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原著 :秋田大学医学部保健学科紀要 1 3( 2 ):8‑1 2 ,2 0 0 5
自殺高率地域住民の 自殺 に対す る意識
佐 々木 久 長 * 本 橋
̲̲亀良**
要
本研究は自殺率が高い地域の住民が, 1) 身近な人を自殺で喪 うという体験をどれだけ持っているか, 2) 自殺に 対 してどのような意識を持っているか, 3) 自殺予防に何が必要だと考えているかを明らかにすることを目的として 行った.対象は秋田県A 町の 4 0 歳以上の住民を対象に無作為に抽出された 4 3 8 名で,2 8 1 名を分析の対象とした.
結果 として 1 )住民の 3 8 . 4%が自殺による死別体験を持っていた. 2)自殺に対する意識としては 「 悲 しいこと」
という感情反応が最 も多かった.意識については年齢段階や自殺による死別体験の有無によって傾向に違いがあった.
3 )予防については 「 家族関係」と 「 経済的支援」が多かった.
以上の結果から,今後の自殺予防対策では,「 悲 しい」 という感情に配慮 し,家族関係や経済的困難に対 してより 具体的な支援をすることが望まれる.
Ⅰ. は じめ に
日本では平成 1 0 年 に 3 万人 を超えた自殺死亡者数が, その後 も減少す ることな く高 い水準 を維持 している1 ) . また秋 田県 は平成 7 年 か ら 1 5 年 まで 自殺死亡率 ( 人 口 1 0 万対) が全 国一高 い状態 が 9 年 間続 いて いる2 ) . 冒 本 は先進諸 国 の中で 自殺死亡率 が高 い方 で あ り3 ) ,秩 田県が 日本 の中で最 も高 いとい うことは,秋 田県 は世 界的にみて 自殺死亡率が高 い地域だ とい うことになる.
稲村 は自殺 を 「自 ら自己の命 を絶 とうとす る行為 を 自殺行為 (または自殺企 図) といい,結果 として死 に いた った ものを 自殺既遂 (または自殺),死 にいた ら なか った ものを 自殺未遂」 と定義 して い る4 ) . 自殺 の 定義で は, 自殺 しよ うと してい る本人 の意図 と, その 行為 の結果死 にいたることの予測性 に注 目す るが, 冒 殺 の動機 は複雑であ り, また意図が明確 な場合 はむ し ろ少 な く, 自殺 にいた る過程 の精神状態 は決 して普段 と同 じよ うな もので はない ことが多 い
5).自殺 は個人的な問題 と して とらえ られ る傾向がある が,決 して そ うで はない.高橋が 「自殺行動が一件起
*秋 田大学医学部保健学科看護学専攻
**秋 田大学医学部社会環境医学講座健康増進医学分野
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きると,最低 5 人が深刻 な影響 を受 ける」 と述べてい るよ うに
6),家族 を は じめ友人 や知人,職場 の同僚 な ど多 くの人が 自殺 による影響 を受 けている可能性が あ る. 自殺 は突然 の死別喪失体験 を周囲の人 に与 え る.
事故 による死亡 も突然 の死別喪失体験セ あるが, 自殺 の場合 はその意図 に気づかなか ったとい う気持 ちや, 自分が気づいていれば止 め ることが出来 たので はない か とい う自責感 を抱 かせて しま うことが多 い.
一方, 自殺で亡 くな った ことを知 っていて も,遺族 に対 して どのよ うに対処 した らよいかわか らず,話題 にす ることも避 けて しま うこともある.遺族 は突然家 族 を喪 った悲 しみを分かち合 うことが出来 ないだ けで な く,地域 の偏見 に も苦 しめ られ ることもある. この よ うに自殺 は個人 の問題で はな く周囲の人 たち との関 係性 の問題であ り,社会全体 の課題で もあ る.
