茨城大学教育学部紀要(教育科学)31号(1982)105−121 105
教育イノベーションに関する実証的研究
教育機器の利用度を規定する要因の分析
骨
ヘ 野 和 清
(1981年10月15日受理)
An Empirical Study of Educational Innovations :An Analysis of Factors Influencing the Use of Educational Media
*
jazukiyo KoNo
(Received October 15,1981)
Abstract
This paper aims at defining how the use of educational media is
influenced by twelve factors mainly relating to the teachers persona1 characteristics such as sex and age. The main results are as・followsご(1)Ten factors excepting y6α7s α/ 6ゆ6万θη66 加 ぬ匿sε6ぬool and o α1
二yθごzγs ρ〆 ε%ρ6万〃z66 ∫η 64z66αあo多z are significantly related to the use ofeducational media, but,(2)using the multivariate analysis by Hayashi s Quantification Thepry, it turns out that any of these ten factors don t
fully explain the variance of the use of educational media. Consequently,
it is suggested that we need to clarify other「more important factors that
determine the use of educational media.@ 一
は じ め に
イノベーション(Inno vat ion)とは,一」般に,ある個人にとって新しいと知覚される観念(idea) 、 ヤ ㌻ 7
や技術をさす。この定義によれば,学校の授業で使われる新しい教授媒体,すなわち教育機器も 新しい教育方法・カリキュラム・学校組織編成とともに,教育イノベーションの一つとして看倣 すことができる。事実,これまで教育機器は,教科書と黒板を中心とした伝統的な教育方法に対 して何らかの批判的な新しい思想を伴って現われ,戦後のわが国の教育方法の改善に寄与してき たのである。
*茨城大学教育学部教育学研究室(Department of Educational Science, Faculty of Education,
Ibaraki University)
本研究では,最近における11種の教育機器を教育イノベーションとして取りあげ,それらの教 育機器の利用が主に教師の個人特性要因によってどのように規定されるかを分析して,学校革新
のメカニズムの解明の糸口を掴もうとするものである。
ところで,これまで教育イノベーションに関して,教育機器の利用度を規定する要因に関す
る研究がいくらか行なわれてきている。それらは,主に教師の個人特性と教育機器の利用度との関係 を明らかにすることを目的としている。
辻(1965)は,性別に関して,学校放送に関する研究で女性の方が男性よりも利用開始年が平 均2年以上遅れていることを報告している。また北岡(1976)は,機器別に利用度をみると,性 差が僅かに影響していることを報告している。すなわち,レコードプレーヤとテープレコーダに
ついては女性の利用率が高く,アナライザーやVTRについては男性の利用率が高い。しかし,
平田他(1976)は,多変量解析を施した結果,10種類の教育機器全体の利用・非利用については 教師の性差が見られなかったことを報告している。また,同グループの全国規模に拡大した最近 の研究(北岡1978)では,教育機器の利用・非利用に性差が無関係であることを確認している。
さらに阿久津らのグループ(1979)も,テレビの利用・非利用には性差の影讐が認められないこ とを報告している。以上の結果からすると,最近の研究成果は,教育機器の利用・非利用には性
差はあまり関係していないことを示唆しているように思われる。しかし,「女性は機器に弱い」とい
う社会通念もあり,今後より細かな分析が必要とされる。
年齢については,平田(1976)は,教育機器の利用には年齢差は認められなかったことを報告 している。しかし,北岡(1976)は,これを小中高の学校種別に分析してみるとわずかながら年 齢差の現われることを指摘している。すなわち,小学校では30代・40代の利用率が高く,中学校 では50代の利用率が最も高く若くなるにつれて利用率が低下していくことを認めている。また平 田(1976)の多変量解析を施した別の研究では,テレビの利用率は教師の年齢に有意に関係し,
40代の利用率が最も高かったことを報告している。しかし,阿久津ら(1979)は,テレビの利用
・非利用には年齢差は有意に関係していなかったことを報告している。以上のように,年齢について
は対立した結果がでており,一定の傾向性を認めうるまでには至っていない。この他,これまで研究された個人特性要因をあげると,多変量解析の結果,教育機器の利用・
非利用には「教育工学への関心」や「こまめさ」が有意に関係していたが,「授業観」は有意な関 係を示さなかったことを報告している。また,阿久津ら(1979)は,テレビの利用・非利用と「授業 の自信」「授業の工夫」などの個人特性要因との間には有意な関係は認められなかったことを報告し
ている。ところで,個人特性以外の要因と教育機器利用との関係について触れると,先ず校長のリーダ 一シップという観点から,辻(1965)は,学校放送を継続利用する上で校長の理解が重要な要因
になっていることを報告している。他方,阿久津ら(1979)は,テレビの利用頻度と「校長の放送 教育に対する態度」 「校長の教師の扱い」との間には統計的に有意な関係は認められなかったが,
「校長の教授方法の熟知度」との間には有意差が見られたことを報告している。
