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Undercooling in Ni−Ni5Sb2 Eutectic System Alloys

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Ni−Ni5Sb2共晶系合金の過冷凝固

(昭和55年10月31日原稿受付)

金属工学教室小林俊雄 金属工学教室中尾善信

Undercooling in Ni−Ni5Sb2 Eutectic System Alloys

by Toshio KOBAYASHI

   Yoshinobu NAKAO

A.bstract

      Astudy of the relationship between undercooling and structure of Ni−Sb alloys with 30.O to 40.O       wt%Sb was carried out. The results were compared with the experimental data for Ni−Sn alloys previ       ously reported. The maximum degrees of undercooling obtained for Ni−30.Owt%Sb, Ni−34.Owt%Sb and       Ni−38.Owt%Sb alloy specimens were 226,125 and 129 degC, respectively. It seemed that the maximum       undercooling temperatures for these alloys were nearly parallel to the Ni5Sb21iquidus line and its exten・

      sion. And the degrees of undercooling below them were about 130 degC. The max輌mum degrees of

      undercooling for eutectic and hyereutectic alloys were remarkably lowerd than that of Ni−Ni3Sn alloys and       they were independent o且the purities of Ni and Sb used.

         According as the undercooling increased, the morphology of eutectic chaged from normal to anom−

      alous structure and the quantity of normal eutectic regions decreased and finally disapPeared beyond a       critical皿dercooling temperature of about 125 degC. This critical undercooling was nearly equal to it for       Ni−Ni3Sn eutectic alloy. In the case of hypoeutectic alloy, Ni−richα一phase was dendritic for low under−

      cooling, became cylindrical for 50−100 degC undercooling and丘nally spherical for further undercooling.

      While, according as the undercooling increased, the morphology of eutectic changed from normal to       anomalous structure and at the same time the quantity of eutectic structure decreased. However, the

.   anomalous eutectic was observed in the specimen undercooled 226 degC, the maximum in thお.study. For       Ni−38.Owt%Sb hypereutectic alloy, no change of the morphology was observed in the specimens under・

      cooled up to 129、 degC, the maximum in this study, although the primary phase and eutectic structure       became finer with increasing in undercooling。

      By quenching eutectic alloys after partial solidi丘cation accompanied with various degrees of under・

      cooling, influence of the undercooling on nucleation and growth was demonstrated.

(2)

54

 1.緒  言

       1600  Ni−Sn系共晶合金の過冷凝固については既に報告し

た。1) 2)過冷凝固された共晶系合金についての従来の研     1400 究はその合金系が限られており,Ni−Sn系合金が最も多   ρ        1200 く,これ以外にはCu−Ag系3)およびCo−Sn系合金4) 5)   囲 だけである。過冷凝固された凝固組織変化の詳細は不明     1000         な点も多く,過冷による組織変化がNi−Sn系合金に特有     〜       800 の変化であるかも知れない。過冷凝固による組織変化が

鯛影響を受け易いため,状態図力・Ni−Ni・S・系と極め  ゜1°2°器。、;5°6°7°

て類似しており・共晶温度および金属間化合物の溶融温      図_1 Ni−8b平衡状態図 度もほぼ等しいNi−Ni5Sb2共晶系合金を用いて過冷凝

固させ,その結果をNi−Ni3Sn系合金と比較することに    晶組成は36.Owt%Sbとなっているが,配合による試料 した。同時に,NiおよびSbの純度が過冷凝固におよぼ    の熱分析および組織観察からNi−34.Owt%Sbが共晶と す影響についても検討した。       なるので,本研究ではこれを共晶組成として用いた。試       料重量を30gとし,冷却曲線から過冷度を決定した。

 2. 試料および実験方法

       3. 実験結果および考察  用いたNiは既報1}のものと同じ99.95%純度であり,

Sbは99.92%純度のものを主に用いた。不純物の影響を     3.1 炉冷によるNi−34.Owt%Sb共晶合金の過冷凝 検討する場合には99.999%Niおよび99.9999%Sbを       固

