『人文コミュニケーション学科論集』9, pp. 25-46 © 2010茨城大学人文学部(人文学部紀要)
−メディア界の最近のトピックを 考察する−
A study of media spin and the charging system for online information
古賀純一郎1 .はじめに(要約)
メディア界の最近のトピックを挙げるとしたら政権交代によって初めて白日の下に曝された 日米核密約に象徴される権力の情報操作と、深刻な危機に陥っている日米欧の新聞の経営の立 て直し策、具体的にはネット情報への有料課金制であろう。
情報操作は、権力の監視を担うメディアにとって避けては通れない課題である。分厚いこの 壁を乗り越えてこそ報道は輝きを増すし、この過程を白日にさらすことが情報操作を抑止する 原動力になる。透明性の高い政府は、民主主義の円滑な運営にとって欠くべからざる要件でも ある。この実現のための権力への監視、情報操作の抑止は、メディアに課された重要な責務の 一つと言える。
2009
年夏の政権交代によって明らかになった沖縄返還をめぐる核関連の日米密約は、情報 操作の最たるものである。国家の“犯罪”
を裏付ける電信文を当時入手した毎日新聞記者西山 太吉が突き付けた、「まぎれもなく密約は存在している」、との指摘に対し政府は、国会などの 答弁で「そうした事実はない」とシラを切り続けて来た。裁判の過程でも、否定し続け、この 結果、有罪の刑が西山に下された。密約はないと情報操作し続けた政府の行為。これは主権者である国民に対する悪質な背信行 為に他ならない。スクープした西山は、機密漏えい罪で起訴され、有罪判決に服した。毎日新 聞も西山をかばい切れず、退社を余儀なくされた。
これは、まさに、言論弾圧である。“戦後最大”と表現してもよいのではなかろうか。メディ アは、なぜ、西山を当時守り切れなかったのか。戦後最大の言論弾圧に一致して団結し、圧力 に抗することができなかったのだろうか。今一度、約
40
年前を振り返り、問題を整理し、政 府の不正、情報操作を厳しく検証、指弾。責任の所在を明確化させることが必要であろう。も ちろん、メディア側の責任の整理も重要だろうし、判決を下した司法の責任も検証されてしか るべきだろう。この論文が考察するもう一つのテーマ。オンライン情報への課金制は、実現すれば、ネット 社会に突入して以来最大の、歴史的画期と位置付けられよう。当然のように受け入れられてき た「ネット情報は無料」という考え方が
180
度転換するからである。まさに、革命的な変化で ある。これが、本当に実現するのか。ここ
1 2
年の推移は、注意深く見守る必要があろう。アマ ゾン・ドット・コムの「キンドル」やアップルの「iPad(アイパッド)」に代表される新たな 電子情報端末が売り出された。これを通じて閲覧可能な有料の新聞記事、書籍、雑誌の情報が 課金制にどういう影響力を及ぼすのか。目が離せないところである。最近の情報操作の実態と 課金制に対するメディアの動きなどを分析した。なお,編集上の都合で登場人物の敬称はすべ て省略した。2 .情報操作
1 )完全に操作、ホワイトハウス報道官
国家、言いかえれば、政府・政権による情報操作は取り立てて珍しいものではない。それは 日本ばかりではなく、欧米諸国にもみられる。いや、情報戦を重視する欧米にとって当然のこ とかもしれない。
政府・政権は、立案した政策を円滑に進めるため情報操作に日常的に腐心していると考えて よい。それは、日本も同様で、霞が関の公官庁、地方自治体、一般企業など組織との名前が付 くところは、社会で活動を続けている限り、濃淡の差はあるだろうが、これに手を染めている のは間違いない。
米ホワイトハウスの報道官を務めたマーリン・フイィツウォーターは、その著書の中で、
「ホ
ワイトハウスほど完全な情報操作が出来る組織はない」(1)と振り返っている。戦争に直面すれば、敵を利する不利な情報は隠すし、誇大妄想的な事実をねつ造。これを公 式見解として対外的に公表する。
筆頭が、ヒトラーが率いたナチスドイツであろう。総統のヒトラーは、ゲッベルスを宣伝相 に据え、新聞や雑誌はもちろん当時は先進的なメディアに分類されたラジオや映画を駆使し、
目指す目標の実現のため情報を徹底的に操作した。芸術の領域まで高めたとの評価もある。
それは、戦時体制下の日本も同様である。敗色が濃くなっているにもかかわらず戦意高揚の ため大本営が率先して事実とはかけ離れた公式発表を垂れ流し、それを新聞、放送が報道し続 けたことが知られている。新聞の戦争責任が浮上するのは、こうした情報操作をあおるような 事実があったからである。
ただし、総力戦が終了した戦後は、進駐した連合軍総司令部(GHQ)の指導もあって政府 の宣伝機関(プロパガンダ)であり続けることを拒否。戦時中に続けられていた検閲も廃止と なる。
パックスアメリカーナの下、米国流のジャーナリズムが世界に流布、民主主義の一端を担う メディアは、むしろ、権力の監視役を果たすという重責が課された。調査報道により権力の不 正を暴露することが大きな使命のひとつとなったのである。
時の大統領ニクソンを辞任まで追い詰めた、米ジャーナリズムの金字塔と称賛されるワシン
トン・ポストのウォーターゲート事件
(1972 74
年)、あるいはニューヨーク・タイムズがすっ ぱ抜いたベトナム戦争関する秘密報告書、いわゆるペンタゴンペーパーズ(1971年)などが その代表格。日本の報道では、今太閤ともてはやされた当時の首相田中角栄を辞任にまで追い 詰めた立花隆の文芸春秋に掲載された記事「田中角栄金脈」、朝日新聞のリクルート事件、現 在は廃刊となった雑誌「フォーカス」(新潮社)などの「桶川ストーカー殺人事件」、北海道、高知新聞の「道警、県警裏金問題」などがある。
2 )核密約
2010
年3
月に公表された外務省の日米の核密約に関する外務省調査結果と有識者委員会の 検証報告書は、前年夏の総選挙に伴う政権交代によって初めて実現した。鳩山由紀夫内閣で外 相に就いた岡田克也は直後の9
月に、米軍の核搭載艦船の日本通過・寄港を黙認してきたとさ れる核密約など日米間の密約を検証するための有識者委員会を設立、調査・検証を開始した。対象となったのは
4
つの密約。朝日新聞によると、第1
は日米安全保障条約の改定時の核持 ち込み。つまり、核積載の艦船などの寄港・通過について、核持ち込みに必要な事前協議の対 象から除外する。第2
は米軍の自由出撃で、朝鮮半島有事の際の米軍の戦闘作戦行動を事前協 議なしに認める。第3
は沖縄への核再持ち込み。これは、沖縄返還後に重大な緊急事態が発生 し、米政府が核兵器を再び持ち込む場合に、日本側は事前協議で承認するというのが内容。最 後は沖縄返還時の原状復帰費の肩代わり。返還協定で米政府の負担が決まっていた原状回復補 償費を日本が肩代わりする。(2)このうち、第
1
の核積載船の核持ち込みについて委員会は暗黙の合意という「広義の密約が あった」との認識を表明。第2
の米軍の自由出撃は日本側に密約との認識があったのは確実と 断じた。第3
の核再持ち込みは、「必ずしも密約とは言えない」と評価、第4