学校を取り巻く外的環境要因に関連しては,平田(1976)は,テレビの利用頻度は「地域差」
に有意に関係していることを,また阿久津ら(1979)は,テレビの利用頻度と「父兄の関心」「教
育委員会の積極性」との間には統計的に有意な関係が認められたことを報告している。最後に教育機器の利用条件である方略要因に関しては,辻(1965)は,放送利用にあたって「視
聴覚係りの教師」が重要な役割を果していることを,また平田(1976)は,教師の「研究会活動河野:教育イノベーションに関する実証的研究 107
への参加度」が教育機器の利用率に有意に関係していることを報告している。以上,教育機器の 利用を規定する要因に関するこれまでの研究を,個人特性要因,外的環境要因,方略要因,リー ダーシップ要因の4つの観点から概観してきたが,総じて,個人特性要因については,まだ定ま
った結論がでていないようである(詳しい文献レヴェーについては浜野・中野諭文(1978)を参
照されたい)。
そこで,本研究では,以上の考察をもとに,教師の教育機器利用度を規定する要因をより精細 に分析することを目的として,(1聡合利用度,(2機器別利用度の2つの観点から,次のような点
について検討を加える。
(1)小学校教師の教育機器利用が,①教師の年齢・性・勤務年数や教育機器・教職・授業改善に
対する教師自身の態度似上,個人特性要因),②父兄・教育委員会の教育機器利用に対する態度(環境要因),③教育機器利用に関する適切な助言者の有無や教師の研修会への出席率(以上,方略要
因)そして④校長の教育機器利用に対する態度(リーダーシップ要因)によってどう影響されるかを明らかにする。
②そして,さらに,多変量解析を施すことにより,以上に取りあげた諸要因がどの程度教育機
器の利用度を規定(説明)しうるかを明らかにする。
方 法 1.調査対象
対象は,茨城県水戸教育事務所管内の公立小学校の管理職・養護教諭・非常勤講師を除く一般 教諭である。抽出率は3009名の1941名(65%),回収率は1941名の1795名(92%),調査依頼に 対する有効回収率は1941名の1181名(61%)である。有効回答者の性別の割合は,男子432%,
女子56.8%であり,年代別の割合は,20代22.9%,30代20.1%,40代331%,50歳以上23.9%で ある。
2 調査期間 1981年1月中旬〜2月上旬 3.調査手続
質問紙「小学校教育機器利用調査票」が各学校に郵送され,管理職・養護教諭・非常勤講師を 除く直接授業を担当している一般教諭全員に配布された。回答は,すべて無記名方式で行なわれ た。本調査票の内容は,次に示す如く,(1)各種教育機器の利用度を問う質問項目,(2)教育機器利用に 対する教育委員会・校長・教師・父兄の態度,教職や授業改善に対する教師自身の態度,適切な 助言者の有無そしてさらに教師の研修会への出席率を問う質問項目,そして⑧フェースシートの
3部から構成されていた。
先ず,教育機器利用度の質問において,教師は,①16ミリ映写機,②8ミリ映写機,③スラィ ド映写機,④オーバヘッドプロジェクター(OHP),⑤テレビ(白黒・カラー),⑥ビデオテ 一プレコーダ(VTR),⑦テープレコーダ(オープン・カセット),⑧レコードプレーヤ(ス テレオ),⑨シート式録音機,⑩反応分析装置(アナライザー),⑪テレビカメラの11種の各教 育機器について,この1年間授業でどの程度使ってきたかを3段階尺度(毎週利用・たまに・利
用なし)でもって尋ねられた。例えば,次の如くである。
例) この1年間,あなたは授業などでビデオテープレコーダ(VTR)をどの程度お使いに
なっていますか。あてはまるものに○印をつけて下さい。
イ)ほとんど毎週利用している ロ)たまにしか利用していない ハ)利用していない
次に,教師の意識調査を主要な内容とする第2部においては,教師は,次のような質問項目に 対して,5段階評定(まったく・やや・どちらともいえない・かなり・ひじょうに)で回答が求 められた。
1)あなたの学校の校長先生は,教育機器の利用に関してどの程度積極的であると思います焼 2)あなたの市町村教育委員会は,教育機器の利用についてどの程度積極的であると思います
か。
3)あなた自身は,教育機器の利用に関してどの程度関心をおもちですか。
4)あなた自身は,日々の授業改善についてどの程度積極的であると思いますか。
5)あなたは,現在の教職という仕事にどの程度やり甲斐を感じておられますか。
6)あなたの学校の父兄は,教育機器の利用に関してどの程度積極的であると思いますか。
この他に補足質問として,(1)学校に教育機器の利用について適切な指導助言をしてくれる人が
いるかどうか(イ.いる,ロ.いない),また,いるとすれば誰か(イ.校長,ロ.教頭,ハ.同僚,二.視聴覚教育の係の先生)が,そして(21教育機器。視聴覚教育等に関する講習会・研究
会にこの1年間どの程度出席したか(イ 3回以上,ロ.1〜2回,ハ.0回)が尋ねられた。最後に,フェースシートにおいて,教師に(1}性別,(2)年齢,(3》現在の学校での勤務年数,(4)全
教職年数についての回答が求められた。
結 果 1.教師の教育機器利用度の要因別分析
1)教育機器利用度の分類
ここでは,(1聡合利用度を従属変数とする総合分析と(2)機器別の利用度を従属変数とする機器 別分析を行なった。教育機器総合利用度は,教育機器の利用度を尋ねる質問項目のうち,(イ)のカ
テゴリー(ほとんど毎週
人数
利用している)を2点, 250 人 240
i203殉
(ロ)のカテゴリー(たまに 206
(174%)
194しか利用していない)を 200 (164%)
1点,そしてい)のカテゴ
リー(利用していない) 150 (124%)147
を0点として換算し,11
105 種類の教育機器の利用度 100
82
(89%)88
得点を単純総計したもの
(69%) (75彫)
である。個人の総合利用 50
26
度得点の分布は,図1に
ヲされる通りである。こ 0
9(22%)
@ 6 (08%)
Q(05%)
i02彫)
30
c鮎撫14
@ (1筋〜・編,。繭
の総合利用度得点分布を0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17利用度得点 点