Ⅱ. 目 的
今後 自殺予防活動 を展開す るために, 自殺死亡率が 高 い地域の住民が, 自殺 による死別体験をどの程度持 っ
Ke yWo r ds : 自殺予防 地域 意識
秋 田大学医学部保健学科紀要 第 1 3 巻 第 2 号
ているのか, 自殺 に対す る意識 と予防す るために何が 必要 だ と考 えているかを明 らかにす ることが本研究 の 目的である. さ らに,身近 な人 を自殺 によ って喪 うと い う死別体験 があ った人 となか った人 を比較 し,今後 自殺予防活動 を展開す る際,遺族 や身近 な人 を 自殺 で 喪 った人 に対 して配慮すべ き点 につ いて考察す る.
Ⅲ.方 法
1 .調査方法 と対象
調査 は自記式質問紙調査 で行 った.調査対象 は秋 田 県北部 に位置す る A 町であ る. この町 は調査前 3 年間 の 自殺死亡率 の平均 が 5 5. 9 であ った. この町の 4 0 歳以 上 の住民 か ら無作為抽 出法 によ って選 んだ 4 3 8 名 を対 象 に留 め置 き ・郵送 回収法 で調査 を実施 した. 2 91 名 か ら回答 が あ り,性別 ・年齢共 に回答 が あ った 2 81 名 を分析 の対象 と した ( 有効 回収率 6 4. 2%) .調査期 間 は平成 1 3 年 5 月であ った.
2. 調査 内容
調査内容 は,基本的属性 ( 性別,年齢,家族構成 な ど),身近 に 自殺 で亡 くな った人 が いたか どうか (自 殺 による死別体験 の有無) とその人 との関係 ( 家族親 戚,友人知人, その他)で ある. さ らに自殺 に対す る 考 え につ いて, 「あま り考 えない,仕方 のない こと, 恥ずか しい こと,困 った こと,悲 しい こと,何 とか し
なければ」 とい う選択肢 か ら選択 して もらった ( 複数 回答). さ らに自殺予 防 に必要 だ と思 われ ることにつ いて 「 家族関係 の改善,交流や趣味の場,保健福祉 の 充実,経済的保障の充実,行政施策 や町づ くり,特 に な し」 とい う選択肢か ら最 も必要 だ と思 うものを一つ 選択 して もらった.
3. 倫理的配慮
調査の実施 については町役場の承諾 と協力を得て行 っ た.調査 は無記名で行 い,回答 は自由で あ り,回答 し ない ことによ って不利益が生 じることはないことを文 書 と口頭で説 明 して実施 した.
Ⅳ. 結 果
1 .基本的属性
分析対象者 の平均年齢 は 61 . 2 ( ±1 2. 2 ) 読,年齢 の 幅 は 4 0 ‑1 0 0 歳,性別 は男性 1 1 7 名 ( 41 . 6%) ,女性 1 6 4 名 ( 5 8 . 4%) であ った.年齢段階別 の性別割合 は表 1 の通 りである.
家族構成 につ いて は,単独世帯 ( 同居家族 な し)が
秋田大学医学部保健学科紀要 第 1 3 巻 第 2 号
表 1 分析対象者の基本的属性
n ( %) 性 別 1 1 7(4 1 . 6 )
1 6 4(5 8 . 4) 2 8 1( 1 0 0 . 0 ) 0 0 4 5 代 代 5 5(1 9 . 6 ) 7 7(2 7 . 4) 6 0 代 7 4(2 6 . 3 ) 7 0 代 5 3(1 8 . 9 ) 8 0 代 以 上 2 2( 7 . 8 )
合 計 2 8 1( 1 0 0 . 0 )
家族構成 単 独 世 帯 2 2( 7 . 9 ) 夫 婦 世 帯 5 0(1 7 . 8 ) 二世代世帯 9 0(3 2 . 0 ) 三世代世帯 1 0 7(3 8 . 1 ) そ の 他 1 2( 4 . 2 )
合 計 2 8 1( 1 0 0 . 0 )
7 . 9% で, 三世代世帯 が 3 8. 1 % で あ った. 二世代 世帯 には老親 と自分 または自分 と子 どもの両方 のケースが 含 まれていた.
