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教化研究 No.23

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Academic year: 2021

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2012年(平成24年) No.

23

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JOURNAL OF JODO SHU EDIFICATION STUDIES 教化研究

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  ● 目   次 研究成果報告 生 殖 補 助 医 療 の 進 展 と そ の 倫 理 的 問 題 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 生 命 倫 理 の 諸 問 題 研 究   6 聴 衆 の 目 か ら 見 た 法 話 の 現 状 と 課 題   ─ 「 各 宗 派 法 話 会 に お け る ア ン ケ ー ト 」 調 査 よ り ─ … …… … … … 現 代 布 教 研 究   51 平成 23年度   研究活動報告 総 合 研 究   総 合 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 開 教 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 120 総 合 研 究   総 合 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 仏 教 福 祉 の 総 合 的 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 123 総 合 研 究   総 合 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 生 命 倫 理 の 諸 問 題 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 126 総 合 研 究   総 合 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 現 代 葬 祭 仏 教 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 133 総 合 研 究   総 合 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 国 際 対 応 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 137 総 合 研 究   総 合 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 浄 土 宗 近 現 代 史 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 143 総 合 研 究   総 合 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 往 生 と 死 へ の 準 備 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 148 総 合 研 究   総 合 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 研 究 課 題 と 組 織 体 制 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 153 基 礎 研 究   教 学 的 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 浄 土 学 研 究 の 基 礎 的 整 理 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 158 基 礎 研 究   教 学 的 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 近 世 浄 土 宗 学 の 基 礎 的 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 160 基 礎 研 究   法 式 的 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 伝 承 儀 礼 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 162 基 礎 研 究   布 教 的 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 現 代 布 教 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 170 基 礎 研 究   基 礎 共 通 プ ロ ジ ェ ク ト 浄 土 宗 基 本 典 籍 の 電 子 テ キ ス ト 化 … … … … … … … … … … … … … … … … … … 174 特 別 業 務   特 別 プ ロ ジ ェ ク ト 災 害 対 応 の 総 合 的 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 177

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特 別 業 務   大 遠 忌 関 連 プ ロ ジ ェ ク ト 浄 土 宗 大 辞 典 研 究 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 182 特 別 業 務   大 遠 忌 関 連 プ ロ ジ ェ ク ト 浄 土 宗 基 本 典 籍 の 現 代 語 化 研 究   『 四 十 八 巻 伝 』 … … … … … … … … … … … … 187 研究ノート 過 疎 地 域 に お け る 寺 院 活 動 の 現 状 と 課 題 ④ ─ 石 見 教 区 と 南 海 教 区 高 知 組 の 場 合 ─   … …… … … … … … … … … … 開 教 研 究 … …   192 『 無 量 寿 経 随 聞 講 録 』 巻 上 之 三   書 き 下 し … …… … … … … … … … … … … … … … … 近 世 浄 土 宗 学 の 基 礎 的 研 究 … …   268 近 年 に お け る 浄 土 学 研 究 の 状 況 ─ 法 然 以 降 の 祖 師 の 研 究 状 況 ─ … …… … … … … … … … … 浄 土 学 研 究 の 基 礎 的 整 理 研 究 … …   332 平 成 23年 度   浄 土 宗 総 合 研 究 所 活 動 一 覧 … …… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …   * 12 平 成 23年 度   研 究 課 題 別 ス タ ッ フ 一 覧 … …… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …   * 7 平 成 23年 度   研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 一 覧 … …… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …   * 6 総 合 研 究 所 運 営 委 員 会 名 簿 … …… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …   * 5 浄 土 宗 総 合 研 究 所 研 究 員 一 覧 … …… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …   * 4 編 集 後 記 … …… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …   * 3

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生殖補助医療の進展とその倫理的問題

研究成果報告(生命倫理の諸問題研究) 一   は じ め に 二   生 殖 補 助 医 療 の 技 術 的 進 展 ( 今 岡 達 雄 ) 三   代 理 母 出 産 ( 代 理 懐 胎 ) の 諸 問 題 ( 坂 上 雅 翁 ) 四   「 出 自 を 知 る 権 利 」 を め ぐ る 生 命 倫 理 的 課 題  ( 水 谷 浩 志 ) 五   出 生 前 ・ 着 床 前 診 断 と そ の 問 題 点 ( 吉 田 淳 雄 ) 六   お わ り に ( 吉 田 淳 雄 ) 一   は じ め に   「 生 殖 補 助 医 療 」 と は 、 受 精 や 着 床 、 妊 娠 な ど 出 産 に 至 る プ ロ セ ス に 関 与 し 、 そ れ ら を 補 助 し た り 代 替 し た り す る さ ま ざ ま な 医 療 、 技 術 の こ と を い い ま す 。 以 前 は 「 不 妊 治 療 」 と 呼 ば れ て い ま し た が 、 最 近 は 「 生 殖 補 助 医 療 」 と 呼 ば れ る よ う に な っ て き ま し た 。   生 殖 補 助 医 療 は 、 近 年 、 急 速 に 進 展 し て い ま す 。 最 近 は 初 婚 ・ 初 産 年 齢 の 高 齢 化 や 少 子 化 が 指 摘 さ れ 、 少 子 高 齢 化 対 策 が 重 要 な 政 策 課 題 と な っ て き ま し た 。 昔 か ら 不 妊 に 悩 む カ ッ プ ル は 数 多 く い ま し た が 、 そ う し た 世 情 を 背 景 に 、 体 外 受 精 を は じ め と し た「 不 妊 治 療 」 は 着 実 に 一 般 化 し つ つ あ る と い え ま す 。 一 説 に よ れ ば 、 現 在 一 年 間 に 出 生 す る 子 ど も の 実 に 一 〇 人 に 一 人 が 、 体 外 受 精 に よ っ て 妊 娠 ・ 出 産 に 至 っ て い る そ う で す 。   し か し 、 生 殖 補 助 医 療 技 術 の 進 展 は 、 そ れ に 伴 う 新

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た な 倫 理 的 ・ 社 会 的 問 題 を 惹 起 し つ つ あ り ま す 。 一 例 を あ げ れ ば 、 体 外 受 精 技 術 の 確 立 に 伴 い 、 そ れ ま で は 不 離 不 可 分 の 関 係 に あ っ た 卵 子 と 子 宮 の 関 係 が 分 離 可 能 と な っ て 、 他 人 か ら 卵 子 提 供 を 受 け て 自 ら の 子 宮 に 着 床 ・ 妊 娠 す る ケ ー ス ( 卵 子 提 供 ) や 、 自 分 あ る い は 第 三 者 の 卵 子 に よ る 受 精 卵 を 他 人 の 子 宮 に 着 床 ・ 妊 娠 さ せ る と い う 代 理 懐 胎 ( 代 理 母 ) が 実 現 し ま し た 。 こ う し た 新 し い 技 術 の 開 発 は 、 こ れ ま で 子 供 を 持 つ こ と を 諦 め て い た カ ッ プ ル へ の 福 音 と な る 一 方 、 人 類 が こ れ ま で 当 然 の 前 提 と し 、 最 も 基 本 的 な 社 会 関 係 と み な し て き た 親 子 ( 母 子 ) 関 係 を 根 底 か ら 覆 す よ う な 、 巨 大 な 問 題 を 投 げ か け る こ と に な っ た の で す 。   本 研 究 は 、 生 殖 補 助 医 療 に 関 す る 浄 土 宗 教 団 の 見 解 ・ 対 応 の 方 向 性 を 検 討 す る 基 礎 作 業 と し て 、 と く に 生 殖 補 助 医 療 の 進 展 に 関 す る 現 状 把 握 と 倫 理 的 問 題 点 の 抽 出 、 お よ び 浄 土 宗 教 師 と し て の 対 応 に つ い て 検 討 し ま し た 。 生 殖 補 助 医 療 と 一 口 に 言 っ て も そ の 技 術 は 多 様 で あ り 、 倫 理 的 な 問 題 も 多 方 面 に 及 ん で い ま す 。 こ の た め 下 記 の よ う に 取 り 扱 う 領 域 を 絞 り 、 担 当 者 を 決 め て 調 査 研 究 を 行 い 、 研 究 会 で の 討 議 を 経 て そ れ ぞ れ 報 告 書 を ま と め ま し た 。 ①   生 殖 補 助 医 療 全 般 、 技 術 動 向 : 今 岡 達 雄 ②   代 理 母 ( 代 理 懐 胎 ): 坂 上 雅 翁 ③   出 自 を 知 る 権 利 : 水 谷 浩 志 ④   出 生 前 ・ 着 床 前 診 断 : 吉 田 淳 雄   稿 末 の 「 お わ り に 」 は 、 生 殖 補 助 医 療 に 関 し て 教 化 の 現 場 で ど の よ う に 対 応 す べ き か 、 現 時 点 で の 検 討 成 果 を 再 度 ま と め 直 し た も の で す 。 二   生 殖 補 助 医 療 の 技 術 的 進 展   生 殖 と は 、 各 種 の 辞 典 類 を 総 合 す る と 「 ① う み ふ や す こ と 。 ② 生 物 が 自 己 と 同 じ 種 類 の 新 し い 個 体 を つ く る 現 象 。 有 性 生 殖 と 無 性 生 殖 と が あ る 。」 と な っ て い ま す 。 ヒ ト は 有 性 生 殖 で あ り 、 生 殖 に 関 連 す る 機 序 は 極 め て 複 雑 で 、 人 類 の 歴 史 に お い て 今 日 に 至 る ま で 人 為 的 な 関 与 は ほ と ん ど 行 わ れ て き ま せ ん で し た 。 大

