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小野伴忠教授最終講義

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(1)

小野伴忠教授最終講義

(小野伴忠教授退職記念誌 I )

      頁 最終講義      ・・・・1 プロフィール    ・・・20

記念誌発刊に寄せて 41 年を振り返る       ・・・21

2010.3

(なお,小野伴忠教授の退職を記念し最終講義,シンポジウム,

研究室の研究履歴,研究室アルバムが記念誌

4

冊にまとめられた)

小野伴忠教授退職記念会編

(2)

1

最 終 講 義 最 終 講 義

岩手大学農学部 小野伴忠

2010年2月26日

『自然現象に魅せられて 研究と教育の41年』

2

最終講義の内容

岩手大学における履歴

研究のこと

教育のこと

最後に

3

岩手大学における履歴 岩手大学における履歴

−助手時代 1969(S44).4〜1990(H2).3 ー

−(21年間,24〜45歳)−

1969〜1990 農産製造学講座

教授 小田切 敏

助教授 伊東哲雄

助手 小野伴忠

大学院生・・・12名 学部生・・・・109 研究生・・・・ 4

4

1969年(S44年)3月 岩手大学大学院農学研究科農芸化学専攻修了

1969年(S44年)4月[24] 岩手大学農学部助手 11月〜 大学封鎖やハンスト勃発

S45年3月[25] 初めての卒業生を送る

4月 教養部封鎖と解除

1970年(S45年)5月〜11月 大阪大学蛋白質研究所 共同研究員

(その後 〜S49年[29]まで出かける)

1975年(S50年)5月[30]〜10月 東京大学農学部 学振流動研究員 S52年2月[32] 農学博士(東京大学)

1982年(S57年)6月[37]〜1983年5月 文部省在外研究員

British Columbia大学、Loma Linda大学、New Zealand酪農科学研究所 1984年(S59) 〜1988年(S63) 8〜9月大阪大学蛋白質研究所 共同研究員 1988年(S63)6月[43] イギリス・スコットランドでカゼインシンポジウム

「カゼインミセル模型」発表 1990年(H2年)3月[45] 恩師小田切教授定年退官

−−−−− 助手時代 1969(S44).4〜1990(H2).3 −−−−

大学紛争 昭和43〜44年(1968〜1969) 5 6

大阪大学蛋白質研究所共同研究員

大阪万博 昭和45年(1970) イギリス館へ

(3)

7

イギリス館で展示 ミオグロビンの立体模型

1962年ノーベル化学賞

8 円偏光二色性の分光光度計

1970年代,

タンパク質の立体構造を測定する最先端機

クリーンな液体で可能

大阪大学蛋白質研究所

9

赤外分光光度計 防湿の部屋に入っていた タンパク質の立体構造解析に

固体でも測定可能

東大農学部

1975年

ここで 博士 を取らしていただきました。

勤務して10年(35歳)やっと教員らしく 昭和54年(1979)12月 旧正門前で10

11 British Columbia大学 (1982)

Loma Linda大学

Nakai先生夫妻と

留学

(カナダ,アメリカ,ニュージーランド)

12 New Zealand酪農科学研究所 (1983)

Creamer博士と

(4)

13

i c e l l e

Ono & Obataのカゼインミセル構造概念図

10

Subunits 20 nm

αs−,β−CN

αs−κ−CN

カゼインミセルモデルの提案

(1989)

カゼインミセルモデルの提案

(1989)

かくして

留学や蛋白研での研究,岩手大での研究・・・→10年

14

1990〜1995 農産製造学研究室 1995〜1998 食品化学研究室

教授 伊東哲雄

助教授 小野伴忠

大学院生・・・10名 学部生・・・・・44 研究生・・・・・ 1

−助教授時代 1990(H2).4〜1998(H10).3

−(8年間,45〜53歳)−

15 1990年(H2年)4月[45] 岩手大学農学部 助教授

1991年(H3年)4月 農芸化学は改組され応用生物学科に統合される

(生物資源利用学専修を担当)

講義(農化); 畜産物利用学、食品保蔵学、化学情報処理

(応生、H5〜)動物資源利用学、食品保蔵学、情報処理演習 農産物利用学(H10~13)

