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現職教員の継続教育の場における火成岩の観察(その1)

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Academic year: 2021

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(1)学校教育学研究, 2005,第17亀pp.107-111. 107. 現職教員の継続教育の場における火成岩の観察(その1 ) Jir iI.抽蝣i/. (兵庫教育大学) 本資料は,火成岩の一種である花コウ岩と流紋岩の肉眼と顕微鏡による観察法とその結果の表し方について論じたもので ある。この内容は,兵庫教育大学大学院における理科教科内容論Ⅶ (岩石鉱物学)や学部の初等理科教育法における講義内 容に基づいたものである。大学院における講義は現職教員の継続教育と職業的専門性の向上のために開設されているもので ある。 キーワード:火成岩の観察,花コウ岩,流紋岩. 浪江靖弘:兵庫教育大学・自然系教育講座・教授〒673-1494兵庫県加東郡社町下久米942-1 E-mail:[email protected]. Observations of Igneous Rocks at the In-service Training of School Teachers (Part l) Yasuhiro Shibue (.Hyogo University of Teacher Education). This paper shows how we observe the igneous rocks and how we express the observations. Those igneous rocks of the present concern. are. granite. and. rhyolite.. The. contents. of. this. paper. are. based. on. the. lectures. for. the. graduate. course,一一Contents. Theory. in Science Education VII (Petrology and Mineralogy), and for the undergraduate course, "Teaching Materials of Elementary School Subjects (Science)" at Hyogo University of Teacher Education. The graduate course is held for the in-service training and the professional development of school teachers.. Key Words: Observations of igneous rocks, Granite, Rhyolite. Yasuhiro Smbue: Professor, Department of Natural Sciences, Hyogo University of Teacher Education, Yashiro, Kato-gun, Hyogo 673-. 1494, Japan. E-mail: [email protected].