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き な 変 化 が も た ら さ れ た の は 1 9 7 8 年 で 、 体 外 授 精 技 術 が 確 立 さ れ 世 界 初 の 体 外 受 精 児 が 誕 生 し た 年 で す 。 ロ バ ー ト ・ G ・ エ ド ワ ー ド は こ の 功 績 に よ っ て 2 0 1 0 年 ノ ー ベ ル 生 理 学 ・ 医 学 賞 を 受 賞 し ま し た 。 こ れ 以 前 に も 不 妊 治 療 の 方 法 と し て 、 排 卵 日 を 予 測 し た タ イ ミ ン グ 法 や 人 工 授 精 法 が 行 わ れ て い ま し た が 、 こ れ ら は 卵 成 熟 、 排 卵 や 受 精 な ど の 受 精 プ ロ セ ス が 母 体 内 で 行 わ れ て お り 、 人 為 的 な 関 与 は 自 然 の 手 助 け を す る 範 囲 に 留 ま っ て い ま し た 。 体 外 受 精 法 は 、 卵 管 閉 塞 症 の よ う な 卵 巣 や 子 宮 の 機 能 は 正 常 で あ る が 卵 管 が 閉 塞 し て い る た め 起 き て い る 不 妊 症 の 解 決 の た め に 適 用 さ れ た 方 法 で し た が 、 そ れ ま で 神 秘 と さ れ て き た 生 殖 を 、 観 察 と 関 与 が 可 能 な 現 象 と し て 科 学 技 術 の 対 象 と し た 点 で 極 め て 大 き な 影 響 を 与 え ま し た 。   生 殖 補 助 医 療 の 技 術 的 進 展 、 生 殖 補 助 医 療 の 安 全 性 や 成 功 率 な ど 技 術 的 ・ 医 療 的 な 事 柄 は 専 門 外 の こ と な の で 専 門 書 ( 注 1 )( 注 2 ) を 参 照 し て い た だ き 、 こ こ で は 倫 理 的 問 題 を 検 討 す る 際 に 対 象 と な る 生 殖 補 助 医 療 の 技 術 に つ い て 概 説 し ま す 。 1   生 殖 補 助 技 術 と そ の 応 用   生 殖 補 助 医 療 は 英 語 で は Assisted Reproductive  Technology 、 A R T と 呼 ば れ て い る よ う に 、 医 療 と い う よ り は 生 殖 補 助 を 行 う 様 々 な 技 術 と そ の 応 用 を 総 称 し た 言 葉 で す 。 し か し 、 わ が 国 で は 医 療 と 技 術 の 言 葉 の 使 い 分 け が 曖 昧 で 、 関 連 す る も の を も 含 め て 医 療 と い う 言 葉 が 使 わ れ て い ま す 。 し か し 本 来 は 、 ① 生 殖 補 助 技 術 、 ② 生 殖 補 助 技 術 の 医 療 的 応 用 、 ③ 生 殖 補 助 技 術 の そ の 他 の 応 用 、 な ど を 分 け て 考 え る べ き で し ょ う 。 ① 生 殖 補 助 技 術   生 殖 補 助 技 術 と は 、 生 殖 プ ロ セ ス に 人 為 的 に 介 入 す る 技 術 で あ り 、 次 の よ う な も の が あ り ま す 。 こ れ ら の 技 術 は 生 殖 補 助 医 療 を 実 施 す る 目 標 を 持 っ て 技 術 開 発 が 行 わ れ た も の で 、 新 薬 の 開 発 と 同 様 に 、 多 く の 技 術 は ヒ ト へ の 適 用 に 先 だ っ て 、 動 物 に よ る 実 験 や 家 畜

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で の 応 用 を 経 て 、 生 殖 補 助 医 療 に 適 用 さ れ て き ま し た 。 各 技 術 の 詳 細 に つ い て は 、 多 く の 説 明 を 必 要 と す る の で 専 門 書 に 譲 り 、 こ こ で は 主 要 技 術 の 概 説 の み を 示 し ま し た 。 * 人 工 授 精 技 術   人 工 授 精 技 術 は 、 精 子 の 運 動 能 力 や 精 子 数 に 問 題 が あ る 場 合 、 性 交 障 害 が あ る 場 合 や 女 性 生 殖 器 で の 精 子 の 通 過 性 に 問 題 が あ る 場 合 な ど に 、 精 子 を 子 宮 あ る い は 卵 管 内 に 注 入 す る 技 術 で す 。 現 状 で は 精 子 の 活 性 度 に よ る 選 別 や 精 液 中 の ウ ィ ル ス の 除 去 が 同 時 に 行 わ れ ま す 。 精 子 提 供 者 に よ っ て 配 偶 者 間 人 工 授 精( A I H : Artificial Insemination by Husband ) と 非 配 偶 者 間 人 工 授 精 ( A I D : Artificial Insemination by Donor ) に 区 別 さ れ ま す 。 * 体 外 受 精 技 術   ヒ ト の 受 精 は 、 卵 巣 か ら 排 卵 さ れ た 成 熟 卵 と 射 精 に よ っ て 卵 管 ま で 到 達 し た 精 子 に よ っ て 行 わ れ ま す 。 卵 管 に 閉 塞 や 狭 窄 が あ る 場 合 に は 受 精 が 困 難 で す 。 こ の た め 成 熟 卵 と 精 子 を シ ャ ー レ な ど の 体 外 で 受 精 さ せ 、 受 精 卵 を 子 宮 あ る い は 卵 管 に 戻 し て 着 床 さ せ る 技 術 が 体 外 受 精 ( In Vitro Fertilization ) 技 術 で す 。 成 熟 卵 を 得 る た め に は 排 卵 誘 発 技 術 を 用 い る こ と が 多 く 、 精 子 の 活 性 が 低 い 場 合 に は 顕 微 授 精 技 術 が 用 い ら れ ま す 。 * 排 卵 誘 発 技 術   排 卵 誘 発 技 術 は 卵 子 の 成 熟 や 排 卵 過 程 を 司 る h M G 、 F S H な ど の ゴ ナ ド ト ロ ピ ン ( 生 殖 腺 刺 激 ホ ル モ ン ) を 投 与 し 、 腹 部 に 穿 孔 し て 針 を 挿 入 し 、 成 熟 卵 の 採 取 す る 技 術 で す 。 ゴ ナ ド ト ロ ピ ン 投 与 は 副 作 用 も 多 く 母 体 に 長 期 間 大 き な 負 担 を か け る の が 現 状 で す 。 * 顕 微 授 精 技 術   元 来 、 活 性 が 低 い 精 子 で も 効 果 的 に 受 精 さ せ る た め の 技 術 と し て 開 発 さ れ た も の で 、 体 外 受 精 技 術 の 一 種 で す 。 卵 子 の 周 り に あ る 顆 粒 膜 細 胞 を 除 去 し 、 ガ ラ ス 細 管 を 使 っ て 精 子 を 卵 子 内 に 注 入 し ま す 。 こ の 技 術 に よ っ て 健 全 な 精 子 が 一 つ あ れ ば 受 精 卵 を 作 成 で き る 確 率 が 高 く な り ま し た 。 受 精 卵 は 4細 胞 期 か ら 胚 盤 胞 期

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ま で 培 養 さ れ 、 子 宮 内 に 戻 さ れ 着 床 に 導 か れ ま す 。 着 床 前 診 断 を 行 っ た 後 に 戻 さ れ る 場 合 が 多 く な っ て い ま す 。 * 受 精 卵 着 床 前 診 断 技 術   受 精 卵 着 床 前 診 断 技 術 は 体 外 受 精 あ る い は 顕 微 授 精 を 行 っ た 後 、 受 精 卵 が 8~ 16分 割 し た 頃 に 1~ 2割 球 を 取 り 出 し て 検 査 し 胚 ( 受 精 卵 ) 状 況 を 把 握 す る 検 査 技 術 で す 。 染 色 体 数 や 遺 伝 子 欠 陥 な ど を 検 査 す る こ と が 可 能 で す 。 細 胞 分 裂 中 の 1~ 2割 球 を 取 り 出 し て し ま っ て も 、 受 精 卵 は 通 常 同 様 に 細 胞 分 裂 を 続 け 胚 盤 胞 に 至 り ま す 。 * 生 殖 細 胞 の 冷 凍 保 存 技 術   生 殖 細 胞 ( 精 子 ・ 胚 ・ 卵 子 ・ 卵 巣 組 織 ) の 冷 凍 保 存 技 術 は 精 子 ・ 胚 ( 受 精 卵 )・ 卵 子 ・ 卵 巣 組 織 を 液 体 窒 素 で 冷 凍 保 存 す る 技 術 で す 。 凍 結 精 子 に よ る 人 工 授 精 は 既 に 50年 以 上 の 歴 史 を 持 っ た 技 術 で 、 液 体 窒 素 中 で 保 存 さ れ た 精 子 は 時 間 的 制 限 な し に 使 用 可 能 で す 。 ま た 、 体 外 受 精 で 作 成 さ れ た 受 精 卵 の う ち 胎 内 に 戻 さ れ な か っ た 余 剰 胚 も 冷 凍 保 存 す る こ と が 可 能 で す 。 一 方 、 卵 子 は 水 分 量 が 多 く 冷 凍 保 存 に 関 し て は 未 だ 困 難 な 点 が 多 い の で す が ガ ラ ス 化 法 な ど の 開 発 が 行 わ れ て い ま す 。 ま た 、 卵 巣 が ん な ど の 治 療 に 当 た っ て 卵 巣 組 織 を 摘 出 し て 凍 結 保 存 し 、 治 療 後 に 組 織 移 植 し て 卵 子 を 得 る こ と が 可 能 に な っ て い ま す 。 * 核 移 植 技 術   核 移 植 技 術 と は 体 細 胞 核 を 除 去 し た 卵 子 に 、 他 の 個 体 の 細 胞 核 を 移 植 す る こ と に よ っ て ク ロ ー ン 胚 を 得 る 技 術 で す 。 体 細 胞 ク ロ ー ン は 既 に 様 々 な 動 物 で 実 証 さ れ て い ま す 。 ヒ ト ク ロ ー ン に つ い て は 『 ヒ ト に 関 す る ク ロ ー ン 技 術 等 の 規 制 に 関 す る 法 律 ( 平 成 12年 12月 6 日 法 律 第 1 4 6 号 )』 に よ っ て 作 成 が 法 的 に 規 制 さ れ て い ま す 。 * i P S 細 胞 か ら の 配 偶 子 作 製 技 術   i P S 細 胞 か ら の 配 偶 子 作 製 技 術 と は 人 工 多 能 性 幹 細 胞 ( i P S 細 胞 ) を 適 切 な 培 養 条 件 の 下 で 精 子 や 卵 子 に 培 養 す る 技 術 で す 。 男 性 の 体 細 胞 か ら 卵 子 を 作 成 、

