弘 前 医 学 55:1‑6
,
2003 原 著当院における腹腔鏡補助下幽門側胃切除術 ( L apar o s c o py‑
a s s i s t e dd i s t a lga s t r e c t o my;LADG) の検討
板 橋 幸 弘卜 3) 馬 場 俊 明1・2) 栗 田 武 彰 1) 加 藤 智 1) 佐 々木 陸 男
2)
抄録 当院における腹腔鏡補助下幽門側胃切除術 (Laparoscopy‑assisteddistalgastrectomy;以下,LADG)10例 (LADG群)を,開腹による幽門側 胃切除術4例 (ODG群)を対照とし,根治性および有用性について検討 した.
郭清 リンパ節個数は有意差がなく根治性には問題ないと思われた.LADG群で有意に手術時間が長か ったが,術中 出血量や,術後のCRP値,鎮痛剤使用回数はLADG群で有意に少なか った.また術後の離床 日や経 口摂取開始 日 もLADG群で有意に早 く,ODG群と比較 して,よ月 低侵襲であることが示唆された.LADGは2002年4月より社 会保険診療報酬の対象術式として認め られ,手術を受ける患者さんの Qualityoflife(以下,QOL)をも考慮 した 手術であ り,時代のニーズとなってい くものと思われ る.今後もLADGの標準化と適応の拡大に向けてさらなる 研鏡をつんでいきたい.
弘前医学 55:1‑6
,
2003 キーワー ド:腹腔鏡補助下幽門側 胃切除術;早期 胃癌.ORIGINALARTICLE
LAPAROSCOPY‑ ASSI STED DI STAL GASTRECTOMY FOR EARLY GASTRI C CANCER:OUR EXPERI ENCE
YukihiroItabashi1‑3),ToshiakiBabal・2),T
ake
akiKurital), Satoru Katol)andMutsuo Sasaki2)Abstract Clinical datafrom 10patientsundergoinglaparoscopyassisteddistal gastrectomy(LADG)forearly gastriccancerwascomparedwiththosefrom 4patientstreatedwith opendistal gastrectomy(ODG).
Thedegreeoflymphnodedissectionforcurewascomparableinboth procedures(24.3±4.2nodesinLADG vs.20.8±3.5nodesinODG).Wh ilethedurationofsurgeryforLADG wassignificantlylongerthanthatfor ODG(326±13vs.183±14min),LADG seemedbene五cialto也epatientsasevidencedbysmallerintraoperative bloodloss(50±9vs.158±35
m i )
,lessfrequentusageofpostoperativeanalgesics(1.4±0.3vs.3.3±0.5doses), shorterrecumbentinterval (2.0±0.0vs.2.5±0.3d)andearlierinitiationofperosnutrition(3.8±0.8vs.4.8±0.5daftersurgery),allofwhichindicatedthatLADG isalessinvasivesurgiCal modality.
LADG isexpectedtogainincreasingpopularityasacurativeprocedureforearlygastriccancer1. HirosakiMed.∫.55:1‑6,2003 Key
wor ds :
Laparoscopy‑assisteddistalgastrectomy (LAI)G)・,early gastriccancer.は じ め に
優先す るあ まり,手術 に伴 う傷痕や手術後 に失 われ る機能 などにつ いては,あ ま り重視 されて これ までの癌 の手術では,病気を治す ことを こなか った. しか し,最近 は医療診断技術 の向 1)木造町立成人病センター外科
2)弘前大学医学部第二外科
3)別刷請求先:板橋幸弘 平成15年3月10日受付 平成15年4月24日受理
1)DepartmentofSurgery,Kizukuri AdultDisease MedicalCenter
2)2ndDepartmentofSurgery,HirosakiUniversity SchoolofMedicine
3)Co汀eSpOndence:
Y.
