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[資料紹介] 戦後各国における再評価事情

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(1)

[資料紹介] 戦後各国における再評価事情

その他のタイトル [Material] Postwar Revaluations in the World

著者 酒井 文雄

雑誌名 關西大學商學論集

巻 2

号 5

ページ 485‑503

発行年 1957‑12‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00021823

(2)

第二次大戦後のわが国では︑固定資産の再評価が昭和二十五

年︵一九五 0 年︶以来四次にわたって行われて来ているが︑再

評価問題がイソフレーツョンを媒介として企業会計の領域に登

は し

資料一紹介

ォーストリア︑ドイ 場したのは︑第一次大戦後のベルギー︑

ツ︑ソヴィニト︑チェコスロヴァキア︑フランス︑イクリア等

の諸国を嘴矢としている︒また︑第二次大戦後再評価を実施し

たのは︑独りわが国だけでなく︑スウェーデソ︑フラソス︑イ

クリア︑ベルギー︑旧中国︑西ドイッ等の諸国である︒

小稿では︑第二次大戦後再評価を実施した右の各国の趨勢を

概観して︑わが国の再評価問類がおかれていた国際的な潮流の

認識に姿したいと思う︒第一次大戦後の各国の再孵価事情は︑ ー 周知のように︑太田︑岩田︑片野の諸教授の著作によって既に

戦後各国における再評価事情︵酒井︶

体系的にわが国に紹介されている︒ところが︑第二次大戦後の ②  それは︑若千の個別的な紹介にとゞまっている現状である︒小

稲は︑イギリスならびに西ドイツにおける本問題についての二︑ ③  三の論稿によって︑これらの個別的な紹介を補完し︑その体系

化を意図したものである︒もとより︑再評価実施諸国における

原資料への遡及は甚だ不充分であり︑この点は他日を期さねば

な ら

な い

これら各国の再評価を概観して感ずる主要な問賭は︑つぎの

二 点

で あ

る ︒

山第一次大戦後は︑新しく社会主義国となったソヴィニトに

おいても再評価が実施されたが︑第二次大戦後は︑ソヴィニ

ト︑チェコスロヴァキアの社会主義二国は再評価をせずに遥貨

処理で問題を解決している︒このばあい︑仮に社会主義国で再

評価が実施されたとしても︑それは私有財産制度を前提とした

戦 後 各 国 に お け る 再 評 価 事 情

(3)

.486 

幣の価値異質性の修正という安定価値会計の観点と新しい物価 見逃してはなるまい︒ 施からなしくずしの数回にわたる実施へと変貌している点を︑ ﹁再評価することは正当だと考えられない 戦後各国における再評価事情︵酒井︶

資本主義諸国の再評価とその社会的な意味がまった<相違して

いることは︑いうまでもない︒重要な点は︑それよりも寧ろ︑曽

ってのバトゥイレフ・シトニソと科学アカデミー経済学部との 山 間の対立した見解に象徴されたソヴィエトの再評価論釈に一応

の終止符が打たれて︑前者の再評価反対論が優位を占めたとい

うことである︒誠に︑再評価実施を必然化している国際的な通

貨危機という現実のなかには︑スウェーデソの或る会社重役が

のべているように︑

が︑演産を帳締上低評価しておくこともまた正当だとは考えら 固 れない﹂という厄介な矛盾が含まれているのであるが︑われわ

れはこ

A

に最近の資本主義諸国の頭痛の種である平価切下げ問

題との一連の関係を無視できないように思う︒社会主義国が再

評価の圏外に脱出したのに反して︑資本主義諸国の再評価は幾

つかの国で第一次大戦後の一回限り

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l )

の 実

②資本主義諸国の再評価方法も︑各国の多様な条件と各種の

目的から︑決して同一ではありえない︒共通の外観は︑計算貨 水準に照応した減価償却費の回収という査本維持の観点とが競 合していることと︑産業別・企業別の不均衡な実施結果とであ る︒わが国の再評価論議において︑若千の国でみられる再評価 限度額計算の方式や再評価税の免除をその全体的な再評価方法 やそれがおかれている条件・目的から切断してとり上げていた のは︑この意味において全くナンセンスであった︒同様の立場 に立てば︑再評価対象の限定や再評価積立金の異った処分や賃 金の再評価等もまた︑問題となる筈である︒それからこ

