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過疎地域における「道の駅」整備効果に関する分析

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Academic year: 2021

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1 第1章 はじめに

我が国では戦後、高度成長期に都市部へ急激に人口流出し地方

(農山村)では、一定の生活水準が困難になり過疎や限界集落と して社会問題化している。近年、人口の流動化は減少しているも のの人口減少・少子高齢化により、過疎化が進行し平成 22 年 4 月現在、全国の 1,727 市町村の約 4 割以上(776 市町村)が過疎 市町村となっている。過疎市町村の人口は約 1,123 万人余(平成 17 年国調人口・全国の人口の約 9%)でありその面積は日本国土 の半分以上を占めている。また、平成 22 年時点では非過疎地域の 人口減少率は 0%であるのに対し、過疎地では 6.1%減少している。

図-1 過疎地域の状況出典:総務省 HP

このような状況の中、政府は平成 22 年 4 月過疎地域自立促進特別 処置法(以下、過疎法)を改正し平成 28 年 3 月まで期限の延長と 内容の拡充を行った。

図-2 過疎地域自立促進計画のスキーム 出典:総務省 HP 過疎法に基づく施策として過疎地自治体は過疎地域自立促進計画

(以下、促進計画)を策定できることになっている。(図-2)こ の対象事業は過疎対策事業債(以下、過疎債)を財源とすること ができ、その元利償還金の 70%は普通交付金の基準財源需要額に 算入されることから一種の再分配政策と言える。予算額は平成 10 年以降減少していたが、平成 18 年から増加に転じている。(図-

3) 平成 23 年度計画額で 2.690 億円となっており、過疎対策で は主に過疎債による事業支援の他に学校や消防施設に対する建設 費補助率のかさ上げ、所得税・法人税など税制上の優遇措置等を

行っている。このように固定費の負担が小さいために、その地方 にとって効率性の低いものであっても、できるだけ多く公共投資 を行うインセンティブが生まれる。過疎債の対象事業は①産業振 興施設、②厚生施設、③交通通信施設、④教育文化施設に分類さ れている。本稿では「産業振興施設」に着目し全国各地で整備さ れている「道の駅」を研究対象としている。「道の駅」について観 光や農業振興などからアプローチした研究は多くある。例えば、

羽島・藤井・住永(2010)は千葉県の道の駅について「ピーク時 には年間 5 千台もの観光バスが訪れ、12 万人ものツアー誘致に成 功し、地元農家の重要な収入源にともなる等、著しい経済波及効 果をもたらされることとなる」としている。また、櫻井・斎藤(2002) は、「東京湾アクアラインの開通により南房総地域全体の入込客 数が急増した 1998 年には約 18 万人のツアー客を受け入れた。」と している。しかしながらこれらの研究は東京近郊の道の駅につい て効果を示しており元々潜在需要の大きい可能性がある立地特性 がある。さらに、地域への波及効果は一過性の内容で実証性のな い結論となっている。一方で、熊田は「どこの道の駅でも 3 年間 は成功するが問題はそれからである」と持続的な経営の難しさを 示している。このような中、「道の駅」について経済効果をパネル データにて実証分析した論文は見当たらない。

本稿ではその経済波及効果についてパネルデータにて実証分析 を行い、地域経済へ与える影響を示し、現状の政策に対して提言 を行うことを目的としている。北海道を対象として分析を実施し た結果、主な波及効果の対象である「農産物市場」及び「観光市 場」に対して影響を与えているとはいえないことが確認された。

また、本稿は以下のように構成される。第 2 章では道の駅につ いての概要を述べ、第 3 章では「道の駅」の公共財としての位置 付けをその設置目的から考察する。次に、設置目的からその期待 される効果を理論分析する。第 4 章では、分析対象地の概要を述 べるとともに、前章で記載した期待される効果について影響を与 えているのか公表されているデータを用い実証分析を行っている。

第 5 章では、結果を踏まえ現行の政策に対して提言した。最後に、

分析における今後の課題とこれからの過疎地域対策の在り方につ いて述べている。

図‐3 過疎対策事業債の年度別推移 出典:総務省 HP

過疎地域における「道の駅」整備効果に関する分析

-北海道を対象として-

政策研究大学院大学 まちづくりプログラム MJU10054 嶋 英二

A

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2 第 2 章 道の駅の概要

「道の駅」における地域振興施設は観光レクリエーションの核 施設として、平成 5 年より全国で整備されている。国土交通省 道路局では道の駅の概要について道路利用者のための「休憩機 能」、道路利用者や地域の方々のための「情報発信機能」、「道 の駅」をきっかけに町と町とが手を結び活力ある地域づくりを 共に行うための「地域の連携機能」の 3 つの機能を併せ持つ休 憩施設と位置づけている。平成 22 年 8 月現在、全国で 952 駅が 整備(図-4)され、その約7割が過疎地域に整備されている。

