げの背景……
Author(s)
上田, 不二夫
Citation
沖大経済論叢 = OKIDAI KEIZAI RONSO, 22(1): 91-97
Issue Date
2000-03-17
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/6803
沖縄の水産物流通と卸売市場
沖縄の水産物流通と卸売市場
。…・リデイカ實取価格値下げの背景……
上田不二夫
(沖縄大学法経学部教授)
らあった市場は東町市場で、1782年(天明2) の記録によれば、混雑解消のために海岸沿いに道 路をつけ、そこに魚肉市場がまとめられたとある。 1880年(明治13)には、那覇市内に9つも の市があり、その後市の統合等もあって6カ所に 整理された。東町市場は別名大市とも呼ばれ、県 内最大の市場となった。その後、那覇市内及び市 街地にあった市場の整備・統合がなされたのは 1906年(明治39)で、露天販売から公設市 場への入居や立ち退きも行われ、魚市場の取締り も行われた。市内で本格的に魚商売が行われるよ うになるのは、土地整理事業以後の商品生産の発 達に合わせて、公設市場の再編、統合がなされて のことだという。 海岸沿いにあった東町市場は、その後2回の大 火|こによって移転を余儀なくされ、1918年 (大正7)に市が埋め立てた旭橋の一角(現那 覇バスセンター付近か?)に移転した。 1897年(明治30)頃には、東町市場周辺 には20人程度の鮮魚商がおり、糸満のような漁 家出身の婦女子ではなく、泉崎地区の婦女子が多 かった。糸満の婦女子は、首里・那覇での行商中 心に鮮魚販売をしていた。那覇と糸満の交通機関 が、1911年(明治44)には客馬車、 1918年(大正7)には軌道馬車が、1924 年(大正13)には軽便鉄道の開通が見られ交通 条件は飛躍的に向上した。那覇市内の鮮魚販売量 も飛躍的に伸び、宿小(ヤドグヮー)という糸満 婦人向けの簡易宿舎の出現もあって、糸満漁業の 那覇販売前線基地としての役割を果たしていた。 戦前期(明治・大正期)にあっては、水産物流通 の発展は、那覇・首里の発展によって拡大していっ た様子が分かる。 はじめに 沖縄県の水産物流通が他府県に比べて、かなり 特殊な市場環境のもとに行われているのではない かという疑問は以前から持っていた。それを裏付 けるような事件が、つい最近(2000年2月 29日)起こっている。「漁民一摸」ともいえる 行動で、ソデイカ生産者を中心とした漁業者約 300人が沖縄県水産会館に押し掛けたのである。 直接の原因とぎれたのは、沖縄県漁連(沖縄県漁 業協同組合連合会の略)がソデイカの買い取り価 格をキロ当たり730円から650円へと80円 の値下げを行ったことへの抗議行動であった。 この事件の背景には、卸売市場の構造に関係す る根本的な問題や、沖縄県漁連の組織上の問題点 も関係しており、漁業者の期待する結果実現には 時間がかかるということになろう。 沖縄以外の都道府県であまりこの種の騒動を聞 いたことがないため、本稿では他府県の県漁連も 比較の意味で取り上げたいと思う。1卸売市場の歴史と役割
(1)水産市場と取引(沿革) 市場の役割について述べる前に、沖縄の水産市場と水産物取引の歴史について、拙稿(「第3項
水産物流通」「沖縄県農林水産行政史第8. 9巻』沖縄県、平成2年、130~132ページ、 144~152ページより要約)より概略整理し てみたい。 琉球王朝時代から、住民への生鮮食料品を供給 するために「市」が那覇・首里及びその周辺地域 に設置きれていた。歴史上、港町に面して古くか 911929年(昭和4)県水産試験場の空き地に仮 設共同販売所を設置し、県内市場を目的にした入 札販売を始めたのである。これが市場開設の準備 期間となり、その後の那覇市水産会卸売市場の開 設になったわけだが、本土と違って民間資本が市 場経営に乗り出すことはなく、県内唯一の鮮魚共 販事業が水産団体の手で始まったことになる。