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心房細動の病態と治療の進歩

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仙台医療センター医学雑誌 Vol. 11, 2021 心房細動アブレーション. 1.はじめに 心房細動は高齢者に多くみられ、日常診療で最も. 多く目にする不整脈疾患の一つである。心内血栓を. 形成し心源性脳塞栓症の原因や、頻脈や心機能低下. をきたし心不全の原因となる。日本では超高齢化社. 会を迎え心房細動患者は増加の一途をたどってい. る。欧米では 1991 年に報告された Framingham 研究では 1)、心房細動有病率が 50 歳代で 0.5%、 60 歳代で 1.8%、70 歳代で 4.8%、80 歳代では 8.8% と非常に高い。しかし日本人では欧米と比較し心房. 細動有病率は低いといわれており、日本での疫学研. 究 2)では心房細動有病率は男性で 1.35%、女性で 0.43%と男性に多く、全体で 0.56%である。また、 70 歳代で 2.1%(男性 3.4%、女性 1.1%)、80 歳 以上では 3.2%(男性 4.4%、女性 2.2%)と高齢に. なるにつれて増加している。このまま高齢化が続く. と 2050 年には心房細動有病率は 1.09%にまで上昇 すると予測され、心房細動に対する治療が重要視さ. れる。心房細動の死因では、心房細動以外の脳卒中. リスクを 1 つ以上認める非弁膜症性心房細動患者 を平均約 2 年間追跡した GASRFIELD-AF 3)にお いて報告されている。全死亡のうち心血管死は. 40.5%に認め、最も多かったのが心不全死の 10.8% であった。抗凝固療法は全体の 60.8%で行われ、 全死亡における脳卒中は、5.5%(虚血性 5.1%、出 血性 0.4%)であり、突然死が 7.5%、急性冠症候 群が 5.9%であった。日本では、伏見心房細動患者 登録研究 4)において心房細動の死因に関して同様. の傾向が報告されている。抗凝固療法は 55%で行 われ、心血管死は 26%、非血管死は 54%であった。. 総説. 心房細動の病態と治療の進歩. 山口展寛. 国立病院機構仙台医療センター 循環器内科. 抄録. 心房細動は日常診療で最も多く診療する不整脈の一つであり、高齢化社会においてはさらに増加し続けて. いる。心房細動それ自体では、生命予後を直接左右する不整脈ではない。しかしながら、脳梗塞や心不全を. 合併することなどにより洞調律症例と比較すると生命予後が不良である。心房細動に対する抗不整脈薬によ. る洞調律維持は心拍数コントロール療法と比べ生命予後を改善しないため、心房細動の治療は抗凝固療法に. よる塞栓症予防と心拍数コントロールを中心とした心不全予防が重要であった。心房細動の洞調律維持療法. の大きな転機が、心房細動の原因が多くは肺静脈から発生する高頻度異所性興奮により惹起される心房内ラ. ンダムリエントリーであると報告されたことである。肺静脈を左心房から電気的に隔離することにより異所. 性興奮を左心房へ伝導させない心房細動のトリガーをターゲットとしたカテーテルアブレーションが行われ. るようになり、心房細動の治療成績は飛躍的に向上した。近年、心房細動へのカテーテルアブレーションに. より低心機能心不全症例に対する予後改善や脳梗塞の二次予防に有効であると報告され、カテーテルアブ. レーションの重要性が増している。本総説では心房細動の薬物療法とカテーテルアブレーションによる洞調. 律維持の重要性を含め治療法の変化について報告する。. キーワード:心房細動、カテーテルアブレーション、心不全、血栓塞栓症. 9. 仙台医療センター医学雑誌 Vol. 11, 2021 心房細動アブレーション. 心血管死では、14.5%と心不全死が最多であり、脳 卒中は 6.5%であった。予想と反し、脳卒中関連死 は心不全死の半分であり、心房細動患者の予後改善. には、塞栓症予防の抗凝固療法が中心とされてきた. が、リズムコントロールや心拍数コントロールによ. る心不全の予防や治療を中心とした包括的な治療も. 