ヘ.吸収、分布、代謝、排泄の項の略号一覧表
略号(略称) 化学名(一般名) 構造式 由来 IDEC-C2B8 マ ウ ス − ヒ ト キ メ ラ 型 抗 CD20 モノクローナル抗体 JAN リツキシマブ (遺伝子組換え) r-INN rituximab マウス由来の軽鎖,重鎖可変部領域, ヒト由来のγ1重鎖,κ軽鎖定常部領域 を含む IgG1κ抗体(1328 アミノ酸残 基,C6426H9900N1700O2008S44; 分子量:約 144,510 ダルトン) 原薬 略号(略称) 内 容 IgG AUC Cmax t1/2 MRT CR PR PD TTP ELISA IgM HACA IgA MR SD Cl AST GOT ALT GPT PaO2 T-Bil Alp γ-GTP Alb BUN CHOP COP 免疫グロブリン G 血清中濃度曲線下面積 最高血清中濃度 半減期 平均滞留時間 完全寛解 部分寛解 増悪 腫瘍増殖抑制期間Enzyme Linked Immunosorbent Assay 免疫グロブリン M
human anti-chimeric antibody 免疫グロブリン A minor response 不変 クリアランス aspartate aminotransferase Glutamic-oxaloacetic transaminase alanine aminotransferase
Glutamic pyruvic transaminase 動脈血中 O2分圧 総ビリルビン アルカリフォスファターゼ γ−グルタミルトランスペプチダーゼ 血清アルブミン 血清中尿素窒素 doxorubicin、cyclophosphamide、vincristine、predonisone 4 薬剤併用療法 cyclophosphamide、vincristine、predonisone 3 薬剤併用療法
ヘ.吸収、分布、代謝、排泄
総 括
表ヘ-1 吸収,分布,代謝,排泄に関する試験一覧表 試 験 項 目 動物種 又はヒト 性 被験物質 投与 経路 投 与 量 吸 収 血清中濃度 単回投与 反復投与 サル サル ♂ ♀ ♂ ♀ IDEC-C2B8 IDEC-C2B8 静脈内 静脈内 10, 30, 100 mg/kg 10, 30, 100 mg/kg 20 mg/kg 20 mg/kg 分 布 臓器・組織内 濃度 腫瘍移行性 胎盤・ 胎児移行性 マウス マウス − − − − − 静脈内 静脈内 − − 代 謝 CD20 抗原と結合 した本薬の代謝 過剰量存在する 本薬の代謝 − − − − − − − − − − 排 泄 尿中排泄 乳汁への移行 − − − − − − − − - - 試 験 項 目 被験物質 投与 経路 投 与 量 ヒ ト 試 験 癌患者 血清中濃度 単回投与(米国) 反復投与(米国) 反復投与(日本) 高齢者での薬物動態(日本) 肝機能低下と薬物動態(日本) 腎機能低下と薬物動態(日本) 血清中濃度と有効性(米国) 血清中濃度と TTP(日本) 腫瘍内移行(米国) 腫瘍内移行 髄液中への移行 臓器・組織内濃度 薬物相互作用 IDEC-C2B8 注 IDEC-C2B8 注 IDEC-C2B8 注 IDEC-C2B8 注 IDEC-C2B8 注 IDEC-C2B8 注 IDEC-C2B8 注 IDEC-C2B8 注 IDEC-C2B8 注 131I-B1 抗体 IDEC-C2B8 注 111In-IDEC-2B8 IDEC-C2B8 注 静脈内 静脈内 静脈内 静脈内 静脈内 静脈内 静脈内 静脈内 静脈内 − − − 静脈内 100, 250, 500 mg/m2 125, 250, 375 mg/m2 250, 375 mg/m2 375 mg/m2 375 mg/m2 375 mg/m2 375 mg/m2 375 mg/m2 100, 250, 300 mg/m2 − − − 375 mg/m2 1. 動物における成績 本薬は、その分子構造の約三分の二を占める定常部領域がヒト由来の IgG1 κであり、本質的 にはヒト体内に存在するガンマグロブリンと同一物質とみなしうる。ヒトのガンマグロブリン については、過去に多くの研究がなされ、胎盤・胎児移行性、尿中排泄、乳汁への移行に関す1)吸収 サルに IDEC-C2B8 の 10, 30 及び 100 mg/kg を静脈内投与したとき、最高血清中濃度(Cmax) 及び血清中濃度曲線下面積(AUC)は投与量に依存して増加した。IDEC-C2B8 の血清中からの消 失は緩徐で、投与後 10 又は 14 日後まで投与量に依存した濃度で検出された。いずれの投与量に おいても、Cmax 及び AUC は雌で若干低値を示した。 また、20 mg/kg の週 1 回 4 週間反復静脈内投与において、血清中濃度は初回投与 24 時間後に 191∼303 μg/mL を示し、次回投与時までに 42∼110μg/mL まで低下した。2 回目投与以降も ほぼ同様の推移を示し、明らかな性差や蓄積性は認められなかった。雌雄 1∼2 例に抗キメラ抗 体が出現し、IDEC-C2B8 の血清中濃度の低下が観察された。 2)分布 マウスに を静脈内投与し たとき、 また、CD20 陽性腫瘍を移植したマウスに を静脈内投与したとき、 免疫グロブリンは胎盤を通過することが知られており、本薬も胎盤を通過し胎児へ移行するも のと推察される。 3)代謝 本薬は、B リンパ球表面の CD20 抗原に結合して B リンパ球を傷害した後、傷害された B リン パ球と共に網内系細胞により貪食され、貪食した網内系細胞が有するリソゾーム酵素による消化 を受け、低分子となり血液中に放出されるものと推察される。また、本薬が体内に過剰に存在す る(CD20 抗原と結合していない)場合は、生体内の免疫グロブリンと同様の代謝経路で処理され るものと推察される。 4)排泄 たん白質及び市販の高分子ペプチド製剤の代謝・排泄試験より、その大部分が尿中に排泄され ることが報告されている。本薬も代謝過程を経た後、主として尿中に排泄されるものと推察され る。また、免疫グロブリンは乳汁中へ移行することが知られており、本薬も乳汁中へ移行するも のと推察される。 2.ヒトにおける成績 1)血清中濃度
癌患者に IDEC-C2B8 の 100, 250 及び 500 mg/m2を点滴静脈内投与したとき、Cmax, AUC, 半減期(t1/2)及び平均滞留時間(MRT)は、投与量に依存して増加した。
また、週 1 回 4 週間反復点滴静脈内投与において、血清中濃度は投与回数に従って増加する傾 向を示した。米国、日本データ共に AUC は用量依存的に増大したが、Cmax 及び AUC 値にお いて日米間に有意差が認められた。
2)高齢者での薬物動態
満と 65 歳以上の血清中濃度の推移を比較したとき、血清中濃度に有意差は認められなかった。 3)肝機能低下症例での薬物動態 IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復点滴静脈内投与された症例について、肝機能低 下症例と肝機能正常症例で血清中濃度の推移を比較したとき、血清中濃度に有意差は認められな かった。 4)腎機能低下症例での薬物動態 IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復点滴静脈内投与された症例について、腎機能低 下症例と腎機能正常症例で血清中濃度の推移を比較したとき、血清中濃度に有意差は認められな かった。 5)血清中濃度と有効性との相関 IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復点滴静脈内投与された有効症例(CR+PR)と進 行症例(PD)との間で、2 回目投与直前の血清中濃度に統計学的に有意な差が認められたが、他の 薬物動態パラメータと効果との間に相関性は認められなかった。 6)血清中濃度と腫瘍増殖抑制期間(TTP)との相関 IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復点滴静脈内投与された症例について、血清中濃 度高値群(中央値を越える血清中濃度を示す症例)と血清中濃度低値群(中央値以下の血清中濃度を 示す症例)の TTP を比較したとき、血清中濃度高値群に TTP の延長傾向が認められた。 7)腫瘍内移行 IDEC-C2B8 の 100, 250 又は 500 mg/m2を単回点滴静脈内投与された患者、7 症例中 6 症例 の腫瘍組織に IDEC-C2B8 の移行を認め、IDEC-C2B8 が結合した腫瘍細胞は全腫瘍細胞の 30 ∼100%であった。 8) 131I 標識 B1 抗体の腫瘍への移行性 131I で標識したマウス型抗 CD20 モノクローナル抗体(B1 抗体)をヒトに 5 mCi/15 mg 投与し たとき、腫瘍への分布が最も高く、次いで脾、腎、血液、肺、肝の順に分布したとの報告がある。 9)髄液中への移行 IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復点滴静脈内投与したとき、僅かに脳脊髄液中に 移行するものの、脳脊髄液中の CD20 陽性細胞は傷害されなかったとの報告がある。 10) 111In- IDEC-2B8 の臓器・組織内移行 111In で標識した IDEC-2B8(マウス型抗体)をヒトに 185 MBq(5 mCi)投与したとき、脾臓に 最も分布し、次いで肝、肺、胆嚢壁、副腎、膵の順に分布したとの報告がある。 11)薬物相互作用
悪性リンパ腫の治療に繁用される CHOP 療法、COP 療法、interferon α-2a、fludarabine との 併用臨床試験が実施されているが、併用により、双方の毒性が増強される、又は、新たな毒性が 出現するとの報告はない。また、有効性の面から、併用による抗腫瘍効果の相殺作用はなく、併 用効果がみられるとの報告もある。