2. 身近 な人を自殺 で喪 った体験の有無
「 身近 で 自殺 した人 が いま したか」 とい う質問 に対 して 1 0 8 名 ( 3 8 . 4%) が 「いた」 と, 1 5 8 名 ( 5 6. 2%) が 「いない」 と回答 していた.無回答 は 1 5 名 ( 5. 3%) であ った.「いた」 と回答 した 1 0 8 名 に対 し, その関係 を質 問 した所, 「家族親戚」 が 5 7 名 ( 5 2 . 8%) , 「友人 知 人 」 が 2 5 名 ( 2 3. 1 %) , そ して 「そ の他 」 が 2 2 名
( 2 0 . 4%),無回答 4 名 ( 3. 7 %) であ った.
3. 自殺 に対する意識 について
「自殺 につ いて あなたの気持 ちや考 え に近 い ものを 選 んで くだ さい ( 複数 回答 )」 とい う質 問 に対 して, 最 も多 く選択 されたのは 「 悲 しいこと」の 5 0. 2% であっ た. 次 いで 「あま り考 えな い」 と 「困 った こと」 が 3 4. 5% であ った. 自殺 を 「恥ずか しい こと」 と考 えて
いる人 は 1 3. 9% であ った.
年齢段階別 にクロス集計 した所,「 悲 しい こと ( x2
‑1 7 . 1 6 3 , df ‑1 , p <0. 0 1 ) 」 と 「何 とか しな けれ ば ( x2 ‑1 6. 9 4 3 , df ‑1 , p < 0. 0 1 ) 」 において,年代 が高 くな るにつ れて選択 す る人 の割 合 が減少 して いた.
「悲 しい こと」 につ いて は 4 0 代 で 7 2. 7 % が選択 して い たのに対 し, 5 0 代 〜7 0 代 は 4 0% 台 に減少す る ( 表 2) . なお性別 による傾 向の違 いはみ られなか った.
身近 な人 を自殺 によ って喪 うとい う死別体験 の有無 と自殺 に対す る考え方 の選択 ・非選択 を クロス集計 し
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( 1
0 )佐 々木久長/ 自殺高率地域住民 の 自殺 に対す る意識
表 2 年齢階層別 ・自殺に対する意識 ( 選択 した者の人数 ・割合) 4 0 代 5 0 代 6 0 代 7 0 代 8 0 代〜 全体 あまり考えない
仕方のないこと 恥ずか しいこと 困 ったこと 悲 しいこと 何 とか しなければ
1 7( 3 0. 9 ) 6( 1 0. 9 ) 9( 1 6 . 4) 2 4( 4 3. 6 ) 4 0( 7 2. 7 ) 2 4( 43. 6 )
2 2( 2 8. 6 ) 1 4( 1 8. 2 ) 9( l l . 7 ) 3 2( 41 . 6 ) 3 7( 4 8. 1 ) 2 9( 3 7 . 7 )
2 4( 3 2 . 4) 6(8. 1 ) 7(9. 5 ) 2 0( 2 7 . 0 ) 3 5( 4 7 . 3 ) 21( 2 8 . 4)
2 3( 4 3 . 4 ) 7( 1 3. 2 ) 1 0( 1 8. 9 ) 1 5( 2 8. 3 ) 2 3( 4 3 . 4 ) 1 0( 1 8. 9 )
l l( 5 0. 0 ) 9 7( 3 4. 5 ) 2(9 . 1 ) 3 5( 1 2 . 5 ) 4( 1 8. 2 ) 3 9( 1 3. 9 ) 6( 2 7 . 3 ) 97( 3 4. 5 ) 6( 2 7 . 3 ) 1 41( 5 0. 2 ) 1(4. 5 ) 8 5( 3 0. 2 )
r: r: 0 0 0 0 rJj rJ=i rJ=i rJ=i I I n n n n p p 4 4 4 4 4 4 ニ 二 二 二 二 二 ど ∫ f ー f f d d d d d d
