漢和辞典における新設部首とその所属漢字
著者名(日) 天沼 寧
雑誌名 大妻国文
巻 22
ページ 1‑26
発行年 1991‑03
URL http://id.nii.ac.jp/1114/00001508/
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
漢和辞典における新設部首とその所属漢字
天 沼 寧
はじめに
漢不 日 辞 典 お け 新る 設 部 首 と ll'F'年11月30日,ある民開放送のテレビジョンによるいわゆるクイス番組の閉そ の 題のつに,漢字の部首の問題があった。その問題を要約すると,く「和」の部高
1"J"i .t「のぎへん」です。では,「歌」の部首は何でしょうか。」というのであっ た。解持者l主小学校児童であったが,ほとんど全員が「あくび」と正答であっ 7こ。
「和」は「のき、へん」か
ところで,「和」が「のぎへん」であるというのが少々気になって,手もと の漢和辞典に当たってみたところ,児童向け辞典では, 6種中5種が「口」の 古川こ所!品させてあり, 「禾」の部に検索文字として掲げ, いずれも和は「口」
の部に掲げてあること示しており, 1種が「禾」の部に所属させ,「口」の部 に検',Hつ文字として掲げてあった。
参照した児童向け漢和辞典は,いずれも最近の編集・刊行のものであり,そ の最も古いものでも,昭和62年の初版,最も新しいものは,平成2年の初版で ある。
成人向け辞典(高等学校・大学向けを含む。〉では, 11種(うち, 3種は,
大正から昭和の10年代までに発行のもの。〉のうち9種が「口」の部に所属さ せており,「禾」の部に検索文字として掲げているものは3種である。(このう ち,戦前のもの2種。〉
11種のうちの残りの2種は「禾」の部に所属させており,「もと口部5画J
である胃を注記しており, うち1種は,「口」の部に検索文字として掲げてい 漢rι,
寸ー
1
る。
『辞海(語詞分冊)」では,
『現代漢語詞典』,
また,参考のために参照した中国の辞典で、ある
「和」を「口」の部ではなく「禾」の部に所属させており,
及び『新華字典』では, その「部首検字表」において, 「口」の部にも「禾」
の部にも重出しである。
* 1:「検索文字」というのは,漢和辞典の本文中の音jl首ごとに,その辞典で,そ の部首に所属させてあるすべての漢字を一覧表の形にまとめて掲げあるものに あっては,その部首の形と同じ構成要素(字形の部分〉を有する漢字,〔した がって所属部首を間違えやすい字,所属部首の判断がつきにくい字〉等七検
と う き
索の便を図って掲げ, jその辞典で所属させである部首〔多くの場合,『成mi字 典』に準拠した伝統的部首〉や,所載のページ,その他を掲げてあるが,その 文字をし、う。
図−1
内 M72
ペ中
市 4木 川 崎 州 出
れたようすをえがいたもの︒−﹁禾の邸﹂の字は︑イネやアワなどの作物︑または作物の性賞状に関係はがある︒
htHM
四 ゑ コ
m 剖 ル 八 m引 ヨ マ
m別 み ア m m
ヨ1 6 4 4 J 6 4 4 q 6 4 4 q 6 4 4
﹃6
称 倒 秘 倒 租 制 秩 制 移 問 税 制 程
m稚m
種 別 穀 m稲m稼m稿m穂m積m穏m
穫 加 利
← 万 四 和
l口別委←女制
季字 J m
香ト 香抑
『{JI]解学習漢字辞典』(小学館〉から
2
漢和辞典における新設部首とその所属漢字 図−2
制︷ 季初 ムネ ンま きの 本字
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4三 一 ペ
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4h L4 8 日@ へイ
・@ ヒョ ウ︵ ヒャ ウ︶ 面玄 コ周 忌軍 本・
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@心 にし っか りと 守る
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事の 稲た ぱ.
@穀 物の 量を はか るま すめ の
名.