図1 教育機器の総合利用度得点の分布見ながら,さらに総合利河野:教育イノベーションに関する実証的研究 109
用度得点が0〜4の教師を「非利用者」
(N−125)洞じく5〜7の教師を砥 囮利用・な・画繍耀1□輔・・
搬利賭」(N−593),8−9の教16ミリ
C 87% 卿嚥1
05%8 ミ リ 52 三141°
tを「中頻度利用者」(N−299)そし 9 露07%
P
て1・〜17の獅を「高搬利賭」(Nスライド c32。3°2
@ 顔2卿
c25%=164)として4つのタイプに分類した。 OHP ガ 演鰯署 349%
@ …
@器別分析においては,基本的には テレビ :∴御雅二 716%
1
i45%
利用度質問項目のカテゴリー〈イ〉(毎週 VTR 7% 顕8%: ,陀
?p)に該当する教師を「醐度利用..プ。。.ダ…、、.∵.㌦、,,、。艦縄..,−176。
1.9%
c
者」,(・)のカテゴリー(たまに利用)。,.,プ..ヤ1132. ∵166瞬九 3。1。 i に該当する教師を「利用者」,い)のカ シート式録音蘭 15% ∴順晦1
i19%テゴリー(利用なし)に該当する教師 1 132%
アナライザー .1 ∵ 、
α7傷を「非利用者」として分類したが,図 1 3
テレ ビカメ ラ 55 43$驚: 12%
2の各教育機の利用状況からも推察さ
図2 各種教育機器の利用状況
れるように,統計上各マス内に適切な期待値を得る必要上,場合によっては(イ)と(ロ)のカテゴリーの教師を「利用者」,(ノ→のカテゴリー
の教師を「非利用者」として,あるいは(イ)のカテゴリーの教師を「高頻度利用者」,(ロ)とい)のカ ●
eゴリーの教師を「利用者」として類型化し,統計処理を行なった。分析のためのコンピュータ
・プログラムは三宅・山本(1979年)のSPSS統計パッケージを参考にした。
2)教師の教育機器利用に対する関心度と教師の教育機器利用度類型との関係
教育機器利用に対する関心について,教師は1165名のうち,①3名(α3%)が全く関心なし,
②23名(1.9%)がほとんど関心なし,③375名(322%)がどちらともいえない,④509名
(43。7%)がやや関心あり,そして⑤255名(21.9%)が非常に関心あり,と答え,過半数のも
のが教育機器利用に関心をもってい表1 教師の教育機器利用に対する関心度からみた教師の
た。そこで,ここでは,分析上,①教育機器利用度類型の分布
と②と③のカテゴリーを「無関心」,
類型との関係を検討した。その結果 関心あり 59 355 215 135 764 は,表1に示される通りである(以 計 124 588 291 162 1165 後の要因別分析においては紙面の関 X2ニ56.36 df−3 P〈α001
係上分割表を省略する)。
本結果より,教師の教育機器利用度類型の出現頻度は,教師の教育機器利用への関心度によって
有意に影響されており,教育機器利用に対する関心の高い教師ほど,教育機器の総合利用度が高いと
言える。また,教育機器別にみると,教師の教育機器利用に対する関心度と教育機器利用度との間には,
テレビ,レコードプレーヤ,シート式録音機,アナライザーを除く7機器において,同じく統計 的に有意な関係が認められた(16ミリ,X2=25.27, df−1,P〈0.001;8ミリ,X2=1a85,
df=1,P〈α001;スライド, X 2=32.05,df=2, P<0.001;OHP,X2=69.63,df
=2,P〈α001;VTR,X2=1476, df=2,P〈α001;テープレコーダ,X2ニ16.23,
df−2,P<α001;テレビカメラ,X2−26.01, df=1,P<0.001)。なお,有意差の見
られなかったテレビ,アナライザーにおいても僅かながら同様な傾向が伺えた。
3)教師の授業改善への積極性と教師の教育機器利用度類型との関係
教師の授業改善への積極性について,教師1145名のうち,①非常に消極的と自己評価したもの はなく,②12名(1.0%)がやや消極的,③335名(292%)がどちらともいえない,④634名
(554%)がやや積極的,そして⑤164名(14。4%)が非常に積極的であると答え,過半数のも
のが授業の改善に積極的であると評価している。ここでは,分析上①と②と③のカテゴリーを「消
極的」,④と⑤のカテゴリーを「積極的」として類型化し,教師の授業改善への積極性と教師の 教育機器利用度類型との関係を,2)と同じように検討した。その結果,教師の授業改善への積 極性は,教師の教育機器総合利用度に有意に関係しており(X2=54.10,df=3,P<0.001),日々の授業の改善に積極的に努力していると自己評価している教師ほど,教育機器の利用度が高 かった。
また,教育機器別に検討すると,レコードプレーヤ,シート式録音機,アナライザーを除くす べての教育機器において,教師の授業改善への積極性と教育機器利用度との間に同じような統 計的に有意な関係が認められた(16ミリ,X2=887,df=1,P<α01;8ミリ,X2=15.89,
df=1,P>α001;スライド, X 2=2573,dfニ2,P<0.001;OHP, X2=5a10,df;3 P〈α001;テレビ,X2=8.04,df=2, P<α05;VTR, X2=2460,df=2,P〈α001;
テープレコーダ,X2=18.59,df=2,P〈α001;テレビカメラ,X2=1α62, df=1, P〈
0.01)。なお,有意差のみられなかったレコードプレーヤとシート式録音機においても僅ながら 同様の傾向が伺えた。
4)教師の教職へのやり甲斐度と教師の教育機器利用度類型との関係
教職という仕事へのやり甲斐度について,教師1165名のうち,①3名(α3%)が全然やり甲 斐なし,②10名(α9%)が殆どやり甲斐なし,③147名(126%)がどちらともいえない,④
556名(477%)がやややり甲斐あり,そして⑤449名(385%)が非常にやり甲斐ありと回答
し,86%の多くのものが教職に対してやり甲斐を感じていた。ここでは,分析上①と②と③のカテゴ