の沖縄返還の回 復費の肩代わりは非公表の合意があり、これも「広義の密約」に該当すると指摘した。第
4
の沖縄返還費用の肩代わりについては、別の展開もあった。外務省が有識者委員会の報 告書を公表した3
日後に当時の財務大臣の菅直人が記者会見。日本政府がニューヨーク連邦銀 行にしていた無利子預金との関連で「広義の密約があった」との談話を発表した。(3)実は、外 務省だけでなく財務省も密約に大きく関わっていたのである。米国側の公開された文書で、沖 縄返還に伴う通貨交換で得た最低6000
万ドルを連銀に無利子で25
年間預け、発生する1
億2000
万ドルの利益について、返還協定外の裏負担と指摘されていた。財務省は、外務省と同 様、密約を一貫して否定し続けていたのである。第
1
の核持ち込みは、日本政府が1968
年に核兵器搭載の疑いのある米艦船の寄港・通過を 黙認する立場を固め、その後の歴代首相や外相らも了承していたことが判明。寄港の可能性を 知りながら「事前協議がないので核搭載艦船の寄港はない」との虚偽の答弁を繰り返していた ことが分かった。(4)なぜ、こうした情報操作が公然と行われ、国会でも虚偽の答弁が繰り返されたのだろうか。
つい先日まで日本の最高権力者であった元首相の麻生太郎は、外相時代の
07
年3
月の参院予算委員会で「この種の密約は一切存在していないというのが我々の基本的な立場」と答弁して いる。(5)
麻生の発言の
35
年前に遡る1972
年4
月の衆院予算委員会でも当時の外相の福田赳夫は、こ う答弁している。「秘密外交とは何ぞや、私の理解するところによりますれば、これは裏取引、相手国との間
の国民に知らせない取引があってこれが両国を義務づけておる、こういうことではあるまい か、そういうふうにおもいますが、そういうようなことがあったらこれはたいへんなことで す。これは民主国家社会において、許されるはずのものじゃない。渡部さん(質問者)は、何 かそういう色彩がこの協定につきまとっているのじゃないかというような前提でのお話でもあ りましたが、さようなことがないのだということは、るる申し上げているとおりであります」。白昼堂々とシラを切っていた。(6)
協定に関して、よくも嘘八百をそれもシャーシャーと、国の最高機関である国会で言えるも の、と恐れ入る。自ら政府答弁で、「民主主義社会では許されないこと」と前置きし、出鱈目 をしゃべっているのである。政府家の発言というのが信用ならないことがこの辺りからも匂っ て来ると考えるのは私だけだろうか。
憤懣やるかたないのが、沖縄返還費用の密約をコラムで取り上げ、その違法性を世の中に問 うた当時の毎日の西山ではないだろうか。
1971
年6
月に調印した沖縄返還協定で、米軍用地復元補償費400
万ドルは、米国が日本へ「自発的支払いを行う」と記されていた。だが、西山は、肩代わりの事実を外務省女性事務官
から入手した極秘電信文で突き止め、コラムにしたためた。同時に、その電信文を社会党議員 横路孝弘に流し、横路らは密約の存在について72
年3
月、国会の衆院予算委員会で追求。電 文を政府に横路が見せたことで機密電文の流出が明らかになり、西山と外務省事務官は、国家 公務員法違反容疑で逮捕された。(7)起訴状には、電文入手の際の両者の個人的関係、つまり、「女性事務官をホテルに誘ってひ そかに情を通じ」という表現が書き込まれていた。週刊新潮や女性誌は、これに飛びつきス キャンダラスな報道(8)がスタート。「言論弾圧」、「不当逮捕」、「知る権利」を守れとの、キャ ンペーンを張っていたメディアは、この瞬間に腰砕けとなる。「機密漏えい」が、週刊誌的な 男女間の「スキャンダル」にすり替えられたのである。密約報道を事実無根の誤報にしたい政 府にとっては好都合のことだったろう。
ちなみに、「情を通じて」との表現を思いついたのは、後に参院議員となった元札幌高検検 事長などを務めた民主党の故参議院議員佐藤道夫である。
ここに興味深いテレビ番組がある。2006年
3
月に放映された沖縄密約を特集したテレビ朝 日の番組「モーニング」である。キャスターの鳥越俊太郎に対し、佐藤は当時を回想し、「い やぁ、ですから、少しね、言論の弾圧といっている世の中のインテリ、知識層、あるいはマス コミ関係者なんかにもね、ちょっと痛い目にあわせてやれと」「それ見ろ、と私ほくそ笑んで いたんですけどもね」と語った。(9)佐藤の思惑通り、世間の関心は「西山氏の取材方法
」
に集中、密約は完全に吹き飛 ぶ。国民の目を密約から何とかそらしたいと考えていた検察の情報操作がズバリ当たった。徹底抗戦の構えだった毎日新聞は起訴状が提出された日に「本社見解とおわび」を本紙に掲 載した。西山の取材手法に読者が反発、部数の激減に歯止めが掛からなくなったからである。
裁判の過程で検察側証人は、国会での答弁と同様、偽証を続ける。沖縄返還費用の肩代わり に絡む秘密書簡について
1
審での検察側証人の当時の外務省アメリカ局長の吉野文六は「発出 していない」と証言した。日米双方の文書が確認されている今、偽証であることは明確である。裁判の結果、1審で外務省事務官は有罪(懲役
6
カ月、執行猶予1
年、控訴せず)、西山は1
審の無罪が2
審では、逆転有罪となり、78
年6
月、最高裁で確定(懲役 4
カ月、執行猶予1
年)した。(10)偽証に基づく一連の裁判結果が不当なものなっているとはいえまいか。
振り返るとなぜ、毎日は、「知る権利」を盾に西山を擁護する姿勢を堅持し続けなかったの か疑問が残る。
3 )イラン戦争での情報操作
ⅰ)1930年代から─米国
冒頭に取り上げたホワイトハウスの報道官のコメントのように欧米での情報操作は日常茶飯 事である。共同通信社のワシントン特派員を経験した佐々木伸は、1992年に著した「ホワイ トハウスとメディア」(中公新書)の中で
4
年間の在米勤務を振り返り、こう語っている。「とりわけあからさまなメディアコントロールが日常茶飯事であったレーガン政権では、テ
レビが優遇され、ニュースの中身よりもよりセンセーショナルな映像を取れるかどうかにメ ディア側の関心が集まった。そこには真実を追求し、政府の行動を監視するという伝統的なア メリカのジャーナリズムの原則からはずれ、政権ともたれあい、ホワイトハウスに情報操作さ れるメディアの姿があった」。(11)同じく共同通信社のワシントン支局長を経験した藤田博司も「アメリカのジャーナリズム」
(岩波新書)の中で、「アメリカの政治で情報操作、メディア対策が大きな比重を占めるのは、
何もいまに始まったことではない」「イメージ優先のメディア戦略は、1991年のペルシャ湾岸 戦争でも大々的に展開された。このときもメディアは、ブッシュ政権と軍部の巧みな情報操作 にほとんどなすすべなく押し切られた」と指摘している。(12)
では、いつ頃からこうした操作がはじまったのか。米国では、情報操作のことをスピン
(Spin)という。Howard Kurtz
の「Spin Cycle」によると、このスピンが始まったのは、世界恐 慌後の1933
