは公共の包装材 ・容器類以外 の処理 システムと民間の包装材 ・容器類の リサイ クル ・システムが公共のシステムとは独立に並列 して活動することか らこのように名付 けられた.

デュアル ・システムを運営する ドイチェラン ド社 (DSD社)が政令施行以前の19909月に設立 さ れている.

ドイツにおける 「包装廃棄物回収令」 とデュア ル ・システムの影響 を受けてフランスでは,1992 4月に 「包装廃棄物政令」 を制定 した.フラン スの場合 も ドイツと同様 に製造業者や流通業者が 民間の リサイクル ・システムであるエ コ ・アンバ ラージュ社 に参加することによって包装廃棄物の 自己回収やデポジット制度への参加などの義務 を 免除されている. しか し以下の点に相違が見 られ

る.

(1)フランスの回収 システムは,自治体が包装廃棄 物 を含むすべての一般廃棄物 を回収 し,その費用 をエコ ・アンバラージュ社が間接的に負担 してい る.エ コ ・アンバラージュ社 は回収 ・分別 された 包装廃棄物 を引 き取 り再生業者 に委託処理 をさせ

る.

(2)プラスチ ックゴミなどの焼却 によって熱エネル ギーを回収するサーマル ・リサイクルを認めてい る.

これらのことか ら,フランスの回収 システムは 自治体の回収 システムを活用することによって, 企業に間接的に廃棄物回収の費用 を負担 させてい

るといえる.

3.1.4 日本の容器包装 リサイクル法

日本 においては, ヨーロッパの包装廃棄物回収 システムの影響 を受けて,1995年6月に 「容器包 装 に係る分別収集及び再商品化の促進等 に関する 法律 (容器包装 リサ イクル法)」が制定 されてい る.この法律 に基づ く容器包装廃棄物回収 システ ムは次のようである81.

(1)容器包装廃棄物の分別収集 は自治体 に義務付 けられている.

(2)自治体が回収 した一般廃棄物の中で,省令の定 める基準 に適合 した ものを分別基準適合物 として 指定 された施設 に保管する.

(3)企業 (特定容器利用事業者,特定容器製造事 業者,特定包装利用業者)は分別適合基準物の再 商品化 とその利用が義務付 けられている.

(4)企業が指定法人に再商品化 を委託 したとき,再 商品化 した もの として再商品化の義務は免除 され る.

すなわち, 自治体が回収保管 している分別適合 基準 に合致する容器包装廃棄物 を指定業者 に引 き 取 らせ再商品化するシステムであるといえる.

3.2 リサイクル ・システムの問題点 と課題 3.2.1 リデンブション ・システムの問題点

リデンブシ ョン ・システムの預託一払い戻 し制 度 を課税 一補助金 システム として解釈す るとき,

この課税 は容器廃棄物が もたらす外部不経済 を内 部化するものであるといえる.

しか しなが ら, リサイクル ・センターを増やせ ば消費者の不便は低下するが,システムの総費用 は増加する.逆に, リサイクル ・セ ンターを減 ら せばシステムの総費用は低下するが消費者の不便

は増加する.さらに,容器廃棄物が回収 されなけ れば預託金 は事業者 に所得化 されることになる.

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また,その預託金の最適な額 (課税額)の算定が 困難である.包装廃棄物 を再使用するためには包 装材の規格化 ・標準化 を必要 とする,などの問題 点が指摘 されている[7.

3.2.2 デュアル ・システムの問題点[8]

デュアル ・システムは ドイツ国内だけでな く近 隣 ヨーロッパ諸国に影響 を及ぼ しなが ら急速 に普 及 しつつある.このシステムでは,回収の対象 と なる包装 と容器 につけられている 「緑の点」 は回 収 ・再生の保証マークであるために,使い捨て型 容器の使用 を黙認 していることにな り, これをつ ければ企業は包装廃棄物 を回収 ・再生する義務 を 免れることがで きる. したがって包装材削減のイ ンセ ンテ ィブは低 くな り, またそのライセンス料 金は,環境負担度 を十分反映 したものでないので, 環境負担度の高い容器の使用 を黙認 していること

にもな り,包装廃棄物の減量効果 も低下する.