5 5 7 6 3 3 4 7 4 6 6 4 8 9 2 9 1 9 5 3 3 6 7 6 l l
二二
二 二 二 二 2 2 2 2 2 2 γ
∧γ ル γ 人 γ ∧ γ ∧ γ ル
表 3 自殺による死別体験の有無別 ・自殺に対する意識 ( 選択 した者の人数 ・割合) 体験有 り
あまり考えない 仕方のないこと 恥ずか しいこと 困 ったこと 悲 しいこと 何 とか しなければ
21( 1 9 . 4 ) 1 7( 1 5. 7 ) 1 2( l l . 1 ) 51( 47 . 2 ) 7 1( 6 5. 7 ) 4 0( 3 7. 0 )
体験無 し 7 4( 4 6. 8) 1 7( 1 0. 8) 2 6( 1 6 . 5 ) 4 4( 2 7 . 8) 6 7( 4 2 . 4) 4 3( 2 7 . 2 )
1 1 1 1 1 1 二 二 二 二 二 二 f f ハ・t f n.工 ー d d d d d Ju 3 8 6 8 3 3 6 2 9 8 9 8 9 4 4 4 9 8 0 1 1 0 3 2 2 1 1 二 二
二二二 二 2 2 2 2 2 2 γ ル γ∧ γ ル γ ル γ ル γ ∧
p<0. 0 01 n. S . n. S . p<0. 01 p<0. 0 01 n. S .
表 4 自殺 による死別体験有 り群の関係別 ・自殺に対する意識 ( 選択 した者の人数 ・割合) 家族親戚
あまり考えない 仕方のないこと 恥ずか しいこと 困 ったこと 悲 しいこと 何 とか しなければ
1 2( 21 . 1 ) 9( 1 5. 8 ) 5(8. 8 ) 2 4( 42. 1 ) 41( 71 . 9 ) 2 5( 4 3. 9 )
それ以外 7( 1 4. 9 ) 8( 1 7 . 0 ) 7( 1 4. 9 ) 2 5( 4 8. 0 ) 2 7( 5 7 . 4) 1 5( 31 . 9 )
01 0 rJ:i rJj rJ:i rJ=j I rJ心 n n n n p n 1 1 1 1 1 1 二 二 二 二 二 二 f f ー f ー (.工 d d d d d d 4 6 6 1 7 3 5 6 4 7 8 5 6 8 9 2 3 5 0 0 0 1 2 1
二
二 二 二
二二
∠
2 2 2 2 2 γル γル γ ル γル γル γ ル
表 5 年齢階層別 ・自殺予防に対する考え ( 選択 した者の人数 ・割合) 4 0 代 5 0 代
家族関係の改善 交流 や趣 味 の場 保健福祉 の充実 経済 的保 障 の充実 行政施策 や町づ くり 特にな し
そ の 他
) ) ) ) ) ) ) 8 5 9 6 8 7 8 0 3 1 4 5 7 5 3 1 3 ( ( ( ( ( ( ( 6 7 1 8 3 4 3 = r=
2 2( 31 . 4 ) 1 2( 1 7 . 1 ) 4(5. 7 ) 2 2( 31 . 4 ) 1(1 . 4 ) 6(8. 6 ) 3(4. 3 )
6 0 代 7 0 代 8 0 代〜 全体 1 9( 3 1 . 1 ) 2 4( 5 4. 5 ) 1 1( 5 5 . 0 ) 9 2( 3 7. 2 )
9( 1 4. 8 ) 9( 2 0. 5 ) 3( 1 5. 0 ) 4 0( 1 6. 2 ) 3(4. 9 ) 1(2 . 3 ) 0(0. 0 ) 9(3. 6 ) 2 0( 3 2. 8 ) 4(9. 1 )
1(1 . 6 ) 0(0. 0 ) 4(6. 6 ) 5( l l . 4 ) 5(8. 2 ) 1(2 . 3 )
1(5. 0 ) 6 5( 2 6. 3 ) 1(5. 0 ) 6(2 . 4 ) 4( 2 0. 0 ) 2 3(9. 3 ) 0(0. 0 ) 1 2(4. 9 )
x2 ‑32. 7 37 df ‑2 4 n. S .
