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(1)

各種野菜類中のビタミンC含有量の季節変化につい

著者 荻原 和夫, 箱山 年子

雑誌名 紀要

巻 30

ページ 10‑13

発行年 1975‑12

URL http://id.nii.ac.jp/1118/00000854/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止

http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

各種野菜類中のビタミンC含有量の季節的変化について※

荻 原 和 夫 箱 山 年 子

我々が日常摂取している栄養素の畳の算出は,多くの はあい食品成分表(三訂日本食品標準成分表)の数値匿 よっている。然し,実際に摂取している個々の食品の中 に,食品成分表の数値通りの栄養素が含まれているわけ でなく,極端にいえば1つ1つみな異なることは周知の 事柄である。大きく季節によって区分しただけでも,そ れぞれの季節に出廻る各種食品中の各種成分の含有畳が 異なることは,食品のもとになる各種動植物の成分組成 が品種の違いによることは勿静のこと,同じ品種でもそ の成長(成育)段階によっても異なるし,また植物なら は栽培条件(土躾,肥料,日照畳など様々の要因)や季 節,動物ならは飼料や飼育方法によっても影響をうける

こともよく知られていることから考えても当然予想され るところである。

魚や野菜など沢山とれる(出過る)か,またはおいし

1)

い時季を俗にシエソ(旬)という。味が良いということ は各種成分が豊かに含むことに関連するので,当然のこ とではあるがその時季はまた栄養的にも価値の高いはあ いが多いと考えられている。そしてそれらの食品は一般 にシエソのものを利用するのが味覚的にも,栄養的に も,また経済的にもよいといわれている。

ところが近年栽培方法や貯蔵法の向上や変化,更には 流通機構の発展により各位食品の出廻り時季が以前と比 較して大部変化して来ていることも良く知られていると

ころである。なかでも野菜や果実は品種の改良や温室を 用いた促成栽培などによって,夏にしか見られなかった トマトやピーマソ,ナス,キウリなどでも年中出廻る様 になっているなど,かなりの魔炉のものが従来では考え られなかった季節に新鮮なものが沢山出廻る様になり,

シュンという概念がくずれつつあるのも事実である。然 しどの栽培法のものでも,どの時季のものでも同じ栄養 的価値をもつかどうかの検討,即ち食品の栄養的価値の 季節的変動を系統的に実測して検討した報告は意外に少 ない。

※食品中の栄養素の季節的変動に関する研究,第一報

10

それは今までは植物性の食品は自然栽培によって生産 されるのみであり,.魚などほ自然の漁期に従っており,

生鮮食品の生産,収礫の時季が限られていて,いわゆる シエソが確立しており,季節外に利用するはあいでも多 くは貯蔵技術に負うところのものであったので,年中新 鮮物が出廻ることがなかったためもあるものと思われ

る。

したがって今までにも貯蔵中の成分変化などについて の報告は多いし,野菜については特にピタミソC(以下

Ⅴ.Cと略す)の貯蔵中の変化,成育段階の含量変化な

3)

どの報告は多く見られる。

然し最近の実情から考えて従来の食品成分蓑の値では 実態からかけはなれたものになりつつあるとの反省から

,食品成分表の改訂作策もすすめられているとも聞く が,著者らも,今回市場にほぼ年間出廻っていて,我々 が日常実際に食している野菜などユ0種ほど選びⅤ.Cを 例にとりあげ,各月毎にその還元塾Ⅴ.C含有量を測定 し,またシエソとの関係がどの様になっているか検討し てみたのでその結果を報告する。

試料及び夷験方法

検討の対象としてとりあげたものは,近年,年間を通 じて市場に見られるナス,キュウリ,キャベツ,トマ ト,ピーマン,ダイコソ,サツマイモ,ニソジソ,ホウ レソソウの9種と参考のため温州ミカソ(以下ミカソと 略記す)を選んで行った。

試料の野菜煩は長野市内の市執 スーパーマーケッ ト 八百畳などでその月々に実際に売られ,容易に入手 出来る代表的な種類のものを任意に選んで購入した。し たがってその様な取り上げ方は試料の生産地,点在は季 節によって異なり,ある植物の同一晶徳佐ついての季節 的変動の検討という見地からは必ずしも適切ではない が,我々の食生活において,各季節毎に実際に用いられ ている食品の実態に最も近い状態を検討出来ると考えた からである。

購入並びに測定時期は,1972年7月より1973年6月ま

長野県無期大学紀要

(3)

での1年間,毎月1回,中旬の大体同じ日時に定期的に 行った。更に1974年鼠1975年度にもナ部追試を行っ た。

3)

遼元塾Ⅴ・Cの茸畳はイソドフェノール法によった。

測定試料の調製に当ってほ,野菜類はその測定部位によ るⅤ.Cの含有量が異なるとの報豪産るので,今回は 出来るだけかたよりのない様各部位から試料をとって均 一化するよう配慮して行った。