用いた。この化学分析値を表一1,2に示す。大きな過     炉冷による試料の冷却曲線を図一2に示す。得られた 冷度を得るために溶融ガラス中で試料を溶解・凝固させ    最大過冷度は125degCであった。これは既報の共晶合金 た1)。ガラスの化学組成を表一3に示すが,既報の棚硅酸    に比べて小さい過冷度なので,高純度のNiおよびSbを ガラスと異なり軟質ガラスである。これは約700℃で軟   用い,さらに石英製ルツボを用いて再溶解・凝固を繰り 化するので実験操作は棚硅酸ガラスに比べて容易であ    返したが,20数回この過冷度に到達しながらも,これよ

る。Ni−Sb系状態図を図一1に示す6)。本系には二つの共    り大きい過冷度を得ることはできなかった。過冷度が増 晶が存在するが,本研究の試料はNi−Ni5Sb2系であり,    加するに従って温度回復後の共晶停点は低下し,125 Ni−Ni3Sn系状態図と類似している。この状態図では共    degCの初期過冷で15degC過冷した。

       図一2に示した試料の顕微鏡組織を写真一1に示す。

表一1 供試高純度ニッケルの化学分析値  (wt%)   2degC過冷した試料は連続共晶組織であるが, N iが棒 N、 恥  S、  AI  C・  Mg  Ag    状を呈する棒状共晶のように見える(写真一1・a)。しか 999990000700002<oooo1<o ooo1<o ooo1<o ooo1   し,一部には写真一1・bに見られるように棒状の共晶

表一2 供試アンチモンの化学分析値    (wt%)

1200

Sb

9992 Pb 0018

As 0009

S 0020

Cu 0010

N1

0002

B1 trace

Sn Se

一      ρ1100

Sb Pb As

S

Cu

Ni Bi

Sn Mg

Si

99.9999 trace trace trace

Sio2 B203

Al2(㌔

As205 Na20 MnO CaO

74.0 2.72 1.17

021

15.75 0.15 6.0

鱒1000

       goo

表一3 軟質ガラスの化学組成      (wt%)      0  1  2  3  4  5  6  7       時  間,min

       図一2 種々の過冷度を示すNi−34.Owt%Sb共晶合

      60      金の冷却曲線

(3)

写真一1 種々の過冷度で凝固したNi−34.Owt%共晶合金のミクロ組織

Niはくびれを生じ,粒状化の傾向が強いことを示してい る。30degC過冷した試料では,組織は細かい連続共晶と

      1200 粗い共晶組織からなり,この一部に塊状のNiが大きく

成長しているのが判る(写真一1・c)。この塊状のNiは    ⇔       1100 過冷がある時にだけ存在し,過冷度が小さい程大きい。    亟 過冷度が増すに従って粒状共晶組織が増加し,100degC    ヨ1000 過冷した試料ではほぼ90%が粒状共晶組織となり,粒状

共晶コロニー境界にやや長形のNiが観察されるだけと     goo

なる(写真一1・d)。125d・gC過冷した試料では,過冷度  ゜12∴,4。、。5678

の増加により粒状Niはより小さくなり,長形のものは    図_3 種々の過冷度を示すNi−30.Owt%Sb亜共晶 観察できず,共晶コロニーを識別することもできない。        合金の冷却曲線

 過冷凝固による以上の如き連続共晶から非連続の粒状

共晶への変化は,Ni−Ni3Sn共晶合金の場合と同じであ    初晶の凝固に3degCの過冷を要し,共晶凝固に過冷 り,いずれもNiが粒状化する1)。その変化はほぼ15〜30   を伴わない試料では,初晶は樹枝状に晶出しており,初 degCの過冷度から始まり,試料全体が粒状共晶に変わ    晶間には不完全ながら連続共晶が観察される。初晶の表 る過冷度も125degC前後である。これは粒状化する相が    面は滑らかではなく,突起ならびに共晶Niとの連なり ともにNiであるためと考えられる。しかし,本共晶合金    も見られる。過冷度が増すに従って初晶は50〜100degC はNi−Ni3Sn共晶合金の最大過冷度227degCに比べて    の過冷度で棒状を呈し,初晶間の連続共晶は粒状共晶に 過冷し難い。       変わり,共晶量は少なくなる。これを写真一2・bに示す。