ItabashiReceivedfわrpublication,March 10,2003 Acceptedforpublication,April24,2003
2 板 橋,他
上に伴 い,治癒す る可能性が高い例を特定でき るようにな り, これ らについては,ただ治癒す ればよいというのではな く,手術を受 けた患者 さんの
QOL
をも考慮 した手術 を行 うことが社 会のニーズとなっている.その結果,腹腔鏡下 手術 という,身体 に対す る負担を少な くす る術 式 が さ まざ まな癌 の治療 に導 入 され て きた.1 9 91
年 に 日本 にお いて早期 胃癌 に対す る腹腔 鏡補助下幽門側 胃切除術( LADG)
が開発され た l).その後約1 0
年が経過 し,その根治性 と有 用性が報告 され2),早期 胃癌 に対す る治療法の 一つ と してはば確立 された.その結果,2 0 0 2
年4
月より社会保険診療報酬の対象術式 と して認 め られ るに至 った. しか し, この早期 胃癌 に対 す るLADG
は,高度 な技術 を要す ること,従 来の開腹術 に比べて時間がかか ることなど医療 側の理 由か ら,残念 なが ら青森県内では未だに 普及 していない.本論文では,当院 における
LADG
症例 の こ れ まで の臨床結果 を開腹手術症例 と比較検 討 し, さ らに,国内のLADG
の現況 について述 べ る.対 象
LADG
が保険適応 とな った2 00 2
年4
月以後, 当 院 に お い て 内 視 鏡 的 粘 膜 切 除 術( Endos c o pi cmuc os a lr e s e c t i o n;
以下EMR)
の適応外 とされ た早期 胃癌症例
1 2
例 (十二指腸 カルチ ノイ ドEMR
後遺残疑い症例1
例を含む) のうち,心疾患のため腹腔鏡下手術の適応外 とした
2
例 を除 く1 0
例 に対 してLADG
を施行 し た (以 下,LADG
群) (表1
). ま た,同 時 期 に同等 の郭 清度 で行われ た開腹手術 症例4例 (以下,ODG
群) を対 照 と した.両群 にお け る手術時間,術 中出血量,郭清 リンパ節個数, 白血球数 (術後1
日目,以下1POD)
,CRP
値 (1POD)
,発熱 (3POD)
,術後鎮痛薬使用回 数,術後離床時期,術後排 ガス出現時期∴経 口 摂取開始時期,術後在院 日数 について比較 し,LADG
の有用性 につ いて検討 した.いずれ の結果 も乎均値 ±標準誤差で表 し,両群の測定値 の比 較 は
Ma nn‑ Whi t ne y
のU
検 定 にて 行 い,5%
未満を有意差あ りと判定 した.手 術 手 技
1.
∩腹腔鏡下操作膳 下 部 に
o pe n
法 にてBLUNTPORT
⑧5 ‑ 1 2 孤
(タイ コヘルスケ アジ ャパ ン)を挿入 し, 鎖骨中線上の右肋弓下 にVERSAPORT㊥5mm
(タイ コベルスケアジ ャパ ン) を,左肋 弓下 に は
Ve r s aSt e p
⑧1 2m
m (タイ コヘルスケアジ ャ パ ン) を挿入す る.次に膳の高 さで右前版窟線 上 にVe r s a St e p
⑧1 2m
を,左前厳 窟線上 にはvERSAPORT
㊥5m を挿入 し腹腔 鏡下操作 を 行 う (図 1). まず,大網 を腹腔鏡下凝 固切 開 装 置( La pa r os o ni cc oa gul a t i ng She a r s ;
以 下LCS)
を用いて肺臓 の下極方向へ切開 し,症例 に応 じて左 胃大網動静脈の根部をク リップ処理 し切離す る.次に,同様 に して大網を幽門下部 方向へ切開 し,右 胃大網動静脈の根部をク リッ プ処理 し切離す る.次に, 胃小管を腹壁側へ挙 上 し,左 胃動静脈の根部をク リップ処理 し切離 す る. さ らに,LCS
にて食道裂孔右側 まで後 腹膜を切離 してお く.次に,小網を切開 し,食 道裂孔右側の切開線につなげて, 胃噴門部小管 側の リンパ節郭清をLCS
にて行 う.2.