後 年、垣花(那覇市)の漁業者がマグロ延縄や深海 一本釣り漁業を発展させた背景には、この那覇市 水産会による卸売市場の整備が大きかったという。 戦前期の沖縄県において、本土に準じた水産市 場が設置されるのは1933年(昭和8)、那覇 市水産会が那覇市住吉町に卸売市場を設けたのが 最初といえよう。前述したように、琉球王朝以来 の「市」(マチグヮー)の伝統は東町市場に受け 継がれ、女性を中心とする魚や蒲鉾の販売も活発 に行われていた。水産会の市場が出来る前に、県 水産試験場の冷蔵庫にマグロ延縄や深海一本釣り の漁獲物を保管し、県内向けに需給や価格調整を 図ったことがある。特に、カジキとマグロの価格 は、県外や海外への市場出荷がないため変動が大 図表-1戦前期那覇市の鮮魚流通ルート
その他の市場
糸
行(糸満)
商(湧田)
東町市場
満
「小仲買」(泉崎)
小仲買」(
垣花
カマポコ製造
(糸欄)
水産会卸売市場
「大仲買J(垣花)
△しエⅡ勇Z水
垣花市場
資料:片岡千茨之・上田不二夫「戦前における那覇の漁業構造」
(「鹿児あ大学水産学部紀要」,昭和62年)による。
92泊
泊・崇元寺市場
沖縄の水産物流通と卸売市場 沖縄戦の後、本土と切り雛きれた沖縄は、独自 の水産行政(とは言っても、戦前水産行政の色濃 く)を推進する羽目となり、水産流通についても 市場整備には本土法の適用はみられなかった。沖 縄戦の後、最初の卸売市場は、1952年(昭和 27)に鮮魚の中央卸売市場として泊港に開設し たものである。資料によれば、資源局水産課長で あった森田真弘は、ラジオ放送で次のように述べ ている。即ち、市場の目的は「……漁業経営の合 理化を図り、又、我々の食生活の改善や消費経済 の改善の上におきまして、大切な役目を……一般 の消費者の方々もこの市場の持つ公共`性と家庭経 済、ひいては琉球経済に及ぼす意義をよく認識下 さいましてその運営にご協力下さること、これが 第1であります。」(「鮮魚卸売市場について」森 田真弘『水産人森田真弘著作集』全編集会、 1988年(昭和63)、35~38ページ)と、 開設者は沖縄漁連ではあったが、明らかに中央卸 売市場を意識した、消費者対応の市場づくりであっ たことが分かる。この市場は、その後狭院となり 1979年(昭和54)1月、泊港北西側の港町 に新市場を開設し現在に至っている。 2000年(平成12)3月3日、泊の県漁連 市場が糸満に移転し、産地卸売市場として整備す ることが発表された。県を仲介役にして、関係水 産団体の間で覚書に調印したもので、水産業界も また新たな水産流通を考える時代に入ったといえ よう。 合計3ケ所がある。法的な分類にはないが、地方 市場の中には青果も水産物も同一市場内で扱う 「総合市場」といった'性格の市場もある。その他 の市場とは、中央及び地方卸売市場以外の市場を 指すが、「規模未満市場」といった分類をするこ ともある。沖縄県内では、県内各地の漁協が開設 している17ケ所の卸売市場と沖縄県食肉センター の計18ケ所がこれに該当する。 宮崎、鹿児島と比較した場合、これら中央卸売 市場と地方卸売市場といった法的に位置づけられ た市場が、沖縄県に少ないことである。たとえば、 宮崎県下の漁協市場は「地方卸売市場」として扱 われている。それに反し沖縄では、那覇市、沖縄 市、浦添市、名護市等の中核都市に社会インフラ として整備すべき、食品関連市場は少ない。全県 規模で、未整備な社会インフラ機能とも考えられ、 本土各県のように生鮮食品が卸売市場を経由する システムが確立されていないことにも通じよう。 卸売市場が、県民への生鮮食料品供給の核にな ることは当然としても、その他にも様々な機能が ある。水産物市場に即して大別すれば、市場に水 産物を集める「集荷機能」。集めた水産物を仲卸 人など流通業者に販売する「分荷機能」。卸売市 場が社会的な施設として、その公正さを要求され る根拠が価格を決定するという「価格形成機能」 があること。