十六
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︵柄
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・い ねを 監 噌 俗XtdEL坤芹手でっかQS
号 ︑ き a m
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﹁ の 意 味 を 表
7・ 必
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押・ 業会 夷︼ 勺常 道を 取り 守る
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︻乗公︼町村公正愛情り守る・﹁乗公持平﹂刑判
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灯 火 を 手 に 持 つ
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﹁ 乗 燭 夜 遊
﹂ 出
︻乗岳災正しい心を保ち続けるE
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また
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﹁科 挙﹂
@あ な@ くぼ み・
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5.窃@主.生物を分類Z
単位
.目 と属 との
問.
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が.
あや
妻︒
.つ
み.
罪科
.
また, 4;文iいのその漢字の該当する画数のところに,一般的には,親字と比 べて少し小さい字で,同じ趣旨で掲げてあるものをもしう。
例えば,〔図−1〕の一覧表において,「私」から「穫」まで、は,その辞典に おいて,「禾」の百五に所属させである字であり, 小さい字で掲げた「利」から
「香」までは,字形のうちに「禾」の形を構成部分として有しているが,「禾」
の部ではなく,それぞれ「↓」印の下に掲げてある部首ーに所属させてあること もf示している。〔図−2〕では, j況と子より小さい字で掲げてある「委」−「季」
「和」がそれである。これらなt<Jt索文字という。
* 2:『,i;r海(活詞分冊〕修訂本』 u二・下2JJJ ,上j毎日選出版社 it\ 版,おf:il~ ~号店 上海発行所, 1979年5月発行。
* 3 :『現代漢語調典修訂』中国社会科学院議戸研冗所,l;;J!JIH日輯宝1~,L 1%務1:1i,1: 館tB版,新華書店北京発行所, 1978年12月発行。
* 4:『新華字典』(香坂Ii良一宮田一郎編訳,昭和49.11. 1 ,光生fft1~e行による。〉
漢字の所属部首
以上の調査の結果,漢字の本家である中国では,戦後,簡体宇が一般的に用 いられるようになってから編集・発行された辞典で、は,伝統的な所属部首にこ だ わ る こ と な し 柔 軟 な 処 置 を し て い る よ う に 思 わ れ る が , 我 が 国 の 漢 和 辞 典 3
まだかなり伝統を重んじているように思われる。
『康照字典』に準拠する漢字の所属部首は,なかなか一筋縄では見当を付げ での取り扱いは,
にくいものがかなりの数に上る。
「にんべん(イ〉」,「きへん(キ〉」,「うかんむり(内〉」,「くさかんむり(→サ」,
「がんだれ(「)J,「くにがまえ(口〉」などのように,筆順の第1画を含み,か っ,それが文字の左側・上部,又は,周辺の構成要素であり,その構成要素が その字の所属する部首であるような字は,原則としては類推によって,所属部 首の見当を付けることが容易である。
しかし,上述のように,伝統的には「和」は「口」の部であり,「ネJI」もま た「禾」の部ではなく, 「万」の部に所属しているということは,暗記する以 外に方法がない。
