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(1)

論 文

無人飛行体による災害復旧ネットワークにおける 正規化相互相関を用いた複数メッセージ収集点決定法

檀上 梓紗

a)

原 晋介

b)

松田 崇弘

††c)

小野 文枝

†††d)

A Multiple Data Collection Points Selection Method

Using a Normalized Crosscorrelation in a UAV Enabled Disaster Recovery Network

Azusa DANJO

a)

, Shinsuke HARA

b)

, Takahiro MATSUDA

††c)

, and Fumie ONO

†††d)

あらまし 大規模災害が発生し,多くの人々が避難所での生活を余儀なくされた場合,避難者の安否確認のた めに,災害発生後すぐに構築できる代替の情報ネットワークが必要不可欠となる.無人飛行体(UAV: Unmanned

Aerial Vehicle)を利用することにより,安否確認メッセージをワイヤレスに収集できるが,避難所は同一地域に多

数指定されており,効率的にメッセージを収集できる複数の地点を決定する必要がある.そこで,本論文では受 信信号強度(RSS: Received Signal Strength)の正規化相互相関を利用した複数収集点決定法を提案する.また,実 験値による性能評価を行い,経路長及びデータ収集時間の観点での提案法の有用性を示す.更に,計算回数にお いても有利であることを示す.

キーワード 無人飛行体,災害復旧ネットワーク,受信信号強度,正規化相互相関

1.

ま え が き

2011

年に発生した東日本大震災では,電力,ガス,

水道や道路などのライフラインやインフラの壊滅的な 被害により約

47

万人が避難者となっている

[1]

.また,

情報ネットワークに注目すると,地上の情報通信ネッ トワークの完全復旧には約

1

か月かかっている

[2]

.こ のように,大規模災害が発生した場合,多くの人々が 避難所での生活を余儀なくされ,地上の情報通信イン フラは長期的に遮断される可能性が今後も高いことを 考えると,避難者の安否確認のために,災害発生後す

大阪市立大学大学院工学研究科,大阪市

Graduate School of Engineering, Osaka City University, 3–3–138 Sugimoto, Sumiyoshi-ku, Osaka-shi, 558–8585 Japan

††東京都立大学大学院システムデザイン研究科,日野市

Graduate School of Systems Design, Tokyo Metropolitan University, 6–6 Asahigaoka, Hino-shi, 191–0065 Japan

†††情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター,横浜

Wireless Networks Research Center, National Institute of Information and Com- munications Technology, 3–4 Hikarino Oka, Yokosuka-shi, 239–0847 Japan a) E-mail: [email protected]

b) E-mail: [email protected] c) E-mail: [email protected] d) E-mail: [email protected]

DOI:10.14923/transcomj.2020GWP0007

ぐに構築できる代替の情報ネットワークを準備してお くことが必要不可欠となる.

一方,我が国では,内閣府が

2016

年から小型の無人 飛行体

(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)

に対してロー ドマップを策定しており,最新の改定によると,

2022

年度以降に目視外・有人地帯での飛行(レベル

4

)が 許可される見込みである

[3]

UAV

は,道路が遮断さ れている場合でも被災地まで到達することが可能であ り,また,避難所に避難者からの安否確認メッセージ を蓄積するためのサーバと無線機を設置している自治 体もある

[4]

.これらのことを考慮に入れると,無線通 信機器を搭載した

UAV

が拠点から避難所まで飛行し 上空でホバリングしながら安否確認メッセージを収集 するような臨時の情報通信ネットワークが大いに期待 できる

[5]

UAV

が拠点を出発し,複数の避難所を巡りながら安 否確認メッセージを収集する場合の問題として,

UAV

の飛行時間が短く,現状で

20–40

分に制限されている ことが考えられる

[6]

.限られた時間で安否確認メッ セージを効率良く収集するためには,拠点から避難所 への移動及び安否確認メッセージ収集の二つの側面か ら問題解決にあたらなければならない.

電子情報通信学会論文誌 ©一般社団法人電子情報通信学会

(2)

自動車を利用する場合のように,避難所でメッセー ジを収集する位置が道路上に限定されている場合は,

運搬経路問題

(VRP: Vehicle Routing Problem) [7]

を解 くことにより,最適なメッセージ収集経路は決定でき る.しかしながら,無線を使って

UAV

でメッセージ を収集する場合は,避難所でメッセージを収集する 位置は

3

次元空間上で自由に決定できるので,メッ セージを効率良く収集できる点をまず決定しておく必 要がある.一般的に,無線品質は受信信号強度

(RSS:

Received Signal Strength)

の増加関数であるため,メッ セージを効率良く収集するには,避難所の無線機から の信号に対する

RSS

が高い点をメッセージ収集点と して決定し,そこでホバリングしながらメッセージを 収集するべきである.そのメッセージ収集点を決定す る方法として,筆者らはテンソル再構成に基づいた方 法を提案した

[8]

.この方法では,メッセージの収集前 に,対象とする領域で無線機からの信号に対する

RSS

のセンシングを疎に行い,

RSS

マップを

3

階テンソル とみなして再構成した後,

RSS

が高くなるメッセージ 収集点を決定する.