主に過疎自治体で整備する範囲(図‐5)は地域振興施設である。

この施設の機能は大きく2つあり、その1つの「情報発信機能」

は情報端末機や案内人により周辺の観光情報、地域の歴史・文 化を紹介している。もう1つは「地域の連携機能」であり、郷 土の特産品、農産物、伝統工芸品などを販売し PR している。ま た、温浴施設・キャンプ場・グリーンツーリズム推進のための 農業体験施設を併設し都市と地域の交流イベントなど開催し地 域の魅力向上に寄与することを期待されている。

図‐4 道の駅の登録数 出典:国土交通省 HP

図‐5 「道の駅」整備イメージ 出典:国土交通省 HP 第 3 章 道の駅整備による過疎地域自立支援政策の理論分析 この章では、「道の駅」の公共財としての位置付けをその設置 目的から考察する。次に、設置目的からその期待される効果を理 論分析する。

3-1 地方公共財としての役割

政府が、市場に介入するには市場の失敗とされる5つの要因(公 共財・外部性・取引費用・情報の非対称性・独占寡占)が存在し ている場合に限られる。市場の失敗がないのに介入すると死荷重 を招き「政府の失敗」になる。

地域振興施設は地域の農産物特産品や観光地等を PR すること を目的にして地域経済への波及効果を期待されている施設である。

地域 PR 施設(効果)は排除可能でも競合的でもないので公共財と いうことになる。公共財としての「道の駅」における PR 効果は、

その地域外のただ乗り(フリーライダー問題)を排除することが できないため民間では過少供給になってしまう。公共財は,その

便益の及ぶ地理的範囲に着目して区別することができる。全国的 公共財(national public goods) と地方公共財(local public goods) である。全国的公共財は国防,外交サービスなど便益が全 国に及ぶ公共財のことである。一般の生活道路,消防などは便益 が狭い地域にとどまるので地方公共財となる。「道の駅」の PR 効 果は便益の及ぶ範囲が限られているため地方公共財としての性格 が強い。

3-2 地域経済に期待される影響

平成 22 年 9 月現在、過疎対策事業における費用便益分析マニュ アル等が未作成のため、過疎地域における基幹産業である「農産 物市場」と、「道の駅」に期待される市場としての「観光市場」に 対する期待される影響について述べることとする。

3-2-1 過疎地域の農産物市場に期待される影響

道の駅には農産物直売所が併設されており、買い手は安価で新 鮮な地域の農産物を購入することができる。しかしながら地域の 情報発信機能からも言えるように、地場ブランドのPR効果も担 っている。このことから他の地域からの買い手を呼込み需要を増 大し、需要曲線は右にシフトする可能性を期待されている。また、

供給側も後継者の増加や生産性の向上により供給曲線は右にシフ トする可能性を期待される。(図-6)

販売価格(P)

農 業 生 産 量(Q) S1:供給曲線

Q1 Q2

D2:道の駅整

備後に期 待される 需要曲線

(旅行者等 の買い手 が増加する 可能性)

D1:需要曲線 P1 P2

S2:道の駅整備後に期待 される 供給曲線

(後継者数の増加と 生産性向上の 可能性)

道の駅整備後に期待される効果

(過疎地域における農産物市 場)

3-2-2 過疎地域の第三次産業労働市場に期待される影響 道の駅自体は主な観光目的と成りづらいものであったが、近年 では温浴施設やグリーンツーリズムの拠点としてそれ自体が観光 目的となりつつある。このことから図-6 が示すように観光客数 の増加に伴う第3次産業の求人が増加し需要曲線が右のシフトす る可能性を期待している。(図-7)

賃金(P)

S1:供給曲線

Q1 Q2

D2:道の駅整備後 に期待される 需要曲線

(観光客の増加 に伴い第3次 産業求人が増 加する可能性)