 3.2 Ni−30.Owt%Sb亜共晶合金について         226degCの最大過冷試料では初晶は球状に,共晶も粒状  炉冷による試料の冷却曲線を図一3に示す。最大過冷    共晶化してNi5Sb2母相中にNiが分散する組織となるが,

度は226degCであり,共晶温度以下163degCの過冷と   これには大・小二種類のNiが共存し,初晶と共晶中の

なる。過冷度が大きくなると,温度回復後共晶停点を示    Niを識別することができる(写真一2・c)。しかし,共晶

してもこの温度は最大17degCの過冷となる。図一3に    のNiが観察されない場所もあり,特に試料外周部にこ

示した試料の顕微鏡組織の一部を写真一2に示す。      れが多い。

(4)

56

写真一2 種々の過冷度で凝固したNi−30.Owt%Sb亜共晶合金のミクロ組織

     a) △τ=3degC, b) △T=89degC, c) △T=226degC

×150×2/3

 3.3Ni−Ni5Sb2過共晶合金について      1200  Ni−38.Owt%Sb合金の炉冷による冷却曲線を図一4

に示す。最大過冷度は129degCである。過冷度の増大に    ⇔lloo 従って共晶停点は低下し,最大10degC過冷した。また,    亘 共晶凝固には共晶停点より約5degCの過冷を必要とし

      起1000 ている。Ni−40.Owt%Sb合金の炉冷による冷却曲線を図

一5に示す。最大過冷度は130degCである。本合金では,

       

この範囲の過冷度では共晶停点の低下はない。       0  1  2  3  4  5  6  7       時  間,mln

本合金系で得られ撮低核生成温度とSb舗率との  図_、種々の過冷度を示すN、.4。.。w、%Sb過共晶 関係を図一6に示す。この図から,過共晶合金ではSb含         合金の冷却曲線

有率に関係なく液相線から約130degCで核生成するこ     1200 とが判る。また亜共晶合金の場合も,Ni5Sb2液相線の延

長線から同様に約130degCの過冷度で核生成している ように見える。130degCの過冷度が本過共晶合金の均一

核生成の過冷度ではないことから,溶湯中に存在する     1100 Ni5Sb2の異質核生成のための核生成物質が,この過冷度    ⇔ で有効に働くものと考えられる。このため,より高純度    ・ のNiおよびSbを使用してみたが,この過冷度は変わる

      こヨ ことがなかった。しかし,常にこの最大過冷度が得られ    〜1000 るので,高純度試料の使用はその意味では過冷し易くな

るといえる。

 合金の最大過冷度が合金組成によらず,その液相線温

度からほぼ一定の過冷度となる例は二,三の合金で報告      gOO

       30      32     34      36     38     40

       図一6 最低核生成温度とSb濃度の関係

⇔1100 鰻1000

⑨00

       時  間,min

されている。7) 8)β)本実験結果の如き亜共晶合金の最大

過冷度が,過共晶合金側初晶の液相線の延長線から,過 共晶合金における最大過冷度と同じ大きさになる例も報

告されている。 °)

 Ni−38.Owt%Sb過共晶合金の過冷凝固による顕微鏡

図一4 種々の過冷度を示すNi_38.Owt%Sb過共晶     組織の一部を写真一3に示す。過冷がない時初晶は樹枝

   合金の冷却曲線      状に,共晶はこれから成長した連続共晶として凝固する。

(5)