1.被験物質及びその定量法 (1)標識体 1)被験物質 マウスでの分布試験に用いた、 であった。 2)定量法 放射能の測定は、試料調製後、 を用いて行った。 (2)非標識体 1) 被験物質 試験には、非標識の IDEC-C2B8 をそのまま用いた。 2) 定量分析法
サルの血清並びにヒトの血清中 IDEC-C2B8 濃度は、ELISA 法(一次抗体:ヤギ抗 IDEC-C2B8 抗体,二次抗体:西洋ワサビ由来・ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒト IgG 抗体,発色: 2,2-azinobis(3-ethylbenzthiazoline sulfonic acid)を用いて測定した。
サル血清(単回静脈内投与時)並びに臨床第Ⅰ相試験及び臨床第Ⅱ相試験のヒト血清中の IDEC-C2B8 濃度測定時の検出限界値、検量線の相関係数及び内部標準回収率は以下の通りである。
検量線の相関係数は 3 試験共に高値を示し、測定の正確度及び精度確認のための内部標準回収率も全 て 80%以上と高値を示したことから、定量法は信頼するに足るものであったと判断される。
なお、薬物動態パラメータの解析は、サルでは解析ソフト:薬物体内動態解析法(SOFTSCIENCE INC.)、ヒトでは解析ソフト WinNonlin(Scientific Consulting, Inc.)を用いて行った。サルでの薬物動
態は非モデル解析を行い、AUC は台形法で、t1/2は消失過程を指数関数に当てはめて算出した。ヒトで の薬物動態は、モデル及び非モデル解析を行い、モデル解析は 1-コンパートメントモデル又は 2-コン パートメントモデルで解析し、モデルの選択は赤池の情報基準(AIC)に従った。非モデル解析では AUC のみを台形法で算出した。 検出限界値 相関係数 内部標準の回収率 平均値±S.D.(ng/mL) 平均値±S.D. 平均値±S.D.(%) 非臨床試験時 (n=49) 2.58±0.87 0.956±0.051 85.1±10.6 臨床第I相試験時 (n=147) 1.13±0.26 0.987±0.010 80.6± 9.0 臨床第II相試験時 (n=162) 1.15±0.26 0.994±0.008 86.7±13.1
2. 動物における成績 (1) 吸収 1) 血清中濃度 ① 単回静脈内投与 IDEC-C2B8 の 10,30 及び 100 mg/kg を雌雄各 1 例のカニクイザルに単回静脈内投与し、血清中濃 度を投与直後、1, 3, 5 及び 8 時間、1, 2, 3, 5, 7 及び 14 日に測定した。血清中濃度推移を図ヘ−1 に、 薬物速度論的パラメータを表ヘ−2 に示した。最高血清中濃度(Cmax)、血清中濃度曲線下面積(AUC) 共に投与量に依存して増加した。IDEC-C2B8 の血清中からの消失は緩徐であり、10 mg/kg の雌雄及び 30 mg/kg の雌では投与後 10 日、30 mg/kg の雄及び 100 mg/kg の雌雄では投与後 14 日まで投与量に 依存した濃度で検出された。また、いずれの投与量においても、Cmax 及び AUC は雌で若干低値を示 した。 表ヘ-2 IDEC-C2B8 の薬物動態パラメータ(表ニ−7 の再掲) 投 与 量 10 mg/kg 30 mg/kg 100 mg/kg 性 別 ♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀ 例 数 1 1 1 1 1 1 Cmax (μg/mL) 200 151 622 618 2260 1220 Tmax (h) 0 3 0 1 0 3 t1/2 (h) 44 (0-48h) 98(5-240h) 138 (48-240h) 29 (3-48h) 58(3-240h) 61 (48-240h) 38 (5-48h) 160(5-240h) 311 (48-240h) 35 (1-48h) 63(1-240h) 71 (48-240h) 60 (5-72h) 155(8-336h) 250 (72-336h) 50 (3-72h) 103(3-336h) 143 (72-336h) AUC 0-∞ (μg・hr/mL) 18414 9930 75775 43023 296221 147688
図ヘ-1 IDEC-C2B8 をカニクイザルに単回静脈内投与したときの血清中濃度推移(図ニ−1 の再掲) ② 反復静脈内投与 IDEC-C2B8 の 20 mg/kg を雌雄各 3 例のカニクイザルに週 1 回計 4 回反復静脈内投与し、血清中濃 度を測定した。図ヘ−2,3 に示すように、血清中濃度は初回投与 24 時間後に 191∼303 μg/mL の値 を示し、次回投与時までには 42∼110 μg/mL に低下した。雄 2 例及び雌 1 例では 2 回目投与後もほぼ 同様の推移を示し、最終投与 14 日後でも血清中には 18∼80 μg/mL の IDEC-C2B8 が残存していた。 明らかな性差や蓄積性は認められなかった。一方、雄 1 例及び雌 2 例において、15 日目以降明らかな IDEC-C2B8 の血清中濃度の低下が観察されたが、これらの動物では抗キメラ抗体の産生が確認された。 10 mg/kg ♂ 30 mg/kg ♂ 100 mg/kg ♂ 10 mg/kg ♀ 30 mg/kg ♀ 100 mg/kg ♀ μ g/ m L
図ヘ-2 IDEC-C2B8 をサル(雄)に反復静脈内投与したときの血清中濃度推移 (302:抗キメラ抗体産生例) 図ヘ-3 IDEC-C2B8 をサル(雌)に反復静脈内投与したときの血清中濃度推移 (351, 353:抗キメラ抗体産生) ((((μμμg/mLμg/mLg/mL)))) g/mL ((((μμμμg/mL)g/mL)g/mL)g/mL)
(2)分布 1) 臓器・組織内濃度 IDEC-C2B8 についての臓器分布は検討していないが、 本薬(マウス−ヒトキメラ型モノクローナル 抗 CD20 抗体)を作製するもととなった、マウス型モノクローナル抗 CD20 抗体(IDEC-2B8)を用いて、 マウスにおける臓器分布が検討されている。本薬は定常部領域がヒト由来であり、マウスに対しては異 物性が高く早く体外に排泄されるため、マウスで体内動態を検討するに際しては、本薬よりもむしろマ ウス型抗体の IDEC-2B8 で実施した本試験成績のほうが、本薬のヒトにおける体内の分布を予測する上 で参考になると考えられる。
2) 腫瘍移行性 腫瘍移行性についても、マウス型モノクローナル抗 CD20 抗体(IDEC-2B8)でマウスを用いて検討し た成績を引用する。 ヌードマウスの皮下に CD20 陽性の Ramos 腫瘍細胞(1.2×107個)を移植し、移植 2 週後、腫瘍が 0.1 ∼1.0 g に増殖したマウスに、 3) 胎盤・胎児への移行性1∼3) 通常五量体として存在する IgM 以外の免疫グロブリンは胎盤を通過することが知られており、その 中でもガンマグロブリン(IgG)は、特に胎盤通過性がよいことが報告されている。従って、本薬も胎盤 を通過し、胎児へ移行するものと推察される。 また、IgG の母体から胎児への移行は、妊娠末期に急速に移行することが知られており、妊娠 30 週 前後で生れた低出生体重児の血中 IgG 値は 7 mg/mL 前後であるが、正期出生児においては、母体(10 ∼12 mg/mL 前後)と同等かそれ以上の血中濃度を示すことが報告されている。従って、本薬も妊娠週 数の増加と共に胎盤通過性が増し、胎児への移行率が高くなるものと推察される。
(3) 代謝1,4,5) 本薬の代謝に関しては、主に以下の 2 経路が推定される。 1) CD20 抗原と結合した IDEC-C2B8 の代謝経路1,4) 本薬は B リンパ球表面の CD20 抗原に結合して B リンパ球を傷害するが、その後、傷害をうけた B リンパ球と共に本薬も網内系細胞によって貪食され、貪食した網内系細胞が有するリソゾーム酵素(カ テプシン、グリコシダーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、フォスファターゼ、サルファターゼ等)によ る消化を受け、低分子となって血液中に放出される。本薬は、たん白質に糖鎖が結合したものであり、 主としてカテプシン(蛋白質消化酵素)とグリコシダーゼ(多糖類及び配糖体消化酵素)によって低分子 のペプチドやアミノ酸、単糖やオリゴ糖に分解されるものと推定される。 これらの分解産物は、生体内における一般の代謝によって生じるペプチド、アミノ酸、単糖及びオリ ゴ糖と同じ運命をたどり、一部は生体内の蛋白質合成や炭水化物の同化・異化に再利用され、残りの一 部は体外に排泄されると推定される(次項参照)。
また、本薬に対する抗体(ヒト抗キメラ抗体; human anti-chimeric antibody; HACA)が生体内に出現 した場合、本薬はその HACA と結合するが、HACA−本薬結合物も上記と同様に網内系細胞に取りこ まれて貪食処理されると推定される。 推定される貪食→消化→排泄の過程を図ヘ−6 に示した。 図ヘ-6 網内系細胞による貪食処理(模式図) リソゾーム: 貯蔵顆粒、消化液胞、自食液胞、残余小体の総称 .. . . . . .. .. . ... . . . .. ... . . . . . . ... ... . . .... . . . .. . .. . . .... . . .. . . . .. .. . ... . . . . . . .. . . ... . . .. . . . ... .. . . . . . . .. .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . .. . . . .. .. .. . . ....... .. . .. . . . . . . .. . . ... . . ..... .. . . .. ... . .. .. . . . .. .. . . . . . . ... . . .