[8]

において,我々は実験結果を用 い,対象領域の

25%

RSS

のセンシングを行うだけ で,複数の無線機からのメッセージを効率良く収集で きる単一のメッセージ収集点を決定できることを示し た.しかしながら,この方法では,送信機数が増加し た場合,それらの信号に対する

RSS

が同時に高くな るような単一のメッセージ収集点を選択しても,全て の信号に対して

RSS

が十分高くならないので,メッ セージが効率良く収集できなくなる.このような場合 は,

RSS

が十分高くなるような複数のメッセージ収集 点を選択するべきである.

そこで本論文では,複数のメッセージ収集点を

RSS

マップ間の正規化相互相関を利用して決定する方法を 提案する.複数の送信機に対する複数のメッセージ収 集点の決定問題は,厳密には組合せ最適化問題を解く 必要があり計算回数が莫大となるが,提案法の計算回 数は

RSS

センシング点数の線形関数で与えられる.ま た,提案法は従来法である単一メッセージ収集点を選 択する方法

[8]

をサブクラスとして含んでいる.以下,

2.

では本提案法で用いるモデル及び仮定について説明 し,

3.

で問題設定を行う.

4.

で提案法を二つ提案し,

5.

でその性能評価を行う.

6.

では本論文の結論を示す.

2.

モデル及び仮定

2. 1

システムモデル

無線機を搭載した

UAV

が,複数の避難所に設置さ れているサーバに蓄積された安否確認メッセージを収 集するモデルを想定する.以下では,サーバを送信機 と呼び,安否確認メッセージをデータを呼ぶ.このモ デルはセンシングステージ及びデータ収集ステージで 構成され,センシングステージでは

UAV

が複数地点 で送信機からの信号の

RSS

をセンシングする.また,

データ収集ステージでは,センシングステージで得た

RSS

を利用してデータ収集点を決定し,その地点で データ収集を行う.

2. 2 UAV

及びレイアウトモデル

1

はレイアウトモデルであり,ここには

3

次元 領域

F

P

台の静止した送信機

(TX)

1

台の飛行す る

UAV

がある.

F

の大きさは

Xm × Y m × Zm

であ り,大きさ

∆Xm × ∆Ym × ∆Z m

のボクセルで分割さ れている.

N

1

N

2 及び

N

3をそれぞれ

x

軸,

y

軸及

z

軸方向の分割数とすると,

F

を構成するボクセル 数は合計

N

1

× N

2

× N

3

= N

v個となる.ボクセルのラ ベルは

l = i + N

1

( j − 1 ) + N

1

N

2

( k − 1 ) (l = 1 , 2 , . . ., N

v

, i = 1 , 2, . . . N

1

, j = 1, 2, . . . N

2

, k = 1, 2, . . . N

3

)

とし,

l

番目のボクセルの重心を

G

l

= [ x

i

, y

j

, z

k

]

,その

集合を

G = {G

1

, G

2

, . . ., G

Nv

}

と定義する.以下で

は,ボクセルの重心を単に点と呼ぶ.また,

P

台の送 信機は

F

の外側に配置し,

p

番目の送信機の位置を

S

p

= [X

p

, Y

p

, Z

p

]

(p = 1, 2, . . ., P)

とし,その集合を

1 レイアウトモデル Fig. 1 Layout model.

(3)

S = { S

1

, S

2

, . . ., S

P

}

と定義する.

センシングステージでは,

UAV

G

から

M

個の点 を選択し

(M ≤ N

v

)

,それぞれの点で

P

台の送信機か らの信号に対して

RSS

をセンシングする.

m

番目の センシング点を

U

m

(m = 1, 2, . . ., M )

とし,その集合

U = { U

1

, U

2

, . . ., U

M

}

と定義する.更に,このと

きのセンシングレートを

B

sense

= M / N

vと定義する.

なお,ここでいう

RSS

は,送受信機が静止している場 合に,それらの周りの建物分布等の物理的な環境から 決定される距離減衰とシャドウイングによる成分を含 み,時間的な瞬時値変動であるフェージングによる成 分は含まないものとする.

一方,データ収集ステージでは,

UAV

U

から

Q

個の点を選択し

(Q ≤ M )

,それぞれの点でデータを収 集する.

q

番目のデータ収集点を

W

q

(q = 1, 2, . . ., Q)

とし,その集合を

W = { W

1

, W

2

, . . ., W

Q

}

と定義 する.また,

W

q でデータ収集が行われる送信機の 集 合 を

S

q

= {S

q1

, S

q2

, . . ., S

q Pq

}

S

q の 集 合 族 を

Sc

= {S

1

, S

2

, . . ., S

Q

}

と定義する.ここで,全ての

送信機は重複なくどれかのデータ収集点でデータ収集 されることが必要であるので,直和を

と表すと

S = S

1

⊕ S

2

⊕ · · · ⊕ S

Q

(1)

が成立している.このとき,

W

qでデータ収集が行わ れる送信機の個数を

P

q

(P

1

+ P

2

+ · · · + P

Q

= P)

と定 義する.更に,

UAV

は一定速度

v

で移動し,

G

aから

G

bへの移動にかかる時間を

T

f

(G

a

, G

b

)

と定義する.