このほか,二,三の例を挙げれば,「吸・叫・吐・吟・吹・呼・咲・唆・喝・
唱−唯・ I喚・嘆・嘱・噴・嚇」などは,いずれも「口」の部であるのに,「鳴」
が「烏」の部であることは,やはり暗記rこたよることになる。
上部に内の構成要素を持つ漢字はたくさんあり,その多くは「うかんむり」
に属している。(「常用漢字表」に掲げてある字に限っても35字ある。)しかし,
「字」は「子」の部であり,「案」は「木」の部,「賓」は「貝」の部,「憲」は
「心Jの部であるのが,伝統的な所属部首である。
「年・幹・平・幸」などは,日常一般によく用いられる文字であるが,字形 からその所属部首を「干」の部であることの見当を付けることは必ずしも容易 ではないと思われる。
漢字の所属する部首は,以上のように,かなり非合理的な面がある。このこ とは,極端な言い方をすれば,各漢字の伝統的な所属部首を知っていなけれ ば,部首索引を利用して,求めようとする漢字を探し出すことができないこと になり,漢和辞典が使えないということになる。明治時代に発行された漢和辞 典には音訓索引がついていないものもあるし,たとえついていたとしても,全 く読みの分からない漢字は,音訓索引で探すことができないわけである。そこ で,総画索引(「検字」, 又は,「検字表」などともいう。〉によることになる 4 が,漢字の画数の数え方も,字によっては分かりにくいものもあるので厄介で
ある。
(やすつぐ〉 (つよL〕 〈『 のきち)
明治36年に初版を出した『漢和大辞典』(重野安鐸,三島毅,服部宇之吉監
漢和辞典における新設部首とその所属漢字 修,三省堂書店発行)の「例言」に次のとおり述べてある。
偏傍明確なる字は、容易に索引し得べきも、偏傍疑難なる字は、其の何の 部に属するかを知り難きが故に、索引の次ぎに検字を設けたり。其の字の
〈ここ〉 〈これ〉
総画を数へて、認に就き之を検せii、其の字の何の部に属するかを知り得 ベし。
( il〕ミ ここにいう「索ヲ|」は,各部首を見出しとして,回数順に配列し,それに所 属するすべての文字を画数順に掲げ,その文字の所載ページとそのページにお ける位置を示した一覧表である。なお,この辞典には,音訓索引がない。版文 は縦組み。括弧に包んだ振り仮名l土引用者による。漢字 仮名の 字体は,現行 通用のものを用いた。以下同じ。
また,『掌中漢和新辞典』(幸田両伴監修,昭和1.12. 30初版,至誠堂書店〉
では,その「序」において,露伴は,
。漢字は元来支の形を成せる原因を有し、その原因によって系属す るところが有るので、其の系属するところの部によって検索し出されるの
(Lカ斗 (あち力 じ〉
を字書の正経とするのである。然し何の字が何の部に系属せるかを予め知 ることは、知らぬ字を知らうとして字書を手にする人に取っては、むしろ 絶望的の難事である。そこで検字叉は総画索引を附して、索出の難を救う
てゐるのが従来の字書の常であるが、其の煩労v~括主つ人をして嘆声を発
〈このへん〕 (もと〉
せしむるのである。此篇は強ひて字原的部属によって字を索めしむること 要せず、常識的判断によって任意の部より索出し得るべくし、そして|ち に其の字の:意義・概略を知るを得しめ、然もまた敏速に、電光的に本米の
(おい〕
部属に於て其の詳細を知るを得せしむるやうにした。
: :
i
・..。
と述べている。その「凡例」には, 「由来漢字の部属なるものは、
(ほとん〉 (その〉
現代には殆ど不可解のものなるが故に、本書には、其字の形により
〈みいだ〉 〈やす)
て、最も見出し易き部属に重出せしめた。
ば,年〈干部3画〉を)• I .干の部の3か所に,相(目部4画〉
を木・目の部の2か所に,東(木部4画)をー・日・木の部の3か 所に,肯(肉部4画〉を止・月・肉の部の3か所に重出しである。
例え . J とあり,
f図.3 J
和
一O
帝政 らか
︒口 鶴五 重
一 三六 コ
一 一
Ru
hz 見
よ.