貪食
リソゾーム
小胞体
貯蔵顆粒
自食液胞
リソゾーム
ファゴゾーム
(食餌液胞)
消化液胞
残余小体
排出
2) 過剰量存在する(CD20 抗原と結合していない)場合の IDEC-C2B8 の代謝経路1,5) 本薬の定常部領域はヒトガンマグロブリン由来の IgG1κであり、本質的にはヒト生体内で合成され る免疫グロブリンとほぼ同じ物質と考えられる。従って、本薬が血中の B リンパ球を一掃し、その後、 リンパ節や他の臓器組織に到達してそこに存在する全ての B リンパ球を傷害した後、生体内になお過剰 に残存する場合には、生体内で合成された免疫グロブリンと同じ代謝経路に入るものと推定される。 免疫グロブリンなど生体内たん白質の代謝は、Shonheimer らの放射性同位元素15N を用いた実験に より確認されており、「たん白質の代謝回転」として知られている。その実験によると、体外から摂取 したたん白質の消化管内消化産物アミノ酸から免疫グロブリンなどのたん白質が生合成され、合成され たたん白質は、生体内のプロテアーゼやペプチダーゼによる消化を受けてアミノ酸となり、その 75∼ 80%が次の新たなたん白質の生合成に用いられ、残りの 20∼25%が尿素に代謝されている。 一般に知られている免疫グロブリンなど生体内蛋白質の代謝を図ヘ−7 に略記した。 なお、免疫グロブリンは、シアル酸を有する糖鎖が重鎖定常部領域に結合している。シアル酸が生体 内のシアリダーゼ(ノイラミニダーゼ)によって非還元末端から除去されると、肝臓細胞に存在するアシ アロ糖受容体によって肝細胞に捕獲され、当該細胞中リソゾームのカテプシンによって消化されること が知られている。従って、CD20 に結合した本薬と同様の運命をたどる場合もあると推定される(CD20 抗原と結合した本薬の代謝の項、参照)。 図へ-7 生体内蛋白質の代謝経路
体蛋白質
アミノ酸
アンモニア
炭酸ガス
尿素
排泄
再利用 75∼80% 分解 プロテアーゼ ペプチダーゼ 20∼25%α-ケト酸
炭水化物代謝経路へ クエン酸サイクルへα-ケトグルタル酸
L-グルタミン酸
(4) 排泄1) 1)尿中排泄 生体内たん白質の主たる排泄は尿中排泄である。たん白質や高分子ペプチド製剤(既承認医薬品)の 3H-標識体や125I-標識体を代謝実験によると、表ヘ−3 に示す通り、大部分が尿中に排泄することが報告 されている。本薬も、前項に記載した代謝過程を経た後、主に尿中に排泄されると推定される。 表ヘ-3 たん白質及び高分子ペプチド製剤の排泄 3H標識-牛血液抽出物 ラット静注時、大部分尿中排泄 125I標識-ヒトフィブリノーゲン、トロンビン分 画、ウマコラーゲン合剤 ラット肝臓創傷部位適用時、大部分尿中排泄 125I標識インターフェロンα ラット静注 7 日後までに、80%尿中、7%糞中排 泄 14C標識インターフェロンβ ラット静注 72 時間後までに、72.9%尿中排泄 125I標識ヒトエリスロポイエチンα ラット静注時、約 90%が尿中排泄 125I標識合成サケカルシトニン ラット静注 168 時間後までに、82.8%尿中、7.3% 糞中排泄 2) 乳汁への移行1) 免疫グロブリン、とりわけ新生児の感染防御に重要な役割を果している IgA は、母体から乳汁に 移行することが知られている。従って、構造的に類似している本薬(IgG)も、乳汁中に分泌される可 能性が高いものと推定される。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (参考文献)
1) Encyclopedia of Medical Sciences. 講談社(東京), 1982.
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京), 1977.
5) 上代淑人(訳): 蛋白質及びアミノ酸窒素の異化, ハーパー生化学 31 章 PP318-329, 丸善(東京), 1997.
3. ヒトにおける成績 (1) 癌患者での薬物動態 1) 血清中濃度 ① 単回投与試験(米国データ) IDEC-C2B8 の 100, 250 及び 500 mg/m2を B 細胞性悪性リンパ腫(CD20+)患者各 3 例に点滴静脈 内投与し、血清中濃度を投与終了直後、24, 48, 72,96 時間後、1, 2, 3 及び 4 週間後に測定した。 点滴速度は、50 mg/hr から開始し、200 mg/hr を上限として 30 分毎に上昇させた。各患者の血清中濃 度推移を図ヘ−8 に示す。薬物動態パラメータを表ヘ−4 に示すが、半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT) 及び分布容積は、解析ソフト PCNONLIN(version 4.0)を用いて、one 又は two compartment model で算出した。モデルは、赤池の情報基準(AIC)に従い、より値の低い方を選択した。AUC は台形法で 算出した。Cmax は実測値とした。 各症例毎にばらつきはあるものの、最高血清中濃度(Cmax)、血清中濃度曲線下面積(AUC)、半減期 (t1/2)及び平均滞留時間(MRT)は、100∼500 mg/m2の範囲でほぼ投与量に依存して増加した。半減期は 21.2∼377.5 時間(0.9∼15.7 日)の範囲に分布し、平均値は 125.8 時間(5.2 日)であった。また平均滞留 時間(MRT)は、30.6∼544.6 時間(1.3∼22.7 日)の範囲にあり、平均値は 181.5 時間(7.6 日)であった。 9 症例中 6 症例は、投与 2 週間後にも 10 μg/mL 以上の血清中濃度を維持し、250 又は 500 mg/m2を 投与された 6 症例中 3 症例では、1 ヵ月後でも血清中に IDEC-C2B8 が確認された。半減期が極めて短 かった症例(No.0 , 0.9 日)は、直径 5 cm 以上の腫瘍病変を多数有し、脾腫を伴っていた。 表ヘ-4 癌患者における点滴静脈内投与時の血清中 IDEC-C2B8 濃度解析結果 患者No.* 投与量 抗腫瘍効果** (mg/m2) AUC [台形積分] (μg・ hr/mL) t1/2 (hrs) Cmax (μg/mL) クリアランス (L/hr) 平 均 滞留時間 (hrs) 分布容積 (L) 0 6,950 146.1 29.0 0.0290 210.8 6.10 PR 0 4,439 41.4 57.8 0.0510 59.8 3.04 MR 0 4,928 42.2 47.0 0.0650 60.9 4.00 PD Mean 5,439 76.6 44.6 0.0483 110.5 4.38 SD 100 1,087 49.2 11.9 0.0148 70.9 1.28 -0 64,634 280.5 136.5 0.0090 404.6 3.77 SD 0 6,402 21.2 168.8 0.0980 30.6 3.00 MR 0 38,053 78.8 225.4 0.0150 113.7 1.71 MR Mean 36,363 126.8 176.9 0.0407 183.0 2.83 SD 250 23,803 111.2 36.7 0.0406 160.3 0.85 -0 68,627 89.3 413.1 0.0220 128.9 2.82 SD 0 40,520 55.0 396.6 0.0290 79.4 2.31 MR 0 147,416 377.5 246.1 0.0060 544.6 3.03 PR Mean 85,521 173.9 351.9 0.0190 251.0 2.72 SD 500 45,246 144.6 75.1 0.0096 208.6 0.30 -* :血中濃度の測定は、単回投与臨床第Ⅰ相試験の一環として実施されたものであり、血中濃度を 測定するしないにかかわらず、患者には通し番号が付されている。
**:PR Partial Response(部分寛解), MR Minor Response, SD Stable Disease(不変) PD Progressive Disease(増悪)
図ヘ-8 IDEC-C2B8 100∼500 mg/m2単回点滴静脈内投与時の血清中濃度推移 ② 週 1 回 4 週間反復投与試験(米国データ) IDEC-C2B8 の 125, 250 及び 375 mg/m2を B 細胞性悪性リンパ腫(CD20+)患者に、週 1 回 4 週間 反復点滴静脈内投与し、血清中濃度を毎投与直前直後、並びに最終投与 1, 2, 3, 4 及び 13 週間後に測定 した。なお 16 症例(125 mg/m2 : 3 症例,250 mg/m2 : 4 症例,375 mg/m2 : 9 症例)については、初回及 び最終投与 24, 48, 72 及び 96 時間後にも測定した。点滴速度は、50 mg/hr から開始し、200 mg/hr を 上限として 30 分毎に上昇させた。血清中濃度の推移(中央値)を表ヘ−5 に、初回及び最終(4 回)投与後 のデータによる薬物動態パラメータの比較を表ヘ−6 に示した。 血清中濃度(中央値)は投与回数に従って増加する傾向を認め、375 mg/m2の4回投与後の血清中濃度 (476.0μg/mL)は初回投与時(211.2μg/mL)に比し倍以上の値を示し、最終投与 3 ヵ月後まで意味ある 値を維持した。初回投与後と4回投与後の薬物動態パラメータを比較すると、いずれの投与量において も最高血清中濃度(Cmax)は上昇し、クリアランス(Cl)速度の低下を反映した半減期(t1/2)の延長が認め られた。 本薬 375 mg/m2, 週 1 回 4 回投与においては、定常状態に達していない。米国においては、その 後週 1 回 8 回投与の臨床試験(表ヘ−7)も行われているが、8 回投与においても定常状態には達して いない1, 2)(図ヘ−9)。 (参考文献)
1) Piro LD, White CA, Grillo-lopez AJ. et al: Extended rituximab(Anti-CD20 monoclonal antibody)
therapy for relapsed or refractory low-grade or follicular non-Hodgkin’s lymphoma. Ann Oncol 10: 655-661, 1999.
