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2017年の高知経済の展望と課題

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(1)

2017年の高知経済の展望と課題

日本銀行高知支店

大谷 聡

(2)

自己紹介

 出身:高知県室戸市

 大学進学まで、室戸市と高知市に在住(室戸小学

校、土佐中、土佐高)

 同級生は尾崎知事など多数

 日本銀行では、主に本店(東京)とアメリカ勤務

 金融政策の立案、金融経済に関する調査研究、金

融機関の指導、国際機関(国際通貨基金)勤務

 現在は、日本銀行高知支店長

(3)
(4)

(1)世界経済の現状

○ 世界経済の成長率は、2016年第1四半期をボトムに上昇。製造業の活

動もこのところ改善。

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

世界計

先進国

新興国・資源国

(前期比年率、%)

世界計 1Q

2Q

3Q

4Q

16年 2.6

3.2

3.8

-(注)各国のGDP成長率をIMF公表のGDPウエイトで加重平均

(出所)IMF、各国統計局、HAVER、Thomson Reuters

Datastream、CEIC

▽ 世界経済の成長率

▽ グローバルPMI

(出所)IHS Markit (© and database right IHS Markit Ltd 2016. All

rights reserved.)

(5)

○ 昨年末のOPECの減産合意を受け、原油価格が上昇しているほか、

それに合わせて資源価格も上昇。こうしたコモディティ価格の上昇は、

資源国に好影響。

5

(出所)Bloomberg、日本経済新聞社

▽ 国際商品指数と原油価格

(6)

○ 先進国で家計支出を中心に緩やかな成長が持続しているほか、製造

業における在庫調整も一巡。また、中国を含む新興国では、内需が景

気刺激策により堅調に推移する中、輸出が持ち直しの動き。

- 新興国の輸出持ち直しの背景は、①スマホ関連需要の増加、②先進

国・新興国の自動車等個人消費の堅調さ、③新興国の公共投資の増加、

④素材関連を中心とする在庫・過剰設備の調整。

(出所)CEIC、HAVER

▽ 新興国・資源国の輸出

▽ 新興国・資源国の輸出の内訳

(出所)CEIC、HAVER

(7)

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

5

6

80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

先進国

新興国・途上国

世界計

(前年比、寄与度、%)

IMF予測

平均成長率(1980年~2015年):+3.5%

IMF予測

(前年比、%)

15年

16年

17年

18年

世界

3.2

3.1

3.4

3.6

2.1

1.6

1.9

2.0

4.1

4.1

4.5

4.8

先進国

新興国・途上国

(2)世界経済の先行き

○ 世界経済は、2016年をボトムに緩やかに成長率が高まる見通し。

7

▽ IMF世界経済見通し

(注)2017年1月時点。但し、グラフの実績部分は2016年10月時点。

(出所)IMF

(8)

2015年

(実績)

(実績見込み)

2016年

(見通し)

2017年

(見通し)

2018年

先進国

2.1

1.6

1.9 (

0.1)

2.0 (

0.2)

米国

2.6

1.6

2.3 (

0.1)

2.5 (

0.4)

ユーロ圏

2.0

1.7

1.6 (

0.1)

1.6 (

0.0)

英国

2.2

2.0

1.5 (

0.4)

1.4 ( ▲0.3)

日本

1.2

0.9

0.8 (

0.2)

0.5 (

0.0)

新興国・途上国

4.1

4.1

4.5 ( ▲0.1)

4.8 (

0.0)

新興アジア

6.7

6.3

6.4 (

0.1)

6.3 (

0.0)

中国

6.9

6.7

6.5 (

0.3)

6.0 (

0.0)

インド

7.6

6.6

7.2 ( ▲0.4)

7.7 (

0.0)

ラ米

0.1

▲0.7

1.2 ( ▲0.4)

2.1 ( ▲0.1)

ブラジル

▲3.8

▲3.5

0.2

( ▲0.3)

1.5

(

0.0)

新興欧州

3.7

2.9

3.1 (

0.0)

3.2 (

0.0)

CIS諸国

▲2.8

▲0.1

1.5 (

0.1)