2. 3

無線通信モデル

セ ン シ ン グ ス テ ー ジ で ,

p

番 目 の 送 信 機 か ら の 信 号 を

U

m で セ ン シ ン グ す る 場 合 ,そ の

RSS

R ( U

m

, S

p

) dBm

と 定 義 す る .以 下 で は ,

R

Sp

= {R(U

1

, S

p

), R(U

2

, S

p

), . . ., R(U

M

, S

p

)}

p

番目の送信 機の

RSS

マップと呼び,

R

Sp

U

mの要素を

R

Sp

Um

= R(U

m

, S

p

) (2)

と定義する.特に,

M = N

vの場合を全

RSS

マップ,

一方,

M < N

vの場合を部分

RSS

マップと呼ぶ.なお,

U

m

RSS

をセンシングするのに必要な時間を

T

s

( U

m

)

と定義とし,

T

s

(U

1

) = T

s

(U

2

) = · · · = T

s

(U

M

) = T

s と仮定する.

一方,データ収集ステージで,

p

番目の送信機のデー タを

W

qで収集する場合,データ伝送速度は

R ( W

q

, S

p

)

の関数となる.したがって,この関数を

f ( R ( W

q

, S

p

))

とし,そのデータサイズを

D

p

bits

と定義すると,デー タ収集に必要な時間は

T

c

(W

q

, S

p

) = D

p

/ f (R(W

q

, S

p

)) (3)

で与えられる.なお,

D

1

= D

2

= · · · = D

Q

= D

と仮 定する.

3.

問 題 設 定

3. 1

センシングステージ

UAV

U

1

, U

2

, . . ., U

M の順に訪問する場合,

U

決定問題は総センシング時間の最小化問題として定式 化でき,

find U ⊆ G ˆ which minimizes

M m=1

T

s

(U

m

) +

M−1

m=1

T

f

(U

m

, U

m+1

) (4)

と書ける.このときの総センシング経路長

L

sは,

U

a から

U

bへの経路長を

L

ab

= ∥U

b

U

a

と定義する と,以下のように表すことができる:

L

s

=

M

−1 m=1

∥U

m+1

U

m

∥. (5)

3. 2

データ収集ステージ

UAV

W

1

, W

2

, . . ., W

q

, . . ., W

Qの順に訪問する場

合,

W

Scの決定問題は,総データ収集時間の最小 化問題として定式化でき

find W ⊆ U, ˆ

S

ˆ

c

which minimizes

Q q=1

Sp∈Sq

T

c

(W

q

, S

p

) +

Q−1

q=1

T

f

(W

q

, W

q+1

) (6)

と書ける.このときの総データ収集経路長

L

cは,以 下のように表すことができる:

L

c

=

Q

−1 q=1

∥W

q+1

W

q

∥. (7)

4.

提 案 解 法

4. 1

センシングステージ

センシング点間の移動時間とセンシング時間には

T

f

T

sが成立するので,この最小化問題は総センシ ング経路長

L

sの最小化問題として

find U ⊆ G ˆ which minimizes

(4)

L

s

=

M−1

m=1

U

m+1

U

m

∥ (8)

と書ける.本論文では,遺伝的アルゴリズムに基づい た

3

次元の巡回セールスマン問題の解法

[9]

を利用し て

UAV

の経路を決定する.

UAV

U

1からセンシン グを開始し,

M

点のセンシング地点を訪問した後に

U

M+1

= U

1へ帰還する経路を考え,新たに総センシ ング経路長

L

sを以下のように閉路として定義する:

L

s

=

M m=1

∥U

m+1

U

m

∥. (9)

また,センシング地点は

G

から

M

点ランダムに選択

して

U = {U

1

, U

2

, . . ., U

M

}

を構成し,総センシン

グ経路長

L

sが最短経路となるように

U

を並び替え

U

randomly select U ⊆ G then U = arg min

U=U

L

s

(10)

のように構成する.

4. 2

データ収集ステージ

避難所の収容人数の合計が約

5

万人の大阪市住吉 区でデータ収集を行う場合,一人当りのデータ量を

300kBytes

と仮定すると,全てのデータをデータ伝送

速度

54Mbps

で収集できたとしてもデータの収集に

40

分程度かかるが,データ収集点間の移動時間は

UAV

が時速

40km

以下で移動したとしても,

20

分程度とな る

[10]

.また,例えば

6Mbps

程度でしか収集できな いような環境下ではデータ収集時間は

300

分以上かか ると考えれる.実際には,これらの値は,一人当りの データ量,避難所の収容人数,

UAV

の移動速度等様々 な要因に依存するが,本論文では上記の想定に基づき

T

c

T

fを仮定する.このとき,この問題はデータ収 集時間の和の最小化問題に置き換えられる:

W, ˆ

S

ˆ

c

= arg min

W ⊆U,Sc

Q q=1

Sp∈Sq

D / f ( R ( W

q

, S

p

)).

(11)

4. 2. 1

全 探 索 法

W

Scの全ての組合せを列挙し,その中からデー タ収集時間の和を最小にする組合せを探索する方法を 考える.与えられた

Q

に対して

W

に含まれるデータ

収集点の総数は

N

W

=

M

C

Q

(12)

であり,一方,

Q

個の要素からなるScの総数は第

2

種スターリング数

[11]

N

Sc

= S ( P , Q ) = 1 Q!