表ヘ-5 週 1 回 4 週間反復投与時の血清中 IDEC-C2B8 濃度(中央値)推移 IDEC−C2B8投与量 125mg/m2 250mg/m2 375mg/m2 点滴投与 時間 症例 数 IDEC-C2B8 血中濃度中央値 (μg/mL) 症例 数 IDEC-C2B8 血中濃度中央値 (μg/mL) 症例 数 IDEC-C2B8 血中濃度中央値 (μg/mL) 投与前 3 0.0 6 0.0 32 0.0 投与1回目 投与後 3 75.9 6 179.4 31 211.2 投与前 2 24.2 6 14.0 31 76.2 投与2回目 投与後 2 93.7 6 172.7 32 304.1 投与前 3 38.4 6 17.7 34 119.5 投与3回目 投与後 3 99.1 6 189.3 33 434.5 投与前 2 38.6 6 41.5 33 193.3 投与4回目 投与後 3 111.5 6 191.8 31 476.0 投与後1週間 経過観察 3 63.0 5 6.7 13 213.3 投与後1ヶ月 経過観察 2 41.7 5 2.4 28 94.1 投与後3ヶ月 経過観察 1 0.6 3 1.2 24 9.4
表ヘ-6 IDEC-C2B8 週 1 回 4 週間反復投与時の薬物動態パラメータ 投与1回目 投与4回目 患者 ID* コンパー トメント モデル t1/2 (hr) Cmax (μg/mL) Cl (L/hr) t1/2 (hr) Cmax (μg/mL) Cl (L/hr) 抗腫瘍 効果** 125mg/m 125mg/m 125mg/m 125mg/m2222 投与投与投与投与 0 one 69.8 75.9 0.0284 475.8 174.5 0.0087 PR 0 one 109.4 79.1 0.0246 - 117.0 - PD 0 one 47.7 49.3 0.0605 80.4 111.5 0.0147 SD 平均 75.6 68.1 0.0378 278.1 134.3 0.0117 標準偏差 25.5 13.4 0.0161 197.7 28.5 0.0030 250mg/m 250mg/m 250mg/m 250mg/m2222 投与投与投与投与 0 one 6.3 92.2 0.2938 10.3 79.4 0.2460 PD 0 one 51.8 249.0 0.0240 132.2 362.0 0.0081 SD 0 one 48.1 196.4 0.0341 184.5 186.4 0.0109 PR 0 one 33.0 252.5 0.0309 122.8 291.6 0.0116 PR 平均 34.8 197.5 0.0957 112.4 229.9 0.0692 標準偏差 17.9 64.7 0.1144 63.5 107.0 0.1021 375mg/m 375mg/m 375mg/m 375mg/m2222 投与投与投与投与 0 one 35.4 413.7 0.0196 106.0 663.9 0.0045 PD 0 one 11.1 118.9 0.2820 26.4 131.3 0.1188 PD 0 one 53.1 230.9 0.0441 97.5 504.8 0.0114 PR 0 one 84.1 352.4 0.0189 334.5 517.7 0.0033 SD 0 one 34.1 339.3 0.0329 42.6 563.8 0.0139 SD 0 one 93.4 209.7 0.0243 286.3 416.6 0.0071 PR 0 one 65.4 356.0 0.0151 120.3 683.1 0.0046 CR 0 one 56.6 273.2 0.0213 442.3 408.3 0.0069 SD 0 one 104.6 152.0 0.0233 109.8 581.1 0.0067 SD 平均 59.8 271.8 0.0535 174.0 496.7 0.0197 標準偏差 28.8 95.2 0.0812 136.2 157.3 0.0352 * :血中濃度の測定は、反復投与臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験の一環として実施されたものであり、血中濃 度を測定するしないにかかわらず、患者には通し番号が付されている。
**:PR Partial Response(部分寛解), MR Minor Response, SD Stable Disease(不変) PD Progressive Disease(増悪)
表へ-7 週1回8週間反復投与時の血清中 IDEC-C2B8 濃度(中央値)推移 IDEC-C2B8 血中濃度(μg/mL) 点滴投与 時間 症例数 中央値 最小値 最大値 投与1回目 投与前 投与後 31 32 225.40.0 16.10.0 581.90.0 投与2回目 投与前 投与後 33 34 330.156.9 106.81.6 158.9948.6 投与3回目 投与前 投与後 32 32 122.4352.7 110.53.3 240.2731.2 投与4回目 投与前 投与後 32 33 135.0437.2 138.04.9 472.0835.8 投与5回目 投与前 投与後 33 33 199.6449.2 156.016.8 386.8929.1 投与6回目 投与前 投与後 33 33 228.3534.0 152.729.7 502.5865.2 投与7回目 投与前 投与後 32 31 293.2518.1 187.038.0 898.2936.8 投与8回目 投与前 投与後 32 32 326.3558.1 170.046.4 1,177.0661.0 投与1週間後 26 352.4 73.5 819.7 投与1ヵ月後 30 143.0 2.1 351.6 投与2ヵ月後 27 72.2 1.3 253.4 投与6ヵ月後 15 3.1 0.0 17.6 図へ−9 IDEC-C2B8 投与時のトラフ値とピーク値の推移 表へ−5(週1回4回投与)、表へ−7(週1回8回投与)の中央値をグラフ化したもの。 n については当該表参照。 0 100 200 300 400 500 600 IDEC-C2B8 ( μ g/mL ) 8週間反復投与 4週間反復投与 投与終了3ヶ月後 投与終了1週間後 投与終了1ヶ月後 投与終了6ヶ月後 IDEC-C2B8 投与
③ 週 1 回 4 週間反復投与試験(日本データ)
IDEC-C2B8 の 250 及び 375 mg/m2を B 細胞性悪性リンパ腫(CD20+)患者に、週 1 回 4 週間反復点 滴静脈内投与し、血清中濃度を毎投与直前直後、初回投与 24, 48, 96(又は 120)時間後、並びに最終投 与 24, 48, 96(又は 120)時間後、1, 2, 3 週間後及び 1, 2, 3 ヵ月後に測定した。点滴速度は、25 mg/hr× 1 時間から開始し、100 mg/hr×1 時間を経て、200 mg/hr まで上昇させた。全測定患者の血清中濃度推 移を表ヘ−8 に示す。薬物動態の解析は解析ソフト WinNonlin(Scientific Consulting, Inc. )を用いて 行った。モデル解析は、4 回投与後 3 ヵ月までのすべての血中 IDEC-C2B8 濃度の測定点を Model 2.(One-compartment with constant IV input and first-order output) 、 又 は Model 9.(Two-compartment with constant IV input and first-order output)を用いて解析した。モデルは、赤池の情 報基準(AIC)に従い、より値の低い方を選択した。非モデル解析では、AUC のみを台形法で算出した。 Cmax は実測値とした。生物学的半減期は one compartment model では消失速度定数から、two compartment model の場合はβ相のβ値から算出した。また、全身クリアランス(単にクリアランスと 記す)は、共に分布容積に消失速度定数を乗じて算出されるが、two compartment model では体循環コ ンパートメント(V1)の分布容積のことである。日本データより算出された薬物動態パラメータを表ヘ− 9 に、比較として米国データより同一の方法で求めた薬物動態パラメータを表ヘ−10 に示した。 血清中濃度推移において、患者 No. , , 及び 等では血清中濃度のピーク値とトラフ値は、長い 半減期に起因する蓄積性を示唆するように投与を経るに従い上昇した。一方、リンパ腫細胞が多臓器に 浸潤している 1 症例(患者 No. )は、非常に短い半減期(11.8 時間)を示し、投与直前の血清中濃度は検 出限界付近まで低下した。本症例のように多くの節外病変を有する症例、又は大きな病変を有する症例 では、本薬の必要量が多くなるため血中濃度が低値を示すという報告がある1)。また、本薬の血中濃度 が低値を示す他の要因として、日本の臨床第Ⅱ相試験成績の探索的解析結果から、脾臓腫大、肝臓腫 大、骨髄浸潤の関与が明らかになり、白血化も関連している傾向が窺えた(表へ−11)。脾臓や肝臓 は骨髄や血液同様に本薬が移行し易く、更に、脾臓や肝臓は網内系が発達した臓器であるため、本薬 が貪食処理され易く、それによって血中濃度が低値を示すと考えられる。この他、胸水・腹水が存在 するとそこに本薬が漏出するために血中濃度が低下し、ヒト抗キメラ抗体が出現すると本薬が中和さ れて血中濃度が低下すると推察されるが、臨床第Ⅱ相試験においては、そのような症例の血中濃度が 測定されていなかったり、測定されていても少数であったため、裏付けとなるようなデータは得られ ていない。 日本、米国データ共に血清中濃度曲線下面積(AUC)は、用量依存的に増大した。統計解析により、375 mg/m2の AUC 値及び Cmax 値において、日米間に有意差(t-検定,p<0.01)がみられた。250 mg/m2 の AUC 値及び Cmax 値を含め、他のパラメータに差は認められなかった。375 mg/m2の投与量におけ る AUC 値及び Cmax 値の有意差は、血中動態に影響を与える可能性のある「節外病巣」や「骨髄浸潤」 等の患者背景からは説明できず、また、血清中濃度の定量法や検体の保存方法にも、日米間で差はない ことより、人種差が存在する可能性は否定できないが、比較した例数が 8 例及び 9 例と少数であるので、 現時点において結論を出すのは早急と考える。現在、適応症及び用法・用量の拡大を企図した臨床第Ⅱ 相試験を進行中であり、その試験において血中濃度の推移を検討している。当該試験は、平成 13 年 9 月に終了の予定であり、その結果も参考にして結論を出す予定である。 (参考文献)
1) Berinstein NL, Grillo-Lopez AJ, White CA, et al: Association of serum rituximab (IDEC-C2B8) concentration and antitumor response in the treatment of recurrent low-grade or follicular non-Hodgkin’s lymphoma. Ann Oncol 9:995-1001, 1998.