非常に重要であると思われる。. 2.抗凝固療法 塞栓症予防に対する抗凝固療法においてワルファ. リンが主流であった。直接経口抗凝固薬(DOAC) が出現し、ワルファリンと比較し、面倒な容量調節. が不要であるだけでなく、血栓塞栓症において同等. の有効性と出血リスクの低下を示し、予後改善効果. を認め、現在の心房細動患者に対する抗凝固療法は. DOAC が中心である 5)。心房細動患者において抗 凝固療法を検討するうえで血栓塞栓症のリスク評価. は必須である。海外では、年齢(75 歳以上 2 点、 65 - 74 歳 1 点)、動脈疾患(心筋梗塞の既往もし くは末梢動脈疾患もしくは大動脈プラーク 1 点)、 性別(女性 1 点)を CHARDS2 スコアに追加した CHA2DS2-VASc スコアが用いられている。2020 年 に改定された日本循環器学会ガイドライン 6)では. リスク評価に CHARDS2 スコアが引き続き用いら れている。心不全、高血圧、75 歳以上、糖尿病は それぞれ 1 点、脳卒中もしくは一過性脳虚血発作 の既往は 2 点であり、0 点は低リスク、1 点は中等 度リスク、2 点以上を高リスクに分類されている。 非弁膜症性心房細動では、1 点以上であれば DOAC による抗凝固療法が推奨されている。また、たとえ. CHARDS2 スコアが 0 点であっても、持続性・永続 性心房細動や心エコーでの左房径などそのほかのリ. スクを有する場合には患者ごとに抗凝固療法を考慮. する必要がある(図 1)。抗凝固療法では常に出血 リスクを考慮する必要があり、特に高齢者の慢性腎. 臓病患者や低体重(45 ㎏以下)、重症出血の既往な どを満たすと抗凝固療法は困難である。しかしなが. ら、ELDERCARE-AF 試験 7)では、80 歳以上の高 齢者の中で低クレアチニンクリアランス(CCr15 - 30ml/ 分)、重大出血の既往、低体重(45 ㎏以下)、 非ステロイド鎮痛剤もしくは抗血小板剤内服のいず. れかを満たす患者において通常容量より減量したエ. ドキサバン 15 ㎎内服がプラセボに対して重大出血 イベントを有意に増やすことなく、脳梗塞や全身塞. 栓症の発症を抑えた。複数の疾患を抱える高齢者に. おいても減量したエドキサバンは安全に使用できる. と思われ、DOAC に適応はますます拡大している。 DOAC は腎機能により容量調節が必要であり、腎 機能は年齢とともに徐々に低下するため定期的な検. 査を行い、腎機能低下患者(CCr60ml/ 分 以下) では、X か月に 1 回の採血(X=CCr/10)が推奨さ れている。. 3.心拍数コントロール 心不全予防を含めた心房細動自体に対する治療. は、心房細動の停止や再発予防を行うリズムコント. ロール(洞調律維持)治療と心房細動出現時の心拍. 数をコントロールする心拍数コントロール治療の大. きく 2 つに分類される。AFFIRM 試験 8)により抗 不整脈薬によるリズムコントロール治療は心拍数コ. ントロール治療と比較し生命予後に優位性は認めら. れなかった。5 年後の洞調律患者は心拍数コント ロール群(34.6%)と比較しリズムコントロール群. (62.6%)で高かったが、死亡率において有意差は ないが、リズムコントロール群(23.8%)の方が心 拍数コントロール群(21.3%)高い傾向にあった。 RACE 試験 9)でも持続性心房細動患者に対する電 気的除細動と抗不整脈薬によるリズムコントロール. は心拍数コントロールと比較し、死亡、心不全、塞. 栓症などにおいて改善はなかった。日本においても. 同様に生命予後においては明らかな差は認めない. CHADS2スコア. 心不全 1点 高血圧 1点 年齢≧ 75歳 1点 糖尿病 1点 脳梗塞やTIAの既往 2点. ≧ 1点. 推奨 DOAC 考慮可. ワルファリン (年齢によらずINR1.6~2.6*2). その他のリスク 心筋症 年齢(65~74歳) 血管疾患(心筋梗塞既往、大動脈 プラーク、末梢動脈疾患など) 持続性・永続性心房細動 腎機能障害*2. 