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周手術期看護実習 における知識の習得状況 に関す る評価

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(1)

(54)

原著 :秋 田大学医短紀要

10(2):156‑164,2002

周手術期看護実習 における知識の習得状況 に関す る評価

‑カンファレンスの有用性 に着 目して‑

猪 股 祥 子 煙 山 晶 子

伊 藤 登茂子 浅 沼 義 博

要 旨

周手術期看護実習 における知識の習得状況 を把握す るために,自作 の状況設定問題 を用い,実習 グ ループ毎 に実習の前後でその正解率 を比較 した。その結果,すべ てのグループで,実習後の正解率が 有意 に向上 していた。 しか し,問題の内容別 に正解率 を比較 した ところ,【 術前の呼吸】【 術当 日の看 護】【 術 中の看護】【 指導教材】の

4

項 目については,実習前 と比べ て,実習後 に有意 に正解率が向上 一した ものの,【 排疾援助法】【 術創観察】お よび,【 術後の食事指導】の

3

項 目については,実習の前 後で有意差 は認め られなかった。 さらに,実習中に行われたカンファレンスの回数 と正解率 には

r‑

0.576(p<0.05)

で相関が認め られたが,【 指導教材】に関す る正解率 は

, 1

回のカンファレンスで も有意 に向上 してお り, カンファレンスの回数だけが影響 しているのではないことが示唆 された。

はじめに

周手術期看護 とは,患者が術前,術 中,術後 の各期 に体験す るさまざまな変化 を予測 し,対 処で きるように,プロセスに沿 った看護 を明確 に した ものである。 したがって, これ らの各期 においては,個別的なケアと手術患者 に特有 な ニーズ に沿 った看護が展開 されていかなければ

看護学生 は病院実習で, この周手術期の領域 を一連 の流れ として経験 で きることが理想では ある。 しか し,秋 田大学医療技術短期大学部看 護学科 ( 以下本学 とす る)の学生 は,実習の進 め方の都合上,個 々の学生 によって実習領域や,

秋 田大学医療技術短期大学部 看護学科

156

受 け持つ患者の治療過程 も異 な り,包括的な学 習は困難 なのが現状である。そこで,個々の学 生の体験 を他のメンバー も共有す ることが可能 であるとい う, グループ単位で実習するメリッ トをいか しつつ, 自己学習やカンファレンスを 通 じて,学習 目標の達成 をめざしている。

この ような現状 の中,実習 を担当 し日々指導 に当たっている教官は,学生の実習 目標への達 成状況や実習 による知識の習得状況 について, 十分 に把握で きていない状況 にあった。そ こで, 独 自に作成 した状況設定問題 を用いて,本学 に おける周手術期看護実習 における知識の習得状 況 を評価 し,その問題点 を明 らかにする ととも

KeyWords

・ . 周手術期看護 実習評価 カンファレンス

秋田大学医短紀要 第1 0 巻 第

2

(2)

猪股祥子/周手術期看護実習における知識の習得状況に関する評価

に,実習中に行われたカンファレンスについて も分析 した。 さらに,それ らの結果 を基 に,効 果的なカンファレンスのあ り方 について考察 を 試みたので ここに報告する。

対象 と方法 対象者 と背景

平成1

3

年度 における本学

3

年次生中,消化器 外科領域で実習 した

7

グループ

36

名 を対象 とし た。

<臨地実習の方法 について>

本学 における臨地実習 は

,3

年次の

4

11月 までの2

3

過で行 われている。領域 は,母性看護 実 習,小 児看 護 実習,成 人 ・老 人看 護実 習 Ⅰ

( 内科系 : 在宅看護実習 を含 む),精神看護実習, 成人 ・老人看護実習 Ⅱ ( 外科系)である。 この

うち,成人 ・老人看護実習 Ⅱ ( 外科系)の流れ ( 図 1)は,まず,二つのグループ ( グループ 人数は

5‑6

名)が,は じめの

1

週間で手術室 と

IC

Uを見学実習す る。その後, 一方のグルー プは消化器外科病棟 か ら泌尿器科病棟へ,他方 のグループは同様 に,胸部 ・心臓血管外科病棟

(55)