A

で ︑

基礎の上に再評価を実施した西ドイツにおける一応の成果と今

日における繁栄である

Q

皮肉なことに︑西ドイツにおける通貨 ⑥  処理は︑部分的なデノミネーショソという形で︑ソヴィエトの

通貨処理に最も接近していたのである︒

山 太 田 ・ 岩 田 ・ 片 野 ﹁ 貨 幣 価 値 変 動 会 計 ﹂ ︵ 昭 和 ニ ー 年 ︑ 産 業 図 書

刊 ︶

︑ 片

野 一

郎 ﹁

安 定

価 値

会 計

﹂ ︵

昭 和

二 四

年 ︑

新 紀

元 社

刊 ︶

︒ 図 主 要 文 献

^フラソス>日本経済社調査部﹁最近に於けるフラソスの税制改

正 と

資 産

負 債

の 再

評 価

﹂ ︵

税 務

会 計

︑ 昭

和 二

四 年

九 月

号 ︶

︑ 中

村 万

﹁ フ

ラ ン

ス の

イ ソ

フ レ

ー シ

ョ ン

会 計

と 税

制 ﹂

︵ 税

経 通

信 ︑

昭 和

二 七

年 九 月 号 ︶ ︑ 片 野 一 郎 ﹁ フ ラ ン ス ・ イ ン フ レ ー シ ョ ソ に お け る 貸 借

対 照

表 の

再 評

価 と

改 訂

﹂ ︵

一 橋

論 叢

︑ 昭

和 二

八 年

0 月

号 ︶

︑ 渡

辺 進

われわれにとって大きな教訓となるのは︑通貨処理の確乎たる

七 四

(4)

﹁再評価に関する若干の基本問題﹂︵神大企業経営研究皿︑昭和二八

年 ︶

八ベルギー>シャウ︒フ勧告第七章︵四︶再評価差額に対する税率︑

シャウプ勧告附録

( C

)

固定資産の再評価﹁諸外国における経験﹂︒

八西ドイッ>伊藤正一﹁

DM

貸借対照表序説﹂︵会計︑昭和二七年

三月号︶﹁伯林

DM

貸借対照表﹂︵会計︑昭和二七年一

0

﹁独逸馬克貸借対照表法の評価原則﹂︵企業会計︑昭和二八年ニ

昭和二八年三月号︶︑﹁税務貸借対照表としての独逸馬克開始貸

D M

貸借対照表法

における財産物件を廻りて﹂︵企業会計︑昭和二八年九月号︶︑山下

勝治﹁デマルク開始貸借対照表法における評価﹂︵会計︑昭和二七

年一月号︶︑﹁西ドイツに学ぶもの﹂︵昭和二八年八月︑同文館

刊︑二五ー五八頁︶︑杉山佐一﹁西独に於ける資産再評価と新資本

金の決定」(大日本紡調査時報、昭和二九年一―-•四月合併号)、山下

教授研究室訳﹁ドイチニマルク貸借対照表法﹂︵大日本紡調査時報

八旧中国>渡辺進﹁イソフレーツョン下の企業賓本﹂︵ニコノミス

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1952•pp.

9 4

1 1

4 4

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Betriebswirtschaft•1952,

S . 2 8

5 1 2 9

2 .  

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戦後各国における再評価事情︵酒井︶

七五

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n   W i r t s c h a f t s z w e i g e n ,

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3 5 5

3 6 4 .

④片野一郎﹁ソヴェート企業会計制度﹂︵昭和二六年︑春秋社刊︶︑

固前掲︑

A

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1 3 7  

⑥部分的なデノミネーツョソほ︑通貨の封鎖や通貨に対する課税 と同様︑通貨の購売力を政策的に削減することによってイソフレ ーショソを収束させる手段であるが︑わが国ではこのようなイン フレ収束措置は回避された︒わが国の資本家階級は︑一般に︑イ ソフレ収束後にその後始未として行われる通貨の購売力に変動を 来たさない建前の一般的なデノミネーツョンに対してすら︑大き

な不安を抱いていたのである︒︵関経連﹁デノミネーツョソに関す

調 一九四八年︵第三次︶︑一九四九年︵第四次︶と四回にわ

たってなしくずしの再評価が行われ︑この点わが国と類似して いる︒そして︑このばあい原則として︑以下でのべるような一 定の最高限度額以下の任意再評価の方法が適用されたが︑