県外、あるいは海外から水産物を沖 縄に出荷する場合、相手が個人や民間業者であれ ば取引上のリスクが予想される。取引するにして もリスク込みの価格であり、割高にならざるを得 ない。しかし、卸売市場が集荷した分については、 市場の卸売会社が責任を持って支払う義務がある。 市場には、取引に関連して「信用機能」「決済機 能」「金融機能」「保険機能」までが要求される。 市場を通す取引は、安全という評価が一般的なの は卸売市場の基本的なシステムからきているので ある。その他、「情報機能」も重要である。最近 は、生鮮食品特に鮮魚取引には向かないといわれ た電子商法(インターネット取引)が、-部では あるが始まっている。取引のほとんどが、現物の 魚を見なくても可能な時代が目の前ということが 実感できる。 (2)卸売市場の種類と役割 我が国の卸売市場は、1971年(昭和46) に改正された「卸売市場法」に基づいて①中央 卸売市場②地方卸売市場③その他卸売市場の 3種類に区分されている。卸売市場には、市場の 種類ごとに設置要件が定められている。中央卸売 市場の場合には、人口20万人以上の都市で、し かも農林水産大臣の認可が必要である。沖縄県に は現在、野菜と果実及び花卉を扱う機能を持った 沖縄県中央卸売市場(浦添市)がある。地方卸売 市場は、中央卸売市場以外でその卸売場の面積が
一定規模以上あるものについて、知事の許可を受
けて設置される市場で、県内には泊にある2ケ所 の水産市場(沖縄県漁連地方卸売市場及び那覇地 区漁協地方卸売市場)と、休業中ではあるが糸満 で県水産公社が開設する水産公社地方卸売市場の 93容として重要視している共通項がまずある。しか し、その依存度を比較すると沖縄県漁連の市場事 業依存度がかなり高く、販売事業全体としてまと めれば、約59%もの高率になっている。鹿児島 も販売事業全体では、約31%もある。市場事業 への依存度を示す受託販売手数料の数字だけなら、 販売事業部門で40%と高率である。沖縄県漁連 の場合、市場事業は独立した項目で扱っているた め、市場事業への依存度は正確に数字で示すこと が可能である。受託販売手数料が、県漁連全体の 事業総利益に占める比率は63%と大きく、市場 経営がなければ組織そのものの存続が危ぶまれる 現状が理解できよう。 県漁連の財源が卸売市場の手数料にあることは 明白であり、この面の見通しが無ければ、流通面 今回のソデイカ買い取りをめぐっての騒動は、 県漁連会長の退陣を求める「組織不信」の側面も 示している。抗議に立ち上がった300人の漁業 者が、どの程度県漁連の台所事情を知っているの か不明であるが、県漁連の根本的な問題点に若干 の検討を加えてみたい。 鹿児島県漁連と沖縄県漁連の双方を、業務報告 書の数字を用いて事業内容を比較してみたい。 1997年(平成9)の市場事業取扱金額だけで も129.6億円(鮮魚及び冷凍魚)と51.4億 円と約2.5倍の開きがあるため、同一規模の事 業内容としての比較検討は難しい。しかし、図表一 2からは、事業の全体的な傾向を知ることは可能 であろう。 からの改革を積極的に出来ないことになろう。 図表-2県漁連事業別総利益比較(鹿児島・沖縄)1997 単位:千円 資料:『1997年度漁業協同組合連合会の現況』全国漁業協同組合連合会、1998 年10月、『平成9年度業務報告書』沖縄県漁業協同組合連合会、平成10年、『平成9 年度業務報告書』鹿児島県漁業協同組合連合会、平成10年より作成 94 理ヨ目/県荊魚連 鹿児島県;魚連 沖糸亀県'魚連 備考 事業総利益(計) 1, 257,809 (100) 412,013(100) (1)購買事業総利益 387,504 (31) 151, (37) 448 (2)販売事業総利益(計) 638,748 (31) 244,179(59) (内訳) ①販売事業総利益(小計) 【販売事業 受託販売手数料】 ②市場事業総利益(計) 【市場事業 受託販売手数料】 638 【504, , 748 398】 <40> ***** ***** 91, (22) 【17, 936 520】 <4> 152, (37) 【257, 243 755】 <63> 沖縄県漁連の販 売事業総利益は ①+②である。 鹿児島県漁連は、 市場事業が販売 事業に含まれる。 (3)製氷冷凍事業総利益 63, (5) 614 -6,126 (-1) (4)加工事業総利益 103,413 (8) (7)27,166 (5)指導事業収支差額 64,529 (5) (-1)-4,654