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女 性 の 体 細 胞 か ら 精 子 を 作 成 な ど が 可 能 に な る と 言 わ れ て い ま す 。 i P S 細 胞 か ら の 生 殖 細 胞 の 作 成 は 、 文 部 科 学 省 告 示 第 88号 『 ヒ ト i P S 細 胞 又 は ヒ ト 組 織 幹 細 胞 か ら の 生 殖 細 胞 の 作 成 を 行 う 研 究 に 関 す る 指 針 』 に よ っ て 行 わ れ る こ と に な っ て い ま す 。 ② 生 殖 殖 補 助 技 術 の 医 療 的 応 用   生 殖 補 助 医 療 は 望 ん で も 妊 娠 が で き な い 不 妊 症 、 妊 娠 す る が 流 産 や 死 産 を 繰 り 返 し 出 産 に ま で い た ら な い 不 育 症 の 治 療 を 目 的 と し た 医 療 で す 。 不 妊 症 や 不 育 症 に は 様 々 な 原 因 が 考 え ら れ 、 原 因 を 探 り な が ら 様 々 な 治 療 が 行 わ れ て い ま す 。 人 工 授 精 は 乏 精 子 症 、 精 子 無 力 症 、 性 交 障 害 な ど 男 性 因 子 に よ る 不 妊 、 精 子 の 通 過 性 に 問 題 が あ る な ど の 女 性 因 子 に よ る 不 妊 に 適 用 さ れ る も の で 、 精 子 を 卵 管 や 子 宮 内 に 人 工 的 に 導 入 す る 治 療 で す 。 人 工 授 精 は 1 7 9 9 年 に イ ギ リ ス で 成 功 し て か ら 約 2 0 0 年 の 歴 史 が あ り ま す 。 人 工 授 精 に よ る 妊 娠 成 功 率 は 比 較 的 低 率 で あ り 、 成 功 率 向 上 の た め に 排 卵 誘 発 技 術 や 体 外 受 精 技 術 を 応 用 し た 医 療 と し て の 体 外 受 精 が 行 わ れ る よ う に な り ま し た 。 ま た 、 病 気 治 療 の た め に 子 宮 摘 出 を 受 け 子 宮 が な い 場 合 、 あ る い は 先 天 的 に 子 宮 が 機 能 し て い な い こ と に よ る 不 妊 の 治 療 を 目 的 と し て 代 理 母 に よ る 出 産 が 行 わ れ る よ う に な り ま し た 。 代 理 母 に よ る 出 産 が 不 妊 症 や 不 育 症 の 治 療 に 当 た る か 否 か は 微 妙 な 問 題 で す 。 ま た 、 不 育 症 は 習 慣 流 産 を 繰 り 返 し ま す が 、 習 慣 流 産 を 予 防 す る た め に 受 精 卵 の 着 床 前 診 断 技 術 が 医 療 と し て 用 い ら れ て い ま す 。   血 友 病 や デ ュ シ ェ ン ヌ 型 筋 ジ ス ト ロ フ ィ ー な ど の 伴 性 劣 性 遺 伝 性 疾 患 は 男 性 に し か 発 現 し な い も の で あ り 、 こ の 遺 伝 子 異 常 を 持 っ て い る 場 合 、 疾 患 発 現 予 防 を 目 的 と し て 男 女 の 産 み 分 け が 行 わ れ る こ と が あ り ま す 。 そ の 方 法 と し て 受 精 卵 の 着 床 前 診 断 が 有 効 で 、 伴 性 劣 性 遺 伝 性 疾 患 の 予 防 医 療 と し て 生 殖 補 助 技 術 を 応 用 し た も の で す 。   骨 髄 性 白 血 病 の 治 療 を す る た め に は 免 疫 型 が 一 致 す る 造 血 幹 細 胞 の 移 植 が 有 効 で す 。 こ の 免 疫 型 が 一 致

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し た 造 血 幹 細 胞 を 得 る 目 的 で 、 免 疫 型 が 一 致 し た 子 供 を 体 外 受 精 技 術 と 受 精 卵 着 床 前 診 断 を 行 っ て 体 外 受 精 児 を 生 む 方 法 が 考 え ら れ ま す 。 造 血 幹 細 胞 提 供 者 ( ド ナ ー ) を 得 る た め の 出 産 で あ り 、 生 ま れ て き た 子 供 は ド ナ ー ベ イ ビ ー と 呼 ば れ ま す 。 こ れ は 幹 細 胞 を 用 い た 再 生 医 療 へ の 生 殖 補 助 技 術 の 応 用 で も あ り ま す 。 ③ そ の 他 の 応 用   生 殖 補 助 技 術 は 、 当 初 の 目 標 で あ っ た 不 妊 症 や 不 育 症 の 治 療 と い う 医 療 ば か り で な く 、 同 じ 技 術 が 医 療 目 的 以 外 に も 使 わ れ る 可 能 性 が あ り ま す 。 た と え ば 受 精 卵 の 着 床 前 診 断 技 術 は 遺 伝 子 疾 患 の 予 防 に つ い て は 医 療 目 的 と 考 え ら れ ま す が 、 第 一 子 は 女 子 が よ い と か 、 女 子 ば か り が 続 い た の で 男 子 が 欲 し い 、 跡 継 ぎ の た め に 男 子 が 欲 し い な ど の 目 的 の た め の 男 女 産 み 分 け は 治 療 と は 思 え ま せ ん 。 ま た 、 子 宮 の 機 能 不 全 の た め に 代 理 母 出 産 を 行 う の と 同 様 の 技 術 を 応 用 し て 、 配 偶 者 以 外 の 子 供 を 出 産 す る こ と は 治 療 と は い え な い で し ょ う 。 精 子 に 問 題 が あ る 夫 婦 間 に 対 し て 、 夫 以 外 第 三 者 の 凍 結 保 存 精 子 を 導 入 し た り 、 卵 子 に 問 題 が あ る 夫 婦 間 に 対 し て 妻 以 外 第 三 者 の 卵 子 を 導 入 し た り 、 子 宮 は 機 能 し て い る が 精 子 や 卵 子 に 問 題 を 持 つ 夫 婦 間 に 提 供 者 の 凍 結 保 存 卵 子 を 導 入 す る こ と は 医 療 行 為 と い え る か も し れ ま せ ん が 、 夫 婦 や 事 実 婚 以 外 の 男 女 間 、 同 性 婚 あ る い は 単 身 者 が 生 殖 補 助 技 術 を 用 い て 子 供 を 得 る こ と は 治 療 と は 思 え ま せ ん 。 生 殖 補 助 技 術 は 、 自 分 と 全 く 同 一 の 遺 伝 子 を 持 っ た ク ロ ー ン ベ イ ビ ー 、 自 分 の 価 値 観 に し た が っ て 遺 伝 子 を 選 択 し た デ ザ イ ナ ー ベ イ ビ ー な ど 治 療 を 超 え た 、 個 人 的 な 願 望 の 実 現 を 目 的 と し て 応 用 さ れ る 可 能 性 の あ る 技 術 で す 。 2   生 殖 補 助 技 術 の 問 題 点   生 殖 補 助 医 療 が 問 題 を 引 き 起 こ す 原 因 は 、 ① 医 療 の 対 象 と す る 行 為 が 生 殖 プ ロ セ ス で あ る こ と 、 ② 従 来 の 生 殖 プ ロ セ ス に お け る 時 間 的 、 空 間 的 制 約 を 大 幅 に 変 え る 技 術 革 新 で あ る こ と 、 ③ 技 術 の 適 用 範 囲 に つ い て

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の 境 界 が 曖 昧 で あ る こ と 、 ④ 治 療 が 漸 進 的 に 高 度 化 し 治 療 へ の 依 存 性 の 高 い 治 療 法 で あ る こ と な ど に あ り ま す 。   第 一 の 原 因 は こ の 医 療 が 生 殖 プ ロ セ ス へ の 人 為 的 関 与 に よ っ て 行 わ れ る と こ ろ に あ り ま す 。 す な わ ち 生 殖 ホ ル モ ン 、 排 卵 プ ロ セ ス 、 受 精 プ ロ セ ス な ど に 生 殖 補 助 技 術 に よ っ て 人 為 的 に 関 与 す る こ と に な り ま す 。 こ れ は 命 の 誕 生 過 程 へ の 人 為 的 な 操 作 で す 。 技 術 の 出 現 以 前 は 、 子 供 の 誕 生 は 「 自 然 の お こ な い 」 と し て 受 け 入 れ ら れ て い ま し た 。 そ こ に 「 人 為 的 な 操 作 」 を 導 入 す る こ と 自 体 が 問 題 で あ り 、 ど の 程 度 ま で な ら 許 さ れ る の か と い う 許 容 範 囲 を 決 め る こ と が 必 要 で す 。 こ れ は 社 会 的 コ ン セ ン サ ス の 問 題 で す が 、 実 際 に は 社 会 的 コ ン セ ン サ ス を 得 る 前 に 技 術 の 応 用 が 進 み 、 数 々 の 問 題 が 発 生 し て い る の が 現 状 で す 。   第 二 の 原 因 は 、 生 殖 補 助 技 術 の 特 性 と し て の 空 間 的 ・ 時 間 的 自 由 度 の 拡 大 に あ り ま す 。 技 術 の 出 現 以 前 に は 全 生 殖 プ ロ セ ス は 一 人 の 女 性 体 内 と い う 固 有 空 間 で 、 排 卵 ・ 受 精 ・ 妊 娠 ・ 出 産 と い う 時 間 秩 序 で 行 わ れ て い ま し た 。 そ こ に 導 入 さ れ た 排 卵 誘 発 技 術 や 体 外 受 精 技 術 は 、 組 み 合 わ せ る べ き 精 子 と 卵 子 の 選 択 、 受 精 の 場 所 、 妊 娠 ・ 出 産 す る 母 体 の 選 択 な ど 空 間 的 な 自 由 度 の 拡 大 を も た ら し ま し た 。 ま た 、 精 子 、 卵 子 、 受 精 卵 あ る い は 卵 巣 組 織 の 凍 結 保 存 技 術 は 時 間 秩 序 の も と に 進 行 し て い た 生 殖 プ ロ セ ス を 時 間 的 秩 序 と い う 制 約 か ら 解 き 放 っ た の で す 。 死 後 に 子 供 を つ く る こ と さ え も 可 能 に な り ま し た 。 こ の よ う な 空 間 的 ・ 時 間 的 自 由 度 の 増 大 は 様 々 な 問 題 を 発 生 さ せ る 原 因 で あ る と 考 え ら れ ま す 。   例 え ば 代 理 懐 胎 や 死 後 生 殖 は 、 従 来 の 社 会 で は 想 定 さ れ て い な か っ た 様 々 な 問 題 を 引 き 起 こ し ま す 。 例 え ば 社 会 的 問 題 と し て 家 族 関 係 の 複 雑 化 が あ り ま す 。 体 外 受 精 と 代 理 懐 胎 は 遺 伝 上 の 父 母 、 出 産 の 母 、 育 て の 父 母 と い う 重 層 的 な 家 族 関 係 を 生 み 出 し ま す 。 ま た 、 提 供 者 に よ る 精 子 や 卵 子 を 使 用 し た 場 合 に は 生 ま れ て き た 子 供 の 側 の 出 自 を 知 る 権 利 を 認 め る か ど う か と い

