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岩手県立大学経常経費が地域に及ぼす経済効果」

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(1)

本体(機関リポジトリに登録)

<要旨>

本研究では、岩手県立大学の

2015

年度の経常経費が地域に及ぼす経済効果の分析を行ったものであ る。具体的には経常経費を教育・研究活動費と人件費に分けて,それぞれ岩手県産業連関表の統合大分 類表の

36

部門に投入した。その結果,経常経費約

57

億円のうち教育・研究活動費約

14

億円は

1.38

倍の約

20

億円の県内生産誘発額をもたらしたこと,同様に人件費約

23

億円は

1.15

倍の約

27

億円の 県内生産誘発額をもたらしたこと,が明らかになった。

1 研究の概要

岩手県立大学は

1998

4

月に創設され,

2018

3

月 に設立

20

周年を迎える。ここでは大学の経常経費が岩手 県経済にどの程度の経済効果をもたらしたかを分析する。

分析に際して,財団法人日本経済研究所(2007)と高井

(2015)を参考にした。

本稿では経常経費を教育・研究活動にかかった費用に よる経済効果と人件費(教職員の所得)による経済効果 に区分する。それぞれの金額に対して,

2011

年の岩手県 産業連関表の統合大分類表(

36

部門)に投入して,波及 効果を分析していく

2 研究の内容

教育・研究活動費を岩手県政策地域部が

2016

年に公表 した

2011

年の岩手県産業連関表の統合大分類表(

36

部 門)に投入して経済効果を算出する。

投入に際して日本経済研究所(2007)と高井(2015)

を参考して,教育・研究活動費の費用項目を統合大分類 表の部門に分類する。例えば,消耗品を購入するときに,

どこから購入したかを知る必要がある。消耗品の購入先 をすべて調べることは不可能なので,産業連関表の最終 消費部門のうち家計以外の消費支出先と同じ構成割合と する。

人件費の経済効果を分析するに際して,教職員退職給 付費用は消費に回すことはあまり考えられないことから 除外する。また,法定福利費は大学が負担する社会保険 料であることから除外する。よって,全体の人件費のう ち教職員退職給付費用と法定福利費を除いた額と教育・

研究活動費の報酬・委託・定数料の

5

割が分析対象金額 である。

人件費の分析対象金額のなかには県外に流出する部分を 考慮する必要がある。つまり,教員が単身赴任の場合,所 得は県外に流出することになるし,非常勤教員を県外他 大学の教員に依頼することもあり,その分の給料も県外 に流出することになる。また,講演会等も県外から講師

を依頼することがあり,その分の謝礼(報酬)も県外に流 出こととなる。しかし,県外に流出する詳細な金額が不 明であり,ここではそれぞれ

5%と設定する。

3 これまで得られた研究の成果

教育・研究活動費と人件費の合計額である38億193万

7809

円が,

47

億1123万

5068

円の県内生産誘発額をも たらした(波及倍率

1.24

倍)。粗付加価値では岩手県に 対して

29

3684

9803

円の新しい価値を創出して,

2014

年度の名目県内生産

4

6470

3800

万円の

0.001%に相当する。

上述の分析結果では,教育・研究活動費のなかで消耗 費や備品費等の県内発注率が不明であったため,県内の 家計外消費と同じ構成割合とした。家計外消費と同じ構 成割合とした場合,岩手県立大学の支出として直接関係 がないと思われる農林水産業へも割付することなる。こ れを詳しく精査する必要がある。また,人件費において 単身赴任や非常勤講師などの県外者依頼を想定するため,

5%が県外に流出するとした。こちらも詳しく精査する必

要がある。

4 今後の具体的な展開

大学の経常経費の経済効果に限定して大学の経済効果 を論じたが,当然ながら本来の大学の経済効果はそれに 限定されるものではない。

特に重要なものとして,岩手県立大学が地域に及ぼす 経済効果として学生の

1

年間の消費活動の及ぼす効果も 推定する必要がある。

2016

年4月時点で4学部では1989 名,2短大部では

445

名,4研究科では

155

名の学生が 在籍している。

更に,卒業した学生が県内に就職することにより,生 涯消費がもたらす経済効果も岩手県立大学が地域の経済 に及ばす効果となる。これらの分析は今後の課題とした い。

「 岩手県立大学経常経費が地域に及ぼす経済効果」

Tee Kian Heng(総合政策学部、教授)、高嶋 裕一(総合政策学部、教授)

(2)

5 論文・学会発表等の実績

科学研究費研究集会:「経済時系列モデルのパラメータ 変化に関するモニタリング手法の研究開発」発表,広島 経済大学立町キャンパス,2017 年 2 月 19 日.

Tee KianHeng,高嶋裕一(2017)「岩手県立大学経常経 費が地域に及ぼす経済効果」,岩手県立大学総合政策学会 Working Papers Series,No. 121.

6 参考文献

(1)

井上勝雄(2010),『経済統計の計量分析』,ミネルヴ ァ書房.

(2)

入谷 貴夫(2012)『地域と雇用をつくる産業連関分 析入門』,自治体研究社.

(3)

岩手県政策地域部「いわての統計情報(経済→産業 連関表)」,

http://www3.pref.iwate.jp/webdb/view/outside/

s14Tokei/top.html,アクセス日: 2016

6

1

日.

(4)

株式会社日本経済研究所(

2011)

,「大学の教育研究 が地域に与える経済効果等に関する調査研究」,

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/1 311183.htm,アクセス日:2016

11

1

日.

(5)

公立大学法人岩手県立大学(2016),「平成

27

年度 財務諸表」,

http://www.iwate-

pu.ac.jp/information/info.html

,アクセス日:

2016

12

1

日.

(6)

小長谷 一之・前川 知史(2012),『経済効果入門」, 日本評論社.

(7)

高井 亨(

2015)

「鳥取環境大学が地域におよぼす経 済効果の推計」,『鳥取環境大学紀要』

13, pp.139- 150.

(8)

財団法人日本経済研究所(

2007)

「地方大学が地域に 及ぼす経済効果分析 報告書」,

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/

07110809.htm.,アクセス日: 2016

11

1

日.

参照

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