た所 , 身 近 な人 を 自殺 で 亡 く して い る人 の 65. 7% に
「悲 しい こ と」 とい う情 緒 反 応 が あ り, 同 時 に 47. 2%
が 「困 った こと」 と回答 して い るの に対 し, 自殺 によ る死 別 体験 が無 い場 合 は 46. 8% が 「あ ま り考 え な い」
と回答 して いた. この よ うに死 別体 験 が あ った人 の方 が 「あ ま り考 え な い」 を選 択 した人 の割 合 が少 な く
( x2 ‑20. 963 , df ‑1 , p<0. 0 01 ), 逆 に 「困 った こ と ( x2‑1 0 . 488 , df ‑1 , p<0. 0 1 ) 」 「悲 しい こ と ( x2‑
1 3. 993 , df ‑1 ,p<0. 001 ) 」 を選択 した人 の割 合 が高 1 1 0
くな って いた ( 表 3) .
この よ うに, 自殺 した人 が 「家 族 親 戚 」 の場 合 と
「それ以外 ( 友 人知人 ・その他 ) 」 に分 けて 自殺 に対 す る考 え 方 と ク ロス集 計 した所 , 「家 族 親 戚 」 の方 が
「悲 しい こと」 を選 択 す る人 の割 合 が や や高 い傾 向 に あ った以外 は有意 な関係 性 は無 か った ( 表 4) .
秋 田大学医学部保健学科紀要 第 1 3 巻 第 2 号
表 6 自殺による死別体験の有無別 ・自殺予防に対する考 え ( 選択 した者の人数 ・割合)
体験有り 体験無 し 家族 関係 の改善
交流 や趣 味 の場 保健福祉 サ ー ビス 経済 的保 障 の充実 行政施策町づ くり 特 にな し
そ の 他
) ) ) ) ) ) ) 2 0 3 8 3 2 3 6 6 4 9 5 3 5 3 1 2 ( ( ( ( ( ( ( 4 5 4 8 5 3 5 3 1 2
5 6( 3 8. 1 ) 2 5 ( 1 7 . 0 ) 5(3 . 4) 3 5( 2 3. 8 ) 1( 0. 7 ) 1 8( 1 2 . 1 ) 7(4. 8 )
x2 ‑ l l . 37 6 df ‑6 p<0 . 1 0
4. 自殺予防 に必要な ことについて
「自殺 を予 防す るために特 に必要 だ と思 われ ること を一つ選んで ください」 とい う質問に対 して,多 く選 択 されていたのは 「 家族関係 の改善 ( 9 2 名, 3 7 . 2 %) 」
と 「 経済的保障の充実 ( 6 5 名, 2 6 . 3 %) 」 であ った.
逆 に 「 行政施策やまちづ くりの充実 ( 6 名, 2 . 4 %) 」
や 「 保健福祉 サー ビスの充実 ( 9 名, 3 . 6 %) 」 は少 な か った ( 表 5) .
性別や年齢段階とのクロスでは有意な関係性は無か っ たが,身近 な人 を自殺 によ って喪 うとい う死別体験が あ った人 と無か った人 のクロスではやや有意な関係性 がみ られ,死別体験があった群で 「 経済的保障の充実」
の割合が高 く,「 特 にな し」 や 「 交流や趣味の場 の充 実」 とい う回答の割合が低 くな っていた ( 表 6) .