四八年の第三次再評価に際しては︑凡ての第一次︑第二次再評

価実施贅産に対する新しい再評価倍数に基づく簿価修正︵評価 次 ︶

フラソスでは︑一九五四年︵第一次︶︑

囚 概 観

フ ラ ン ス

一九四六年︵第

(5)

488 

施企業に対して統一会計制度

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ら れ

た ︒

戦後各国における再評価事情︵酒井︶

それでは︑右のようなフランスの再評価の結果は︑どのよう

なものであったか︒多くの事業家達が声高く再評価を要望しな

がらも︑大部分の^缶茉ではその実施が遅かった︒或る専門家の

推定によれば︑第一次再評価の際には︑再評価を利用しうる企

業の約半数だけが再評価を実施した︒そして︑このような低調

さの主たる原因は︑一っには企業の税務当局に対する根深い不 ②  信と︑もう︱つにほ脱税防止のために当時設定の機運にあった

統一会計制度への企業側の危惧とであった︑といわれる︒だ

が︑時の経過とともに再評価実施企業のえた利益が朋白となっ

たから︑益y多くの企業がこれに追随し︑その大部分が限度額

一杯の再評価だった︒事実︑間もなく再評価倍数は物価騰貴に

遅れて不適当だという事業家達の不満が生じ︑多くの事業家達

は資産の特定グループ毎の再買時価が再評価基準として寧ろ好

ましいとい

4

出したのである︒

山一九四六年︑特別の委員会を設けて︵一九四六年には会計基準審

議 会

︑ 一

九 四

七 年

に は

上 級

会 計

協 議

会 を

そ れ

ぞ れ

設 置

︶ 研

究 が

進 め

の採用が義務づけ 替︶という一個の強制要素が加味され︑同時に凡ての再評価実

に基づく簿価引上げのみが公認され︑特定資産の個別評価

フランスの再評価では︑原則として右のような一般物価指数 第

1

表 フラソスの卸売物価指数

年次

1指 数 1

年 次

1指 数 1926

695  1939  680 

27  642  28  645 

29  627  46  4,225 

30 

554  47  6,448  31  502  48  11,162  32  427  49  12,499  33  398  50  13,536  34  376 

35  338  36  410  37  580  3&  652 

(備考) 基準年次

1913=100,

前掲

Accounting for Inflation,  p, 111, 

九まで上っている︒ 卸売物価指数は九八 も ︑

ンフレーショソは︑その端緒を既に第二次大戦以前にもってい る︒こ

4

からも判明するように︑第二次大戦後のフランスのイ

(B) 

平 均

し て

そ の

所 得

の 八

0 %

だ け

が 甲

告 さ

れ て

ら れ ︑ 一 九 四 八 年 に は 公 益 事 業 と 再 評 価 実 施 企 業 と に 対 し て 強 制

的 に

導 入

さ れ

た ︒

図フランスでは︑

た と

い わ

れ る

物価騰貴と再評価倍数

フラソスのイソフレーツョソの程度は︑第 1 表のごとくであ

る︒第二次大戦後だ

けをとり上げてみて

一九三八年を基

( 1 0 0 )

とする

とき︑一九四七年の

( s e p

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は除外された︒かくして︑この二つ

七 六

(6)

第 2 表

119;法年119年119

49 1取119:法年119:法年119:法年 1

嗜 と

91それ4 1932  14  25.2  30  60  108  33  7.7  15.4  27.7  34  16  28.8  21  42  75.6  35  , 18  32,4  16  16  32  57.6  36  7.5  15  27  17  11  22  89.6  37  5.3  10.6  19.1  18  , 18  32.4  38  4.7  9.4  16.9  19  8.7  17.4  31.3  39  4.5  , 16.2  20  12  21.6  40  3.6  7.2  13  21  , 18  32.4  41  3.3  6.6  11.9  22  9.7  19.4  34.9  42  10.8  23  7.5  15  27  43  2.2  4.4  7.9  24  6.4  12.8  23 

  7.2 

25  5.7  11.4  20.5  45  3.6  26  4.4  8.8  15.8  46  1.3  2.3  27  4.8  9.6  17.3  47  1.8  28  4.8  9.6  17.3 

48 

29  4.9  9.8  17.6 

30  5.5  11  19.8  31  12  21.6 

(備考)

煎掲Acountlngfor Inflation,  p.114. 