Q n=1

(− 1 )

QnQ

C

n

n

P

(13)

で与えられるので,探索すべき組合せの総数は

N

W

×N

Sc

である.これらを全て探索して最適な組合せを探す方 法は総データ収集時間の下界となり,全探索

(BS: Brute

Search)

法と呼ぶ.この計算のステップ数は最小でも

O ( P × M

Q

)

となるため(付録

1.

参照)

M

が大きい場 合,この方法により解を求めることは現実的でない.

4. 2. 2

相 関 法

与えられた

W

,Scに対し,

S

p内の送信機に対す る

f ( R ( W

q

, S

p

))

の最小値を

f

min,q

( R ( W

q

, S

p

))

とす る.

W

q でのデータ収集時間を決定する支配要因は,

T

c

(W

q

, S

p

)

の最大値,すなわち

f

min,q

(R(W

q

, S

p

))

あると仮定する.このとき,データ収集時間の最小化 問題を

f

min,q

( R ( W

q

, S

p

))

の全データ収集点

W

上で の総和が最大となる問題と考える.したがって,この 問題は次式のように定式化できる:

W, ˆ

S

ˆ

c

= arg max

W ⊆U,Sc

Q q=1

f

min,q

( R (W

q

, S

p

)). (14)

f

min,q

(R(W

q

, S

p

))

R(W

q

, S

p

)

の増加関数となっ ていることから,上記の最適化問題を更に簡単にする ため,データ伝送速度の和ではなく,

RSS

の和を最大 化する問題に置き換える:

W, ˆ

S

ˆ

c

= arg max

W ⊆U,Sc

R

c

(15)

R

c

=

Q q=1

R

qc

(16)

R

cq

= min

Sp∈Sq

R

Sp

Wq

. (17)

一般に,データ伝送速度は

RSS

の線形関数とはなって いないため,このような近似は厳密にデータ収集時間 を最小化しているとはいえない.

UAV

で受信する信号 の

SNR

γ

とすると,雑音電力を一定値と仮定したと き,

γ

RSS

に比例した値となる.通信路容量に関す るシャノン限界により,データ伝送速度は

log

2

( 1 + γ)

(5)

に比例した値として表されると仮定する.また,上記 の最適化問題において,

RSS

dBm

の単位で扱って いる.つまり,データ伝送速度の和を

RSS

の和に置 き換えるということは,評価関数を

log

2

(1 + γ)

から

10 log

10

(γ)

に置き換えることに等しい.したがって,

γ

1

よりも十分に大きい場合には,式

(15)–(17)

の 最適化問題は式

(14)

と同等の最適化問題を扱っている と考えることができる.

上記のように近似的な最適化問題を用いることが真 に妥当であるかは,両者を比較して検討する必要があ る.しかし,本論文の目的は両者の比較よりも後に述 べる正規化相互相関を使うことの有効性を示すことに あり,この妥当性検証は本論文で扱う範囲を超えてい るため,今後の課題とする.

R

Sp

R

Sp′の正規化相互相関を

ρ( p , p

) = Cov(R

Sp

, R

Sp′

)

σ

RSp

σ

RSp′

(p, p

= 1, 2, . . ., P, p , p

) (18)

と定義する.ここで,

Cov (X, Y)

X

Y

の共分散,

σ

X

X

の標準偏差を表す.

互いの

RSS

マップの相関が高い複数の送信機から は同一の点でデータを収集できると考えられる.すな

わち,Sc

= {S

1

, S

2

, . . ., S

Q

}

は,同一の要素に含まれ

る送信機間の

RSS

マップが高い相関をもち,一方,異 なる要素に含まれる送信機間の

RSS

マップが低い相 関をもつように分割すればよい.したがって,相関の しきい値を

ρ

thとし,

find

S

ˆ

c

subject to

{ ρ(p, p

) ≥ ρ

th

(S

p

, S

p

∈ S

q

, p , p

)

ρ(p, p

) < ρ

th

(S

p

∈ S

q

, S

p

∈ S

q

, p , p

) (q, q

= 1, 2, . . ., Q, q , q

)

で分割できる.なお,この問題は,送信機を頂点とし,

RSS

マップの相関が

ρ

th以下の頂点間を辺でつないだ 無向グラフを考えることにより,彩色数を

Q

に固定 したグラフ彩色問題

[12]

として定式化できる(付録

2.

参照).

S

ˆ

cが決まったので,

W

W

qに対する個別の最大 化問題

W ˆ

q

= arg max

Wq∈U

R

qc

(q = 1, 2, . . ., Q) (19)

R

qc

= min

Sp∈Sˆq

R

Sp

Wq

(20)

を解くことによって決定できる.この方法の計算回 数は

O(P

2

× M )

であり(付録

3.

参照),相関

(CO:

Correlation)

法と呼ぶ.

なお,これらの方法で得られた解は最短経路を与え ないので,センシングステージの解法と同じように,

3

次元の巡回セールスマン問題の解法を利用して

UAV

の経路を決定する.そのため,

UAV

W

1からデータ 収集を始め,

Q

点でデータを収集した後に

W

Q+1

= Q

1 へ帰還する閉路として,総データ収集経路長を

L

c

=

Q q=0

W

q+1

W

q

∥ (21)

と再定義し,

L

cが最短経路となるようにデータ収集点 を最終的に並び替えるものとする.

