大学 教育 の目 的は
、い うま でも なく 特定 学問 分野
( デ ィ シ プ リ ン
) の 概念 体系 を学 生が みず から が理 解で きる よう 訓練 す る こと にあ る。 大学 では 中等 教育 機関 とは 異な り、 知識 の完 全性 が前 提と され てい ない
。知 識は
、研 究者 の思 考の 成果 と し てあ る。 つま り知 識は あく まで も人 為的 な創 作物 とし て存 在す る。 独創 性や 革新 性は
、研 究者 の方 法と 思考 プロ セス に 依 存し てい る。 した がっ て大 学の 授業 は、 学生 の知 的関 心を 発展 させ ると とも に、 概念 操作 のス キル を習 得さ せる こと が 目 的と なる
。本 学学 習支 援セ ン ター 編『 ラ ーニ ング
・ ナビ
』は
、B
・S
・ ブル ーム の 言説 から
「 教育 に おけ る認 知レ ベル
」 を 引い てい る。 そ れに よる と教 育目 標に は、 知識
[ の暗 記]
、 理 解、 応 用、 分析
、 総合
、 評価
[判 断] ま での 六段 階の レ ベ ルが あり
、大 学教 育は 総合 や評 価と いう 高い レベ ルが 求め られ ると して い 学習 レベ ルの 高度 化を 実現 する ため には
、学 生と 教員 との 双方 向コ ミュ ニケ ーシ ョン が必 要に なる
。例 えば 論文 作成 の 実 習で は添 削指 導が 欠か せな いか らで ある
。こ のた めに 大学 教育
( 理 系 な ど 実 験 の あ る と こ ろ や 芸 術
・ 体 育 な ど 実 技 の あ る と こ ろ は 技 術 的 訓 練 を と も な う の で 当 然 だ が
) で は少 人数 クラ スで 授業 を行 う演 習・ ゼ ミナ ール が重 視さ れて きた
。し かし それ は
( 1
る)
。 国
際 政 治 学 科 の 初 年 次 教 育 に お け る 双 方 向 型 授 業 の 一 展 開
( 大 熊
)
一
(
) 一
国 際 政 治 学 科 の 初 年 次 教 育 に お け る 双 方 向 型 授 業 の 一 展 開
少 人 数 ク ラ ス 形 態 か ら フ ァ シ リ テ ー シ ョ ン 型 授 業 大 へ
熊
忠 之
か つて の 専門 課程 のよ うに 高年 次
( 三
︱ 四 年次
) 生 を主 な対 象と して いた
。教 員の 個別 的指 導は デ ィシ プリ ンの 学習 に必 要 で ある と考 えら れて いた から であ る。 新入 生に つい ては 授業 より もガ イダ ンス やオ リエ ンテ ーシ ョン に関 心が 向け られ て い た。 新入 生に 科目 メニ ュー をよ く理 解さ せ、 学内 手続 きや ルー ルを 周知 すれ ば、 大学 での 学習 は軌 道に 乗る と考 えら れ て いた から であ る。 しか し大 学の 大衆 化が 進み 学生 の関 心が 多様 化し たこ と、 加え て一 八歳 人口 の減 少に とも なう
「学 力低 下」 が大 学教 育 の 障害 とし て認 識さ れる よう にな って きた
。高 校ま での 学校 生活 しか 社会 経験 のな い新 入生 に、 大学 で学 ぶ精 神的
・物 理 的 準備 が ない とい う 事態 が判 明 した ので あ る。
「学 力低 下」 の実 態は
、 学 生の 個人 的 学力 レ ベル が一 般 的に 低下 し てい る と いう 現象 を意 味し てい るだ けで はな い。 それ は、 知的 関心 のみ なら ず精 神的
・身 体的 成長 や社 会化 など にお ける 多様 化 で もあ った ので ある
。し たが って 学力 低下 の原 因も 多様 であ る。 とは いえ 最大 の問 題は
、学 修目 的が 曖昧 なま ま入 学す る 新 入生 の増 加と いう 事実 であ った