(2) 108. 学校教育学研究, 2005,第17巻. 1.はじめに 小学6年あるいは中学1年の理科において岩石に関す る学習が行われている。小学6年生向けの教科書におけ る岩石の取り扱いを見ると,岩石標本の写真や標本の拡 大写真を示しながら特徴が記されている。そして,小学 校においても火成岩が観察の題材として取り上げられて いたO例えば,啓林館発行(竹内ほか, 1999)の教科書 (小学6年生下)を見ると,次のように記述されている。 花コウ岩の標本について, 「つぶの形はぎざぎざで,黒 いっぶと白いっぶがかみ合っている。」安山岩について は, 「小さなっぶの間に,大きなはっきりした形のつぶ が散らばっている。」そして,堆積岩と火成岩の粒の様 子を比較すると, 「れき岩や砂岩は,角のとれたっぶか らできている。花こう岩や安山岩は,つぶがたがいにか らみあっている」ことがこの単元のまとめの例として挙 げられている。大日本図書発行(戸田はか, 1999)の教 科書(小学6年生下)を見ると,次のように記述されて いる。花コウ岩については「全体につぶは大きい。黒や 白のつぶがある。」安山岩については「角ぼった小さい つぶがある。」そして,岩石の特徴を「話し合おう」と いう小単元の中で, 「花こう岩のつぶは角ぼっていた」, 安山岩の粒については「全体につぶは小さい。いろいろ な大きさのつぶが」あり,形は「角ぼっている。」と記 述されている。中学校では従来から堆積岩と火成岩につ いての観察が行われており,多くの教科書中で火成岩の 組織について記述されている。東京書籍発行の中学生向 けの教科書「新しい科学2分野上」の教師用指導書(秦 京書籍編集部, 2002)の中で,火成岩の観察の目のつけ どころとして, 「黒っぽい粒を虫ピンでついたとき,粒 の傷っき方や割れ方(はがれ方)にちがいがあるか。白っ ぽい粒(透明なもの,乳白色のものなど)を虫ピンでつ いたとき,傷っき方にちがいがあるか。全体的に,粒の 大きさにちがいはあるか。異なった粒(鉱物)をいくつ 見っけられるか。粒の集まり方(組織)にどんなちがい があるか。」を挙げている。岩石中の鉱物の硬さや割れ 方と組織を観察することが重要視されている。鉱物の硬 さや割れ方を調べることは岩石のでき方とは関連しない が,構成物質の特徴を調べるという観点からは意義があ ろう。 さて,岩石を観察できる崖が少なくなった今日におい て,学校内の標本類の活用を図ることも必要になってい る。多くの小学校で昭和40年代に岩石園の施工が進めら れたことがあり(例えば,鈴木はか, 1994),都市部の 小学校でも岩石園を利用して岩石観察を行うことが可能 である場合も多い。ただし,当時の岩石園の施工目的の 中に個々の岩石の特徴を観察することが含まれていない 場合が多く,岩石園があっても岩石の観察に利用されて. こなかった場合も多い。例えば,飯田(1966)が示した 岩石園の利用計画を見ると,岩石を大地を構成するもの として捉え, 「岩盤」の違いを観察させることが重視さ れている。実際,教科書あるいは教師用指導書の中で岩 石園の利用に触れているものも少ない。 本資料では学校に備え付けられている岩石標本や岩石 園の岩石を観察する場合,どのような点に注意して観察 すれば良いのかを論じる。また,中学校段階では,岩石 薄片の観察方法についても考えておく必要があるので, これについて簡単に触れる。 筆者は兵庫教育大学大学院自然系コースにおける授業 である「地殻物質科学」の中で岩石観察(標本と薄片) に関する講義や演習を行ってきた。この授業は,名称を 「理科教科内容論Ⅶ (岩石鉱物学)」に変更して,現在も 行っている。また,岩石標本の観察だけではあるが,学 校教育学部の学生を対象にした「初等理科教育法」にお いても観察を行う上での留意点について講義を行ってい る。本資料論文ではこれらの授業内容に基づいて,火成 岩に属する花コウ岩と流紋岩の観察法について論じる。 先に筆者は岩石の分類とその鑑定方法(浪江, 2002), 岩石薄片中に含まれている鉱物の偏光顕微鏡による鑑定 方法(浪江, 1999, 2001)を述べたので,ここではこれ らと関連する事項についての繰り返しは最小限度にとど める。 2.岩石の観察におけるスケッチの意義 岩石の観察結果を記録文として表そうとすると岩石の 組織や鉱物名などの様々な予備知識が必要となる。火成 岩を例にすると,組織(岩石の模様に相当し,等粒状組 織と斑状組織が代表例である),粒径(粒子の大きさに 相当する。斑状組織を示す岩石だと斑晶の大きさ),負 (有色部分の割合),主要構成鉱物などの記載が必要であ る。このような観点を与えずに岩石を観察させると,鶴 察結果が理科的要素の少ないものになりがちである。例 えば,内田・細川(1961)がまとめた小学生による花コ ウ岩の観察結果を見ると,次のような児童の観察結果が 示されている(引用部分はすべて原文のままである)。 「ぽつぽつ色がまじっている」 (3年), 「小さくて白のも 黒のもまじっている」 (4年), 「いろいろな色がまじっ て,ぴかぴかひかる」 (4年), 「ねずみ色みたい,とがっ た所多,黒い所光る」 (5年), 「門になるような石,す こし灰色の青がはいったよう」 (6年), 「金や銀がまじっ ているような所がある」 (6年), 「中をわってみるとす いしょうみたいな石」 (6年)といった具合である。学 年による記述内容に大きな違いが認めにくい。そして, これらの記述内容から岩石の様子を思い浮かべることは 困難である。言い換えれば,観察結果を文章化すること.