か ら整形外科病棟へ と進んでい く。各実習期間 は 3週間である。 この成人 ・老人看護学実習 Ⅱ の

7

週間の間に,カンファレンスはグループ毎 に原則 として毎 日行 っている。

カンファレンスの 目的は,実習領域での学習 目標達成 に向け,他のメンバーの経験 を共有 し, 知識 との統合 を図る機会 とすることである。学 生が主体的に日々の実践の中か らテーマを決め, 一回あた り

30‑60

分で行 った。

<成人 ・老人看護 Ⅱ実習の 目標 について>

成人 ・老人看護 Ⅱ実習の 目標 は , 「 急性期 ・ 回復期 にあって外科的治療 を受 ける患者 を対象 に,既習の理論や援助方法 を臨床場面 において 応用,体験 し,対象の状態や個別性 に応 じた看 護の実践 に必要 な知識 ・ 技術 ・ 態度 を修得する。 」

とい うものである。

<周手術期看護実習の位置づけについて>

本学 においての周手術期看護実習 とは,先 に

述べた成人 ・老人看護実習 Ⅱ ( 外科系)の領域

を意味 している。そ して,本学 における教育課

程の もと,臨地実習総時間1,1

25

時間の うち

315

時間を占めている。その うち,基礎看護実習が

(3)

( 5 6) 猪股祥子/周手術期看護実習における知識の習得状況に関する評価

1

状況設定問題 の例

消化器外科領域

A

58

歳 男性

【 身体的情報 】 診断名 胃癌 術式 胃全摘術

既往歴 特 にな し 入院歴 はない 喫煙 入院前 は

40

本/ 日

食事 仕 事が ら不規則 で、急 いでたべ る ことが多い。味付 けは濃い方が好 き。

【 社会的情報 】

職 業 会社員 ( 管理職)休養 の後、復帰予定 家族 両親 、妻 と

4

人暮 ら し

【 心理的情報 】

手術前に 「 痛いのは とて もいや だ。麻酔 は ちゃん と効 くのか、途 中で切れ て しま うのでは ないか と考 える と心配だ。」 と話 していたC

A氏は手術前の検査 と して、胸部写真 、心電図、心機能 、 ( 1 )、肝機 能、腎機能、代謝 、凝 固機能 、栄養状態 、血液型

や感染症 を検査 し、手術 に関す る危険因子はない と判断 され た。

(

1 手術前 には、看護婦 が手術 に関す るオ リエ ンテーシ ョンを

(Z

行 ったO説 明 した内容 は手術 の際 に必要な物 品や手術前後の

予定な どの他 に、術前の ( 2) に重点 をおいた。 また、疑問や

不安‑は丁寧 に対応 した。 ( 3

手術前 目は夕食以降の飲食 は控 え下剤 を服用 した。 ( 4 手術 当 日は飲食 を禁 じ、手術野 の汚染や術後のイ レウスを

防 ぐ目的で

(3)

を実施 したO また、前与薬 に よる影響や術 中

(5

のデー一夕 との比較 、心理面の動揺 を知 るために

(4)

を行 った。

手術室の看護婦‑の申 し送 りでは本 人であることを確認 しあ

(6

い、身体的な情報 の他 に

(5)

について 申 し送 った。

(7

手術室の間接看護婦 は、術野の露 出が大 きい ことな どか ら起 こる

(6)

を防 ぐため、加 温マ ッ トを準備 した。 また、出血量の測定 と ( 8 同時 に ( 7) を行 って、術後の回復 の妨 げにな らない よ う注意 を

(9

払 った。 ( 10

術後、疾 の曝 出が困難 で

(8)

(9)

な どを行 った。創 部の 観 察 と して出血の有無や ( 1 0)、 ( ll )な どに注意 を したが、

経過は順調 で ( 1 2) 日日で全抜糸 となった。

吻合部の狭窄や通過障害はな く食事開始 となった。食事開始前 には、家族 に も来院 して もらい、

(13)や (14)を用いて術後 の

食事摂取 に関す る注意点 として

(15)

(16)

な どを説 明 した。

1 2 3 4

5

6 1 1 1 1

1

1 ( ( ( (

(

(

2

習得 を期待 した周 手術 期看 護 の知 識

術 中 術後

身体機能の査定 患者の心理的反応と援助 術前オリエンテーション 術前訓練

手術室看護師への申し送り

手術室の環境管理 ・術後合併症の早期発見と予防

無菌操作 と感染対策

・ドレナージ管理

麻酔導入前の看護 ・ボディイメージの障害と受容への援助 呼吸 ・循環の管理に関わる観察

・退院指導

158

秋 田大学医短紀要

1 0巻 第

2

(4)