年に米大統領に就任したフランクリン・ルーズベルトあたりだった。(13)ルーズベルトは、不況脱出のためケインズ経済学的手法である財政出動による経済への大規 模介入をスタート。小さな政府から大きな政府へと変貌を遂げつつあった頃。政策の実現のた めにメディアを通じて国民の支持を取り付けることが重視され始めた時代である。バックグラ ンドブリーフィングを重視し、メディアを思い通りに操作した。情報にありつきたい記者ら は、ルーズベルトの反感を買うような批判記事の執筆を自然と避けるようになった。炉辺談話
というラジオ番組を通じて国民に直接働きかけ、絶大な人気を博したことでも知られている。
これも一種のスピンだろう。
1963
年に凶弾に倒れた悲劇の大統領ケネディは、記者会見を初めてテレビ中継させた。テ レビの威力を本能的に分っていたということであろう。キューバ危機に際して、ニューヨー ク・タイムズに報道の抑制を迫り、取り付けた、いわば一種のスピンもよく知られている。ⅱ)ニジェール疑惑─米政権
最近の情報操作といえば、ブッシュ政権下でのイラク戦争だろうか。2001年
9
月11
日の同 時多発テロへの報復であり、軍事行動を開始したその大義は、フセイン政権の大量破壊兵器(Weapons of Mass Destruction)の保有を確認したというものだった。
だが、WMDは、今もって発見されていないし、米政府調査委員会によりこの存在は既に否 定されている。(14)
開戦前、ブッシュ政権は、WMDの脅威を盛んにあおった。その一つが、被害を受けた女性 の名前を取って俗にプレイムゲート(CIAリーク事件)とも呼ばれる情報操作である。01年 ごろ米国内で、サダム・フセインがアフリカのニジェールから核兵器原料のウランを密かに入 手しようとした疑惑が浮上。これは、国際原子力機関(IAEA)から偽情報と断定された。
だが、米政府首脳部らは、強硬姿勢を崩さず、03年
1
月の政府の一般教書で大統領のブッ シュは、イラクは核開発中と非難。同3
月に米軍はイラクに侵攻した。WMD
との関連で、同疑惑の調査依頼を米国中央情報局(CIA)から1
年前に受け既に結論 を提出していた米国の元駐ガボン大使は、あらためて「そうした事実はない」
と反発。さらに、ニューヨークタイムズなどの紙面で政府の情報操作を非難した。
これを不快とした大統領側近が、こともあろうに、「同大使の妻はスパイ」との最高機密を 親しい記者らに意図的にリーク。この行為は、米国では、罪に該当する。このため誰が、この 情報を流したのかを突きとめるため直ちに特別検察官が任命され、究明活動がスタートした。
そして判明したのが、ワシントン・ポストなどをはじめとする名うての記者らに対するブッ シュ政権中枢部からの機密を含む一連の情報提供だった。(15)もちろん情報操作を目的としてい る。
そのうちの一人は、ニューヨーク・タイムズのジュディス・ミラー記者であった。テロとの 戦いに血道を上げるブッシュ政権の宿敵、サダム・フセインの
WMD
疑惑を煽りに煽った記 者で、後にタイムズは、ミラー記者の一連の記事が「浅薄な記事の典型」と認め、謝罪した経 緯がある。(16)ウォーターゲート事件で名を馳せたワシントン・ポストのボブ・ウッドワードもこのリーク を受けていた。ミラー記者と大差なかったのである。原寿雄はその著書の「ジャーナリズムの 可能性」(岩波新書)で、「ジャーナリスト達は、政府高官による、その違法行為こそ問題にす べきなのに、元大使の妻が
CIA
情報官であることだけを報道した」と情報操作に乗った安易 な姿勢を厳しく批判している。(17)あたかも真実であるかのように情報をプレイアップ、一定の世論形成を目指し影響力の大き
いメディアの記者らにリーク。「ライバルは誰も知らない」と耳打ちされた記者は、思惑通り、
特ダネと銘打ち大々的に報道する。権力機構の思う壺である。かくして情報操作は成功。イラ ク侵攻作戦が一段と容易になる。権力監視の役割を忘れた記者、報道機関・その使命は一体ど こにいったのか。反省さえも聞かれないのは一体どういうことだろう。
ⅲ)スピンドクター─英政権
イラク戦争の大義とされた
WMD
報道では、英国では米国以上の情報操作があった。これ により米国と歩調を合わせてイラク戦争に参戦した。その結果、多くの英兵の命が失われ、負 傷者も出た。国家が決断し、イラク戦争に派遣された兵士が犠牲となった遺族にとって情報操 作があったとすれば耐えがたいことであろう。在英のジャーナリスト小林恭子著の「情報操作がブレア政権の汚名に」(18)などや同氏のブロ グ「小林恭子のメディア・ウオッチ」(19)によると、イラク戦争当時の政権を担当していた労働 党の情報操作(スピン)は徹底していた。
それは政権奪還のための野党時代からの奮闘の成果ともいえる。1997年の政権交代は労働 党の新しいイメージ作りが成功した広報戦略が結実したと行っても過言ではない。
組織的なスピンは、ゴードン・ブラウン
(前首相)、ピーター・マンデルソン、アラスター・
キャンベルらの一握りのスタッフが当たった。この一部のメンバーがスピンドクターと呼ばれ たのである。
その手法は、93年に米大統領に就任したビル・クリントンの選挙から学んだ。「ニュースの 議題を設定」「不都合なニュースが出たら徹底的に反撃」「情報提供の中央による徹底管理」な どが軸である。
英国で最大部数を誇る大衆紙サンや英タイムズ、欧州のニュース専門の衛星放送
B
スカイB
の経営権を握るルパート・マードックとの良好な関係維持にも腐心した。時には事実無根の情報なども提供、政府に批判的な報道をした記者は意図的に外した。お気 に入りの記者らは「白い英連邦」と呼ばれた。このグループ入りを認定されれば、担当者など から直接ネタが提供された。
反対に、批判的な記者を徹底的に干し、締め出すことにも精を出した。迎合する記者だけを 厚遇、情報操作のやり易い環境を整備していた。アメ(特ダネ)とムチ(特オチ、グループか らの締め出し)の使い分けが徹底してなされたわけである。
「いいことは長くは続かない」との格言があるように、このスピンは、英国民にも次第に反
感を持たれるようになる。2001
年9
月の米同時多発テロでは、スピンドクターと呼ばれる一人の電子メイルが漏えい、その内実が知られるようになった。中身は、「悪いニュースを消すにはちょうどいい」である。
同時テロは約
3000
人が死亡、6000人以上が負傷した超一級の大惨事だった。他国の話とはい え、人命に対する畏敬の念がみじんも感じられない,ぞっとする文章である。その延長戦上と して出て来たのが、これから報告するブレア政権の中での最大級のスピンである。これは、03年
5
月、英BBC
ラジオ4
の防衛問題担当記者アンドリュー・ギリガンのスクープによって初めて明らかになった。
内容は、「英政府は、情報部の意向に反し、イラクの
WMD
について誇張する表現を書き加 えた」「首相官邸の指示である」「官邸はそれが間違いであると知っていた」など。(20)「テロとの戦い」で、当時の米ブッシュ政権と共同歩調を取ってきたブレア政権は、アフガ
ン侵攻に続くイラク戦争の正当化のため報告書を2
度まとめた。ギリガンのスクープはこの報 告書に記述された内容を巡る報道である。政権は、報道を受け、首相官邸を軸に猛然と
BBC
批判を開始した。ポイントとなったのは、イラクの