1994年(H6年)3月[49] 最後の農芸化学科学生を送る。

1995年(H7年)4月[50] 博士課程の教員に(学生;郭順堂氏入学)

1997年(H9年)5月[52] イギリス・スコットランドでカゼインシンポジウム 1998年(H10年)3月[53] 恩師伊東哲雄先生定年退官

−−−−−− 助教授時代 1990(H2).4〜1998(H10).3 −−−−

16

相変わらず学生諸君と よく遊び よく学び です

17

1997年(H9)スコットランドで カゼインシンポジウム

この後,牛乳から豆乳へ重心を転換

18

1998〜2003食品化学研究室

教授 小野伴忠

助教授 塚本知玄

大学院生・・・10名 学部生・・・・・27 研究生・・・・・ 3

−教授時代 1998(H10).4〜2003(H15).3

−その1−(5年,54〜59歳)−

(5)

19 1998年(H10年)4月[53] 岩手大学農学部 教授

1999年(H11年)1月[54] 塚本助教授着任

3月 初の博士(郭順堂氏)を修了させる。

4月 農業生命科学科に改組

(食品健康科学講座(大講座)に所属)

講義;植物食品学、動物食品学、物理化学概論、

機器分析化学、情報基礎

2000年(H12年)10月[55] 国際大豆加工利用会議(つくば)にて

「豆乳から豆腐の形成メカニズム」発表 2002年(H14年)3月[57] 応用生物学科最終学年卒業

2003年(H15年)4月[58] 大講座制で食品化学(小野)研究室担当となる。

(1人1研究室体制になる)

−−− 教授時代 1998(H10).4〜2003(H15).3 −−その1−−

20

初の博士課程修了生 平成11年(1999)3月

21

豆腐カード形成モデルの提案 豆腐カード形成モデルの提案

β

粒子

(80nm) OB様粒子 α

α αʼ

β

7S 11S 可溶性サブユニット

豆 乳

フィチン α

αʼ

β β

β

β β

β

β β

β

β β

β

αʼ

α

αʼ

αʼ αʼ

β β

β β β

β β β

β β β

β

β β

β β β

β β β

β

豆腐カード

Ca2+,Mg2+

添加

pH低下

凝 集

2000年 大豆利用国際会議(つくば)にて発表 22

実に賑やかで 行動力のある 教授・助教授体制でした

これが農業生命科学科食品健康科学講座の学生諸君→大講座制へ23

24

− 教授時代 2003(H15).4〜2010(H22).3

−その2−(7年間,59〜65歳)−

2003〜2010食品化学(小野)研究室

教授 小野伴忠

大学院生・・12名

学部生・・・・23

研究生・・・・ 2

(6)

25 2004年(H16年)9月[59] 日本酪農科学会賞

「乳タンパク質におけるカルシウム動態とその応用に関する研究」

2005年(H17年)8月[60] Food Sci. Tech. Res.(2004)論文賞 K. Nakasato, T. Ono, T. Ishiguro, M.,Takamatsu, C.Tsukamoto, M. Mikami

2007年(H19年)4月 応用生命科学系所属となり応用生物化学課程担当となる。

講義;食品学、物理化学概論、情報基礎

9月[62] 日本食品科学工学会賞

「大豆加工における成分相互作用の解明と応用に関する研究」

2008年(H20年)8月[63] アメリカ化学会農芸食品化学部門シンポジウムに招待

2009年(H21年)8月[64] 世界大豆研究会議(北京)の基調講演に招聘

2010年(H22年)3月[65] 農業生命科学科最終学年卒業予定

小野定年退職予定

−−−−− 教授時代 2003(H15).4〜2010(H22).3−−その2−−

26

学生諸君とともに 研究し

学生諸君とともに 遊ぶ

27

「大豆加工における 成分相互作用の 解明と応用に関する研究」

日本食品科学工学会賞受賞

(2007年9月)

「乳タンパク質における カルシウム動態と その応用に関する研究」

日本酪農科学会賞

(2004年

9月8日)