Ⅴ. 考 察
1 . 自殺 に対する意識 につ いて
年齢段階が高 くなるにつれて 「 悲 しい こと」 とい う 情緒的反応や 「 何 とか しな くては」 とい う積極的に取
り組 もうとす る反応が減少 していた. また選択数 も 4 0 代か ら 5 0 代 にか けて大 き く減少す る. 5 0 代 は人生 の中 で充実 した時期であると同時に,身体的衰えが始 ま り 更年期を迎え る時期で もある.中年期 は思春期 と同様 に不安定 な時期であ り,男性 を中心 に自殺死亡率 の高 い年代である.情緒的反応 の減少や積極 的に取 り組 も
うとす る反応 の減少 は, このよ うな不安定 さを反映 し ているのか もしれない.今後の自殺予防活動 において は, このよ うな年代 による自殺 に対す る意識の違 いに 配慮す ることで, よ り効果的な対策 が可能 になると考 え られる.
身近な人 を 自殺 によ って喪 うとい う死別体験があっ た人 と回答 した人が約 4 割, その内半数以上が 「 家族 親戚」 と回答 していた ことは驚 きであった.身近 な人 を 自殺で喪 った体験 は,「悲 しい こと」 とい う情緒的
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反応 と 「 困 ったこと」 という困惑を引 き起 こしていた.
平山は 「 遺族 は,死者 に対 して憎 しみ と愛 しさの両方 の感情 を持っ」 と指摘 しているが, 「 悲 しさ」 と 「困 惑」 という反応 も自殺 した身近 な人 に対す る両価的感 情反応 だ といえよ う7 ) .
一方身近 な人 を自殺で喪 った死別体験が無 い人 の約 半数が 「あま り考えない」 と回答 していた ことは, 冒 殺 による死別体験の有無が 自殺 につ いて考え るか どう か とい う基本的態度 に影響 していることを示 している.
この ことは自殺予防活動 に積極的に取 り組 もうとす る 地域 ( 人) とそ うでない地域 ( 人) との差 にも影響 し ていると考え られ る.実際秋 田県や青森県,岩手県 な ど自殺死亡率が高 い県 は他の地域 に比べて 自殺予防活 動 に積極的にとり組んでいる.
2. 自殺予防に必要な ことについて
自殺予防 に必要 な ことにつ いては,家族 内にお ける 人間関係の改善 と,経済的保障の充実が指摘 されてい た. 自殺で亡 くなる方 の多 くは同居 している家族がい ることか ら,家族に直接介入する対策が今後必要になっ て くると考え られ るが, そのためには 「 保健福祉 サー ビスの充実」が必要 にな って くるのであろ う.具体的 には高齢者への介護保険制度 の利用, また市町村 の保 健師の家庭訪問などが考え られ る.今回 は一つ選択 し て もらう形をとったために二つの選択肢 に集中 したが, 実際の対策 は全ての選択肢が密接 に関わ り合 っている.
警察庁が発表 した 「 平成 1 6 年中における自殺の概要」
では, 自殺 の原因 ・動機別状況 として 「 健康問題」が 最 も多 く ( 遺書 あ りの 自殺者 の 3 9 . 1 %) ,次 いで 「 経 済 ・生活問題 」( 3 2 . 9 %) ,「 家庭問題 」( 9 . 7 %) とな っ て いる8 ) .今回の調査で は 「 健康問題」 とい う選択肢 が無か った分,家族関係 の改善 の必要性 を指摘す る人 が多 くな ったと思われ る.遺書か らの原因 ・動機別状 況 と住民の意識 の両方か ら, 自殺予防活動 における経 済的対策の必要性が指摘 された.
3. 自殺予防活動の進め方 について
自殺で身近 な人 を喪 った人 の半数以上が 「 悲 しいこ と」 という情緒的反応 を示 していた ことか ら, まず周 囲の人が この反応 を しっか り受 けとめ共有す ることが 望 まれ る. そのために も, 自殺 による死 を特別視す る のではな く,他 の原因 による死亡 と同 じよ うに遺族 と 悲 しみを分かち合 う雰囲気 を醸成す る必要がある.死 別体験者 の約 2 割が 「あま り考えない」 と回答 してい たが,悲嘆のプロセスの 「ショックの段階」 の反応だ と思われ る9 ) .
何 とか しなければ」 とい う回答 は, 自殺予防 に取
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