The Japanese Association of Management Accounting
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The Japanese Assooiation of Management Aooounting
日本 管 理会 計 学 会 誌
管 理 会 計学2004年 第12巻第2号
論 文
戦略
的管
理会 計論
一 伝 統 的管理会計論 との 対 比一
廣本敏 郎
〈論文 要 旨〉
現 代 は変革の 時 代であ り, 企 業 活 動の 構 造 と 方 法 を 絶 え ず 変 革 する こ と が 求め られてい る . 変革のベ ク ト ル合わ せ とい う役割 期待の もと に , 現 代の管理会 計システ ム に は変革におい て 企 業が進 むべ き 方 向 性 を 示 す 戦 略が組 み 込 ま れて お り, 戦 略 的 管 理 会 計 と 呼 ぶこ とがで きる,本 稿では,戦 略 的 管 理 会 計シ ス テム が 「市 場 志 向の シ ス テ ムである」,
「学 習 する組 織 を 支援する シ ス テ ム である」, 「戦 略 的 変 数 を 組 み 込 ん だシス テ ム である」 とい う3つ の特 徴 を 有 するこ と を指摘 し た上で , 特に市場志向の シ ス テム とい う観点 から検討 を 行っ て い る.そ し て, 市 場 と 組 織の 相互 浸 透 , ルース ・カ ッ プ リン グ
, 伸 縮 的分業 とい っ た概 念 を 導入 し, ネ ッ トワーク 組 織にお けるマ ネジ メン ト・コ ン トロ ール ・シス テ ムを 研 究 するこ と が現代の管理会 計研 究の重 要 課 題で あるこ と を 明 ら かに し てい る .
〈キーワ ード〉 イノベ ーシ ョ ン
, マ ネジ メ ン ト ・コ ン トロ ール ・シ ス テ ム
, 市 場 志 向の シス テ ム , 緩やか な 結 合 シ ス テム , 伸 縮 的分業, ネ ヅ ト ワーク組 織
Strategic Management Accounting
In
Comparison
withConventional
Management
Accounting Toshiro HiromotoAbstract We are in the age of continuous innovation. ’
lhe manufactureTs can no longer produce and marke11arger volumes of standard products with a relatively s1able markeI and technological environment . Their
management accounting systems must reinforce a lop−to−bo重電om commitment to plocess and product
innova1ion. They must mo 竃iva璽e all employees to move loward the strategies of 電he compa 血es , which determine the direction of that innovation. The following three elements 10gelher conslitu 吐e the new ヒheme of management accounting :market −drivcn management , a learn重ng organjzalion ,跚 d a s童lategic
focus. Wilh a marke トdriven philosophy, top management must ensure thal employees should stay close
竃otheir cuslomers . Fixed speciahzalion mus 霊be taken over by flexib且e specialization and nelwork organizaIion , We have 嘘o study how lo design managemenl acco 岨 ling for management contro 】of the network organizalion .
Key Words
innovation, managemenl con 豊rol system , market −driven managemenl system , loosely coup 匡ed sys 豊em ,
fiexible specialization , network organization 2eo3年12月1日 受 付
2004年1月14日 受 理
一橋 大 学 大 学院 商 学 研 究 科
3
Submitted 1, D ember 2003.
Accepted 14, Ja皿uary 2004.