低体重(≦50kg) 左房径(>45mm). 考慮可 DOAC. ワルファリン (年齢によらずINR1.6~2.6*3). 推奨 ワルファリン (INR2.0~3.0). 非弁膜症性心房細動*1 僧帽弁狭窄症 機械弁. *1:生体弁は非弁膜症性心房細動に含める。 *2:腎機能に応じた抗凝固療法については、3.2.3どのDOAC を用いるかの選択および表36を参照。 *3:非弁膜症性心房細動に対するワルファリンのINR1.6~2.6の管理目標については、なるべく2に近づけるようにする。脳梗塞既往を有する二次予防の 患者や高リスク(CHADS2スコア3点以上)の患者に対するワルファリン療法では、年齢70歳未満ではINR2.0〜3.0を考慮。. 図1 心房細動における抗凝固療法 文献6)より引用図 1 心房細動における抗凝固療法 文献 6)より引用. 10. 仙台医療センター医学雑誌 Vol. 11, 2021 心房細動アブレーション. が、リズムコントロール群では患者の QOL を改善 するという結果であった 10)。また、心機能の低下. した心不全を合併した心房細動患者においてもリズ. ムコントロール治療による予後の改善効果は認めな. かった 11)。以上から、心房細動の治療はまず適正. な心拍数にコントロールする心拍数コントロール治. 療を行い、その後も症状が残存する患者に対して抗. 不整脈薬によるリズムコントロール治療を一般的で. ある。心拍数コントロールに使用する薬剤は、β遮. 断薬、非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(ジ. ルチアゼム、ベラパミル)、ジギタリス、アミオダ. ロンがある。β遮断薬は心筋保護作用や予後改善効. 果があるため、心拍数コントロールの第 1 選択薬 として最も使用されている 10)。急性期の心拍数コ. ントロールでは点滴にてコントロールすることが多. く、超短時間作用型β遮断薬であるランジオロール. は低血圧などの副作用出現時にも減量もしくは中止. にて速やかに薬効が消失するため使用しやすい。さ. らに左心機能低下した頻脈性心房細動/粗動患者で. はランジオロールはジゴキシンより副作用を増加さ. せることなく有意に心拍数を抑制したと J-Land12). により報告されている。低心機能症例ではジルチア. ゼムやベラパミルは使用困難のため、ランジオロー. ルの投与が推奨される。β遮断薬は心不全合併の心. 房細動患者に対して単独投与にて心機能低下の有無. や持続性か発作性かにかかわらず予後を改善してお. り、長期心拍数コントロールの内服治療として第一. 選択はβ遮断薬である 13)。心機能が保たれた心房. 細動患者ではβ遮断薬単独で心拍数コントロールが. 困難であれば非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗. 薬を投与するが、心機能低下患者(LVEF < 40%) では禁忌である。心機能の低下した心不全患者に対. してジギタリス製剤は単独投与では予後の改善効果. はないが 13)、β遮断薬と併用することにより良好. に心拍数を低下させ心機能や症状の改善を認め. る 14)。心拍数コントロールに難渋する心機能低下. した心不全患者では、β遮断薬にジギタリス製剤の. 併用を考慮すべきである。心拍数コントロールの目. 標心拍数は、安静時に 80bpm 以下、労作時に 110bpm 以下とされてきた。しかし、持続性心房細 動患者において、今まで通りの厳格な心拍数コント. ロール群(安静時 80bpm 以下、中等度労作時 110bpm 以下)と緩やかな心拍数コントロール群(安 静時 110bpm 以下)では、心血管死、心不全入院、 脳卒中、全身塞栓症、致死性出血イベントにおいて. 差がないことが示された 15)。上記から図 2 に示さ れるように心不全の有無により使用薬剤を検討し、. 心房細動の目標心拍数である安静時 110bpm にコ ントロールを行う。