1.8 (

0.1)

ロシア

▲3.7

▲0.6

1.1 (

0.0)

1.2 (

0.0)

世界計

3.2

3.1

3.4 (

0.0)

3.6 (

0.0)

○ IMF見通しでは、昨年10月見通しに比べ、先進国では、米国を中

心に上方修正。その一方、新興国・資源国では、ファンダメンタルズ

に脆弱性を抱えるラ米を中心に下方修正。

8

▽ IMF世界経済見通し

(注)2017年1月時点。 ( )内は2016年10月時点の見通しとの差。インドは年度ベース。

(出所)IMF

(前年比、%)

(9)

○ 選挙期間中にトランプ氏が主張した拡張的な財政支出を受けて、ト

ランプ氏当選後、株価が上昇するとともに、財政赤字拡大・インフレ

予想から長期金利が上昇。これを受け、ドル高が進行。

9

▽ 長期金利

▽ 為替

(出所)Bloomberg、日本相互証券

(3-1)トランプ政権

▽ 株価

(10)

○ トランプ氏の主張が実現されるかどうかは、議会の過半数を制した

共和党の主張とのセットで考える必要。

- この点、減税は共和党のかつての主張と同じであるため、実現可

能性が高い。一方、財政支出の拡大は、トランプ氏の主張がそのま

ま実現する可能性は低い。

▽ 政策綱領の主な相違点

(11)

○ 拡張的な政策は米国の成長にプラス効果。もっとも、それに合わせて長

期金利が大きく上昇すれば、その効果は縮小。

- さらに、保護主義的な政策が実行された場合は、マイナスの影響。

○ 多くの先ではトランプ氏の主張を割り引く形で成長率を幾分引き上げ。

11

▽ FRBによる米国の実質GDP成長率予想

調査時期

2016年

2017年

16/12月

(16/9月)

1.9%

(1.8%)

2.1%

(2.0%)

▽ FRBマクロモデルによる予測

(12)

○ トランプ氏や共和党が主張するレパトリ減税や国境税調整が実現す

れば、米国に資金が還流。

○ こうしたもとで、多くの新興国では通貨が下落。

▽ 新興国の通貨騰落率(対米ドル)

▽ トランプ大統領の法人税改革案

(13)

○ 中国では資本流出が増加しており、外貨準備も減少傾向持続。

13

▽ 中国の資本流出

(3-2)中国の資本流出

(14)

○ こうした状況を受けて、中国当局は法人や個人に対する資本流出規

制を相次いで導入。

▽ 法人に対する規制

(3-2)中国の資本流出

▽ 個人に対する規制

昨年11月末、クロスボーダーM&Aの急増、年末

の海外企業の利益送金を控え、以下の規制を非

公式に導入

①対外直接投資に関する規制

 100万ドル以上のクロスボーダーM&A、対

外直接投資を行う中核業務以外のM&A(10

億ドル以上) ⇒ 当局の許可が必要(事実

上の凍結)

 国有企業による10億ドル以上の海外不動産

投資 ⇒ 禁止

②5百万ドルを超える対外送金に対する規制

 事前報告の対象となる送金額を大幅に引き

下げ(5千万ドル→5百万ドル)

対個人では、本年1月以降、個人が外貨購入する

際(年間上限5万ドル)、銀行に提出する申請書に

おいて以下を求めるように変更

①海外での不動産、生命保険、証券の購入に用

いないとする誓約への署名

②使途(出張費、留学費、親族訪問、治療など)や

使用時期について、詳細な情報を記入

- 実質的には、手続き煩雑化を通じて、外貨

購入を抑制するための措置

(15)

(3-3)イギリスのEU離脱

15

○ 昨年6月、国民投票によりEU離脱が過半を制し、本年1月メイ首

相は、ハードBrexit(単一市場からの離脱)を表明。今後、3月末ま

でにEU離脱を正式に宣言し、その後2年かけて、新しいEUとの関

係を交渉。

▽ 離脱交渉を巡るスケジュール

時期

EUとの離脱交渉

独仏の選挙

日程

2017年3月末

離脱意思の通告

EUとの交渉

離脱条件(EU加盟国の多

数決)とEUとの通商協定

等(EU加盟国の全会一

致)を交渉

2017年5月

仏大統領選

2017年秋

独総選挙

離脱通告の2

年後

離脱

EU側が全会一致で合意

した場合、再交渉の可能

(16)

