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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 地球 環境科 学)大 磯    勲

     学位 論文題 名

Studies of Helical ConfOrmationSFOrmed     byPeriodicP01ypeptideS

     (周 期性ポ りベ プチドによって形成される      ヘ リ ッ ク ス コ ン ホ メ ー シ ョ ン の 研 究 )

学位論文内容の要旨

  タ ン パ ク 質 は 、 地 球 環 境 の 生 命 圏 を 形 成 す る 最 も 重要 な 物質 の1っで あり 、生 命の 進 化の 過程 の な か で 生 ま れ た 天 然 の 機能 素 子で ある 。こ れ らは 多種 多様 な機 能 を持 っこ とが 知ら れ 、一 方で 未 だ 機 能 未 知 の も の も 数 多く 存 在す る。 個々 の タン パク 質は 、そ の アミ ノ酸 配列 に基 づ ぃて 、機 能 を 発 現 す る の に 必 要 な 高次 構 造を 形成 する 。 この ポり ペプ チド 鎖 のコ ンホ メー ショ ン は、 分子 内 お よ ぴ 分 子 間 相 互 作 用 によ る 機能 性構 造体 の 形成 とい う視 点か ら 、非 常に 興味 深い 研 究対 象で あ る 。多 くの 球状 タ ンパ ク質 では 、a‑ヘ リッ クス やロ ・シ ー トが 主要 な規 則構造と知られている 。 一 方 で 、 周 期 性 ポ り ベ プ チド 、 すな わち 特定 の アミ ノ酸 配列 が規 則 的に 繰り 返し たポ り ベプ チド で は 、 こ れ ら と は 異 な る コ ン ホ メ ー シ ョ ン を 形 成 す るこ と があ る。 例え ぱ コラ ーゲ ンの3重 らせ ん 、 フ ィ ブ ロ イ ン の シ ル クI構 造 、 グ ラ ミ シ ジ ンAの ロ6.ヘ リッ ク スな どで ある 。近 年 のタ ンパ ク 質 デ ー タ ベ ー ス の 拡 充 に伴 い 、多 くの 周期 性 ポり ベプ チド の存 在 が知 られ てき てい る が、 興味 深 い こ と に こ れ ら の 多 く は、 そ の繰 り返 し配 列 単位 の中 に異 常な ア ミノ 酸を 含ん でい る 。こ こで の 「 異 常 な 」 ア ミ ノ 酸 と は、 プ ロリ ン、 グリ シ ンな ど、 コン ホメ ー ショ ン特 性が 、一 般 的な アミ ノ 酸 の そ れ と は 異 な る も のを 指 す。D‑ア ミノ 酸 や多 くの 非天 然ア ミ ノ酸 もこ の意 味で 異 常な アミ ノ 酸 と み る こ と が で き る 。本 研 究の 興味 の対 象 は、 これ らの 異常 な アミ ノ酸 を含 む周 期 性ポ りペ プ チ ド が 形 成 す る 規 則 構 造で あ る。 これ らの ポ りペ プチ ドが 良く 知 られ たa‑ヘリ ック ス やロ ‐シ ー ト 等 と は 異 な る 規 則 構 造を 形 成す る場 合、 そ の天 然に おけ る機 能 と構 造の 関連 につ い て、 ある い は新規な機能性分子の設計 の可能性としても、非常に興 味深い。

  本 研 究 に お い て 、2っ の タ イ プ の 異 常 な ア ミ ノ 酸 を含 む周 期性 ポ りベ プチ ドに つい て コン ホメ ー シ ョ ン 解 析 を 行 っ た 。1っ はL. お よ びDー ア ミ ノ 酸 か ら な る 非 天 然 の ポ り ベ プチ ド、 もう1つ はRNAポ リ メ ラ ー ゼIIに み ら れ る プ ロ リ ン リ ッ チ な 周 期 性 配 列 で あ る 。 ま た 、 別 の 観 点 か ら 、 前 者 の 研 究 は 人 工 の 機 能 性ポ り ベプ チド の分 子 設計 の試 みで あり 、 後者 は天 然に 存在 す る酵 素の 機 能未知のドメインについて のコンホメーション解析であ る。