リーを「やり甲斐なし」,④と⑤のカテゴリーを「やり甲斐あり」として分類し,教師の教職へ のやり甲斐度と教師の教育機器利用度類型との関係を検討した。その結果,教師の教職へのやり 甲斐度は,教育機器総合利用度に有意に関係しており(X2−19.51, df=3,P〈α001),教 職にやり甲斐を感じている教師ほど,教育機器の利用度が高かった。また,教育機器別に検討すると,教師の教職へのやり甲斐度と教育機器利用度との間には,16 ミリ・スライド・OHP・テープレコーダ,テレビカメラの5機器に関しては同様に有意な関係 が認められたが,他の教育機器に関しては有意差は認められなかった(16ミリ,X2=6.56,df
=L P<0.05;スライド,X2=847,df=1, P<α01;OHP,X2=1748,df=2, P
<α001;テープレコーダ,X2−7.58,df=2,P<0.05;テレビカメラ,X2=5.12,dfニ
1,P〈0,05)。
5)教師の性別と教師の教育機器利用度類型との関係
教師の性別の内訳は,男性508名,女性668名であった。教師の性別と教師の教育機器利用度 類型との関係を分析した結果,教師の性別は,教育機器利用度に有意に関係しており(X2=1a3乞
df=3,P<α01),女性の方が男性よりも教育機器の総合利用度が高かった。
河野:教育イノベーションに関する実証的研究 111
しかし,教育機器別にみると,16ミリ(X2=33.96,df=2, P<0.001),8ミリ(X2=
32.41,df=1,P<α001),OHP(X2=6、96,df;2,P<α05),VTR(X2=21ρa dfニ2,P〈0.001),テレビカメラ(X2=4431,df=2,P<α001)においては,女性 よりも男性の方が有意に利用度が高く,またテレビ(X2−4α62, df−2, P<α001),テー プレコーダ(X2=42.16,df−2,P<α001),レコードプレーヤ(X2=207ρ8,df=2,
P〈0.001),シート式録音機(X2=908,df=2,P<α05)の4機器においては,男性よ
りも女性の方が有意に利用度が高かった。スライド,アナライザーについては有意差は認められな
かった。6)教師の年齢と教師の教育機器利用度類型との関係
教師の年齢を年代別(20代・30代・40代・50歳以上)に分けて,教師の教育機器利用度類型と の関係を検討した。その結果,教師の教育機器利用度類型の出現頻度は,年代によって有意に影
響されており (X2=27。21,df;9, P<α01),20代の教師は,他の年代の教師に比較して教 育機器の総合利用度が最も低かった。
次に,教育機器別に検討すると,年代と教育機器利用度との間には,テレビ,テープレコーダ,
レコードプレーヤ,アナライザーを除く7種の教育機器において統計的に有意な関係が認められ た(16ミリ,X2−1906,df=3,P〈α001;8ミリ,X2=12.42,df=3,P<α01;スラ イド,X2=・3292, df;6,P〈α001;OHP,X2=1432,df=6,P〈α05;VTR,
X2−16.68,df−3,P<ODO1;シート式録音機, X2−3315,df−3,P<0ρOl;テレビ カメラ,X2=12B1,df−3, P〈α01)。すなわち,16ミリとVTRについては20代と50代 の教師が,8ミリ,スライド,OHP,シート式録音機,テレビカメラについては20代の教師が,
それぞれ他のどの年代の教師よりも利用度が低かった。
7)教師の現在の学校での勤務年数と教育機器利用度類型との関係
教師の現在の学校での勤務年数を1〜4年(691名),5〜9年(360名),10年以上(106 名)の3つのカテゴリーに分けて,教師の教育機器利用度類型との関係を検討した。教師の教育 機器利用度は,本結果による限り,現在の学校での勤務年数とは無関係であることが示された。
次に,教育機器別にみると,教師の現在の学校での勤務年数と教育機器利用度との間には,ス ライド(X2=6.55,df−2,P〈α05)に関してのみ有意な関係が認められた。すなわち,ス ライドに関しては,1〜4年の現在学校での勤務年数の教師が,他のどの勤務年数の教師よりも
教育機器の利用度が最も低かった。
8)教師の全教職年数と教師の教育機器利用度類型との関係
教師の全教職年数を,分析上1〜10年(389名),11〜20年(212名),21〜30年(334名),
31年以上(236名)の4つのヵテゴリーに分類し,教師の教育機器利用度類型との関係を検討し た。その結果,教師の教育機器の総合利用度は,教師の全教職年数によって影響されていないこ
とがわかった。
他方,教育機器別に検討すると,教師の全教職年数と教育機器利用度との間には,8ミリ,ス ライド,VTR,シート式録音機,テレビカメラに関しては統計的に有意な関係が認められたが,
他の7種の機器については有意差は認あられなかった(8ミリ,X2−1632, df−6,P〈α05
,スライ ド,X2=29.64, df=6,P<α001;VTR,X2=19。71,df=6,P<0。01;シー 卜式録音機,X2=32.91, df=6,P〈0.001;テレビカメラ, X 2=15.81, df=6, P〈0。05)。
すなわち,8ミリ,スライド,シート式録音機にっいては1〜5年と6〜10年の勤務年数の教師
が,VTRについては31年以上の勤務年数の教師が,そしてテレビカメラについては1〜5年の 勤務年数の教師が,それぞれ他のどの勤務年数の教師よりも利用度が低かった。なお,有意差の 見られなかった16ミリ,OHP,テレビ,テープレコーダ,アナライザーについては,1〜5年 の勤務年数の教師の利用度が最も低いことが僅ながら示された。
9)教育機器利用についての適切な助言者の有無と教師の教育機器利用度類型との関係 教育機器の利用について適切な指導助言をしてくれる人がいると答えた教師は883名,いない
と答えた教師は288名であった。いると答えた教師のうち,その適切な助言者として,23名(26%)
が「校長」,40名(45%)が「教頭」,196名(22.2%)が「同僚」,521名(59%)が「視 聴覚教育の係の先生」を指名していた。教育機器についての適切な助言者の有無と教師の教育機 器利用度類型との関係を検討した結果,教師の教育機器利用度は,適切な助言者の有無によって 有意に影響されており (X2=55。63,df=3,P<0.001),教育機器利用について適切な助言 者がいると答えた教師の方がそうでない教師よりも教育機器の総合利用度が高かった。