今まで築いてきた研究で,多くの栄誉をこの時代に受けることになる

28

中里ら

Food Science & Technology Research 第10巻

論文賞を受賞(2005年)

石黒

「豆腐形成におけるフィチンの役割」

日本農芸化学会東北支部 若手奨励賞(2006年)

これらの賞は学生諸君が頑張ったからこそ,中里,石黒君も賞を

29

研究すなわち

自然現象に心を澄ます。

実験(現象)に失敗はない 真摯に良く見,

次にどうするか考える

共に遊ぶは 相手を思いやり 相手を知ること そして 共に多くを知り 共に生長する

30

(7)

最終年の学生諸君

(博士1,修士1,学士3) 31 32

合計すると

助手(21)+助教授(8)+教授(12)=

41年

学部生・・・・・203名(卒論指導107)

大学院生・・・・44名

修士・・・・36 (直接指導29)

博士・・・・ 8

(留学生3,社会人4,一般学生1 ) 研究生・・・・・・・10

33

研究のこと

研究の考え方

牛乳に関する研究

豆乳に関する研究

豆腐に関する研究

34

食物摂取の歴史的考察

人間はどの様にして食物を取ってきたのか 豊かな自然での樹上生活から地上へ 温暖な照葉樹林地帯と

寒冷な草原、針葉樹林地帯で生活形式が異なる。

1.研究の考え方

35 36

草原地帯では

(8)

37 動物の壁画が残っている。

アフリカ →スペイン →アラビア・・・

アルタミラ洞窟;1万5千年前の壁画

メソポタミアのレリーフ アフリカの壁画;1万年前

38

39

草原では近くに食物なし 草食獣を捕獲する必要有り 集団での狩り、規則の必要性 獲物の分配、分割

分割→部分→分析的手法 西洋的な科学手法の誕生 西洋医学

分離・精製、分子、性質 西洋医学→原因の切除

40

モンスーン地帯では

41 42

周囲に食物が豊富にある 実のなる木や草木 鳥や獣が集まってくる 鶏、豚、アヒルなど 調和の考え方 和の考え方 東洋医学 科学としては

現象全体の相互関係を考える

(9)

43

2.牛乳に関する研究

カゼイン・・・・・・・・タンパク質分子の性質

(分析的、西洋科学的研究)

大阪大学蛋白質研究所

カゼインミセル・・・巨大コロイドがなぜ安定か

−牛乳中で他と平行関係で存在−

(全体の調和、東洋科学的研究)

岩手大学農学部

44

ミルクの タンパク質は

カゼイン

45

カゼイン

カゼインの構造に関する研究 カゼインの会合性

カゼインとカルシウムの結合

−大阪大蛋白質研究所で研究−

東大農学部

(先端機器を用いた研究)

46

カゼインの構造に関する研究 カゼインの構造に関する研究

ミオグロビンの立体構造

(1958年解明,1962年ノーベル化学賞)

大阪大学蛋白質研究所 1970年(S45) 大阪万国博覧会

イギリス館

(ミオグロビン立体模型でできていた)

47

電子計算機を用いて,CDの実測値と計算値が最も一致する

Helix,β構造,ランダム構造の割合を計算した。(1974年)

αs1-カゼインの二次構造の解析

α

s1-カゼインの二次構造の解析

電子計算機 円偏光二色性(CD)

当時は 最先端の装置

阪大蛋白研

48

カゼインとカルシウムの結合

カゼインとカルシウムの結合

(10)

49 50

赤外線スペクトルを用いてカゼインのリン酸基とカルボキシル基に

Caがどのように結合して行くかを研究(1976年)

COO

PO4- - -

Ca2+ Ca2+

51

○:COO−

●:PO4- - -

カゼインへのCaの結合は先ずPO

4

に次にCOO

に結合する

赤外分光光度計 と 液体窒素の使用

東大農学部にて

52

ミルクは白く 濁っている

これは 脂肪球(1~8μm)

カゼインミセル

(0.03~0.3μm)

↓ カゼインと リン酸カルシウムが

結合しできる

(粒径は30〜300nmで80~120nmが大部分を占める) 53

カゼインミセルの走査型電子顕微鏡による写真

(近年のもの)