「和Jの字は,「禾」の部に,〔図・3〕のように掲げてあり, ここで、
も,この字の音・訓を知ることができるようにしてある。
以とのように,部首索引を利用して求めようとする漢字を探し出すことがで きるように,漢字の左側,又は,上部の構成要素の形を部首として探 L出せる ようにしたことは,部首索引の利用上,非常に都合がよくなったわけで、ある が,戦後,いわゆる新字体の実施とともに,更に有効な処置が必要となってき た。すなわち,部首の新設と所属替えである。また一方で、は部首の統合,廃止 で,『康照字典』には掲げられていない構成要素を新しく部首として立てること によって,部首索引を使いやすいもの,読みが全く分からない字でも,部首索 引を利用できるようにしたものである。また,『康照字典』で所属させている 部首とは異なった部首に所属させることによって,部首索引によって漢字を探 し出しやすくしようとする処置である。この稿では,都合によって,部首の新 設について述べ,所属替え,統合,廃止については触れない。
〔注〉 新たな部首を設け,ある漢字をその部首に所属させることも,所属替えであ るが,ここでし、う所属替えとは,このような場合を意味しない。すなわち,あ る漢字の所属部首を,伝統的な所属部自ではなく,従来からある他の部首に所 属させることをし、う。例えば,「修」は『康照字典』では,「人」の部に所属さ せているのを,「Z」の部に所属させるような場合をしづ。「主主」の部は『康隈 字典』にもある部首の一つで ある。はじめに述べた「和」を「禾」の部に属さ せるのも所属替えである。
新設部首
現在市販されている戦後の漢和辞典では,児童向けのものは,ほとんど例外 なく,いくつかの部首を新設している。辞典によってその形,数などは異なっ ている。また,所属させである漢字にもある程度の,辞典によっては相当大幅 な異同がある。
成人向けの辞典でも,近ごろ発行されるものには,部首を新設しているもの がかなり見られるようである。やはり,その形,数,及び,所属漢字には各辞 6 典によって異同がある。
以下,児童向け辞典6種,成人向け辞典5種を資料として,新設部首の形・
呼び名・数,及。:,所属させてある漢字について述べる。
対象とした児童向け辞典は次の6種である。
漢和辞典における新設部首とその所属漢字
昭和62.1.20
初版,旺文社 平成2.3.25 第3刷,
第1刷, くわしい小学漢字辞典』
第1刷,文英堂
諜多喜雲監修:『光村漢字学習辞典』
光村教育図書
尾上兼英監修:『旺文社小学漢字新辞典』昭和62.7.20
2誌記誌編・『三省堂小学漢和辞典』
三省堂
前野直彬監修:『チャレンジ小学漢字辞典』
昭和62.3.3
第六版 鎌田正編;『シグ、マベスト
改訂新版,
平成2.1. 20 平成2.1. 20
第四版/ワイド版 福武書店
i
f事堂明保編:『例解学習漢字辞典』
第1刷,小学館
成人向け辞典は次の5種である。
第1刷,小学館 新修版7版, 昭和62.1. 20
小林信明編:『新選漢和辞典』第五版
昭和54.2.1
第1刷,岩波書店 初版,大修館書店 吉田賢抗編:『新釈漢和辞典』〔新修版〕
明治書院
w~ 明費編 『岩波漢語辞典』
禁~p[太高著:『漢語林』
藤堂明保他2氏編:『新字源』昭和63.11. 10 昭和62.11.27 昭和62.4.1
初版,学習研究社 現行の滋和辞典のすべてに当たってみたわで、はないので,参照した辞典以外 の辞典で,以下に採り上げた部首以外の部首を新設している辞典があるかもし れないというより,多分あるであろうということをお断りしておく。
新設部嘗とは
『康照字 対象とした辞典には掲げ、られているが,
ここでし、う新設部首とは,
7 独立の部首として掲げていない形
したがって,ある部首が,具体的文字における占める位置によって変化した 形になっている場合,その変化した形のものを,本来の部首と同じところにー
我が国の戦前の漢和辞典では,
の部首をいう。
典』,及び,
8
括して掲げてある場合,また,参照部首として掲げてある場合は新設部首とは せず,その変化した形のものを本来の部首とは別に,独立した1個の部首とし て掲げてある場合は新設部首と見なす。いわゆる新字体によって従前の形とは 違った形になったものも上記の取り扱いとする。