また,教育機器別にみても,適切な助言者の有無と教育機器利用度類型との間には,テープレ コーダを除くすべての教育機器において,同じような有意な関係が認められた(16ミリ,X2=
1a57, df=1,P<α001;8ミリ,X2=2363,df=1,P〈α001;スライ ド, X2=2835,
df:=2・P<α001;OHP,X2=1549,df=2,P<α001;テレビ, X2=1σ68,df=2,
P<α001;VTR,X2=38.22, df=2,P〈α001;レコードプレーヤ,X2=6.22,df=
2,P<0.05;シート式録音機, X 2=900, df;2,P〈α05;アナライザー,X2=744,
df=1,P<α01;テレビカメラ,X2ニ25.68,df・=1,P〈0.001)。
10)視聴覚教育に関する研修会への出席率と教師の教育機器利用度類型との関係
視聴覚教育関係の研修会への出席率について,1162名の教師のうち,①100名(87%)が年 に3回以上,②398名(343%)が年に1〜2回,③662名(570%)が年に0回と回答した。
ここでは,教師の研修会への出席率をこの3カテゴリーに従って分類し,教師の教育機器利用度 類型との関係を検討した。その結果,教師の視聴覚教育関係の研修会への出席率は,教育機器の 利用度に有意に関係しており,(X2−9196,df=6, P〈α001),研修会への出席率が高い 教師ほど教育機器の利用度の高いことがわかった。
次に,教育機器別に検討すると,研修会への出席率と教師の教育機器利用度との間には,テー プレコーダ,レコードプレーヤ,シート式録音機を除くすべての教育機器において同様な有意な 関係が認められた(16ミリ,X2=3278,df=2,P<σ001;8ミリ, X 2=30.16,df=2,
P<α001;スライド,X2−19。61,df=2,P<α001;OHP,X2・=36.07,df=2,P〈
α001;テレビ,X2=・6,32,dfこ2,P<0.05;VTR,X2=104.31,df=2,P〈α001;
アナライザー,X2=7。85,df=2,P〈α05;テレビカメラ,X2ニ67.91,df=2, P〈
α001)。
11)教育機器利用に対する教育委員会の積極性と教師の教育機器利用度類型との関係
教育機器利用に対する教育委員会の積極性について,教師1158名のうち,①31名(27%)が 全く消極的,②60名(52%)がやや消極的,③580名(5α1%)がどちらともいえない,④323
名(27.9%)がやや積極的,そして⑤164名(14.1%)が非常に積極的であると評価した。ここでは,
分析上①と②のカテゴリーを「消極的」,③のカテゴリーを「どちらでもない」,④と⑤のカテゴリ
一を「積極的」として類型化し,教育委員会の積極性と教師の教育機器利用度との関係を検討した。その結果,教育委員会の積極性は,教師の教育機器利用度に有意に関係しており(X2=59.66,
河野:教育イノベーションに関する実証的研究 113
df=6, P〈α001),教育機器利用に対する教育委員会の積極性を高く評価した教師ほど,教
育機器の総合利用度が高かった。
次に,教育機器別にみると,教育委員会の積極性と教師の教育機器利用度との間には,テープ レコーダ,レコードプレーヤを除く9種の教育機器において,同様な有意な関係が認められた(16 ミリ,X2−1α71, df=2,P〈α01;8ミリ,X2=14.46, df=2,P〈α001;スライド,
X2=3521,df=2,P<0.001;OHP,X2=3244, df=2,P<α001;テレビ, X2=
7.41,df=2,P〈0.05;VTR, X2・=111.39, df−2, P〈α001;シート式録音機,X2一
9.45,df=2, P〈α01;アナライザー, X 2=12、09,df=2,P<0.01;テレビカメラ,X2
=3493, df=2, P<0,001) 。
12)教育機器利用に対する父兄の積極性と教師の教育機器利用度類型との関係
教育機器利用に対する父兄の積極性について,教師1152名のうち,①22名(1.9%)が全く消 極的,②80名(69%)がやや消極的,③752名(653%)がどちらともいえない,④247名
(21.5%)がやや積極的,そして⑤51名(44%)が非常に積極的であると回答した。ここでは,
分析上①と②のカテゴリーを「消極的」,③のカテゴリーを「どちらでもない」,そして④と⑤ のカテゴリーを「積極的」として分類し,父兄の積極性と教師の教育機器利用度類型との関係を 検討した。その結果,教育機器利用に対する父兄の積極性は,教師の教育機器利用度に有意に関 係しており(X2=75.16, df=6,P<0,001),父兄が教育機器利用に積極的であると感じて いる教師ほど,教育機器の総合利用度が高いことがわかった。
次に,教育機器別にみると,教育機器利用に対する父兄の積極性と教師の教育機器利用度との 間には,テレビ,テープレコーダ,レコードプレーヤを除く8機器において,同じような有意な 関係が見られた(16ミリ,X2;2975,df=2,P〈0.001;8ミリ,X2ニ33.41,df=2,P
<α001;スライ ド,X2=16.02,df〒2,P<σ001;OHP,X2=・41B1,df=・2, P<
α001;シート式録音機,X2=1a26,df=2,P<α01;アナライザー, X2−1207,df一 2,P<α01;テレビカメラ,X2=42.31,df−2,P〈α01)。
13)教育機器利用に対する校長の積極性と教師の教育機器利用度類型との関係
校長の教育機器利用に対する積極性について,教師1170名のうち,①22名(19%)が全く消 極的,②54名(4β%)がやや消極的,③505名(43.2%)がどちらともいえない,④387名
(3a1%)がかなり積極的,そして⑤202名(17.2%)が非常に積極的であると回答した。ここ では,分析上①と②のカテゴリーを「消極的」,③のカテゴリーを「どちらでもない」,④と⑤ のカテゴリーを「積極的」として類型化し,校長の積極性と教師の教育機器利用度との関係を検 討した。その結果,校長の教育機器利用に対する積極性は,教師の教育機器利用度に有意に関係
しており(X2−72.58,df−6,P〈α001),校長が教育機器の利用に対して積極的であると 知覚している教師ほど,教育機器の総合利用度が高いことがわかった。