猪股祥子/周手術期看護実習 における知識の習得状況 に関する評価

(57)

3

各 グループの実習前後の正解率

グループ 実習前 実習後

1

0.40

2 0.45 3 0.45 4 0.30 5 0.43 6 0.44 7 0.53

0.65 0.67 0.59 0.60 0.60 0.71 0.73

平均

±SD 0.43±0.069 0.65±0.056*

(*p<0.0001)

4

項 目毎の実習前後の正解率 ( 平均

± sD)

項 目 実習前 実習後

p

術前の呼吸 術 当 日の看護 術 中の看護 排疲援助法 術創観察 指導教材

術後の食事指導

0.30±0.15 0.24±0.17 0.51±0.06 0.54±0.01 0.38±0.15 0.52±0.15 0.48±0.16

0.66±1.06 0.77±0.16 0.70±0.16 0.68±0.12 0.48±0.12 0.84±0,14 0.55±0.11

0.0056

<0.0001 0.0196 0.0605 0.6406 0.0034 0.4234

5

項 目毎のカンファレンス回数 と正解率増加分

項 目 カンファレンス回数 正解率増加分

術前の呼吸 術 当 日の看護 術 中の看護 排疲援助法 術創観察 指導教材

術後の食事指導

(5)

( 58) 猪股祥子/周手術期看護実習における知識の習得状況に関する評価

1

年次

45

時間

,2

年次

90

時間行 われている

。 3

年次の実習 はローテーシ ョンによ り,周手術期 看護実習以前の学習状況 はグループにより異 な

る。

方 法

周手術期の看護 に関連 した状況設定問題 を, 実習担当教官数名で検討 を重ねた上で作成 した。

そ して,研究の主 旨を説明 し同意 を得た学生 に 対 して,臨地実習の前 ( 4 月) と後 ( 11月)に, それぞれ集合法 にて解答 を求めた。表

1

に状況 設定問題の例 を示す。

問題作成 に当たっては,習得 を期待 した周手 術期看護の知識 ( 表 2) をもとに した。内容は, 消化器外科領域 に特徴的な知識 と,合わせて, 領域 を越 えた周手術期看護の知識 についてまと めている。なお,作成 した問題 は,習得 を期待 した周手術期看護の知識 ( 表

2

)の中では,下 線で示 した内容 を含 んでいる。

得 られた解答 は,以下の分析 を行 った。

1. グループ毎 に,すべ ての問題 に関する正解 率 を実習前後で比較 した。

2.

状況設定問題

16

題 を内容毎 に以下の

7

項 目 に分類 し,項 目毎 に正解率 を実習前後で比較 した。

1)術前の呼吸 に関すること 2)術当 日の看護

3

)術 中の看護

4)排疾援助法

5) 術創の観察項 目

6

)患者指導教材 7)術後の食事指導

3.

項 目毎 の実習前後 の正解率 に及 ぼす カ ン ファレンスの影響 を検討 した

実習前後の正解率の検定では,St

udent

t

検 定 ( 対応あ り) を行い,危険率 p

<0.05

を有意 差あ りとした。 また,正解率 に及ぼす カンファ

レンス の影響 で は,回帰分析 を用 いて検 定 を 行 った。

結 果

1.グループ毎の実習前後における正解率 ( 表

3) 7

グループの実習前の正解率 は,最低

0.30

,

160

最高

0.53

,平均 ±標準偏差

0.43±0.069

であ っ た。 また,実習後の正解率は,最低

0.59

,最高

0.73

,平均 ±標準偏差

0.65±0.056

であ っ

た 。

実習 によって,正解率は有意 に向上 した。

2.

項 目毎の実習前後 における正解率 ( 表

4) 7

項 目それぞれについて,実習前後の正解率 を比較 した

【 術前 の呼吸】【 術当 日の看護】【 術 中の看護】

【 指導教材】の

4

項 目については,実習前正解 率は,各々

,0.30±0.15,0.24±0.17,0.5

0.06,0.52±0.15

であった。 また,実習後の正 解率は,各々

0.66±1.06,0.77±0.16,0.7

0.16,0.84±0.14

であった。すなわち,実習前 と比べて,実習後 に有意 に正解率が向上 した。

一方,【 排疾援助法】 【 術創観察】お よび,【 術 後の食事指導】の

3

項 目については,実習の前 後で有意差 は認め られなかった。

3.