D1:需要曲線 P1

P2

三次産業雇用量(Q) 道の駅整備後に期待される効果

(過疎地域における第3次産業労働市場)

図‐7 道の駅に期待される効果

(過疎地域における第 3 次産業労働者市場)

図‐6 道の駅に期待される効果

(過疎地域における農産物市場)

主に過疎債等で自治体 が整備する範囲

主に国土交通省 が整備する範囲

(3)

3 第4章 道の駅整備による過疎地域自立支援政策の実証分析

この章では、分析対象地の概要を述べるとともに、前章で記載 した期待される結果について影響を与えているのか公表されてい るデータを用い実証分析を行った。

4-1 分析対象地

実証分析を行うにあたり、北海道を対象地として選定した。選 定理由は以下の通りである。

・全国市町村で一番多く 道の駅(110 駅)が整備されている。

(2 位岐阜 52 駅)

・過疎市町村面積の割合が高い。(全国5位 75.2%)

・農業算出額 全国1位 (全国シェア 12.2%)

・自動車輸送の割合 90%と高い(全国平均 75%)

図‐8 は北海道における過疎地域市町村を示したものである。

札幌市を中心とする道央の地域や旭川市、帯広市とその周辺を除 き、道内に広く分布しており平成22年4月1日現在179団体の内、

8 割近くの 143 団体が過疎地域市町村となっている。

図‐8 北海道における過疎地 出典:北海道庁 HP 4-2 分析データの説明

過疎自治体における「農産物市場」に対する「道の駅」の影響 を分析するため、被説明変数を「農業総算出額」「生産農業所得額」

とした。

「農業総算出額」は地域における生産量の増減に影響を与えてい るか推計する目的で被説明変数とした。価格を乗じる算出額とな っているが、消費者物価指数によると 1990 年から 2005 年まで野 菜の価格変動殆どないことから、生産量の増減について把握でき ると判断した。農林業センサスによると市町村毎に農業生産活動 による最終生産物の品目ごとの生産量(全国計)に、品目ごとの農 家庭先販売価格(全国平均、消費税を含む。)を乗じた額を合計し て求めたもの(数値は千円単位)と定義している。

「生産農業所得額」は過疎自治体の農家が農業に対する所得額の 増減に影響を与えているか推計する目的で被説明変数とした。農 林業センサスによると市町村毎に農業総産出額から物的経費(減 価償却費及び間接税を含む。)を控除し、経常補助金等を加算して 求めたもの(数値は千円単位)を定義している。

「第三次産業従事者数」は過疎自治体における「観光市場」に対 する「道の駅」の影響を与えているか推計する目的で被説明変数 とした。本来であれば、「観光客入込数」を被説明変数にするとこ ろであるが、データの制約により代替することにした。国勢調査 の定義によると市町村の「第三次産業従事者数」は飲食店、宿泊

業・電気・ガス・熱供給・水道業・ 情報通信業・ 運輸業 ,卸売・

小売業 ・ 金融・保険業・不動産業 医療、福祉 ・教育、学習支 援業・サービス業・ 公務に従事する人数であるとしている。

説明変数として農業に関する過疎自治体毎の販売農家数・自給 農家数・専業農家率・経営耕地面積と自治体個別のコントロール 変数として人口・課税対象所得額・乗用車保有台数を説明変数と した。以下に概要を示す。

・道の駅ダミー

各自治体における道の駅の有無を示す。自治体にある

「道の駅」がある場合は「1」、無い場合は「0」とした。

・販売農家数

各自治体において経営耕地面積 30a 以上または農産物販売金 額が年間 50 万円以上農家数の合計を指す。

・自給農家数

各自治体において経営耕地面積が 30a未満かつ調査期日前 1 年間の農産物販売金額が 50 万円未満農家数の合計を指す。

・専業農家率

各自治体において販売農家に対する世帯員のなかに兼業従事 者が 1 人もいない農家の割合(専業農家/販売農家)

・経営耕地面積

各自治体における農家が経営する耕地の面積(数値はha)

の合計を指す。

・人口

各年度末日(3 月 31 日)時点の自治体人口の合計を指す。

・課税対象所得額

各自治体における年間課税対象所得額の合計を指す。

・乗用車保有台数

各自治体における乗用車保有台数の合計を指す。(小型車含 まず)