沖縄の水産物流通と卸売市場 漁業者が公表した要求書には、ソデイカの買い 取り価格を引き下げた理由には、在庫がたくさん あることや県漁連の販売努力が不足していたこと をあげている。 協同組合の基本的な経営方針からすれば、「受 託販売」が当然であり、手数料中心の「安全経営」 がオーソドックスといえる。受託販売は組合員か ら魚など生産物の販売を委託され、その分手数料 をもらう形式のものである。反対に買取販売は、 組合員から魚などを買い取ってしまい、漁連の責 任で販売を行うリスク負担のある方式といえる。 図表-3は県漁連の販売事業取扱高の全国111頁位 である。ここで上位の漁連組織が、どのような事 業内容であるか簡単に整理してみる。 次に、全国の県漁連組織41団体中、沖縄はど の程度の事業体なのか図表-3で確認してみたい。 販売事業の取扱高を比較してみたものだが、上位 10位以内の県漁連の内、魚市場を経営している のは3県漁連しかないことに驚く。魚市場事業の ない北海道、香川、三重の3県漁連では、傘下漁 協の代理として、販売代金の回収を行ったり、首 都圏でのスーパー相手の養殖魚販売といった地元 を越えた営業の姿勢が顕著である。沖縄県漁連は、 図表-3の通り、19位を示し、全国で中堅組織 体としての位置にあることが分かろう。 図表-3全国県漁連販売事業取扱高と沖縄(1997) 工F成9年二度県別ベスト10 単位:百万円、<>内は91年のデーター、■印は魚市場卸売業務のある県漁連。 資料:『漁業協同組合連合会の現状」全漁連、1991&1997 『1994年全国食品卸売業総覧』(財)食品流通構造改善促進機構、平成6年より作成。 95 県漁連名 販売順位 販売事業 取扱高 (合計) (A) 受託販売 (計) (B) 買取販売 (計) (c) 鮮魚類 買取販売 (小計) (D) 鮮魚比率 (D) ÷ (A) 買取比率 (c) ÷ (A) 備考 ①北海道 ②香川 ③三重 ④宮城 ■⑤青森 ⑥長崎 ⑦佐賀有明 ■⑧愛媛 ■⑨鹿児島 ⑩兵庫 4908066459 5177655231 432321486O P P 9 , , , P 9 9 9 1267481088 0643322211 3 6353204902 2535385963 4752536481 , 9 , , 9 リ ワ , 分 9 6076421997 01 3322 1 2 363227 0246530979 268 8970 0 857 P p D y D 9 9 4181 6 09 953 1 2360550987 349 26 789 754 3 222 P P P 9 9 p 511 3 05 43 1 % 8700 ● ● ● 168 66 7 0 ● 0 00446 ● ● ● ● 2 981 1 42 % 31.5 <11> 83.4 <82> 83.7 <78> 2.7 <0.6〉 0.07 <6〉 21.6 <29> 0 〈0〉 52.0 <3.0> 51.3 <30〉 4.4 共販事業の 代金回収 首都圏への 養殖魚販売 同上 地方漁協市 場8カ所の 卸売業務 漁連宇和島 地方市場 鹿児島市中 央卸売市場 魚類市場 ■⑲沖縄 7,012 5,634 1,377 0 0 19.6 〈8> 沖縄県漁連 地方卸売市 場