。目 的が 不明 確な ため に、 学習 も学 生生 活も 計画 性を 欠き
、学 校や 社会 のリ ズム に振 り 回 され る学 生が 増え たの であ る。 大学 は学 生の 自発 的な 行動 を前 提と して 形成 され てい る組 織で あり また 社会 でも ある
。 学 生は 大学 の制 度へ の適 応を 求め られ るが
、自 発的 活動 はほ とん ど許 され てい る。 ガイ ダン スや オリ エン テー ショ ンだ け で は、 自発 性の 弱い 新入 生を 大学 へ適 応さ せら れな くな って いた
。と くに 大学 での 学習 が彼 らの 経験 した 学校 生活 とい か に 違っ てい るの かを
、体 験的 に自 覚さ せ、 大学 での 学修 方法 を学 ばせ るこ とが 必要 とな った
。 法学 部で は、 新入 生の ガイ ダン スを 強化 した
「オ リエ ンテ ーシ ョン
・セ ミナ ー」 を長 年に わた り実 施し てき た。 これ は 一 泊二 日の 日程 で、 科目 の内 容紹 介や 履修 手続 き、 学則 など の説 明と 個別 ガイ ダン スを きめ 細か く実 施す るも ので
、レ ク リ エー ショ ンと 親睦 をも 兼ね てい た。 他方
、初 年次 教育 の重 要性 につ いて の認 識も 高ま り、 学修 方法 の学 習を 目的 とす る
<
論 説>
修 道 法 学 三 一 巻 一 号
二
(
) 二
導 入科 目と して 講義 とゼ ミナ ール
・演 習が 開講 され てき た。 とり わけ 双方 向型 授業 を行 う基 礎演 習・ 基礎 ゼミ ナー ルは
、 法 律学 科・ 国際 政治 学科 とも ほぼ 全教 員の 担当 とさ れた
。少 人数 クラ スの 授業 では
、学 生の 積極 的参 加が なけ れば
、規 模 の 利点 を引 き出 せな い。 その ため 授業 運営 には 工夫 が要 る。 筆者 も試 行錯 誤を 重ね なが ら、 授業 改善 には かな り努 力し た つ もり であ るが
、学 生の 意欲 を十 分に 引き 出す には 至ら なか った
。 とこ ろで 最近
、組 織の 活性 化と メン バー の意 欲促 進の 手法 とし て、 ファ シリ テー ショ ンと いう 方法 があ るこ とを 知っ た。 こ れは リー ダー とメ ンバ ー、 教師 と学 生、 管理 職と 一般 職員 など の間 の双 方向 コミ ュニ ケー ショ ンを 重視 し、 一方 的な 押 し つけ とか 詰め 込み を抑 え、 参加 者の 自発 的意 思決 定と 集団 活動 への コミ ット メン トを 経験 させ
、そ の過 程で 学習 を深 め さ せる 方法 とい える
。フ ァシ リテ ーシ ョン は、 新し いタ イプ のリ ーダ ー養 成手 法と して
、あ るい は組 織や プロ ジェ クト
・ チ ーム の効 率化 手法 とし て、 企業
、国 際機 関、 NG Oな どで 採用 され てい る。 とく にフ ァシ リテ ーシ ョン に不 可欠 な活 動 と され るワ ーク シ ョッ プに おい て 多岐 にわ たる ス キル
( 技 法
) が開 発さ れ、 その 教育
( 企 業 内 教 育 を 含 む
) へ の応 用が さ ま ざ まな 分野 で試 みら れて いる
。こ の方 式で 百人 規模 の授 業を 実施 して いる 米国 の大 学院 の事 例さ え報 告さ れて い
ま た 近年 国際 開発 に おい て住 民参 加型 開発 手法 が 重視 され
、女 性や マ イノ リテ ィな ど立 場の 弱 い住 民の エン パワ ーメ ント をタ ー ゲ ット にし た事 業が 実施 され てい る。 エン パワ ーメ ント とは
、発 言力 の弱 い住 民が 改革 を担 う当 事者 とし て開 発に 参加 す る よう に支 援す るこ とを 指す 概念 であ り、 さま ざま の分 野で 提唱 され てい る新 しい アイ ディ アで あ