○ イギリスとEUとの新しい経済関係を巡る交渉は混迷する可能性。

ー イギリスは移民制限で妥協できない一方、EUはイギリスに移民

受け入れなしに果実を与えるという選択は取れない。

▽ イギリスとEUとの新しい経済関係の案

財・サービスに

おける単一市場

へのアクセス

金融サービスに

おける単一市場

へのアクセス

人の移動

の自由

EU予算の

拠出

司法・内

務協力

ノルウェー型

(EEA)

スイス型

(二国間FTA)

×

カナダ型

(二国間FTA)

×

×

×

×

トルコ型

(二国間FTA)

×

×

×

WTOルール型

×

×

×

×

×

(注1)○:完全参加、△:部分参加、×:不参加

(注2)金融サービスとは、金融機関が単一市場内にある国に現地法人を設立すれば、同市場内で自由に金融サービ

スを提供できることを指す(パスポート制度)

(出所)英国財務省

(17)
(18)

○ 日本経済は、基調としては緩やかな回復を持続。先行きについても、

世界経済の緩やかな回復を前提とすれば、緩やかに回復していくとみ

られる。

18

▽ 実質GDPの需要項目別動向

(出所)内閣府

(1)実質GDP

(19)

(2)輸出

○ 先進国向けは自動車を中心に着実に増加しているほか、IT関連も

新興国向けに増加。この結果、全体としても持ち直しの動き。

19

▽ 日本の実質輸出

(注)< >内は、2015年通関輸出額に占める各国・地

域、各財のウエイト。

(出所)財務省、日本銀行、内閣府

60 70 80 90 100 110 120 130 140 05年 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 世界計 先進国向け< 30.7> 新興国・資源国 向け<69.3> (季節調整済、2010年=100) -10 -5 0 5 10 15 1 3 年 1 4 1 5 1 6 新興国・資源国 先進国 世界計 (季節調整済、2013/1Q対比変化率、%) -5 0 5 10 15 1 3 年 1 4 1 5 1 6 (季節調整済、2013/1Q対比変化率、%) iPhone5s (13/9月) iPhone6 (14/9月) iPhone6s (15/9月) iPhone7 (16/9月)

▽ 自動車関連<24.4>輸出

▽ IT関連<14.8>輸出

(20)

(3)生産

○ 鉱工業生産は、内外需要の緩やかな増加に加え、在庫調整の進捗を

反映して、持ち直している。

▽ 実質輸出と鉱工業生産

(出所)財務省、日本銀行、経済産業省

▽ 出荷・在庫バランス

60 70 80 90 100 110 120 01年 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 1617 実質輸出 鉱工業生 産 (季節調整済、2010年=100) 予測 指数 -22 -20 -18 -16 -14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 -22 -20 -18 -16 -14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 01年 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 鉱工業出荷-鉱工業 在庫(右目盛) 鉱工業生産(左目 盛) (季節調整済、前期比、%) (%ポイント)

(21)

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 年 (%ポイント) 「良い」超 「悪い」超 予測 17

(4)設備投資

○ 企業の業況感は、製造業を中心に幾分改善。

21

(出所)日本銀行

▽ 業況判断DI(製造業)

▽ 業況判断DI(非製造業)

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 年 (%ポイント) 「良い」超 「悪い」超 予測 17

(22)

2,412 2,422 2,493 2,491 1,166 1,183 1,290 1,362 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 (億円) 製造業 非製造業 計画 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (%) (年度) 計画

(注)2016年度計数は、12月調査での年度計画。

(出所)日本銀行

▽ 売上高経常利益率(全産業全規模)

▽ 設備投資の足取り(全産業全規模)

○ 高水準の企業収益のもとで、緩やかな増加基調。

(23)