54

種々の カゼインミセルの

構造モデルが 提案された。

種々の カゼインミセルの

構造モデルが 提案された。

1960 〜 1980

不溶性の リン酸カルシウム

を可溶性に 保持する構造

不溶性の リン酸カルシウム

を可溶性に

保持する構造

(11)

55

カゼインミセルの研究

ミセルの崩壊と再構成 ミセルの大きさと組成の違い サブユニットの分離とミセルの構造 新しいミセル構造の提案

−主に岩手大学で研究−

(工夫とアイディアでの研究)

56

ミセルの崩壊と再構成

カゼインミセル

カゼイン,Ca, PO

4

++ −−−

透析

57

ミセルの大きさと組成

大きさで分ける 超遠心分離機

58

サブユニットの分離

カゼインミセル

カゼイン,Ca, PO++ 4−−−

透析

これをゲルろ過カラムで分離する

(HPLCと高性能ゲルろ過剤)

大 中 に分離し 小

59

Absorbance a280 nm

牛乳のWhole,全ミセル; large,大ミセル; medium,中ミセル; small,小ミセル を分離し,それより生成したサブユニットを ゲル濾過で分離

カゼインミセルを 構成する

F2とF3サブユニット

の発見

小野と高木(1986)

J. Dairy Res.

F2 F3

60

大きさr(nm)

カゼインミセルの大きさとF2サブユニットの割合

サブユニット

20 nm αs−κ−CN

F2:

αs−,β−CN 10

F3:

水を含む糖鎖

(12)

61

F2

F3 a

r

F2:αS

-κ-サブユニット F3:α

S

-βーサブユニット

r: ミセルの半径 a: F2

の厚さ

r-a: F3の厚さ

F = F2/(F2+F3)

(F2

体積

)+(F3

中の

F2

体積

) F =

ミセルの全体積

4/3π(r3-(r-a)3)+4/3π(r-a)3P (r-a)3(P-1)+r3 F = =

4/3πr3 r3 1 r3

F (r-a)= 3(P-1)+r3

ミセルが小さいほど

F2

が多いのは 表面 にあるから・・

62 P=0, a=6

1 r3

F (r-a)= 3(P-1)+r3

r,a, Pの値を変えて コンピュータに図を描かせると

63

i c e l l e

カゼインミセルの構造概念図

10

Subunits 20 nm

αs,β−CN

αs−κ−CN

小野&小畑によって提案されたカゼインミセルモデル

(1989)

小野&小畑によって提案されたカゼインミセルモデル

(1989)

64 レンニン処理

αs−κ−CN

αs−,β−CN サブユニット

Ono & Obataのミセル模型を用いた

レンニン処理 の想像図

Ono & Obata

のミセル模型を用いた

レンニン処理 の想像図

カード形成

(表面にあるκ-CNのグリコマクロペプチドが切り離される)

カゼインミセル

65

カゼインミセル カゼインホスホペプチド

( CPP )

胃腸で消化

サブユニット

リン酸カルシウム

牛乳中 腸の中で

66

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

0 2 4 6 8 10

Retention time  (h)

Abs at 220 nm

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

NaCl(M)

CPPtry CPPpep/try

CPPCN CPPⅢ

ααss11--CNCN--5P(f595P(f59--79)79)

カゼインおよびカゼインミセルを トリプシンとペプシンで消化してCPPを得

Q-セファロースカラムで分離

カゼインおよびカゼインミセルを トリプシンとペプシンで消化してCPPを得

Q-セファロースカラムで分離

(13)

67

CPPtry 168mg 122mg 101,000 CPPpep/try 248 175 91,000

CPPⅢ 76. 24. 18,000

CPPCN 76.5 25.5 18,000 βーCPP 80.5 31.2 18,000 Ca Pi Mr

mg/g peptide

各種CPPのリン酸カルシウム保持量の比較 各種CPPのリン酸カルシウム保持量の比較

CPPtry tryptic CM

CPPpep/try digested CM with pepsin and trypsin CPPⅢ tryptic casein commercially CPPCN tryptic casein