さらにライセ ンス料金 は製品価格 に上乗せ され ているので,消費者 は自治体の処理費 とライセ ン ス料金 を二重 に負担 をしていることになる. また, 企業 はデュアル ・システム‑参加することによっ てデポジッ ト制度への参加義務づ けは免除 される ので使 い捨 て型容器 に切 り替 える可能性がある.

3.2.3 容器包装廃棄物 回収システムの問題点8】

日本の容器包装 リサ イクル法 に基づ く容器包装 廃棄物回収 システムでは,容器包装廃棄物の分別 回収 は自治体が行 ってお り,分別回収費用 に対す る事業者の負担が免除 されている.回収 された容 器包装廃棄物が事実上無償で業者 に引 き渡 されて お り,これは事業者負担の軽減措置が行われてい るといえる.このように事業者負担が免除 されて いるため に, 自治体の廃棄物処理費用が増大 し, これが地方税 に転嫁 されて地域住民が負担するこ とにな り,容器包装削減のインセ ンティブが事業 者に働かないことになる. また, 自治体が保管 し ている容器包装廃棄物 は景気の変動 によっては再 商品化 (再生資源化) されずに廃棄 される可能性 がある.

3.3 リサイクル ・システムの課題

前節 までに検討 して きた問題点によ りリサイク

ル ・システムを構築す る際の課題 として,以下の 項 目が考 えられる.

(1)デュアル ・システムのように 「義務免除」 を規 定する と廃棄物削減や原材料の削減 ・改善のイン セ ンティブを与 えないことになる. リサ イクル ・ システムはこのようなインセ ンティブを与 える も のでなければならない.

(2)汚染者負担 の原則 を徹底 して外部不経済 を内 部化 し,フリーライ ド (ただ乗 り,freeride) 許 さないシステムの構築が必要である.たとえば, 預託金あるいはライセ ンス料 を製品の環境負荷度 や再生処理費用 などに応 じて的確 に設定 し,その 総額 を生産量 に応 じて正確 に徴収することが考 え

られる.

(3)回収 システムは簡素で,政府 ・自治体のコン ト ロールが可能なシステムでなければならない.

4.循環型産業システムの経済的手法

4.1循環型産業 システムの構造

本研究では図1に示す構造 を持つ循環型産業 シ ステム9を対象 にする.生産系企業 は自然界 ( 球環境 ) よ り天然資源 を採取 して素材 を製造す る.たとえば,鉄鋼石 を精製 して鉄 を製造 した り, 石油か ら重油や軽油,ナフサなどを生産する.こ れ らは製品製造の素材 とな りうるものである.こ れらの素材 を用いて部品の加工 ・組立を行い,義 終的には消費者が購入する製品を組み立てる.製 品は流通業者 を経て消費者が購入する.購入 され た製品は消費者 によって使用 ll消費 され,最終的 には廃棄製品 となる.

廃棄製品は自然界‑投棄 されれば,環境汚染 と な り,その処理は政府 ・自治体 などの資金,す な わち税金によって行われるので,処理 に要する費 用 は消費者が負担することになる.流通業者が廃 棄製品を回収 し還元系企業 に送 り,還元系企業で は廃棄製品の分別 を行 う.分別後,その まま使用 で きる廃棄製品は再生製品 として,使用で きない 廃棄製品は分解 され再利用で きる部品を取 り出 し 再生部品 とする.再利用で きない部品は破砕 され 再生材料,あるいは熱エネル‑ギー源 として再利

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: L

生産系企業

1循環型産業 システムの基本図9

用で きるようにする.再生製品は必要であれば生 産系企業か ら修理用の部品の供給 を受け,修理 を した後 に再生製品市場 に投入 される.再生部品 と 再生材料 は生産系企業 に部品あるいは素材 として 原材料市場 に投入 される.