小開腹操作以上のように腹腔鏡下操作にて胃を十分に授 動 した後 に,胸骨剣状突起下 に
5c m
の正中切 開創 をお く. 胃の受動が十分 に行われて いれ は 比較的容易に胃を体外に引き出す ことが可 能である.T
字型甜子を用いて十二指腸を切離 し,PREMI UM PLUS CEEA㊥2 8(
タイコヘル スケアジャパ ン)のアンビルヘ ッドを挿入 して お く.次に, 胃の切離予定線上 において大撃側 の約半分は リスター組子をかけて切離 し,残 り の小管方 向はMULTI FI RE GI A
⑧6 0(
タイコヘ ルスケアジャパ ン)を用いて縫合切離す る. リ ス タ ‑ 紺 子 を は ず し,そ の 開 口 部 よ りPREMI UM PLUSCEEA
⑧28
本体を挿入 し,残表 1 当院での LADG 症例 の適応
術前診断で,EMR適応外の L
およびM 領域 の早期 胃癌 ( T
1)に対 して, Dl + #7 ( , 8 a ) を行 う.
※心疾患,肺疾患合併症例 を 除く
・榊①① ‑BL
UNTPORT
⑧5̲12mm ② , ⑤ ‑vERSAP O RT
⑧5m ③ , ④ ‑versaste p
⑧12mm ⑥
‑小開腹 5c m
(番号はポー トの挿
入順番 を示す) 図
1
ポ‑ トの位置.
胃後 壁 と十 二 指 腸 断 端 を
器 械 吻 合 に よ る
Bi l l r o t hI
法 にて再建 を行 う.そ の後,開 口部 は
I LA
⑧1 0 0(
タイ コヘ ルスケ アジ ャパ ン) にて 縫合閉鎖す る.3.
再腹腔鏡下操作
LAPDI S C
⑧ミニ タ イプ (ハッコ‑) を装 着 し,再 気腹下 に出血 の有無 など
を確認 した後, デ ュープル ドレー ンを肝下面 に
留置 し,創 を閉 じ手術 を終了す る.
結
LADG
群 にお いて術 中偶 発果症 な どに伴 う開 腹術へ の移行例 は な く,完遂率 は
1 0 0%
であ っ た. また,輸血 を要 した症例 も認 め なか った.
LADG
群 の 内訳 は,男性5
例,女 性
5
例 で 平 均 年 齢 は6 2. 5
歳( 4 5‑7 6
歳)で あ った
.Bo d y Ma s sI n d e x( BM
I) による肥満例( BMI
値2 5
以上) は
2
例であ った.LADG
群 の 手 術 時 間 は32 6±1 3 3
分 で,ODG
群 の
1 83±1 4
分 と比べ て有意 に長 時間であ った
( p‑0. 0 4 6 )
. 出 血 量 はLADG
群 が5 0
±9
m1,ODG
群 が1 58±35m
lで,LAD
G
群 で 有 意 に 出 血量が少 なか った( p‑0. 0 11
).郭清 リンパ節個 数 は
LADG
群 が2 4. 3±4. 2
個,ODG
群 が
2 0. 8±
3. 5
個 で有意差 は認 め なか った.術後鎮痛剤使 用 回数 は
LADG
群が1 . 4±0. 3
回,O
DG
群が3. 3
±0. 5
回で,LADG
群 で有意 に鎮 痛剤使用 回数 が 少 な か った
( p‑ 0. 0 1 3)
.術 後 離 床 時 期 は
LADG
群 が 全 例2
日 目,ODG
群 が2
. 5±0. 3
日 目 で,LADG
群 で 有 意 に離 床 が 早 か っ た
( p‑0. 01 9)
.術 後 排 ガス時 期 はLA
DG
群 が1 . 8
±0. 2
日 目,ODG
群 が2. 5±0. 3
日 目で 有 意 差 は 認 め なか った.経 口摂 取 開始 日
は
LADG
群 が3. 8±0. 8
日 目,ODG
群 が4. 8±
0. 5
日 目 で,LADG
群 で 有 意 に 経 口摂 取 が 早 か っ た
( p‑0. 0 08)
.術後 の退 院 までの 日数4 板 橋,他
が
2 2. 3±2. 6
日,ODG
群 が32. 0±7. 9
日で有意差 は認めなか った (表2).