項 目毎 の実習前後 の正解率 に及 ぼす カ ン ファレンスの影響

5

に項 目毎 に行われたカンファレンスの回 数 と正解率増加分 ( 実習後の正解率か ら実習前 の正解率 を引いた もの :実習 によ り増加 した正 解数の割合) を示す。

カ ンフ ァレンスは,【 術前 の呼吸】 に関す る ものが最 も多 く11回,次 に 【 術 当 日の看護】 に 関する ものが

7

回行われていた。 これに対応 し て,正 解 率 の増 加 分 も各

0.38,0.53

と高値 で あった。 この 7項 目より回帰直線 を求めるとY

‑0.142+0.026

Ⅹ,相 関 係 数 は

0.576(p<

0.05)

であ り,カンファレンスの回数 と正解率 増加分の間には相関が認め られた ( 図

2

)。

考 察

1.実習前後の正解率の変化 について

自作 の状況設定問題

16

題のすべての解答 に関 して,グループ毎 に実習前後の正解率 を比較 し た結果,すべ てのグループで実習後 に正解率が 向上 していた。 しか し

,16

題の問題 をその内容 の類似性 に伴 い

7

項 目に分類 して実習前後で正 解率 を比較 した ところ,【 術前の呼吸】 【 術 当 日

秋田大学医短紀要 第1 0巻 第

2

(6)

猪股祥子/周手術期看護実習における知識の習得状況に関する評価

(59)

55545.4.3.つ乙1.0 535つ乙51‑50

2 0 2 4 6 8 10 12

カンファレンス回数

2

カンファレンス回数 と正解率差

の看護】 【 術 中の看護】 【 指導教材】の 4項 目に ついては正解率が 向上 した ものの,【 排疾援助 法】 【 術創観察】お よび, 【 術後 の食事指導】の

3

項 目については,正解率の有意 な向上 は認め られない結果 となった。

実習前後 の正解率 の増加 に有意差がみ られた

【 術前 の呼吸】 【 術 当 日の看護】 【 術 中の看護

【 指導教 材】の 4項 目の うち, 【 術前 の呼 吸】

【 術 当 日の看護】 【 術 中の看護】の

3

項 目につ いては,学生が実習で,術後急性期 の状態 にあ る患者 の看護 を経験 す る頻度が多いため,経験 あるいは学習す る機会が多か った もの と考 える

また, これ らの項 目は, カンファレンスで取 り 上 げた回数が多か った ことも理解 を深 めること に有効 だった と考 え られ る。 また,【 指導教材 】 に関 しては,患者指導 に用 いる教材 に関す る知 識や経験 は,消化器外科領域以外 に,他の多 く の領域 での実習で も充分 に習得が可能 な項 目で

( 回)

一方,実習前後の正解率の増加 に有意差が認

め られなか った

3

項 目について考 える と,【 排疾

援助法】 に関 しては,吸入 ・吸引 といった直接

的な気道の浄化 を促す解答 と,体位 ドレナージ

や咳轍 とい った肺理学療法 に関わる解答 を期待

してい たが,結 果 は どち らか一 方 の記 載 に留

まって しまった こ と,そ して, 【 術創観 察】 に

関す る問題 については,抜糸 日の解答で,術後

約一週 間 とい った暖味 な知識 だったため

,7

日と

記載す る学生が多数 を占めていたことが,正解

率の向上 を妨 げる要 因 となっていた と考 え られ

た。 また, 【 術 後 の食事 指導】 に関 して は, 冒

癌術後 の食事指導 内容 とい う具体的 な指導項 目

を問 うものであったため に,実際 に胃痛術後 の

患者 を受 け持 ち,食事指導 を経験 した学生が有

利 とな り,正答 に影響 を与 えたのではないか と

推測す る。 この ように,解答 と して表現す る際,

学生 の知識 が客観性 ・重要性 の点で的確 さを欠

(7)

( 60) 猪股祥子/周手術期看護実習における知識の習得状況に関する評価

い結果であった。

2.