4.2 還元系企業の利益構造

製品の原価 は,一般的には直接材料費,直接労 務費 ,直接経費か らなる製造直接 費 と間接材料 費,間接労務費,間接経費か らなる製造間接費 に よって構成 される.これに営業費 (一般管理費 と 販売費) を加算 した総原価, さらに利益 を加 えた 販売価格が形成 される.生産系企業では部品を加 工 しこれを組み立てて製品 とするので,製品の製 造原価 は構成部品の原価の和 と生産数量 との積 に よって計算 される.還元系企業では,直接材料費 以外 の項 目は生産系企業 と同様 で,直接材料 費 は,廃棄製品の購入価格である.素材 として購入 された廃棄製品は,その まま使用で きる もの,あ るいは修理 をして使用で きるものは再使用可能な 製品 として リサイクル市場 に投入 される.そ うで ない廃棄製品は分解 され使用可能な部品を取 り出 し,状態 によっては修理 し再使用部品 として,倭 用不可能な部品は破砕 され原材料 として原材料市

場 に投入 される.

一般的には総原価 は (固定費+変動費 ×生産数 量)で計算 される. さらにここでの固定費は製造 間接費 と販売費の生産数量 とは独立 した部分,お よび一般管理費か らな り,変動費は直接材料費 と 直接労務費,および製造間接費 と販売費の生産数 量 に比例する部分か らなる.先 に述べ たように還 元系企業では直接材料費は廃棄製品の購入価格で あ り, これが低価格 であれば還元系企業の損益分 岐点は低 くな り, リサイクルされる製品 ・部品 ・ 原材料の生産量が少 な くて も還元系企業は利益 を 上げることがで きる.他方,直接材料費 (廃棄製 品の購入価格)が高ければ,損益分岐点は高 くな り,還元系企業 は大量の リサイクル製品 ・部品 ・ 原材料 を生産 しなければ利益 を上げることがで き ない.

一方, リサイクル部品 ・原材料 は天然資源 よ り 生産 された天然原材料 と市場で競争することにな る.生産系企業 はリサイクル部品 ・原材料 を用い るよ りも天然原材料 を用いたほうが製品 を安 く造 ることがで きるのであれば天然原材料 を購入 し, リサ イクル部品 ・原材料 を購入 しないであろ う.

この道の場合は, リサ イクル部品 ・原材料 を購入

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す る. したが って還元系企業が利益 を得 るのは, 生産系企業が リサ イクル部品 ・原材料 を購入 し, その需要量が還元系企業の損益分岐点 よ り多い場 合である. リサ イクル部品 ・原材料 を生産系企業 が購入す るようにするためには,還元系企業の直 接材料費 を低 く設定 し,場合 によっては逆有償 に しなければならない.逆有償 になる と,使用済み 製品は廃棄製品市場 に投入 されることが少 な く,

自然界 に不法投棄 される可能性が大 きくなる.

4.3 課徴金一補償 システム

前節で検討 したように逆有償 に起 因する不法投 棄 を防 ぎ廃棄製品の リサイクルを促進するために, 本論文では生産系企業 に対 して地方 自治体 などの 行政が法令などによって リサ イクル部品 ・原材料 の使用率 を定め,還元系企業が常 に利益 を得るよ うに補償金 を支払 う課徴金‑補償 システムを考 え る (2).

この補償金は,製品 を廃棄す る消費者 に課す税 金 として製品課徴金 を製品価格 に上乗せ して製品 を販売することによって賄 われる.行政はこの課 徴金 を生産系企業 よ り回収 して還元系企業が利益 を得 るように補償 し,廃棄製品市場 における廃棄 製品の買取価格 を維持 させ るようにする. この よ うにすることによって消費者が支払 った課徴金の 一部 または全部が廃棄製品の買取価格 として消費 者 に還元 されるので,廃棄製品 をリサイクルする

インセ ンテ ィブを消費者 に与 えることになる.消 費者が廃棄製品をリサイクルせずに投棄 した場合, 課徴金 は投棄 した行為 に対する課税 となる,行政 はその処理費用 に課徴金 を充当す ることによ り, 新 たな財政負担 を軽減することがで きる.