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う 問 題 が 発 生 し ま す 。 法 律 的 問 題 に は 嫡 出 子 の 問 題 が あ り ま す 。 現 在 の 法 律 は 出 産 し た 母 を 法 律 上 の 母 と し て い ま す 。 代 理 母 に よ る 出 産 で 生 ま れ た 子 供 は 、 遺 伝 的 に 依 頼 者 夫 婦 の 子 供 で あ っ て も 、 産 ん だ 母 が 法 律 上 の 母 で す 。 凍 結 精 子 に よ る 3 0 1 日 以 降 の 死 後 出 産 児 に は 法 律 上 の 母 は 存 在 す る が 父 が 死 亡 し て い る た め 非 嫡 出 子 と し て 扱 わ れ ま す 。 財 産 分 与 の 権 利 関 係 も 複 雑 に な り ま す 。 経 済 的 問 題 と し て は 空 間 的 ・ 時 間 的 制 約 を 乗 り 越 え る た め に は 高 額 な 経 済 的 代 償 が 必 要 に な る と い う 問 題 が あ り ま す 。   第 三 の 問 題 発 生 の 原 因 は 、 技 術 の 適 用 範 囲 の 制 限 に 規 範 が 無 い と い う こ と で す 。 例 え ば 子 供 を 持 つ 権 利 は 基 本 的 人 権 に 属 す る と い う 考 え が あ り ま す 。 婚 姻 関 係 に あ る 男 女 の 子 供 を 持 つ 権 利 は 無 条 件 に 認 め ら れ る べ き も の で あ る と 考 え ら れ ま す が 、 法 的 な 婚 姻 関 係 に な く て も 事 実 婚 な ら ば 子 供 を 持 つ 権 利 は あ り ま す 。 ま た 養 子 縁 組 に よ る 子 供 な ら ば 、 単 身 者 で も 、 同 性 婚 者 で も 可 能 で す 。 だ か ら 、 男 性 の 同 性 カ ッ プ ル も 子 供 を 持 つ 権 利 が 有 り 、 代 理 懐 胎 に よ る 子 供 を 持 つ 権 利 は あ る と い う 考 え 方 が 現 れ て き ま す 。   例 え ば 国 に よ っ て は 、 身 体 的 な 運 動 能 力 の 高 い ス ポ ー ツ 選 手 の 精 子 と 卵 子 を そ れ ぞ れ 入 手 し 、 妻 に 夫 婦 間 の 子 供 と し て 全 く 遺 伝 的 継 承 の な い 子 供 を 産 ま せ る こ と も 可 能 で す 。 多 く の 国 で は 自 己 と 同 一 の 遺 伝 子 を 持 っ た ク ロ ー ン ベ イ ビ ー を 産 生 す る こ と は 法 的 に 禁 止 さ れ て い ま す が 、 禁 止 さ れ て い な い 国 に 行 け ば 技 術 的 に は 産 生 が 可 能 で す 。 一 旦 、 社 会 に 導 入 さ れ た 技 術 の 適 用 範 囲 を 制 限 す る の は 極 め て 困 難 で す 。 が ん 治 療 は が ん の 治 療 に し か 応 用 で き ま せ ん が 、 生 殖 補 助 医 療 は 生 殖 補 助 だ け で は な く 、 自 然 に は 有 り 得 な か っ た 生 殖 方 法 を 実 現 す る 医 療 で あ り 、 そ の 適 用 範 囲 に つ い て は 厳 格 な 規 範 が 必 要 と 考 え ら れ ま す 。   第 四 の 問 題 発 生 の 原 因 は 治 療 へ の 依 存 性 が 高 い と い う こ と で す 。 生 殖 補 助 医 療 は 最 初 か ら 高 度 な 治 療 が 行 わ れ る の で は な く 、 タ イ ミ ン グ 法 な ど の 妊 娠 指 導 か ら 、 男 女 そ れ ぞ れ の 不 妊 原 因 の 検 査 、 発 見 さ れ た 障 害 に 対

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応 し た 妊 娠 確 率 向 上 対 策 が 行 わ れ ま す 。 妊 娠 で き な い 場 合 に は 人 工 授 精 か ら 、 体 外 受 精 へ 、 受 精 卵 診 断 後 の 体 外 受 精 へ と 、 数 周 期 サ イ ク ル 毎 に 漸 進 的 な 治 療 が 行 わ れ ま す 。 不 妊 ・ 不 育 症 の 原 因 特 定 は 極 め て 困 難 で あ り 、 生 殖 補 助 医 療 に よ る 周 期 サ イ ク ル 当 た り の 妊 娠 成 功 率 は 低 い の で す が 、 今 度 は 上 手 く い く 今 度 は 上 手 く い く と 期 待 し て は 失 敗 し 、 治 療 期 間 の 長 期 化 と と も に 高 年 齢 化 し 妊 娠 確 率 が 低 下 す る と い う ジ レ ン マ の 中 で 、 次 第 に 精 神 的 に 追 い 込 ま れ て い く 事 例 が 多 い よ う で す 。 成 功 す る 確 率 も あ る の で 、 途 中 で 止 め る こ と も 出 来 ず に 、 次 第 に 高 度 な 生 殖 補 助 医 療 に 依 存 す る こ と に な り 、 精 神 的 に も 、 時 間 的 ・ 経 済 的 に も 追 い 込 ま れ る と い う 問 題 に 展 開 し て い く こ と に な り ま す 。 3   浄 土 宗 と し て の 対 応   生 殖 補 助 医 療 は そ の 適 用 範 囲 に つ い て 厳 格 な 規 範 が 必 要 な 技 術 で す 。 そ れ は 前 述 の よ う に 生 物 種 の 根 幹 を 形 成 す る 生 殖 と い う も の を 異 質 な も の へ 変 え る 能 力 を も っ た 技 術 だ か ら で あ り 、 様 々 な 社 会 的 ・ 法 律 的 ・ 経 済 的 ・ 精 神 的 問 題 を 引 き 起 こ す 医 療 だ か ら で す 。 で は こ の 問 題 に 浄 土 宗 と し て ど の よ う に 対 応 し た ら 良 い で し ょ う か 。 ① 基 本 的 視 点   浄 土 宗 と し て 教 義 の 上 か ら 規 範 を 構 築 す る こ と は 甚 だ 難 し い こ と で す が 、 技 術 の 適 用 に 対 し て 「 法 爾 」 を 適 用 す る と い う 考 え 方 が あ る と 思 い ま す 。 法 爾 と は 、 諸 物 が そ の 性 質 の と お り に あ る こ と で あ り 、 あ り の ま ま の 姿 に あ る こ と で あ り 、 生 殖 に 関 し て は 自 然 ( じ ね ん ) に ま か せ る と い う こ と に な り ま す 。 つ ま り 、 生 殖 プ ロ セ ス へ の 人 為 的 関 与 は 最 小 限 に 止 め る と い う こ と で す 。 最 小 限 と は 婚 姻 関 係 に あ る 男 女 間 を 逸 脱 し な い 空 間 的 範 囲 で あ り 、 自 然 の 時 間 的 秩 序 の 範 囲 内 と い う こ と で す 。 こ の 視 点 に よ れ ば 、 明 ら か な 原 因 が 特 定 さ れ る 不 妊 ・ 不 育 症 の 医 療 行 為 と し て の み 生 殖 補 助 医 療 の 適 用 を 認 め 、 提 供 者 の 精 子 ・ 卵 子 ・ 受 精 卵 、 代 理 懐

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胎 は 認 め な い と い う こ と に な り ま す 。 法 律 的 に こ れ を 実 現 す る た め に は 厳 密 な 定 義 が 必 要 で す が 、 こ こ で は 基 本 的 視 点 を 提 供 し 浄 土 宗 に お け る 議 論 の 端 緒 に し た い と 考 え ま す 。 ② 子 供 の い な い 人 々 へ の 対 応   こ こ で 提 示 し た 基 本 的 視 点 は 、 現 状 進 行 し て い る 生 殖 補 助 医 療 の 範 囲 を 狭 め る も の で す 。 つ ま り 、 子 供 を 欲 し い と 念 願 し て い る 人 々 に 厳 し い 状 況 を 突 き つ け る も の で す 。 そ こ で 浄 土 宗 と し て は 子 供 の い な い 人 々 を 全 力 で サ ポ ー ト す る 必 要 が あ り ま す 。 子 供 を 欲 し い と す る 願 望 は 、 結 婚 し た ら 子 供 を 産 み 育 て る の が 当 た り 前 と い う 、 社 会 的 な 価 値 意 識 の 押 し つ け も 一 因 に な っ て い る と 考 え ら れ ま す 。 寺 院 に お い て も 入 檀 時 や 墓 地 の 分 譲 時 に 継 承 者 の 存 在 を 確 認 し た り し ま す 。 寺 院 に お い て 継 承 者 の い な い 墓 地 は 将 来 的 な 問 題 を 内 包 す る こ と は 明 ら か で す が 、 そ の よ う な 行 動 が 是 非 と も 子 供 が 欲 し い と い う 願 望 を 引 き 起 こ す こ と に な り ま す 。 そ こ で 、 入 檀 時 や 墓 地 分 譲 時 の 条 件 と し て 嫡 出 子 継 承 を 強 調 し な い こ と が 重 要 で す 。 ま た 、 子 供 が い な い が 充 実 し た 信 仰 生 活 ( ラ イ フ ス タ イ ル ) を 提 案 す る こ と も 重 要 で あ り 、 寺 院 を 中 心 と し た サ ー ク ル 活 動 な ど も 一 つ の 提 案 に な る と 考 え ら れ ま す 。 注 1   菅 沼 信 彦 『 最 新 生 殖 医 療 』 名 古 屋 大 学 出 版 会 、 2 0 0 8 年 3月 注 2   吉 村 𣳾 典 『 生 殖 医 療 の 未 来 学 』 診 断 と 治 療 社 、 2 0 1 0 年 4月 ( 今 岡 達 雄 ) 三   代 理 母 出 産 ( 代 理 懐 胎 ) の 諸 問 題   出 生 を 取 り 巻 く 状 況 は 近 年 激 変 し て い ま す 。 体 外 受 精 、 出 生 前 診 断 、 代 理 母 出 産 な ど 、 か つ て 子 ど も が 「 授 か り も の 」 で あ っ た 時 代 に は 考 え ら れ な か っ た 多 様 な 生 殖 補 助 技 術 が 開 発 さ れ ま し た 。 子 供 の 誕 生 を 望