しかしながら、厳格な心拍数コ. ントロールが必要な症例も存在するため、自覚症状. や心不全管理などを考慮し個々の患者において判断. すべきであると思われる。. 4.�リズムコントロール、カテーテルアブレーション リズムコントロールは抗不整脈薬による薬物療法. と電気的除細動やカテーテルアブレーションによる. 非薬物療法に分類される。心房細動では有効な心房. 収縮がなくなることにより心拍出量低下や心房内血. 栓(多くは左心耳)を認める。頻脈や脈不整による. 頻脈性心房細動に対する心拍数調節療法. 目標安静時心拍数<110/分(徐脈傾向に注意). 心機能低下 (LVEF<40%). 心機能温存 (LVEF≧40%). ランジオロール静注 (微量から徐々に漸増). ジゴキシン静注 (追加で使用). ビソプロロール経口/貼付 カルベジロール経口 (少量から開始). ジゴキシン経口 (追加で使用). 心電図検査、血液検査、(必要な場合は)血中濃度の測定. [急性期] [慢性期(長期)] [急性期・慢性期(長期)]. ビソプロロール経口/貼付・カルベジロール経口 ベラパミル経口・ジルチアゼム経口 (いずれかを通常量で使用). ビソプロロール経口/貼付・カルベジロール経口 ・ベラパミル経口・ジルチアゼム経口 (作用が異なる2剤を併用で使用). 図2 頻脈性心房細動に対する心拍数コントロール 文献6)より引用. 図3 心拍数コントロールとリズムコントロールの推移 文献16)より引用. 図2 頻脈性心房細動に対する心拍数コントロール 文献 6)より引用. 図3 心拍数コントロールとリズムコントロールの推移 文献 16)より引用. 11. 仙台医療センター医学雑誌 Vol. 11, 2021 心房細動アブレーション. 動悸や心拍出量低下による息切れなど症状を訴える. こともあるため、洞調律維持は重要と思われていた。. 図 3 で示すように抗不整脈薬によるリズムコント ロールは、1990 年代はリズムコントロールが増加 し、心拍数コントロールより多かった 16)。2002 年 に AFFIRM 試験 8)が報告され、リズムコントロー ルと心拍数コントロールでは生命予後に差がないこ. とが示されると、より簡便な治療である心拍数コン. トロールが主流となり、リズムコントロールは動悸. など自覚症状の強い症例にセカンドラインの治療と. して行われるようになった。. もともと心房細動の発症メカニズムは Scherf が心 房内の局所における異所性高頻度興奮により起きる. と報告した 17)が、その後 Moe が multiple reentrant wavelet 説を提唱した 18)。つまり多数の興奮が心房 内に同時に認め、一部の興奮は消滅し、他の興奮は. 分岐しながら心房内を安定した回路を形成して旋回. せずにランダムに旋回して心房細動を維持すると報. 告した。そのため心房細動は単一刺激によりランダ. ムリエントリー機序により維持されるとされ、治療. が困難であり、洞調律維持率も低かった。しかし. HaÏssaguerre により、90%以上の患者において心 房細動は肺静脈を起源とする心房性期外収縮がトリ. ガーとなって発生すると報告されて以来 19)、カテー. テルアブレーションにより左心房から肺静脈を電気. 的に隔離する肺静脈隔離術が行われるようになった. (図 4)。発作性心房細動患者において肺静脈隔離を 主体としたカテーテルアブレーションは抗不整脈と. 比較し、洞調律維持において有意に改善し、9 か月 後に約 70%の患者で心房細動の再発を抑制した 20)。. 症候性発作性心房細動に対してまず抗不整脈薬によ. るリズムコントロールを行い、薬剤抵抗性の患者に. 対してカテーテルアブレーションは施行されてい. た。RAAFT-2 試験 21)では、発作性心房細動患者に 対して第一選択としてのカテーテルアブレーション. は 2 年間のフォローアップでは、薬物療法より心 房細動の再発を抑制したため、現在のガイドライ. ン 22)では発作性心房細動の第一選択としてカテー. テルアブレーションはⅡ a となっている。