(5)住宅投資

○ 緩和的な金融環境に支えられて、節税ニーズの高い貸家を中心に持

ち直し。

23

▽ 新設住宅着工戸数

▽ 新設住宅着工戸数の内訳

(注)新設住宅着工戸数の2016/4Qは、10月の値。

(出所)内閣府、国土交通省

(24)

(6)個人消費

○ 雇用者所得が着実に増加する中、底堅く推移。足もとは、株価の上

昇や天候不順の解消の影響も加わり、明るさがみられ始めている。

▽ 個人消費と雇用者報酬

▽ 平均消費性向

(注)1. 消費活動指数(旅行収支調整済)は、除くインバウンド消費・ 含むアウトバウンド消費。 2.2016/4Qは、10~11月の値。 (出所)内閣府、日本銀行、経済産業省、総務省等 94 96 98 100 102 104 106 108 06 年 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 消費活動指数 (旅行収支調整済、実質) 家計最終消費支出(GDPベース、 除く持ち家の帰属家賃、実質) 実質雇用者報酬(GDPベース) (季節調整済、2010年=100) (注)消費活動指数は、2010年のGDP個人消費額を用いて名目指数 (除くインバウンド消費・含むアウトバウンド消費)を金額に換算。

(25)

(7)物価

○ 消費者物価は、前年比小幅のマイナスで推移。ただし、足もとはエ

ネルギー価格の上昇もあって、マイナス幅は縮小。

25

▽ 消費者物価の推移

▽ CPIの民間予想

(注)消費者物価指数は、消費税調整済み(試算値)。 (出所)総務省 (注)除く生鮮、消費税調整済み。 (出所)日本経済研究センター -3 -2 -1 0 1 2 3 01年 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 エネルギー以外 エネルギー(石油製品・ 電気代・都市ガス代) 総合(除く生鮮食品) (前年比、寄与度、%) -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 12 13 14 15 16 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 (前年比、%) 年

(26)

(8)地域別の景気総括判断

○ 東北、関東甲信越、東海で景気判断を引き上げ。これら3地域と

も、個人消費の判断を引き上げ。また、東北、関東甲信越では、生産

の判断を引き上げ。

(27)

(9)展望レポートにおける2016~2018年度の見通し(2016年

10月公表)

27

(出所)日本銀行

(28)
(29)

日本経済団体連合会審議員会における総裁挨拶(2016年12月26日、抜粋)

 この政策(「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」)の枠組みは、経済や物

価を押し上げる「追い風」の効果をさらに強める働きがあります。

 民間企業の皆様のご努力や政府の成長力強化の取り組みによって、将来の成長

や物価に関する期待が高まれば、低い長短金利水準は、経済・物価に対してよ

り強い押し上げ効果を持つことになります。

 さらに、グローバル化した金融市場においては、本日お話ししたような海外経

済の好転が明確になっていくにしたがって、日本の長期金利にも上昇圧力がか

かっていきます。実際、先月以降、米国の長期金利が大幅に上昇し、その影響

から多くの国において長期金利が上昇していますが、わが国の10年物金利は

「ゼロ%程度」で安定的に推移しています。このことは、「イールドカーブ・

コントロール」が所期の効果を発揮していることを示しています。

 日本銀行は、この政策の枠組みを適切に運営することによって、グローバル経

済の回復のモメンタムを、わが国経済にとってより大きな「推進力」に増幅し

ていくことが可能になると考えています。さらに、そのことが企業の積極的な

活動に繋がれば、その動きをさらに加速していくことができると思います。

29

(30)

MPM後総裁記者会見要旨(2016年12月20日、抜粋)

(問)現在の政策の枠組みのもとでは、物価が目標とする2%に達する前に長

期金利の目標を引き上げることも可能だと思うのですが、総裁ご自身は、

経済・物価・金融情勢がどのような状況になれば、そのような長期金利目

標の引き上げの検討が可能になるとお考えなのか教えて下さい。

(答)そもそも現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が2%の「物

価安定の目標」をできるだけ早期に実現するためのものですので、そのも

とで、経済・物価・金融の情勢を踏まえて、2%の「物価安定の目標」に

向けたモメンタムを維持するために、最も適切と考えられるイールドカー

ブの形成を促していくということに尽きると思います。長期金利操作目標

についても、こうした考え方に沿って、金融政策決定会合において判断し

ていくことになると思いますが、現状、2%の「物価安定の目標」までに

はなお距離があり、これをできるだけ早期に実現するためには、現在の金

融市場調節方針のもとで、強力な金融緩和を推進していくことが最も適切

であると考えています。<中略>

海外金利の上昇に応じてわが国の長期金利も上昇してよいとか、長期金利

の操作目標を引き上げるということは全く考えておりません。

(31)

