平均応力をともなう繰返し曲げ,ねじり 組合せ応力下の疲労強度クライテリオン*
ー h
A 田
雄_**
ANew Criterion of Fatigue Strength of a Round Bar Subjected to Combined Static and Repeated Bending and Torsion
by Yuich乞KAWADA
Criteria of fatigue strcngth of a round bar subjcctcd to combincd static and Tcpcatcd bending and torsion Ila、℃alrcady bccn publisllcd by Findlcy and Sines togctlicr with c11】pirical formulas by GouglL Howcvcr, it is only Sincs critcrion, by which thc fatigue liluit undcr combincd . bcnding and torsion is calculated, wllcn completcly rcvcrscd and pulsating fatigue limits and mcan stresscs arc known. TIlc autllor sllows that Sincs critcrion does not conform strictly with cxpcrimcntal rcsuhs and hc corrccts Sines critcrion so that fatigue failure occurs whcn the octallcdral sllearing strcss amPlitudc attains a matcrial constant valuc whicll dccrcascs not only in proportion to Ulc octahcdral normal mcan stress, but also ill proportion to the octa・
hcdral norinal strcss amplitudc. Applying the author s criterion to combincd rcpcatcd bcnding and torsion, plus coexistcnt static bending and torsion, a dcsign fornlula was dcri、℃d. Thc formula was comparcd Titll cxpcrimcntal results of Gough.
1.まえがき
トーションバー,コイルばね,クランク軸,車軸などのように,曲げとねじりの平均応 力の作用のもとで,繰返し曲げ・ねじり応力を受ける機械部品は少くない。両振りで曲げ とねじりが同時に作用する場合の疲労強度については,Gough1),西原・河本2),真武3)
の実験結果があり,クライテリオンとしては,Goughのellipse arcやellipse quadrant の式1)を初めとして,西原・河本の式2),西原・遠藤の式4),Findleyの式5},真武の式3)
などがあり,実験結果ともよく一致することが示されているが,Findleyの内部摩擦説と 西原・遠藤の最大主ひずみ説からは,Gougllのcllipse arcの式が導かれ,これらは同じ であることも知られている1)・3)。他方,平均応力のもとで繰返し曲げとねじりが同時に作 用する場合については,Goughによる平滑材と切欠き材に対する実験結果があり1),ク ライテリオンとしては,Sinesの式6)とFindlcyの式5)がある。しかし Sinesの説は,
平均応力がなければ八面体せん断応力説でありiこの場合,ねじり疲労限度と曲げ疲労限 度の比は1/ン丁でなければならないが,この比とならない材料の多いことは周知のとこ
」
この論文は覚野博幸(川崎重工業株式会社)と連名で1979年8月に英国シェフィールド大学で開 かれた第3回材料の機械的挙動に関する国際会議のエキステンション・セミナーで発表したもの である。
**
理工学部機械工学科教授 材料力学
ろである。F三ndlcyの説は曲げとねじりの平均応力の比が曲げとねじりの応力振幅の比に 等しい場合に対して解かれており,一般の平均応力の場合に対しては設計に使い易い式は 求められていない。そこで,Sinesの式の欠陥を補い,両振りねじり疲労限度,両振り曲 げ疲労限度および片振り曲げ疲労限度と両振り曲げ疲労限度との比を与えるだけで既発表 の実験結果とよく一致し,且つ設計にも使い易い新しい式を導いた。
2.新しい曲げ・ねじリクライテリオンに対する考え方
Findlcyはある面(応力の主軸からの傾き角θ,図1参照)に作用するせん断応力振幅 丁・。が材料によって定まる一定値fに等しくなったときに疲労破壊が起こるが,re。の働
く面に垂直応力が働くと,垂直応力振幅と垂直平均応力の和である垂直最大応力σe・IIに 比例して強度が下ると考え,その比例定数をhとして次式が成立つとした。
7e.。=f−lt・ ,.jl (1)
また,(τe・,+kσ・・y)が最大になる面で破壊が起こるとした。
Sinesは図2に示す八面体せん断応力振幅
・。α.。=(1/3)ン(σ。一σ。,)2+(σ。,一σ。、)2+(σ。、一σ。1)2
がある一定値Aに達したときに疲労破壊が起こるが,同じ面に八面体垂直平均応力σ。、t・m
= (1/3)(trntl+d・・2+σ・n3)が働く場合は,この値に比例して強度が低下するとし,比例定数 をCとして次式を与えた。
÷V(d・1−…2)・+(c・・2−t・a・)・+(t・・1−…1)・−A−・÷(c・・nl+・m・+・ nt3)(・)
式(1)と式(2)は破断面が違う他に,右辺第2項が,Findleyの式では垂直応力振幅と垂 直平均応力の和であるのに対し,Sinesの式では垂直平均応力のみを考え,垂直応力振幅 を考えていない点で違っている。Sinesの説を平均応力が働いていない場合について,既
図1 内部摩擦説 図2 八面体内部摩{察説
1.0
0.8
CU 4
nU O
.