例えば,「走」(しんによう・しんにゅう)は, 旧字体では「L」の形であ り,新字体では「ι」の形である。現在の漢和辞典の部首索引では,その具体 的な掲げ方にはいろいろあるが,根本的には「L→是」,「L→走」などとあ り,本文では「是」のところに一括して「ι」を有する字(常用漢字表,人名 用漢字表に掲げてある字)も「L」を有する字(し、わゆる表外字〕も掲げてあ るのが一般的である。(「L」の形は既に『康照字典』にも掲げてある。〉新字 体の「L」は『康照字典』にも我が国の戦前の辞典にも掲げていないが,戦後 の辞典では当然のことながら掲げてある。この場合,「L」を「LC這〉」とは 別に,すなわち,独立して掲げ,本文での所載ページも,「L」とは別にして
「L」を有する字だけをまとめてある場合は新設部首として取り扱うが,「L」 を有する字のところ一括して掲げてある場合は新設部首とはしない。
児童向け辞典では,部首索引の3画のところで「L」だけを立て, 4画の
「L,」 7画の「走」を立てていないものが多い。したがって『康照字典』にな い「に」を独立させていることになるが,この場合は,新字体に伴う変化であ り,表外字は収録していないのが一般的である児童向け辞典における当然のこ ととして新設部首とはしないことにした。
なお,「走」の部に所属し, 部首としての「是」の形そっくりそのままの形 を有する字は,部首と同じ「走(チャク)」だけであるが,「心」の部などで は,文字によって「心」の形は「↑(忙〉」,「小、(恭〕」と変化した形となる。
この場合も,「十.,j,、」を「心」の部にまとめであったり,参照部首としてある 場合は,新設部首とはせず, 「心」とは別に独立させである場合は新設部首と
して取り扱う。
以上,かなりくだくだしく述べたが,前述のとおり,児童向け辞典6種,成 人向け辞典5種,計11種から,主としてそれぞれの部首索引によって新設部首 を採集した。新設部首は,辞典によって,部首索引において「新部首jなどと
漢和辞典における新設部首とその所属漢字
*印などで新部首であることを示してあったり,「辞典の使い方」
などで,その辞典で採用した新部首について説明しであるものもあれば,索引 等には何もなく,本文の該当する部首のところで,新部首である旨を断つであ
るものもある。また,何も触れていない辞典もある。
明記したり,
索引や使い方で明記しであるものについては漏れ落ちはないつもりである が,そうでない場合は,あるいは筆者の見落としているものがあるかもしれな
1種は,新設部首の数が極めて多く,他の辞典 と比較して述べるのに適当ではないと思われるので,その辞典だけに掲げてあ
なお,児童向け辞典のうち,
る新設部首は,ここでは採り上げることを原則として省略した。また,成人向 けの辞典でもある1種でしか新設部首として掲げていないもの, しかも,児童 向け辞典でも新設部首としていないものは,採り上げることを省略した。
ここで新設部首として採り上げるのは,児童向け辞典・成人向け すなわち,
辞典を通じて2種以上の辞典に共通に新部首として掲げてあるものに限ること このようにしても,その数はかなりの数に上るので,個別の新設部 にしTこカ'・
さらにその約半数を省略 首とその所属漢字等の表については,紙数の都合で,
した。
いまこの稿で取り扱う新設部首を具体的に示せば次のとおりである。
例えば,「帰・将」などの,左側の構成要素である「1. ~」。
「勇・争・前・希・午・学・堂」などの,上部の構成要素である「7 ・h ・
、,・ X•I-• 、、,.、ν 」。
注:「前」などの上部を「、,」ではなく「、ム」とするものもある。
「刈・刑」などの「リ」。(これは従来「万」の部の変化形としての取り扱い 新設部
「万」の部とは別に「リ」の部を独立させている場合は,
首と見なした。)
であったが,
これを独立の
「了」(これは,従来,「 j」の部の1画に属する字であるが,
新設部首としたもの。〉 9
ここで採り上げるのは,以上の12種と,ほかに,例えば,「学・堂・春・業」
などの上部の「凶・尚・宍・4 」を部首として立てているもの,「快・握・汁・
犯−複」の構成要素(偏)である「十・ 4・1・3. t」を, 「心・手・水・
犬・示・衣」とは別に独立して立てているもの, 「無」などの下部の「川、」