「貢取販売」へ転換 全国41漁連の1連合会平均の数字は次のよう なものであった。1992年を100とする受託 販売取扱高指数では、97年は74.8と約26 ポイントも減少している。一方、買取販売取扱高 派92年100に対し、97年135.6と増加 傾向が顕著であった。 (資料『1997年度(平成9)漁業協同組合連 合会の現況』全国漁業協同組合連合会、1998, 14ページ)組合事業としては、受託販売が原則 だが、上位の県漁連では「買取販売」が多い。全 国的にも、受託から買取販売への比重が高まって いることが明らかである。 県外業者から評価される集荷、販売能力は、表に 示きれる買取販売の大きさに示きれよう。 (3)實取販売にはリスクがある。 買取販売という、リスクを負ってまで民間業者 と同じ取引原則の上に販売活動を展開することは、 受託販売のような安全第一の経営思想から企業的 経営姿勢に転じたものといえよう。三重、香川両 県漁連の事例は、事業の拡大には販売を業者に依 存せず、自前の販売ルートで実施したこと。組合 員からの買い入れも民間と同じ土俵の上で、市場 競争を前提にした方針であることが明白である。 (4)沖縄県漁連の實取販売の比率は19.6% と香川県漁連(83.4%)三重県漁連 (83.7%)に比べてかなりの低い。 ソデイカの販売が不振を極めるのは、香川、三 重両県漁連ほど「買取販売」に代表される積極的 な経営姿勢に転換できないことに尽きよう。 (2)原価(コスト)が明確な養殖モノには 「貢取販売」が多い。 香川県漁連のように、養殖ブリを首都圏に販売 する事例では、首都圏に加工所や養殖ブリを蓄養 しておく生け贄を配置する場合もある。東京都内 一円のスーパーヘ配達業務もこなすなど、積極的 な姿勢が目立つ。近年は、地元香川で生産できな (5)卸売市場の価格形成機能は、不透明。 図表-4に示されるように、公正さを保つべき 図表-4沖縄県の水産物流通径路 生産者 県外・海外
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問屋・出荷業者 問屋 問屋・輸入業者 問屋. --- ̄ ̄ ̄可一一一一一一一c ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄●、 冷凍水産物・鮮魚 水産加工品 ■C-勺■ 卸 完 業者業者 卸売市場 セリ 入札 (相対) 鮮魚・冷凍魚 買受人===三ニラ,=ご=三三一I
0-●- ̄ ̄ ̄■ ̄ ̄ ̄「 ̄ ̄ ̄・・ ̄⑤● ̄●。●● ̄●■。●--■-●・● 加工業者 スーパー・鮮魚店等小売業者 資料:沖縄 の水産業、平成11年 用(-部修正) 2月より引 消 實 者 96そ重-蔓
沖縄県まぐろ 水場協議会沖縄の水産物流通と卸売市場 卸売市場内で、価格の調整ができる仕組みが機能 している。「沖縄県マグロ水揚げ協議会(略称、 水揚げ協議会)」といい、マグロ出荷人(生産者 &回船問屋等)の組織である。出荷者側の自主組 織として、供給過剰による魚価暴落を防ぐことを 目的に“自らの水揚げ量を自主調整,,するものと いう。現状は、マグロ類の上場決定量等に強い決 定力を及ぼしている。例えば、輸移入魚や県内各 漁協からのパヤオ漁業のマグロ類を上場する際に は、28トンという制限枠に達しなくてもあらか じめ水揚げ協議会との調整が必要となる。この調 整の過.程では、協議会自体が会の規約、構成メン バー。協議の過程及び決定事項、運用基準等につ いて公表しないため、その調整過程は不明という。 これについて、買い手である仲卸人や量販店(スー パー等)関係者は、卸売業者(県漁連&那覇地区 漁協)の主要業務である集荷業務を否定するもの として、市場に対し安定供給体制の確立を強く求 めている。 他にも、市場取引の側面では公正さを疑われる ような実態や、買受業者がほぼ固定化されており、 新規参入が難しいなど高値の出にくい状況が指摘 きれている。 おわりに ソデイカの騒動は、沖縄県における水産物流通 の変則的な現象を改めて考えさせられたことであっ た。県漁連がリーダーシップをとることも大事で あるが、生産者自体もこの問題では「加害者」の 立場になる人もいて、長期にわたる見直しが不可 欠となろう。 97