国 連機 関や 各種 N G Oの フィ ール ド報 告は
、途 上国 農民 のエ ンパ ワー メン トに おい て、 ファ シリ テー ター とワ ーク ショ ップ が鍵 をに ぎる と 指 摘し てい る
。多 く の実 例か ら みて
、フ ァ シリ テー ショ ンは
、学 生の エン パワ ーメ ン ト( 意 欲 高 進
) や相 互 学習 の拡 大に か な り期 待で きる よう に思 われ る。 本稿 の目 的は
、フ ァシ リテ ーシ ョン 型授 業へ の転 換と いう 視点 から
、筆 者の 基礎 ゼミ 運
( 2
る)
。
( 3
る)
。 国
際 政 治 学 科 の 初 年 次 教 育 に お け る 双 方 向 型 授 業 の 一 展 開
( 大 熊
)
三
(
) 三
営 の経 験を 検討 し、 より 効果 的な 参加 型授 業の ため のノ ウハ ウを 蓄積 する こと にあ る。 一
国 際 政 治 学 科 に お け る 導 入 教 育 の 発 展 国際 政治 学科 では 一九 九〇 年の 開設 以来
、知 識の イン プッ トの みな らず
、個 々の 学生 のア ウト プッ トも 重視 して きた
。 そ れは
、政 治学 分野 の知 識が
、概 念操 作の 技術 性よ りも 事実 の外 延的 解釈 に依 存し てい ると いう 認識 にも とづ いて いる
。 ま た具 体的 な目 標と して
、事 実関 係や その 理論 的理 解と 並ん で資 料の 収集
・整 理、 分析
、文 章作 成な ど、 学習 方法 の修 得 を も重 視し てき た。 そこ で新 入生 の導 入教 育で 少人 数授 業を 行う
「入 門」 科目 が用 意さ れた
。こ の科 目は 一ク ラス 一五 人 程 度で 実施 さ れ、 学 生 と教 員お よ び学 生間 の 相互 コ ミュ ニケ ー ショ ンに よ る学 習効 果 を期 待す る もの であ っ た。
「政 治学 入門
」と か「 国 際政 治学 入門
」「 ア ジア 研究 入門
」と いう よう に
、講 義 科目 に 対応 する 形で 一〇 科 目近 くが 前期 開 講さ れた
。 学科 教員 の ほぼ 全員 が担 当 した が、
「入 門」 と セ ット とさ れ た後 期科 目と し て
「外 国文 献 購読
」 も担 当 して いた
。 科 目数 が多 かっ たの は学 科創 設に あた りメ ニュ ーを 増や すよ うに 文部 省か ら指 導を 受け たた めで あっ た。 これ らの 科目 は一 年次 必修 とし たた めに
、履 修生 は機 械的 に振 り分 けら れた
。数 年後 には 科目 のテ ーマ と受 講生 の関 心に かな りズ レが ある こと が明 らか にな り、 また 学生 から もそ れに つい て不 満が 生じ てい た。 他方
、担 当教 員か らは
、現 代史 の常 識を 欠く 学生 が増 えて いて
、そ れが 授 業の 大き な阻 害要 因 とし て意 識さ れる よう にな った
。そ の対 応は つぎ のカ リキ ュ ラム 改 訂の 課題 と なっ た。 一 九九 五年 のカ リキ ュラ ム改 訂に 際し て法 学部 は、 学部 課程 の一 貫性 を促 す意 味か ら、 専門 教育 と一 般教 育と いう 科目 区分 を廃 止し
、ま た卒 業所 用単 位を 一四
〇単 位か ら一 二四 単位 に削 減し た。 さら に必 修制 を廃 止す ると とも に、 科目 のセ
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論 説>
修 道 法 学 三 一 巻 一 号
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