表ヘ-8 週 1 回 4 週間反復投与時の IDEC-C2B8 の血清中濃度推移(全測定症例)
250 mg/m2 No. ( ) No. ( ) No. ( ) No. ( )
採血時間 Total 時間 μg/ml Total 時間 μg/ml Total 時間 μg/ml Total 時間 μg/ml
1回目投与直前 0 0.21 0 0 0 0 0 0 1回目投与直後 5.08 78.78 6.67 42.52 3.20 61.10 3.80 62.93 24時間後 23.92 64.31 24.00 8.99 24.00 53.88 24.00 68.90 48時間後 47.92 46.00 48.00 1.54 48.00 42.81 48.00 35.61 120時間後 119.92 33.17 95.83 0.66 96.28 24.61 120.17 25.23 2回目投与直前 168.83 27.59 168.17 0.21 167.75 24.68 167.83 20.55 2回目投与直後 172.50 110.18 171.83 24.51 171.50 115.40 171.08 87.78 120時間後 288.83 58.59 264.17 1.15 263.92 56.93 288.00 43.56 3回目投与直前 504.08 23.00 337.75 0.35 335.83 46.12 335.92 38.57 3回目投与直後 507.75 135.39 341.58 27.85 339.42 132.79 339.22 110.70 120時間後 624.08 83.04 433.83 3.63 432.00 73.86 456.00 50.50 4回目投与直前 674.67 72.59 504.17 1.31 503.50 77.65 504.00 42.06 4回目投与直後 678.33 136.41 507.75 91.38 507.25 164.52 507.25 104.66 24時間後 700.67 154.56 507.75 91.38 528.25 152.02 528.00 93.68 48時間後 720.83 118.70 552.17 30.56 552.12 115.18 552.00 77.03 120時間後 792.92 76.87 600.83 13.14 600.10 115.22 624.50 68.97 1週間後 839.42 80.97 672.17 5.25 672.08 91.19 673.00 73.34 16日後 1058.48 92.62 840.08 1.34 841.00 88.82 840.00 37.25 23日後 1224.58 79.58 1007.83 0.47 1009.00 72.55 1008.00 21.90 30日後 1392.58 65.21 1199.92 0.36 1177.00 48.01 1176.00 11.99 2カ月後 2064.22 51.96 1871.97 0.12 1873.00 16.15 1848.00 1.20 3カ月後 2739.33 24.31 2640.00 0.00 2521.00 9.68 2498.00 0.51
表ヘ-8(続き) 週 1 回 4 週間反復投与時の IDEC-C2B8 の血清中濃度推移(全測定症例)
375 mg/m2 No. ( ) No. ( ) No. ( ) No. ( )
採血時間 Total 時間 μg/ml Total 時間 μg/ml Total 時間 μg/ml Total 時間 μg/ml
1回目投与直前 0 0 0 0 0 0 0 0 1回目投与直後 0.15 0.61 5.00 69.36 0.12 0.12 4.67 135.45 24時間後 23.95 81.01 24.00 97.32 23.75 81.24 24.50 70.08 48時間後 47.88 75.69 48.00 79.79 47.75 70.87 48.00 51.96 120時間後 120.00 22.18 96.42 83.79 119.75 67.84 120.00 21.44 2回目投与直前 167.88 14.15 168.00 46.76 168.00 46.19 167.92 17.65 2回目投与直後 168.08 13.92 172.33 128.07 172.58 148.94 172.33 158.57 120時間後 287.83 58.52 263.92 87.29 287.75 74.06 288.00 77.68 3回目投与直前 335.97 44.08 335.50 66.99 335.75 67.85 336.00 67.93 3回目投与直後 336.12 42.64 340.42 155.13 340.50 175.56 340.75 178.07 120時間後 456.00 68.26 432.25 91.69 455.75 105.72 456.00 70.25 4回目投与直前 671.88 23.62 504.00 98.84 503.75 100.38 504.00 76.25 4回目投与直後 672.03 18.27 508.45 143.47 509.00 214.23 508.58 220.86 24時間後 696.02 147.00 528.50 186.59 527.92 225.91 528.00 156.04 48時間後 720.13 131.45 552.00 140.14 551.92 203.62 552.25 149.90 120時間後 791.98 80.72 600.08 170.27 647.92 155.25 624.00 96.81 1週間後 839.83 64.72 697.00 94.08 671.75 108.16 672.00 110.18 16日後 1008.17 40.30 865.00 105.30 840.25 99.37 841.17 77.00 23日後 1176.00 21.20 1033.00 82.77 1032.08 75.61 1007.83 47.57 30日後 1344.07 17.51 1201.00 68.46 1175.08 61.94 1152.08 56.68 2カ月後 2016.25 2.68 1873.00 23.66 1874.75 46.40 1848.67 22.14 3カ月後 ─ ─ 2545.00 8.03 2546.75 19.68 2521.75 8.60
375 mg/m2 No. ( ) No. ( ) No. ( ) No. ( )
採血時間 Total 時間 μg/ml Total 時間 μg/ml Total 時間 μg/ml Total 時間 μg/ml
1回目投与直前 0 0 0 0 0 0 0 0 1回目投与直後 4.75 120.35 4.67 120.16 5.72 89.45 4.33 130.33 24時間後 24.00 84.04 23.83 76.37 23.92 23.93 24.22 100.79 48時間後 48.00 57.57 47.78 65.25 47.95 20.40 47.67 84.23 120時間後 96.08 42.27 119.87 32.73 119.87 1.54 95.75 66.02 2回目投与直前 167.92 18.01 168.25 32.01 167.75 1.18 167.67 40.06 2回目投与直後 172.75 128.79 172.92 150.20 171.70 45.76 172.62 193.56 120時間後 265.00 54.90 288.17 83.69 287.83 5.20 263.67 92.29 3回目投与直前 335.92 51.55 335.58 68.75 336.47 2.33 335.58 69.44 3回目投与直後 340.67 86.65 340.17 161.90 340.63 52.38 341.67 198.66 120時間後 432.00 80.05 455.67 62.98 455.92 11.55 431.72 133.97 4回目投与直前 503.92 77.02 551.92 60.00 503.58 14.90 503.67 86.02 4回目投与直後 508.83 148.35 556.50 174.28 507.83 135.35 508.30 208.11 24時間後 528.00 113.58 575.95 177.65 527.83 71.84 527.67 312.36 48時間後 552.50 99.15 600.00 108.08 551.92 43.32 553.50 198.60 120時間後 600.00 94.50 671.92 114.51 623.93 37.02 599.92 146.79 1週間後 696.00 61.69 719.83 87.43 671.80 26.23 696.58 132.13 16日後 840.42 59.38 863.17 52.14 888.93 11.07 839.25 97.63 23日後 1009.58 49.40 1007.13 39.92 1056.47 6.76 1006.83 97.69 30日後 1177.50 29.03 1175.55 30.20 1224.57 3.25 1199.65 55.88 2カ月後 1898.17 10.32 1847.85 6.96 1991.97 0.38 1871.93 12.23 3カ月後 2570.25 2.56 3167.17 0.64 2568.38 0.07 2712.13 2.19
表ヘ-9 IDEC-C2B8 週 1 回 4 週間反復投与時の薬物動態パラメータ(日本データ) 投与量 コンパー AUC 半減期 Cmaxa) クリアラ 平均滞 分布 抗腫 患者No. (mg/m2) トメント (台形積分) (hr) (μg/mL) ンス 留時間 容積 瘍効 モデル (μg・hr/mL) (L/hr) (hr) (L) 果 I-0 2 170667 1404.0 154.6 0.0076 1902 14.49 CR I-0 250 1 9303 11.8 91.4 0.6289 17 10.72 -* I-0 2 122582 574.5 164.5 0.0123 801 9.88 PR I-0 2 62819 253.0 110.7 0.0234 340 7.96 PD 平均値 - - 91343 560.8 130.3 0.1681 765 10.76 - SD - - 60853 526.1 30.2 0.2661 713 2.37 - I-0 # 1 71109 207.7 147.0 0.0330 300 9.88 PR I-0 2 161801 571.4 186.6 0.0147 754 11.42 NC I-0 1 183673 467.2 225.9 0.0114 674 7.68 CR I-0 375 2 136721 571.5 220.9 0.0182 762 13.84 PR I-0 2 95510 462.2 148.4 0.0305 578 17.63 PR I-0 2 106184 320.8 177.7 0.0254 420 10.69 NC I-0 1 26430 32.1 135.4 0.2016 46 9.35 PR I-0 2 164469 469.2 312.4 0.0151 599 8.82 NC 平均値 - - 118237 387.8 194.3 0.0437 517 11.16 - SD - - 49963 176.6 54.5 0.0601 232 3.00 - a):実測値 *:事後「不適格」と判定されたため、効果判定はなされていない。 #:規定通りの測定がなされなかった症例。 表ヘ-10 IDEC-C2B8 週 1 回 4 週間反復投与時の薬物動態パラメータ(米国データ) 投与量 コンパー AUC 半減期 Cmaxa) クリアラ 平均滞 分布 抗腫 患者No. (mg/m2) トメント (台形積分) (hr) (μg/mL) ンス 留時間 容積 瘍効 モデル (μg・hr/mL) (L/hr) (hr) (L) 果 1 19171 7.7 97.8 0.3505 11 3.88 PD 250 2 253149 431.7 634.1 0.0102 525 5.37 MR 2 93102 241.9 218.1 0.0242 269 6.50 PR 1 210350 115.0 291.6 0.0205 166 3.40 PR 平均値 - - 143943 199.1 310.4 0.1014 243 4.79 - SD - - 92856 157.8 199.3 0.1439 187 1.23 - 2 271317 447.1 663.9 0.0070 560 3.93 PD 1 40939 12.7 201.4 0.2234 18 4.10 PD 1 226550 370.8 504.8 0.0084 535 4.48 PR 2 436294 461.6 517.7 0.0062 648 4.01 MR 375 1 210628 168.1 563.8 0.0151 242 3.66 MR 2 425938 635.5 416.6 0.0084 867 7.30 PR 1 462569 300.1 649.6 0.0041 859 3.49 CR 2 392341 896.0 408.3 0.0072 1198 8.67 SD 1 122512 247.4 581.1 0.0140 357 5.00 PD 平均値 - - 287676 393.3 500.8 0.0326 587 4.96 - SD - - 141753 246.1 135.3 0.0675 338 1.70 -
表へ-11 血中濃度に及ぼす要因の解析結果 3回投与前 3回投与前 有 無 有 無 節外病変 n 15 52 胸水・腹水 n 3 64 3病変≦ 平均値 46.31 74.06 平均値 55.77 68.41 標準偏差 30.60 33.26 標準偏差 53.81 33.87 p値 0.0052* p値 0.5388 骨髄浸潤 n 24 43 肝腫大 n 6 61 平均値 51.73 76.84 平均値 35.25 71.05 標準偏差 32.65 32.47 標準偏差 38.73 32.66 p値 0.0035* p値 0.0141* 白血化 n 7 60 脾腫大 n 6 61 平均値 50.96 69.82 平均値 33.33 71.24 標準偏差 28.86 34.76 標準偏差 22.18 33.71 p値 0.1728 p値 0.0091* 解析対象症例: 臨 床第Ⅱ 相試験(実施計画 書番号 IDEC-C2B8-2)参加症例のうち、病理中央診断で indolent B 細胞リンパ腫又は mantle cell lymphoma であることが確認され、かつ、適格基準を満足した 症例であって、第 3 回目の投与直前に IDEC-C2B8 の血中濃度を測定し得た 66 例。
(2) 高齢者での薬物動態(日本データ) 日本の臨床第Ⅱ相試験における初回投与症例で IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復点滴 静脈内投与)のうち、患者の選択基準を満足し、かつ、本薬の血清中濃度を測定し得た症例を対象とし て、高齢者(65 歳以上)と非高齢者(65 歳未満)の血清中の濃度推移を比較した。臨床第Ⅱ相試験では、 薬物動態パラメータの算出を目的とした測定は行っていないが、第 3 回投与直前のトラフ値と投与開始 後 3 ヵ月目の血清中濃度は、それぞれ 67 例と 30 例について測定されており、その値を用いれば本薬の クリアランスはほぼ適切に評価できると判断した。 表ヘ−12 及び図へ−10 に示すように、65 歳以上の症例が 65 歳未満の症例に比し高い血清中濃度を 維持しているとはいえず、症例数は少ないものの両者間に有意差は認められなかった。 なお、本結果は、患者の選択基準(例えば、年齢が 75 歳以下、血清 AST(GOT)、ALT(GPT)値が 施設正常値上限の 4 倍未満、血清総ビリルビン値が施設正常値の 2 倍未満、血清クレアチニン値が 施設正常値上限の 1.5 倍未満、動脈血 PaO2が 65 mmHg 以上など)を全て満足する症例を標本とし た事後の探索的解析であり、高齢者ではあっても臓器の機能が比較的良好な症例におけるものであっ て、全ての高齢者を母集団としたものではない。 表ヘ-12 65 歳以上症例と 65 歳未満症例の血清中 IDEC-C2B8 濃度の比較 第3回投与前 3ヵ月後 6ヵ月後 65歳以上 検討症例数 9例 5例 2例 (高齢者) 年齢 中央値 71歳 70歳 71歳 範囲 66∼74歳 66∼74歳 70∼72歳 測定日 平均値 13.9日 90.0日 174.0日 標準偏差 0.6日 9.2日 8.5日 血中濃度 平均値 75.5 μg/mL 12.1 μg/mL 1.20 μg/mL 標準偏差 24.5 μg/mL 9.2 μg/mL 1.25 μg/mL 65歳未満 検討症例数 58例 25例 18例 (非高齢者) 年齢 中央値 48.5歳 50歳 49歳 範囲 32∼63歳 34∼63歳 38∼63歳 測定日 平均値 14.1日 92.5日 183.2日 範囲 0.7日 8.0日 17.8日 血中濃度 平均値 66.7 μg/mL 21.2 μg/mL 4.40 μg/mL 標準偏差 35.8 μg/mL 22.4 μg/mL 7.62 μg/mL 有意差検定値(高齢者対非高齢者、t 検定) 第 3 回投与前 p=0.477(等分散); 3 ヵ月後 p=0.385(等分散); 6 ヵ月後 p=0.564(等分散) 測定日は、投与開始日(第 1 回目投与日)から起算した測定日までの経過日数
図ヘ-10 65 歳以上症例と 65 歳未満症例の血清中 IDEC-C2B8 濃度推移の比較 各時点で血中濃度が測定できた症例の平均値±標準偏差で図示 (同一症例における推移ではない)。 n: 第 3 回投与前(65 歳未満 58 例、65 歳以上 9 例); 3 ヵ月後(65 歳未満 25 例、65 歳以上 5 例); 6 ヵ月後(65 歳未満 18 例、65 歳以上 2 例) (3) 肝機能低下症例での薬物動態(日本データ) 日本の臨床第Ⅱ相試験における初回投与症例で IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復点滴 静脈内投与し、血清中濃度が測定された症例を対象として、登録時に血清 AST(GOT)、血清 ALT(GPT)、 総ビリルビン(T-Bil)、アルカリフォスファターゼ(Alp)、血清γ-GTP が施設正常値を越えている、又 は血清アルブミン(Alb)が 3.2 mg/dL 未満、血清総たん白(TP)が 6.2 mg/dL 未満の何れか 2 項目以上に 当てはまる症例を肝機能低下症例とし、肝機能正常症例と血清中濃度推移を比較した。 表ヘ−13 及び図へ−11 に示すように、肝機能低下症例と肝機能正常症例との間に差があるようには みえず、症例数は少ないものの両者間に有意差は認められなかった。 なお、臨床第Ⅱ相試験における患者の選択基準を満足した適格症例のみについての事後探索的解析の 結果であるため、登録時の血清 AST(GOT)、ALT(GPT)値が施設正常値上限の 4 倍以上の症例や、総 ビリルビン値が施設正常値上限の 2 倍以上であった患者は含まれていない。すなわち、高度の肝機能障 害を有する症例も含めた解析結果ではない。 -20 0 20 40 60 80 100 120 第3回投与前 3ヵ月後 6ヵ月後 血中濃度(μ g/mL )
65歳未満
歳未満
歳未満
歳未満
65歳以上
歳以上
歳以上
歳以上
表ヘ-13 肝機能低下症例と肝機能正常症例の血清中 IDEC-C2B8 濃度の比較 第3回投与前 3ヵ月後 6ヵ月後 肝機能 検討症例数 19例 7例 3例 低下症例 年齢 中央値 54歳 56歳 48歳 範囲 37∼71歳 48∼70歳 48∼70歳 測定日 平均値 14.2日 94.3日 186.0日 標準偏差 1.0日 8.4日 5.3日 血中濃度 平均値 60.0 μg/mL 16.1 μg/mL 2.22 μg/mL 標準偏差 39.0 μg/mL 18.3 μg/mL 1.63 μg/mL 肝機能 検討症例数 48例 23例 17例 正常症例 年齢 中央値 50歳 51歳 51歳 範囲 32∼74歳 34∼74歳 38∼72歳 測定日 平均値 14.6日 91.4日 181.6日 範囲 0.6日 8.0日 18.6日 血中濃度 平均値 71.0 μg/mL 20.8 μg/mL 4.45 μg/mL 標準偏差 32.5 μg/mL 22.0 μg/mL 7.86 μg/mL 有意差検定値(肝機能低下対肝機能正常、t 検定) 第 3 回投与前 p=0.245(等分散); 3 ヵ月後 p=0.615(等分散); 6 ヵ月後 p=0.639(等分散) 測定日は、投与開始日(第 1 回目投与日)から起算した測定日までの経過日数 図へ-11 肝機能低下症例と肝機能正常症例の血清中 IDEC-C2B8 濃度推移の比較 各時点で血中濃度が測定できた症例の平均値±標準偏差で図示 (同一症例における推移ではない)。 n: 第 3 回投与前(肝機能正常 48 例、肝機能低下 19 例); 3 ヵ月後(肝機能正常 23 例、肝機能低下 7 例); 6 ヵ月後(肝機能正常 17 例、肝機能低下 3 例) -20 0 20 40 60 80 100 120 第3回投与前 3ヵ月後 6ヵ月後 血中濃度(μ g/mL)
肝機能正常症例
肝機能正常症例
肝機能正常症例
肝機能正常症例
肝機能低下症例
肝機能低下症例
肝機能低下症例
肝機能低下症例
(4) 腎機能低下症例での薬物動態(日本データ) 日本の臨床第Ⅱ相試験における初回投与症例で IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復点滴 静脈内投与し、血清中濃度が測定された症例を対象として、登録時に血清クレアチニン又は血清中尿素 窒素(BUN)が施設正常値上限を越えている症例を腎機能低下症例とし、腎機能正常症例と血清中濃度 推移を比較した。 表ヘ−14 及び図へ−12 に示すように、腎機能低下症例と腎機能正常症例との間に差があるようには みえず、症例数は少ないものの両者間に有意差は認められなかった。 なお、本解析結果も、臨床第Ⅱ相試験における患者の選択基準を満足した適格症例のみについての事 後探索的解析の結果である。従って、登録時の血清クレアチニン値が施設正常値上限の 1.5 倍以上の腎 機能障害を有するような症例は解析対象症例には含まれていない。 表ヘ-14 腎機能低下症例と腎機能正常症例の血清中 IDEC-C2B8 濃度の比較 第3回投与前 3ヵ月後 6ヵ月後 腎機能 検討症例数 8例 4例 1例 低下症例 年齢 中央値 64.5歳 68歳 63歳 範囲 37∼74歳 63∼74歳 ― 測定日 平均値 13.9日 92.0日 176.0日 標準偏差 0.4日 9.8日 ― 血中濃度 平均値 62.9 μg/mL 12.1 μg/mL 3.43 μg/mL 標準偏差 23.7 μg/mL 11.9 μg/mL ― 腎機能 検討症例数 59例 26例 19例 正常症例 年齢 中央値 49歳 50.5歳 50歳 範囲 32∼73歳 34∼72歳 38∼72歳 測定日 平均値 14.1日 92.1日 182.6日 範囲 0.7日 8.0日 17.6日 血中濃度 平均値 68.5 μg/mL 20.8 μg/mL 4.15 μg/mL 標準偏差 35.8 μg/mL 22.0 μg/mL 7.48 μg/mL 有意差検定値(腎機能低下対腎機能正常、t 検定) 第 3 回投与前 p=0.669(等分散); 3 ヵ月後 p=0.447(等分散); 6 ヵ月後 検定不可能 測定日は、投与開始日(第 1 回目投与日)から起算した測定日までの経過日数