(「火」の変化形〉,「朝」などの「車」を部首としているもの11種,計32種であ る。
これら23種の新設部首は,前に述べた新設部首が非常に多い児童向け辞典1 種を含めた6種と成人向け辞典5種の計11種のうち少なくとも 2種において新 設部首として立てているものである。
23種の新設部首
これら23種の部首について,どの辞典で,どの部首を新設部首として立てて いるかを表の形にまとめたものを総括表とするが,印刷の都合上,二つの表に 分け,「総括表 I J,「総括表 E」としてまとめた。
辞典名は,児童向け辞典を A, B, C, D, E, F,成人向け辞典をa' b, c, d, eで表す。
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漢和辞典における新設部首とその所属漢字
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新設部首の形とその呼び名
︑ v f
ん 川
︑ 一 一
\1
\\
\\
首部
c
d a
b
11
ネ 1:「リJの形がかなり異なり,部首索引には,「八・八・ v ・4」の四つの形 を一括して掲げ,その呼び名を「はちかんむり」としている。本文でも同じく
「}\./\.・リ・ 4部」としているが,その呼び名は, 「はちかんむり・そかん むり・かえるく帰>のへん」とある。
* 2・部首索引に「1」を立てているが,呼び名を欠く。本文では空部首扱いであ る。なお,この辞典では,「1」を新設とはしておらず,「升」の形を変えた部 Y".iとしている。
* 3: ~部首扱い。呼び名はない。
* 4:木文に,「もと独立の部首ではないが、検索のためにJj[しく立てた部首。Jと ある。ただし,空白n'I首扱いのものもある。
*:;:木文に,「もとellの省略体であるが、杉:索のため.こたてた部首。」とある。呼 び名はない。
* 6:;本文に「旧米の部首にはないが、検索の便宜上、新しく立てた〔もの〉。」と ある。呼び名はない。
~: 7:本文にく旧来の部首にはないが、検字の便宜I二、新しく立てたもの。「fu:工
別部。>とある。呼び名はない。
* 8:本文にく旧来の部首にはないが、「営」「単」など新字体の漢字の構成要素と 見なされるので、整理の便宜上、新たに部首とした。>とある。呼び名はない。
*日:部首索引において「H升〉」とし,また,「jj→1」としている。すなわち,
「4」の形を本体とし,伝統的な「jj」のJfjを変化形として取り扱っている。本 文では「~ (封〉部JとL,く「升」(4画〉は、寝台やベンチのような、長い板で 作った台を描いたもの。台や板囲いの意、を表す。「 ~J はその省略形。>とある。
* 10:本文に「万が字形の右側におかれて傍2くになるときの形。」とある。
* 11:本文に「v は、ある種の複雑な字形を一部を簡略化するとき、符号的に用い られる。常用漢字では、旧字体で阜・殿、 lJj・栄・笠皆、学・春、 [$・質、 巣、強であった字形の一部が山に略され,単・厳、労・栄−蛍・営、挙誉、
学・覚、巣、猟になっている。これらの新字体のうち、もとの所属部首に分類で きなくなった文字をまとめるため、新しい部首として川部を設げた。」とある。
I I
﹁h
A U
\ 一 一
E一F
一
一 (〉
総括表
A
c
D B
a
b
c
12 d
e しん て Oへ ん
O
り つ ベ ん
漢和辞典における新設部首とその所属漢字
* 1:部首索引で「A ・山」のl顕である。本文では、「品(=〕」とし,「もと独立の 字ではないが、検索のために立てた部首。」とあり,空部首扱いて ある。呼び 名はない。
* 2:本文に,「|日来の部首にはないが、文字整理の便宜(γ〉上新しく立てたもの。」
とある。呼び名はない。
* 3:本文に,く本来は「車人(士〉」が文字の構成単位であるが、「斡」「乾」など、見 た日には「車」が偏に見えるので、便宜(γ)上,本書ではこれを部首とした。
「私Jは、「r」(=旗が高くなびく〕+「日」で,日が高く昇りかがやく意。>と ある。呼び名はない。
* 4 本文に,「心が偏になるときの形。」とある。
* 5 本文に,「子が偏になるときの形。」とある。
* 6 :本文に,「三l萄の水の~。水が偏になるときの形。」とある。