(参考)長短金利操作付き量的・質的金融緩和

【オーバーシュート型コミットメント】

消費者物価(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超

えるまで・・・

⇒ 通常の金融政策運営は、インフレーション予測ターゲット。これは、

金融政策の効果にはラグがあるため、将来2%が達成できることが予想

された段階で、徐々に引き締めを開始。このため、「実績値」とするこ

とはコミットメントの強化を意味。

⇒ インフレ期待のフォワードルッキングな期待形成への働きかけ強化。

【イールドカーブ・コントロール】

経済・物価・金融情勢を踏まえて、2%の物価安定目標に向けたモメンタ

ムを維持するために最も適切なイールドカーブの形成を促す。従来のマネ

タリーベース増加目標に代えて、短期政策金利と長期金利操作目標(10年

物国債金利)を決定<短期金利:▲0.1%、長期金利:ゼロ%程度>。

⇒ 金融面での悪影響に配慮。政策の持続性や柔軟性を強化。

31

(32)
(33)

(1)2016年の高知経済

33

○ 全体としては、各種の政策効果などに支えられて、緩や

かに回復。

○ ただし、分野によって、はっきりと濃淡が出た1年。

<明確に良くなった分野>

・公共投資:防災関連、景気対策による積み増し、前倒し発注

・住宅投資:住宅ローン金利の低下、節税ニーズ

・観光:遍路客・外国人観光客の増加

<ある程度の良好さを維持している分野>

・設備投資:前年比減少ながら、高水準の企業収益のもとで、

企業は前向きな投資スタンスを維持

<期待外れに終わった分野>

・個人消費:雇用者所得が増加するもとで、底堅く推移(しかし

所得の増加ほど消費は伸びず)

(34)

○ 日銀高知支店は、本年1月、高知経済の現状を「緩やか

に回復しつつある」から「緩やかに回復している」に上方

修正。

○ 判断を変更したのは、2年10か月ぶり。

<根拠1:生産の持ち直し>

・紙パ:新興国向けの産業用特殊紙製品の輸出増や在庫調

整の進展を受けて生産を拡大

・一般機械:防災関連や設備投資関連の増加

・食料品:増加を持続

<根拠2:全体として底堅いながら、個人消費に明るさ>

・乗用車販売が持ち直しつつあるなど、一部に明るい動き

<根拠3:住宅投資の増加>

・低水準の住宅ローン金利と節税ニーズを背景に伸びを拡大

(35)

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 (億円) (月) 1,365億円(前年比+17.0%)

(2)公共事業

○ 公共工事請負金額は、国による予算の早期執行の影響な

どから、前年を上回っている。

35

▽ 公共工事請負金額(年度初来累計、高知県)

(出所)西日本建設業保証株式会社

(36)

▲ 60 ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 80 100 ┗ 1 1 ┛ ┗ 1 2 ┛ ┗ 1 3 ┛ ┗ 1 4 ┛ ┗ 1 5 ┛ ┗ 1 6 ┛ (前年比、%) (年) <四半期ベース>

○ マイナス金利政策の効果もあって住宅ローンが増加す

る中、住宅着工戸数も増加。

(3)住宅投資

▽ 住宅着工戸数

(注)2016/4Qは、10~11月の前年同期比。

(出所)国土交通省

(37)

▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 15/11 16/1 3 5 7 9 11 <月次ベース> 西部 東部 中部 合計 (月) (前年比、寄与度、%) ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 15/11 16/1 3 5 7 9 11 <月次ベース> 西部 東部 中部 合計 (月) (前年比、寄与度、%)