WMD
に関する報告書の中の「イラクが45
分以内に核兵器と生物化学兵器を配備で き た(Iraqi force could deploy chemical and biological weapons within 45 minutes of an order to doso)」
(21)と言及した点である。報告書を受けて大衆紙は、「45分で攻撃(45 minutes to attack)」(英イブニング・スタンダー ド)、「奴(サダム・フセイン)は持っている・・・・奴を捕獲しよう(He’s got ’em let’s get
him)」(英サン)
(22)という具合にセンセーショナルな記事を掲載、大衆の恐怖心を煽った。これが奏功し、英議会は、大した反対もなく政府の計画を承認、3月にイラクに侵攻した経緯が ある。
BBC
ラジオでの特ダネ公表後、ギリガンは英日曜紙メイル・オン・サンデーに寄稿。この 中で報告書の書き加えは、スピンドクターと言われる首相官邸のトップ、アラスター・キャン ベルだったことを暴露した。一連の報道を受けて首相官邸は、内部調査を実施。その結果、ギリガンと接触し情報を漏ら した通報者を割り出し、名前を新聞にリーク。BBCへの情報提供者である政府・国防相顧問 で
WMD
の専門家デビッド・ケリー博士の存在が明らかになる。2
ヶ月後、そのケリー博士は、下院の委員会で厳しく喚問され、自宅近くの森の中で自殺した。
政府は自殺の真相解明のため国会にハットン卿を座長とする委員会、ハットン独立調査委員 会を急きょ設置。焦点となったのは、02年
9
月に英政府が公表した侵攻の前提となるイラク のWMD
に関する調査報告書に関連して番組の中でギリガンが指摘した2
つの脅威の誇張だっ た。具体的には①「差し迫った脅威はない」と草稿の段階で記されていたのが、政府の情報機 関への圧力で脅威が誇張された②サダム・フセイン大統領の命令があれば、「45分以内に」
WMD
を配備、使用できるという表現は、政府が強引に入れた─に尽きた。(23)この間、政府の 報告書は、学生が書いた論文を下敷きにした極めて安易かつ稚拙な作成過程も明らかになる。そして、翌年1月報告書がまとまった。
その要旨は①
BBC
記者のギリガンの一連の報道には根拠がない②ギリガンの主張する45
分 問題については英国情報部(MI6)が信ずるに足る情報源に基づいており何ら瑕疵はない③ギ リガンの取材手法やBBC
の編集体制、マネジメントに問題がある④ケリー博士の死因は自殺 で、他人の関与はないし、自殺の時点で取り立てて精神病でもなかった─など。(24)45
分問題 の中身の詳細な検証は意図的に避けていた。驚くほどの政府寄りの内容。その時の印象を在英のジャーナリスト小林恭子は、「ハットン 委員長が英政府を厳しく非難すると思っていたメディアは、委員会の結論を、驚きをもって 受け止めた」と指摘。例えば、インディペンデントは、「ごまかし」との見出しを一面に掲げ て批判した。(25)ガーディアンは、ハットン報告書に絡んで出版した「ハットン調査とその衝撃
(The Hutton Inquiry and its impact)」の中で「バランスを欠く」リポート
(26)と書いている。報告書で、編集体制の不備などの指摘を受けた
BBC
経営委員長のギャビン・デービスと会 長のグレッグ・ダイクは直ちに辞任、ギリガンも辞表を提出した。この時、BBCの職員らは自発的にデモを組織、「ダイクよ戻ってこい」と叫び、新聞の一面 を借り切ってダイク支持の広告を出した。
ガーディアンが実施した同報告書に対する世論調査では、回答者の約半数が「ホワイト ウォッシュ」と位置付けた。つまり、「うわべだけのごまかし」「イラク戦争で汚れたブレア政 権を洗って白く見せる」という意味である。(27)
1997
年に一時90%を超えていたブレア政権への支持率は、つるべ落としとなり 2007
年6
月時点で
29%が首相を信頼する、と答えるまで下落。68%が政府は自分の都合のよいように統
計の数字を変えていると回答するまでに信頼感を喪失した。(28)
では、ハットン報告書が
BBC
を厳しく指弾したように「問題となった個所を誤りと知りつ つ報告書に挿入した」事実はなかったということだったのか。実は、英国は、07年夏にイラクが保有していたとされる
WMD
についてハットン委員会と は別の独立調査委員会を設け、調査を開始していた。同
7
月にまとまった別の報告書では、WMDを大量に保有しているとした英情報機関の情報 は、「深刻な欠陥があり疑わしい」と指摘した。これは、ハットン報告書とは正反対の結論で ある。それまで威勢の良かったブレア首相は、「イラク攻撃に踏み切った時点で、旧フセイン政権 は配備可能な生物・化学兵器を所有していなかったことが明らかになりつつある。それを認め ざるを得ない」と陳謝するまでに後退した。
焦点の
45
分の問題について報告書は、「政府による意図的な歪曲はなかった」としながらも、
ブレア首相の議会でのイラクの
WMD
の脅威の説明は、「確実な情報に基づいているかのよう な印象を与えた」と批判した。(29)暗に情報操作を認めた形となったのである。同委員会は、当時の与党労働党議員らのみで構成されていた。ハットン委員会と同様の政府 寄りの結果が出ることは目に見えていた。
では、45分問題については白黒が付いたのか。英軍のイラク侵攻の
03
年3
月に外相を辞任 したロビン・クックは下院の演説で「イラクは大量破壊兵器を持っていないと自分は信じてい る」と語っていた。政権の内部におり、内部情報に精通しているはずなのに報告書とは正反対 の発言をしていたのである。さらに、当時の閣僚の一人であったクレア・ショートはギリガンに対し、問題の文書を作成 した際に「イラクが差し迫った脅威であると結論付けて書かれた情報機関の報告書を自分は
まったく目にしたことがない」「情報が先にあって、その情報に基づいて政策が決定されなけ ればならないのに、このケースでは、政策が先に決まっていて、それに合わせるように情報を 解釈して発表したに違いないと自分は思っているが、そうしたことは良くあることだ」とも 語っていた。(30)
ハットン、バトラー委員会とはまた別の英独立調査委員会(チルコット委員会)がイラク参 戦の経緯などの検証のため動き出し、10年
1
月、元首相のブレア、前首相のブラウンなどが 国会に喚問された。あらためて情報操作を否定したのはもちろんである。だが、同
5
月の総選挙で政権交代が実現、情勢が大きく変化している。日本は、09年の政 権交代で、自民党政権下で一切認めなかった核密約の情報操作が白日の下にさらされた。英国 は、一体どうなのか。今後の動向が注目される。3 .核密約の主犯はだれ
さて、沖縄返還に絡む核密約に戻ろう。自民党政権下で一貫してその存在を否定されてきた 密約。それがここに来て認めるまでに至った。
180
度転換した最大の要因は、政権交代である。これに関連して米通商代表部(USTR)の日本担当部長などを務めたグレン・フクシマが週 刊「ダイヤモンド」(2010年
4
月3