襲された︒い

フラソスの再評価倍数

一 次 再 評 価 の

際の倍数が踏 企業とは長期の論争を繰返す破目となった︒その上当初の考え では再評価が毎年繰返し行われねばならぬというものでなかつ たにもか

4

わらず︑現実には毎年再評価が繰返されねばならぬ

フラソスでは︑一般物価指数に基づく一定倍数による再評価の

方が︑より迅速なしかもより手間のか

4

らない再評価方法だと

いうので︑採用されたのである︒

フラソスで特定の再評価倍数が公示されたのほ︑

年︑一九四八

年︑一九四九

戦後各国における再評価事情︵酒井︶ 年の第

1

一 次

再 評 価 で は

九四五年の第 年の三回であ る

︒ 九 四 六

一 九 四 五

かのような結果となった︒理論的にはとも角︑実際問題として の再評価基準のうちどちらに組するかという点で︑税務当局と

七 七

︵一九三八年以降に購入された減価償却資産についての特別償 をもとめ︑これに減価償却喪と同類とみなされてきた諸準備金 ぞれその償却年次に対応した再評価倍数を乗じてこの累計額 B ②税務上損金として認容されてきた年々の減価償却費にそれ ま︑これらの再評価倍数を示せば︑第 2 表のごとくである︒こ

こで︑われわれの注目しなくてはならぬのは︑フラソスのイン

フレーショソは決して単調な︱つの上昇カーヴを描いているの

でなく︑その間に幾つかの波動がみられるという点である︒こ

のようなフラソスにおける価格変動の特質が考慮されているの

が︑つぎに問題となる減価償却資産についての特異な再評価方

式 で あ る

フラソスの再評価で採用された減価償却資産についての再評

価最高限度額計算の方式は︑つぎのようである︒

山減価償却贅産の取得価格にその取得年次に対応した再評価

倍数を乗じて︑その積数 A

を も と め る ︒

却誰備金︑以前に無税だった固定資産売却益︑減価償却に関連

してなされた超過利得税の払戻し分等︶累計額 C

を 加 算 し て ︑

この総計 D

を も と め る ︒

c減価償却資産の再評価方式

(7)

90

(D) 

第 3表 慣却浚産の再評価限度額計算

1942

年の取得原価

l,OOO,OOOXl0.8=10,800,000 

減価償却費ならびに同類の諸準備金

1942

年の据附費

50,000Xl0.8=540,000 

毎年の減価俄却費

1943

年 ・ . . . . .

100,ooox1.9=790,ooo 

44年・ 9• … 100,000X7.2=720,000 45 年・ 9• … 100,000X3.6=360,000  46

年 ・ ・ . . . .

100,ooox2.a=2ao,ooo  47

年……

100,000Xl.8=180,000 48

年……

100,000Xl.0=100,000

その他の同種諸準備金

168,000 

(原初原価)

3,088,000  (‑)  3,088,000 

再 評 価 額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .

7, 712,000  1948

年の簿価 (‑) 

400,000 

再 評 価 剰 余 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … … . . . . . . . . . . . . . . .

.........7,312,000

戦後各国における再評価事情︵酒井︶

(備考)

1949

年法の再評価倍数による。前掲

Accounting for Inflation,  p. 115. 

③右の A か ら D

を控除して︑この差額たる未償却残高修正額

E をもとめ︑これを当該減価償却資産の再評限度額とする︒

い ま

年 々

0

万フランの減価償却をしてきた減価償却資産を一九四 に 一 一 九 四 二 年 00 万フラソで取得し︑翌四三年以降

九年初頭に再評価するものとして︑この時までの減価償却費な らびに同類の諸準備金の累計額を一―

10

八•八万フランとすれば、

この倣却資産の再評価限度額︑再評価剰余金額は︑第

3 表のご

と く

で あ

る ︒

若干の例外的な再評価対象とその基準

フランスの再評価では︑その再評価時期にしたがって再評価 対象に若干の相遮がある︒すなわち︑フランスの四次にわたる 再評価では︑固定資産がつねにその中心的な対象とされながら も︑第一次再評価と第三次再評価の際には外国通貨で表示され た債陣︑債務がその対象に包含され︑第三次再評価では更に棚