正解率 に及ぼす カンファレンスの影響 につ いて

カ ンファレンスの回数 と正解率 の増加分 の間 には r

‑0.57

2 (p

>0.05)

で相 関が認 め られ

た 。

カンファレンスの回数 は,学生 の学習過程 に お ける関心 の高 さや,困難 さを示 してい る と推 測す る。 よって, カ ンファレンスが多 く行 われ た項 目に関す る正解率 は上昇 していた と考 え ら れ る。

しか し, 【 指導教 材】 に関 して は, カ ンフ ァ レンスが

1

回 しか行 われていなか ったに も関わ らず,実習後 の正解率が有意 に向上 している結 果 となった。 これは,患者指導 に用いる教材 に 関す る知識 は,消化器外科領域以外 に,他の多 くの領域 での実習で も十分 に習得が可能であ り, 知識の習得 には, カ ンファレンスだけが影響 し ているのではない ことを示 している。つ ま り, カンファレンス による学生 の学習効果 は,単 に, 行 われる回数ではない ことが明 らか になった。

学生の カ ンフ ァレンスの 目的は,一 人の学生 の体験が メ ンバ ーに も共有 され,一般化 されて い くことである

2 .

。本学 において も,実習領域 の差や受 け持つ患者 の治療過程 に違いがあ りな が らも,それ ら個 々の経験 に内在す る周手術期 看護の本質 を兄いだす ことを, カンファレンス を通 して行 っている。つ ま り, カンファレンス をよ り効果的 に実施す る ことによって,経験 し ない項 目で も,学生 は, よ りリアルな印象 を得 ることがで き,経験 を通 した学習 に近い状態 で 知識 を習得 で きるのではないか と考 えている

しか し,その知識が暖味 な形 で習得 されては意 味が ない。事実,本研究では,知識の習得 を期 待 した項 目について,その解答か ら知識 として 認識 はされているだろ うと予測 で きる解答 で も, 解答 としての正 しい判 断や確実 な情報 としての 視点か らは十分 とはいえなかったために,誤答 とせ ざるを得 ない結果 もあ った。 よって, カン ファレンス によって知識 の共有化 をはかる際 に は,学生か らの フ ィー ドバ ック等 で,正 しく確

162

実 な知識 を習得 しているか とい う観点か らの確 認が大切であろう。

カンファレンスに関す る教育的効果 について の検討

3

, 1 、 や効果的 なカ ンファレンスのためには, 指導者や教員 の果 たす役割が大 きい ことが,報 告 されている

5,6

。一方で,実習 中に行 われるカ ンファレンスの意義や 目的については,教員 の みな らず,学生 自身 も認識 している ものの,実 際の場面では, カンファレンス を苦痛である と 感 じている学生 も多い

6

との報告 もある。事実, 本学での実習場面 において も,同様 の意見 を耳

にす ることが少 な くない。知識 の習得 に影響 を 与 えるカ ンファレンスを効果的 な もの にす るた め には, カンファレンス を許容 的で 自由な雰囲 気

2

とす ることも必要 である と考 える。

したが って,実習中に行 われ るカ ンファレン スは,学生 の知識 の習得 に影響 していた と考 え られる。 しか し,学生 の知識の習得 には, カン ファレンスの回数 ばか りではな く,その内容 や 方法,実施時期 な どの質的な問題, さらには, 学生 の経験 の有無等様 々 な要 因が関わ り合 って いる もの と推測 で きた。

3.

今後 の展望

臨地実習す ることの 目的の一つ として,看護 実践 にお ける知識 ・技術 ・思考能力 の統合があ る

7.

。講義 の中で学 んだ知識や技術 を,対象 で あ る患者 の生活の中に兄いだ し,それ を理論づ けることで,確 かな知識 として習得 されてい く ものであ る と考 える。実習の前後で,問題 に関 す る正解率が有意 に向上 した結果 は,ただ単 に 時間の経過 による もので はな く, この学習課程 の影響 を受 ける ものであ る とい う客観的なデー タが,今後,実習の教 育効果 を評価 す る上 で重 要 となるのではないか と考 え,今後 の課題 とい え る

さらに,学生の経験 に別 して知識が学生 間で 共有で きるように,教 師が担 うべ き役割 を認識 す ること,そ して知識 の習得 に向けた意図的な カ ンファレンスへ の参加 と,内容 は勿論 の こと カンファレンスの持 ち方 その ものへ の指導 をよ

りい っそ う行 う必要があ る と考 える

秋田大学医短紀要 第1 0巻 第 2 号

(8)

猪股祥子/周手術期看護実習における知識の習得状況に関する評価

(61)

結 論

1.周手術期看護実習 における知識 の習得状況 について,実習の前後で 自作 の状況設定問題 を作成 しその正解率 を比較 した ところ,すべ ての グループで,実習後 に正解率が有意 に向 上 していた。

2.