高知県では、外国客船の高知新港への寄港の効果もあっ

て、堅調に推移。

37

(出所)高知県、日本銀行高知支店

▽ 主要観光施設入込客数

▽ 主要旅館・ホテル宿泊客数

(注)集計対象先について随時見直しを行っているため、計数は 必ずしも連続しない。2016年以降は速報値。 (注)集計対象先について随時見直しを行っているため、計数は 必ずしも連続しない。直近見直し後は高知県内40先ベース。

(4)観光

(38)

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 年 (%ポイント) 製造業 非製造業 「良い」超 「悪い」超 予測 17 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 年 (%ポイント) 予測 「良い」超 「悪い」超 17

▽ 全産業の業況判断DI

▽ 製造業・非製造業の業況判断DI

(注)シャドーは景気後退期(内閣府調べ)。

(出所)日本銀行高知支店

○ 高知県では、業況判断DIは全体では前回調査から概ね

横ばいの動き。

(5)企業の業況感と設備投資

(39)

7,481 8,848 7,317 6,017 4,008 6,628 13,744 8,733 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 (百万円) 製造業 非製造業 計画 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (%) 年度 計画

39

(注)2016年度計数は、12月調査での年度計画。

(出所)日本銀行高知支店

▽ 売上高経常利益率

▽ 設備投資の足取り

○ 設備投資は、過去2年間、3~4割増を続けてきたた

め、今年度はさすがに減少するが、高水準の企業収益が続

くもとで、企業は前向きなスタンスを維持。

(40)

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 雇用人員判断DI(左目盛) 有効求人倍率(右目盛) (倍) (「過剰」-「不足」、%ポイント) (年) ▽有効求人倍率 1.14(16年11月) ▽雇用人員判断DI ▲21 (16年12月) ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 ┗ 0 6 ┛┗ 0 7 ┛┗ 0 8 ┛┗ 0 9 ┛┗ 1 0 ┛┗ 1 1 ┛┗ 1 2 ┛┗ 1 3 ┛┗ 1 4 ┛┗ 1 5 ┛┗ 1 6 常用労働者数 現金給与 雇用者所得 (前年比、寄与度、%) (年)

○ 企業の人手不足感は根強く、有効求人倍率は上昇傾向を

持続。

▽ 雇用人員判断DIと有効求人倍率(高知県)

(6)雇用者所得と個人消費

(出所)厚生労働省、高知県、日本銀行高知支店

▽ 雇用者所得

(注)雇用者所得(毎月勤労統計ベース)=常用労働者数(毎月 勤労統計)×名目賃金(毎月勤労統計)として当店算出。

(41)

▲ 60 ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 80 ┗ 0 7┛┗ 0 8┛┗ 0 9┛┗ 1 0┛┗ 1 1┛┗ 1 2┛┗ 1 3┛┗ 1 4┛┗ 1 5┛┗ 1 6┛ 軽 小型車 普通車 合計 (前年比、寄与度、%) (年) <四半期ベース> ▲ 20 ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 1 5 / 1 4 7 10 1 6 / 1 4 7 10 ホームセンター ドラッグストア 家電大型専門店 百貨店・スーパー 合計 合計(コンビニエンスストアを含むベース) (月) (前年比、寄与度、%) <月次ベース> 11

○ 個人消費は、雇用者所得が増加基調をたどる中で、底堅い

動き。

- 乗用車販売は、新車投入効果から普通車・小型車を中

心に前年に比べ増加。

41

▽ 小売売上高

▽ 乗用車新車登録台数

(出所)四国経済産業局、経済産業省、四国運輸局

(注)全店ベース。2016/11月は速報値。

(42)

80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130 ┗ 1 0 ┛┗ 1 1 ┛┗ 1 2 ┛┗ 1 3 ┛┗ 1 4 ┛┗ 1 5 ┛┗ 1 6 (2010年=100) 鉱工業総合(除く機械・電気機械) ウェイト:6444.5 3か月移動平均 季節調整値 (年) 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130 ┗ 1 0 ┛┗ 1 1 ┛┗ 1 2 ┛┗ 1 3 ┛┗ 1 4 ┛┗ 1 5 ┛┗ 1 6 (2010年=100) 鉱工業総合 ウェイト:10000 3か月移動平均 季節調整値 (年)