  2章 で は 、L‑ア ミ ノ 酸 とD‑アミ ノ酸 か らな るポ りベ プチ ド が形 成す るロ6. ヘリ ック ス の側 鎖原 子 団 の空 間配 置に 着 目し 、7匸 電 子系 原子 団の 黒 鉛型 の積 層構 造形 成 によ る導 電性 ポり ベ プチ ドの 理 論 的設 計の 試み を 行っ た。 分子 力学 計 算に 基づ き、 側鎖 に9.ア ン トリ ル基 を有 する ア ント リル ア ラニン(AntAla)を含む周期 性ポリ(ジベプチド);polyくL‑AntAla‑D‑Ala)、polyくL‑AntAJa‑D‑Nle)、 お よ び ポ リ ( ト り ベ プ チ ド ) ;poly(L‑AntAla‑D‑Ala‑L‑Ala)、poly(L‑Ala‑D‑AntAla‑L‑Ala)、

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poly(L‑Ala‑D‑Ala‑L‑AntAla)につ いて 、構 造 最適 化を 行い 、B6. ヘリ ック スの 安定 性 およ び側 鎖 原 子団 の空 間 配置 を評 価し た 。ま た、 側鎖 を1.ピ レニ ル 基と した 場合 の、 側 鎖原 子団 の大 きさの 違 いに よる ロ6.ヘ リックス の安定性の変化についても 検討した。最後に、ロ6.ヘ リックスの安定化 に 向け たさ ら なる 検討 とし て 、よ り大 きな7・匚電子系 原子団を側鎖に持っオバレ ニルアラニンを含 む ポリ (ト り ベプ チド)に ついてコンホメーション解析 を行った。その結果、これ らのポリ(ジベプ チド)お よびポリ(トりペプチド) において、ロ6.ヘリックス の軸に沿った7匸電子系原子団の積層構 造 が 形 成 さ れ 、 そ れは 側鎖 芳 香環 のサ イズ が 大き いほ ど相 対的 に 安定 化さ れる こと が 示さ れた 。 本 研 究 に よ り 、 周 期 性 ポ り ペ プ チ ドpoly(L‑Xaa‑D‑Yaa)お よ びpoly(L‑Xaa‑D‑Yaa‑L‑Zaa)にお い て 、Xaa、Yaa、Zaaに 適当 なア ミノ 酸 残基 を設 計す るこ と によ り、 ロ6.ヘ リッ クス 軸 に沿 って 側 鎖 芳 香 環 が 黒 鉛 型 の積 層構 造 を有 する 導電 性 ポり ベプ チド の構 築 が、 理論 的に 可能 な こと が示 さ れた。

  3章 で は 、 真 核 生 物 のRNAポ リ メ ラ ー ゼIIの 最 大 サ ブ ュ ニ ッ トC末 端 ド メ イ ン に 見 ら れ る 、 Ser‑Pro‑Thr‑Ser‑Pro‑Ser‑Tyrの7残 基 の ア ミ ノ 酸 の 規 則 的 な 繰 り 返 し 配 列に つい て コン ホメ ー シ ョ ン 解 析 を 行 っ た。 この 繰 り返 し配 列は 、 転写 の際 に重 要な 役 割を 果た して いる ら しい が、 詳 し い 機 能 に つ い て はよ く分 か って いな ぃ。 本 研究 では 合成 モデ ル ポり ベプ チド とし て 、繰 り返 し 単 位で ある ヘ プタ ペプチド くH‑Ser‑Pro‑Thr‑Ser‑Pro‑ Ser ‑ Tyr‑OH)、およぴそれ が規則的に繰り返 したポリ (ヘプタペプチド)くp oly (Ser‑Pro‑Thr‑ Ser‑Pro‑Ser‑Tyr))を用い、円二色性(CD)スベクト ル に よ る コ ン ホ メ ーシ ョン 解 析を 行っ た。 ま た分 子力 学計 算に 基 づく 構造 最適 化を 、 ヘプ タペ プ チ ド (Ac ‑Ser‑Pro ‑Thr‑ Ser‑Pro‑ Ser‑Tyr‑ NHMe)、 お よび ポリ (ヘ プタ ペ プチ ド) に相 当する Ac‑(Ser‑Pro‑Thr‑Ser‑Pro‑Ser‑T・yrl6.NHMeにつ いて 行 った 。CDスペ ク卜 ル によ る解 析の 結果、