4-3 推計モデルと分析方法の説明

「過疎地域における道の駅の地域振興施設は地域経済に影響を 与えていないのではないか」という仮説を実証するためにパネル データを用い政策評価する。北村(2007)によれば、「パネルデー タはクロスセクション・データに比べて統計的な情報量の多さに よってもたらされる推定量の効率性、不偏性の上昇が期待でき る。」とし、さらに「パネルデータ分析では、他の観察可能な変数 による変動要因は全てコントロールした上で、観察不可能な変数 を固定効果として捉えることで、観察不可能な変数を逆に抽出す ることができるようになる。」としている。つまり、他の説明変数 へのバイアスをコントロールすることにもなる。

個別効果と説明変数の相関の有無に関する検定が必要なために 固定効果モデル(Fixed effect model)、変量効果モデル(Random effect model)により推計しハウスマンテストにより採用モデル を決定する。分析地域として北海道全体と連携地域毎に分析を行 うこととする。1993 年(平成 3 年)より開設している「道の駅」

の開設前後を分析するために 1990 年・1995 年・2000 年・2005 年 の 4 年分のデータを用いた。以下に推計モデル式を示す。

推計モデル式

Y

it

=α

0

+α

1

D

it

+α

2

Z

it

+ ε

it

(Yit:農業算出額・生産農業所得額・第 3 次産業従事者数 Dit:道の駅ダミー Zit:その他コントロール変数

ε

it:誤差項)

(4)

4 4-4 推計結果

以下に推計結果を示す。

「農業総算出額」、「生産農業所得額」、「第三次産業従事者数」と もに「道の駅」に対して影響があるとはいえない結果(表-1・表 -2・表-3)となった。地域別の推計結果(表-4)では一部有意な 結果となったが、全体からすると軽微な影響しか与えていないと いえる。このことから、「道の駅」は地域経済に対して影響を与え ているとは言えない結果となった。

[表‐1 農業総算出額の推計結果]

OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO

OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO

[表‐2 生産農業所得額の推計結果]

OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOO

[表‐3 第 3 次産業従事者数の推計結果]

OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO

[表‐4 北海道連携地域別の推計結果]

第 5 章 政策提言

全国一律に整備を進めている「道の駅」事業であるが、地域毎 に過疎地域振興政策として純便益が最大化を事業主体は常に分析 する必要がある。そのために制度づくりとして政府は「道の駅整 備における費用便益分析のマニュアルを作成するべきである。

そして過疎自治体は策定している過疎地域自立促進計画で「道の 駅」整備による地域振興を挙げているが実施にあたりそのマニュ アルに従い費用対効果を明らかにした上で設置すべきである。そ の上で事業途中に継続的評価を行い波及効果がマイナスの場合は 施設を用途転用するなど柔軟に検討するべきである。このような 柔軟な事業変更の為に特に初期段階においては極力固定費用を抑 える工夫(過疎地の廃校を利用するなど)を検討するべきである。

過疎事業債や地方交付税制度を見直し、地方負担分の割合を実 質的に高め、受益と負担のメカニズムを働くようにすることであ る。すなわち公共投資を行うにあたって、地方が負担をしてでも 行う価値があるかどうかの検討をすることによって公共投資が効 率化を目指すべきである。

第 6 章 おわりに 6-1 今後の分析課題

今後の課題として買い手の属性(来訪元や利用目的)データな どが入手できれば、その地域のトレンドや買い手のニーズをより 正確に把握することもできる。また、「観光市場」を分析する上で 被説明変数として自治体毎の「観光客入込数」を用い、説明変数 として「観光振興予算」や「ホテル・旅館の収容人数」などのデ ータを用いることが有効である。

さらに、より推計精度を高めるためにサンプル数を増やし全国 を地域毎に分析することで、より精緻な分析となる。

6-2 まとめ

かつては地方において公共事業が地方の需要創出の一翼を担っ てきたが、財政再建や非効率な公共事業の見直しによって、公共 事業が地方の需要を下支えする役割や機能を失っている。一方で、

公共事業に変わり過疎事業債による事業に衣替えしているだけで はないのかとの疑問が残る。

地域の実情に見合った効果的な地域支援の実施が求められる中 で今年度(平成 22 年度)には過疎法が改正し、新たにソフト事業

(地域医療の確保・住民の日常的な移動のための交通手段の確保 など)が新設されるなど下支えの仕組みも変化しつつある。今後 は住民集団移転政策などによる抜本的な政策にシフトし「集積の 利益」を期待することも大事である。