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む 夫 婦 の 間 に 子 供 が 授 か ら な か っ た 場 合 、 こ れ ら の 生 殖 補 助 医 療 ( 技 術 ) を 使 っ て 子 供 の 誕 生 を の ぞ む 人 々 が 増 加 し て き ま し た 。 出 産 観 が 時 代 と と も に 変 遷 を み せ 、 結 婚 し て も D I N K S ( 共 稼 ぎ で 子 供 を つ く ら な い カ ッ プ ル ) が 登 場 し て き た と は い う も の の 、 正 常 な 夫 婦 生 活 が あ っ て も 妊 娠 に い た ら な い 夫 婦 に 、「 お た く ま だ お 子 さ ん で き な い の ? 」 と い う 言 葉 を 投 げ か け る 社 会 の 状 況 は さ ほ ど 変 化 を み せ ず 。 子 供 の 誕 生 を 熱 望 す る 人 た ち に 、 そ の 問 題 を 解 決 で き る 方 法 が 医 療 の 現 場 で 実 践 さ れ る よ う に な り ま し た 。 こ れ は あ る 意 味 喜 ば し い 事 で す が 、 こ れ に と も な っ て 、 さ ま ざ ま な 問 題 が 出 て き た こ と も 事 実 で す 。 こ こ で は 生 殖 補 助 医 療 に 伴 っ て 生 じ る 問 題 の 中 か ら と く に 代 理 母 出 産 を 取 り 上 げ 、 他 人 の 生 命 の 利 用 と い う 観 点 か ら そ の 問 題 を 探 り ま す 。 1   不 妊 治 療 と 代 理 母 出 産 ( 代 理 懐 胎 )   代 理 母 出 産 を 生 殖 補 助 医 療 と い え る の か と い う 議 論 に つ い て は こ こ で は 触 れ ま せ ん が 、 不 妊 治 療 は ど の よ う に 行 わ れ て い る の で し ょ う か 。   不 妊 治 療 は 、 夫 婦 間 で の 治 療 か ら 始 ま り ま す が 、 近 年 で は さ ら に 第 三 者 か ら 提 供 さ れ た 精 子 や 卵 子 を 利 用 し た 人 工 授 精 、 体 外 受 精 、 代 理 母 出 産 な ど が 挙 げ ら れ ま す 。 こ こ に 倫 理 的 な 問 題 点 が 複 雑 に 絡 ん で く る た め 、 日 本 以 外 の 国 々 で も 、 そ の 規 制 状 況 は 違 い ま す 。   代 理 母 出 産 に つ い て 立 岩 真 也 氏 は 、     人 工 授 精 ・ 体 外 受 精 の 技 術 の 登 場 に よ り 、 性 的 な 関 係 を 持 た ず に 提 供 者 の 精 子 ・ 卵 子 ・ 子 宮 を 利 用 す る こ と に よ っ て 、 他 方 で 多 く の 場 合 は 子 を 持 と う と す る 側 の 遺 伝 的 な つ な が り を 保 ち な が ら 、 子 を 持 つ こ と が 可 能 に な る 。 特 に 問 題 に な る の は 、 依 頼 さ れ た 女 性 が 出 産 に 関 与 す る 場 合 で あ る 。 1 9 7 0 年 代 後 半 に 始 ま っ た も の で 、 依 頼 さ れ た 側 を 「 代 理 母 surrogate mother 」 と 言 う 。 多 く は 人 工 授 精 の 技 術 が 用 い ら れ 、 精 子 は 依 頼 者 、 卵 子 は 提 供 者 = 代 理 母 の も の だ が 、 体 外 受

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精 を 用 い 、 精 子 と 卵 子 と も に 依 頼 者 側 の も の で あ る 場 合 も あ り (「 借 り 腹 」 と も 言 わ れ る )、 こ の 依 頼 に 応 ず る 側 を 「 サ ロ ゲ イ ト ・ マ ザ ー 」 と 区 別 し て 「 ホ ス ト ・ マ ザ ー 」 と 呼 ぶ こ と が あ る 。 立 岩 真 也 『 私 的 所 有 論 』 と 解 説 し て い ま す 。 2   代 理 母 出 産 は 許 さ れ る の か ?   代 理 母 出 産 に 対 し て は 、 以 下 の よ う な 批 判 的 な 意 見 が 多 く 見 ら れ ま す 。 * 人 間 に 許 さ れ ざ る 行 為 で あ る     不 自 然 で 第 三 者 を 巻 き 込 む こ と 。 * 子 を 産 む 機 械 と し て の 女 性 蔑 視 の 助 長     女 性 の 生 命 に 関 わ る こ と を 、 人 間 の 欲 望 の た め に 利 用 し て よ い の か 。 * 代 理 母 の 出 産 に 伴 う リ ス ク の 指 摘     出 産 は 母 親 の 生 命 を か け た も の で あ る こ と 。 * 家 族 関 係 の 複 雑 化     分 娩 者 が 母 と い う 原 則 を く ず し 、 複 雑 な 親 子 関 係 が 生 じ る 。 * 障 が い 者 ・ 人 種 差 別 の 助 長     代 理 母 出 産 契 約 の 多 く に 、 子 供 が 障 が い 児 と 判 明 し た 時 点 で の 中 絶 や 、 た と え 出 産 し て も 依 頼 し た 夫 婦 が 引 き 取 ら な い こ と が う た わ れ て い る 。 ま た 、 欧 米 で 代 理 懐 胎 を 依 頼 さ れ る の は 、 圧 倒 的 に 白 人 女 性 で あ る 事 。 な ど で す 。   わ が 国 に お い て も 、 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 が 代 理 懐 胎 ( 代 理 母 出 産 ) に つ い て の 見 解 を 平 成 15年 4月 に 出 し て い ま す 。 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─         代 理 懐 胎 に 関 す る 見 解 1   代 理 懐 胎 に つ い て   代 理 懐 胎 と し て 現 在 わ が 国 で 考 え ら れ る 態 様 と し て は 、 子 を 望 む 不 妊 夫 婦 の 受 精 卵 を 妻 以 外 の 女 性 の 子 宮 に 移 植 す る 場 合 ( い わ ゆ る ホ ス ト マ ザ ー ) と 依 頼 者 夫

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婦 の 夫 の 精 子 を 妻 以 外 の 女 性 に 人 工 授 精 す る 場 合 ( い わ ゆ る サ ロ ゲ イ ト マ ザ ー ) と が あ る 。 前 者 が 後 者 に 比 べ 社 会 的 許 容 度 が 高 い こ と を 示 す 調 査 は 存 在 す る が 、 両 者 と も 倫 理 的 ・ 法 律 的 ・ 社 会 的 ・ 医 学 的 な 多 く の 問 題 を は ら む 点 で 共 通 し て い る 。 2   代 理 懐 胎 の 是 非 に つ い て   代 理 懐 胎 の 実 施 は 認 め ら れ な い 。 対 価 の 授 受 の 有 無 を 問 わ ず 、 本 会 会 員 が 代 理 懐 胎 を 望 む も の の た め に 生 殖 補 助 医 療 を 実 施 し た り 、 そ の 実 施 に 関 与 し て は な ら な い 。 ま た 代 理 懐 胎 の 斡 旋 を 行 っ て は な ら な い 。 理 由 は 以 下 の 通 り で あ る 。 1   生 ま れ て く る 子 の 福 祉 を 最 優 先 す る べ き で あ る 2   代 理 懐 胎 は 身 体 的 危 険 性 ・ 精 神 的 負 担 を 伴 う 3   家 族 関 係 を 複 雑 に す る 4   代 理 懐 胎 契 約 は 倫 理 的 に 社 会 全 体 が 許 容 し て い る と 認 め ら れ な い ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ と し て 、 会 員 に 対 し て 代 理 懐 胎 ( 代 理 母 出 産 ) を 斡 旋 す る 事 を 禁 じ て い ま す 。   代 理 母 出 産 と い う 言 葉 を 世 界 中 に 広 め た 事 件 が あ り ま す 。 ア メ リ カ で 起 こ っ た 、 い わ ゆ る ベ ビ ー M 事 件 で す 。 1 9 8 5 年 2 月 、 メ ア リ ー ・ ベ ス ・ ホ ワ イ ト ヘ ッ ド ( Mary Beth Whitehead 、 当 時 28歳 、 無 職 、 白 人 、 子 ど も 二 人 ) が 、 ス タ ー ン 夫 妻 ( 夫 は 38歳 の 生 化 学 者 、 妻 は 38歳 の 小 児 科 医 ) と 、 ノ エ ル ・ キ ー ン の 不 妊 セ ン タ ー ( ニ ュ ー ヨ ー ク 州 ) を 介 し て 契 約 を 結 び ま す 。 契 約 後 、 す ぐ 人 工 授 精 が 始 ま り 、 全 部 で 9回 人 工 授 精 を 受 け た 結 果 、 妊 娠 。 1 9 8 6 年 3月 に 女 子 を 出 産 ( 精 子 が 夫 の も の 、 卵 子 及 び 子 宮 は 代 理 母 ) し ま し た が 、 出 産 後 、 子 の 引 き 渡 し を 拒 否 し て 連 れ さ り 、 夫 婦 が 訴 え 裁 判 に な り ま し た 。   ベ ビ ー M 事 件 で 、 依 頼 し た 夫 婦 と メ ア リ ー ・ ベ ス ・ ホ ワ イ ト ヘ ッ ド さ ん の 間 に 交 わ さ れ た 契 約 は 以 下 の よ