日号)に「日米『密約』の公開を歓迎すべし」との興味深 い論文を寄稿している。フクシマは、自らの体験を踏まえた日本の官僚に特有と思われる驚く べき事実を暴露している。内容はこうである。1980年代担当部長をしていたフクシマは、「2国間協定の中で日本政府 から非公開にして欲しい」と依頼を受けたことがあった。「別に密約でもないもの」を情報公 開が基本の米国とは正反対の、「公開せず、密約にして欲しい」という要請である。日本の官 僚による情報操作への加担要請と言っても過言ではないだろう。
90
年代初頭にも同様のことがあった。ワシントンではだれでも入手できる文書を日本政府 は、「日本国民に非公開にすべき」と米政府の担当者フクシマに懇願したのである。これも日 本国民に触れさせないための要請である。いずれも官僚主導の情報操作の策動である。こうし た手法にフクシマは、「情報を共有する相手として国民を十分に信頼しない、一部の官僚の『官
尊民卑』の思想が感じられる」と指摘している。(31)今回の核密約についてもフクシマの指摘は、通じるところがある。74年、元首相の佐藤栄 作はノーベル平和賞に輝いた。非核三原則(核兵器を造らず、持たず、持ち込ませず)がその 受賞理由である。今沖縄への核持ち込みに関する密約の合意文書が佐藤家に保管されていたこ とが明らかになっている。密約の存在を元首相は知っていたことをこれは意味する。受賞の時 点で、密約により非核三原則は、既に骨抜きになっていたことを自覚していたわけである。
にもかかわらず、元首相は知らぬ存ぜぬを貫いてノーベル賞を受賞した。失笑千万といえま いか。後世、永遠に密約には、ふたを出来ると考えたのであろうか。
さらに、密約文書の一部が破棄されたことも明らかになっている。現段階で、だれが破棄し たのかは分かっていない。外務省が保管しているわけであるから、一義的には、外相ら政治家 あるいは、外務官僚が破棄に手を染めた以外は考えられない。
朝日新聞は、
2009
年7
月11
日付の紙面で、機密文書は溶解され、トイレットペーパーになっ たとの記事を掲載している。この信憑性を当局が認めたかはともかく、都合の悪い情報は、世 界から葬ってしまおうという尊大さを感じるのは私だけだろうか。外務省の条約局長就任時に前任の東郷和彦から核持ち込み関連文書の引き継ぎを認めた元外 務次官谷内正太郎は、朝日新聞(2010年
5
月2
日付)に対し文書破棄について「記憶にない」と語っている。
今後は、今回の論文が踏み込めなかったテーマ、つまり密約の情報操作はどのようにして構 築され、展開されたのか、についても考察してみたい。さらに、「正当な取材活動の範囲を逸 脱している」として上告を棄却、有罪が確定した毎日の西山の裁判についても裁判の過程で政 府側証人らは、「密約など一切ない」とことごとく偽証を重ねた末の判決だっただけに、裁判 の是非があらためて蒸し返されるのか、注目したい。
4 .本格化する課金制
1 )はじめに
ネット情報への課金制に向けた動きが
2010
年に入って本格化している。無料で情報閲覧を 楽しんできたユーザーにとっては歓迎すべきことでは必ずしもなかろう。だが、未曾有の不況 にあえぐメディア企業にとっては、起死回生策とまではいかないものの、ひとつの朗報であ る。実現すれば、それこそ革命的な変化と位置付けられよう。ニューヨーク発共同電によると、ニューヨーク・タイムズは
11
年月からネット情報の課金 制に踏み切ると発表した。(32)かねてから課金制を主張していた世界のメディア王ルパート・マードックは、傘下の英タイ ムズ、英サンデー・タイムズのこの
6
月からの課金制をスタートさせた。社告はタイムズ・メ ディア局編集長のアレックス・モストラス名で掲載した。(33)既に、実施し、実績を上げている 英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)、米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の後 を追う形となっている。日本のメディアも例外ではない。日本経済新聞がこれまでのネット上のサイトを手直しし、
10
年3
月から新電子版をスタート。もちろん課金制である。主要紙が心ならずもネット情報の無料制を余儀なくされている中で国内では、「勇気ある決 断」、「日経が成功すれば、追随する新聞が登場する」と評価する声が聞かれる。地方紙の中に は、北日本新聞のように会員にならなければ閲覧できないサイトも登場した。
日本新聞協会が
2010
年の「新聞・通信社の電子・電波メディア現況調査」をまとめるなど課金制に向けての業界の関心は強まる一方。新聞協会報の
10
年3
月30
日号も、一面で「サイ トの有料化相次ぐ」と報じるなど関連の特集が目立つ。課金制導入に伴う収入が、経営を支える大きな柱になると見る向きは少ない。だが、活路を 開く戦術の一つと位置付けられている。
2 )先べんつけた日経
経済専門紙の日経は、10年
3
月23
日から「日本経済新聞 電子版」をスタートさせた。当 初は、初の本格的な電子新聞を創刊すると思われていた。だが、登場したのはパソコンや携帯 電話で閲覧可能な、従来と同じタイプのサイトである。これまでのホームページ「NIKKEI NET」との違いはなんだろう。創刊に合わせて特集した 日経電子新聞によると、①特ダネを
24
時間配信②市場の動きを分かり易く③おすすめ記事や 関連記事がまとめて読める④豊富な記事を簡単検索─などとその特長を説明している。最新記 事の入った紙面が配信され、パソコン、携帯電話での受信が可能。刻々と変化する株式市場な ど世界の市況の動きがチェックできる。データベース機能も活用できる。映像も楽しめとい う。これまでのサイトとの違いは、会員以外の閲覧できるニュースなど各種情報の数に歯止めが 掛けられたということだろうか。「無料で情報は提供しない」との姿勢をより鮮明にしたと言 える。
有料会員になれば、サイト上のすべての記事を読めるだけでなく、株価、人事など経済情報 の検索などが可能となる。「関心分野や閲覧の傾向に応じた『おすすめ記事』を受け取ったり、
特定のキーワードを含む記事を自動収集したりする『MY日経』機能も利用できる」(34)
。
「MY
日経」とは、自分の関心に応じた電子版を設定できる機能のことで、興味のある業種、地域、ジャンルを登録すれば、それに応じ、役立ちそうな記事を含めて自動的に記事をランキ ング形式で伝えてくれる。(35)日経が誇るデータベースも一定限度まで利用できる。
これまでのサイトは無料の分、情報量にも制限があった。特に、日経は、「3割ルール」が あると言われていた。(36)本紙で扱う記事の
3
割、記事についても全文が読めるわけではなく、冒頭の
3
割程度しか読めなかった。本紙の特集記事はサイトにはアップされていなかった。これは、日経に限ったルールではない。ネット上に記事をアップすることの是非は、新聞各 社がサービスを開始した時点から、「カニバリズム」(共食い)として、懸念されていた。(37)