Grsduate Schoo1・f Comコnerte and Martsgerrrent Mto重subashi university
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管 理 会 計 学 第 12巻 第 2号
1. は じめ に
今回の統…論題 『戦略経営と管 理 会計』 に 当 た っ て , 座長か ら 与 え ら れ た課題 「伝統的管理 会計との対 比で戦 略的管理会 計を 論 じ るこ と」 を果 た す ため に, 次の 2つ の 前提 を置い た . 第 1の前提 は, 伝統的 管 理 会計 論の 意 義 につ い て である.私 見に よ れ ば, 伝 統 的 管 理 会 計 論 は, 米国において , 1919−29年の生成期 お よ び 1930 −45年の成 長 期 を 経て , 1946−1966年に確 立 し た (拙 著, 1993).伝統的 管 理 会計論は, 情 報の 利 用 目 的の分 類 に 基づ き, 最 初 は 計 画 会 計 と 統制会計とい う体系化 が 図 ら れた が , 結局 , 意 思 決 定 会 計 と業 績 管 理 会 計の体 系に落 着 した. 第 2の前 提は J 伝 統的管理会 計の 中で 業 績 管理 会計の領域に焦点を絞っ て 報告を行う とい う
ことである.た だ し, 業績管理会 計の 中で も, 特にマ ネ ジメ ン ト ・コ ン トロ ール の ための管理 会計に焦点 を当 て る.企業行 動は 組織に よっ て行 わ れる.望 ましい企業行 動の た め に組 織 を 引
っ 張っ て い くこ とが マ ネジ メ ン ト ・コ ン トロール の課 題で ある .
近 年 は, 戦 略 的 管理会 計 とい う言い 方が よ く さ れ る が , そ の意味は 必ず し も 明確で ない .戦 略 的コ ス ト ・マ ネジ メ ン トとい う言 葉 も 同様 の不 明 確 さ が ある が , それ以上 に多 義 的で ある と 言 える.本 稿では, 現 代の マ ネジ メ ン ト ・コ ン トロールは 変 革の 時 代の マ ネジメン ト・コ ン ト
ロ ール で
ある (拙 稿, 1’988, 1999, 2000)という認識の下 に, 現 代の管理 会計は戦 略 的管理会 計である と論 じ てい る .変 革の時 代 におい て企 業 が 進 むべ き 方 向 性 を示 す もの が 戦 略である と 考 える か らで ある .
以 下で は , ま ず, マ ネ ジ メン ト・コ ン トロ ール とは 何 かにつ い て 論じ る こ と か ら始 める .マ
ネジメン ト・コ ン トロール は 管 理 会 計の 基 本 的 概 念で ある が
, その 理 解の 仕 方 も 多 様 だか らで あ る.
2. マ ネジ メ ン ト ・コ ン トロ ー ル ・プ ロセ ス
マ ネ ジ メ ン ト ・コ ン トロ ール が管理会 計の 領 域に お ける基 本用語となっ た のは, ア ンソニ ー
(R .N . Anthony)が これ を 用いて か らで ある .ア ン ソ ニ ーは , 計 画 と統 制 とい う2 っ の 職 能が 理 論的 に は明 確に 区 分 で き る もの で あ る が, シス テム設計に 役 立つ 分 類 で は ない と指 摘 し た上 で , 次の よ うに論 じた1.
「マ ネ ジ メ ン ト ・コ ン トロール は
, 企 業の継 続 的活動に関 係し てい る.そ れ は , 多か れ少 な か れ 定期的 に 反 復 さ れ る, 相互 に関連 し た一連の活 動 か らなっ てい る.… 全 体と し て 1つ の , 区 分 で きない プロ セス で あ り, そこ で は, 計画 と統 制 とい う2っ のタイ プ の活動 が相 互に作用
し, 互いに溶け 込 ん でい る.」 (A皿thony, 1964, p.4)
「(予算管理 活動の)サ イク ル は , 予算の作成と 承認 か ら始ま る が, それ は 明ら かに計画活動
で ある.し か し, 予算はま た,統 制の基 礎と し て利 用さ れる.実際, 多くの人々 は, 予算編成 活動 が統制を 行 う 主 たる手段である と主 張 してい る.予 算 年度 中に 起 こる多くの活動 が, 統 制
の 定義に一致しているこ と は 明 らかで あ る.し か し, 同時に, その プロセ スの 中で , 予算修正 と 呼ば れ る活 動 も起こ るだろう.それ は計画で ある .要する に, 計画 と統 制活 動は予算プロ セ
スの中で非 常に密 接に絡み合っ て い るので , そ れ ら を 別々 に記 述 するこ とは, 困 難であるばか りでな く, 無意味である .無意味である とい うのは, つ まり, 予算管理 プ ロ セス に 関わる 人 々 は, 通 常, 計 画 局 面 と 統 制 局 面の両方に関わ っ てい る し, ま た, 関 心が あ るか らで ある.」
(Anthony」1965, PP.11−12)
要するに, マ ネジメ ン ト ・コ ン トロ ール は
, 期間計画と統制を統合 し た プ ロセス で ある .従っ て ,
次の よ う に図 示で きる2.
