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北之島におけるシロハラミズナギドリ Pterodroma hypoleuca繁殖の再確認

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Academic year: 2021

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(1)

北之島におけるシロハラミズナギドリ Pterodroma hypoleuca繁殖の再確認

千 葉 勇 人(小笠原自然文化研究所)

佐々木 哲 朗(小笠原自然文化研究所)

堀 越 和 夫(小笠原自然文化研究所)

要   約

小笠原諸島最北端の島、北之島(27 ° 43 4

N、142 ° 6

2

E)において、2011 年 5

月 19 日にシロハラミズナギドリ

Pterodroma hypoleuca

のヒナ1羽を観察・撮影した。北之 島において同種は、1978 年の繁殖記録以降記録がなかった。

Ⅰ.はじめに

シロハラミズナギドリは、北太平洋上に分布し、北西ハワイ諸島と小笠原諸島で繁殖す るミズナギドリ科の小型の海鳥である。小笠原諸島では、戦前に聟島、媒島(?)、南島

(?)、鰹鳥島、北硫黄島、南硫黄島において繁殖していた(籾山、1930)。しかし、最近 の繁殖記録は、南硫黄島と北之島のみに限られていた(Chiba

et al.,

2007)。このうち北之 島では 1978 年に営巣が報告されて以降(NHK、1978)、確実な繁殖記録が得られておらず、

繁殖分布地の縮小が危惧されていた(川上ほか、2008)

1978 年以降、確実な記録がなかった北之島において 33 年ぶりにシロハラミズナギドリ の繁殖を確認したので報告する。

Ⅱ.繁殖の確認

北之島の調査は、2011 年 5 月 17 日から 19 日にかけて聟島列島のアホウドリ類を中心とし た東京都小笠原支庁と(特)小笠原自然文化研究所の協働事業「海鳥繁殖状況調査」の一環 として行われ、5 月 19 日に実施された。

7:00 に聟島を出港し、中ノ島を周回して船上からアホウドリ類を調査した後、8:00 に上 陸した。北之島は面積 0.19

km

2、標高 52

mであるが、海岸周辺部は岩礁が散在するため小

型船しか近寄れず、海況によっては上陸が困難であり、調査の制約となっている。渡船地 点は西側南部の岩場で、上陸するには岩伝いに歩き、一部浅瀬を横断しなければならな

― 45 ―

研究ノート

(2)

かった。今回の調査ルートは西側の海岸部を北上し、北之島(図 1)の最高点 52

m

から西 側に伸びる尾根筋を越えたところで、沢筋を登攀し中央の平坦面に出た。そこから 52

m

ピークに向かって少し南下し、東側の入江になっている斜面を踏査した。地上では広範囲 にカツオドリ

Sula leucogaster

が営巣しており、ルート上の巣穴ではオナガミズナギドリ

Puffinus pacificus

の成鳥とオーストンウミツバメ

Oceanodroma tristami

のヒナを複数羽確 認した。そして東側中腹のオガサワラススキ

Miscanthus boninensisが群落を形成している

緩斜面(図 2)の巣穴で、白い綿羽に覆われたシロハラミズナギドリのヒナ1羽を確認し た(図 3)。しかし、その巣穴を中心にして状況のよく似た巣穴を当たってみたが、オナガ ミズナギドリとオーストンウミツバメしか確認できず、他にシロハラミズナギドリは発見 できなかった。9:30 に東側斜面での調査を終了して上陸地点に戻り、10:00 には乗船となっ た。

Ⅲ.営巣地の環境と営巣時期について

山階(1930)には「Holstは媒島にて六月十六日に成鳥及び綿羽の雛を採集して居る」

とある。また、2007 年 6 月 17 日〜 27 日に調査が行われた南硫黄島では、標高 400m以上の 土壌の発達した場所で、主に綿羽に包まれた雛がみつかっている(川上ほか、2008)。か つての媒島は森林で覆われており、土壌も発達していたと思われる。今回発見した場所も 土壌が厚いオガサワラススキ群落の中であったことからシロハラミズナギドリは土壌がよ

首都大学東京 小笠原研究年報 第 35 号 2012

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図 1 中ノ島から見た北之島

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千葉・佐々木・堀越:北之島におけるシロハラミズナギドリ Pterodroma hypoleuca 繁殖の再確認

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図 3 シロハラミズナギドリのヒナ

(a)一部綿羽から正羽に換わり始めていた;(b)蹼膜は基部がピンク色で先半分は黒色

(a) (b)

図 2 繁殖が確認された東側斜面(オガサワラススキ群落)

(4)

く発達した場所を巣穴として選好しているように思われた。また、ヒナの成長段階はほぼ 同等と考えられることから今回は 1 か月ほど早い。1 例だけなので年による変化なのか例 年そうなのかの判断は今後の調査に期待したい。

Ⅳ.おわりに

小笠原支庁自然公園係をはじめ聟島調査に参加された方々の協力なくしては今回の再確 認はなかった。関係した皆様に厚く御礼申し上げる。

文   献

Chiba H, Kawakami K, Suzuki H & Horikoshi K (2007) The distribution of seabirds in the Bonin Islands, southern Japan. Yamashina Institute for Ornithology

39: 1-17.

川上和人・鈴木創・千葉勇人・堀越和夫

(2008)

南硫黄島の鳥類相. 小笠原研究 33: 111-127.

籾山徳太郎

(1930)

小笠原諸島竝に硫黄列島産の鳥類に就て. 日本生物地理学会会報 1(3):

89-186.

NHK (1978) 自然のアルバム. NHK

サービスセンター

山階芳麿

(1930) 聟島列島の鳥類. 鳥 6: 323-340.

首都大学東京 小笠原研究年報 第 35 号 2012

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