無料のサイトに記事を露出すると読者は、有料の本紙の購読契約を打ち切るという悪の連鎖 である。新聞の発行部数が近年、減少の一途をたどっている最大の要因と社内では白眼視され てきた。部数が減れば、新聞の経営の大きな柱のひとつである広告収入にも影響が出る。広告 がネットへシフトしているのも新聞にとっては看取できない。いずれにしろ近い将来、経営の 屋台骨を揺るがすことになりかねない。各社の先頭を切って日経が課金制の導入に踏み切った のは、こうした背景がある。
3 )電子版
日経常務の岡田直敏によると、IT(情報技術)革命の進展を見据えて同社が電子新聞の検討 をスタートしたのは
06
年。電子新聞開発本部の中で部数が減少していた「日経金融新聞」(08 年休刊)をパソコンなどの電子媒体で紙面を閲覧できないか、との発想でスタート。1年半後 に電子新聞のモデルは完成、顧客に対し供給できる形は一応整った。だが、電子新聞は、金融 新聞をそのまま電子化しただけで、プラスアルファの情報が付加された媒体ではなかった。「これだけではどうか」という判断から、電子新聞には発展せず、金融新聞は、個人投資家
向けに08
年3
月から発売となった「日経ヴェリタス」に衣替えした経緯がある。代わって検討が始まったのが今回の電子版である。課金制では、既に実績のある英米の
FT、
WSJ
が手本となった。FT
は無料で閲覧できる記事数に制限があり、それ以上の記事を読むには代金を払わなけれ ばならない。(38)WSJ
は会員になるとニュースの全量が閲覧でき、速報も届く。国内外の市場 に上場するほぼすべての銘柄が過去のチャートを含めてチェックできるほか為替、債券、商品 先物・卸売市場などのデータもアクセスできる。「トレーダーやアナリストなど金融機関の専 門家しか使わないような専門データまで提供している」(39)。
因みに、購読料は年間
79
ドル、紙も79
ドル。双方購読すれば年間99
ドル。ニューヨーク を本拠に活動を続けているジャーナリスト津山恵子によると、ウェブ購読者の半数が本紙も契 約している。FT
とWSJ
と比較すると、今回登場した日経電子版は、確かに、双方の長所を採用したやり 方である。日経は
09
年12
月期の決算で、純損失132
億1600
万円を計上、00年12
月期に連結決算を 発表して初めての通期での赤字となった。(40)このため最近の経済危機のあおりで電子版を発表 したとの見方もある。岡田は数年前からチームを立ち上げ、数十億円の費用を投入して企業化を進めていることか ら、そのような見方には否定的でむしろ、「当初の予定より遅れた」と語っている。これまで の電子版を全面改定し、課金制が機能するシステムと理解した方が適切であろう。
ここで電子版の中身を説明しよう。日経は、①無登録読者②無料の登録会員③有料の登録会 員─の
3
種類の読者を想定している。会員にもならない無登録読者は、単に電子版を訪れ、見出しを閲覧できるだけ。見出しをク リックして全文を読もうとしても記事の中身はポップアップされてこないし、会員登録画面へ 誘導される。
無料の登録会員になるには、自分の住所、氏名、職業などの個人情報を登録すればいい。会 員になれば、有料読者向けのプレミアコンテンツの一部が読める。だが、これは限定的であ る。つまり、記事を少しだけ見せることで電子版の情報の重要性を認識させ、有料会員への呼 び水とする役割を担っている。読める記事の量に歯止めを掛けているのは、FTと同様である。
値段はどうか。単独で契約すれば月
4000円。本紙の購読者には月間契約だとプラス 1000円。
朝夕刊セット地域だと
5383
円、統合版地域で4568
円。クレジットカードで決済する。FT、WSJ
と料金では違うのか。FTだと、年間契約が前提で週3.49
ドル。(42)WSJ
だと、日 本からアクセスできるのはアジア版。年間通しが前提で週1.99
ドル。(43)日経と開きが大きい。既に、言及したように、株価を含めた企業情報などは日経ヴェリタスの読者向けの「日経 ヴェリタスマーケットオンライン」が統合される。このため記事内容、データともにすべて閲 覧可能。過去の記事の検索もデータベースサービスの日経テレコンの検索を無料で利用できる ほか、日経の記事に限り月
25
本まで読める。こう見てくると、電子版の中身は、むしろ
WSJ
により近いのではないかと思えてくる。岡田直敏によると、「まずまずの滑り出し」。10年
4
月中旬までの実績は、会員登録者数が30
万人。うち2
割の6
万人が有料会員。発行部数が300
万部だから1
割に当たる。伸び悩んでいるネット広告の収入を拡大、登録情報や閲覧履歴などを基に利用者の好みなど に応じた連動広告を導入する。
電子版導入の発表会見で日経社長の喜多恒雄は、「紙の新聞は今後も残るが、成長を期待す るのは難しい。経営基盤の強化には、デジタル分野で収益を上げることが不可欠。紙に新聞に 次ぐ事業の柱に育てたい」と強調した。(44)
4 )勇気ある一歩
新聞各社がサイトを創設した
1995
年当時、販売部門から、「本紙が売れなくなる」との苦情 が相次いだことは既に紹介した。閲覧できる情報を有料にすることで、この部数減は避けられ るのだろうか。日経電子版スタートに際し、ある業界関係者は、
「勇気ある一歩」と高く評価した。なぜ、 「勇
気」なのだろうか。それは、有料モデルがカニバニズムを超えられるかという一点に尽きると 言えよう。つまり、こういうことである。新聞社の側からすると、業績に及ぼす影響は、有料会員
5
万 人は新聞5000
部に匹敵するという。会員が5
万人増えても部数が5000
部減れば意味はない。ネット広告の料金水準が新聞の
10
分の1
だからこういう現象が生じる。300万部を発行する 日経にとって5000
部の部数は簡単に上下する数字である。電子化でハンドリングを間違えば 大打撃を被ることになる。まさに、薄氷を踏む思いで推移を見ているというのが担当者の偽ら ざる心境ではないだろうか。収益の多くを紙媒体に依存していることがこれでも容易に分か る。それは電子版の登録会員の会費設定に表れている。今回、電子版だけの有料会員には
1
カ月4000
円徴収する。本紙を購読している読者が登録する場合、つまりセット読者は、月1000
円 だけ余分に払えばいいことになっている。本紙の契約打ち切りに神経質になっている価格設定 だといえる。「電子版のみで3000
円とする案もあったが、紙への影響を抑えようと高価格が選 択された」(45)ようだ。実は、この電子版の有料読者からの料金徴収の際に販売店を通さず、クレジット決済とした
ことが意外な波紋を呼んでいる。
新聞のビジネスモデルは、これまで販売店がその中核に君臨していた。部数拡張を販売店 が担い、世界に冠たる新聞大国を築いてきたわけである。日本の新聞発行部数は、2008年で
6729
万部なのに対し人口が日本より2
倍の米国は5138
万部という具合である。(46)販売店の懸念するのは、今後の伸長が見込まれる電子版等の新規ビジネスに絡むことが出来 なければ、今後の収入減ばかりかビジネスから締め出される可能性がある。
これまで販売店が握っており、親会社側には触れることのなかった「カネのなる木」の顧客 名簿を本社が掌握する不安もある。前出の朝日新聞の記事は、配達を請け負う全国紙系列の販 売店が反発、「議論は、平行線のまま」と報じている。(47)