(3) 花コウ岩と流紋岩の観察. がかなり困難であることが分かる。 先に示した児童の文例からも分かるように,記録文の 作成は児童にはかなり困難な作業である。むしろ,岩石 をスケッチして,観察結果を視覚に訴えることを考えた 方が良いと筆者は考えている。観察結果を第三者が貝体 的に思い浮かべることができるようにすることが,理科 の観察では重要である。スケッチする場合に最も重要な ことは見たものをあるがままに正確に表現することであ ることは言うまでもない。しかしがら,この目的でスケッ チを行おうとすると,相当な授業時間を必要とする。理 科観察におけるスケッチの特質として,対象物の特徴を 描きだすことが挙げられる。スケッチとしてではなく, イラストとして扱っている教育実践家(例えば,前田,. 1(W. 映し出すものであり,観察対象の特徴だけを抽出するこ とができない。例えば,後で示す緑色を帯びた流紋岩の 標本写真を見ると,この色が流紋岩の一般的な特徴のよ うに見える。天然の流紋岩の中には変質しているものも 多く,変質部分が緑色を呈しているだけである。写真で はこの変質部分が際だって目立ってしまうが,流紋岩一 般の特徴を表現する上では重要ではない。スケッチなら ば「変質しているために緑色を呈する部分が広い」と簡 単に記載すれば十分である。スケッチを行うことは理科 学習の中で「意外」と有効であり,観察結果の文章化が 困難な場合にもっと広く利用されて良いのではないかと 考えている。以下に花コウ岩と流紋岩の写真を示しなが ら,これらの岩石の特徴を記す。. 1992)ら,図画工作におけるイラストとは性格が違って いることを述べている。そして,前田(1992)は,理科. 3.花コウ岩・流紋岩の観察. におけるイラストの意義を「授業のねらいを達成するた めの方法」としている。また,加藤・二階堂(1996)は 小学6年生に岩石のスケッチを行わせた授業実践報告を 行っている。彼らは花コウ岩の手触りの記述と粒子の形 と色に着目したスケッチを行わせて,特徴をうまく表現 できているかどうかで評価を行った。 「手触り」を粒子 (鉱物)の形状と関係付けていたかどうかが,この報告 でははっきりしないが,評価方法にも言及している点は 注目に値する。 スケッチの代わりに写真を撮影することも考えられる. 中学校理科では深成岩と火山岩をその組織と関連付け て学習することになっている(文部省, 1999)c深成岩 である花コウ岩は等粒状組織を示し,火山岩である流紋 岩は斑状組織を示す。浪江(2002)が述べたように,潔 成岩を観察すると粒子の大きさは均一ではない。むしろ, 斑状組織を示す岩石に比べて,相対的に大きな粒子から できていることが等粒状組織の特徴であると言えよう。 また,斑状組織はまだら(班)模様から命名されている ので,その様子が分かれば良いことになる。. も常に優れているとは言い難い。写真は対象をそのまま. 花コウ岩の標本の写真を図1と図2に示す。花コウ岩 中には,透明感があったり灰色に見える粒子で,少し丸. 図1花コウ岩の標本写真。写真中で番号を付けた粒子は, 1 が石英, 2が長石, 3が黒雲母である。この写真だけで は2の鉱物か斜長石かカリ長石かの判定はできない。写 真の横幅は約5.4cmに相当する。. 図2花コウ岩の標本写真。写真中で番号を付けた粒子は, 1 が石英, 2がカリ長石(長方形に近い形)である。写真 の横幅は約5.4cmに相当する。. が,観察結果を表現する手段として写真がスケッチより.

(4) 110. 学校教育学研究, 2005,第17巻. みを帯びているものが認められる。この粒子は石英と呼 ばれる鉱物の粒子である(図1と図2中で1と付けた鉱 物である)。この色の粒子以外に白色の粒子,ピンク色 あるいは赤みを帯びた色の粒子(図2中に2と番号を付 けた粒子),黒色の粒子(図1中に3と番号を付けた粒 千)が認められる。ただし,ピンク色(あるいは赤色) の粒子が認められない花コウ岩(図1のような花コウ岩) の方が多い。白色とピンク色の粒子は,長方形に近い形 を示すものから粒子の粒間を埋めるような形を示すもの まである。白色の粒子とピンク色の粒子は,それぞれ, 斜長石とカリ長石(あるいはアルカリ長石)と呼ばれて いる鉱物である。ただし,白色を示すカリ長石も存在す るので,この時には斜長石とカリ長石の肉眼的な区別は 難しい。ピンク色の粒子がほとんど含まれていない花コ ウ岩の場合には,白色の鉱物は斜長石かカリ長石のいず れかであり,中学校段階では斜長石とカリ長石の区別を 行わずに長石として一括されているo花コウ岩中に含ま れている黒色の粒子を見ると「魚の鱗」のように岩石に. こともある。花コウ岩には,黒雲母の他に角閃石と呼ば れる黒色(あるいは緑色)の鉱物が含まれていることも ある。角閃石は長柱状あるいは針状の形をとるが, 「魚 の鱗」のような見かけは示さない。これまで述べてきた ように,石英,長石,黒色粒子の大きさと色,各粒子の 形(粒子の問を埋めるような形かあるいは多面体や球に 近い形か)に着目してスケッチすることができよう。 花コウ岩の薄片写真を図3に示す。これは,図1に示 した花コウ岩の直交ニコル下での顕微鏡写真である。顕 微鏡写真を見ると,粒子の大きさの不揃いがはっきりす る。等粒状組織の大きな特徴は,多少大きさは異なるも のの,比較的大きな粒子が「密集して」いることにある と言える。また,粒子と粒子がジグザグの境界線で接触. 「張り付いた」様子を示すものがある(図1中の3と番 号を付けた粒子)。これは黒雲母と呼ばれる鉱物である。 岩石中では鉱物が様々な向きで含まれているので,標本 の表面で黒雲母が針状(あるいは長方形状)の形を示す. 図4流紋岩の標本写真。写真中で番号を付けた粒子は, 1が 石英, 2が黒雲母, 3がガラス(石基)である。写真の 横幅は約4.8cmに相当する。. 図3図1に示した花コウ若の直交ニコル下での薄片写真。写 真中で番号を付けた粒子は, 1が石英, 2がカリ長石, 3が斜長石, 4が黒雲母である。写真の横幅は1.1cmに 相当する。. 図5流紋岩の標本写真。写真中で番号を付けた粒子は, 1が 石英, 2が長石である。長石は長方形に近い形を示して いる。この写真だけでは斜長石かカリ長石かの判定はで きない。写真の横幅は約4.8cmに相当する。.