(9)

(21)

より,提案法では,センシングステー ジ,データ収集ステージのそれぞれにおいて,センシ ング点,データ収集点の始点から開始して,始点へ帰 還するルートを決定しており,センシング点の終了点 からデータ収集ステージの始点へのルートについては 考えていない.これは,実際にはセンシングステージ を効果的に実施し,更にはデータ収集ステージにおい て大容量データを収集する可能性を考慮し,

UAV

を センシングステージ及びデータ収集ステージにおいて 周回させることを想定しているからである.これらの ルートは周回ルートとして得られることから,データ 収集ステージの始点をセンシングステージの終了点と 最も近い点とすることにより,上記の問題については 回避できる.

5.

実験及び性能評価

提案法の性能評価のため,大阪市立大学にて実験を 行った.図

2

にその写真を示す.

7

台の

2.4GHz

Wi-

Fi [13]

の送信機を図

2 (a)–(f)

に示すよう屋内の窓際に 設置し,屋外でセンシングを行った.なお,

UAV

の飛行 が禁止されているエリアであるため,図

2 (g)

に示すよ う

UAV

の代わりに受信機

(RX)

をポールの先端に取り 付けた.センシング領域の大きさは

X = 30m, Y = 8m,

Z = 10m

であり,その

x

軸,

y

軸及び

z

軸をそれぞ れ

2m

間隔(付録

4.

)で分割し

(∆X = ∆Y = ∆Z = 2m,

N

1

= 15, N

2

= 4, N

3

= 5)

,送信機からの信号の

RSS

N

v

= 300

点でセンシングした.なお,同一センシング

(6)

2 実 験 環 境 Fig. 2 Photos of the experiment.

点では,

RSS

の大きな時間的変動は観測されなかった が,

RSS

は十分時間を離して

10

回センシングした値 の中央値とした.表

1

に実験諸元を示す.

3

に各送信機に対して得られた

RSS

マップを示 す.実験で得られた全

RSS

マップからボクセルをラン ダムに

M(= ⌊N

v

× B

sense

⌋)

個選択し

(0 < B

sense

≤ 1)

, 部分

RSS

マップを作成するものをランダムセンシング

(RS: Random Sensing)

と呼び,その部分

RSS

マップに 対して,相関法を適用した方法をランダムセンシング

/

相関

(RS/CO)

法と呼ぶ.

RS/CO

法の結果は試行回数 を

1000

回とし,中央値を示した.ここで,

B

sense

= 1

とした場合は全

RSS

マップになるが,これを全領域 センシング

(FS: Full Sensing)

と呼び,全探索法を適用 した方法を全領域センシング

/

全探索

(FS/BS)

法,相 関法を適用した方法を全領域センシング

/

相関

(FS/CO)

法と呼ぶ.提案手法は

MATLAB [14]

により実装して いる.

[10]

で は ,避 難 所 一 箇 所 に つ き ,平 均 約

D =

400Mbytes

のデータを収集することを想定しており,

全てのデータを収集するために

UAV

4

周程度する 必要があることが示されている.本論文では一度の

1 実 験 諸 元 Table 1 Specifications of experiment.

実験場所 大阪市立大学

領域サイズ X=30m×Y=8m×Z=10m センシング間隔

∆X=∆Y=∆Z=2m N1=15,N2=4,N3=5, Nv=300

送信機台数(P) 7

無線通信ツール 2.4GHzWi-Fi アンテナ ダイポール 受信回数 10

飛行で全てのデータ収集を行うことを想定しており,

UAV

の飛行時間が

20–40

分であることを考慮して,

データサイズを

D = 100Mbytes

とする.想定よりデー タサイズが小さい場合は,今回のアルゴリズムでは

T

c

T

f を想定しているので,データサイズが大き い方が提案している手法がより効果的であるが,飛行 に充てられる時間が増えるため,更にデータ収集点を 増やすことが可能であると考えられる.一方,データ サイズが想定より大きくなった場合は,一度に全ての データを回収できず,複数回周回する必要があると考 えられる.また,

IEEE 802.11-2016

標準規格(帯域幅

(7)

3 RSSマップ(Bsense=0.25) Fig. 3 RSS maps (Bsense=0.25).

(8)

4 Bsenseに対する総センシング経路長(Ls) Fig. 4 Dependency of the total sensing route length (Ls) on the

RSS sensing rate (Bsense).

20MHz

[15]

を仮定して

RSS R dBm

に対するデータ 伝送速度

f ( R ) Mbps

として以下を採用した:

f (R) =

 

 



 

 

6 . 5 (− 82 ≤ R < − 79 ) 13.0 (−79 ≤ R < −77) 19.5 (−77 ≤ R < −74) 26.0 (−74 ≤ R < −70) 39 . 0 (− 70 ≤ R < − 66 ) 52 . 0 (− 66 ≤ R < − 65 ) 58.5 (−65 ≤ R < −64) 65.0 (−64 ≤ R)

. (22)

4

B

senseに対する総センシング経路長を示す.