* 7 本文に,「犬が偏になるときの形。」とある。
水8:本文に,「火が脚tになるときの形。」とある。
* 9:木文に,「衣が偏になるときの形。」とある。
以上, 11種の漢和辞典について,新設している部首を集めてみたところ,概 して画数の少ないものが多く,画数の多いものは少ない。辞典Dには,
i§(~三!), 鳥〈誌の, 出(吉区忠?〉, 声呈ct;討の〉, 紋(工品、〉
7画 〜12画のものもあるが,いずれもこの辞典1種にしかない この稿では採りとげなかった。
Hに掲げた新設部首の回数・形,採用している辞典数を表 などのように,
ので,前述のとおり,
いま,総括表I,
の形にまとめてみると,次のようである。
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*「川」の10は,「、リ・w」を一括 しであるもの2を含む。
「w」の2は,上記の2である。
7了
会 」 17
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新部首の呼び名(名付け)は,その形を片仮名に見立てたと思われるものが 多く,なかには「ム(そいち〉」のように,「4 」を片仮名の「ソ」と漢字の
「ー」とに分解したものを再び合成したものもある。辞典Dで「P」を「やの あたま」のほか,本文では「のいち」とも名付けているのもこの方法による名 付けであろう。また,新設部首の形が具体的な漢字において占める位置によっ て偏芳冠脚の呼び名を添えた名付けもある。例えば「マ」を「まかんむり」,
「山」を「つかんむり」,「宍」を「はるのかんむり」,「j」を「しょう〈の〉へ んJ,「草」を「あさのへん」などというのがこれである。辞典Dでは,ものに よっては,「fー」を「やのあたま」,「4 」を「ぎょうのあたま」などのように
「…(の〉かんむり」の代わりに,「ーのあたま」と名付けている場合もある。
「了」のように,漢字の字音そのままを呼び名としているものもある。
また,「u. f ・ 1 ・~ . f」などは,新たな呼び名を付けず、に, これまで と、おりの「りっとう・てへん・さんずい・…」などの呼び名を踏襲している。
「川、」は「れっか・れんが」の外に,通称の呼び名「よってん」を併記してい るものもある。
新部首の呼び名は,児童向け辞典では,ただ一つの例外(辞典Fの「;l」) を除いては,すべて与えているが,成人向けの辞典では与えているものもあれ ば,全く与えていないものもある。(なお,辞典Fでは,前述のように「1」 を新部首としておらず,「7f'*をかえた部首ソとしている。〉
個別の新部首と所属させてある漢字
総括表Iに掲げた12種の新部首の一つ一つについて,個別の表をもって,そ の部首を立てている辞典で,そこに所属させている漢字,及び,参照漢字,す なわち,その辞典ではその部首に所属させていないが,漢字の構成要素として その形を含んでいる漢字を検索の便を図って掲げてある漢字を掲げる。なお,
実際の辞典ーでは,参照漢字には所属させてある部首,所載ページ,その他の事 項を示しであるが,これらは省略した。また,表には,その部首を立てていな い辞典は省略した。
さらに,表にはある漢字を手書きするときの筆順で,第n画・第n+l画
漢和辞典における新設部首とその所属漢字
(ただし,「n」は常に1であるとは限らない。〉で,その部首の形に相当する 形を形づくっていくような漢字を参考までに掲げておいた。 nが 1の場合は,
参考に掲げてある漢字を, 『康照字典』に準拠しない新しい考え方に基づく立 場に立つならば,その部首に所属させても,特に不都合・不適切ということに はならないであろうとも考えられる。 しかし, nが2,又は2よりも大である 場合は,大体において不適切であろうと思われる。また,その形だけを取り出 すよりも,他の点画をも加えてーまとめにした形を部首勾と見なしたほうが自然 であり素直であると思われる場合もある。
例えば,「u 」の場合,「位」の第 5画・第 6画で,「関」の第 9画・第 10画
「位・関」などを「、,」の部に所属させることは, 極 で「、,」を形づくるが,
めて不自然、であり,不適切であるというべきであろう。