地域の魅力を高めるための施策の実行は、補助金や交付金に依 存せず既存の施設を用途転用するなど固定費を最大限に抑える努 力をし、需要を創出するノウハウを蓄積する必要がある。地域の 創意工夫により人を呼び込む施策の策定と実行が期待される。地 域の活性化に向けて、各地域が知恵を絞り地域間での競争が活発 化することを期待したい。

以上

係数 t値 係数 t値

道の駅ダミー 4.8212810 0.15 0.0181638 1.01 販売農家数(戸) .0.6503458 -4.68 *** 0.0001164 1.24 自給農家数(戸) -1.1808610 -2.64 *** 0.0003208 1.14 専業農家率 -125.9925000 1.74 0.0123884 0.30 経営耕地面積(ha) -0.0155293 -1.27 0.0000156 1.51 人口(人) 0.2368727 39.81 *** 0.0000298 8.05 ***

課税対象所得額(千円) 0.0715773 14.13 *** -0.0000031 1.00 乗用車保有台数(台) 0.0428094 2.95 *** 0.0000505 -1.09

年次ダミー×地域ダミー YES

定数項 -440.9505000 -2.35** 7.0343910 41.04***

F値 19821.66 389.69

観測数 544 544

修正済決定係数 0.6939 0.0792

注:***,**,*はそれぞれ1%、5%、10%で統計的に有意であることを示す。

YES

第三次産業従事者数 RE ln第三次産業従事者数 RE

係数 t値 係数 t値

道の駅ダミー -12.7455200 -1.36 0.0114740 0.45 販売農家数(戸) 0.4616728 10.31 *** 0.0001466 1.03 自給農家数(戸) 0.0096735 0.07 -0.0001823 -0.44 専業農家率 17.8756500 0.83 -0.0904583 -1.40 経営耕地面積(ha) 0.0543244 12.68 *** 0.0001491 8.23 ***

人口(人) -0.0017751 -0.98 0.0000072 1.24

課税対象所得額(千円) 0.0003738 0.25 -0.0000018 -0.43 乗用車保有台数(台) 0.0051962 1.19 0.0000092 0.73

年次ダミー×地域ダミー

定数項 -12.5170000 -0.19 4.5728200 13.74***

F値 951.91 355.84

観測数 544 537

修正済決定係数 0.3656 0.4093

注:***は1%で統計的に有意であることを示す。

YES YES

農業総算出額(千万) FE ln農業総算出額 RE

係数 t値 係数 t値

道の駅ダミー -3.8102330 -0.76 0.0180606 0.59 販売農家数(戸) 0.3356429 17.15 *** 0.0000881 0.53

自給農家数(戸) 0.0501701 0.76 -0.0004445 -0.91

専業農家率 15.4838500 1.34 -0.0328102 -0.42

経営耕地面積(ha) 0.0172267 10.88 *** 0.0001640 8.30 ***

人口(人) -0.0012246 -1.31 0.0000077 1.17

課税対象所得額(千円) -0.0000506 -0.06 -0.0000032 -0.66

乗用車保有台数(台) 0.0028291 1.23 0.0000078 0.53

年次ダミー×地域ダミー

定数項 -39.8379100 -1.66 3.2824970 9.53***

F値 1499.45 488.00

観測数 544 534

修正済決定係数 0.4704 0.5226

注:***,*はそれぞれ1%、10%で統計的に有意であることを示す。

YES YES

生産農業所得額(千万) RE ln生産農業所得額 RE

道の駅ダミー 係数 t値 係数 t値 係数 t値

道央 -18.2990200-0.99 FE -1.0121170 -0.12 RE 32.4019500 0.64 FE

道北 -19.9136300-1.74 FE -8.4266140 -1.14 FE -41.9505000-0.66 FE

道南 7.1916190 0.40 RE 17.1067000 2.12 **RE -22.6092300-0.38 RE

十勝 10.5415400 0.28 RE 0.3830686 0.03 FE 76.9399100 2.23 **RE

オホーツク -24.9145300-0.75 FE -47.1708800-1.73 RE 4.8433080 0.11 FE

釧路 -25.7884400-0.49 RE -8.6385570 -0.53 RE 273.9170000 0.95 RE

注:**、*はそれぞれ5、10%で統計的に有意であることを示す。

農業総算出額 生産農業所得額 第3次産業従事者数

参照

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