B

senseの増加に対して,総センシング経路は線形に増

加しており,

FS/CO

法と比較して

B

sense

= 0.5

でも総 センシング経路長を約

40%

短縮できることがわかる.

5

B

senseに対する総データ収集時間を示す.な

お,総データ収集時間は決定したデータ収集点におけ る式

(3)

の和であり,

T

total

=

Q q=1

Sp∈Sq

T

c

(W

q

, S

p

) (23)

と書ける.また,

Q = 1

のときのデータ収集は単一の 点で行われるため,

RS/CO

法で

Q = 1

とした結果は従 来法に相当する.更に,

FS/BS

法で

Q = 7

とした場合,

総データ収集時間は下界となる.図

5

では,

B

sense及 び

Q

の増加に伴い総データ収集時間は減少しており,

B

sense

= 0.25

でほぼ一定に収束していることが確認で

きる.これは,

B

senseを増加させることでデータ収集 点の候補が増え,

RSS

が高くなるデータ収集点を選択 できるからである.一方,

Q

が少ない場合,総データ

5 Bsenseに対する総データ収集時間(Ttotal)

Fig. 5 Dependency of total data collection time (Ttotal) on the RSS sensing rate (Bsense).

図6 データ収集点数(Q)に対する総データ収集時間(Ttotal) Fig. 6 Dependency of total data collection time (Ttotal) on the

number of data collection points (Q).

収集時間が小さくならないのは,

RSS

が同時に高くな るようなデータ収集点を選択しても,全ての送信機に 対して

RSS

が十分高くならないためである.

Q = 3

と した場合は,下界と比較して,

B

sense

= 0 . 25

で総デー タ収集時間の増加は

30%

である.一方,図

4

から,こ の場合の総センシング経路長は全領域センシングの総 センシング経路長と比較して

70%

短い.そこで,以

降では

B

sense

= 0.25

と設定する.

6

にデータ収集点数に対する総データ収集時間を 示す.なお,

FS/BS

法の結果は各データ収集点数

(Q)

における総データ収集時間の最小値を表している.各

Q

ごとに

FS/BS

法と

FS/CO

法の総データ収集時間を 比較すると,

Q = 2

のときに

FS/CO

法は

FS/BS

法と 比較して

10%

増加することがわかる.このとき,そ れぞれの方法で選択されたデータ収集点の

RSS

を比

(9)

7 データ収集点数(Q)に対する総データ収集経路長 (Lc)

Fig. 7 Dependency of the total data collection route length (Lc) on the number of data collection points (Q).

較すると,

FS/BS

法での

RSS

の最小値は,

FS/CO

法 の

RSS

の最小値よりも低くなっているが,

RSS

の最 大値は

FS/CO

法の

RSS

の最大値よりも高くなってい ることが確認できた.つまり,この誤差は各点におい て

RSS

の最小値のみを考慮してデータ収集点を選択し たことにより発生したと考えられる.また,

FS/BS

法 及び

FS/CO

法は

Q = 5

以上で一定となっており,こ の値が総データ収集時間の下界である.

RS/CO

法の総 データ収集時間は

Q = 7

でその下界と一致することが わかる.更に,

Q = 1

のとき

RS/CO

法の総データ収 集時間は下界と比較して約

100%

増加するが,

Q = 3

ではその増加を約

30%

に抑えることができる.

7

RS/CO

法におけるデータ収集点数に対する 総データ収集経路長を示す.

Q = 3

では

Q = 7

,つま り各送信機に対して最適なデータ収集点を選択する場 合と比較して総データ収集経路長を

50%

短縮できる.

最後に,計算回数の比較を行った,与えられたパラメー タ値,

N

v

= 300

B

sense

= 0 . 25

M = 75 ( = N

v

× B

sense

)

P = 7

Q = 3

に対して,

BS

法と

CO

法の計算回数 はそれぞれ

3.0 × 10

6

4.0 × 10

4となり,

BS

法に比 較して,

CO

法は計算回数を

10

2分の

1

にできる.

6.

む す び

本論文では,

RSS

の正規化相互相関を利用した複数 のデータ収集点決定法を提案した.実験値による経路 長及びデータ収集時間の比較により,

7

台の送信機で データ収集を行う場合,全領域をセンシングすれば,

CO

法によりデータ収集点

5

点で総データ収集時間を 最小にできることを示した.また,

25%

センシングで

データ収集点を

3

点とした場合,下界と比較してデー タ収集時間を約

30%

を増加させるだけで,総センシ ング経路長を

70%

短縮できることを示した.また,そ のときの

CO

法の計算回数は

BS

法の

10

2分の

1

とな ることを示した.

本論文では

UAV

の消費エネルギーを考慮せず,

UAV

が必ず一度にセンシング及びデータ収集が可能である バッテリーを搭載していることを仮定して経路長を算 出している.しかし,実際は避難所は広域に分布して いることが多く,

UAV

が帰還できない可能性がある ため,

UAV

の消費エネルギーを考慮する必要がある.

また,本論文では,データ収集点数

Q

は事前に与えら れた値を用いており,

Q

の決定方法自体については検 討していないが,実際には避難所の密集度合い等の要 因により決定されるべき値である.更に,センシング 点はランダムに選択するという手法を用いているが,

RSS

値の空間相関の強さに応じてセンシング点を離し て配置するなど,効果的な選択手法が存在する.以上 のことから,本研究の今後の課題として,

UAV

の消費 エネルギーを考慮したルート設計法,データ収集点数 の決定方法,及びセンシング点の選択方法等が挙げら れる.