写真一3 種々の過冷度で凝固したNi−38.Owt%Sb過共晶合金のミクロ組織    ×150×2/3

     a) △τ=32degC, b) △7「=64degC, c) △7「=129degC

写真_4 種々の過冷度で凝固したNi_40.Owt%Sb過共晶合金のミクロ組織    ×150×2/3

     a) △T=8degc, b) △τ=95degC, c) △T=130degC

過冷度が増加した場合も凝固組織のこの形態は変わらな     3.4 共晶合金の過冷凝固過程

いが,初晶は僅かに球状化の傾向を示す。過冷度が64    過冷を伴う共晶合金の凝固過程を明らかにするため degCの試料外周部では共晶の粒状化および初晶への共    に,炉冷凝固後でも連続共晶組織が残り,しかも多くの 晶中のNi5Sb2の併合が行われた場所もあり, Ni5Sb2を   粒状共晶への変化を示す78degC過冷した試料につい 網状にNiが取り囲んでいる(写真一3・b)。しかし,最    て,冷却途中の所要の時期に試料を水中に急冷してその 大過冷度129degCの試料でも全体に連続共晶のくずれ    凝固組織を観察した。過冷凝固試料の冷却曲線と水冷時 は少ない(写真一3・c)。これは,これまでに報告した合    期を図一7に示す。共晶停点は10degCの過冷を示して 金より過冷度がかなり小さいためである。      いる。また,これらの顕微鏡組織を写真一5に示す。試  Ni−40.Owt%Sb過共晶合金の過冷凝固による顕微鏡   料1は78degC過冷して凝固を開始した時水冷したが,

組織を写真一4に示す。過冷度の増加に従って樹枝状晶は 小さくなるが,本実験での最大過冷度130degC程度では

初晶の過冷度が同じであるにもかかわらず,Sb含有率が     1200 大きい程樹枝状晶の変化は少ないように見える。共晶組

剛変化は本合金の過冷が少なく,特1こ錨雌以下に ⇔11・・_...._.一一一一一一一一一_」・塑三_一 大きく過冷することがないので概して少ない。しかし,    .

写真一4・cに見られるように,初晶Ni5Sb2を粒状に連    蛆

なった共晶中のNiが取り囲む組織も散見される。 Sb含    ヨ1000       一一 有率の増加により,初晶量は多くなり共晶量は減少する

      12 3 が,共晶の母相が初晶と同じ相で共晶量が極めて少ない        900 時,共晶凝固は初晶の影響を強く受けることがある川。

初晶の表面積が大きいことがこの傾向を強めると考えら

       0    1    2    3    4    5    6 れるが,これは初晶の微細化であり,過冷凝固により達       時  間,mi.

成されると思われる。       図一7 過冷凝固試料の冷却曲線と水冷時期

(6)

58

演    懸鞭。灘㍗懇i_。議灘、 雛蕊㌶

     、       ×150×2/3

写真一5 78degC過冷試料の時間経過に伴つ凝固組織変化

     a),b)試料1,c)試料2, d)試料2(外周部), e)試料3, f)試料3(外周部)

     g)試料3(中間部),h)試料4(中央部),1)試料4(外周部)

凝固潜熱のため22degC温度回復して3秒後に温度降下    した共晶コロニーを取り囲んた組織となっている。また,

している。これは凝固潜熱の完全抽出はできなかったこ    一部はくひれをもっNiからなる共晶組織も観察される とを示しており,この影響を受けた組織が存在すること    (写真一5・d)。温度回復した共晶停点中期に水冷した になる。組織観察によると,凝固潜熱の影響を受けた凝    試料3ては,その中心部でN1の粒状成長は明らかで, Ni 固部はこれを受けなかった細かい連続共晶と比較して粗    粒径はより大きく数も少ない。未凝固の溶湯であった部 い組織となるので,これを識別することがてきる。写真   分との境界は極めて明瞭であり,共晶コロニー外周部に 一5・aおよひbにこの組織を示す。凝固潜熱の影響を受    粗い連続共晶は観察されない(写真一5・e)。しかし,試 けた部分はNiか粒状化した粒状共晶が樹枝状の外形を    料外周部では写真一5・fに示すように極めて粗い連続 呈しなから凝固し,その外周部は粗く放射状に凝固する    共晶が観察される。そして,中間部では写真一5・gに示 組織,粗い粒状共晶組織,それに粗い連続共晶として凝    すように粒状共晶およびくすれた粗い組織を呈し,連続 固している。一方,凝固潜熱か完全に抽出された部分は    はしているがN1のくびれた粒状化の推移を示す組織か 細かい連続共晶組織として凝固している。共晶停点に温    見られる。完全に炉冷凝固した試料4の中心部は,写真 度回復した時水冷した試料2では,凝固潜熱の影響を受   一5・hに示すようにN1はさらに大きな粒状晶に成長 けた粗い粒状共晶はさらに多くなり,粒状Niの径は幾    しており,残る連続共晶も水冷によって生じたものより 分大きくなる。そして,水冷によると思われる放射状の    は粗く,一部は粒状共晶のように凝固している。試料外 粗い共晶が粒状共晶の外周部に一・部観察される(写真   周部はほほ粒状共晶となるか,このコロニーの境界部に 一5・c)。試料外周部の凝固は中心部のそれに比べて進    は針状のNiか晶出している(写真一5・1)。