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う な も の で す 。 ・ 妊 娠 し た ら 薬 を い っ さ い 飲 ん で は い け な い 。 ・ 羊 水 診 断 を 受 け 、 胎 児 に 障 害 が あ れ ば 中 絶 す る こ と 、 そ の 場 合 は 報 酬 は な し 。 ・ 流 産 ・ 死 産 に は 千 ド ル 、 健 康 な 子 が 生 ま れ た ら 一 万 ド ル を 受 け 取 る 。 ・ 出 産 後 、 た だ ち に 養 子 契 約 に サ イ ン し 、 親 権 を 放 棄 す る 。 二 年 以 内 に 妊 娠 し な か っ た ら 、 報 酬 は な し 。   裁 判 の 結 果 、 子 供 は 両 親 の 元 に 引 き 取 ら れ 、 代 理 母 に は 面 会 権 が 認 め ら れ ま し た 。 代 理 母 出 産 が 多 く 行 わ れ る ア メ リ カ で は 、 州 に よ っ て も 違 い ま す が 、 依 頼 夫 婦 と 代 理 母 の 間 で 契 約 が 交 わ さ れ る の が 一 般 的 と さ れ て い ま す 。 代 理 母 契 約 を 認 め る 制 定 法 を も っ た 州 は 、 フ ロ リ ダ 、 イ リ ノ イ 、 テ キ サ ス 、 ヴ ァ ー ジ ニ ア の 4州 で 、 ネ バ ダ 、 ア ー カ ン ソ ー 、 ニ ュ ー ハ ン プ シ ャ ー 、 ワ シ ン ト ン 、 ウ ェ ス ト バ ー ジ ニ ア の 5州 は 無 報 酬 に 限 定 し て い ま す 。   浄 土 宗 総 合 研 究 所 で は 東 京 財 団 の 橳 島 次 郎 氏 を 招 き 生 命 倫 理 に 関 す る ヨ ー ロ ッ パ の 現 状 に つ い て お 話 を う か が い ま し た 。 橳 島 氏 に よ れ ば 、 ド イ ツ ・ オ ー ス ト リ ア ・ ス イ ス ・ イ タ リ ア ・ ス ペ イ ン な ど 禁 止 す る 国 が 多 数 を 占 め 、 イ ギ リ ス と ギ リ シ ア で は 条 件 付 き で 認 め て お り 、 ギ リ シ ア に つ い て は 「 2 0 0 2 年 法 ( 2 0 0 5 年 改 正 )」 に よ っ て 国 内 居 住 者 に の み 認 め 、 一 件 ご と に 司 法 の 許 可 が 必 要 、 対 価 は 認 め な い が 実 経 費 と 損 失 補 填 は 認 め る 、 生 ま れ た 子 は 依 頼 夫 婦 の 子 と 推 定 さ れ る 、 代 理 母 が 遺 伝 上 の 母 で あ る 場 合 の み 親 子 関 係 を 争 え る 、 と の こ と で し た 。   さ ら に 、 ベ ル ギ ー と オ ラ ン ダ で は 容 認 さ れ て お り 、 フ ラ ン ス で は 禁 止 さ れ て い る た め 、 フ ラ ン ス 人 が ベ ル ギ ー で 代 理 母 出 産 を 行 っ た り 、 イ ン ド や ウ ク ラ イ ナ に 行 く 例 も あ る よ う で す 。   イ ン ド で は 、 医 療 技 術 が 高 度 で あ る こ と や 代 理 母 出 産 に 関 す る 規 制 が な い こ と に 加 え て 、 先 進 国 に 比 べ て 代 理 母 出 産 に か か る 費 用 が 安 価 で あ る こ と か ら 、 米 国 や 印 僑 ( 海 外 に 居 住 す る イ ン ド 人 ) の 夫 婦 が イ ン ド 国

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内 の ク リ ニ ッ ク で 代 理 母 出 産 の 依 頼 を す る ケ ー ス が 増 え て き て い ま す 。 3   日 本 で の 代 理 母 出 産 を め ぐ る で き ご と   2 0 0 6 年 10月 17日 付 け の 読 売 新 聞 は 次 の よ う な 記 事 を 伝 え て い ま す 。 〈 長 野 県 下 諏 訪 町 の 諏 訪 マ タ ニ テ ィ ー ク リ ニ ッ ク で 、 祖 母 が 孫 を 代 理 出 産 し た こ と に つ い て 、 柳 沢 厚 生 労 働 相 ( 当 時 ・ 筆 者 注 ) は 17日 の 閣 議 後 会 見 で 、 現 在 は 禁 止 の 方 針 を 定 め て い る 代 理 出 産 に 関 し 、 そ の 見 直 し も 含 め て 再 検 討 を 始 め る こ と を 明 ら か に し た 。 今 後 、 法 務 省 も 含 め 、 政 府 全 体 で 検 討 す る 。 代 理 出 産 に は 、 代 理 母 に 妊 娠 や 出 産 に 伴 う 危 険 を 負 わ せ る と い う 批 判 や 、 代 理 母 が 生 ま れ た 子 供 を 手 放 さ な い ト ラ ブ ル が 起 き る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る 。 そ の た め 、 厚 労 省 の 厚 生 科 学 審 議 会 が 2 0 0 3 年 、 妻 以 外 の 女 性 に 出 産 を 依 頼 す る 代 理 出 産 を 罰 則 付 き で 禁 止 す る 報 告 書 を ま と め た が 、 そ の 法 制 化 を 目 指 す 議 論 は 止 ま っ て い る 。 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 は 同 年 、 代 理 出 産 を 禁 止 す る 指 針 を 定 め た 。 柳 沢 厚 労 相 は 「( 代 理 出 産 を ) 支 持 す る 世 論 も み ら れ る よ う に な っ た 」 と 指 摘 。「 学 会 の 方 針 を 法 律 で 固 定 化 す る の で は な く 、 も う 少 し 違 っ た 形 の 方 向 を 探 っ て い く 」 と 述 べ 、 禁 止 の 方 針 の 見 直 し を 含 め 、 そ の 法 整 備 も 視 野 に 検 討 す る こ と を 明 ら か に し た 。  ま た 、 議 論 の 場 に つ い て は 、「 親 子 関 係 な ど 身 分 の 問 題 も あ る の で 、 厚 労 省 だ け で は な く 政 府 全 体 と し て 検 討 す る 」 と し た 。〉   こ の 後 、 政 権 が 交 代 し て し ま っ た た め 、 わ が 国 に お け る 代 理 母 出 産 に つ い て の 議 論 は 中 断 し た ま ま に な っ て い ま す 。   日 本 人 で ア メ リ カ な ど へ 渡 り 代 理 母 出 産 を す る 例 は 、 実 数 は 不 明 な が ら か な り の 数 あ る と 言 わ れ て い ま す が 、 向 井 亜 紀 さ ん は こ の こ と を 公 表 し 、 帰 国 後 出 生 届 の 受 理 に つ い て 裁 判 所 に 申 し 立 て を 行 い ま し た 。 こ の 経 過 を 当 時 の 新 聞 は 、 〈 タ レ ン ト の 向 井 亜 紀 さ ん ( 42) と 元 プ ロ レ ス ラ ー の

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高 田 延 彦 さ ん ( 44) 夫 妻 が 米 国 の 女 性 に 代 理 出 産 を 依 頼 し て 生 ま れ た 双 子 の 男 児 ( 3) に つ い て 、 最 高 裁 第 二 小 法 廷 ( 古 田 佑 紀 裁 判 長 ) は 23日 、 夫 妻 と の 親 子 関 係 を 認 め な い 決 定 を 出 し た 。 第 二 小 法 廷 は 「 自 分 の 卵 子 を 提 供 し た 場 合 で も 、 今 の 民 法 で は 母 子 関 係 の 成 立 は 認 め ら れ な い 」 と の 一 般 判 断 を 初 め て 示 し た 。 向 井 さ ん 側 に は こ れ 以 上 不 服 を 申 し 立 て る 手 段 は な く 、 出 生 届 の 不 受 理 が 確 定 し た 。〉 と 伝 え て い ま す 。 4   浄 土 宗 徒 と し て   日 本 で は 、 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 が 代 理 母 出 産 に つ い て 否 定 的 な 見 解 を 出 し 、 一 般 的 に は 行 わ れ て い ま せ ん が 、 こ れ は あ く ま で そ の 学 会 に 所 属 し て い る 医 師 に 対 し て の も の で あ り 、 法 的 に 規 制 さ れ て い る も の で は あ り ま せ ん 。 ま た 、 最 近 で は 代 理 母 出 産 が ビ ジ ネ ス と な っ て い る 国 が 取 り 上 げ ら れ て い ま す 。   ベ ビ ー M 事 件 の 時 に 交 わ さ れ て い た 契 約 条 項 は 、 現 在 で も さ ほ ど 変 わ り が な い よ う で す 。 こ こ に は 、 胎 児 に 障 が い が あ る 場 合 に は 中 絶 し た り 、 出 産 し た 場 合 に は 依 頼 し た 夫 婦 が 引 き 取 ら な い と 行 っ た ケ ー ス も あ り ま す し 、 代 理 母 を 依 頼 さ れ る の は 圧 倒 的 に 白 人 女 性 が 多 い と い っ た 問 題 を 抱 え て い ま す 。   生 殖 補 助 医 療 に い た る 根 本 的 な 問 題 と し て 、 私 た ち が 議 論 す べ き は 、 は た し て 子 供 が な い 事 が ほ ん と う に 不 幸 な 事 な の か と い う 点 で す 。 こ の 議 論 抜 き に 生 殖 補 助 医 療 が 語 ら れ る 事 が 多 く 見 ら れ ま す 。 ま た 、 こ れ に 付 随 し て 、 た と え ば 兵 庫 県 が 1 9 6 6 年 か ら 1 9 7 4 年 に 設 置 し た 「 不 幸 な 子 供 が 生 ま れ な い 対 策 室 」 な ど は 、 倫 理 的 な 問 題 が 指 摘 さ れ て い ま す 。   さ ら に 、 ヒ ト 体 外 受 精 技 術 の 確 立 と と も に 、 生 殖 補 助 医 療 ( A R T : Assisted Reproductive Technology )、 生 殖 補 助 利 用 技 術 の 範 囲 を ど の よ う に 限 定 す る か に つ い て も 議 論 が 続 け ら れ て い ま す 。   代 理 母 出 産 は 果 た し て 生 殖 補 助 医 療 な の か 、 ま た 、 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 が 指 摘 し た 問 題 点 や 、 不 自 然 な 出