術 中偶発症 は両群 とも認め なか った. また, 術後合併症 は
LADG
群が ドレー ン挿入部皮下 膿癌 1
例,ポー トヘルニア1
例, 胃排湛遅延1
例であ ったが,術後 出血,縫合不全,吻合部狭 窄などの重篤 なものは認めなか った.ポー トヘ ルニア症例 は7 6
歳女性 で,大網 の脱 出を認 め たが,術 後1 0
日 目に局 所 麻 酔 下 に修 復 した.原因は腹筋が弱か ったためと考え られた. 胃排 湛遅延症例は45歳女性で,術後 3日目より
曝気
を訴え上部消化管透視にて残 胃の拡張を認めた ため,経鼻 胃管 チ ュー ブにて減圧す ることに よ って軽快 し,術後11
日目よ り経 口摂取 を開 始 した.原因は残 胃が大きか ったため機能的 な 吻合部狭窄 を生 じた と思われ るが,LADG
に 特有 な合併症ではない.ODG
群 は術後胆嚢炎1
例で保存的に軽快 した (表3).
LADG
群 の最 終 病理 診 断 は,深達 度Tl が 6
例( m
癌3
例,s m
癌3
例),T2
が3
例( mp
癌1
例,s s
癌2
例)で あ った.s s
癌 で あ った2
症例のうち,1
例 は腫癌の基本的な占拠部位 はs m
であ ったが一つのスライスでのみ直下型 のs s
浸潤が認め られた ものであ る. もう1
例は術中に
s s
浸潤が疑われたが,非常 にやせ て 内臓脂肪の少ない症例で,肝十二指腸靭帯や総 肝動脈領域 などに明らかな リンパ節が見 られ な か った た め,LADG
を続 行 した症 例 で あ る.この症例は唯一の リンパ節転移例で
,#3,#4 d
,#4s b
,#7
リンパ節 に転移が認め られ,s t a ge I I I B
とい うことで術後補助化学療法 を外来 に て継続中である.その他の症例は リンパ節転移 を認めなか った (表4).
考 察
腹腔鏡下手術がすでに広 く普及 している例 と して,胆石症 に対す る腹腔鏡下胆嚢摘 出術があ る. この手術 は
1 99 0
年 に 日本で第 1例 日が行 われて以来,全国各地に爆発的に普及 し,現在 は多 くの施設で行われ,胆石症 に対す る術式の 第一選択 となっている. このような低侵襲 な手 術法は,良性疾患のみならず悪性疾患にも取 り 入れ られ, 日本人に多い胃癌の手術 にも導入 さ れてきた.しか し, 胃癌 などの悪性疾患の場合は,早期 の癌であ って も リンパ節転移 の可能性があ り, 胃の周囲の リンパ節を胃と同時に切除す ること が必要 なため,胆嚢を切除す るのに比べて複雑
表 2 有用性 に関す る検討 LADG ODG ( n‑1 0 ) ( n‑4 ) 手術時間 ( 分)
出血量 ( ml ) 郭清 リンパ節個数 WBC ( 1 POD) CRP ( 1 POD)
発熱( 3 POD) 鎮痛剤使用 ( 回) 離床開始 (日日)
32 6±1 3 5 0±9 2 4. 3±4. 2 1 0 6 2 0±711
2. 6±0. 2 3 7. 0±0. 1 1 . 4±0. 3 2. 0±0. 0
1 83±1 4 1 58±35 2 0. 8±3. 5 1 2 41 0±1 339
4. 8 ± 1 . 2 37. 2±0 . 4 3. 3±0. 5 2. 5±0. 3 排 ガス出現 (日日) 1 . 8±0. 2 2. 5±0. 3 経 口摂取 開始 (日日) 3. 8±0. 8 4. 8±0. 5 術後在院 日数 (日) 2 2. 3±2. 6 32. 0±7. 9