図ヘ-12 腎機能低下症例と腎機能正常症例の血清中 IDEC-C2B8 濃度推移の比較 各時点で血中濃度が測定できた症例の平均値±標準偏差で図示 (同一症例における推移ではない)。 n: 第 3 回投与前(腎機能正常 59 例、腎機能低下 8 例); 3 ヵ月後(腎機能正常 26 例、腎機能低下 4 例); 6 ヵ月後(腎機能正常 19 例、腎機能低下 1 例)
-20
0
20
40
60
80
100
120
第3回投与前
3ヵ月後
6ヵ月後
血中濃度(μ
g/mL
)
腎機能正常症例
腎機能正常症例
腎機能正常症例
腎機能正常症例
腎機能低下症例
腎機能低下症例
腎機能低下症例
腎機能低下症例
(5) 血清中濃度と抗腫瘍効果の関係
1) 血清中濃度と有効性との相関(米国データ)
IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復投与し、各投与の直前直後に血清中濃度を測定し得た 24 症例について、有効症例(CR+PR)と進行症例(PD)に分け、その血清中濃度の推移を比較解析した (検定法:Wilcoxon rank sum test)。
表ヘ−15 に示したように、2 回目投与直前の血清中濃度に、統計学的に有意(p=0.029)な差が認めら れ、有効症例での血清中濃度が高かった。 他に、薬物動態パラメータと臨床効果との間に、相関性は認められなかった(表へ−6、表へ−10)。 日本データに関しては、臨床第Ⅰ相試験における有効症例(CR+PR)7 例と無効症例(NC+PD)4 例に ついて解析した結果、薬物動態パラメータと臨床効果との間に相関性は認められなかった(表へ−9)。 また、臨床第Ⅱ相試験における区分Ⅰ(初回投与例、マントル細胞リンパ腫以外の indolent B 細胞性リ ンパ腫)の症例のうち、第 3 回目投与直前に血中濃度が測定された 54 例を対象として血中濃度高値群と 低値群の奏効率を比較したところ、点推定値では高値群の奏効率が高い傾向にあったが、有意差は認め られなかった(表ヘ−16)。
表ヘ-15 効果により分類した各症例の血清中 IDEC-C2B8 濃度推移(米国データ) 第 1 回目投与 第 2 回目投与 第 3 回目投与 第 4 回目投与 抗腫瘍効果 患者 No. 投与前 投与後 投与前 投与後 投与前 投与後 投与前 投与後 0 0.0 230.9 ND 342.1 77.0 495.6 131.1 395.8 0 ND ND ND ND ND ND 260.3 618.6 0 0.0 203.4 78.1 194.2 159.6 371.4 197.3 510.0 0 0.0 275.9 125.3 597.8 211.1 732.7 258.7 926.8 0 0.0 ND 94.2 385.2 92.3 331.0 193.3 396.0 0 0.0 241.8 96.4 339.0 131.1 439.6 209.7 611.1 0 0.0 203.8 28.8 233.1 61.2 264.9 110.7 371.9 0 0.0 268.5 125.4 287.0 210.8 552.5 373.3 450.0 0 0.0 377.5 80.4 381.8 107.9 539.7 117.5 442.2 0 0.0 231.0 103.8 364.9 166.7 486.7 289.9 546.7 0 0.0 152.4 1.2 190.0 2.6 220.1 10.0 ND 0 0.0 ND 77.1 464.6 183.8 464.7 ND ND 0 0.0 204.3 18.1 532.9 123.6 434.5 237.2 243.3 0 0.0 209.7 90.6 312.6 133.8 341.4 187.2 416.6 0 0.0 145.8 24.7 254.5 77.7 329.8 154.0 518.3 0 0.0 356.0 116.8 371.1 206.7 549.9 314.6 638.1 CR/PR 0 0.0 250.0 82.7 430.5 128.6 461.4 268.2 540.9 中央値 中央値中央値 中央値 0.00.00.00.0 231.0231.0231.0231.0 82.782.782.782.7 368.0368.0368.0368.0 129.9129.9129.9129.9 450.5450.5450.5450.5 203.5203.5203.5203.5 510.0510.0510.0510.0 0 0.0 562.9 99.0 827.4 235.1 930.0 234.5 962.7 0 0.0 413.7 74.2 475.1 157.2 406.1 201.1 663.9 0 0.0 118.9 1.1 172.4 1.2 201.4 2.4 131.3 0 0.0 154.8 23.0 235.3 82.1 230.2 87.3 269.1 0 0.0 216.2 21.9 259.4 35.1 241.4 84.1 350.9 0 0.0 207.7 15.7 229.3 39.4 486.9 90.7 373.3 PD 0 0.0 161.5 4.8 147.8 7.7 197.4 ND 217.4 中央値 中央値中央値 中央値 0.00.00.00.0 207.7207.7207.7207.7 21.921.921.921.9 235.3235.3235.3235.3 39.439.439.439.4 241.4241.4241.4241.4 89.089.089.089.0 350.9350.9350.9350.9 ND:実施せず 表へ−16 血中濃度高値群と低値群の奏効率の比較 奏効度別例数 血中濃度 平均値 ± S.D. 評価 例数 CR PR SD PD NE 奏効率 (95%信頼区間) p値 第3回投与前 高値群 99.9 μg/mL 27 12 7 8 0 0 70.4% ± 18.1 19 (49.8∼86.2%) 0.398 低値群 44.2 μg/mL 27 2 13 10 1 1 55.6% ± 22.3 15 (35.3∼74.5%) 投与3ヵ月後 高値群 36.7 μg/mL 13 5 6 2 0 0 84.6% ± 21.6 11 (54.6∼98.1%) 0.097 低値群 7.5 μg/mL 12 4 2 5 1 0 50.0% ± 5.6 6 (21.1∼78.9%) 略号: S.D., 標準偏差; CR, 完全寛解; PR, 部分寛解; SD, 不変; PD, 増悪; NE, 評価不可能
2) 血清中濃度と腫瘍増殖抑制期間(TTP)との相関(日本データ) 日本の臨床第Ⅱ相試験において、区分Ⅰ(マントル細胞リンパ腫以外の indolent B 細胞リンパ腫)に初 回投与例として登録された適格症例で、IDEC-C2B8 の 375 mg/m2を週 1 回 4 週間反復点滴静脈内投与 し、第 3 回目投与直前、投与開始より起算して 3 ヵ月後の何れか又は両方で血清中濃度が測定された症 例を対象として、血清中濃度高値群(中央値を超える血清中濃度を示す症例)と低値群(中央値以下の血 清中濃度を示す症例)の TTP を比較した。 ①第 3 回目投与直前の血清中濃度高値群と低値群の TTP の比較 第 3 回目の投与前に血清中濃度が測定された区分Ⅰの適格症例数は 54 例であった。 図ヘ−13 に示した通り、血清中濃度高値群は低値群よりも TTP が長く、一般化 Wilcoxon test で有 意差が認められた。後半の一時点で曲線がクロスしており、Log rank test では有意差が認められなか った。従って、第 3 回目投与直前の血清中濃度は、投与 300 日前後までの TTP と相関すると考えられ る。 図へ-13 第 3 回目投与直前の血清中 IDEC-C2B8 濃度高値群と低値群の TTP n=54(但し、区分Ⅰ適格症例で第 3 回目投与直前に血中濃度が測定された症例のみ) 54 例の血中濃度中央値は78.6 μg/mL
TTP Probability
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
日
0
100
200
300
400
500
高濃度
低濃度
Wilcoxon test: p=0.0188
Rog rank test: p=0.0575
Log②投与 3 ヵ月後の血清中濃度高値群と低値群の TTP の比較
投与 3 ヵ月後に血清中濃度が測定された症例数は 27 例であり、血清中濃度高値群と低値群の TTP を 図ヘ−14 に示した。一般化 Wilcoxon test 及び Log rank test のいずれにおいても有意差は認められな かった。 なお、毒性発現の頻度と程度のいずれにおいても、第 3 回目投与直前及び投与 3 ヵ月後における血中 濃度高値群と低値群の間に有意差は認められなかった。 図ヘ-14 投与 3 ヵ月後の血清中 IDEC-C2B8 濃度高値群と低値群の TTP n=27(但し、区分Ⅰ適格症例で投与 3 ヵ月後に血中濃度が測定された症例のみ) 27 例の血中濃度中央値は 16.3 μg/mL 高濃度 低濃度 TTP Probability 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 日 0 100 200 300 400 500 Wilcoxon test: p=0.0698 Rog rank test: p=0.1006Log
(6) 腫瘍内移行・骨髄中への移行・臓器・組織内移行 1) IDEC-C2B8 の腫瘍への移行性(米国データ) IDEC-C2B8 の 100, 250 及び 500 mg/m2を単回点滴静脈内投与され、血清中濃度推移を観察された B 細胞性悪性リンパ腫(CD20+)患者のうち 7 症例について、投与 2 週間後に腫瘍組織を採取し、腫瘍組 織中の IDEC-C2B8 結合腫瘍細胞数をフローサイトメトリーで測定し、全腫瘍細胞数に対する割合を算 出した。結果を図ヘ−15 に示した。 採取した 7 症例中 6 症例の腫瘍組織に IDEC-C2B8 の移行を認め、IDEC-C2B8 が結合した腫瘍細胞 は、全腫瘍細胞の 30∼100%であった。半減期が極めて短かった症例(No. , 0.9 日)の腫瘍組織中に は、IDEC-C2B8 の移行を認めなかった。 例外も認められるが、高投与量の患者の方が低投与量の患者より概して腫瘍組織との結合率が高く、 これは、高投与量ゆえに腫瘍への本薬の移行量が多かったことが一因と考えられる。症例 No. で腫瘍 への移行がほとんど認められなかったのは、大容積の腫瘍を多数有し且つ脾腫を併発していたため、本 薬の脾臓への移行量が増すと同時に大容積の腫瘍に IDEC-C2B8 が配分されたので、各病巣部への移行 量が著しく減少した結果と推察される。 図ヘ-15 腫瘍組織中の IDEC-C2B8 結合腫瘍細胞の割合
(No. : 100 mg/m2, No. - : 250 mg/m2, No. - : 500 mg/m2) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
No. No. No. No. No. No. No.