卸賢廊がこれに附加されている︒そして︑このばあい︑前者の 再評価基準は公式の為替レート︑後者のそれは固定資産と同一 の卸売物価指数である︒

フランスの再評価方式は︑以上の考察からも朋らかなように

貨 幣

価 値

修 正

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を そ

の 原

則 と

て し

い た

が ︑

こ れに対する唯一の例外は有価証券に関してである︒すなわち︑

有価証券の再評価については︑基本的には固定姿産と全く同じ 方式がとられながらも︑これと同時に有価証券の再評価日に先 立つ一定期間の平均市場価格が並用され︑低価主義の立場から どちらか低い価額の方をその最高限度額としている︒

山 棚 卸 資 産 再 取 得 の た め の 免 税 準 備 金 は 一 九 四 一 年 に 認 め ら れ ︑ こ の ば あ い 卸 売 物 価 指 数 に 基 づ く 法 定 倍 数 で 計 算 さ れ た 金 額 が そ の 最 高 限 度 額 と さ れ た ︒ こ の 法 令 は ︑ 一 九 四 五 年 に 一 旦 廃 止 さ れ た が ︑ 一 九 四 八 年 に は 再 び 右 の 準 備 金 の 半 額 に 課 税 と い う 形 態 で 再 現 し た ︒ 一 九 四 九 年 に は ︑ 更 に も う ︱ つ の 価 格 変 動 準 備 金 に 関

す る

法 令

が で

た ︒

七 八

(8)

③再評価剰余金と再評価税 フランスの再評価では再評価剰余金の計上そのものは原則と して無税とされたが︵借入金で調達された査産のばあい︑債権 者に対する均衡上五形の再評価税が課徴された︶︑その資本組 入の際に六%の再評価税が課徴された︒なお︑再評価剰余金は これを欠損填補に充当することが容認され︑このばあい次年度

における六形の再評価税の支払いが条件とされた︒

︵ 第

二 次

︶ ︑

一 九 四 八 年 二 月 ︵ 第 一

1

一次︶︑一九五一年一月︵第四

次︶と四回にわたって強制的な再評価が行われ︑これは︑イク リアの企業によって様

M

な受取り方で迎えられた︒そこには︑

熱狂的にこれを歓迎する一部の企業があったばかりでなく︑他 の一部の企業は積極的にこれに反対さへもした︒そして︑この ような奇妙な事態は︑イクリアにおける右の強制再評価が当初 は主として脱税防止の一手段として実施されたということから だけでなく︑もっと根本的にはイタリアの戦後の税制にみられ

戦後各国における再評価事梢︵酒井︶

イクリアでは一九四六年五月︵第一次︶︑一九四六年十二月 囚

概 親

二 ︑ イ タ リ ア

七 九

損失の補償方式に関遮している︒すなわち︑イクリアの株式会 理由は︑もう︱つある︒それは︑イクリアの企業における戦時 るところのもの以上のものが失われることを危惧し︑脱税をし 再評価に基づくより大きな減価償却引当金との関係で与えられ とはならなかった︒すなわち︑巧妙に脱税をして来た企業は︑ 補償の便宜的方式というものに︑由来すると思われる︒

イクリアでは︑納税者と税務当局とのあいだの相互不信の渦 巻は止まるところを知らず︑脱税はどこか一種の国民的なスポ

l l  

ーツの様相を呈していた門年

M

企業は︑その帳簿記録を基準に 課税されるのでなく︑税務当局によってその帳簿記録が匿して いるとみなされたものを基準に課税された︒しかも︑資本︑所 得の双方に課税されたので︑この両者が企業の帳簿上過少評価 され︑特に資本財の帳簿記録が年度末に殆んど形が無くなるま でに縮少されるという傾向があった︒このことから︑再評価は イクリアの一部の企業にとって︑必ずしも︱つの魅力ある命題 て来なかった企業は︑再評価の中には不当な高率課税とか新し

い財産税の随伴という︱つの策略がないかと疑ったのである︒

イクリアの一部の企業が強制再評価をそれ程歓迎しなかった た諸種の混乱︑更には戦後イクリアの企業が採用した戦時損失

(9)

ム92

再評価も︑結局姿本の反撃の前に企業資本の蓄積要具に転化し

戦後各国における再評価事情︵酒井︶

社の戦時損失はその資本総額の六

0 ー七 0 %をこえる厖大なも

のであったが︑この大部分が強制再評価以前に減価したリラで 会社の帳簿に表示されていたから︑イクリアの多くの株式会社 にとって︑再評価による資本蓄積の体制は事実上この時に確立 されていたのである︒これらの株式会社にとって︑企業から低 評価を行う道徳的な口実を取除いて巧妙な脱税の行われる範囲 羞くするような強制再評価が︑無用なばかりか寧ろ障碍でさ えあることは︑自ずから明らかなところである︒