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戦 略 的 管 理 会 計 論
一伝 統 的 管理 会 計 論 との対比一
図 表 1 マ ネジ メン ト・コ ン トロール ・プ ロセ ス (工)
更に, こ の 図 に イン プッ ト・プロ セ ス ・ア ウ トプヅ ト・モデル (1・P・0 モ デル)を組み込むこ と
によ り, 次の 図 を 得るS.
図 表 2 マ ネジ メン ト・コ ン トロ ール ・プ ロセ ス (Il)
フ ィ
・・・・… 計画段 階
指 示)
リコ−−−−− J
ヨ
:
ア ウ ト プッ ト 1 ・… 実行段階 b
・・・・・… 業 績 評 価 段 階
さて , マネジメン ト ・コ ン トロ ール は
,
「他の 人 間の 活 動 を 指 揮 し, あるいはそれに影 響 を 及 ぼ そ う と す る 人 間の企て」 (Antheny ,1957, p.229 .)に関 連 した 概 念で あ り,
一般 に不 確 実 な 環 境の 下で行わ れ るもの で あるか ら,次の諸点に注 意 する 必 要が あ る (拙稿 ,1984,180頁;1993,
274, 299頁).
マ ネジメ ン ト・コ ン トロ ール は
, サーモス タヅ ト の よ う な メ カニ カ ルなコ ン トロ ール と は異な り, 修正 的コ ン トロ ール の み な ら ず 予防的コ ン トロ ール を も含む .
フ ィードバ ッ ク は
, 単に実行 段階だ けで は な く, 計 画 段 階へ も 行わ れ る. マ ネ ジ メ ン ト・コ ン ト1コール ・シス テ ムの 設 計の あ り方は
,部 下の 役 割 期 待 に依 存 する. マ ネジ メン ト・コ ン トロール は ,人のコ ン トロール を 問 題に して い る .人 間の心 理 を 考 慮 し なけ れ ば ならない .例 え ば, 原価 標準が設 定さ れ , そ の実行 を指示 さ れ る な ら, 部下 は そ れ が 達 成可能で ある と 知覚 する限 りにおい て , そ の 目 標 達 成 を 動 機づ け ら れ る の で ある .その 動機
づ けの強 さ は さ ま ざ ま な要 因に依存 するで あ ろう .
第 2の点に関 しては , 例 え ば, ある原価標 準の 下で生 産 活動 が実 行さ れ る と き, 実 際 原 価 と 標 準原 価が計 算さ れ , 比 較さ れ る .そ の結果, 実際 原 価の 方が 大き け れ は , 能率が悪か っ た と か, 作業 方 法 が 不 適 切で あっ た とい う 情報が 実 行段階にフ ィー ドバ ッ ク さ れる .あ るいは, 原 価 標 準の 設定が 不 適切 で あっ た とい う情 報が 計画 段 階にフ ィー ドバ ヅ ク され
, 原 価 標準の 見 直 し が行 わ れる .差 異 情 報 は, 実 行 段 階に フ ィ ー ドバ ッ ク さ れるこ と も あ れ ば
, 計 画 段階に フ ィ ー ドバ ヅ クさ れる こ と も ある.そ れ は 差 異 分 析の 結 果に依 存 す る.
マ ネジ メ ン ト・コ ン トロ ール ・システ ムの設計は , マ ネジ メ ン ト ・コ ン トロ ール ・プ ロセス
において ,上 司 と 部 下が どの よ うに役 割 分 担 を す るか に依 存 す る. 部下に対す る 役割期 待は組
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