患者番号 ID E C ID E C ID E C ID E C ----C2 B 8 C2 B 8 C2 B 8 C2 B 8 結合細胞 の率 結合細胞 の率 結合細胞 の率 結合細胞 の率 (% ) (% ) (% ) (% )
2) 131I 標識 B1 抗体の腫瘍への移行性6)
131I で標識したマウス型抗 CD20 モノクローナル抗体(B1 抗体)のヒトでの臓器分布及び腫瘍移行性 を検討した成績が公表されており、本薬のヒトにおける臓器分布及び腫瘍移行性を評価する上で参考と なる。B1 抗体は、ヒト CD20 に対して作製されたマウス型モノクローナル抗体であり IDEC-2B8 同様 にヒト B リンパ球 CD20 の細胞外ドメインを認識するが、その認識部位が同じであるかは不明である。 また、定常部領域も IDEC-2B8(マウス IgG1)とは異なりマウス IgG2a である。
131I-B1 抗体を悪性リンパ腫患者に 5 mCi/15 mg 投与し、投与 1 時間後及びその後少なくとも 5 日間 は 1 日 1 回、全身のシンチレーションを行うと共に、ガンマカメラによる全身(全面と背面)及び臓器別 のスキャニングを行って放射活性を測定した。その後、放射活性−時間曲線を描き、累積放射活性を計 算、各臓器及び全身の吸収線量を概算した。 本試験では、血液中に存在する B リンパ球の除去や131I-B1 抗体の生体内たん白質等に対する非特異 的な結合を防止し、腫瘍への移行率を高めると共に明瞭な画像を得る目的で、非標識 B1 抗体(135 mg) の前投与が試みられた症例が 7 例中 4 例あった。しかし、その効果は期待したほど得られず、前投与有 の症例と前投与無の症例を一括してデータ解析を行っている。 図ヘ−16 に示すように、腫瘍への分布が最も高く、以下、脾、腎、血液、肺、肝、全身の順に高い 分布を示した。本試験において、7 例中 2 例の被験者で腫瘍内分布が低かったが、1 例は脾腫を有する 症例であり、もう 1 例は硬化腫瘍病変を有する症例であった。 図ヘ-16 131I-B1 抗体投与時の腫瘍及び臓器の吸収線量 腫瘍部位の吸収線量: 最高吸収線量を示した腫瘍の値 臓器の吸収線量: 当該被験者の腫瘍部位の吸収線量が最高を示した時の吸収線量 被験者数: 7例 (うち4例については、非標識 B1 抗体を前投与) 全身: 腫瘍、脾、腎、血液、肺、肝以外の部位
0
2
4
6
8
10
12
14
腫瘍
脾
腎
血液
肺
肝
全身
吸収線量(
cGy/mCi)
3) 髄液中への移行7) IDEC-C2B8 は脳脊髄液中に移行するが、血液脳関門に阻まれ移行量は僅かであることが報告されて いる。 中枢神経系にびまん性かつ結節性の脳軟膜病変を有し、脳脊髄液中の腫瘍細胞が陽性であり、脳内に 腫瘍病変の存在が疑われる再発 B 細胞性リンパ腫患者に、本薬を 375 mg/m2/回の用量で週 1 回 4 回投 与し、投与期間中 13 時点で血液中及び脳脊髄液中の IDEC-C2B8 濃度を測定した。その結果、脳脊髄 液中の濃度は投与回数と共に増加するものの、0.55 μg/mL を超えることはなく、脳脊髄液中の CD20 陽性細胞が傷害を受けている様子は認められなかった。一方、血液中濃度は 400 μg/mL まで上昇し、 血液中の CD20 陽性細胞は、投与前の 35%から投与開始 2 時間後には 2%へと減少しており、血液中の B リンパ球は傷害を受けていた。 なお、生体内で合成される免疫グロブリンのうち、脳脊髄液中に確認されているのは IgG のみであり、 その量は 2.5 μg/mL∼7.5 μg/mL であることが知られている。血液中の免疫グロブリン量からみて極 めて低値であり、この値からも、本薬の脳脊髄液への移行は少ないものと推察される。 4) 111In- IDEC-2B8 の臓器・組織内移行8∼10) IDEC-C2B8 のヒトにおける臓器分布は検討されていない。しかし、本薬のマウス型抗体(IDEC-2B8:定常部領域がマウス由来のモノクローナル抗体、可変部領域は本薬と同一)について検討した 成績が報告されている。この試験は別途開発されている放射性免疫療法剤 IDEC-Y2B8(イットリウ ム-90(90Y)標識 IDEC-2B8)の全身及び臓器別放射線被爆を検討するために実施されたものである。 なお、IDEC-2B8 は定常部領域がマウス由来であるため、定常部領域がヒト由来である本薬よりもヒ トに対しての異物性が高く、網内系細胞に取りこまれ易いと考えられる。従って、網内系の発達した 臓器への分布が本薬の実際の分布よりも高くなっている可能性がある。
111In で標識した IDEC-2B8(111In- IDEC-2B8)を悪性リンパ腫患者に 185 MBq(5 mCi)静脈内投与 した後、投与直後、2, 4∼6 時間後、1, 2, 3, 4, 5, 6 日後の時点でガンマカメラによる臓器スキャニン グを行うと共に血液中の放射活性を測定し、MIRDOSE3(コンピューターソフトウエア、Oakridge Associated Universities)を用いて、111In- IDEC-2B8 の各種臓器における概算吸収線量を求めた。
なお、111In- IDEC-2B8 投与直前に、IDEC-C2B8 を 100 mg/m2又は 250 mg/m2投与した。この目 的は、血液中に存在する B リンパ球を除去し、111In- IDEC-2B8 の生体内たん白質等への非特異的な 結合を防止してより明瞭な画像を得ることを目的としたものである。 図ヘ−17 に示すように、脾臓の吸収線量が最も高く、肝、肺、胆嚢壁、副腎、膵の順に高い値を 示した。111In- IDEC-2B8 を用いたヒトでの成績とマウスでの成績(306 頁参照)を比較すると、ヒト において特に脾臓への移行率が高値を示したが、これはマウスと異なりヒトでは、脾臓が反応性を有 する B リンパ球をプールしている臓器であるためと考えられる。また、ヒトにおける131I-B1 抗体の 成績(前頁参照)と比較すると、111In‐IDEC-2B8 を用いた試験では腎への分布が低く、131I‐B1 抗体 を用いた試験では腎への分布が高い。この理由は、B1 抗体から分離した131Iが腎に排泄されたため
と推定される。111In‐IDEC-2B8 はキレート剤 diethylenetriaminepentaacetic acid(MX-DTPA)で 111In と IDEC-2B8 を強固に結合させており、遊離が生じ難いためと考えられる。
図ヘ-17 111In- IDEC-2B8 の臓器・組織内分布(6 日間の吸収線量中央値)
111In-2B8 投与量: 185 MBq (5 mCi)
測定例数: 脾 49 例、その他 56 例。脾臓の例数が少ないのは脾摘等による。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (参考文献)
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anti-B1 (ANTI-CD20) antibody. New Engl J Med, 329:459-465, 1993.
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after rituximab treatment of B-cell lymphoma. Proceedings of 36th ASCO, 19:40a(#151), 2000.
8) Wiseman GA, White A, Stabin M, et al: Phase I/II 90Y-Zevalin (yttrium-90 ibritumomab tiuxetan,
IDEC-Y2B8) radioimmunotherapy dosimetry results in relapsed or refractory non-Hodgkin’s lymphoma. Eur J Nucl Med 27:766-777, 2000.
9) Wiseman GA, White A, Witzig TA, et al: IDEC-Y2B8 Radioimmunotherapy: Baseline bone marrow
involvement and platelet count are better predictors of hematologic toxicity than dosimetry. Blood 92:(10, suppl):417a(#1721), 1998.
10) Wiseman GA, Leigh BR, Gordon LI, et al:: ZevalinTM Radioimmunotherpy (RIT) for B-cell
non-Hodgkin’s lymphoma (NHL): Biodistribution and Dosimetry results. Proceedings of 36th ASCO,
19:40a(#151), 2000. 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 脾 肝 肺 胆 嚢 壁 副 腎 膵 膀 胱 壁 骨 心 筋 腎 胃 骨 髄 乳 房 筋 肉 卵 巣 小 腸 精 巣 胸 腺 甲 状 腺 全 身 脳 皮 膚 吸収線量( Gy )