問題の内容別 に比較す る と, 【 術前の呼吸】

【 術 当 日の看護】 【 術 中の看護】 【 指導教材】

4

項 目については,実習前 と比べ て,実習 後 に有意 に正解率が向上 した ものの ,【 排疾援 助法】【 術創観察】お よび,【 術後の食事指導】

3

項 目については,実習 の前後で有意差 は 認め られなか った。

3.

実習 中に行 われたカンフ ァレンスの回数 と 正解 率 には r

‑0.572 (p>0.05)

で相 関が 認 め られた。

4.

実習 とい う直接 的 な体験が学生 の知識 の習 得 に影響 してい た と考 え られ るが,内容 に よっては差が生 じてい るため, カンファレン ス を効果的 に実施す ることで知識 の共有化 を 図ることが重要 である。

引用文献

1)泉 キ ヨ子 ( 1 9 99)周手術期看護の特徴.氏 家幸子監修 .成人看護学

B

急性期 にある患 者 の看護

Ⅱ.

東川書店 :

249

2)川島み ど り,杉野元子 :看護 カンファレン ス.医学書 院 :

153

3

)小松万喜子他 ( 1 991)成人看護学実習 ( 内 科系) にお けるグループ合 同 カンファレン スの教育効果の検討. 信大 ・ 医短 ・ 紀要

(17):

45‑58

4)村上愛子他 ( 1 999)成人 ・老人看護実習 2 ( 慢性期 ,終末期)の評価 一合同カ ンファ レンスを通 じて実習効果 を見 る‑.京都市 立看護短期大学紀要

24

号 :

13‑24

5)加治屋祐子 ( 1 99 9)実習 カンファレンスに

お け る臨床 指導 者 の教 育 的 か か わ り一成 人 ・老人看護実習 4 グループのカンファレ ンスの分析 か ら‑ ∴ 神奈川県立看護教育大 学校看護教 育研 究集録

24

号 :

112‑117

6)三浦祐美子 ( 1 9 99)臨床実習 カンファレン

スが効果的 に行 われる為の一考察,神奈川 県 立看護教 育大 学校 看護教 育研 究集録

24

号 :

106‑111

7)金子道子他 監修 .看護学臨地実習 ガイダン

ス 1.医学芸術社 :

8

(9)

(62)

猪股祥子/周手術期看護実習 における知識の習得状況 に関す る評価

The Evaluation ofthe Acqulrement

ofKnowledge through Nursing Practiceduring 也e Perioperative Period

‑ W ith specialreferenceto the effectivenessofthe conference ‑

Shoko INOMATA Tomoko ITOH

Shoko KENUYAMA

Y

oshihiro AsANUMA

DepartmentofNursing,College ofAllied MedicalScience,Akita University

ToevaluatetheacqulrementOfknowledgethrough nurslngPracticeduringthepenoperativeperiod,

StudentswereexaminedbeforeandafterthepracticeuslngatestOfourownmaking.

Thirty sixstudentsweredividedintosevengroups,andtheresultoftheexaminationafterpracticewas slgnificantlybetterthan thatbeforepracticeinallsevengroups.As tothedetailsofthecontentofthetest,the rateofcorrectanswersincreasedafterpracticeinfourareas:lpreoperativerespiratorycondition],lnursingon theoperativeday],lintraoperativenursing]andlteachingmaterials].Onthecontrary,itdidnotincreaseafter practice in threeareas:lhelpwithsputum excretion],lobservationofthewound]andlhelpwithpostoperative eating].

Furthermore,thereisapositivecorrelationbetweenthenumberofconferencesheldduringnurslng practiceandtherateofcorrectanswers(r=0.576,p<0.05).Therateofcorrectanswersinlteachingmaterials]

,

however,increasedsignificantlyafterpracticeinspiteofonlyoneconferencebeingheldduringpractice.

Therefore,therateofcorrectanswersisnotinfluencedbythenumberofconferencesalone.

164

秋 田大学 医短紀要 第1 0巻

2

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