βーCPP typticβ-casein

68

「乳タンパク質におけるカルシウム動 態とその応用に関する研究」

牛乳はカゼインミセルの形で 不溶性の骨成分(リン酸カルシウム)を

液体の形で子供に供給し、

摂取された骨成分はCPPによって可溶化され 体内への吸収が促進される・・・

機構に関する研究

日本酪農科学会賞

(授賞年月日:

2004年9月8日)

69 70

3.豆乳・豆腐に関する研究

*豆乳は牛乳と同じようになぜ白く濁っているのか 大豆の加工(磨砕、加熱)でできる

油滴球と粒子状タンパク質

*豆腐はどのようにして固まり 脂質はどこへ行ったのか

Tofu Soymilk

71

豆乳製造プロセス

(中国・淮南の図解)

72

(14)

73

生豆乳、豆乳に含まれる粒子の粒度分布 生豆乳、豆乳に含まれる粒子の粒度分布

0 2 4 6 8 10

0.04 0.102 0.258 0.657 1.669 4.241 10.78 27.38

粒径(μm)

体積 

1.6μm

0.38μm

生豆乳

0 2 4 6 8 10

0.04 0.102 0.258 0.657 1.669 4.241 10.78 27.38

粒径(μm)

体積

0.07μm 0.38μm 粒子

豆乳

蛋白質 オイルボディ

加熱

MAG x15,000 1μm

ACCV 9.0kV

MAG x15,000 1μm ACCV 9.0kV

74 0

10 20 30 40 50 60

45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100

温度( ℃)

乾燥重量(mg/ml 豆乳)

0 2 4 6 8 10 12 14 16

クリーム(mg/ml 豆乳

粒子画分

クリーム画分 可溶性画分

生粒子 崩壊

蛋白質粒子 生成 クリーム

遊離

75 STEP Ⅱ

>75℃

65〜75℃

STEP Ⅰ 7S

11S

生粒子 (380nm)

α α αʼ

βαʼ

豆 乳

蛋白質粒子 (80nm)

β

OB様粒子 α

α αʼ

β 可溶性サブユニット

β β β

β B 浮上

可溶性

粒子

76

0 2 4 6 8 10

0.04 0.102 0.258 0.657 1.669 4.241 10.78 27.38

粒径(μm)

体積  ( % )

豆乳の粒度分布

80 nm

粒子 タンパク質

0.38μm

オイルボディ様粒子

巨大粒子

(OB様粒子が会合したもの)

77 サンプル

光源 中赤外光 4000〜800cm-1

ATR結晶(この実験ではZnSe)

サンプルについての

情報を持った光

分析

主に液体のサンプル (豆乳)

全反射吸収測定法(ATR法) 全反射吸収測定法(ATR法)

豆乳のタンパク質・脂質・糖質の 簡易定量法の開発

ATRを用いた

フーリエ変換赤外分光(FTIR)測定法 により定量

78 大豆(スズユタカ)から調製した豆乳のⅠRスペクトル

-0.03 0.00 0.03 0.06 0.09 0.12 0.15 0.18

500 1000 1500 2000 2500 3000 3500

波数(/cm-1)

吸光度(Abs)

豆乳のIR(ATR法)スペクトル

豆乳のIR(ATR法)スペクトル

①)2925cm-1&2855cm-1 CH2・CHの吸収帯

②)1745cm-1 エステルの吸収帯

③)1640cm-1 アミドⅠの吸収帯

④)1545cm-1 アミドⅡの吸収帯

⑤)1200〜900cm-1 C-C・C-Oの吸収帯

同時に脂質,タンパク質,糖質が測定可能

(15)

79

タンパク質濃度と吸光度の関係

タンパク質濃度と吸光度の関係

タンパク質濃度を変えた場合 のⅠRスペクトル

-0.02 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08

1400 1600

1800

波数(/cm-1)

吸光度(Abs)

0.4% 1.6% 2.4%

④アミドⅡ

③アミドⅠ

濃度と吸光度の関係 (④アミドⅡ 1545cm-1)

y = 0.0231x + 0.0052 R2 = 0.9986

0.00 0.03 0.06 0.09 0.12

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 タンパク質濃度(%) 1545cm-1の吸光度(Abs)