次に,教育機器別に検討すると,校長の積極性と教師の教育機器利用度との間には,テープレ コーダ,テレビを除く9種の教育機器において,同様に有意な関係が認あられた(16ミリ,X2一
37つ3,df=2,P<α001;8ミリ,X2=45.98,df−2, P〈0。001;スライド, X 2;3α99,
df=2,P〈α001;OHP,X2=3851,dfニ2,P<α001;VTR,X2=74、97, df;
2,P〈0.001;レコードプレーヤ,X2−9.737,df=4,P〈α05;シート式録音機, X 2一 11.25,df=2,P〈α05;アナライザー, X 2・=7.37,df=2,P〈α05;テレビカメラ,X2
=37.71, df=2, P〈α001)。
H. 「林の数量化理論」による分析
以上は,教師の教育機器の利用度が,個人特性要因,方略要因,外的環境要因,リーダーシッ プ要因とどのような関係をもっているかを,12要因を取りあげて検討してきた。しかし,これら は,教育機器利用との単相関的な関係を示すものであって,その関係は見かけ上のものであるか も知れない。また,先の分析では,12要因が同等に扱われたが,ある要因は他の要因よりも教育 機器の利用により本質的に関係しているといった,要因間に関係の度合の差異があるとも考え
られる。さらには,本研究で取りあげられた12要因によって教育機器の利用度がどの程度まで説
明されうるか,といった問題もある。もし,これら12要因による教育機器利用の説明力が弱ければ,
今回取りあげた12要因以外に教育機器の利用を効率的に説明するもっと重要な要因の検討を行な
わなければならない。
そこで,本研究では,今回取りあげた諸要因が教師の教育機器の利用をどの程度説明しうるか を明らかにするため,さらに,林(林・村山,1976)の数量化理論(quantification theory)
による分析を試みた。このモデルの特色の一つは,一一般に使われている重回帰分析や判別関数と
異なって,定性的変数の各カテゴリーに 適当な数値,を与えることにより定量的変数の場合と 同様に多変量解析を施しうる点にある(安田,1979)。本研究では,総合分析において,外的基 準として量的変数である「総合利用度」を使うため林の数量化理論第1類が,また機器別分 析においては,外的基準として教育機器の利用一非利用の2分類を使うため数量化理論第1【類がそれぞれ用いられた。分析のためのコンピュータプログラムは,日立製作所編(1979)
のマニュアルを参考にして作成され,計算の実行は東京大学大型計算機センターを利用して行な われた。
1)総合分析
本分析における外的基準は,既述の如く,先の(1)の総合分析の場合と同様,11種類の教育 機器の各利用度得点を単純総計した教育機器総合利用度である。また,説明変数としては,先の
総合分析で有意差のみられなかった「現在学校での勤務年数」と「全教職年数」を除く10要因(26 カテゴリー)が選ばれた。
分析の結果は次の通りである。
外的基準を予測する精度(=分
教 師 の 関 心 0112
析の精度)を示す重相関係数は, 授業改善への積盤 0072
教職へのやり甲斐度 0018
本分析の場合,0.4523である。こ 性 別
0152 れは,予測の精度としてはそれほ 年 齢 0145適切な助言者
Ol39ど高い数値と言えない。しかし, 研修会への出席率 0218
教青委員会の積極性 0039
本分析によれば,取りあげた10要 父兄の積極性
0080校長の積極性
OlO2因の中で相対的に偏相関係数の高
005 0ユ0 015 020 025
い数値を示すのは,図3に示され
図3 教育機器総合利用度に関する各要因の偏相関係数る如く,「研修会への出席率」,
「性別」,「年齢」,「適切な助言者」,「教師の関心」そして「校長の積極性」である。逆に 低い偏相関係数を示すのは,「教職へのやり甲斐度」と「教育委員会の積極性」である。偏相関 係数は,他の要因の影響を除去した時の外的基準とある要因との相関関係を示すものであって,
それ故,本分析を見る限り,教育機器の利用(度)を説明する重要な要因として,偏相関係数の 高い「研修会への出席率」「性別」などの6要因を挙げることができる。なかでも,「研修会へ
河野:教育イノベーションに関する実証的研究 115
の出席率」が他の要因に 要 因 カテゴリー カ テ コ リ ー ・ ス コ ア
一125 −100 −075 −050 −025 0・0 025 050 075 1ρO L25
比較して教育機器の利用 低 い 一〇3627
教 師 の 関 心 高 い 01938
(度)を最もよく説明す
低 い 一〇2533 授業改善への積極性高 い 01172
る要因として考えられる。 教職へのやり甲斐度 驚1:
一〇〇950
00154
図4は,各要因の教育 性 別 男 性女 性 一〇3693 02759
20 代 一〇5101
機器利用度に対する寄与 30 代 03417
年 齢 40 代 01282
度をカテゴリー・レベル 50歳以上 00424
いない 一〇5165
で示した偏差グラフであ
適切な助言者
い る 01753年 o 回 一〇3681
る。各カテゴリー・スコ
研修会への出席率 年1〜2回 03203年3回以上 ll693
アは,各要因内のカテゴ 教育委員会の檀極牲 鴇 一〇2682 0.0305
高 い 00191
リーの効き方向をみるた
低 い 一〇1525父兄の積極性
中 位一〇〇957
めに,各要因ごとにその
高 い 03034低 い 02629
平均が0になるように正
校長の積極性
中 位高 い 一〇2508 Ol787 規化(ノーマライズ)し図4 偏差グラフ(総合利用度)
てある。本図より,教育
機器の高利用度と関係しているカテゴリーは,「適切な助言者(いる)」,研修会への出席率(3
回)」「教師の関心(高い)」 「父兄の積極性(高い)」,性別では「女性」そして年代別では
「30代」であり,また逆に教育機器の低利用度と関係しているカテゴリーは,「適切な助言者(な
し)」,「研修会への出席率(0回)」,「教育委員会の積極性(低い)」,「教師の関心(低 い)」,「授業改善への積極性(低い)」,性別では「男性」そして年齢では「20代」であるこ とがわかる。各要因のカテゴリーに与えられたカテゴリー・スコアのレンジ(Range)の大きさ の順位は,先の偏相関係数の順位とほぼ一致している。また,本図は,各要因内のカテゴリー・スコアが高いカテゴリーから低いカテゴリーへとほぼ順よく並んでいることを示している。