持続性 心房細動においても SARA study 23)により 1 年後 の心房細動再発率は薬物療法よりカテーテルアブ. レーションが低く、持続性心房細動に対してもカ. テーテルアブレーションの有効性が示された。持続. 性心房細動では発作性心房細動より薬剤による洞調. 律維持が困難なことからカテーテルアブレーション. は有効と思われる。. そもそも心房細動は発症から時間の経過とともに. 発作性から持続性心房細動へと移行し、洞調律維持. が困難になるので早期の介入がリズムコントロール. には重要と思われる。心房細動発症から早期(1 年 以内)の心血管病変(脳梗塞や心不全、高血圧など). を有するもしくは 75 歳以上の患者に対して薬物療 法やカテーテルアブレーションによるリズムコント. ロールと心拍数コントロールを比較した研究では、. 心血管死もしくは心不全入院、脳卒中を抑制し. た 24)。心房細動はリスクのある患者では早期にリ. ズムコントロールを行うことで心血管イベントを抑. 制できる可能があり、心房細動は積極的に治療を行. うことも検討されなければならない。. 心不全と心房細動はしばしば合併し、相互に悪影. 響を及ぼすことで予後不良となる。疫学研究では、. 心房細動患者の 1/3 では新規心不全を発症し、心不 全患者では約半数に新規心房細動の発症を認め. る25)。心不全を合併した心房細動患者に対して薬物. 療法によるリズムコントロールは心拍数コントロー. ルと変わりがないことは示されていたため、心不全. 合併患者に対しても心拍数コントロールが第一選択. となっていた。CASTLE-AF 26)では、心機能低下 (EF<35%)心不全を合併した発作性もしくは持続 性症候性心房細動患者に対してカテーテルアブレー. ションが薬物療法と比較し、心機能改善を示し、生. 背面像. 左肺静脈. 右肺静脈. 正面像. 左肺静脈. 右肺静脈. 図4 CARTOシステムを用いた心房細動アブレーションの実際. ・・・通電ポイント. 図 4 CARTO システムを用いた心房細動アブレーション の実際. 12. 仙台医療センター医学雑誌 Vol. 11, 2021 心房細動アブレーション. 命予後を改善し心不全悪化による入院を抑制した. (図 5)。また、米国の観察研究でも同様に、心不全 を合併した心房細動症例では心機能低下の有無にか. かわらずカテーテルアブレーションは薬物療法より. 総死亡もしくは心不全入院を抑制し、有効性が示さ. れた 27)。心機能にかかわらず心不全を合併した心. 房細動患者に対してカテーテルアブレーションによ. るリズムコントロールは積極的に行われるように. なっている。. 心房細動の合併症として心不全と並び重大なのが. 脳卒中である。最近では、持続性心房細動は発作性. 心房細動より血栓塞栓症のリスクが高いといわれ、. 心房細動のコントロールにより塞栓症を予防できる. 可能性がある。また、心房細動に対するアブレーショ. ンを行った患者ではアブレーションを施行しない患. 者と比較し、脳卒中/一過性脳虚血が減少してい. る28)。さらに脳卒中の既往のある患者においても、. 心房細動に対するアブレーション施行群では、アブ. レーション未施行群と比較し、脳血管イベントを減. らし、心房細動を認めない群と同等まで改善し. た 29)。カテーテルアブレーションの合併症として. 脳卒中は認めるが、脳血管イベントの一次予防、二. 次予防として心房細動に対するカテーテルアブレー. ションは有効である可能性がある。また、心房細動. は脳卒中/一過性脳虚血だけではなく認知症も増や. すといわれ、心房細動アブレーションにより脳卒中. /一過性脳虚血の減少に加え、認知症リスクも低下. させた 30)。別の報告でも心房細動アブレーション. により認知症を減少させ、脳卒中発症患者を除外し. ても認知症リスクの低下を認めた 31)。しかし、心. 房細動の再発患者(電気的除細動や薬物療法を併用). では認知症リスクの低下は認めず、アブレーション. による洞調律維持が重要であることが示唆された。. 