6 1 4 3 8 1 3 9 2 8 6 4 1 3 0 4 3 1 1 8 0 3 0 0 4 2 0 8 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
表 3 LADG 症例 の合併症 術 中 な し
術後 ドレー ン挿入部皮下膿癌 1
例求‑ ト挿入部ヘルニ
ア 1 例
術後 胃排
表 4 LADG症例 の術後病理学的検討
症例 組織型 深遠度 リンパ節転移 病期
(stage)備考
1 tubl sm nOⅠA 2 tubl
s
mnO ⅠA
3
tubl m nO ⅠA
4
tub2 m nO ⅠA
5
por2 mp nO ⅠB
6
por2 ss n2 ⅠⅠⅠB術後補助化学療法 7
tubl ss nO ⅠB8
carcinoid ca.cell(‑) nO EMR後遺 残
疑 いで手術 9
papm nO ⅠA
1 0
tubl sm nO ⅠA
な手術となっている.
日本胃癌学会で
2001年にまとめられた胃癌治 療ガイ ドライン
3)には胃癌の病期 ( s t a ge )
別に推奨される治療法が記載されているが,腹腔 鏡 下 手 術
に つ い て は,s t a ge I A ( TI NO )と s t a ge I B ( TI Nl また は T2 NO )の症 例 に 「日 常診療」としてではなく,「 臨床研究」と して おこなうことが推奨 されている.その理由は, 従来の開腹手術とまった く同様に安全に手術を 行い,同等の治癒率を期待できるとするには十 分な研究 ( 報告)がないこと,手術手技が従来 の開腹手術より難 しくなり医師にとっては負担 が増 し,手術にかかるコス トも高 くなることな
どである.将来的に 「日常診療」 として行え る ようになるように,まず 「 臨床研究」と して LADG を行 って,この手術法の QOL 上の利点
とODG との同等の治癒率
を持っことを確認す ることが求められている.
当院での LADGの適応 は, EMRの適応 か ら除外 された M および L 領域の深達度 Tl 症 例 と し, Dl + #7 郭清を行 っている.胃癌治 療ガイ ドラインによると,Tl 症例の リンパ
節 転移の頻度は組織学的深遠度 SM の未分化癌 で あ って も
10‑20%程 度 で あ り,逆 に
80‑ 90%
は転移 の ない症例 で あ る.これ まで は EMRの適応外とされた症例は自動的に開腹術 が選択されてきたが,このような症例に対 して は,開腹術と同等の胃切除術をより低侵襲で小
さな創で行うことが可能な LADG に大きな期 5
得が込められている.さらには近年,術中セン チネル リンパ節の転移診断を腹腔鏡下に行い, その結果に基づいて術式選択を行おうとする試 みもなされている
4).また,術者の技術の進歩
に伴い 2 群 リンパ節郭清を行う進行胃癌に対す る LADGの適応拡大の検討も行われてお り
5), その有用性に関する評価が待たれるところであ る. しか し ,LADGが腹腔鏡下胆嚢摘 出術 と 同 じように広 く普及す るためには,郭清度 Dl +α , βが技術的に妥当なところであると思わ れ る.よって, LADGの適応 と しては郭清度
Dl+α ,βで十
分に根治可能な病変を対象にす べきであろう.
今回,当院におけるLADG症例の有用性を 開腹手術症例と比較検討 してみたが,術中出血 量,術後
1日目の
CRP値,術後鎮痛剤使用回 数,術後離床開始 日,術後経 口摂取開始 日で, LADG症例のほうが 良好 な結果 となった.す
なわち,痛みが少なく,早期の離床および経 口 摂取が可能であり,従来の開腹術症例と比
較 し て,よ り低 侵 襲 で あ る こ とが 示 唆 され た.