実験結果及び考察

まず今回の実験にとりあげた野菜類の出廻り期の変化

8)7)8)

を第ユ表に示した。これは各種資料を参考にしながら,

長野市における実態を調査したものを簡額にまとめたも 第1表

第1表野菜類の出廻り期の変化

◎服盛期 ○かなり出辿る △晶蒋期

3 釘 5 澱 7 月 唐 9  11  " 1  ネ 月 佇 月 佇 佇 月 佇 月 佇 月 

ナ   ス  田 D闌     イ ◎  メ ○  "    

1974年現況  イ ○  イ ○  メ ◎  イ ○  " △  " △ 

キュウリ  田 D闌     イ ◎  メ ○  "    

1974年現況  イ ○  イ ○  イ ◎  イ ○  " ム  " △ 

キャベツ  田 D闌     " ○  イ ◎  メ ○  イ △  1974年現況  イ ○  メ ◎■  イ (⊃  メ ◎  メ 〔)  " △ 

ト マト  田 D闌     イ ◎  メ ○  イ    

1974年現況  " ○  イ ○  メ ◎  メ ○  " △  r △ 

ピーマン  田 D闌     イ ◎  メ ○     

1974年現況  " ○  イ ○  メ ◎  イ ○  イ △  " △ 

ダイコン  田 D闌 △  " △  " △    イ ◎  メ ○  イ 1974年現況  ィ R ○  イ ○  イ ○  イ ○  イ ◎  イ ○■ 

サツマイモ  田 D闌       イ ◎  メ ◎  イ   1974年現況  " △  " △  イ ○  メ ◎  イ ○  イ △ 

■・一 ヽ  〜◆ ヽ  田 D闌         ○  メ ◎  "

一一 ン′ こ/ン   都ID靈クサR ○  イ ○  イ ○  イ ○  イ ○  メ ○  イ

ホウレンソウ  田 D闌 △        " △  メ ○  イ 1−974年現況  イ ○  イ 4    " △  イ ◎  イ ○ 

温州ミカン  S田 D闌         " △  メ ○  "

1974年現況  イ ○      " △  イ ◎  イ ○ 

のである。見られる様に今回の実験にとりあげた野菜塀 は,1・5′一28年前には殆んどのものが出廻り期の限られて いたものであるが,近年では,時季によって晶壇,栽培 法,産地等の違い,また出廻り畳の違いはあるが,収穫 直後の新鮮なものがほぼ年間を通じ市場にみられる様に なっている。但し根菜類の一部は貯蔵品もあると思われ るし,またホウリソソウ,ミカソは今でも†時期冷凍品 以外殆んど出廻らない月がある。

次に各月に入手したものの選元塾Ⅴ.・G含有丑の測定 結果を第1回一第10園に示した。

第30号 ユ975

これらの測定値は各月におけるそれぞれの野菜類の

Ⅴ・C含有畳の絶対的なものとは必ずしもいえないが,

年間を通じてみると,各月に実際に市販されている野菜 の大よその傾向がつかめるものと患われる。

全般的に見てⅤ・C含有量の絶対値の高いものは食品 成分表などでも知られている通りの慣向であり,ピーマ ソ,ホウレソソウ,キャベツ,ミカソなどが含有盈多 く,一部の季節のものを除いていづれも30mg%を越え ており,ついでダイコソ,サツマイモ,トマトの順に 20mg%前後となっている。キュウリ,エソジソ,ナス などほ含有量が少なく,10mg%以下である。もっとも キュウリ,ニソジソは測定車に酸化してしまい,還元塾 としては小さい値になっていることも考えられる。また ナスは1′、ノ2mg%と特に少なくⅤ.Gの給源としてほ期 待出来ない。

つぎに年間を通じての含有量の変化を傾向別にまとめ てみると,従来いわれていたシユソと含有量の高い時季 が一致するものとしてトマト サツマイモ,ホウレソソ ウ,ミカソなどがあげられ,キュウリは近年の最盛期に あたる8月のものだけが特に高い。

ミカソについては森本民らも同様な葉陰をし,12月の

9)

ものがⅤ.C含有量が最高であったと報告している。

むしろシユソ以外の時季に得られたものに含有丑が高 かったものとして,ナス,ピーマソ,ニソジソなどがあ る。そしてダイコソほ時季によって多少高低があり,キ ャベツは出廻り期のものの含有量が幾分高い鱒向はある が,言の2磯は年間を通じⅤ.C畳にあまり変動がない 野菜といえろのではないか。

以上の結果で示される様に,シユソ忙おいて野菜塀の 栄養価が高いということは,Ⅴ.Cに関しては必ずしも そういえないものもかなりあることがわかった。その上 意外なことに従来時期はずれの準董栽培ものなどは,栄 養的にはほとんど価値がないと考えられていたのはむし ろ誤りであり,またシユソより多少含有量が少ないもの であっても極端に低いものはあまりなく,それぞれの 野菜がそれぞれの時季に少なくともⅤ.Cの給源として 充分その役割を果せるものが多い現況にあるといえる。