80

中里らが Food Science & Technology

Research 第10巻

論文賞を受賞(2005年)

81

豆乳を超遠心分離により分画すると 豆乳を超遠心分離により分画すると

浮上画分

(クリーム)

沈殿画分

(粒子

40nm<)

上澄画分

(可溶性

40nm>)

豆 乳

タンパク質 粒子(80nm)

β

OB様粒子 α

α αʼ

β 単量体,会合体

β β β

β B

82

オイルボディ とは オイルボディ とは

Oil body

By Huang

オレオシン

リン脂質

83

大豆の主要なタンパク質 大豆の主要なタンパク質

84

豆乳中のタンパク質 豆乳中のタンパク質

可溶性タンパク質(

10~ 20nm)(nm)粒子状タンパク質百

(16)

85

豆乳中11S/7Sグロブリンタンパク質比の増加により 粒子状タンパク質は増加

0 10 20 30 40 50 60 70 80

2:8 3:7 4:6 6:4 7:3 11S / 7S ratio

Particulate protein (%)

(Guo & Ono, JFS 2005) 86

豆腐製造プロセス

(中国・淮南の図解2)

87 88

0 20 40 60 80 100 120

0 5 10 15

塩化カルシウム (mM)

溶解度(%)

可溶性画分 粒子画分 豆 乳

豆乳分画したタンパク質のカルシウムによる凝集

豆乳分画したタンパク質のカルシウムによる凝集

89 塩化カルシウム(mM)

蛋白質,浮上画分(%)

0 20 40 60 80 100

0 2 4 6 8 10 12 14

豆乳の 粒子+浮上画分 及び 可溶性+浮上画分 に 塩化カルシウムを添加した際の各画分の変化 豆乳の 粒子+浮上画分 及び 可溶性+浮上画分 に

塩化カルシウムを添加した際の各画分の変化

0 20 40 60 80 100

0 2 4 6 8 10 12 14

−□−粒子画分

−○−浮上画分

−△−可溶性画分

−●−生成粒子画分 粒子+浮上画分

可溶性+浮上画分

90

豆乳から豆腐カードの形成 (想像図)

豆乳から豆腐カードの形成 (想像図)

β

粒子

(80nm) OB様粒子 α

α αʼ

β

7S 11S 可溶性サブユニット

豆 乳

フィチン α

αʼ

β β

β

β β

β

β β

β

β β

β

αʼ

α

αʼ

αʼ αʼ

β β

β β β

β β β

β β β

β

β β

β β β

β β β

β

豆腐カード

Ca2+,Mg2+

添加

pH低下

凝 集

(17)

91

豆腐の走査型電子顕微鏡写真 1

豆腐の走査型電子顕微鏡写真 1

92

MAG x10,000 ACCV

7.0kV

WIDTH 13.2μm

豆腐の走査型電子顕微鏡写真 2

豆腐の走査型電子顕微鏡写真 2

豆腐中の脂質は三重のタンパク質に囲まれる

93

7S (α,α’,β)

11S (A,B) B・β

会合体 サブユニット

Acidic

Ol2 (18k) Ol (24k)

油滴

オイルボディ 粒子蛋白質 可溶性蛋白質

94

10000倍

この豆腐構造 を 利用して 製品開発

豆腐の電顕写真

タンパク質

とっても安定に保持!

この原理を応用して 製品化

不安定だが身体に良い

DHAをドリンク剤に

1000倍

95

11S と 7Sタンパク質の割合と

豆乳中

タンパク質粒子量と豆腐の硬さの関係

11S と 7Sタンパク質の割合と

豆乳中 タンパク質粒子量と豆腐の硬さの関係

0 10 20 30 40 50 60 70 80

2:7 3:6 4:5 6:3 7:2 11S : 7S 比

Particulate protein (%)

0 2 4 6 8 10 12

Brakinstress (103xN/cm2) 粒子%

CaSO4 GDL

11Sタンパク質

4

96

11S:7S 2:7 3:6 4:5 6:3 7:2 GDL豆腐

CaSO4

豆腐

(18)

97 10μm

スズカリ

7S多

フクユタカ

11S多

CaSO4

濃度

0.15% 0.30% 0.45%

(倍率2000倍)