脱税防止の一手段として出発したといわれるイクリアの強制

なければならなかったのである︒

山ィクリアの納税者は︑その真実の所得の二 0

彩 し

か 申

告 し

て い

な か

っ た

と い

わ れ

る ︒

⑱物価騰貴と再評価倍数

イクリアのイソフレーショソの程度は︑第

4 表のごとくであ

る︒そして︑イクリアの強制再評価で採用された評価基準は︑

フランスと同様原則としてこのような物価指数に基づく一定の 再評価倍数であり︑これは毎回改訂されている︒第一次再評価

では単一の再評価倍数

5 . 1 9

3 6 を

使 用

し た

が ︑

第 二

次 ︑

第 一

一 一

次 再

評価では︑それぞれ第 5 表︑第 6 表のような倍数を使用してい

第 5表 第二次再評価の倍数

第 4表 イタリアの物価指数

取 得 年 次

1938年とそれ以前 39

40 41‑42

43

44

年ゴンックライン

5.00  4.35  3.75  3.15  2.50  2.50  1.25 

(備考)

前掲Accountingfor!  nllation,  p.120, 

\ 年 次1

卸売物価

1

翡 属 悶

4546990EE1966662

月 月 63,677  5,329  5,066  55,,51416  6,296  5,851  5,696  5,712  5,215  5,373  4,745  5,165  4,671  4,695 

│ 

5,423  6,285 

(備考)

基準年次1938年=100。前掲 Accounting for Inflation,  p.123. 

なる︶を使用した筈で

あるが︑遺憾ながらこ

・~

ー の詳細は知りえない可 のでは︑ほぽ二倍強に ︵一九四七年以前のも 更に引上げられた倍数 る︒第四次再評価では 八〇

(10)

田再評価倍数引上げの議案が︑一九五一年の国会に提出されたと

い わ

れ て

い る

⑲再評価対象と再評価方式

再評価対象は︑第一次再評価では一九二六年以前に取得され た設備だけであったが︑第二次再評価以降は一九二六年以後に 取得された資産にまで拡大された︒第二次再評価以降に再評価

場合における産業株

(i

nd

ustrial

sh

ar

es

)

等の有形固定資産

である︒第四次再評価の際だけに︑継続的に低評価のま

4

で 所

戦後各国における再評価事情︵酒井︶ 有していた棚卸資産も︑再評価対象とされた︒ 法が規定している資産は︑建物︑設備︑機械︑器具および或る

第 6表第二次再評価の倍数

取 得 年 次倍 数

1914 111.6414 15  I  99. 9027813358  16  I  91.6144958196  17  I  83.289619904  18  I  7 4. 6816213988  19  I  67. 7847506310  20  I  36.3582547380  21  I  28.3411741626  22  I  27. 3129568686  23  I  26.5623917364  24  I 25.1626318632  25  I  23.0550655140  26  I  22.223163343702  27  (12月27

日迄)

29, 5090548480  1927.12.221936.10.4.I  30.42  1936.10.5‑1938.12.31. I  18.00  39  I  15.66  40  I  13.50  41‑42  I  11.34  43  I  9.00  1949年ゴンックラインの北 4.50 

9.00

45  I  3.60 

(備考) 前掲

Accountingfor Inflation,  p.121. 

なお︑わが国の税務当局者の一人が指摘するところによれ 累計額相当額の償却が当該減価償却資産の取得の時に一挙に行 減価償却資産の再評価方式は︑わが国のばあいと同様︑償却

⑪再評価剰余金と再評価税

イクリアの再評価では︑再評価剰余金の資本組入ほつぎのよ

うな一定条件の下でだけゆるされた︒すなわち︑再評価剰余金

は既存の株式価値の引上げもしくは無償株

(b

on

us

sh

ar

es

) 