謝辞 本研究の一部は,科学研究費補助金(基盤研 究

B

課題番号

JP18H01445

JP19H04096

)及び公益財 団法人アイコム電子通信工学振興財団から助成を受け て行われた.

文 献

[1] 復 興 庁 ,“避 難 所 生 活 者・避 難 所 の 推 移( 東 日 本 大 震 災 ,阪 神・淡 路 大 震 災 及 び 中 越 地 震 の 比 較 ),” https:

//www.reconstruction.go.jp/topics/hikaku2.pdf,Oct. 2011.

[2] 総務省,“平成23年版情報通信白書,” https://www.soumu.

go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc111100.html

[3] 内閣府,“小型無人機の利用活用と技術開発のロードマップ,”

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/pdf/siryou12.pdf [4] M. Takai, J. Martin, S. Kaneda, and T. Maeno, “Scenargie as a network simulator and beyond,” J. Inf. Process., vol.27, pp.2–9, Jan. 2019. DOI: 10.2197/ipsjjip.27.2

[5] A.M. Hayajneh, S.A.R. Zaidi, D.C. McLernon, M. Di Renzo, and M. Ghogho, “Performance analysis of UAV enabled disaster recov- ery networks: a stochastic geometric framework based on cluster processes,” IEEE Access, vol.6, pp.26215–26230, May 2018. DOI:

10.1109/ACCESS.2018.2835638 [6] DJI, https://www.dji.com/

[7] P. Toth and D. Vigo, eds., The Vehicle Routing Problem, Society for Industrial and Applied Mathematics, 2002.

[8] A. Danjo, S. Hara, T. Matsuda, and F. Ono, “A Tensor Completion- Based Selection Method of a Single Data Collection Point for Multiple Shelters in a UAV Enabled Disaster Recovery Network,”

(10)

Proc. 12th Int. Conf. Advances in Satellite and Space Commun.

(SPACOMM 2020), pp.7–12, Lisbon, Portugal, Feb. 2020.

[9] J. Grefenstette, R. Gopal, B. Rosmaita, and D.V. Gucht, “Genetic algorithms for the traveling salesman problem,” Proc. 1st Int. Conf.

Genetic Algorithms and their Applications, pp.160–168, 1985.

[10] A. Danjo, A. Murata, S. Hara, T. Matsuda, and F. Ono, “Con- struction of a temporary message collection system using a drone for refugees in a large-scale disaster,” Proc. 2020 IEEE 91st Veh. Technol. Conf., pp.1–5, May 2020. DOI: 10.1109/VTC2020- Spring48590.2020.9128632

[11] D.E. Knuth, The Art of Computer Programming, Volume 1: Fun- damental algorithms, Third Edition, Addison-Wesley, 1997.

[12] 久保幹雄,ジョア(ジョアン)・ペドロ・ペドロソ,村松 正和,アブドル・レイス,あたらしい数理最適化,近代科 学社,2016.

[13] Wi-Fi Alliance, https://www.wi-fi.org/

[14] MATLAB, MathWorks, https://mathworks.com/

[15] IEEE Standard for Information technology Telecommunications and information exchange between systems Local and metropoli- tan area networks Specific requirements Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) speci- fications, 2016.

[16] A. Mawira, “Models for the spatial correlation functions of the (log)-normal component of the variability of VHF/UHF field strength in urban environment,” Proc. 3rd IEEE Int. Symp. Per- sonal, Indoor and Mobile Radio Commun., Boston, MA, USA, pp.436–440, Oct. 1992. DOI: 10.1109/PIMRC.1992.279892 [17] P. Taaghol and R. Tafazolli, “Correlation model for shadow fading

in land-mobile satellite systems,” Electron. Lett., vol.33, no.15, pp.1287–1289, July 1997. DOI: 10.1049/el:19970905 [18] L. Liu, C. Tao, D.W. Matolak, T. Zhou, and H. Chen, “Investigation

of shadowing effects in typical propagation scenarios for high- speed railway at 2350MHz,” Int. J. Antennas Propag., Hindawi Publishing Corporation, Oct. 2016. DOI: 0.1155/2016/8782671 [19] M Series, ITU 2135-1, “Guidelines for evaluation of radio interface

technologies for IMT-Advanced,” 2009.

付 録

1. BS

法の計算回数

W

Scの一つの組合せに対して,式

(11)

で,総デー タ収集時間を計算するのに必要な計算回数は

2P − 1

で与えられる.これは

W

Scの全ての組合せに必 要になるので,全ての総データ伝送時間を列挙する ために必要となる計算回数は

(2P − 1) × N

W

× N

Scと なる.更に,全ての総データ伝送時間から最小値を探 索するのに必要な計算回数は

N

W

× N

Sc

− 1

で与えら れるので,式

(11)

を計算するのに必要な計算回数は

2P × N

W

× N

Sc

− 1

となる.