薄・広 整・密

整・密 粗・不均一

98

CaSO4濃度 S

11S

胞が大きく 壁が滑らかで 凹凸が少なく薄い

胞が小さく 壁は適度に厚く 緻密な構造

胞が大きく 壁の凹凸が多く 厚い

10μm

10μm

10μm

( 倍率:5000倍 )

99 10μm

スズカリ

7S多

フクユタカ

11S多

CaSO4

濃度

0.15% 0.30% 0.45

(倍率2000倍)

薄・広 整・密

整・密 粗・不均一

100

フィチン酸の構造

大豆に2〜3%, 豆乳に0.2%

0

0 P OH

OH R =

重金属と強く結合し、

抗酸化作用も示す。

( 抗癌作用も )

フィチン (フィチン酸の

Ca,Mg

塩)

フィチン (フィチン酸の

Ca,Mg

塩)

101

27種大豆の畑地差によるフィチン含量の比較 27種大豆の畑地差によるフィチン含量の比較27

種大豆の畑地差によるフィチン含量の比較

0.10 0.15 0.20 0.25 0.30

コス 149号 ハタ 141号 137号 タチ 147号 オク 134号 135号 タチ ネマ ナンブシロ スズユタ 鈴の 139号 132号 トモユタ 124号 エンレイ リュ おおす 126号 スズカ 140号 146号 143号

豆乳中(%)

普通畑 水田転換畑

102

畑により差があり 含量が少ない

畑による差がなく 含量が多い

豆腐が作りやすい 豆腐が作りにくい

フィチン含量の変動 が 豆腐の作りやすさに影響

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30

ハタユタカ タチナガハ

豆乳中フィチン濃度 (%)

ナンブシロメ エンレイ おおすず 普通畑, 水田転換畑 大豆

(19)

103

大豆加工における 成分相互作用の 解明と応用に関する研究 日本食品科学工学会賞受賞

(2007年)

104

105 106

2007年 カナダケベック 98th AOCS

107 2008年フィラディルフィア

ACSシンポジウム

108 2009年 北京

WSRC VIII

(20)

109

教 育

110

111 112

この日を無事迎えることが できましたのは

皆様のおかげです

41年間有り難うございました

113

ご聴講有り難うございます

2010 年 2 月 26 日

岩手大学生命科学系

小野伴忠

(21)

小野伴忠教授  プロフィール

略  歴

1.氏    名:  小野伴忠 

(ONO Tomotada )

2.出 生 地:  日本国秋田県雄勝郡羽後町軽井沢

135

3.生年月日:  1944年11月30日

4.学歴: 

1963年3月  秋田県立能代高等学校卒業

    1967年3月  岩手大学農学部農芸化学科卒業

    1969年3月  岩手大学大学院農学研究科(修士)農芸化学専攻修了

1977年2月

農学博士(東京大学)

5.職歴:

    1969年4月  岩手大学農学部 助手

    1970年5月  大阪大学蛋白質研究所共同研究員

(1973

12

月まで)

    1975年5月  東京大学農学部  学振流動研究員 

(1975

10

月まで)

1982年6月  カナダブリティシュコロンビア大学、米国ロマリンダ大学、ニュー

      ジーランド酪農科学研究所  客員研究員(

1983

4

月まで)

  1990年4月  岩手大学農学部 助教授

       

担当講義:畜産物利用学,動物食品学,食品保蔵学,

機器分析化学,情報処理演習,食品タンパク質化学 1998年4月

岩手大学農学部 教 授

       

担当講義:動物食品学,植物食品学,食品学,物理化学概論,

機器分析化学,情報基礎,食品タンパク質化学 6.学会・社会活動

日本農芸化学会     

(

評議員,代議員,支部評議員)

日本食品科学工学会 

(

理事,支部長,評議員,支部評議員,和文誌編集委員)

日本酪農科学会     

(

評議員)

カナダ食品科学会  (編集委員)

アメリカ化学会    (正会員)

岩手県地域活性化アドバイザー(食品工業担当)

      岩手県食品加工研究会(幹事)