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産 で 第 三 者 を 巻 き 込 み 、 生 命 に 関 わ る 問 題 で あ る と い う 観 点 か ら の 議 論 、 養 子 縁 組 に つ い て の さ ま ざ ま な 規 制 と と も に 、 あ わ せ て 考 え て い く べ き で し ょ う 。   浄 土 宗 徒 と し て 、 代 理 母 出 産 ( 代 理 懐 胎 ) に つ い て ど う 捉 え る か 、 さ ら に 自 ら の 問 題 と な っ た と き 、 ど の よ う に 対 応 す べ き な の か と い う 問 題 が あ り ま す 。 生 命 倫 理 に つ い て 考 え る と き 、 基 本 的 な 立 場 と し て 「 自 然 法 爾 ( じ ね ん ほ う に )」 で あ る べ き と い え ま す 。 こ れ は 、 ど う し て も 、 ど ん な 方 法 で も 良 い か ら 子 供 が 欲 し い と 考 え て い る 方 た ち に は 厳 し い 物 言 い か も し れ ま せ ん 。 し か し な が ら 、 こ れ ま で に 述 べ て き た さ ま ざ ま な 問 題 を 通 し て 、 こ と 代 理 母 出 産 に つ い て は こ う 言 わ ざ る を え ま せ ん 。 ( 坂 上 雅 翁 ) 四   「 出 自 を 知 る 権 利 」 を め ぐ る 生 命 倫 理 的 課 題   生 殖 補 助 医 療 の 発 達 に よ っ て 、 遺 伝 上 の 親 で な い 配 偶 子 ( 精 子 ・ 卵 子 ・ 胚 / 受 精 卵 ) か ら 誕 生 し た 子 ど も が 、 遺 伝 上 の 親 を 知 る 権 利 を 「 出 自 を 知 る 権 利 」 と い い ま す 。 こ こ で は 、 既 に 社 会 的 に 認 知 さ れ た 技 術 で あ る A I D に よ っ て 誕 生 し た 子 ど も の 現 状 に 特 化 し て こ の 問 題 を 考 え て み ま す 。 1   A I D ( 非 配 偶 者 間 人 工 授 精 ) と は 、   A I D と は 、 無 精 子 症 な ど の 男 性 要 因 に よ る 不 妊 治 療 法 で 、 第 三 者 か ら 提 供 さ れ た 精 子 を 器 具 を 使 っ て 子 宮 に 注 入 し 、 妊 娠 さ せ る 方 法 で す 。 通 常 、 精 子 提 供 者 は 匿 名 の ボ ラ ン テ ィ ア で 、 生 ま れ た 子 は 依 頼 者 夫 婦 の 実 子 と し て 戸 籍 登 録 さ れ 、 医 師 も 両 親 も 子 に 事 実 を 告 げ る こ と は あ り ま せ ん 。 わ が 国 で は 、 こ の 治 療 が 使 用 さ れ る よ う に な っ て か ら 、 既 に 60年 近 く が 経 過 し 累 計 1万 人 以 上 、 現 在 で も 年 間 1 0 0 ~ 2 0 0 人 規 模 の A I D 児 が 誕 生 し て い ま す 。

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2   A I D で 生 ま れ た 子 の 立 場   精 子 提 供 者 、 両 親 、 医 療 関 係 者 の い ず れ も が 、 治 療 の 事 実 を 積 極 的 に 明 ら か に す る こ と は な い た め 、 子 は 何 か の き っ か け で 事 実 を 知 る ま で は 、 自 分 の 遺 伝 上 の 「 父 親 」 の 存 在 を 知 り え ま せ ん 。 ド ナ ー で あ る 遺 伝 上 の 「 父 親 」 を 知 ら な い こ と で 起 こ り う る 直 接 的 な 問 題 と し て 、 一 般 に は 、 ① 遺 伝 に つ い て の 情 報 の 欠 如 が 子 の 「 健 康 に 生 き る 権 利 」 を 侵 害 す る 可 能 性 が あ る こ と 、 ② 子 が 結 婚 す る 際 に 近 親 婚 の 可 能 性 が 排 除 で き な い こ と 、 な ど が 指 摘 さ れ て い ま す 。   A I D 児 自 身 の 立 場 か ら は 、 自 立 や ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 確 立 と い っ た 観 点 か ら 、 遺 伝 上 の 親 を 知 る こ と や 、 自 分 の 生 ま れ 方 を 知 る こ と の 重 要 性 を 訴 え る 声 ( 注 1) が 、 マ ス コ ミ 等 で 取 り 上 げ ら れ る 機 会 も 増 え て お り 、 既 に 国 内 に 自 助 グ ル ー プ も 存 在 し て い ま す 。 そ の グ ル ー プ の サ イ ト ( 注 2) を 調 査 す る と 、 A I D 児 の 多 く が 、「 自 分 を 知 る = ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 確 立 」 の た め に は 、 自 分 の ル ー ツ 、 自 分 は ど こ か ら き た の か を 知 る こ と が 必 要 と 考 え 、「 出 自 を 知 る 権 利 」 を 強 く 求 め て い る と い う こ と が わ か り ま す 。 あ る 日 、 不 意 に 自 分 の 出 自 の 真 実 を 知 ら さ れ て 衝 撃 を 受 け 、 深 い 人 間 不 信 と 自 己 同 一 性 の 危 機 に 追 い や ら れ 、 苦 悩 す る 彼 ら の 体 験 談 を 聞 き 及 ぶ に つ け 、 出 自 の 秘 密 厳 守 が 子 ど も の た め と し て 行 わ れ て き た 過 去 の 生 殖 補 助 医 療 の 在 り 方 に 疑 問 を 感 じ ざ る を 得 ま せ ん 。 そ し て ま た 、 こ れ は 、 同 じ 境 遇 と し て こ れ か ら 生 ま れ る 子 を 代 弁 す る 「 既 に 生 ま れ た 子 」 の 主 張 で あ り 、 こ の 課 題 に つ い て 考 え る と き に 、 大 き な 影 響 力 を も っ た 主 張 で あ る と も 言 え ま す 。 3   「 子 ど も の 権 利 」 と い う 視 点   「 子 ど も の 権 利 」 を 重 視 す る と い う 国 際 的 な 動 向 は 、 1 9 8 9 年 に 国 連 総 会 決 議 「 子 ど も の 権 利 に 関 す る 条 約 」( 日 本 は 1 9 9 4 年 批 准 ) の 成 立 に よ っ て 確 か な 位 置 付 け が な さ れ ま し た 。 こ の 条 約 の 7条 に は 、 次 の よ う に 明 記 さ れ て い ま す 。

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    7条   児 童 は 、 出 生 の 後 直 ち に 登 録 さ れ る 。 児 童 は 、 出 生 の 時 か ら 氏 名 を 有 す る 権 利 お よ び 国 籍 を 取 得 す る 権 利 を 有 す る も の と し 、 ま た 、 出 来 る 限 り そ の 父 母 を 知 り か つ そ の 父 母 に よ っ て 養 育 さ れ る 権 利 を 有 す る 。   つ ま り 、 こ の 条 文 は 、 子 ど も が 権 利 の 主 体 者 で あ る 以 上 、 子 ど も に 関 す る 記 録 も 当 然 子 ど も に 開 示 さ れ る べ き も の で あ る と い う こ と を 意 味 し て お り 、 子 ど も が 自 ら の 「 出 自 を 知 る 権 利 」 を 持 つ と い う 主 張 の 根 拠 の 一 端 を な し て い ま す 。 4   日 本 の 現 状   厚 生 科 学 審 議 会 先 端 医 療 技 術 評 価 部 会 の 報 告 書 「 精 子 ・ 卵 子 ・ 胚 の 提 供 等 に よ る 生 殖 補 助 医 療 の 在 り 方 に つ い て 」( 2 0 0 0 年 ) で は 、 非 配 偶 者 間 生 殖 補 助 医 療 で 生 ま れ た 子 ど も が 配 偶 子 提 供 者 の 個 人 情 報 を 知 る こ と は 、 ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 確 立 の た め に 重 要 な こ と と 考 え ら れ る と し な が ら も 、 ① 提 供 者 の プ ラ イ バ シ ー が 守 れ な く な る 。 ② 子 ど も と 提 供 者 の 家 族 関 係 等 へ 悪 影 響 を 与 え る 等 の 弊 害 の 発 生 が 予 想 さ れ る 。 ③ 配 偶 子 ・ 胚 の 提 供 数 が 減 少 す る お そ れ が あ る 、 と い う 三 つ の 観 点 か ら 、 個 人 の 特 定 に つ な が る 配 偶 子 提 供 者 の 情 報 は 開 示 し な い こ と と し ま し た 。   そ の 後 、 厚 労 省 厚 生 科 学 審 議 会 生 殖 補 助 医 療 部 会 の 「 精 子 ・ 卵 子 ・ 胚 の 提 供 等 に よ る 生 殖 補 助 医 療 制 度 の 整 備 に 関 す る 報 告 書 」( 2 0 0 3 年 ) で は 、 ① 配 偶 者 間 生 殖 補 助 医 療 で 生 ま れ た 子 ど も が 提 供 者 の 個 人 情 報 を 知 る こ と は 、 ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 確 立 の た め に 重 要 な も の で あ り 、 こ の よ う な 重 要 な 権 利 が 提 供 者 の 意 思 に よ っ て 左 右 さ れ 、 提 供 者 を 特 定 す る こ と が で き る 子 ど も と で き な い 子 ど も が 生 ま れ る こ と は 適 当 で は な い 。 ② 子 ど も が 提 供 者 の 個 人 情 報 を 知 り た い と 望 む 意 思 を 尊 重 す る 必 要 が あ る 。 ③ 提 供 は 提 供 者 の 自 由 意 思 に よ る も の で あ り 、 特 定 さ れ る こ と を 望 ま な い 者 は 提 供 者 に な ら な い こ と が で き る 。 ④ 情 報 開 示 の た め に 配 偶 子 ・ 胚 の 提 供 数 が 減 少 し て も 、 子 ど も の 福 祉 の 観 点