「巻・義・券・差・首・前・尊・着・弟・半・美・米・羊・養Jな ど l土,筆順からいえば,その第l画・第2画で「、,」を形づくる。新部首として
「並・兼」のほか,
まTこ,
これらも「、,」の部に所属させること
「、,Jの部を設け,
は,それぞれの漢字における「、,」の占める位置が上部であることからいって しか 決して多
「、,」を新部首として立てている辞典は,
いとはし、えないし,せっかく立てている辞典でも,実際に所属させている漢字 それほど無理とか不合理であるとは考え難い。
筆順からいっても,
L,後の表で示すように,
も,
:土,「並・兼」の2字だけであって,他の「リ」の形を有する上記の14字の漢 字は,すべて従来の部首に所属させている。そのほか「益・逆・遵・粋・遂・
数・精・菩・粗・塑・送・糖・道・導・粘・迷・粒・科・糧・類」なども,い ず、れも,「、,」の形の構成要素が,字の左側,又は,上部に位置しており,
た,筆順からいっても,第1岡・第2固で「、,Jを形づくることから見て,
ま
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、下
ー れらの漢字を思い切って「一」の部に所属させても,それほど不適切とは言え ないのではなかろうか。ただし,従来から伝統的に存在する部首の「米」の部
(「こめへん」を含む。〉や「是」の部に属する他の漢字(すなわち,「、,」の形 をもっていない漢字一一例えば,粗・粘・精や辺・迫・逝などの所属部首との 調整も考えなければならなくなり,かなり面倒で複雑なことになるであろう。
また,「火」は,筆写体・教科書体では,「、,」に似た形を第1画・第2画で
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形づくるが,明朝体では「火」であるから「d 」であり,「、,」と「JF」とを 設計の違いによる同ーの形と見なしてよいかどうかが問題となる。「妥」など では第2画〜第4画で「川」を形づくるが, この漢字の場合は,「J 」でとら えたり「、、,」でとらえたりするよりも,第1画の「J 」も加えて「同」として
とらえるほうが素直なのではあるまいか。
参考として掲げた漢字は,その辞典で所属させてある漢字,及ひ,参照、漢字 として掲げてあるもの以外に,その部首に相当する形を有する漢字としたが,
見落としがないとは言えない。
所属させである漢字・参照漢字は,その辞典の配列順としたが,参考として 掲げた漢字は五十音順に配列した。(ただし,その一部については,筆!|民・占 める位置も考慮した。〉
なお,以上の漢字は,すべて,昭和56年,内閣告示第一号「常用漢字表」に 掲げてあるl,945字の範囲内に限り,表外字は省略しである。
から
なお,表において「空部首扱し、」としたのはその辞典で,部首索引にその部 首を掲げ,本文にも掲げてあるが,所属させている漢字は1字もなく,すべて 参照漢字としてある場合をし、う。
~I
D
「リ」の部〔ただし,辞典Dでは「八・八・日・リ」の部〕
所属させている漢字(表外字を除く。〕
八 公 父 分 半 介 | 谷 弟 為 盈 翁 帰 貧
|参慨字問問)
六 共 兵 具 券 典 益 兼 尊 輿
漢和辞典における新設部首とその所属漢字
|参照漢字問寸)|
「リ」の部
~I
手 7U リ 刑 則 刊 刈 前 到 所属させている漢字(表外字を除く。〕
弗j 貧U剛
白 日 制 劇 刺 創 刷 割 刻 副 別 剰 判 剖 D
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「マ」の部〔ただし,辞典bでは「マ・了」の部で,次表と重複〕
所属させている漢字〈表外字を除く。〕 |参照漢字慢出戸)
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柔 勇 予 矛
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務 柔 承 勇
柔 矛 疑 矛 勇
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予 D F
17 務
~-;;~;r~--ム五ム-~-;~に争点;五五三一一面i
柔 勇 齢(ただし,筆写体・教科書体の場合。〉
了 予 承 矛 零 長 b