ヘ プタ ペプ チ ドは ター ン構 造 を形 成す るこ とが 示 され 、ポ リ( ヘプ タベプチド) ではそのターン構 造 を 含 ん だ ス ー パ ーコ ンホ メ ーシ ョン の形 成 が示 唆さ れた 。計 算 によ る構 造最 適化 の 結果 、ヘ プ タ ペ プ チ ド で は20所 のPr0残 基 の 部 分 で そ れ ぞ れ タ ー ン 構 造 を 形 成 し た コ ン ホ メ ー シ ョ ン が 安 定 であ るこ と が示 され 、ポ リ (ヘ プタ ペプ チド ) では 、そ のタ ーン 構 造を 含む1周 期あ たり14〜23 残 基 の ヘ リ ッ ク ス が安 定な コ ンホ メー ショ ン とな った 。本 研究 で 示さ れた 長周 期の へ りッ クス 構 造 は 、 転 写 過 程 に お け る 、RNAポ リ メ ラ ー ゼIIの 繰 り 返 し 配 列 と 、 転 写 因 子 やDNAと の 相 互 作用を考 える上で、非常に興味深い モデルである。

  以 上 、2つ の タ イ プ の周 期性 ポり ベ プチ ドに おい て、a. ヘリ ッ クス や口 ・シ ート 等 とは 異な る へ り ッ ク ス 構 造 が 安定 であ る こと が示 され た 。他 にも 天然 に数 多 く見 いだ され てい る 周期 性ア ミ ノ 酸 配 列 が 、 新 規 なヘ リッ ク ス構 造を 形成 す ると すれ ば、 その 構 造と 機能 の関 連は 興 味深 い研 究 対 象 で あ る 。 さ ら には 、そ れ らの 生命 にお け る起 源お よび 進化 の 観点 から も、 その 機 能の 重要 性 は 大 変 興 味 深 い 。 また 、環 境 や人 間に やさ し い人 工機 能性 ポり ベ プチ ド分 子の 設計 と ぃう 目的 に お い て も 、 既 存 の タ ン パ ク 質 の 構 造 に と ら わ れな ぃ、 周 期性 ポり ベプ チ ドが 形成 し得 る新 規 な2 次構造に ついての、さらなる研究が 望まれる。

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学 位 論 文 審 査 の要 旨

主査    教授    西   則雄 副査    教授    坂入信夫 副査    助教授    野水基義

副査    助教授    岡    勝仁(大阪府立大学先端科学研究所)

     学位論文題名

Studies of Helical ConfOrmationSFOrmed     byPeriodiCPOlypeptideS

     (周期性ポりベプチドによって形成される      ,ヘリックスコンホメーションの研究)

   夕ンパク質は、地球環境の生命圏を形成する最も重要な物質の 1 つであり、生命の進 化の過程のなかで生まれた天然の機能素子である。個々のタンパク質は、そのアミノ酸配 列に基づいて、機能を発現するのに必要な高次構造を形成する。多くの球状夕ンパク質で は、 a‑ ヘリックスや口一シートが主要な規則構造と知られている。一方で、周期性ポリベ プチド、すなわち特定のアミノ酸配列が規則的に繰り返したポリペプチドでは、これらと は異なるコンホメーションを形成することがある。近年のタンパク質デ一夕ベースの拡充 に伴い、多くの周期性ポリベプチドの存在が知られてきているが、興味深いことにこれら の多くは、その繰り返し配列単位の中に異常なアミノ酸を含んでいる。ここでの「異常な」