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か ら や む を 得 な い 、 と い っ た 四 つ の 理 由 か ら 、 15歳 以 上 の 子 ど も に は 個 人 を 特 定 す る 情 報 に ア ク セ ス す る こ と を 認 め る こ と と し 、 前 回 報 告 の 見 解 か ら 大 き な 方 針 転 換 を 行 っ て い ま す 。   2 0 0 8 年 の 日 本 学 術 会 議 の 生 殖 補 助 医 療 の 在 り 方 検 討 会 で は 「 出 自 を 知 る 権 利 」 に 関 す る 本 格 的 論 議 は な さ れ ま せ ん で し た が 、 最 終 報 告 書 で は 、「 出 自 を 知 る 権 利 は 、 今 後 の 重 要 な 検 討 課 題 で あ り 、 生 ま れ る 子 の 福 祉 を 尊 重 し 、 夫 以 外 の 精 子 に よ る 人 工 授 精 ( A I D ) の 場 合 な ど に つ い て 十 分 に 検 討 し た 上 で 、 判 断 す べ き で あ る 。」 と し て い ま す 。 し か し 、 こ の よ う な 報 告 が 出 て い る に も か か わ ら ず 、 こ の 権 利 を 保 障 す る 法 整 備 は 未 だ 行 わ れ て い な い の が 現 状 で す 。 5   外 国 の 対 応 状 況   非 配 偶 者 間 生 殖 補 助 医 療 に よ り 生 ま れ た 子 ど も が 、 自 ら の 遺 伝 上 の 親 を 求 め て 苦 悩 す る 問 題 は 、 世 界 で も ク ロ ー ズ ァ ッ プ さ れ る よ う に な り 、「 子 ど も の 出 自 を 知 る 権 利 」 を 法 的 に も 保 障 し よ う と す る 動 き は 、 先 進 国 を 中 心 に 高 ま っ て い ま す 。 い ず れ の 国 に お い て も 、 「 情 報 開 示 が 進 む と 配 偶 子 の 提 供 者 が 減 少 す る の で は な い か 」 と 危 惧 す る 声 と 「 子 ど も の 出 自 を 知 る 権 利 」 を 重 ん じ る 意 見 が 対 立 し て き ま し た が 、 現 在 は 「 生 ま れ て く る 子 の 福 祉 」 を 優 先 す る 考 え 方 が 主 流 に な り つ つ あ り ま す 。 各 国 ご と の 対 応 状 況 は 、 以 下 の と お り 、 a か ら d の 四 つ に 分 類 で き ま す 。 a   配 偶 子 提 供 者 を 特 定 す る 情 報 を 開 示 す る 国   世 界 で 最 初 に 配 偶 子 提 供 者 を 特 定 す る 情 報 の 開 示 を 認 め た の は 、 ス ウ ェ ー デ ン の 「 人 工 授 精 法 」 で す 。 そ の 他 、 ノ ル ウ ェ ー 、 フ ィ ン ラ ン ド 、 オ ー ス ト リ ア 、 ス イ ス 、 イ ギ リ ス 、 豪 ・ ニ ュ ー サ ウ ス ウ ェ ー ル ズ 州 、 ヴ ィ ク ト リ ア 州 、 ウ ェ ス タ ン オ ー ス ト ラ リ ア 州 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド な ど で も 提 供 者 本 人 を 特 定 す る 情 報 の 開 示 が 認 め ら れ て い ま す 。   情 報 開 示 の 対 象 を 子 ど も 以 外 に も 広 げ て い る 法 律 も

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あ り ま す 。 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド で は 、 配 偶 子 提 供 者 に も 知 る 権 利 が あ り 、 子 ど も は 同 じ 提 供 者 か ら 生 ま れ た 兄 弟 姉 妹 の 情 報 も 得 ら れ る と し て い ま す 。 豪 ・ ニ ュ ー サ ウ ス ウ ェ ー ル ズ 州 で は 、 配 偶 子 提 供 者 は 子 ど も の 情 報 に 、 ま た 子 ど も と 法 律 上 の 親 は 、 提 供 者 と 同 一 提 供 者 か ら 生 ま れ た 子 ど も の 兄 弟 姉 妹 の 情 報 に 、 ア ク セ ス す る 権 利 が 与 え ら れ て い ま す 。 ヴ ィ ク ト リ ア 州 で は 、 子 ど も 、 法 律 上 の 親 、 配 偶 子 提 供 者 、 子 ど も の 子 孫 に 対 し て 、 情 報 が 開 示 さ れ て い ま す 。 b   配 偶 子 提 供 者 を 特 定 す る 情 報 を 条 件 付 で 開 示 す る 国   ア イ ス ラ ン ド の 「 人 工 生 殖 法 」( 第 4条 ) で は 、「 ダ ブ ル ト ラ ッ ク 方 式 」 と い う 方 式 を 採 用 し て い ま す 。 こ れ は 、 配 偶 子 提 供 者 が 匿 名 を 求 め る と き は 、 提 供 者 の 情 報 は 開 示 さ れ な い が 、 提 供 者 が 匿 名 を 求 め な い 場 合 は 、 子 ど も は 提 供 者 を 特 定 す る 情 報 に ア ク セ ス で き る と い う も の で す 。 オ ラ ン ダ 、 カ ナ ダ で は 、 配 偶 子 提 供 者 の 同 意 を 条 件 に 個 人 を 特 定 す る 情 報 を 開 示 す る こ と が 認 め ら れ て い ま す 。 c   提 供 者 を 特 定 し な い 情 報 の み を 開 示 す る 国   配 偶 子 提 供 者 を 特 定 す る 情 報 の 開 示 は 認 め な い が 、 そ の 他 の 情 報 の 開 示 を 認 め て い る の は 、 ス ペ イ ン 、 ポ ル ト ガ ル 、 ギ リ シ ア 、 ハ ン ガ リ ー 、 エ ス ト ニ ア 、 豪 ・ サ ウ ス オ ー ス ト ラ リ ア 州 な ど で す 。 香 港 と 台 湾 で は 、 子 ど も は 成 人 に 達 す る と 、 婚 姻 し よ う と し て い る 相 手 と 血 縁 関 係 が あ る 可 能 性 が あ る の か ど う か を 、 当 局 に 問 い 合 わ せ る こ と が で き る よ う に な っ て い ま す 。 d   子 ど も へ の 全 情 報 を 非 開 示 と す る 国   デ ン マ ー ク 、 ベ ル ギ ー 、 フ ラ ン ス は 、 配 偶 子 提 供 者 の プ ラ イ バ シ ー 保 護 を 重 視 し 、 現 在 、 子 ど も に 対 す る 情 報 開 示 を 一 切 認 め て い ま せ ん 。

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6   法 制 度 の 運 用 状 況   諸 外 国 で は 、 前 述 の よ う に 法 律 で 法 整 備 が な さ れ て い る 場 合 も 多 い で す が 、 A I D 児 が 出 自 を 知 る 権 利 を 行 使 す る た め に は 、 そ の 子 に 治 療 の 事 実 が 告 知 さ れ る こ と が 前 提 と な り ま す 。 し か し 、 現 状 で は ど の 国 に お い て も 積 極 的 に 告 知 し よ う と す る 親 は 多 く あ り ま せ ん 。 最 も 早 く 関 連 法 制 が 整 っ た ス ウ ェ ー デ ン で さ え も 、 2 0 0 3 年 時 点 で ド ナ ー 情 報 の 請 求 は 1件 も 行 わ れ て お ら ず 、 そ の 背 景 と し て 治 療 事 実 を 告 知 し て い る 親 が 全 体 の 1割 程 度 に と ど ま る こ と が 挙 げ ら れ て い ま す 。 ま た 、 ス イ ス で は 法 律 上 、 精 子 ド ナ ー と 治 療 を 受 け る 男 性 と は 血 液 型 に 加 え 容 貌 が 似 て い る こ と に も 配 慮 す る こ と が で き る と し て お り 、 親 は た と え 子 ど も の 権 利 で あ っ て も 事 実 を 告 げ る 気 に な ら な い の で は な い か と の 指 摘 も あ り ま す 。 7   「 出 自 を 知 る 権 利 」 に 関 す る 意 識 調 査   図 1を ご 覧 下 さ い 。「 非 配 偶 者 間 人 工 授 精 に よ り 挙 児 に 至 っ た 男 性 不 妊 患 者 の 意 識 調 査 」( 日 本 不 妊 学 会 雑 誌 2 0 0 0 年 ) に よ れ ば 、 日 本 で A I D に よ り 子 を 設 け た 男 性 不 妊 患 者 の 63% が 告 知 を 「 絶 対 に し な い 」、 18% が 「 で き れ ば し た く な い 」 と し て お り 、「 で き れ 図 1 ・ 子どもへ告知するか? できればしたい 1% (必ずする…0%) まだ考えていない 18% できればしたくない 18% 絶対にしない 63%

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ば し た い 」 は わ ず か 1% に と ど ま っ て い ま す 。   次 に 図 2を ご 覧 下 さ い 。 第 一 生 命 経 済 研 究 所 が 不 妊 当 事 者 を 対 象 に 行 っ た 調 査 に よ る と 、 出 自 を 知 る 権 利 に つ い て 、 53. 7 % が 「 子 ど も に は 事 実 を 知 る 権 利 が あ る 」 と 答 え て い ま す 。 一 方 、 無 作 為 抽 出 で 行 っ た 厚 生 労 働 省 調 査 で は 、「 子 ど も は 事 実 を 知 ら さ れ る べ き で あ る 」 と し た 人 は 、 回 答 者 の 15. 4 % に と ど ま っ て い ま す 。 こ れ ら の 調 査 か ら は 、 出 自 を 知 る 権 利 を 肯 定 す る 意 見 が 、 不 妊 当 事 者 の 方 で 多 い こ と が わ か り ま す 。 こ れ は 、 不 妊 治 療 の 過 程 で 将 来 生 ま れ て く る 子 ど も が 、 自 分 の 出 自 を 知 り た が る 可 能 性 や そ の 権 利 に つ い て 、 あ る 程 度 の イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト が な さ れ て き た 結 果 と 見 る こ と も 出 来 ま す 。 し か し そ の 一 方 で 、 前 述 の ア ン ケ ー ト 調 査 か ら も わ か る よ う に 、 い っ た ん A I D 治 療 を 選 択 し 当 事 者 で あ る 親 と な っ た 場 合 は 、 大 多 数 の 男 性 不 妊 患 者 で 「 事 実 を 知 ら せ た く な い 」 と の 思 い が 強 い こ と も 示 さ れ て お り 、 こ の 問 題 の 解 決 の 困 難 さ を 物 語 っ て い る と 言 え ま す 。 8   今 後 の 課 題   こ の よ う な 現 状 を 見 て き た 上 で 、 今 後 も A I D と い わからない 13.1% その他 9.1% 事実そのものを 知らせるべきではない 13.4% 子どもには事実を 知らされない 権利がある 10.8% 子どもには事実を 知る権利がある 53.7% 図 2 ・ 不妊治療の結果生まれた子供の出自を知る権利について

表 に つ い て②動物実験に つ い て の 見 解 に つ い て③生命倫理に関する最近の動向(情 報 交 換 ) ・臓器売買をめぐって第 4回研究会平成23年8月1日 ①各教団に対する再アンケートについて ②生命倫理に関する最近の動向(情報交換) ・東京財団第6回生命倫理サロン参加報告 ③橳島次郎先生講義   「着床前診断と生殖補助医療」第 5回研究会平成23年8月29日 ①総合学術大会での発表について ②調査研究の中間報告提出について ③生命倫理に関する最近の動向(情報交換) ・東京財団第第7回生命

参照

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