んでいるか,その組織は粗い放射状の連続共晶が粒状化    以上で示した結果から,Ni−Ni5Sb2共晶合金の過冷凝

(7)

固では,共晶中のNiは凝固潜熱の発生が急速で,核生成    晶凝固はともに凝固界面は滑らかであり,粒状共晶凝固 点を中心に試料温度が上昇するような条件では球状に成    においてもNi5Sb2が優先相となりNiを摘み切る12)様 長する。しかし,これを水冷して温度回復を抑えると,    子は観察されていないが,界面に接して,またしばしば 同じ過冷度でありながら粒状共晶組織は大幅に減少し,    溶湯中に突出した部分に粒状のNiが観察される。この 微細な連続共晶組織が多くなる。また,試料の温度回復    ような優先核生成については,Ni−Ni3Sn共晶合金では が終わった後も試料中心部の温度勾配の小さい所では,    明らかではなかった。

Niは粒状に大きく成長している。一方,試料の外周部は     また,温度回復後の共晶停点は10degCほど過冷して 外部への熱の放出があるため試料内の温度勾配は外側が    いるが,この温度で粒状共晶として凝固する溶湯はかな 低く内部が高くなり,凝固の進行は正の温度勾配をもつ    りある。しかし,この温度で凝固完了した試料に連続共 凝固となる。このような時には温度回復のある所でも,   晶が観察されることから,共晶温度の10degCの過冷が 連続はしているがくびれをもつNiの存在とともに粗い    直接粒状共晶の凝固につながるものではない。

連続共晶組織となっている。このような組織変化は    3・5 種々の過冷度から温度回復中の凝固

Ni−Ni3Sn共晶合金の場合と同じであり1),本合金でも同     以上の結果は例え過冷度が大きくても凝固潜熱を系外 一の機構により生ずるものと考えられる。         に除去し,この影響を受けずに凝固すれば,共晶溶湯は  共晶凝固に際してNiとNi,Sb,のどちらが優先核で   連続共晶組織となることを示している。このため,種々 あるかを観察するに,粒状共晶の場合はNiの核生成が    の過冷度から最高温度に温度回復した共晶試料をタンマ 優位のように見える。すなわち,粒状共晶凝固,連続共    ン管ごと水中に急冷してその組織を観察し,過冷度とそ       の温度回復が組織に与える影響を調べた。試料の過冷度

ρ 1200

1100

堅1000・

:ヨ

900

800

と温度回復,水冷時期を図一8に示す。また,これらの 顕微鏡組織を写真一一6に示す。

坐       初期の細かい組織から次第に粗い組織に変わっている。

      写真一6・bでも既に凝固していた共晶組織の中心ほど      時  間       層間隔は狭く,周囲に放射状に成長して外側ほど粗くな

図一8 過冷度と水冷時期       り,過冷状態から晶出・成長したことが判る。そして,

×150×2/3

写真一6 種々の過冷度で温度回復後に水冷された試料の凝固組織      a) △T=7degC, b) △T=7degC

     c) △7 =30degC, d) ムコ戸=122degC

(8)

60

一部のNiは各所でくびれているのが観察される。30    金のそれとほぼ一致する。粒状化したNiは過冷度の degC過冷し,ほぼ共晶温度に回復した時水冷した試料    増加に従って小さくなる。