上記のように心房細動に対するカテーテルアブ. レーションによるリズムコントロールによりさまざ. まな有効性が示されつつあり、アブレーションの適. 応は拡大されてきている。徐脈頻脈症候群に対して. カテーテルアブレーションにより心房細動が根治. し、ペースメーカー植え込みを回避することも可能. になってきている。また、心房細動は高齢者の有病. 率が高く、高齢者に対してカテーテルアブレーショ. ンを行う機会も多い。75 歳以上の高齢者に対する カテーテルアブレーションは、薬物療法より優れ、. 有効性と安全性を示されている 32)。80 歳以上の高 齢者においても 80 歳以下の患者と比較し、死亡率 や主要合併症においては差がなく安全性を示されて. いるが 33)、80 歳以上では、慢性腎臓病や貧血、慢 性肺疾患を有する患者では合併症が多いため適応に. は慎重になるべきと思われる。. 5.最後に AFFIRM 試験以来、心房細動の治療は心拍数コ. ントロール+抗凝固療法が行われたが、予後は改善. せず、治療困難な不整脈であった。心房細動に対す. るカテーテルアブレーションが行われ、抗不整脈薬. なしに洞調律を維持できるようになり、現在では、. 心房細動に対するカテーテルアブレーション方法の. 進化により洞調律が持続性心房細動でも可能となっ. た。当然、抗凝固療法は必要であるが、今後の心房. 細動に対する治療はカテーテルアブレーションを中. 心としたリズムコントロールが重要になっていくと. 思われる。. 本総説の発表に関して開示すべき COI はありま せん。. 6.文 献 1) Philip A. Wolf, Robert D. Abbott, William B.. Kannel. Atrial fibrillation as an independent. 図5 心房細動アブレーションは心不全患者の予後を改善する。 文献26)より引用図 5 心房細動アブレーションは心不全患者の予後を改善 する 文献 26)より引用. 13. 仙台医療センター医学雑誌 Vol. 11, 2021 心房細動アブレーション. risk factor for stroke: The Framingham Study. Stroke.1991;22:983-988. 2) Hiroshi Inoue, Akira Fujiki, Hideki Origasa, et al. Prevalence of atrial fibrillation in the general population of Japan: An analysis based on periodic health examination. Int J Cardiol.2009;137:102-107. 3) Jean-Pierre Bassand, Gabriele Accetta, Alan John Camm, et al. Two-year outcomes of patients with newly diagnosed atrial fibrillation: results from GARFIELD-AF. Eur Heart J.2016;37:2882-2889. 4) Yosh imor i An , Hirosh i Ogawa, Yugo Yamashita, et al. Causes of death in Japanese patients with atrial fibrillation: The Fushimi Atrial Fibrillation Registry. Eur Heart J Qual Care Clin Outcomes.2019;5:35-42. 5) Antonio Gomez-Outes, Julian Lagunar-Ruiz, Ana-Isabel Terleira-Fernandez, et al. 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参照

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