N

W の計算量が

O(M

Q

)

で与えられ,

N

Sc

≥ 1

であることを考慮に入れると,

最小の計算量は

O ( P × M

Q

)

となる.

2. CO

法のグラフ彩色問題としての定式化 送信機を頂点とした無向グラフ

G (V, E)

を考える.

ここで,頂点の集合

V

V = {v

1

, v

2

, . . ., v

P

} (A · 1)

であり,一方,辺の集合

E

E = { e

αβ

|α, β = 1 , 2 , . . ., P , α > β} (A · 2) e

αβ

=

{

0 (ρ(α, β) ≥ ρ

th

)

1 (ρ(α, β) < ρ

th

) (A·3)

のように相関が低い頂点だけを辺でつなぐ.このとき,

0

1

2

値をとる変数

h

pqを導入することにより,

P

個の頂点の集合を,辺でつながれていない頂点を一 つの集合の要素とした

Q

個の集合に分割する問題に帰 着できる.すなわち,

h

pqの決定問題として

arg min

hp q

vα,vβ∈V

e

αβ

(= 0 ) (A · 4)

subject to { ∑

Q

q=1

h

pq

= 1

h

αq

+ h

βq

≤ 1 + e

αβ

(A · 5)

のように定式化できる.ただし,

ρ

thは

Q

個の集合に 分割されるまで変化させる必要がある.

1

回の計算で 変化させる

ρ

thの幅を

0 < ∆ ρ < 1

と定義すると,

ρ

th の決定問題は二分探索で求めることができ,計算回数 は最大で

log

2

(2/ ∆ ρ) = 1 − log

2

∆ ρ

となる.

頂点の組合せは

N

Sc通りである.また,一つの組合 せに対して,異なる二つの頂点の全ての組合せに対し て辺が存在するかを調べる必要があり,その計算回数 はp

C

2で与えられるので,合計の計算回数は

N

gcp

= P

2

× (1 − log

2

∆ ρ) (A·6)

となる.

3. CO

法の計算回数

送信機

2

台の一つの組合せに対して,式

(18)

の計算 回数は

O ( M )

である.この計算を異なる送信機の全て の組合せ,P

C

2通りに対して行う必要があるので総計 算回数は

N

ρ

= P

2

× M (A · 7)

となる.また,一つの

q

に対して,式

(20)

で,

W

qの 全ての要素に対して

R

cqを計算するのに必要な回数は

(11)

( P

q

− 1 ) × M

であり,式

(19)

で,それらから最大値を 探索するのに必要な計算回数は

M − 1

である.した

がって,

S

1

, S

2

, . . ., S

Qのそれぞれに対して最小値を

探索するのに必要となる計算回数の和は

N

min−max

=

Q q=1

{(P

q

− 1)M + (M − 1)}

= PMQ (A·8)

となる.ゆえに,相関法の計算量は,式

(A · 6)–(A · 8)

よ り

M

の支配的な項だけを残すと

O ( P

2

× M )

となる.

4.

空間センシング間隔

マイクロ波帯無線信号のシャドウイングに対して は,その相関距離が様々な環境で実験により測定され モデル化されている

[16]

[19]

.その中で最短の相関 距離は,

[19]

に示されている都市部マイクロセル(屋 外から屋内)

(Urban Micro Cell, Outdoor-to-Indoor)

7m

である.したがって,シャドウイングによる空間 相関があるような

RSS

の空間センシング間隔として

2m ( < 7 m)

は妥当であると考えられる.

(2020521日受付,919日再受付,

1119日早期公開)

檀上 梓紗 (正員)

26大阪市立大学工学部情報工学科卒.

28同大学大学院前期博士課程了.現在 株式会社ダイヘン勤務.平30より大阪市 立大学大学院後期博士課程在学中.無人航 空機を用いた無線通信システムに関する研 究に従事.

原 晋介 (正員)

60大阪大学工学部通信工学科卒.平2 同大大学院博士後期課程了.博士(工学) 9同大助教授を経て,現在,大阪市立大 学大学院工学研究科教授.無線通信方式と 信号処理の研究に従事.平19本会論文賞 受賞.

松田 崇弘 (正員:シニア会員)

8大阪大学工学部通信工学科卒,平11 同大大学院博士課程了,博士(工学).同 年同大大学院工学研究科助手,平17講師,

21准教授,平30首都大東京(令2より 東京都立大)大学院システムデザイン研究 科教授,現在に至る.無線ネットワーク,

ネットワーク計測に関する研究に従事.平13本会学術奨励賞,

24本会通信ソサイエティBest Tutorial Paper Award,マガジ ン論文賞受賞,平26本会論文賞受賞.IEEE,情報処理学会各 会員.

小野 文枝 (正員)

24情報通信研究機構入所.以来,無 人航空機を用いた無線通信システムや遠隔 制御用無線通信システムなどに関する研究 に従事.現在,総務省に出向中.博士(工学)

図 2 実 験 環 境 Fig. 2 Photos of the experiment.
図 3 RSS マップ (B sense = 0.25) Fig. 3 RSS maps (B sense = 0 . 25).
図 4 B sense に対する総センシング経路長 (L s ) Fig. 4 Dependency of the total sensing route length (L s ) on the
図 7 データ収集点数 (Q) に対する総データ収集経路長 (L c )

参照

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