では,写真一6・Cに示すように粒状共晶化の傾向はさら    (4)亜共晶合金では,過冷がない時の樹枝状の初晶は50 に強くなるが,粒状共晶の周辺部は外側に向かって放射     〜100degCの過冷度で棒状,それより大きい過冷度で 状に,外側ほど粗く成長し,その一部のNiはくびれて粒    粒状に変化する。また,226degCの最大過冷度でも初 状化の傾向を示す。78degC過冷した試料については既    晶と共晶の相違は明らかで,粒状の初晶Niとより微 に写真一5・aおよびbに示したが,凝固はさらに進み共     細な粒状共晶Niからなり,共晶組織の完全消滅は生 晶コロニーの数も多くなる。122degq過冷し,103degC     じなかった。

温度回復した凝固開始後10秒に水冷した試料では,試    (5)最大過冷度が130degCまでの過共晶合金試料では,

料中心部で写真一5・dに示すように細かい粒状共晶の   。Sb含有率が少ない場合は共晶組織は変化しないが,

小さいコロニーと,これを取り囲むように僅かに水冷に     Sb含有率が高くなると同じ過冷度でも共晶組織の消 よる連続共晶とになるが,これは炉冷すれぽすべて粒状     滅が観察される。これは共晶の組織変化が過冷度のみ 共晶になるものである。それでも,凝固に方向性がある    ならず,初晶との接触面積に影響されるためである。

試料外周部では,粒状共晶コロニーの周辺にNiが針状    (6)過冷状態から温度回復を伴う断熱型の過冷凝固で 化した共晶を僅かに観察することができる。         は,大きな過冷却で核生成した共晶のNiは連続して  これらの結果から,炉冷による過冷凝固で,温度回復     成長できず粒状に成長し,冷却速度が小さい程大きく により粒状共晶となり得る過冷度は10〜15degC以上と     成長する。しかし,凝固前面に正の温度勾配をもつ凝 推定される。しかし,過冷度が大きく,温度回復後の共     固では連続共晶として成長する。

晶停点が約10degCの過冷を示して凝固した試料にも連   (7)温度回復を伴う過冷凝固では, Ni−Ni,Sb2共晶合金 続共晶が観察されるので,約10degC以上の温度回復を    はNiが優先核となる。

伴う炉冷凝固が粒状共晶を生ずるといえる。

      参考文献

 4・結言      1)小林・中尾・柏村:九州工業大学研究報告(工学),No41(1980),

      103,113.

 以上の実験結果は次のように要約することができる。    2)小林・中尾:九州工業大学研究報告(工学),No42(1981),投稿

(1)Ni−Ni5Sb2共晶合金で125degC, Ni−30.Owt%Sb   中.

亜共晶合金で226d・gC Ni−38・・wt%S5 Ni−4… 3;。:LFP°weiL LMH°gan:UnsLMetals g3(1964〜65X

 wt%Sb過共晶合金でそれぞれ129degC・130degCの    4)YV. V R S. Murtu T. z. K雄amis:J. CrysL Grow仇22

 最大過冷度を得た。これらの過冷度はM5Sb2液相線    (1974),219.

 から約130degCの過冷度であり,亜共晶合金でもこの    5)TZ・Kattamis W R・Mohn:Cairo Solid State C・n輻2nd       [2](1974),307.

 液相線の延長線以下約130degCの過冷となる。      6)MHansen:Constitution of Bmary AIIoys L。ndon(1958),

(2)本合金系は,Ni−Ni3Sn系合金と比べて共晶,過共晶    1037.

 合金は過冷し難く,これらの最大過冷度は使用した   7)REC㏄h, D Turnbull:J・Metals・3(1951)・24 a

       8)J.H. Hollomon, D. Turnbul1:J. Metals,3(1951),803.

 Ni・Sbの純度に依存しない。      9)J, Fehli㎎, E. Schei1:ZMetalk,53(1962),593.

(3)炉冷の場合,過冷がない時の連続共晶中のNiの粒   10)LFMondolfo:総研ジャーナル,日軽金総合研, Vol4(1965),

 状化はほぼ10degCの過冷却から始まり,過冷度の増    No4 38

       11ンW.T. Collins, Jr., L. F. Mondolfo:Trans. AIME,239(1965)

 加とともに著しくなり,125degCの過冷度ですべてが    ,1671.

 粒状共晶組織となる。この過冷度はNi−Ni3 Sn共晶合   12)B. M.Thall, B. chalmers:J, Inst.・Metals,79(1950),77.

参照

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