LADGの有用性に関 しては開腹術 との無作為 化比較試験も行われており,やはり術後痔痛が
軽減され,その結果術後歩行開始が早 く,呼吸 機能の低下が軽度であったと報告されている
6).それに伴い,早期社会復帰が可能であるが,当
院は土地柄のためか社会的入院希望が強 く,紘
果的には術後退院までの日数に関 しては,従
6
板 橋,他 か った. しか し,われわれ医療従事者 (医師, 看蔑師)か らみたLADG
症例の評価 と しては, 術後2
週間以内に患者 さんが少 しの不安を抱 くこともな く,満足 して退院す ることが可能であ ると判断 してお り,今後はク リニカルパスを導 入 して い くことに した (表
5)
. また,LADG
の先進的施設で行われた術後消化器症状に関す るア ンケー ト調査結果 7)によると,
LADG
は 開腹手術に比べ,術後体重減少が少な く,噴下 困難感や胸やけも少 ないなど,他人に勧める手 術 と して評価 された と している.今回の
LADG
症例の検討で,ODG
と比 して 唯一の短所であ ったのは手術時間が長いことで あ った. しか し,症例を積み重ね るうちに着実 に手術時間は短縮 されてお り,将来的には開腹 術症例 と有意差がな くなるものと考えている.LADG
は今後数年間で さ らに顕著 な普及 を 遂げるであろうと推測 され る.先進的施設での 手術成績が蓄積 され,長期予後が良好 と判断 さ れてきて, ます ます 内視鏡外科手術の優位性が 明 らか となることが予想 され るためである.そ れ ゆえ,LADG
も 胃癌治療 の確立 され た選択 肢 となるであろう. さらには患者間での内視鏡 外科手術に対す る認知度 も向上 し,各医療機関 は内視鏡外科手術をオプシ ョンと して具有 して いなければならない状況になると思われ る.今 後 もLADG
の標準化 と適応拡大 に向けて研鏡 を積んでいきたい.文 献
1)KitanoS,IsoY,MoriyamaM,SugimachiK.
Laparoscopy‑assisted Billroth I gastrectomy.
SurgLaparoscEndosc1994;4:146‑8.
2) KitanoS,ShiraishiN,KakisakoK,YasudaK, homata M,AdachiY.Laparoscopy‑assisted distalgastrectomy(LADG)forcancer:our 10 years'experience.SurgLaparoscEndoscPercutan Tech2002;12:204‑7.
3) 日本 胃癌学会編. 胃癌治療 ガイ ドライ ン2001年 3月版.東京:金原出版;2001.
4)
北川雄光,藤井博史,向井万起男,安藤暢敏, 久保田暫朗,熊井浩一郎,池田正,他.消化器癌 に対す るRadi0‑guidedSentinelnodenavigation Surgeryの開発と低侵襲手術への応用.臨床外科 2000;55:307‑15.5) UyamaI,SugiokaA,FujitaJ,KomoriY,Matsui H,HasumiA.Laparoscopictotalgastrectomy wi仇 distalpancreatosplenectomyandD21ymph‑
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6) Kitano S,ShiraishiN,FujiiK,Yasuda K, homataM,AdachiY.A randomizedcontrolled
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131:S306‑ll.
7) AdachiY,SuematsuT,ShiraishiN,KatsutaT, MorimotoA,KitanoS,AkazawaK.Qualityof life afterlaparoscopy‑assistedBillroth Igastrec‑ tomy.AnnSurg 1999;229:49‑54.
表 5 当院における
LADGのク リニカルパス ( 術後経過)
安静 食事 その他
術後
1日目 歩行可 絶
2日目 以降 フ リ 飲食
‑ 絶飲食 3日目
4日目 水
分可 ( ガスト 術後透視 ログラフイン) 流動食 ドレー ン抜去
5日日 3
分粥 6日目
5 分粥 7日目
7 分粥
8日目 以降全粥
10