一方,天然原材料 に対する リサイクル部品 ・原 材料の原材料市場での優位 を確保するためには天 然原材料 を用 いている製品への課税 とリサイクル 部品 ・原材料 を用いている製品への優遇税制,例 えば減税の ような助成措置 をとる.前述 したよう に製品価格 に課徴金が上乗せ されているために実 際の販売価格 は製品価格 よ り高 く設定 される. し か しなが ら, リサ イクル ・部品 ・原材料 を用いる と減税 などの優遇税制が適用 されるので,製品の 販売価格 を低 く設定することがで きる. したが っ て,生産系企業 に製品市場での競争優位 を確保す るためにもリサイクル部品 ・原材料 を利用す るイ ンセ ンティブが働 き,結果 として廃棄製品か ら出 される廃棄物の減量がはか られ, また天然原材料 の使用 を抑制することがで きる.

5.まとめ

本研究で提案 した課徴金一補償 システムは,廃 棄製品の処理費用 は製品の最終使用者である消費 者が製品課徴金の形で負担 している.生産系企業 は処理費用 を負担 していないので,外部不経済 を

l [二 二 二 車

二 二 ] ∫

g g ? J l

2課徴金一補償システム 【9】

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内部化 してい ない とみ る ことが で きる. しか しな が ら課徴 金が製 品価格 に上乗せ され, また天然 原 材料 の使用 に よる課税 に よって,販売価格 が高 く 設定 され るので,その結 果製 品の市場 占有率 を下 げる可 能性 があ る.生産系企業 は市場 占有率 を確 保す るため に もリサ イクル部品 ・原材料 を利用 し て天然 原材料 の使用 を少 な くし,製 品の販 売価格 を引 き下げ ようとす る. また リサ イクル部 品 ・原 材料 を利用 す る ことに よって廃棄物 が減少 し,廃 棄物 の処理 費用 も減少す る. この ことよ り,提 案 している システムは外部不経済 を内部化 させ るの と同様 の効果 を もた らす とい える.

課徴 金 一補償 システムで は,天然原材料使用 に 対す る課税 額 とリサ イ クル部 品 ・原材料利用 に対 す る減税額 ,お よび課徴 金 の額 を行 政が決定す る ので,行政が この システムを コン トロールす る こ とが可 能 とな り,廃棄製 品の収集 ・処理 は還元系 企業が行 うので回収 システムは複雑 にはな らない.

課税 額 ,減税 額,課徴金 の額 を適切 に設定 す る方 法が今後 の検討課題 となる.

謝辞 本研究は平成 10年度文部省科学研究補助金基盤 研究 (B)(課題番号 :09430027,研究代表者 :人見勝

人 ・龍谷大学教授)に基づ くもので,ここに記 して謝意 を表する.

参 考 文 献

[1] 人見他 :循環型産業システムの基本的研究課題の提 案,オフィス ・オー トメーション,Vol.18,No.i2, (1997),pp.52‑55.

[2]天野明弘 :環境政策の政策手段,季刊環境研究, Noβ4,(1994),pp.3745.

[3] OECD:Implementation StrategiesforEnviron‑

mentalTaxes,OECD,(1996),p.10.

[4] OECD (石監訳) :環境 と税制,有斐閣,(1994). [5]植田和弘,岡敏広,新揮秀則 (編著) :環境政策 の経済学,第10章デポジット制度 (植田和弘),日 本評論札 (1997),p,202.

[6]藤井美文,石川雅紀,乃万一隆,鈴木俊之 :リサ イクル促進のための経済的手段導入の費用 と効果‑

リデンブション方式設計の理論 と実証分析‑,経済 分析,No.147,(経済企画庁経済研究所,1996).

[7] 植田和弘 :ゴミ減量化 ・リサイクルと経済的手段‑

デュアル ・システムとパ ッケージ税‑,経済分析, No.153,(経済企画庁経済研究所,1997). [8]吉野敏行 :資源循環型社会の経済理論,東海大学

出版会,1996,pp.184201.

[9]循環型産業システム研究会資料,(1998).

参照

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