以上の結果から,予測の精度をあらわす偏相関係数はあまり高くないが,本分析による限り「研
修会への出席率」,「性別」 などの6要因が,今回取りあげた要因の中では教師の教育機器の利 用度をより大きく規定していると言える。しかし,全体的には偏相関係数の数値からみて,これらの要因の教師の教育機器利用度に対する規定力はそれほど大きいとは言えない。
2)教育機器別分析
上述の総合分析においては,11種類の教育機器を一括して取扱い,10要因がどの程度教育機器の 利用度を規定しうるかを分析した。しかし,教授媒体としでの教育機器もいろいろな性格を有し,
それ故機器によってその利用度を規定する要因や規定の程度が異なることが予想される。
そこで,ここでは教育機器の利用度を規定する要因をさらに詳細に分析するため,機器別分析を
行なうことにした。
本分析で使われる外的基準は,次のように利用一非利用の2類で与えられた。すなわち,「16 ミリ」,「8ミリ」,「スライド」,「シート式録音機」,「アナライザー」そして「テレビカ メラ」においては,利用度の質問項目の(イ}と(ロ)のカテゴリーを「利用」群,い)のカテゴリーを「非
利用」群として,また「OHP」,「テレビ」,「VTR」,「テープレコーダ」そして「レコ
一ドプレーヤ」においては,同じ利用度の質問項目の(イ)のカテゴリーを「利用」群,(司とい}のカ
テゴリーを「非利用」群として,それぞれ分類した。また,説明要因は,総合分析の場合と同じく「現在学校での勤務年数」 「全教職年数」を除く10要因であった。
さて,分析の結果は,紙面の関係上,VTRを例に取りあげ説明を加えることにする。
今回取りあげた10要因による教育機器利用一非利用の判別の精度を示す相関比(η)は,0.1754
であり,また判別適中率は70%であった。図5は,教育機器の利用群と非利用群について個人 一怨
ハスコアの分布をパーセントで示した判別グラ ー20−
@ −19一
、、、1 1 馳 、
フである。相関比(η)及び判別適中率に示さ 一17一 @ ♪
イニ、 、 、 鴨一16一
〉
れる結果は,今回取り上げた10要因による教師 一14一
二 1 隔 艦 唱 「 1一13一 一隔T}一一一__
の教育機器の利用と非利用の判別の効率がそれ 一12一
胃㌔、ほど高くないことを示している。 :碧: −7一 鵬で㌔
@ :〉 く
次に,10要因のうちでどの要因が教育機器の 一6
一4一 U , 一■「
利用一非利用の判別によく効いているかを示したの 一3. 一 一fご、
が,図6の偏相関係数グラフである。本図より, 弓:
》
欝響擁灘簾轡姦箸製二
@ 1一 フ積極性」,「校長の積極性」,「年齢」
、
@ 7 ,,4
q 〉
そして「適切鋤諸」である.特に「研修会 昆: ノ
mr
11一
f
への出席率」は他の要因に比してよく効いてい 13一 ぐ るようである.他方,「教師の関心」,「授業 ;1一
17
一一一一
p群改善への積極性」,「教職へのやり甲斐度」そ 19
2θ一
して「父兄の積極性」などの要因は,ほとんど
5 1%
判別の効果を示していない。
図5 判別グラフ(VTR)幽図7は,各要因の教育機器の利用一非利用の
判別の効果をさらにカテゴリー水準で示したものである。各カテゴリー・スコアは各要因内のカテ
ゴリーの効き方向をみるために,各要因ごとに平均が0になるよう正規化されている。本図より,「教職へのやり甲斐度(低い)」,性別では「男性」,年齢では「30代」,「研修会への出席率(3
回以上)」,「教育委員会の積極性(高い)」,「父兄の積極性(高い)」そして「校長の積極 性(高・低)」のカテゴリーが教育機器の利用と関係していることがわかる。また逆に,「授業改善への積極性(低い)」,性別では「女性」,年齢では「50代」,「適切な助言者(いない)」,「研 修会への出席率(0回)」,「教育委員会の積極性(低い)」,「父兄の積極性(低い・中位)」,そ
して「校長の積極性(中位)」のカテゴリーが教育機器の非利用と関係していることが看取できる。
また,他の教育機器にっいての分析結果は,表2に一括してまとめられている。
なお,ここでは紙面の都合上,各教育機器の偏差グラフを示すことができないが,以上の各要 因の教育機器の利用一非利用の判別
教 師 の 関 心 OO39
の効果をカテゴリー・レベルで検討 授業改善への樋性
α046 教職へのやり甲斐度 0032すれば,16ミリでは「男性⊥,「30 姓 別
0,067
年 齢 0095
代」,「研修会への出席率(3回)」, 適切な助言者
0083「父兄の積極性(高)」, 研修会への出席率「校長の積 教鱗員会の積極性 0193
0,160
極性(高い)」が,8ミリでは「男」, 父兄の積極性 0,052
校長の積極性 OlOO
「40代」,「適切な助言者(いる)」,
0020 0050 0100 0150 0200
「研修会への出席率(3回)」,「校 図6 VTRの利用度に関する各要因の偏相関係数
河野:教育イノベーションに関する実証的研究 117
長の積極性(高。低)」
カ テ ゴ リ ー 。 ス コ ァ 要 因 カテゴリー
が,スライドでは「教
一1αO −800 −{5.00 −4.00 −2.00 0●0 2 4 6 8 10
低 い
1.12
師の関心(高)「30代,
教 師 の 関 心 高 い 一〇5950代」 「研修会への出 授業改善への積極性 低 いa@い
一L43 α65
席率(3回)」が,0 教職へのやり甲斐度
低 い
a@い
一〇25155
男 性 142
性 別
HPでは「30代」,「研 女 性
一1ρ7
20 代
一α31
修会への出席率(3回)」,
年 齢 30 代 26640 代 α37
「父兄の積極性(高)」
50歳以上 一248い る α90
適切な助言者
いない 一277が,テレビでは「女性」,
年 0 回
一ao 3
研修会への出席率 年1〜2回 L 2β8
「研修会への出席率(3
マ 年3回以上 a55
低 い
一4.15
回)」が,テープレコ
教育委員会の積極性 中 位一2β5
高 い 387
一ダでは「女性」,「30 低 い 一263