岩手県工業研究推進会議委員 7.学会賞

日本酪農科学会賞

(2004)

「乳タンパク質におけるカルシウム動態とその応用」

     

Food Sci. Tech. Res.2004

年論文賞(

2005

)          

Food Sci. Tech. Res., 10 (2), 161-166

  日本食品科学工学会賞

(2007)

「大豆加工における成分相互作用の解明と応用に関する研究」

(22)

記念誌の発刊に寄せて 41 年を振り返る 

 

  いつの間にか,41 年の年月が過ぎていました。皆さんには,そっと玉手箱を開けたかの ように見えるかも知れません。というのは,皆さんとは 1 年から長くても 7 年のつき合い でした。しかし,それらを合計すると 41 年となっていたのです。多くの若者と研究に,

遊びに,そして未来を語り人生を語った 41 年でした。 

昭和 44 年,世間知らずの青二才で,大学院を出たばっかりの私が大学の教員となった のだから驚きです。そのころは,前ばかり見ていて周りが見えませんでしたから,競馬馬 のようにただただ前へと走り続けていました。ですから,教官と言っても学生を教育でき るような教員ではなく,先輩としても回りに気を配るほどの余裕を持っていたとは思われ ません。勝手にはしゃいで頑張っている先輩だったと思います。 

皆さんご存知のように,のんびりとした岩手の気風,しかしぴりっと辛い盛岡の冬の寒 さが脳を活性化させたのか,あるいは世界の研究情報に触れ焦りを感じたのか,大阪大学 蛋白質研究所に勉強に出ることになりました。私の取り得は,物怖じしないのと,自分が 本当に理解しないと信じられないことです。測定器具を理解し,そのぎりぎりの線で自然 現象を垣間見るスリルを教えられたのは蛋白研でした。自然現象は嘘をつかないし,正直 に答えてくれます。それを勝手に解釈するのは人間ですが,謙虚に対しないと多くを見失 う結果となります。延べにすると 4〜5 年,蛋白研に行っていました。でもいつもスキー が始まる冬には大学に帰り,学生実験に精を出していたのですが,そうは取らない人も多 かったようです。それに教員でありながら大学にいませんでしたから,学生諸君には足し にならない存在だったと思います。この助手の時代を 21 年もちました。さすがに 40 歳近 くなると,何とかならないかと思いましたが,講座制とのことで致し方無しでした。しか し今思うと,研究を行うものにとって最も幸せな時代でした。それ故に今も幸せに研究が できていると思っています。 

助教授になり講義を始めるようになると,広く勉強せねばならず,それが多くを教えて くれたように思います。歴史や哲学や科学が次第に繋がってきて,いつの間にか自分なり の講義ができあがって来ました。自分の理解が不十分だと学生にも十分に教えることがで きず,始めの頃の講義は,気ばかり焦って不十分な講義だった様に思います。でも,情熱 だけは強く,必死に勉強し必死に講義していた気がします。 

教授になると,学会や大学の各種委員など正に活躍の場ではあるのですが,時間が取ら れ研究ができなくなります。そこで,最低限の義務は果たし,やはり研究に戻ってきまし た。良いのは,助手時代は正に自分が実験をするのですが,教授になると学生を指導し一 緒に自然現象を見て行くことで,どんなことが起こってもじっくりと現象を見ることがで きるようになったことです。やっと教員としての教育の楽しさ,学生と一緒に現象を見つ める研究の楽しさを手に入れた頃には,そう,定年と言うことで,既に 41 年が経ってい ました。一緒に過ごした多くの諸君,学生時代をともに送った諸君に感謝します。素晴ら しい 41 年,有り難うございました。 

        小野伴忠 

(23)

[小野伴忠教授退職記念誌 I]

本誌は岩手大学農学部小野伴忠教授の 退職を記念して開催された 最終講義,シンポジウムと

研究室の研究履歴 および研究室アルバムを

4

分冊にまとめたもののうち 第一冊目「最終講義」である。

小野教授のプロフィールや 記念誌発刊に寄せても収録した。

2010.3

小野伴忠教授退職記念会・祝賀会事務局

農産製造学・食品化学研究室門下生

参照

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