0 V4002 /D;oo
0.2
0
/Sinesの説
0.2 0.4 0.6 0.8
σoct.α/σoct.α.gbe
図3Sincs説と各種実験結果との比較
1.0
発表の実験結果と比較してみる。図3は,縦軸に疲労限度における八面体せん断応力振幅 丁。ct.。と単純ねじりの場合の八面体せん断応力振幅丁。ct・,・0・との比をとり,横軸には同じ 面に働く八面体垂直応力振幅σ。,t・・と単純曲げの場合の八面体垂直応力振幅σ。ct.。.gO・と の比をとって示してある。Sinesの説は八面体垂直応力振幅の影響を受けないという説で あるから,横軸に平行な波線の水平線で示されるのに対し,実験点は八面体垂直応力振幅 と共に疲労限度における八面体せん断応力振幅は直線的に低下しており,Sinesの説は平 均応力のない場合は式(3)のように修正されなければならない。
÷・・(aal一σσ2)・+(耐面・)・+(碗・碗1)・一・一・÷(c・・1+c・a・+t・a、)(・)
従って,平均応力のある場合はSinesの式は式(4)のように修正されるべきである。
丁ン(C・・1−t・a・)・+(t・a・イ・・)・+(t・a・−t・a・)・−A一弓(C・・1+t・a,+t・a、)、
一
・÷(輪1+…+t・m・)
(4)
式(4)が新しく提案しようとする式である。
3.新しい曲げ・ねじリクライテリオンと実験結果との比較
3−1式の誘導式(4)を曲げ・ねじりの働く場合の式に変形する。曲げ応力振幅をσa,曲げ平均応力を
am,ねじり応力振幅をra,ねじり平均応力をτmとすると,
∴[1竃嘉;∴} (5)
これらを式(4)に代入すると次式を得る。
半・・i・・2+3ra・=・A−・÷・・a−・÷・・ (・)
式(6)で両振りねじりの場合を考え,ねじり疲労限度を7,。として,if。=trm=rm=0,τ。
=τ・vとおくと,Aの値が次のように求まる。
A一ン子・・ (7)
両振り曲げの場合を考え,両振り曲げ疲労限度をσ妨として,τ。=Tm=(rm=0, tr。=trwb とおくと,Bの値が次のように求まる。
B−・v 2r(s!⊃「 Tlv _1 crwb) (・)
片振り曲げの場合を考え,片振り曲げ疲労限度をif。p(応力振幅の2倍)として,τa=τm
=0,σ。=σ。、=tr。p/2=hia・・bとおくと, Cの値が次のように求まる。
・−OP)= (・)
式(6)に式(7),(8),(9)を代入して整理すると,
(1:)2i,+(蒜)2(絵一1)ナ+荒(・−k−S7)去一i(1・)
9
MD/V2
0.60.4
0.2
一 、、 \ Sines
式(11)ノ
ぐ\\
\\
○:0.1%C鋼(Goug11)
τω/σ・↓,6=0.523
\ \
へ
ト
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
σa/σrcb
図4 平均応力のない曲げ・ねじり疲労試験結果との比較(1)
ここに,
カー1」云夫1m1…1−iiili−1一鶏式(10)が平均応力のある繰返し曲げ・ねじり疲労限度の関係式である。式(10)において,
もし曲げ,ねじりともに平均応力が0であれば,1111=0であるからi) =1となり,式(10)
は式(II)のようになる。
0.8
0.6
4
0
9 atO\Vi
0.2
0
一
〆G・ugh(・11 pse quadrant)
Sines
、
、
\、 式(11)\\
\ 、
○:0.4%C銅(Gough)
τ!{・/の《・6=0.625
\
ぺ w0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
σα/σtrb
図5 平均応力のない曲げ・ねじり疲労試験結果との比較(2)
0.8
0.6
o 4 屯 ミb\g
0.2
GougL(ellipse quadrant)
一
一く、
一
Sines
_ ○ \
\
式(11)\\こ
\、\こ\ 、
○:0.62%C鋼(西原・河本)
τ叙ゾσ電品=0.667
\
べ ■
O
0 0.2 , 0.4 0.6 0.8 1.0
σa/σtvb
図6平均応力のない曲げ・ねじり疲労試験結果との比較(3)
(丁α7tV)2+(㌃)2(k−』7y−1)+荒(
一
2−一一_ 一
嘉ヂ)−1・(11)
3−2.新しい式と実験結果との比較
まず,平均応力のない場合の曲げ・ねじりについて, 式(11)を実験結果と比較し,合せ てSinesの式, Goughの式とも比較した。結果の一部を図4〜図6に示すが,いずれも 式(ll)が実験結果とよく一致することを示している。図7〜図8は平均応力のある場合に ついて,式(10)とGoughの実験結果とを比較した図である。これらの図で式(10)のll 1の 値は,構造用炭素鋼および合金鋼に対する多くの実験結果の平均値として0・83にとって ある。この場合においても,式(10)は平均応力のあるGoughの実験結果とよい一致を示
している。
Q sb\e
0.6
0.4
0.2
0
〜
㌃。〉
対1Φ
\\
\
\ \○:Ni−Cr−Mo銅(Goug}1)
τ1(ゾσr∫・ゐ=0.617
恥二σlll/σiv b=0、46 m,=τlll/τte=0.