(5) 花コウ岩と流紋岩の観察. している場合も多い。これは,先に小学生向けの教科書 で記述されていた「っぶがからみあっている」様子であ る。. 流紋岩の標本の写真を図4と図5に示す。図4中では 石英の粒状粒子と黒雲母が斑晶として存在する。斜長石 やカリ長石が斑品として存在する標本も多い。図5中で は石英と長石が斑品である。結晶粒子の大きさが小さい と,結晶の集合体が「塊」として見える。これが岩石を 観察する時の細粒粒子の見え方である。ちょうど,粘土 の塊を見ても細かい粘土粒子を確認できないことと同じ である。そこで,流紋岩の標本では斑晶だけが結晶とし て見えていることと,斑品の色,形,大きさをスケッチ すれば良かろう。石基の部分は未変質の部分に重点を置 いてスケッチすれば良い。図4に示した流紋岩では,白っ ぽい石基の一部分が緑色を呈している。これは,流紋岩 固結後の変質による。活火山における火山岩は別にして, 多少古い時代の火山岩は多くの場合に変質しているので, 流紋岩が「全体として白色を呈する」と言うように理解 すると観察時に混乱を起こすことがあるので注意を要す る。. 111. 4.まとめ 本資料で示した花コウ岩と流紋岩の写真(標本写真と 薄片写真)に基づいてこれらの岩石の観察結果を表すこ とができよう。このための組織,粒径,色,主要構成鉱 物に関する記載の行い方について本資料中で記した。 文献 飯田次郎(1966) :岩石園とその利用について.地学教育, No.62, 24-31.. 内田ハチ・細川浩子(1961) :理科教育活動にあずかる感覚の 一考察-教材例一岩石.理科教育学会研究紀要, No.3, 28-39. 加藤尚裕・二階堂長光(1996) :コンピュータを利用した岩石 の観察の指導一小学校6年・大地のつくりの学習を通して-. 地学教育, 49, 7ト84, 法江靖弘(1999) :現職教員の継続教育のための偏光顕微鏡に よる岩石・鉱物の観察実習,学校教育学研究, ll, 163-170. 浪江靖弘(2001) :現職教員の継続教育のための偏光顕微鏡に よる岩石・鉱物の観察実習(その2).学校教育学研究, 13, 169-176.. 淀江靖弘(2002) :現職教員の継続教育の場における岩石鑑定 の指導.学校教育学研究, 14, 195-202. 鈴木盛久・林武広・吉村典久・藤川義範・蒲原秀子(1994) : 新しい岩石園の提案-広島市立三人小学校の例1.地学教育, 47, 219-225.. 竹内敬人はか(別記著者32名) (1999) :新版理科6年下新興 出版, 51p. 東京書籍編集部(2002) :新しい科学2分野上教師用指導書 観察・実験編.東京書籍, 147p. 戸田盛和ほか(別記著者48名) (1999) :新訂たのしい理科6下 大日本図茸58p. 前田康裕(1992) :イラスト法の技術,明治図書, 197p. 文部省(1999) :中学校学習指導要領(平成10年12月)解説一 理科編-,大日本図書, 162p. (2004.8.31受稿, 2004.10.14受理). 図6図4に示した流紋岩の直交ニコル下での薄片写真。写真 中で番号を付けた粒子は, 1が石英, 2か黒雲母である。 写真の横幅は1.1cmに相当する。 図6に示す流紋岩の薄片の顕微鏡写真を見ると,斑晶 に相当する部分が大きく,その他の部分(石基の部分) は細かい結晶かあるいは真っ黒に見える。細かい結晶に 縁取られた楕円状で真っ黒の部分がガラスの部分である。 この写真を標本と同様の観点からスケッチすることも可 能である。.

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参照

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