の発行に使用されてい

4

けれども︑無償株の発行は既存の資本

金と準備金との比率を保持しうるばいに限られるのである︒

また︑イクリアでは︑第三次再評価の際に︑再評価剰余金の

総額に等しい︱つの特別準備金の設定が認められて︑これを設

備取替に使用することを条件として免税措置がとられた︒

ば︑イタリアでは資本組入の際に二

0 9 6

という高率の再評価税

••

ー を課徴したといわれる沢︑これは右の一連の組入措置からいっ

て︑演本組入抑制策の一環としての意味をもつものであろう︒

山シムボジウム﹁第三次再評価の問題点を語る﹂にみられる泉美

之 松

氏 の

発 言

︑ 企

業 会

計 ︑

昭 和

二 八

年 五

月 号

︑ 五

六 頁

われたと仮定する算定方法に立っている︒

(11)

494 

第 7 表

, 

年 次

ベルギーの卸売物価指数

は秤呵建設材糾請認

1936‑1938 I  100  I  100  I  100  1947  I  355  I  342  I  334  48  I  389  I  362  I  345  49  I  370  I  390  I  336  50  I  388  I  410  I  348 

(備考) 前掲

Accountingfor Inflation,  p.104. 

ベルギーの再評価では︑

一 九 一 ︱

な制限と専門的な評価との合成

物からなっている︒すなわち︑

第 8 表

れた再評価方法は︑右のような

物価指数に基づく︱つの自動的 る︒そして︑ベルギーで採用さ

(備考) 前掲

Accounting for  Inflation,  p.108. 

の程度は︑第 7 表のごとくであ

1951

年に公示された

再評価倍数

年 次 l

倍 数

1918

年及びそれ以前

16.33  1919  11.49  20  6.15  21  6.30  22  6.43  23  4.37  24  3.89  25  4.02  26  2.72  1927‑1934  2.35  1935  1.86  1936‑1943  1. 70  1944‑1948  1.14  1949  1.10  1950 

以後

1.00 

てベルギーの税務 五一年肛斑本利得 ー

•し

税の免税に関連し

一 九

産の取替を助けるという経済的目的の下に行われ︑第一一に戦時 中適当な取替のできなかった産業を助け︑取替のできた産業を 除外するという倫理的目的の下に行われた︒そして︑ベルギー のそうすることができる企業という企業は凡て再評価を利用し たが︑この恩典からもれた一部の企業には不満もみられた︒

⑱物価騰貴と再評価限度額

ベルギーのインフレーション

て︑それが破壊される前に蒙った物理的減価とすでに収得され

ペルギーでは︑政府の投資一〇ケ年計画の一環として︑

四七年から四八年にかけて︑産業用建物および設備の任意再評 価が行われた︒ベルギーの任意再評価は︑第一に産業用固定資

囚 概 観

ベ ル ギ 戦後各国における再評価事情︵酒井︶

一 九

九 年 八 月 一

1 ‑ + H

における凡ての再評価資産の再購入価格総計の ニ・五倍から取得時より一九四五年十二月三十一日までの間に それらの資産が蒙った物理的減価を控除した金額が許容最高限 度額とされ︑個々の再評価資産についての専門的な評価は右の 限度額の範囲で認められた︒また︑ベルギーの再評価では︑

戦時中に破壊された資産とすでに完全に償却済みの姿産につい て︑つぎのような特別措置がとられた︒すなわち︑前者につい たかあるいは終局的に収得されるべき凡ての対価を差引いた戦

争開始時における新資産としての価額までの簿価の引上げを認 め︑後者については︑基準日においてそれが稼働中である限り

その全面的な再評価を認めた︒

と こ ろ で

当局によって公示

された再評価倍数

を示すと︑第 8 表

(12)

占領中建造された資産で︑ドイツ人により︑またはドイツ人の

山再評価資産の総価額は︑再評価後最初に公示される貸借対 ②戦時中に購入された産業用固定査産

1

これは︑ドイツの

た事務用器具は再評価を許されたが︶︑無形査産等︒

再評価剰余金に対する課税は︑つぎの諸項を遵守した時に免 未徹却残高全額の徴却を認め︑事梢によって五年間の繰延べも これらの資産については原則として再評価後の第一年次にその