(7)生産

○ 鉱工業生産は、新興国向け輸出の増加や在庫調整の進捗

などから、緩やかに持ち直している。

▽ 鉱工業生産

▽ 鉱工業生産(除く機械・電気機械)

(出所)高知県

(43)

(8)2017年の展望

43

○ 2016年に比べ、回復の勢いが強まる可能性が高い。

①個人消費が所得の増加に合わせて増加

現在、消費性向(消費/所得)は低下。しかし、消

費性向は低下を続けるわけではなく、いずれ上昇。

②企業の前向きな設備投資スタンスが維持

企業の高台移転、人手不足が続くもとでの省力化投

資、生産性向上に向けた取り組み。

③地産外商、6次産業化などにより高知経済の生産性向

上が着実に前進

(44)
(45)

最大の課題:減少する労働人口と縮小する市場への対応

45

対応策1:労働生産性の引き上げにより、従来よりも少な

い人手で活動できるようにすること

対応策2:地元の市場で活動するのではなく、「外貨」を

取り入れること(国内外との取引拡大、観光振

興)

相互連関

(46)

○ 高知県の労働生産性は、ほとんどの業種で、全国平均に

比べ低い。これは、労働生産性の引き上げ余地が相応にあ

ることを示唆。

▽ 労働生産性

-50 -25 0 25 50 75 100 -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 農業・ 林業 漁業 鉱業等 建設 製造業 電気・ ガ ス・ 熱供給・ 水道 情報通信 運輸・ 郵便 卸・ 小売 金融・ 保険 不動産・ リー ス 専門・ 技術サービ ス 宿泊・ 飲食サービ ス 生活関連サービ ス・ 娯楽 教育・ 学習支援 医療・ 福祉 複合サービ ス そ の他サービ ス 乖離率(右目盛) 高知県 全国 (万円/人) (%) (出所)経済産業省

(47)

○ 第1次産業の比率が高いことを踏まえると、比較優位を

持った農林水産品を使い、加工することで付加価値を生む

取り組み(第6次産業化)が有効。

○ 第6次産業化については、県内での取り組みが進展。

47

(出所) 高知県、各社HP

▽ 県内における第6次産業化の取り組み

馬路村農業協同

組合

全国に先駆けて6次産業化に取り組み、昭和54年からゆずの加工販売を開始。現在は

ドレッシングや調味料など約60種類の加工食品や化粧品を全国販売。

夢産地とさやま開

発公社

特産品のショウガを活用し、ジンジャーエールやジンジャーシロップ等の加工・販売を

行う。直営店の開設を進めるなど、販路拡大に取り組んでいる。

四万十ドラマ

四万十川流域の農林業の素材にこだわり、「四万十地栗モンブラン」などの商品開発、

加工、販売、流通までを一貫して行う。販売拠点として道の駅とおわを運営。

土佐洋

高知まぐろ延縄船団「海援丸」ブランドの生鮮まぐろを使った寿司屋・居酒屋を手がけ、

販路拡大。

①第6次産業化

(48)

○ 高知県では海外との取引を行っている企業は少ない。海

外から「外貨」を得る余地が大きいことを示唆。

48

(出所)中小企業庁

▽ 輸出企業の割合(中小企業)

▽ 直接投資実施企業の割合(中小企業)