各社の関心は、その課金システム自体にも注がれる。要は、うまく機能するかどうかだ。つ まり、IDとパスワードを教えてもらった別人が本人になりすまして使う場合も出てこよう。
これをどうやって防ぐかである。
日経は、約
50
億円費やして構築したこの課金システムの同業他社への販売を狙っている。利用する向きもあり既に数社から問い合わせが来ている。他の新聞社が日経のシステムを利用 することになれば、課金システムのプラット・フォームが共用化することになる。統一化に向 けた業界の新しい動きが出てくる可能性も少なくない。
5 )地方紙にも動き
日経が先陣を切ったこうしたネット課金の動きは、国内のメディア界の大きなうねりになる のだろうか。
この流れは、国内と海外に分けて考察する必要がある。ここでは、国内のケースをまず取り 上げよう。
地方紙では、10年
3
月に日経がスタートする以前の08
年10
月から東奥日報(青森県)が 紙面の電子版をスタートした。パソコン用では、それに3
年先立つ05
年10
月に電子新聞を産 経新聞が立ち上げている。09
年4
月には山形新聞(山形県)が追随。神戸新聞のデイリー・スポーツ紙も10
年2
月か ら電子版をスタートさせている。朝日新聞編集委員川本裕司の取材によると、発行部数は、産 経で約1
万部、地方紙各紙、デイリー・スポーツ紙で200 400
部と推定している。(48)ウェブ新聞は、10年
1
月から北日本新聞も開始した。「コストをかけて集めたニュースをこ れ以上無料で出すべきではない」との判断で、会員でなければサイトが一切閲覧できない。定 期購読者でなければ一部を除き記事が読めないのである。新聞の定期購読者は無料。配達区域外の読者は月
2100
円払うことが閲覧の条件。約1
カ月 で約1
万2000
人を獲得、「順調に推移している」(メディア情報局長棚田淳一)。無料が基本の 現行の新聞のオンライン情報の運営手法について棚田は、「ネットの広告収入が100 1000
倍 になるなら話は別だが」とこのモデルの限界を指摘している(49)。
有料化については、朝日新聞社が「アサヒコムを課金モデル、会員限定、無料の
3
層構造に再編成する準備を進めている」(50)との報道もある。
6 )台風の目─マードック
09
年夏ごろから課金制に向けた新しい動きが欧米を中心に目立ち始めている。最も注目さ れるのは、世界のメディア王ルパート・マードックがCEO(最高経営者)を務めるニューズ
社の動きである。端緒となったのは
09
月5
月11
日のFT
の報道「News corp. looks to introduce micro-paymentsfor WSJ website (ニューズ社は、WSJ
のウェブサイトでマイクロペイメント導入を目論む)」で ある。マードック傘下の
WSJ
はサイトの閲覧に有料課金制を敷いている。マイクロペイメントと はサイト上の個別の記事の閲覧ごとに課金する方式である。実施に移す場合は課金の手法、つ まり技術的な問題がポイントになってくる。いずれにせよ、導入によって収入を少しでも増や したいとの狙いが背景にある。実は、マードックは、買収した
07
年当時、WSJの課金制を撤廃し、無料で閲覧できる体制 にすると公言していた。だが、その姿勢も
08
年のリーマンショックを契機に世界が突入した経済危機で前言を撤回 した。広告収入が激減、ニューズ社も赤字転落を余儀なくされた経緯などが背景にある。マー ドック自身、周囲に、「有料モデルが十分に機能しているのが分かった」と漏らしている。(51)「車売ります」「人求む」など欧米で主流の販売、不動産、求人、求職などの 3
行広告、い わゆるクラシファイド広告についてマードックはかつて「黄金の川だ」と限りない将来性を予 言していた。これが先の経済危機で壊滅的な打撃を受けた。その後、考え方が変化したようで ある。「川は干上がることもある」と釈明している。
(52)09
年8
月、マードックは、系列のメディアのすべてのオンライン情報を課金制にすると宣 言した。「我々が成功すれば、すべてのメディアが付いて来る」と自信のほどを見せている。これに対してニューズウィークなどが懐疑論を示した
。
(53)課金制への流れを加速させたのが、同
11
月23
日英FT
などが掲載したマードックのネット 検索最大手のグーグル攻略策である。
(54)これは、かなり衝撃的でもあった。「マイクロソフトとニューズ社は、グーグルを締め出すための交渉を開始」という度肝を抜
くような内容の記事であった。これより少し前に、マードックは、WSJなどの記事をグーグ ルのサイトに掲載しない措置を検討していることを明らかにしていた。
(55)だから、「ついにグーグル潰しに乗り出した」「あのメディア王が挑戦状を叩きつけた」と衝 撃を持って受け止められたのである。
「吸血鬼」「泥棒」「新聞ビジネスを破壊している」世界のメディアは以前からグーグルに対
し罵詈雑言を浴びせていた。多額のコストを掛けて記者を雇い、取材した記事にただ乗りし、この結果、新聞が苦境に陥ったのと対照的にグーグルが高収益を上げていたからである。
では、マードック連合は、一体何をやろうとしているのか。内容は、系列のメディア企業が
流している記事、情報などをグーグルのサイトに掲載はもちろん検索も出来ないようにするこ とである。それを目指し両者は協議中と理解すればよいだろう。話し合いは、初期的段階と 言っている。
最終的には、マードックはマイクロソフトのサイトだけに記事を提供、そして検索できるシ ステム作りを目指している
。
(56)狙い撃ちのグーグル叩きである。この方針の表明に、英グーグルの幹部は、自社の存続には、ニュースのコンテンツは必要で はない、経済的にも収入を増やすための方策として大きな部分を占めていない、と語ってい た。
本当にそうなのだろうか。直後、グーグルは、間髪いれずに新聞社サイトの有料コンテンツ について1日当たり5本の記事しか無料検索できないようにシステム変更した。対応の早さが、
グーグルの衝撃度を物語っている。
マードックがグーグル退治に躍起になっているのはなぜだろう。それは、英米を中心にネッ トビジネスで世界を支配、売り上げも大きく、その影響が甚大だからと考えてよかろう。ちな みに、株式市場での時価総額は、トヨタ自動車を上回ったとの報道もある。
7 )拡がる動き
これまで困難視されてきた課金制を取り巻く環境は
2010
年入りで流れが急速に変化した。1 月26
日にNY
タイムズがネット上の記事の閲覧を11
年から有料にすると発表。1カ月ごとに 一定の閲覧回数を超えた利用者に料金を請求するという。詳細は今後煮詰めていく。サルツ バーガー会長兼発行人は、情報収集に必要な費用の確保は、「プロのジャーナリズムの維持に 必要なステップ」と強調した。同紙は、05年にタイムズ・セレクトと銘打ったトーマス・フリードマンなど著名なコラム ニストなどの過去の記事の検索について一部有料化を実施。だが、登録者が
22
万人を超えた07
年に無料に戻した経緯がある。