父兄の積極性
中 位一α08
代」が,レコードプレ 高 い 1ユ9
低 い 199
一ヤでは「女性」,「校
校長の積極性
中 位 一226高 い
1.67
長の積極性(低)」が,
図7 偏差グラフ(VTR) (油カテゴリー・スコアは104倍であるシート式録音機では「50
代」,「父兄の積極性(高)」が,アナライザーでは「30代」「研修会への出席率(3回)」
が,テレビカメラでは「男性」,「研修会への出席率(3回)」,「父兄の積極性(高)」がそ
れそれ教育機器の利用に効いている。他方,教育機器の非利用に効いているカテゴリーとしては,
表2 各種教育機器の利用一非利用を規定する要因
教育機器
サンプル数 相関比(η) 適中率判別効果の高い要因 ( )は偏相麗係数
16 ミ リ 1117 0.094463% 年齢(α119) 性別(α113) 校長の積極性(α112)
、修会への出席率(α089)
8 ミ リ 1117 α0950
64鰯 校長の積極性(α131) 性別(α123)
、修会への出席率(0.091) 適切な助言者(α086)
スライ ド 1117 α09θ5
62%
年齢(α151) 教師の関心(α098) 適切な助言者 (α086)O H P 1117
α0995 63% ●、修会への出席率(α099) 教師の関心(α095)
テ レ ビ 1117 0.0584
60% 性別(0208)
V T R 1117
α1754 70% 研修会への出席率(α193) 教育委員会の積極性(α160)
Z長の積極性(α100) 年齢(α095) 適切な助言者(α083)
テープレコーダ 1117
α0481 60% 性別(α175)
レコードプレーヤ 1117 0ユ451
63%
性別(α355)シート式録音機 1117
α0476 59% 年齢(0ユ38)
アナライザー 1117 0.0277
65%
年齢(α066)テレビカメラ 1117 0.1253
68%
研修会への出席率(α145) 性別(α144) 父兄の積極性(α098) ナ覧 『ヨ巳 α092
16ミリでは「女性」,「20代」,「研修会への出席率(3回)」が,8ミリでは「女性」,「20 代・30代」,「適切な助言者(いない)」,「研修会への出席率(0回)」が,スライドでは「20 代」,「適切な助言者(いない)」,「教育委員会の積極性(低)」が,OHPでは「教師の関
心(低い)」,「授業改善(低い)」,「20代」が,テレビでは「男性」,「20代」,「父兄の積極性
(低い)」が,テープレコーダでは「男性」,「授業改善への積極性(低)」が,レコードプレーヤ
では「男性」が,シート式録音機では「20代。30代」,「教育委員会の積極性(低)」が,アナライザーでは「20代」,「適切な助言者(いない)」,「父兄の積極性(低)」が,テレビカメ ラでは「女性」,「20代」,「適切な助言者(いない)」がそれぞれ挙げられる。
以上の結果,教育機器の利用(度)を規定する要因は,機器によって異なるが,本分析による
限り,一般的に10要因の中では「研修会への出席率」,「性別」,「年齢」,「適切な助言者」の要因が 教育機器の利用度をよりよく規定していると言える。しかし,各機器の相関比及び適中率から判断する と,今回取り上げた10要因は,教育機器の利用度に対してそれほど大きな規定力をもつとは言えない。
考 察
本研究は,教師の教育機器の利用(度)に個人特性要因(7要因),方略要因(2要因),環 境要因(2要因),リーダシップ要因(1要因)がどのように影響を与えているかを明らかにす ることを直接の目的としていた。この目的を達成するために,本研究では,先ず,機器の利用度 と12要因との関係が個別的に検討され,有意差のある10要因が抽出された。次にこれらの要因が どの程度教育機器の利用度を規定(説明)しうるかを明らかにするため,さらに多変量解析が施 された。本節では,これらの調査結果に基づき教育機器の利用度と各要因との関係について考察
を加えることにする。
先ず,個人特性要因について触れてみよう。1−2),3),4)の結果からもわかるように,
「般に「教師の関心度」,「授業改善への積極性」,「教職へのやり甲斐度」といった教師の個人 特性要因は,教育機器の利用度に有意に関係していると言える。とくに「教師の関心度」は,多変
量解析の結果(図3)からみてもわかるように,他の2要因よりも教育機器の利用度に対する寄与度が相対的に高い。
性別に関しては,1−5)の結果に示される如く,教師の教育機器の利用度は,性差による影 響を受け,教育機器の総合利用度は男性よりも女性の方が高い。これは,一見「女性は機器に弱 い」という固定観念とは矛盾しているように思える。しかし,機器別に検討すれば,16ミリ,8
ミリ,OHP,VTR,テレビカメラにおいては女性よりも男性の方が,またテレビ,テープレ コーダ,レコードプレーヤ,シート式録音機においては男性よりも女性の方がそれぞれ利用度が
高い。これは,機器によって性差の現われ方が異なること,またVTR,テレビカメラ,16ミリなどのよ うな,比較的新しくて複雑な教育機器にっいては男性の方が,テレビ,テープレコーダのような,
比較的操作が簡単で馴染み易い教育機器については女性の方が,それぞれよく利用していること を示唆している(しかし,レコードプレーヤ,テープレコーダについては,教科の影響がかなり
強いと予想されるが)。これは,ある意味で,新奇性という革新の一つの重要な尺度からすれば,
男性の方が女性よりも革新的であることを示すものであるかも知れない。しかし,ここでは,総 合利用度において女性の方が高いにもかかわらず,教育機器の利用度は,機器によって性差のあ
らわれ方が異なることを強調しておきたい。
年齢については,1−6),皿一1),2)の結果からもわかるように,一般に教育機器の利 用度は,30代続いて40代と高く,20代の教師は他のどの年代の教師よりも低い。この結果は,小
学校では30代・40代の教師の利用率が高いとする北岡(1976)の研究結果に一致するものである。
おそらく,20代の教師は,自己の授業方法を確立するのに精一杯で,新しい教育方法を導入する 余裕がないのに対して,年長の教師は,すでに自分の授業方法を確立しているため,新しい方法 を受けいれ易いためど考えられる。全教職年数については,1−8)の結果に示される如く,有