1,=σUl)/2σit b=・0.83
\ \
0.2
0.4 0.6 0.8 1.0
σa/σω6
図7平均応力のある曲げ・ねじり疲労試験結果・との比較(1)
g
alD/pi
0.60.4
0.2
0
←式(10)
一一 一 ラデ、一、
Sines 、、
\
○:Ni−CrMo銅(Gougb) \ \ \
τμ,/σ励=0.617
\ \
勿、=⑳/σωb=0.46
m、=τm/τ・{1=0.46\
O
k,==σup/2σwb・=・0.83 \ \
\1
、こ
0.2 0.4
σα/σivb
0.6 0.8
図8平均応力のある曲げ・ねじり疲労試験結果との比較(2)
1.0
4.考 察
4−1・式(4)に対する考察
式(4)においては,八面体に作用する垂直応力を応力振幅と平均応力に分け,そのきき
方が同一でないとして,係数BとCを区別した。Findleyは,せん断応力の作用する面上の垂直応力に応力振幅と平均応力の和である最大応力をとっている。もし本論文の場合 においても最大応力を考えるとすれば,式(4)においてB=Cとおくことができる。か
りに式(8)と式(9)を等しいとおくと,次式が得られる。
亙=1_ 1−一≡
σ仰 2ン3τ,,
(12)
すなわち,式(12)が満足される材料にのみB=Cとおける。実際にはσ袖!τ・.はv〆百に近 い値であるから,かりにVTとおくと,式(12)よりif,、 P/2tr、vb=1となり,これは実際と適 合しない。よって式(4)のようにBとcは等しくないとしたことは正しいといえる。
4−2・式(10)の切欠き材に対する適用についての考察
式(10)は平均応力のある場合の組合せ曲げ・ねじり疲労限度を求める式であるが,この 式にはねじりの平均応力の項が含まれていない。平滑材においては,平均ねじり応力は疲 労限度に影響しないことは多くの実験結果から知られているから式(10)はこれでよいが,
切欠き材でも式(10)が適用できるかどうかを検討した。
切欠き材でも,応力集中係数がある値以下の場合は,疲労限度以下の応力振幅では切欠 き底にはき裂は認められないが,応力集中係数がある限界値以上になると,疲労限度以下 の応力振幅でも切欠き底には停留き裂が認められる。このことは停留き裂が認められる限 界の応力集中係数の上下で破壊機構が異なることを示す。そこで,この限界応力集中係数 の上下と思われる二種の円孔切欠きを有するメL棒試験片に対して,繰返しねじり疲労限度 におよぼす平均応力の影響を調べた。
材料は0・35%Cの炭素銅で,直径12mmの試験部分に直径方向に直径lmmと3 n)ni
100
80
己60 ± そ
k 40
20
﹀く
● ●
0 0 0 0 0 0
×:破断
●:非破断,
○:非破断,
0.35%C鋼 830°C,1h
き裂あり き裂なし
.焼鈍
20 40 60 80 100 120 τ・711,Mpa
図9ねじり平均応力のねじり疲労限度に及ぼす影響(Kt・・3・75)
100
80
0 6
0 4
Z dlN P 2
20
0
x
一 一 一
竺8
一 一
︑×:破断
●:非破断,き裂あり
○:非破断,き裂なし 0.35%C鋼
830°C,1h.焼鈍
20 40 60 80 100 120