北海道 0.6 青森県 1.3 岩手県 1.2 宮城県 1.4 秋田県 1.5 山形県 2.0 福島県 1.9 茨城県 2.1 栃木県 2.0 群馬県 1.7 埼玉県 3.1 千葉県 3.5 東京都 4.1 神奈川県 4.3 新潟県 2.6 富山県 1.7 石川県 1.5 福井県 3.4 山梨県 3.1 長野県 4.2 岐阜県 2.1 静岡県 2.7 愛知県 2.3 三重県 3.0 滋賀県 3.8 京都府 3.3 大阪府 3.2 兵庫県 3.4 奈良県 3.3 和歌山県 2.0 鳥取県 2.4 島根県 1.4 岡山県 2.6 広島県 2.2 山口県 2.0 徳島県 1.6 香川県 1.5 愛媛県 1.8 高知県 1.8 福岡県 2.2 佐賀県 2.9 長崎県 0.9 熊本県 1.5 大分県 1.1 宮崎県 1.4 鹿児島県 1.0 沖縄県 1.0 全国 2.7 北海道 0.11 青森県 0.09 岩手県 0.14 宮城県 0.14 秋田県 0.15 山形県 0.27 福島県 0.16 茨城県 0.23 栃木県 0.23 群馬県 0.26 埼玉県 0.36 千葉県 0.21 東京都 0.95 神奈川県 0.75 新潟県 0.22 富山県 0.41 石川県 0.27 福井県 0.48 山梨県 0.33 長野県 0.47 岐阜県 0.60 静岡県 0.48 愛知県 0.60 三重県 0.49 滋賀県 0.47 京都府 0.56 大阪府 0.96 兵庫県 0.57 奈良県 0.61 和歌山県 0.36 鳥取県 0.25 島根県 0.10 岡山県 0.43 広島県 0.37 山口県 0.20 徳島県 0.15 香川県 0.31 愛媛県 0.53 高知県 0.21 福岡県 0.28 佐賀県 0.16 長崎県 0.10 熊本県 0.15 大分県 0.10 宮崎県 0.10 鹿児島県 0.07 沖縄県 0.25 全国 0.51 (%) (%)

②輸出促進

(49)

○ 専門的な技術を活かしたグローバルに競争できる企業を

育成する必要。

○ 当地には、伝統技術等を活かしたグローバル・ニッチ・

トップ企業が存在。

49

(出所)各社資料

▽ 高知県におけるグローバル・ニッチ・トップ企業

ニッポン高度紙工

土佐和紙の伝統を活かした高品質・高性能な高度紙で、コンデンサ向けセパレータの国

内シェア95%、世界シェア60%を誇る。

技研製作所

自社開発の無公害杭打抜機「サイレントパイラー」で世界中の堤防工事や地下開発を

手掛ける。

兼松エンジニアリ

ング

吸引作業車、高圧洗浄車の生産で圧倒的シェアを誇る。

ミロク製作所

明治時代の創業以来、猟銃生産で高い加工技術と安全性を誇る。世界でも上位五指

に入るブランド力で、現在は、米国ブローニング社と提携し、世界中に猟銃・ライフル

を販売。

太陽

耕運機の爪の生産で国内市場シェア40%。インドにも生産拠点を構え、積極的に世界

進出も進める。

③グローバル・ニッチ・トップ企業の育成

(50)

15 2 6 11 9 8 32 44 0 10 20 30 40 50 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 (年度) (回) 16.5 33.6 24.8 38.6 65.9 59.7 0 20 40 60 80 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (千人) (年) (71.6)

○ 外国人観光客数は、高松空港への直行便、高知新港への

外国客船寄港等により増加。

○ 外国人観光客を増やすためには、体験型観光メニューの

充実、外国語でのPR、交通面での地域間での協力・整備

が必要。

▽ 高知県の外国人延べ宿泊客数

▽ 高知新港の外国客船寄港船数

(注)2016年の(71.6)は1~10月実績を年率換算。

(出所)観光庁

(注)2016年度は12月9日時点での予定。2017年度

は2016年8月末時点での予定。

(出所)高知県HPおよび高知新聞をもとに日銀

高知支店が作成

④インバウンド観光の拡大

(51)

51

▽ 開廃業率の比較

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

(開業率、%) (廃業率、%) 新陳代謝高い

(注)2012年の計数。赤いドットは高知県を示し、その他のドット

は高知県以外の都道府県を表す。

(出所)中小企業庁

⑤経済の新陳代謝の向上

○ 高知県は、高齢化の進展もあって廃業率が高い一方、開

業率は低水準となっている(経済の新陳代謝が低い)。

○ 起業や事業承継を活発化させる必要。

⇒金融機関の役割が極めて重要!

(52)

参照

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