のごとくである︒ベルギーでは︑資本利得税算定の際にだけこ

のような細分された再評価倍数を使用し︑しかもこのばあい︑

通常の再評価に基づく計数の方が大きいならば︑その大きい方

の計数を適用すること

4

し た の で あ る ︒

山固定資産の売却に伴う資本利得︵キャビクル・ゲイン︶への免

税 措

置 は

︑ ベ

ル ギ

ー で

一 九

一 一

一 六

年 以

来 実

施 さ

れ ︑

こ れ

が ︑

一 九

七 年 の 再 評 価 法 へ と 拡 大 ・ 綜 合 さ れ る 或 種 の 諸 原 則 を 内 包 し て い

た と

い わ

れ る

囮再評価対象と減価償却方式

ベルギーでは︑他の諸国に比べて︑再評価対象をかなり限定

一 九

四 五

年 十

二 月

︱ ︱

‑ +

している︒すなわち︑ベルギーでは︑

日現在でなお使用中の戦前︵一九三九年末以前︶購入の産業用

建物および設備の再評価が認められたが︑つぎのものはこの対

象から除外された︒

山非産業用固定査産

(n

on

,i

nd

us

tr

ia

l

fi

xe

d 

as

se

ts

)

えば︑事務所︑倉庫︑住居︑土地︑小売店舗︑住居用あるいは

事務用器具︵特殊なばあい︑ H 企業に附属した甚だしく磨損し

戦後各国における再評価事情︵酒井︶ ために使用されたものの再評価より生ずる利益を除去する趣旨 にでたものと︑いわれている︒

③一九四五年十二月三十一日現在︑効果的に使用されておら

ず︑しかも単に一時的に遊休しているのでなく長期的に遊休し

ている産業用固定姿産︒

④借入金によって購入されたとみなされる産業用固定資産ー

卜債権に対する倣務の割合を一九三九年の貸借対照表から算出

し︑これを再評価の対象となる資産に適用して︑除外部分を決

定 す

る ︒

このばあい︑新しい再評価額がその後の免税減価償却準備金

の基礎とされることは勿論としても︑戦時中に破壊された資産

のばあいに︑つぎのような特別措置が採用された︒すなわち︑

許 容

し た

⑲再評価剰余金と再評価税

除 さ

れ た

(13)

96

囚 概 観

︑ 西 ド イ ツ

戦後各国における再評価事情︵酒井︶

照表に個々の項目毎に示されねばならない︒

②再評価剰余金は︑貸借対照表の貸方側に特殊な準備金の形

態か無償株の形態で表示されねばならない︒特殊な準備金は︑

無償株として資本金に組入れられない限り︑そのま

4

にしてお

かねばならない︒再評価剰余金は︑免税されようとするなら︑

無償株以外のいかなる形ででも株主や従業員に分配されてはな

ら な

い ︒

③新しい再評価額に基づく減価償却は︑資産価値からの一個

の控除としてか︑負債側における一個の準備金としてか︑この

何れかの方法で表示されねばならない︒

④諸勘定の表示が︑商法規定に合致していなければならない︒

なお︑事業が営業活動中に︑再評価資産の一部あるいは全部

が売却されて再評価価値が実現しても︑全く課税されなかった

が︑事業が営業活動を中止して解散するならば︑再評価剰余金

はそれが株式資本に組入れられていようとあるいは︱つの特別

の準備金として残されていようと︑それに対して課税された︒

④戦争による巨額の損失の繰延処理と配当制限︵六%の配当 ③ドイツ・マルク建の新資本金を決定すること︒ その他の財産は再買時 ②貨幣的財産︵現金︑預金︑債権︶と貨幣的債務は十分の

( G

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z  

始貸借対照表並びに資本金の新決定に関する法律﹂

U b

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e   E r o

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1 D

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t z

) が

公 布

さ れ

. .  

ー 企業の賓産・負債の強制再評価が実施された︒西ドイツの強制

再評価は︑以下でのぺるように︑通貨処理の甚礎の上に弾力的

な企業の再建整備をはかり︑しかもこれに伴う社会的負担の調

整を勘案している点で︑極めてユニークな存在である︒

因みに︑西ドイツにおける右の法律の主たる目的とするとこ

会社の資本金の状態は第

9 ̲

1 0

表のごとくである︒

山企業会計における計算単位をライヒス・マルク建からドイ

ツ・マルク建に改訂すること︒

に切下げ︵下記貨幣改革法に基づく︶︑

価を限度として再評価すること︒

制限は戦時以来五二年十月まで︑他の法令で強制された︶とに ろはつぎの諸点であり︑またこの法律によって改訂された株式

西ドイツでは、一九四九年八月二十日に「ドイツ•マルク開

八 四

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