但し従来のシユソ忙当る時季以外の季節にはやはり生産 の教畳的な面から,また栽培コストが高いことなどの因 匹より市販価格がかなり高くな亭羊とが多く,経済的要 素を考慮するとⅤ.Cの単位重畳当りの供給価格が相当 高くつくものも一部にはあり,その点からデメリットを 強調する考えもあるし,また野菜に季節感がなくなった ことに対して感鯵的に淋しく思う見方もあるが,考え方 をかえれば,それだけ年間を通じての食生活が華かにな ったことであり,以前には冬など生鮮なⅤ.C給源など

11

(4)

麗1図ル第10回 第1図ナス

第4斑トマト 第9回ホウレンソウ

19  2P  3p  40  59  6p  70 1POヤ% 

鷹爪成分ゴモ  3月 

140. 

.74月  5月  6月  3X C2

154.0  134.8 

9月 度 CX R

〇・10月  h C

11月 12月 1月  ̄2月  」cH CB

165.2  150.7 

161.6 

第7図サツマイモ 第8図ニンジン

ユ2

第6区lダイコン

第10囲 ミカン

長野県短期大学紀要

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限られていて,たとえ高価を投じても得られなかったも のが多かったこと,並びに野菜などは特に長期貯蔵がむ ずかしいものであることなど考えれば,促成栽培や抑制 栽培などによる従来のシュン以外の季節に生鮮野菜が得 られる現況は,その食生活への貢献度をかなり高く評価 してもよいのではないかと思う。

特にピーマン,キャベツ,ダイコンなどは年間を通じ てそのⅤ.C含有量も高く,よきⅤ.C給源となってお り,また今回とり上げた10種の野菜炉を季節毎に例えば ピーマン,キャベツ,ダイコンに加えて3,4,5月は ホウレンソウ,キュウリ,6,7,8月はキュウリ,ト マト,ニンジン,9,10,11月はサツマイモ,12,1,

2月はホウレンソウ,ミカンというようにシュンのもの を適切に使うことによってⅤ.Cがより合理的に得られ ることも再確認出来た。

今回の検討はあくまで市販品が入手出来た時点での数 値が示されている。学術的には条件の不備もあるが,ど の位のものを実際に摂取しているかという点からは最も 現実的傾向がつかめていると思われる。

また今回はあくまでもⅤ.Cのみについての検討であ り,他の成分や栄養素について測定したはあいはまた違 った評価が与えられる様になるとも思われるので今後検 討を続けてゆきたいと思う。

摘  要

食品中の栄養素の季節的変動を調査する目的で,まず 近年ほぼ年間を通じ市場に出廻る野菜類の中から10種類 を選び,その還元塾Ⅴ.C含有量を月毎に1年間に渡っ て測定し,また出過り期の変遷もあわせて調査し次のよ

うな結果を得た。

実験にとり上げた野菜塀は殆んどのものが以前は出廻

第30号1975

り期が一定の季節に限られていたが,近年は年間を通じ 一部貯蔵物もあるが大部分は新鮮物が得られるようにな って来ているのでシュンという概念がくずれつつある。

Ⅴ.C含有量については,全体的にみて各月とも含有 量の高いものはピーマン45.4′−122.7mg%,ホウレンソ

ウ34.8′}65.2mg%,キャベツ31.2′}48.1mg%であっ た。但しホウレンソソは一時期7′)15mg%しか含まれ ないものが存在する。

季節により変動の激しかったものはキュウリ2.6〜19.

5mg%,トマト9.5′〉31.5mg%,ニソジソ3.2 11.6mg

%,ホウレンソウ7.5′・ノ65.2mg%などである。季節的変 動の比較的少なかったものはナス0.9′、/2.2mg%,キャ ベツ31.2・〜48.1mg%,ダイコン15.6ノ}23.8mg%,サツ マイモ13.4〜28.5!ng%などである。これらの結果は必 ずしもその月の絶対的数値でもなく,また平均値でもな いが実際に我々が日常摂取している実態の大よその傾向 を示しているといえると考える。

文 献

1)河野友美編;食品大事典(真珠書院)428貫(1970)

2)高田亮平編;日本ビタミン文献集(ビタミン50周年記念事 業会)344〜347貫く1962)

3)小原暫二郎編;食品分析ノ、ンドブック(建高社)291〜293貢

(1969)

4)佐橋圭一編;ビタミン学(金原出版)698貢(1956)

5)北川雪患;栄養と食糧型292(1971),同型436(1972),

同型139(1973)

)   ;家庭科事典(平凡社)第5巻260京(1950)

)桜井芳人編;綜合食晶事典(同文書院付表13(1959)

)永田 優;食品の購売管理(医歯薬出版)6〜11貢(1964)

)森本喜代,松窒秀夫;栄研報告昭和34年版53(1959)

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参照

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