(57)そうした経緯があるのにも関わらず、再度、課金制を打ち出したのは、最近の不況による広 告収入の落ち込みと経営不振がある。数年前に建設したばかりの新社屋を売却、メキシコの金 満家から巨額の融資を受けるなどして急場を凌いでいる。情況は予断を許さない。
同
4
月4
日、今度は、英タイムズ、サンデー・タイムズが6
月からオンライン上のコンテン ツに課金すると発表した。料金は2
紙へのアクセスで週2
ポンド、1日当たり1
ポンド。本紙 購読者は無料。海外の読者は、週4
ドル、1日当たり2
ドルと設定した。タイムズの編集局長ジェームズ・ハーディングは、「課金制は質の高いジャーナリズムに向 けた持続可能な経済モデルを確保するための唯一の方法」と力説している
。
(58)こうした主要新聞のみならず、例えば英地方紙でも課金制を採用する動きは、目立って増え ている。英在住のジャーナリスト、小林恭子によると、220紙を発行するティンドル・ニュー スペーパーズも
40
紙のサイトで検討中。
(59)10
年4
月27
日付の新聞協会報が特集した「米・欧新聞界 デジタル情報有料化へ」
によると、米国はもちろん独仏、中国などでもこうした動きが見られる
。
(60)米国では、新聞グループのうち、メディアニューズ、マックラチーが数十ある傘下の新聞の うち
2
紙程度を選び、課金制への転換を読者が受け入れられるか見極めようとしている。メ ディアニューズは5
月から、マックラチーも間もなく開始する。ダラス・モーニングニューズ 紙などを発行する米テキサス州が本拠のベロ社は3
月に課金制の導入を発表した。欧州大陸では、ドイツのアクセル・シュプリンガ―傘下の
2
紙が10
年2
月から課金制を開 始すると発表。料金は、7ドルと11・30
ドル。フランスのフィガロも
2
月に課金制を発表。ネット上の情報を3
種類に分ける方式を採用。料金は月額
8 19
ユーロ。ルモンドは3
月下旬から課金制を開始、今後、その範囲を広げる。最も安い価格は
6
ユーロで、ウェブの新聞コンテンツ、アーカイブズ、ニューズレター、速報 が閲覧可能となっている。以上から判明するように、不況に直面し、メディア企業の経営が崖っぷちに追い込まれた末 の、いわば、背水の陣での決断ということができよう。それは、マードックの強硬姿勢が新聞 経営者の背中を押したと言えまいか。09年
4
月に米新聞の経営幹部が非公式に集まり、課金 モデルへの転換を協議したとの情報もある。
(61)このほか、グーグルなどの検索サイトから被害を受けている
AP
通信社が対価を支払わず、無断でニュースを利用しているフリーライーダーを突きとめるシステムを開発、料金徴収を推 進していることも無関係ではなかろう。
米新聞界挙げてのこうした協調の動きは、世界で最も厳しいといわれる米独占禁止法に抵触 する可能性がある。これについて、米司法省は、APの開発したシステムを念頭に、競争を阻 害せず、参加コンテンツ所有者とコンテンツ利用者双方に利益をもたらすとして容認する意向 という
。
(62)新聞界にとっては、朗報だろう。8 )どう出る新興勢力の動き─キンドル、アイパッド
ネットの課金制を側面支援する新たな動きも出て来た。インターネット経由で電子書籍を取 り込めるアマゾン・ドット・コムの「キンドル」とアップルの新型マルチメディア端末「iPad
(アイパッド)」の登場がそれである。
課金制支援になぜ繋がるのか。それは、これらの端末で、新聞の記事を閲覧することができ るからである。もちろん、読者は対価を支払なければならない。
キンドル、アイパッドを日常的に使う中で、有料記事の閲覧に慣れた読者がメディアの有料 サイトに抵抗感なく加入してくれる可能性があるからだ。「ネット情報は、無料」というこれ までの意識を覆す起爆剤になるかもしれない。
毎日新聞は、09年
10
月に毎日デーリーニュースがキンドル向けに有料記事の配信を開始、朝日新聞も
10
年2
月に英語版のキンドル向けに配信をスタートした。いずれも英文で記事を 閲覧する米国の読者を念頭に置いている。日本国内での関心はどうかというと、10年の春の 段階では、欧米ほどに注目される情況にはなっていない。そして今、焦点となっているのが、キンドルなどで読める新聞記事のコンテンツが増えるか どうかに大きく関わる利益分配の問題である。
残念ながら、現段階では、日本語で読める新聞がない。これも配分問題に関わっている。な ぜかというと、キンドルだと課金した収入分のうち
3
割程度しか新聞側には入らない。7割が アマゾン側に落ちる。国内の新聞は、この配分比が芳しくないためキンドルには記事を配信しない社もある。日本 経済新聞はこの比率が低水準なため提供に興味がない。そういう意味では、この配分比が生死 を決する。
ソニーは、
09
年12
月にキンドルと同様の端末を発売した。ソニーはマードックと手を組み、WSJ
などの記事の提供を受ける。ソニーの購読料の配分率は、アマゾンに比べ幾分良いよう だ。WSJ編集局長のロバート・トンプソンは、会見で「ソニーはコンテンツの価値を理解し ている」と持ち上げた。
(63)もっとも、10年5
月26
日付けのニューズウィークは、「iPadは新 聞も雑誌も救わない」との記事を掲載した。その最大の理由として、この配分比を取り上げて いる。
(64)9 )最後はタブレットか
それでは、新聞、課金制の将来は一体どうなるのか。欧米の場合は、日本に比べて広告への 依存度が大きく、販売収入はそう大きくはない。このため日本より欧米の方が課金制に熱心に なりがちな土壌がある。
発行部数はそう大きくないものの政治経済情報に詳しいことから世界的に、それも知識人の 層を中心に読まれている英
FT
はどうか。知名度に比べ発行部数は全世界で40
万部と少ない。中日新聞、東京新聞などのブロック紙を下廻る。紙面を読者に届ける紙ビジネスとしては
FT
は非効率であることが容易に理解できよう。最近の世界同時不況の中で課金モデルの成功例とされている
FT
のオンライン有料購読者は 前年比15%増の 12
万6000
人。登録ユーザーは2
倍近く増加し、200万人を超えている。09 年のオンライン広告収入は、3000万ポンド(43億円)とまずまずの実績を挙げている。
(65)これに関して在ロンドンのジャーナリスト小林恭子が、ウェブサイト「FTコム」の担当役 員に対して興味深いインタビューを自身のブログに掲載している
。
(66)この中で、FT担当役員のグリム・ショーは、①デジタル収入は全体の
21%②サイト登録者
は1170
万人、有料購読者は前年比22%増の 12
万1200
人③サイト購読者からの収入は30%増
④オンライン広告からの収入は全体の
8%⑤月間訪問者は、1
万人─などの基礎データを披露。さらに、コアとなる読者を
200
万300
万人と想定。魅力あるサイトにするために、アクセ スモデルの変更つまり、無料で読める記事の本数の変更、サイトの大きな改善、動画の増加、グラフィック等のメディアを増やす、コメント欄の拡充などを想定している。要するに、有料 読者となってすべてにアクセスしたいと思わせるサイトを作ろうとしているわけである。
さらに、紙に印刷し配達する新聞のビジネスモデルについて、「紙で収入を得ても製作費で