アミノ酸とは、プ口リン、グリシンなど、コンホメーション特性が、一般的なアミノ酸の それとは異なるものを指す。 D‑ アミノ酸や多くの非天然アミノ酸もこの意味で異常なア ミノ酸とみることができる。本研究の興味の対象は、これらの異常なアミノ酸を含む周期 性ポルペプチドが形成する規則構造である。

     本研究において、2 つのタイプの異常なアミノ酸を含む周期性ポリベプチドについ てコンホメーション解析を行った。1 っはしおよび D‑ アミノ酸からなる非天然のポリペ プチド、もう 1 っは RNA ポルメラーゼII にみられるプロリンリッチな周期性配列である。

また、別の観点から、前者の研究は人工の機☆亀性ポリペプチドの分子設計の試みであり、

後者は天然に存在する酵素の機能未知のドヌインについてのコンホヌーション解析である。

  2 章では、L −アミノ酸とD 一アミノ酸からなるポリペプチドが形成するロ6 一ヘリックス

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の側鎖原子団の空間配置に着目し、兀電子系原子団の黒鉛型の積層構造形成による導電性 ポリペプチドの理論的設計の試みを行った。分子力学計算に基づき、アン卜リルアラニン を含む周期性ポリペプチドについて、構造最適化を行い、ロ6 ヘリックスの安定性および 側鎖原子団の空間配置を評価した。また、側鎖を1 ―ピレニル基とした場合の、側鎖原子 団の大きさの違いによるロ 6 一ヘリックスの安定性の変化についても検討した。最後に、よ り大きな7 電子系原子団を側鎖に持っオパレニルアラニンを含む周期性ポリペプチドにっ いてコンホメーション解析を行った。その結果、これらの周期性ポリペプチドにおいて、

ロ 6 ・ヘリックスの軸に沿った死電子系原子団の積層構造が形成され、それは側鎖芳香環の サイズが大きいほど相対的に安定化されることが示された。本研究により、ロ6 ―ヘリック ス軸に沿って側鎖芳香環が黒鉛型の積層構造を有する導電性ポリペプチドの構築が、理論 的に可能なことが示された。

  3 章 では、真核 生物の RNA ポ リメラー ゼ II の最大サプュニットC 末端ドメインに見ら れる、Ser‑Pro ・Thr‑Ser‑Pro‑Ser‑Tyr の7 残基のアミノ酸の規則的な繰り返し配列にっいて コンホメーション解析を行った。この繰り返し配列は、転写の際に重要な役割を果たして いるらしいが、詳しい機能についてはよく分かっていない。本研究では合成モデルポリベ プチドとして、繰り返し単位であるへプタペプチド、およびそれが規則的に繰り返したポ リ(ヘプタペプチド)を用い、円二色性(CD) スペクトルによるコンホメーション解析と分子 力学計算に基づく構造最適化を行った。 CD スペクトルによる解析の結果、ヘプタペプチ ドはターン構造を形成することが示され、ポリ(ヘプタペプチド)ではそのターン構造を含 んだスーパーコンホメーションの形成が示唆された。計算による構造最適化の結果、ヘプ タベプチドでは2 ケ所の Pro 残基の部分でそれぞれターン構造を形成したコンホメーショ ンが安定であることが示され、ポリ(ヘプタペプチド)では、そのターン構造を含む1 周期 あたり14 〜 23 残基のヘリックスが安定なニユンホメーションとなった。本研究で示された 長周期のへりックス構造は、転写過程における、RNA ポリメラーゼII の繰り返し配列と、

転 写 因 子 や DNA と の 相 互 作 用 を 考 え る 上 で 、 非 常 に 興 味 深 い モ デ ル で あ る 。      以上、2 つのタイプの周期性ポリベプチドにおいて、a ―ヘリックスや口一シート等と は異なるヘリックス構造が安定であることが示された。他にも天然に数多く見いだされて いる周期性アミノ酸配列が、新規なへりックス構造を形成するとすれば、その構造と機能 の関連は興味深い研究対象である。このように著者は、環境や人間にやさしい人工機能性 ポリペプチド分子の設計において興味深い新知見を得た。よって著者は博士(地球環境科 学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

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参照

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